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【発明の名称】 金属検出機
【発明者】 【氏名】金澤 正夫
【住所又は居所】東京都江東区亀戸1−29−13 日新電子工業株式会社内

【氏名】前川 康敬
【住所又は居所】東京都八王子市諏訪町263−1 日新電子工業株式会社八王子工場内

【要約】 【課題】被検体内にあってはいけない本当に有害な金属片だけを検出して、アルミニウム製の容器や箔等の包装に必要な無害な金属や、いわゆるプロダクトエフェクトを生ずる食品等は検出しないようにすることができる金属検出機を提供する。

【解決手段】被検体を搬送する搬送手段1と、搬送手段1の近傍に配置され被検体内の被検金属片に帯磁させる励磁手段15と、搬送手段1の近傍に配置され帯磁された被検金属片を検出する検出手段16と、検出手段16からの信号により被検体の内部の被検金属片の有無を判別する判別手段17とを備えた金属検出機20において、検出手段16が励磁手段15より被検体の搬送方向下流側の、励磁手段15の磁界が到達しないくらい離れた位置に配置された構成とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段の近傍に配置され前記被検体内の被検金属片に帯磁させる励磁手段と、前記搬送手段の近傍に配置され前記帯磁された被検金属片を検出する検出手段と、前記検出手段からの信号により前記被検体の内部の被検金属片の有無を判別する判別手段とを備えた金属検出機において、前記検出手段が、前記励磁手段より前記被検体の搬送方向下流側の、励磁手段の磁界が到達しないくらい離れた位置に配置されたことを特徴とする金属検出機。
【請求項2】 前記励磁手段が被検金属片に帯磁させる磁束の方向が前記被検体の搬送方向とほぼ一致又は平行となるように励磁手段が配置される請求項1に記載の金属検出機。
【請求項3】 前記検出手段がコイルを有し、このコイルの長さ方向が前記搬送方向に対して直交する方向を基準にして、ほぼ水平面内で0°ないし45°の範囲内の角度で傾けて配置される請求項2に記載の金属検出機。
【請求項4】 前記検出手段が少なくとも2つのコイルを有し、これらのコイルが差動接続されるようにした請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の金属検出機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば食パン、菓子、食肉、惣菜等の食品をアルミニウムの容器や箔を用いて包装した被検体の、その食品内に混入した、被検体が加工、搬送時等に経由する設備や装置等から脱落した金属製部品や破片を検出するための、或は縫製針、注射針、釘等の針状金属類等を検出するための金属検出機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の金属検出機としては、例えば特開昭59−160787号公報に係る金属検出機がある。図6に示すように、従来の金属検出機10は、製品(被検体)を搬送するコンベヤ1と、搬送する製品内の混入金属片を励磁する励磁コイルを有する磁化装置2と、この磁化装置2により励磁された混入金属片を検出する検出ヘッド6を備え、この検出ヘッド6は、励磁コイル3(送信コイル)と、一対の検出コイル4a,4b(受信コイル)を有している。そして金属検出機10は、検出コイル4a,4bからの各検出電流の差に相当する差動信号を入力して、製品内の混入金属片の有無を判別する判別回路7をも備えた構造となっている。
【0003】この金属検出機10は、製品が励磁コイル3と検出コイル4a,4bとの間を通る際、励磁コイル3による励振磁界が製品内の混入金属により鎖交磁束を変化させ、その変化により検出コイル4a,4bの各々に起電力が生じて電流が流れ、その各々の電流の差により製品に混入した金属を検出するようになっている。
【0004】このような従来の金属検出機10は、検出ヘッド6により製品を検査する前にあらかじめ磁化装置2の磁界内に製品を通過させて、製品内に混入金属片があればその混入金属片を帯磁させることにより、検出ヘッド6の検出コイル4a,4bによる検出感度を大きくすることを意図し、あらかじめ製品を帯磁させない場合には検出できなかったような小さな混入金属片でも検出可能にすることを目的とすると、前記公報には記載してある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の金属検出機10においては、検出ヘッド6において励磁コイル3が製品内の混入金属片を励磁しながら検出コイル4a,4bがその混入金属片を検出するようになっているため、例えばアルミニウム製の容器や箔も励磁コイル3による励振磁界が鎖交し、アルミニウムの通過速度に比例した渦電流による二次磁束の発生が検出コイル4a,4bの鎖交磁束を変化させ、結果として検出コイル4a,4bに起電力を発生させることにより混入金属片として検出されてしまうか、或はそのために本当の混入金属片を検出することができない可能性があった。
【0006】すなわち、アルミニウムには帯磁性が無いので、磁化装置2により励磁されても帯磁することはないが、体積抵抗率が非常に小さいので検出ヘッド6内を通過する際、励磁コイル3による励振磁界が鎖交し、アルミニウムの通過速度に比例した渦電流により二次磁束が発生するので上記のようなことが問題となる。
【0007】また、金属でなくとも、食品自体がその成分によって、或はその体積抵抗率が小さい場合に、やはり検出ヘッド6内を通過する際、食品の通過速度に比例した渦電流による二次磁束が発生し、金属と同じように反応する、いわゆるプロダクトエフェクトが生じる場合においても同様に、上記のようなことが問題となる。
【0008】そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、被検体内にあってはいけない本当に有害な金属片だけを検出して、アルミニウム製の容器や箔等の包装に必要な無害な金属や、前記プロダクトエフェクトを生ずる食品等は検出しないようにすることができる金属検出機を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明による金属検出機は、被検体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段の近傍に配置され前記被検体内の被検金属片に帯磁させる励磁手段と、前記搬送手段の近傍に配置され前記帯磁された被検金属片を検出する検出手段と、前記検出手段からの信号により前記被検体の内部の被検金属片の有無を判別する判別手段とを備えた金属検出機において、前記検出手段が、前記励磁手段より前記被検体の搬送方向下流側の、励磁手段の磁界が到達しないくらい離れた位置に配置された構成としたものである。
【0010】このような構成の金属検出機によれば、検出手段が、励磁手段より被検体の搬送方向下流側の、励磁手段の磁界が到達しないくらい離れた位置に配置されるため、検出手段の近傍には励磁手段による鎖交磁束が無いので、アルミニウム製の容器や箔等により検出手段に電流が流れることはないと共に、励磁手段により帯磁されて磁気が残っている金属だけを検出することができるので、被検体内にあってはいけない本当に有害な混入金属片だけを検出して、アルミニウム製の容器や箔等の包装に必要な無害な金属や、前記プロダクトエフェクトを生ずる食品等は検出しないようにすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて具体的に説明する。図1ないし図5は、本発明による金属検出機の一実施の形態について説明するために参照する図である。前記従来の金属検出機10の部品と同様の機能を有する部品には同じ符号を付して説明する。
【0012】図1に示す金属検出機20は、食品をアルミニウム製の容器や箔で包装した被検体(図示せず)を載せて搬送するベルトコンベヤ1(搬送手段)の、搬送方向上流側(図中左側)の上方には、直流磁界を発生して、搬送される被検体がその磁界内を通過することにより被検体内の鉄等の混入金属片(被検金属片)を帯磁させる、励磁コイル3を有する磁化装置15(励磁手段)が設けられている。
【0013】ベルトコンベヤ1の搬送方向下流側(図中右側)で励磁コイル3の磁界が到達しないくらい離れた位置の下方には、帯磁された混入金属片の磁気により電流が流れて各々の電流の大きさが変化する検出コイル4a,4bを有する検出装置16(検出手段)が設けられている。検出コイル4a,4bは、各々に流れる電流値の差を取り出すことができるように差動接続されている。なお検出コイル4a,4bは、ベルトコンベヤ1の搬送方向に対して直交する方向を基準にして、ほぼ水平面内で、0°ないし45°の範囲内の角度で傾けて配置することができる。
【0014】また、金属検出機20には、励磁コイル3に直流電流が流れて直流磁界が発生するように制御すると共に、電流が流れてその大きさが変化する検出コイル4a,4bからその各々の電流値の差に相当する信号を入力して、その信号の増幅及び信号と所定値との比較演算を行なって被検体内の混入金属片の有無を判別する、判別装置17(判別手段)が設けられている。
【0015】判別装置17は、図2に示すように、検出コイル4a,4bの各々の電流値の差に相当する信号を入力して増幅する低周波増幅部21と、この低周波増幅部21からの増幅信号をフィルタ部23を介して入力してアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換部25と、検出コイル4a,4bからの信号についてのデジタル値を設定値と比較演算する演算処理部27と、デジタル値が設定値より大きいときは混入金属片を検出した旨の信号を出力する検出出力部29と、各種操作ボタン及び操作状態や結果等を表示するLCD(液晶表示装置)等を有する操作表示部31を有している。
【0016】また判別装置17は、被検体の搬送時に励磁コイル3に直流電流を出力して直流磁界を発生させる直流電源部33をも有している。また図3に示すように、磁化装置15の励磁コイル3により形成される磁力線Fの方向は、ベルトコンベヤ1による被検体の搬送方向Dとほぼ一致、又は平行となるように磁化装置15は配置されている。
【0017】
【金属検出機の動作】上記のような構成の金属検出機20は、ベルトコンベヤ1の上に前記被検体を載せて搬送させ、被検体はまず磁化装置15の励磁コイル3から発生した磁界の中を通り、被検体内に鉄等の混入金属片があるとそれを帯磁させる。
【0018】被検体が下流側に搬送されて磁化装置15から離れて検出装置16の上方を通過するとき、帯磁された混入金属片の磁気により検出コイル4a,4bの各々に電流が流れ、その各々の電流の大きさ及びその差が変化する。判別装置17は検出コイル4a,4bに流れる各々の電流電流値の差に相当する信号を入力し、その信号値を処理して被検体内の混入金属片の有無を判別することができる。
【0019】このような金属検出機20によれば、検出装置16が磁化装置15より被検体の搬送方向下流側の、磁化装置15の磁界が到達しないくらい離れた位置に配置されることにより、検出装置16は帯磁した混入金属片だけを検出することができるので、金属検出機20は被検体内にあってはいけない本当に有害な混入金属片だけを検出して、アルミニウム製の容器や箔等の包装に必要な無害の金属や、前記プロダクトエフェクトを生ずる食品等は検出しないようにすることができる。このため、透磁率の大きい鉄のみならず、透磁率の小さいステンレススチールをも、高感度で検出することができる。
【0020】また、磁化装置15により混入金属片に帯磁させる磁束の方向が被検体の搬送方向とほぼ一致、又は平行となるように磁化装置15が配置されると共に、検出装置16の検出コイル4a,4bがベルトコンベヤ1の搬送方向に対して直交する方向を基準にして、ほぼ水平面内で、0°ないし45°の範囲内の角度で傾けて配置することができるため、混入金属片の向きにより検出コイル4a,4bによる検出感度が低くなって被検金属片を検出できなくなることを防止することができる。
【0021】すなわち、図4に示すように、混入金属片Sが被検体の搬送方向にその長さを一致させて配置されて、磁化装置15の励磁コイル3により帯磁された後、ベルトコンベヤ1により搬送されて、混入金属片Sの長さが検出コイル4a,4bの長さと直交するように検出装置16上を搬送されるときが、検出感度が最も大きくなる。
【0022】これに対し、図5に示すように、混入金属片Sがベルトコンベヤ1の搬送方向にその長さを直交させて配置されて、磁化装置15の励磁コイル3により帯磁された後、ベルトコンベヤ1により搬送されて、混入金属片Sの長さが検出コイル4a,4bの長さと平行の状態で検出装置16上を搬送されるときが、検出感度が最も小さくなる。
【0023】このために、上述したように、検出コイル4a,4bが、ベルトコンベヤ1の搬送方向に対して直交する方向を基準にして、ほぼ水平面内で、0°ないし45°の範囲内の角度で傾けて配置することができることにより、混入金属片の向きにより検出コイル4a,4bによる検出感度が低くなって混入金属片を検出できなくなることを防止することができるのである。
【0024】また上記実施の形態に係る金属検出機20によれば、上述したように、検出装置16の検出コイル4a,4bが差動接続されているために、外乱による影響を低減させることができる。
【0025】なお、前記実施の形態においては、磁化装置15の励磁コイル3はベルトコンベヤ1の上方に1つ配置した場合について説明したが、励磁コイルはベルトコンベヤ1の下方に、又は上下両方に、或はベルトコンベヤ1の側方の一方又は両方に配置してもよく、或はベルトコンベヤ1を囲むように環状に多数並べて、又は環状に連続して配置してもよい。また励磁コイルは1つに限定する必要はなく、複数個設けてもよく、そして励磁コイルを複数個設けた場合は、被検体の場所による磁化のムラを少なくすることができる。
【0026】また、前記実施の形態においては、検出装置16の検出コイル4a,4bはベルトコンベヤ1の下方に2つ配置した場合について説明したが、検出コイルはベルトコンベヤ1の上方に、又は上下両方に、或はベルトコンベヤ1の側方の一方又は両方に配置してもよく、或はベルトコンベヤ1を囲むように環状に多数並べて、又は環状に連続して配置してもよい。また、検出コイルは2つに限定する必要はなく、1つでもよく、又は3つ以上設けてもよい。そして検出コイルを3つ以上設けた場合は、被検体内の混入金属の位置を見つけ易くでき、被検体を搬送路から除去するときの歩留まりを良くし、被検体の場所による感度のバラツキを無くして検出感度を均一に高めることができる。
【0027】また、前記実施の形態においては、磁化装置15に励磁コイル3を用いた場合について説明したが、励磁コイル3の代りに永久磁石を用いてもよく、その場合は、金属検出機20の消費電力を低減させることができる。
【0028】以上、本発明の実施の形態について具体的に述べてきたが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて、その他にも各種の変更が可能なものである。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の金属検出機によれば、検出手段が、励磁手段より被検体の搬送方向下流側の、励磁手段の磁界が到達しないくらい離れた位置に配置されるため、検出手段の近傍には励磁手段による鎖交磁束が無いので、アルミニウム製の容器や箔等により検出手段に電流が流れることはないと共に、励磁手段により帯磁されて磁気が残っている金属だけを検出することができるので、被検体内にあってはいけない本当に有害な混入金属片だけを検出して、アルミニウム製の容器や箔等の包装に必要な無害な金属や、前記プロダクトエフェクトを生ずる食品等は検出しないようにすることができる。このため、透磁率の大きい鉄のみならず、透磁率の小さいステンレススチールをも、高感度で検出することができる。
【出願人】 【識別番号】000226781
【氏名又は名称】日新電子工業株式会社
【住所又は居所】東京都江東区亀戸1丁目29番13号 日新ビル
【出願日】 平成13年8月27日(2001.8.27)
【代理人】 【識別番号】100087712
【弁理士】
【氏名又は名称】山木 義明
【公開番号】 特開2003−66156(P2003−66156A)
【公開日】 平成15年3月5日(2003.3.5)
【出願番号】 特願2001−255917(P2001−255917)