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【発明の名称】 車両周囲警戒装置
【発明者】 【氏名】廣田 正樹
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内

【氏名】斉藤 誠則
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内

【要約】 【課題】比較的広い温度条件の下で、赤外線センサを用いた人体等の温体の検出を高精度に行い、車両周囲に人体等が存在する場合に、その旨を車両の乗員に適切に認識させる。

【解決手段】検出対象である人体等の温体を路面を背景として検出する第1の赤外線センサ11と、大気を背景として検出する第2の赤外線センサ12とをそれぞれ設ける。そして、これら第1の赤外線センサ11からの出力と、第2の赤外線センサ12からの出力とを、検出対象である人体等の温体と、背景としての路面や大気との温度関係をもとにして、切替回路13において選択的に切り替え、選択された赤外線センサからの出力に基づいた画像を表示器16に表示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両周囲に存在する同一の温体を互いに異なる背景でそれぞれ検出する複数の赤外線センサと、前記複数の赤外線センサからの出力を選択的に切り替えるセンサ出力切替手段と、前記温体と各背景との温度関係をそれぞれ推測し、その推測結果に基づいて前記センサ出力切替手段の切替動作を制御する切替制御手段と、前記センサ出力切替手段により選択された赤外線センサからの出力に基づいて、車両周囲に温体が存在することを示す情報を生成する情報生成手段とを備えることを特徴とする車両周囲警戒装置。
【請求項2】 前記複数の赤外線センサのうちの1つが車両周囲の路面を背景として前記温体を検出し、他の1つが車両周囲の大気を背景として前記温体を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両周囲警戒装置。
【請求項3】 車両周囲の日射量を検出する日射センサ及び車両周囲の外気温を検出する外気温センサを更に備え、前記切替制御手段が、前記日射センサ及び外気温センサからの出力に基づいて、前記温体と各背景との温度関係をそれぞれ推測することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両周囲警戒装置。
【請求項4】 車両周囲の風速を検出する風速センサを更に備え、前記切替制御手段が、前記日射センサ、外気温センサ及び風速センサからの出力に基づいて、前記温体と各背景との温度関係をそれぞれ推測することを特徴とする請求項3に記載の車両周囲警戒装置。
【請求項5】 前記車両周囲の大気を背景として前記温体を検出する赤外線センサの検知距離が、前記車両周囲の路面を背景として前記温体を検出する赤外線センサの検知距離よりも短く、且つ、前記車両周囲の大気を背景として前記温体を検出する赤外線センサの垂直検知角が、前記車両周囲の路面を背景として前記温体を検出する赤外線センサの垂直検知角よりも大きいことを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の車両周囲警戒装置。
【請求項6】 車両周囲に存在する同一の温体を互いに異なる背景でそれぞれ検出する複数の赤外線センサと、前記複数の赤外線センサからの出力を合成するセンサ出力合成手段と、前記センサ出力合成手段により合成された複数の赤外線センサからの出力に基づいて、車両周囲に温体が存在することを示す情報を生成する情報生成手段とを備えることを特徴とする車両周囲警戒装置。
【請求項7】 前記複数の赤外線センサのうちの1つが車両周囲の路面を背景として前記温体を検出し、他の1つが車両周囲の大気を背景として前記温体を検出することを特徴とする請求項6に記載の車両周囲警戒装置。
【請求項8】 前記車両周囲の大気を背景として前記温体を検出する赤外線センサの検知距離が、前記車両周囲の路面を背景として前記温体を検出する赤外線センサの検知距離よりも短く、且つ、前記車両周囲の大気を背景として前記温体を検出する赤外線センサの垂直検知角が、前記車両周囲の路面を背景として前記温体を検出する赤外線センサの垂直検知角よりも大きいことを特徴とする請求項7に記載の車両周囲警戒装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線センサを利用して車両の周囲に存在する人体等の温体を検出し、車両の乗員に温体の存在を認識させる車両周囲警戒装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、乗員が車両の走行を開始する際や車庫入れ等を行う際は、ルームミラーやドアミラー等を利用して、或いは目視等によって、車両周囲の安全確認を行うようにしている。しかしながら、ルームミラーやドアミラー、目視等によっては確認できない車両周囲の死角となる位置に人体等が存在する場合には、乗員はその旨を適切に認識できない場合がある。
【0003】そこで、車両の走行開始時や車庫入れ時等における安全性の向上を図るために、車両に赤外線センサを取り付け、この赤外線センサからの出力をもとにして、車両周囲の死角となる位置の状況を画像として表示器に表示すること、或いは、この死角となる位置に人体等が存在することを検知して警告音を発すること等によって、車両の乗員に注意を促すようにした技術が様々提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、赤外線センサを用いて車両周囲に存在する人体等を検出するようにした場合、その検出精度は、検出対象である人体等の温度とその背景の温度との温度差に依存することになる。このため、背景の温度が検出対象である人体等の温度に近い場合には、検出対象である人体等の存在を精度良く検知できない場合がある。
【0005】具体的な例を挙げると、例えば、車両周囲の外気を背景として車両周囲に存在する人体を検出するようにした場合、外気温が高くなる夏期においては、外気温が人体の温度に近くなるために、検出対象である人体を背景から分離することが困難で、人体の存在を精度良く検知できない場合がある。
【0006】また、車両周囲の路面を背景として車両周囲に存在する人体を検出するようにした場合には、春や秋等の外気温が比較的低い時期において日射によって路面が熱せられると、路面温度が人体の温度に近くなるために、検出対象である人体を背景から分離することが困難で、人体の存在を精度良く検知できない場合がある。
【0007】このような不都合を回避する方法として、例えば、赤外線センサと超音波センサ等の他のセンサとを組み合わせて用い、これら各センサからの出力に基づいて車両周囲の状況を確認する方法も提案されているが、このような方法では、センサ出力を処理する処理回路の構成が複雑なものとなり、コストの上昇を招くといった問題がある。
【0008】本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて創案されたものであって、比較的広い温度条件の下で、赤外線センサを用いた人体等の温体の検出を高精度に行い、車両周囲に人体等が存在する場合に、その旨を車両の乗員に適切に認識させることができる車両周囲警戒装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、車両周囲に存在する同一の温体を互いに異なる背景でそれぞれ検出する複数の赤外線センサと、前記複数の赤外線センサからの出力を選択的に切り替えるセンサ出力切替手段と、前記温体と各背景との温度関係をそれぞれ推測し、その推測結果に基づいて前記センサ出力切替手段の切替動作を制御する切替制御手段と、前記センサ出力切替手段により選択された赤外線センサからの出力に基づいて、車両周囲に温体が存在することを示す情報を生成する情報生成手段とを備えることを特徴とする車両周囲警戒装置である。
【0010】この請求項1に係る車両周囲警戒装置では、車両周囲に温体が存在する場合に、この温体が、複数の赤外線センサによって互いに異なる背景でそれぞれ検出される。そして、これら複数の赤外線センサからの出力は、切替制御手段による制御に応じて、センサ出力切替手段によって選択的に切り替えられる。
【0011】切替制御手段によるセンサ出力切替手段の切替動作の制御は、検出対象である温体と各背景との温度関係に基づいて行われる。すなわち、切替制御手段は、検出対象である温体と各背景との温度関係をそれぞれ推測し、その推測結果に基づいてどの赤外線センサからの出力が最適なものであるかを判断してセンサ出力切替手段の切替動作を制御する。
【0012】センサ出力切替手段によって選択された赤外線センサからの出力は、情報生成手段に供給される。そして、情報生成手段により、この赤外線センサからの出力に基づいて車両周囲に温体が存在することを示す情報が生成され、例えば、車両周囲に温体が存在している様子が表示器に画像表示され、或いは、車両の乗員に注意を促す警告音が発せられる。これにより、車両の乗員は、車両周囲に温体が存在することを認識することができる。
【0013】また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両周囲警戒装置において、前記複数の赤外線センサのうちの1つが車両周囲の路面を背景として前記温体を検出し、他の1つが車両周囲の大気を背景として前記温体を検出することを特徴とするものである。
【0014】この請求項2に係る車両周囲警戒装置では、車両周囲の路面を背景として温体を検出する赤外線センサからの出力と、車両周囲の大気を背景として温体を検出する赤外線センサからの出力とが、切替制御手段による制御に応じて、センサ出力切替手段により選択的に切り替えられる。そして、これらの赤外線センサのうちでセンサ出力切替手段により選択された赤外線センサからの出力に基づいて、車両周囲に温体が存在することを示す情報が情報生成手段により生成されることになる。
【0015】また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両周囲警戒装置において、車両周囲の日射量を検出する日射センサ及び車両周囲の外気温を検出する外気温センサを更に備え、前記切替制御手段が、前記日射センサ及び外気温センサからの出力に基づいて、前記温体と各背景との温度関係をそれぞれ推測することを特徴とするものである。
【0016】この請求項3に係る車両周囲警戒装置では、日射センサにより車両周囲の日射量が検出されると共に、外気温センサにより車両周囲の外気温が検出される。これら日射センサからの出力及び外気温センサからの出力は、切替制御手段に供給される。そして、これら日射センサ及び外気温センサからの出力に基づいて、切替制御手段により検出対象である温体と各背景との温度関係がそれぞれ推測され、センサ出力切替手段による切替動作が制御される。
【0017】また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車両周囲警戒装置において、車両周囲の風速を検出する風速センサを更に備え、前記切替制御手段が、前記日射センサ、外気温センサ及び風速センサからの出力に基づいて、前記温体と各背景との温度関係をそれぞれ推測することを特徴とするものである。
【0018】この請求項4に係る車両周囲警戒装置では、風速センサにより車両周囲の風速が検出され、その出力が切替制御手段に供給される。そして、切替制御手段により、日射センサ及び外気温センサからの出力に加え風速センサによる出力をもとにして、検出対象である温体と各背景との温度関係がそれぞれ推測され、センサ出力切替手段による切替動作が制御される。
【0019】また、請求項5に記載の発明は、請求項2乃至4の何れかに記載の車両周囲警戒装置において、前記車両周囲の大気を背景として前記温体を検出する赤外線センサの検知距離が、前記車両周囲の路面を背景として前記温体を検出する赤外線センサの検知距離よりも短く、且つ、前記車両周囲の大気を背景として前記温体を検出する赤外線センサの垂直検知角が、前記車両周囲の路面を背景として前記温体を検出する赤外線センサの垂直検知角よりも大きいことを特徴とするものである。
【0020】この請求項5に係る車両周囲警戒装置では、検知距離が相対的に短く且つ垂直検知角が相対的に大きい赤外線センサにより車両周囲の大気を背景として温体が検出されると共に、検知距離が相対的に長く且つ垂直検知角が相対的に小さい赤外線センサにより車両周囲の路面を背景として温体が検出される。そして、これら各赤外線センサからの出力が、切替制御手段による制御に応じて、センサ出力切替手段により選択的に切り替えられる。そして、これらの赤外線センサのうちでセンサ出力切替手段により選択された赤外線センサからの出力に基づいて、車両周囲に温体が存在することを示す情報が情報生成手段により生成されることになる。
【0021】また、請求項6に記載の発明は、車両周囲に存在する同一の温体を互いに異なる背景でそれぞれ検出する複数の赤外線センサと、前記複数の赤外線センサからの出力を合成するセンサ出力合成手段と、前記センサ出力合成手段により合成された複数の赤外線センサからの出力に基づいて、車両周囲に温体が存在することを示す情報を生成する情報生成手段とを備えることを特徴とする車両周囲警戒装置である。
【0022】この請求項6に係る車両周囲警戒装置では、車両周囲に温体が存在する場合に、この温体が、複数の赤外線センサによって互いに異なる背景でそれぞれ検出される。そして、これら複数の赤外線センサからの出力は、センサ出力合成手段によって合成されてる。
【0023】センサ出力合成手段によって合成された複数の赤外線センサからの出力は、情報生成手段に供給される。そして、情報生成手段により、この合成された複数の赤外線センサからの出力に基づいて車両周囲に温体が存在することを示す情報が生成され、例えば、車両周囲に温体が存在している様子が表示器に画像表示され、或いは、車両の乗員に注意を促す警告音が発せられる。これにより、車両の乗員は、車両周囲に温体が存在することを認識することができる。
【0024】また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の車両周囲警戒装置において、前記複数の赤外線センサのうちの1つが車両周囲の路面を背景として前記温体を検出し、他の1つが車両周囲の大気を背景として前記温体を検出することを特徴とするものである。
【0025】この請求項7に係る車両周囲警戒装置では、車両周囲の路面を背景として温体を検出する赤外線センサからの出力と、車両周囲の大気を背景として温体を検出する赤外線センサからの出力とが、センサ出力合成手段によって合成される。そして、この合成された複数の赤外線センサからの出力に基づいて、車両周囲に温体が存在することを示す情報が情報生成手段により生成されることになる。
【0026】また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の車両周囲警戒装置において、前記車両周囲の大気を背景として前記温体を検出する赤外線センサの検知距離が、前記車両周囲の路面を背景として前記温体を検出する赤外線センサの検知距離よりも短く、且つ、前記車両周囲の大気を背景として前記温体を検出する赤外線センサの垂直検知角が、前記車両周囲の路面を背景として前記温体を検出する赤外線センサの垂直検知角よりも大きいことを特徴とするものである。
【0027】この請求項8に係る車両周囲警戒装置では、検知距離が相対的に短く且つ垂直検知角が相対的に大きい赤外線センサにより車両周囲の大気を背景として温体が検出されると共に、検知距離が相対的に長く且つ垂直検知角が相対的に小さい赤外線センサにより車両周囲の路面を背景として温体が検出される。そして、これら各赤外線センサからの出力が、センサ出力合成手段により合成されて、この合成された各赤外線センサからの出力に基づいて、車両周囲に温体が存在することを示す情報が情報生成手段により生成されることになる。
【0028】
【発明の効果】本発明の請求項1乃至5に係る車両周囲警戒装置によれば、複数の赤外線センサにより、例えば車両周囲の路面と車両周囲の大気といったような互いに異なる背景で車両周囲の温体が検出され、これら複数の赤外線センサのうちで、温体の温度と背景温度との温度差が大きい赤外線センサからの出力が選択されて、この選択された赤外線センサからの出力に基づいて車両周囲に温体が存在することを示す情報が生成されるので、比較的広い温度条件の下で、車両周囲に温体が存在することを示す情報を適切に生成して、車両の乗員に対して、車両周囲に温体が存在することを確実に認識させることができる。
【0029】また、この車両周囲警戒装置では、日射センサや外気温センサ、更には風速センサ等を利用すれば、車両周囲の温体と、例えば車両周囲の路面や車両周囲の大気といったような背景との温度関係の推測を精度良く行うことができ、使用する赤外線センサの選択を適切に行うことができる。
【0030】また、この車両周囲警戒装置では、検知距離が相対的に短く且つ垂直検知角が相対的に大きい赤外線センサにより車両周囲の大気を背景として温体を検出し、検知距離が相対的に長く且つ垂直検知角が相対的に小さい赤外線センサにより車両周囲の路面を背景として温体を検出するようにすれば、車両周囲に壁等の他の物体が存在する場合でも、このような物体の影響を受けることなく、大気を背景とした温体の検出や路面を背景とした温体の検出を精度良く行うことができる。
【0031】また、本発明の請求項6乃至8に係る車両周囲警戒装置によれば、複数の赤外線センサにより、例えば車両周囲の路面と車両周囲の大気といったような互いに異なる背景で車両周囲の温体が検出され、これら複数の赤外線センサからの出力が合成されて、この合成された複数の赤外線センサからの出力に基づいて車両周囲に温体が存在することを示す情報が生成されるので、比較的広い温度条件の下で、車両周囲に温体が存在することを示す情報を適切に生成して、車両の乗員に対して、車両周囲に温体が存在することを確実に認識させることができる。
【0032】また、この車両周囲警戒装置では、検知距離が相対的に短く且つ垂直検知角が相対的に大きい赤外線センサにより車両周囲の大気を背景として温体を検出し、検知距離が相対的に長く且つ垂直検知角が相対的に小さい赤外線センサにより車両周囲の路面を背景として温体を検出するようにすれば、車両周囲に壁等の他の物体が存在する場合でも、このような物体の影響を受けることなく、大気を背景とした温体の検出や路面を背景とした温体の検出を精度良く行うことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0034】(第1の実施形態)本発明を適用した車両周囲警戒装置の一構成例を図1に示す。この図1に示す車両周囲警戒装置10は、車両周囲に温体が存在する場合にその旨を検知して画像として表示し、車両の乗員に温体の存在を認識させるものであり、同一の温体を互いに異なる背景でそれぞれ検出する第1の赤外線センサ11及び第2の赤外線センサ12の2つの赤外線センサを備えている。ここで、温体とは、熱を保有して周囲環境とは異なる独自の温度を有する物体をいい、例えば人体や犬、猫等の動物がこれに相当する。
【0035】また、この車両周囲警戒装置10は、第1の赤外線センサ11からの出力と第2の赤外線センサ12からの出力とを選択的に切り替える切替回路13(センサ出力切替手段)と、この切替回路13による切替動作を制御する切替制御回路14(切替制御手段)と、切替回路13により選択された赤外線センサからの出力を信号処理して画像信号を生成する画像信号生成回路15(情報生成手段)と、この画像信号生成回路15により生成された画像信号に基づいて画像を表示する表示器16とを備えている。
【0036】更に、この車両周囲警戒装置10は、車両周囲の日射量を検出する日射センサ17と、車両周囲の外気温を検出する外気温センサ18と、車両周囲の風速を検出する風速センサ19とを備え、これら各センサ17,18,19からの出力が、それぞれ切替制御回路14に供給されるようになっている。
【0037】第1の赤外線センサ11は、例えば車両後方の死角に存在する人体等の温体を車両後方の路面を背景として検出するものであり、図2に示すように、車両20の後端側上部に路面21を見下ろす取付角で取り付けられている。この第1の赤外線センサ11としては、例えばサーモパイル型赤外線センサ等の熱型赤外線センサが用いられる。この熱型赤外線センサは、温体から放射される赤外線を吸収して熱に変換し、この熱量に応じた電気抵抗の変化等を利用して、温体からの放射赤外線量に応じたセンサ信号を出力するものである。この第1の赤外線センサ11からの出力は、切替回路13に供給されるようになっている。
【0038】また、第2の赤外線センサ12は、例えば車両後方の死角に存在する人体等の温体を車両後方の大気を背景として検出するものであり、車両20の後端側下部のバンパ近傍に、路面21が検知範囲に入らないように水平又はやや上向きの取付角で取り付けられている。この第2の赤外線センサ12としては、第1の赤外線センサ11と同様に、例えばサーモパイル型赤外線センサ等の熱型赤外線センサが用いられる。この第2の赤外線センサ12からの出力も、切替回路13に供給されるようになっている。
【0039】ここで、第2の赤外線センサ12は、図3に示すように、その検知距離L2が第1の赤外線センサ11の検知距離L1よりも短く、且つ、その垂直検知角θ2が、第1の赤外線センサ11の垂直検知角θ1よりも大きくされていることが望ましい。すなわち、第2の赤外線センサ12は、上述したように、車両20の後端側下部のバンパ近傍に水平又はやや上向きの取付角で取り付けられているので、その検知距離L2があまり大きいと、例えば車両20の後方に壁22等の他の物体が存在する場合にこの壁22等が第2の赤外線センサ12の検知範囲に含まれてしまい、その結果、背景が一様でなくなって人体等の温体の適切な検出が妨げられてしまう場合がある。また、第2の赤外線センサ12の検知距離L2を短くした場合、その垂直検知角θ2が十分な大きさとなっていないと、実効的な検知範囲が極端に狭くなって、第1の赤外線センサ11の検知範囲に存在する人体等の温体を第2の赤外線センサ12によって検知することが困難になる。
【0040】そこで、車両20の後方に存在する壁22等の他の物体の影響を排除しながら、第1の赤外線センサ11の検知範囲に存在する人体等の温体を第2の赤外線センサ12によって適切に検知できるようにするために、第2の赤外線センサ12の検知距離L2を第1の赤外線センサ11の検知距離L1よりも短くし、且つ、第2の赤外線センサ12の垂直検知角θ2を第1の赤外線センサ11の垂直検知角θ1よりも大きくすることが望ましい。
【0041】切替回路13は、切替スイッチを動作させて、第1の赤外線センサ11からの出力と第2の赤外線センサ12からの出力との何れか一方を選択し、選択した赤外線センサからの出力を画像信号生成回路15へと供給する。この切替回路13によるスイッチの切り替え動作は、切替制御回路14によって制御されるようになっている。
【0042】切替制御回路14には、日射センサ17からの出力と、外気温センサ18からの出力と、風速センサ19からの出力とがそれぞれ供給されるようになっている。
【0043】日射センサ17は、車両20の周囲環境における日射量を適切に検出できるように、例えば、車両20のインストルメントパネルの上部等に取り付けられている。また、外気温センサ18は、車両20の周囲環境における外気温を適切に検出できるように、例えば、車両20のエンジンルーム内に設けられたコンデンサの前部等に取り付けられている。また、風速センサ19は、車両20の周囲環境における風速を適切に検出できるように、例えば、車両20の車体下部等に取り付けられている。
【0044】切替制御回路14は、これら日射センサ17や外気温センサ18、風速センサ19からの出力に基づいて、検出対象である人体等の温体と、第1の赤外線センサ11により温体の背景として検出される路面、第2の赤外線センサ12により温体の背景として検出される大気との温度関係をそれぞれ推測し、その推測結果に基づいて、第1の赤外線センサ11と第2の赤外線センサ12のうち、人体等の温体をより精度良く検出できる赤外線センサはどちらであるかを判断して、切替回路13においてその赤外線センサからの出力が選択されるように、切替回路13によるスイッチの切り替え動作を制御する。
【0045】すなわち、第1の赤外線センサ11及び第2の赤外線センサ12による人体等の温体の検出精度は、人体等の温体の温度と、その背景である路面或いは大気の温度との温度差に依存することになる。したがって、人体等の温体に対する相対温度差が大きいものを背景とする赤外線センサの方が、人体等の温体をより精度良く検出できることになる。そこで、切替制御回路14は、第1の赤外線センサ11と第2の赤外線センサ12のうちで、どちらの赤外線センサの背景が人体等の温体との相対温度差が大きいかを判断し、その赤外線センサからの出力が選択されるように、切替回路13によるスイッチの切り替え動作を制御するようにしている。なお、この切替制御回路14による具体的な判断手法については、詳細を後述する。
【0046】画像信号生成回路15は、第1の赤外線センサ11と第2の赤外線センサ12のうちで、切替回路13により選択された赤外線センサからの出力を信号処理して、車両20の後方の死角の様子を画像として表示するための画像信号を生成し、表示器16に供給する。表示器16は、画像信号生成回路15から供給される画像信号に応じて駆動されることで、車両20の後方の死角の様子を画像として表示する。
【0047】具体的には、切替回路13により第1の赤外線センサ11が選択されて、この第1の赤外線センサ11からの出力が画像信号生成回路15により信号処理されて画像信号が生成され、この画像信号に応じて表示器16が駆動されると、表示器16には、例えば図4に示すように、車両20の後方の死角の様子を、路面21を背景として車両20の後端側上部から見下ろした画像が表示されることになる。一方、切替回路13により第2の赤外線センサ12が選択されて、この第2の赤外線センサ12からの出力が画像信号生成回路15により信号処理されて画像信号が生成され、この画像信号に応じて表示器16が駆動されると、表示器16には、例えば図5に示すように、車両20の後方の死角の様子を、大気を背景として車両20の後端側下部から水平或いはやや上向きに見た画像が表示されることになる。
【0048】車両20の乗員は、この表示器16に表示された画像を参照することによって、車両20の後方の死角に人体等の温体が存在する場合には、その旨を的確に認識して、運転を停止するといったような必要な措置を講ずることができる。
【0049】なお、画像信号生成回路15は、切替回路13により選択された赤外線センサからの出力を信号処理して、車両20の後方の死角に人体等の温体が存在する場合に、警告音等を発生させるための制御信号を生成するようにしてもよい。この場合、車両周囲警戒装置10は、表示器16に代えて或いは表示器16に加えて、制御信号に応じて警告音を発する警報装置を備えることになる。
【0050】この場合には、車両の乗員は、表示器16を参照していなくても、警告音を聞くことで車両20の後方の死角に人体等の温体が存在することを確実に認識することができる。
【0051】ここで、車両20の後方の死角に人体が存在する場合において、第1の赤外線センサ11と第2の赤外線センサ12のうち、どちらの赤外線センサを使用した方が人体の検出をより精度良く行えるかを切替制御回路14において判断する具体的な手法について説明する。
【0052】検知対象である人体の表面温度は、外気温センサ18からの出力をもとに推測することができる。人体の表面温度は、一般に概ね32℃程度であるが、外気温に応じて多少変動する。したがって、この値を外気温センサ18からの出力をもとに補正することによって、人体表面温度を高精度に推測することができる。
【0053】また、第2の赤外線センサ12により背景として検出される車両20後方の大気の温度(外気温)は、外気温センサ18からの出力をもとに一意に推測することができる。
【0054】第1の赤外線センサ11により背景として検出される車両20後方の路面21の温度(路面温度)は、路面乾燥時においては、主に外気温と日射量とによって決定される。すなわち、路面21が加熱される要因は、外気からの熱伝導及び太陽からの放射エネルギー(日射)であり、これらの熱量に応じて路面温度がほぼ決定されることになる。詳述すると、日陰で日射量が少ない場合には、路面の加熱要因としては外気からの熱伝導が支配的となり、路面温度が外気温とほぼ同じ温度となる。一方、日向で日射量が多い場合には、外気からの熱伝導に加えて日射量によっても路面が加熱され、路面温度は外気温に比べて高くなる。具体的には、例えば夏期における日向では、外気温が35℃程度であっても、路面温度が60〜70℃に達することもある。したがって、路面温度は、日射センサ17からの出力と外気温センサ18からの出力とをもとに演算処理を行えば、ある程度正確に推測することができる。
【0055】また、この路面温度を更に正確に推測するには、日射センサ17からの出力及び外気温センサ18からの出力に加えて、風速センサ19からの出力を用いて演算処理を行うことが有効である。すなわち、路面温度が外気温に比べて高くなっている場合、路面21からの熱が大気に放熱されて、大気の路面21に接する部分に境界層と呼ばれる路面温度に近い温度層が形成される。路面21がこの境界層に覆われていると、路面と大気との温度差がこの境界層によって緩和されるので、路面21からの放熱は抑制されることになるが、強い風が吹くと、この境界層が剥ぎ取られて路面21からの放熱が促進され、路面温度は低下する傾向にある。このように、路面温度は風速にも依存して変化することになるので、外気温及び日射量に加えて、風速センサ19により検出される風速も勘案すれば、路面温度の推測をより正確に行うことができる。
【0056】また、この路面温度を推測する際は、日射センサ17や外気温センサ18、更には風速センサ19からの出力に加えて、第1の赤外線センサ11からの出力を用いて演算処理を行うようにしてもよい。第1の赤外線センサ11は、背景として路面21を検出しているので、この第1の赤外線センサ11からの出力も利用すれば、更に正確に路面温度を推測することが可能となる。
【0057】以上のようにして人体表面温度、外気温及び路面温度がそれぞれ推測されると、これらの温度関係をもとに、人体表面温度と路面温度との温度差と、人体表面温度と外気温との温度差とのうち、どちらの温度差が大きいかの判断が可能となる。切替制御回路14は、人体表面温度と路面温度との温度差が、人体表面温度と外気温との温度差よりも大きいと判断したときは、第1の赤外線センサ11からの出力が選択されるように、切替回路13によるスイッチの切り換え動作を制御し、人体表面温度と外気温との温度差が、人体表面温度と路面温度との温度差よりも大きいと判断したときは、第2の赤外線センサ12からの出力が選択されるように、切替回路13によるスイッチの切り換え動作を制御する。
【0058】なお、路面湿潤時や路面凍結時においては、路面の水分や氷、雪の気化熱、融解熱等の影響で、路面温度を正確に推測することが極めて困難であり、人体表面温度と路面温度との温度差の把握が難しい。ただし、この場合には、日射状況等に拘わらず、人体表面温度や外気温に比べて路面温度が低くなっているので、人体表面温度と外気温との温度関係をもとにして、人体表面温度と路面温度との温度差が人体表面温度と外気温との温度差よりも大きいかどうかを、ある程度判断することができる。
【0059】ここで、路面乾燥時において想定される、人体の表面温度と路面温度、外気温との温度関係について、図6を参照し各々場合分けして更に詳しく説明する。
【0060】まず、図6中ケース1は、人体表面温度よりも外気温の方が高い場合である。すなわち、このケース1は、夏期に相当するケースである。このケース1は、外気温と路面温度との温度関係によって、更にケース1Aとケース1Bとの2つのケースに分類される。
【0061】ケース1Aは、人体表面温度よりも外気温の方が高く、且つ、外気温よりも路面温度の方が高い場合であり、夏期の日向に相当するケースである。この場合、路面と外気とのうち人体表面との相対温度差が大きいのは路面であるので、路面を背景として人体を検出する第1の赤外線センサを使用した方が、人体の検出をより精度良く行うことができる。ここで、路面の赤外線放射率は0.98程度であり、人体表面の赤外線放射率とほぼ等しくなっている。したがって、路面からの赤外線の放射エネルギー強度と人体表面からの赤外線の放射エネルギー強度の差は、これら路面及び人体表面の相対温度差に依存するものとして良い。
【0062】ケース1Bは、人体表面温度よりも外気温の方が高く、且つ、外気温と路面温度とがほぼ等しい場合であり、夏期の日陰に相当するケースである。この場合、路面と外気の人体表面に対する相対温度差はほぼ等しくなるので、第1の赤外線センサと第2の赤外線センサのいずれを使用してもよいが、変化が少なく一様な背景となる路面を背景として人体を検出する第1の赤外線センサを使用した方が、人体の検出をより精度良く行うことができると考えられる。
【0063】図6中ケース2は、人体表面温度よりも路面温度の方が低い場合である。すなわち、このケース2は、冬期に相当するケースである。このケース2は、路面温度と外気温との温度関係によって、更にケース2Aとケース2Bとの2つのケースに分類される。
【0064】ケース2Aは、人体表面温度よりも路面温度の方が低く、且つ、路面温度よりも外気温の方が低い場合であり、冬期の日向に相当するケースである。この場合、路面と外気とのうち人体表面との相対温度差が大きいのは外気であるので、外気を背景として人体を検出する第2の赤外線センサを使用した方が、人体の検出をより精度良く行うことができる。
【0065】ケース2Bは、人体表面温度よりも路面温度の方が低く、且つ、路面温度と外気温とがほぼ等しい場合であり、冬期の日陰に相当するケースである。この場合、路面と外気の人体表面に対する相対温度差はほぼ等しくなるので、第1の赤外線センサと第2の赤外線センサのいずれを使用してもよいが、変化が少なく一様な背景となる路面を背景として人体を検出する第1の赤外線センサを使用した方が、人体の検出をより精度良く行うことができると考えられる。
【0066】図6中ケース3は、人体表面温度が外気温や路面温度に近い場合である。すなわち、このケース3は、春期や秋期に相当するケースである。このケース3は、路面温度と人体表面温度との温度関係、或いは、人体表面温度と外気温との温度関係によって、更にケース3A〜ケース3Dの4つのケースに分類される。
【0067】ケース3Aは、人体表面温度よりも路面温度の方が高く、且つ、外気温が人体表面温度とほぼ等しい場合であり、春期又は秋期の日向に相当するケースである。この場合、路面と外気とのうち人体表面との相対温度差が大きいのは路面であるので、路面を背景として人体を検出する第1の赤外線センサを使用した方が、人体の検出をより精度良く行うことができる。
【0068】ケース3Bは、人体表面温度よりも路面温度の方が高く、且つ、外気温が人体表面温度よりも低い場合であり、春期又は秋期の日向に相当するケースである。この場合は、路面と外気の人体表面に対する相対温度差に応じて使用する赤外線センサを決定すればよいが、路面と外気の人体表面に対する相対温度差がほぼ等しい場合には、変化が少なく一様な背景となる路面を背景として人体を検出する第1の赤外線センサを使用した方が、人体の検出をより精度良く行うことができると考えられる。
【0069】ケース3Cは、人体表面温度と路面温度とがほぼ等しく、且つ、外気温が人体表面温度よりも低い場合であり、春期又は秋期の日向に相当するケースである。この場合、路面と外気とのうち人体表面との相対温度差が大きいのは外気であるので、外気を背景として人体を検出する第2の赤外線センサを使用した方が、人体の検出をより精度良く行うことができる。
【0070】ケース3Dは、路面温度及び外気温の双方が人体表面温度とほぼ等しい場合であり、春期又は秋期の日陰に相当するケースである。この場合には、路面及び外気の人体表面に対する相対温度差がいずれも小さく、第1の赤外線センサ及び第2の赤外線センサのいずれを使用した場合でも、人体を背景から分離することが困難であると考えられるので、動作を休止する。
【0071】ここで、以上のように構成される車両周囲警戒装置10により車両20後方の死角に存在する人体の画像を表示器16に表示する処理の流れについて、図7のフローチャートを参照して具体的に説明する。
【0072】まず、ステップS1において、車両20後方の死角に存在する人体が、第1の赤外線センサ11により車両20の後方の路面を背景として検出されると共に、第2の赤外線センサ12により車両20の後方の大気を背景として検出される。これら第1の赤外線センサ11からの出力及び第2の赤外線センサ12からの出力は、それぞれ切替回路13に供給される。
【0073】また、ステップS2において、日射センサ17により車両20の周囲の日射量が検出され、また、外気温センサ18により車両20の周囲の外気温が検出され、風速センサ19により車両20の周囲の風速が検出される。これら日射センサ17、外気温センサ18及び風速センサ19からの出力は、それぞれ切り換え制御回路14に供給される。
【0074】切替制御回路14は、日射センサ17、外気温センサ18及び風速センサ19からの出力が供給されると、これらに基づいて検出対象である人体の表面温度、車両20の後方の路面温度、車両20の後方の外気温をそれぞれ推測する。そして、まず、ステップS3において、外気温と人体表面温度との温度関係が推測され、外気温が人体表面温度よりも高く、その温度差が所定の値tよりも大きくなっているかどうかが判断される。
【0075】このステップS3において、外気温が人体表面温度よりも高く、その温度差が所定の値tよりも大きくなっていると判断されるのは、上述したケース1A或いはケース1Bに相当する場合である。したがって、この場合には、次のステップS4において、切替回路13により第1の赤外線センサ11からの出力が選択されることになる。
【0076】一方、ステップS3において外気温が人体表面温度よりも高くない、或いはその温度差が所定の値t以下であると判断されたときは、次に、ステップS5において、人体表面温度と路面温度との温度関係が推測され、人体表面温度が路面温度より高く、その温度差が所定の値tよりも大きくなっているかどうかが判断される。そして、ステップS5において、人体表面温度が路面温度より高く、その温度差が所定の値tよりも大きくなっていると判断されると、更に、ステップS6において、路面温度と外気温との温度関係が推測され、路面温度が外気温より高く、その温度差が所定の値tよりも大きくなっているかどうかが判断される。
【0077】このステップS6において、路面温度が外気温より高く、その温度差が所定の値tよりも大きくなっていると判断されるのは、上述したケース2Aに相当する場合である。したがって、この場合には、次のステップS7において、切替回路13により第2の赤外線センサ12からの出力が選択されることになる。一方、ステップS6において路面温度が外気温より高くない、或いはその温度差が所定の値t以下であると判断されるのは、上述したケース2Bに相当する場合である。したがって、この場合には、次のステップS8において、切替回路13により第1の赤外線センサ11からの出力が選択されることになる。
【0078】また、ステップS5において人体表面温度が路面温度よりも高くない、或いはその温度差が所定の値t以下であると判断されたときは、次に、ステップS9において、人体表面温度と外気温との温度関係が推測され、人体表面温度が外気温より高く、その温度差が所定の値tよりも大きくなっているかどうかが判断される。そして、ステップS9において、人体表面温度が外気温より高く、その温度差が所定の値tよりも大きくなっていると判断されると、更に、ステップS10において、路面温度と人体表面温度との温度関係が推測され、路面温度が人体表面温度より高く、その温度差が所定の値tよりも大きくなっているかどうかが判断される。
【0079】このステップS10において、路面温度が人体表面温度より高く、その温度差が所定の値tよりも大きくなっていると判断されるのは、上述したケース3Bに相当する場合である。したがって、この場合には、次のステップS11において、切替回路13により第1の赤外線センサ11からの出力が選択されることになる。一方、ステップS10において路面温度が人体表面温度より高くない、或いはその温度差が所定の値t以下であると判断されるのは、上述したケース3Cに相当する場合である。したがって、この場合には、次のステップS12において、切替回路13により第2の赤外線センサ12からの出力が選択されることになる。
【0080】また、ステップS9において人体表面温度が外気温よりも高くない、或いはその温度差が所定の値t以下であると判断されたときは、次に、ステップS13において、路面温度と人体表面温度との温度関係が推測され、路面温度が人体表面温度より高く、その温度差が所定の値tよりも大きくなっているかどうかが判断される。このステップS13において、路面温度が人体表面温度より高く、その温度差が所定の値tよりも大きくなっていると判断されるのは、上述したケース3Aに相当する場合である。したがって、この場合には、次のステップS14において、切替回路13により第1の赤外線センサ11からの出力が選択されることになる。一方、ステップS13において路面温度が人体表面温度より高くない、或いはその温度差が所定の値t以下であると判断されるのは、上述したケース3Dに相当する場合である。したがって、この場合には、第1の赤外線センサ11からの出力と第2の赤外線センサ12からの出力とが何れも選択されることなく、車両周囲警戒装置10による一連の処理が終了することになる。
【0081】上述したステップS4、ステップS8、ステップS11或いはステップS14において、切替回路13により第1の赤外線センサ11からの出力が選択されると、ステップS15において、画像信号生成回路15により第1の赤外線センサ11からの出力が信号処理されて、車両20の後方の死角の様子を路面を背景とした画像として表示するための画像信号が生成される。
【0082】一方、上述したステップS7或いはステップS12において、切替回路13により第2の赤外線センサ12からの出力が選択されると、ステップS16において、画像信号生成回路15により第2の赤外線センサ12からの出力が信号処理されて、車両20の後方の死角の様子を大気を背景とした画像として表示するための画像信号が生成される。
【0083】そして、ステップS17において、画像信号生成回路15により生成された画像信号に応じて表示器16が駆動されることで、車両20の後方に人体が存在する場合に、その様子が路面或いは大気を背景とした画像として表示器16に表示され、車両周囲警戒装置10による一連の処理が終了することになる。
【0084】以上説明したように、本発明を適用した車両周囲警戒装置10では、車両20の後方の死角に人体等の温体が存在する場合に、その人体等の温体が、第1の赤外線センサ11により路面を背景として検出されると共に、第2の赤外線センサ12により大気を背景として検出され、これら第1の赤外線センサ11及び第2の赤外線センサ12のうちで、人体等の温体と背景との温度差が大きい赤外線センサからの出力が切替回路13により選択されることになる。そして、この選択された赤外線センサからの出力に基づいて画像信号が生成され、車両20の後方の死角の様子が表示器16に表示されるようになっている。したがって、この車両周囲警戒装置10においては、比較的広い温度条件の下で、車両20の後方の死角に人体等の温体が存在することを示す画像を適切に表示して、その旨を車両20の乗員に確実に認識させることができる。
【0085】なお、以上は、本発明を適用した車両周囲警戒装置の具体的な一例について説明したが、本発明は以上の例に限定されるものではなく、要求される検出精度や仕様等に応じて、各部の構成等、適宜変更が可能である。
【0086】例えば、上述した例では、2つの赤外線センサ(第1の赤外線センサ11及び第2の赤外線センサ12)を備え、これら2つの赤外線センサからの出力を選択的に切り替えるようにしているが、3つ以上の赤外線センサにより同一の温体を互いに異なる背景でそれぞれ検出して、これら3つ以上の赤外線センサからの出力を選択的に切り換えるようにしてもよい。
【0087】また、上述した例では、車両20の後方の死角を検出範囲として、この車両20の後方の死角に存在する人体等の温体を検出するようにしているが、車両20の側方や前方を検出範囲として、この車両20の側方や前方に存在する人体等の温体を検出するようにしてもよい。
【0088】(第2の実施形態)次に、本発明を適用した車両周囲警戒装置の他の例について、図8を参照して説明する。この図8に示す車両周囲警戒装置30は、上述した第1の実施形態の車両周囲警戒装置10が、2つの赤外線センサからの出力を選択的に切り替えて、選択された一方の赤外線センサからの出力に基づいて画像信号を生成するのに対して、2つの赤外線センサからの出力を加減乗除等の演算処理により合成して、合成された2つの赤外線センサからの出力に基づいて画像信号を生成する点を特徴とするものであり、第1の赤外線センサ31と、第2の赤外線センサ32と、これら第1の赤外線センサ31からの出力と第2の赤外線センサ32からの出力とを合成する出力合成回路33(センサ出力合成手段)と、出力合成回路33により合成された2つの赤外線センサからの出力を信号処理して画像信号を生成する画像信号生成回路34(情報生成手段)と、この画像信号生成回路34により生成された画像信号に基づいて画像を表示する表示器35とを備えている。
【0089】第1の赤外線センサ31は、上述した車両周囲警戒装置10が備える第1の赤外線センサ11と同様に、例えばサーモパイル型赤外線センサ等の熱型赤外線センサよりなり、車両後方の死角に存在する人体等の温体を車両後方の路面を背景として検出するようになっている。また、第2の赤外線センサ32も、上述した車両周囲警戒装置10が備える第2の赤外線センサ12と同様に、例えばサーモパイル型赤外線センサ等の熱型赤外線センサよりなり、車両後方の死角に存在する人体等の温体を車両後方の大気を背景として検出するようになっている。そして、これら第1の赤外線センサ31からの出力と第2の赤外線センサ32からの出力は、それぞれ出力合成回路33に供給されるようになっている。
【0090】なお、この車両周囲警戒装置30においても、上述した車両周囲警戒装置10と同様に、車両の後方に存在する壁等の他の物体の影響を排除しながら、第1の赤外線センサ31の検知範囲に存在する人体等の温体を第2の赤外線センサ32によって適切に検知できるようにするために、第2の赤外線センサ32の検知距離L2を第1の赤外線センサ31の検知距離L1よりも短くし、且つ、第2の赤外線センサ32の垂直検知角θ2を第1の赤外線センサ31の垂直検知角θ1よりも大きくすることが望ましい。
【0091】出力合成回路33は、第1の赤外線センサ31からの出力と第2の赤外線センサ32からの出力とを加算乗除等の演算処理により合成して、検出対象である人体等の温体と背景とのコントラストを向上させるものである。すなわち、この出力合成回路33は、例えば、先に説明したケース1A、ケース1B、ケース2A、ケース2Bに相当する場合で、検出対象である人体等の温体の表面温度に対して路面温度や外気温の温度差が小さく、これらのコントラストが小さい場合に、第1の赤外線センサ31からの出力と第2の赤外線センサ32からの出力とを、推定される人体等の温体の位置が重なるように視野補正を行った上で加算処理する。また、出力合成回路33は、例えば、先に説明したケース3A、ケース3B、ケース3C、ケース3Dに相当する場合で、検出対象である人体等の温体の表面温度に対して路面温度や外気温の温度差が小さく、これらのコントラストが小さい場合には、第1の赤外線センサ31からの出力と第2の赤外線センサ32からの出力とを、推定される人体等の温体の位置が重なるように視野補正を行った上で減産処理する。この出力合成回路33により合成された第1の赤外線センサ31及び第2の赤外線センサ32からの出力は、画像信号生成回路34に供給される。
【0092】画像信号生成回路34は、出力合成回路33により合成された第1の赤外線センサ31及び第2の赤外線センサ32からの出力を信号処理して、車両の後方の死角の様子を、検出対象である人体等の温体と背景とのコントラストが大きい合成画像として表示するための画像信号を生成し、表示器35に供給する。表示器35は、画像信号生成回路34から供給される画像信号に応じて駆動されることで、車両の後方の死角の様子を、例えば図9に示すようなコントラストの大きい合成画像として表示する。
【0093】車両の乗員は、この表示器35に表示された画像を参照することによって、車両後方の死角に人体等の温体が存在する場合には、その旨を的確に認識して、運転を停止するといったような必要な措置を講ずることができる。
【0094】なお、この車両周囲警戒装置30においても、上述した車両周囲警戒装置1と同様に、画像信号生成回路34が、出力合成回路33により合成された第1の赤外線センサ31及び第2の赤外線センサ32からの出力を信号処理して、車両後方の死角に人体等の温体が存在する場合に、警告音等を発生させるための制御信号を生成するようにしてもよい。この場合、車両周囲警戒装置30は、表示器35に代えて或いは表示器35に加えて、制御信号に応じて警告音を発する警報装置を備えることになる。
【0095】この場合には、車両の乗員は、表示器35を参照していなくても、警告音を聞くことで車両後方の死角に人体等の温体が存在することを確実に認識することができる。
【0096】以上説明したように、本発明を適用した車両周囲警戒装置30では、車両後方の死角に人体等の温体が存在する場合に、その人体等の温体が、第1の赤外線センサ31により路面を背景として検出されると共に、第2の赤外線センサ32により大気を背景として検出され、これら第1の赤外線センサ31及び第2の赤外線センサ32からの出力が出力合成回路33により合成されることになる。そして、この合成された第1の赤外線センサ31及び第2の赤外線センサ32からの出力に基づいて画像信号が生成され、車両後方の死角の様子がコントラストの大きい合成画像として表示器35に表示されるようになっている。したがって、この車両周囲警戒装置30においては、比較的広い温度条件の下で、車両後方の死角に人体等の温体が存在することを示す画像を適切に表示して、その旨を車両の乗員に確実に認識させることができる。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地
【出願日】 平成13年6月18日(2001.6.18)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
【公開番号】 特開2003−4860(P2003−4860A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−183134(P2001−183134)