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応力計およびこれを用いた地震計 - 特開2003−66154 | j-tokkyo
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【発明の名称】 応力計およびこれを用いた地震計
【発明者】 【氏名】岩田 節雄

【氏名】園田 恵一郎

【要約】 【課題】地震波を応力の段階で計測可能な応力計およびこれを用いた地震計を提供する。

【解決手段】応力計3は、板状のピエゾ素子11と、これの上下面に設けられた上下電極板12,13と、上下電極板12,13を上下から挟む上下受圧板14,15と、ピエゾ素子11、上下電極板12,13および上下受圧板14,15を収める筒状の緩衝ケース17とを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 板状のピエゾ素子(11)と、これの上下面に設けられた上下電極板(12)(13)と、上下電極板(12)(13)を上下から挟む上下受圧板(14)(15)とを備えている応力計。
【請求項2】 ピエゾ素子(11)、上下電極板(12)(13)および上下受圧板(14)(15)を収める筒状の緩衝ケース(17)をさらに備えている請求項1記載の応力計。
【請求項3】 上受圧板(14)の下面、上電極板(12)の上面、下電極板(13)の下面および下受圧板(15)の上面に鏡面仕上げ(18)が施されている請求項1または2記載の応力計。
【請求項4】 上下受圧板(14)(15)が、ピエゾ素子(11)および上下電極板(12)(13)よりも大径とされており、緩衝ケース(17)の中間部に、上下受圧板(14)(15)に挟まれかつピエゾ素子(11)および上下電極板(12)(13)との間に間隙を有する内向きフランジ部(19)が設けられている請求項2または3に記載の応力計。
【請求項5】 上下受圧板(14)(15)同士がねじ部材(16)で連結されており、上下受圧板(14)(15)をねじ部材(16)に対して回転させることによって、ピエゾ素子(11)の初期応力を圧縮状態にすることが可能な請求項1から4までのいずれかに記載の応力計。
【請求項6】 上受圧板(14)の上面および下受圧板(15)の下面に接着剤が塗布されている請求項1から5までのいずれかに記載の応力計。
【請求項7】 請求項1から6に記載の応力計(3)と、加速度を検出する加速度計(2)とを備えている地震計。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、応力計およびこれを用いた地震計に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来の地震計は、その設置位置での速度または加速度、すなわち揺れを計測するものである。図8(a)は、神戸気象台に設置された従来の地震計による観測地震波の加速度応答の測定例を示すもので、横軸に時間(フルスケールが60秒)、縦軸に加速度(フルスケールが±1000gal)を取り、左の3つが門柱基礎の加速度応答、右の3つが柱頭の加速度応答をそれぞれ示している。そして、同図(b)は、この観測地震波による鉄筋ひずみ応答を示すもので、横軸が時間(フルスケールが60秒)、縦軸がひずみ(フルスケールが±80μ)を示している。
【0003】ところで、兵庫県南部地震では、門柱や石柱の跳躍や飛散、橋脚の破壊など、従来の地震加速度だけでは起こり得ない現象が生じている。すなわち、図8の(b)からは、破壊を引き起こすことが推定できないことが分かってきた。すなわち、直下型地震のような場合には、まず、断層のせん断破壊などによる周期の非常に短いパルス波的な衝撃波とその後の周期の長い地盤振動との2種類の波動が伝達されると考えられる。この内、衝撃波による破壊では、衝撃波が構造物内部を伝播し、端部で反射波と重畳して衝撃応力波が破壊応力を超えるために破壊が生じると考えられる。表1に、地震時の計測データの種類と被害の評価方法を示す。
【0004】
【表1】

【0005】表1にも示されているように、地震による災害を考える場合、地盤や構造物の損傷や破壊を引き起こすのは「力」であることから、地震による地盤や構造物の破壊メカニズムの究明には、地震時に導入された力、すなわち「衝撃応力波」の波形を直接計測することが必要である。ここで、衝撃応力波は、揺れとは異なり、非常に高周波であるので、計測および分析に高度な技術が要求され、加速度計測システムとは異なったセンサーおよび計測システムが必要とされる。しかしながら、ストレインゲージのように、静的応力を計測する応力計は、よく知られているものの、動的応力を測定する応力計は、全く知られていない。
【0006】この発明の目的は、上記実状に鑑み、地震波を応力の段階で計測可能な応力計およびこれを用いた地震計を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】この発明による応力計は、板状のピエゾ素子と、これの上下面に設けられた上下電極板と、上下電極板を上下から挟む上下受圧板とを備えているものである。
【0008】この発明の応力計によると、衝撃応力波の測定が可能となり、建造物の破壊に直接つながるデータが得られる。
【0009】応力計は、ピエゾ素子、上下電極板および上下受圧板を収める筒状の緩衝ケースをさらに備えていることが好ましい。緩衝ケースにより、ピエゾ素子に掛かる力のうち測定したくない成分を除去することができる。より具体的には、上下受圧板が、ピエゾ素子および上下電極板よりも大径とされており、緩衝ケースの中間部に、上下受圧板に挟まれかつピエゾ素子および上下電極板との間に間隙を有する内向きフランジ部が設けられている構成とされる。このようにすると、緩衝ケースの内向きフランジ部とピエゾ素子および上下電極板との間の間隙により、緩衝ケースに働く径方向内向きの力をピエゾ素子に伝えないようにすることができる。
【0010】また、上受圧板の下面、上電極板の上面、下電極板の下面および下受圧板の上面に鏡面仕上げが施されていることがより好ましい。このようにすると、上下受圧板に働く軸方向に直交する方向の力をピエゾ素子に伝えにくくすることができる。この構成と緩衝ケースに働く径方向内向きの力をピエゾ素子に伝えない上記の構成とを組み合わせることにより、軸方向だけの応力を計測する1方向応力計を得ることができる。
【0011】また、応力計は、上下受圧板同士がねじ部材で連結されており、上下受圧板をねじ部材に対して回転させることによって、ピエゾ素子の初期応力を圧縮状態にすることが可能とされていることが好ましい。コンクリート中を伝播する衝撃波には、圧縮応力と共に引張り応力も伝播することから、引張り応力を測定するために、あらかじめピエゾ素子に圧縮ひずみを加えておく必要があるからである。
【0012】さらにまた、上受圧板の上面および下受圧板の下面に接着剤が塗布されていることが好ましい。応力計を測定対象物に埋め込む際、コンクリートなどとの接着性を向上させるためである。このように構成された応力計は、既設の構造物に孔をあけて応力計をこの孔に挿入した後、孔をコンクリートで塞ぐことにより設置可能であり、また、建設途中の構造物の鉄筋に予め支持させておくことによっても設置可能である。
【0013】上記応力計は、単独で用いられてももちろんよいが、従来から地震計としてよく利用されている加速度計と併用することにより、より一層有益なデータを得る地震計として利用することができる。この場合に、応力計の出力は、動的応力に追従可能な高周波応答特性を有する直流増幅器(シグナルコンディショナー)で増幅される。この発明の応力計によると、その出力(ボルト)がかなり高いため、この直流増幅器は必ずしも必要なものではない。
【0014】この地震計によると、2つの地震データ(加速度およびひずみ応力)を使用し、従来と異なった評価方法で構造物の破壊の原因および破壊に対する予防策を検討することができる。従って、衝撃応力波が原因と考えられる破壊モードについて、衝撃応力波を緩和する新耐震設計法や構造物の補強方法、新構造方式の新設計法など新しい展開を期待することができる。このような地震計は、通常の地震計として使用される他、地震計測モニタリング装置やトンネル入口衝撃波計測装置などとしても使用可能であり、新幹線がトンネルに高速で突入する場合に発生する衝撃波によってトンネル被覆コンクリートの剥離が生じているという問題点を明らかにすることができる可能性を有している。
【0015】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
【0016】この発明による地震計(1)は、図1に示すように、加速度計(2)および応力計(3)と、これらの計器(2)(3)のデータを処理する処理装置(4)とを備えており、処理装置(4)は、直流増幅器(5)と、AD変換器(6)と、メモリー(7)と、太陽電池(8)と、通信機(9)と、アンテナ(10)とを備えている。
【0017】加速度計(2)としては、例えば、公知のひずみ計型のもので、例えば、ローパスフィルタ:30Hz,−12db、サンプリング周波数:100Hzのものが使用される。
【0018】応力計(3)は、例えば、ローパスフィルタ:33kHz、サンプリング周波数:10kHzの圧電素子型のものであり、材料のヤング率に関係なく応力として検出できるセンサーとされる。具体的には、後述するように、センサー材料としてピエゾタイプが使用され、埋め込みタイプ(表面貼付けタイプも可)とされる。
【0019】直流増幅器(5)は、シグナルコンディショナー、チャージアンプなどと称されるもので、高周波応答性能が20kHz以上でマイクロ化されたものが使用される。
【0020】直流増幅器(5)およびAD変換器(6)のチャンネル数は、2〜6chとされる。
【0021】AD変換器(6)は、トリガー組み込み型で、50μsサンプリング以上のものが使用される。
【0022】メモリー(7)は、128MB(64MB+64MB)以上のコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリーが使用され、常時計測、上書きタイプとされて、記録は、トリガーに掛かったデータをメモリーに固定することにより行うものとする。
【0023】通信機(9)およびアンテナ(10)は、携帯電話システムを利用したインターネット圧縮通信が可能なものとする。
【0024】地震計(1)の外形は、20×20×7cm程度とされ、応力計(3)の大きさは、直径10から20mm、厚さ4から6mm程度とされる。
【0025】応力計(3)は、図2および図3に示すように、板状のピエゾ素子(11)と、これの上下面に設けられた上下電極板(12)(13)と、上下電極板(12)(13)を上下から挟む上下受圧板(14)(15)と、上下受圧板(14)(15)同士を連結するねじ部材(16)と、ピエゾ素子(11)、上下電極板(12)(13)および上下受圧板(14)(15)を収める円筒状の緩衝ケース(17)とよりなる。
【0026】ピエゾ素子(11)は、どの方向からの動的ひずみでも感知し、電圧を出力するもので、上述のように、地震の応力波が計測できる周波数特性を有している。
【0027】ピエゾ素子(11)および上下電極板(12)(13)は、いずれも、中央にねじ挿通用の挿通孔を有する円板状で、両者の外径は同じとされている。
【0028】上下受圧板(14)(15)は、ピエゾ素子(11)および上下電極板(12)(13)の外径よりも大きい外径を有する円板状とされている。上受圧板(14)には、下方に開口する有底ねじ孔(14a)が設けられ、下受圧板(15)には、上方に開口する有底ねじ孔(15a)が設けられている。
【0029】上受圧板(14)の下面の上電極板(12)に接する部分、上電極板(12)の上面全面、下電極板(13)の下面全面および下受圧板(15)の上面の下電極板(12)に接する部分には、鏡面仕上げ(18)が施されている。
【0030】緩衝ケース(17)は、円筒状で、発泡スチロール系樹脂によって形成されており、その軸方向中央部には、内向きのフランジ部(19)が設けられている。このフランジ部(19)の内径は、ピエゾ素子(11)および上下電極板(12)の外径よりも若干大きく、緩衝ケース(15)のフランジ部(19)以外の部分の内径は、上下受圧板(14)(15)にほぼ等しく形成されている。したがって、内向きのフランジ部(19)とピエゾ素子(11)および上下電極板(12)(13)との間には、間隙が存在するようになされている。
【0031】図4(a)に示すように、緩衝ケース(17)の内向きフランジ部(19)とピエゾ素子(11)および上下電極板(12)(13)との間に間隙(G)が存在することにより、緩衝ケース(17)全体に径方向内向きの力(矢印参照)が働いてもこれがピエゾ素子(11)に伝わることはない。また、緩衝ケース(17)の内向きフランジ部(19)が上下受圧板(14)(15)間に挟まれていることにより、緩衝ケース(17)が容易に外れないようになっている。緩衝ケース(17)の直径が20mmの場合、コンクリート圧縮破壊ひずみの3倍のひずみ量である1%ひずみを遮断するためには、最低0.2mmの厚さが必要となり、余裕を見て0.5mmの厚さの発泡スチロール樹脂が使用されている。
【0032】また、上受圧板(14)の下面、上電極板(12)の上面、下電極板(13)の下面および下受圧板(15)の上面に鏡面仕上げ(18)が施されていることにより、図4(b)に矢印で示す水平方向の動的ひずみが受圧板(14)(15)と電極板(12)(13)との間の滑り領域(M)で吸収され、横方向衝撃波がピエゾ素子(11)に伝わりにくいものとなっている。こうして、どの方向からの動的ひずみでも感知するピエゾ素子(11)を用いて、軸方向の力のみを測定する1方向応力計(3)が得られている。
【0033】コンクリート中を伝播する衝撃波には、圧縮応力と共に引張り応力も伝播することから、両方の応力を測定する必要がある。したがって、引張り応力を測定するために予めピエゾ素子(11)に圧縮ひずみ(プレストレス)を加えておく必要がある。上記応力計(3)によると、上下受圧板(14)(15)同士がねじ部材(16)で連結されているので、図5に示すように、上下受圧板(14)(15)をねじ部材(16)に対して回転させることによって、ピエゾ素子(11)の初期応力を圧縮状態にすることができる。プレストレスの大きさの調整は、ピエゾ素子(11)の出力を見ながら、予め設定調整される。
【0034】応力計(3)は、例えば、図6に示すようにして構造物に取り付けられる。
【0035】取付けに先立って、応力計(3)の上受圧板(14)の上面および下受圧板(15)の下面には、接着剤層(20)が設けられるとともに、電極板(12)(13)に通じる配線(21)が接続される。そして、まず、計測対象となる既設の構造物(C)にドリルで大きめの孔(22)をあけ、この孔(22)に、応力計(3)を挿入し、スペーサ(23)で仮固定する。応力計(3)の軸方向は、測定するべき応力の方向(図の上下方向)に合わされる。図6では、上下方向の応力を計測するために、孔(22)の軸方向と応力計(3)の軸方向とは、直交するようになされている。次いで、孔(22)の開口縁部に型枠(24)を取り付け、孔(22)内に、レジンコンクリート(25)、無収縮コンリートまたは熱収縮モルタルを充填して硬化させる。接着剤層(20)としては、硬化時間を24から48時間程度に設定したエポキシ系接着剤が好ましく、このようにすることにより、コンクリート(25)の硬化時間と接着剤の硬化時間とが一致するか、あるいは、コンクリート(25)の硬化後に接着剤が硬化し、受圧板(14)(15)とコンクリート(25)とが強固に接着される。構造物が建設されるときに取り付ける場合には、同図(b)に示すように、接着剤層(20)を設けた圧力計(3)を針金(27)を利用しコンクリートの充填前に鉄筋(26)に取り付けておけばよい。
【0036】図7は、この発明による応力計およびこれを用いた地震計による測定例を示す図である。この測定は、同図(a)に示すように、加速度計(2)および応力計(3)を標準砂に埋め、標準砂の上方から錘を落下させることにより行った。加速度計(2)は、ローパスフィルタ:30Hz,−12db、サンプリング周波数:100Hzのひずみ計型のもの(すなわち、従来の地震計用の加速度計と同じ仕様のもの)であり、応力計(3)は、ローパスフィルタ:33kHz、サンプリング周波数:10kHzの圧電素子型のもの(すなわち、図2から図5までに示したもの)である。そして、標準砂でのP波の速度は、約200m/sである。同図(b)は、加速度計(2)によるデータで、横軸が時間(フルスケールが12秒)、縦軸が加速度(フルスケールが−0.1〜+0.15G)を表している。また、同図(c)は、応力計(3)によるデータで、横軸が時間(フルスケールが0.012秒)、縦軸が加速度(フルスケールが−8〜+10G)を表している。これらのデータから明らかなように、従来の地震計用の加速度計(2)では、衝撃波に伴う周期の短い応力波が測定できていないのに対し、この発明による応力計(3)によると、衝撃応力波が7〜9Gの大きさで測定されており、建造物の破壊に直接つながるデータが得られることが分かる。
【出願人】 【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
【出願日】 平成13年8月21日(2001.8.21)
【代理人】 【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助 (外3名)
【公開番号】 特開2003−66154(P2003−66154A)
【公開日】 平成15年3月5日(2003.3.5)
【出願番号】 特願2001−249903(P2001−249903)