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【発明の名称】 中小口径管用水圧試験方法及びその試験器
【発明者】 【氏名】上田 隆司
【住所又は居所】大阪府大阪市西区北堀江1丁目12番19号 株式会社栗本鐵工所内
【氏名】宇野 雄一
【住所又は居所】大阪府大阪市西区北堀江1丁目12番19号 株式会社栗本鐵工所内
【氏名】長尾 行悦
【住所又は居所】大阪府大阪市西区北堀江1丁目12番19号 株式会社栗本鐵工所内
【氏名】西田 義也
【住所又は居所】大阪府大阪市西区北堀江1丁目12番19号 株式会社栗本鐵工所内
【氏名】中村 敏光
【住所又は居所】大阪府大阪市西区北堀江1丁目12番19号 株式会社栗本鐵工所内
【氏名】小川 和久
【住所又は居所】大阪府堺市上之516番地 株式会社十川ゴム堺工場内
【氏名】坂崎 隆志
【住所又は居所】大阪府堺市上之516番地 株式会社十川ゴム堺工場内
【氏名】尾田 智秋
【住所又は居所】大阪府堺市上之516番地 株式会社十川ゴム堺工場内
【課題】地中に埋設するダクタイル鋳鉄管等の継手部の水密性能を簡単かつ効率的に試験することのできる試験方法、及びそれに使用する水圧試験器を提供する。

【解決手段】膨張・収縮可能な弾性筒体と、該弾性筒体の両端部に固着されたニップルと、該ニップルの中空部を閉塞する相フランジと、これら各部材を一体として移動させる車輪とを備え、かつ前記相フランジを挿通して前記弾性筒体内に流体を注入するパイプが設けられている中小口径管用水圧試験器を用い、該試験器を被検査管内に挿入して、その弾性筒体内に流体を注入することにより膨張させ、管の内面に密着させることにより、管路の試験区間の両端部を水密に閉塞された状態として、該閉塞された試験区間の管内に充水・加圧して、その圧力変動を調べる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ダクタイル鋳鉄管等の被検査管を接続する継手部の水密性能を試験する水圧試験方法であって、複数の継手部が存在する配管における所定区間を試験区間とし、当該試験区間の一方の端部は、膨張・収縮可能な弾性筒体を有する試験器をその試験区間の手前の継手部の奥側に挿入して該弾性筒体を膨張させることにより閉塞し、他方の端部は、これと同様な試験器または他の適当な栓体を用いて所定の位置で閉塞することにより、前記試験区間の両端部が水密に閉塞された状態とし、該閉塞された試験区間の管内に充水・加圧して、その圧力変動を調べることにより、当該試験区間内の複数の継手部の水密性能を同時に試験することを特徴とする中小口径管用水圧試験方法。
【請求項2】 土圧による摩擦力によって被検査管の抜け出しを防止できる位置を試験器の挿入位置と決め、この挿入位置に試験器を挿入して水圧試験を行う請求項1に記載の中小口径管用水圧試験方法。
【請求項3】 ダクタイル鋳鉄管等の被検査管を接続する継手部の水密性能を試験する水圧試験器であって、膨張・収縮可能な弾性筒体と、該弾性筒体の両端部に固着されたニップルと、該ニップルの中空部を閉塞する相フランジと、これら各部材を一体として移動させる車輪とを備え、かつ前記相フランジの中空部を通して前記弾性筒体内に流体を注入するパイプが設けられていることを特徴とする中小口径管用水圧試験器。
【請求項4】 相フランジに、当該水圧試験器が挿入される管の奥側に水を供給する充水パイプと、当該充水パイプの外側に設けられ前記管の奥側の残留空気を外部に排出するための排気パイプとで構成される二重管が挿通されている請求項3に記載の中小口径管用水圧試験器。
【請求項5】 相フランジによって中空部が閉塞される突出部を有するニップルを弾性筒体の開口部に挿入し、その外側に剛性の高いソケットを当てがった状態で、ニップルの内側よりニップルを前記ソケットに密着させるように押し広げて弾性筒体に固着する請求項3または4に記載の中小口径管用水圧試験器。
【請求項6】 相フランジの外面側には押圧移動用の棒体を連結する連結部が設けられ、該棒体は複数本継ぎ合わせ可能に設けられている請求項3乃至5のいずれかに記載の中小口径管用水圧試験器。
【請求項7】 弾性筒体内に注入された流体により該弾性筒体が膨張させられる際に、挿入方向前側の端部に設けられている部材が軸方向に移動可能である請求項3乃至6のいずれかに記載の中小口径管用水圧試験器。
【請求項8】 二重管の外周部に、弾性筒体の端部に設けられている部材の移動範囲を限定する段部が設けられている請求項7に記載の中小口径管用水圧試験器。
【請求項9】 挿入方向前側の相フランジの摺動部に弾性筒体内の流体の漏れを防止するOリングが設けられている請求項7又は8に記載の中小口径管用水圧試験器。
【請求項10】 伸縮可能な耐震継手の収縮代となる挿し口先端部と受口奥端部との間の空間部に着脱可能なスペーサが設けられ、試験時に当該スペーサを前記空間部に嵌合することにより、前記空間部の収縮を規制できるように構成されている請求項1乃至9のいずれかに記載の中小口径管用水圧試験機。
【請求項11】 伸縮可能な耐震継手の収縮代となる挿し口先端部と受口奥端部との間の空間部に、試験区間に負荷された水圧による試験器の移動を防止する機能を有する着脱可能なスぺーサを設けた請求項7乃至9のいずれかに記載の中小口径管用水圧試験機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地中に埋設するダクタイル鋳鉄管等の継手部の水密性能を試験する試験方法、及びそれに使用する水圧試験器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ダクタイル鋳鉄管等を地中に埋設して管路を形成する場合は、所定の長さを有する複数の管を種々の継手を用いて互いに接合していて、管の接合を行った後には当該継手部の水密性能を試験(検査)を行っている。
【0003】上記水密性能の試験は、人が中に入ることのできる大口径(口径800mm以上)の管の場合は、接合作業が終了した後に管内に人が入り、テストバンドと称する公知の水圧試験器を用いて、各継手の位置で当該テストバンドを管内面に人力で押し広げて密着させた状態で水圧試験を行い、接合の不具合による漏水の有無を検査していた。
【0004】しかしながら、この試験法は、テストバンドを該当する管の継手部にセットするために人が管内に入らなければならないので、口径800mmよりも小さい中小口径の管に対しては試験を行うことができなかった。このため、管内に人が入れない口径700mm以下の管では、全長または所定の区間の配管および埋め戻し・舗装復旧作業が終了した後、試験区間の管路の両端部に栓をして閉塞し、その区間に充水・加圧して水圧試験を行っている。
【0005】また、直管だけでは管路の布設が困難な箇所では、曲がり管やT字管等の異形管を多く用いて管路を布設することになる。図9はこの異形管を用いた配管の1例を表すもので、管路の布設延長上に、すでに埋設物等Mが存在する場合は、同図に示されているように、当該埋設物を避けるようにして配管される(伏せ越し配管)。このような異形管回りでは不平均力に対する不適切な処置や接合の複雑化等により漏水が発生することがあり、より厳密な水圧試験を行うことが望まれる。
【0006】上記のように、管内に人が入れない口径(700mm以下)の場合、継手部の水密性を確認するために、所定の区域の配管及び埋め戻し・舗装復旧作業が完了した時点で、当該区域のすべての管内に充水・加圧することにより水圧試験を行って判断していたが、漏水が発見された時にどの位置の継手部で漏水があったのかを確認することができず、漏水箇所の特定には、掘削、復旧等の多大な労力を必要としていた。
【0007】また、図16に示すように、掘削箇所Dに出ている管100の受口に栓Sを取り付け(挿し口に取り付ける場合は、当該挿し口に受口部を有する継輪Rを接合し、該継輪の端部に栓をする必要がある)、管内に充水して水圧を負荷するため、栓Sには水圧による不平均力PA(P:試験水圧、A:管の断面積)が働き、継手部Jで管100が抜け出そうとする。この抜け出しは、管100への土圧による摩擦力で防止することが期待されるが、不平均力に対して抵抗する摩擦力が働くのは図のX部分のみとなるので、不平均力の方が大きくなり、継手部の抜け出しが起こることが多かった。これを防止するため、図16に示すように、反力杭Kを打って管を押えたり、掘削背面に反力を取る設備(図示せず)を設けたりする必要があり、そのために施工が煩雑となるほか、工期の長期化、コスト増大等の問題が発生していた。
【0008】特に、図9に示すような掘削箇所Dが両方にある場合は、掘削箇所Dに受口が出ている側では栓Sを取り付けて閉塞し、掘削箇所に挿し口が出ている側では栓を直接取り付けることができないため継輪Rを用いて栓Sを取り付けることとなるので、管の抜け出しが2箇所で発生することとなり、上記反力杭等を設けることによる煩雑さが一層大きくなっていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したような問題を解決するために、例えば特願2000−296249号公報に開示されているように、継手ごとに水圧試験を行なう試験方法が提案されている。しかしながら、先に述べたように、直管だけでは管路の布設が困難な箇所では、曲がり管やT字管等の異形管を多く用いて管路の布設が行われることになるため、そのような試験方法では、異形管部が連続している場合や、曲がり角度が鋭角(45度以上)の場合に、水圧試験ができないという可能性がある。
【0010】そこで本発明は、管内に人が入れない口径すなわち口径700mm以下の管の場合に、直管、すべての異形管を対象として、長い距離にわたって1回の試験で継手部の良否を判定することができる水圧試験方法、及びそれに使用するに適した水圧試験器を提供することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明はつぎのような構成とした。すなわち、請求項1に記載の中小口径管用水圧試験方法は、ダクタイル鋳鉄管等の被検査管を接続する継手部の水密性能を試験する水圧試験方法であって、複数の継手部が存在する配管における所定区間を試験区間とし、当該試験区間の一方の端部は、膨張・収縮可能な弾性筒体を有する試験器をその試験区間の手前の継手部の奥側に挿入して該弾性筒体を膨張させることにより閉塞し、他方の端部は、これと同様な試験器または他の適当な栓体を用いて所定の位置で閉塞することにより、前記試験区間の両端部が水密に閉塞された状態とし、該閉塞された試験区間の管内に充水・加圧して、その圧力変動を調べることにより、当該試験区間内の複数の継手部の水密性能を同時に試験することを特徴としている。その際、試験機の挿入位置を調整することにより、最小限の土被りのみ埋め戻しすることで試験することができるので、配管工事中であっても、既に接合した部分の確認が容易に可能で、漏水箇所の特定も比較的容易に行える。よって、漏水が発見された際の手戻り作業も最小限に抑えられる。
【0012】また、請求項3に記載された中小口径管用水圧試験器は、ダクタイル鋳鉄管等の被検査管を接続する継手部の水密性能を試験する水圧試験器であって、膨張・収縮可能な弾性筒体と、該弾性筒体の両端部に固着されたニップルと、該ニップルの中空部を閉塞する相フランジと、これら各部材を一体として移動させる車輪とを備え、かつ前記相フランジを挿通して前記弾性筒体内に流体を注入するパイプが設けられていることを特徴としている。
【0013】上記相フランジには、当該水圧試験器が挿入される管の奥側に水を供給する充水パイプと、前記管の奥側の残留空気を外部に排出するための排気パイプとを二重管として挿通しておくのが好ましい。また、相フランジの外面側には押圧移動用の棒体を連結する連結部を設けておくのが好ましく、この押圧移動用の棒体は所定長さのものを複数本継ぎ合わせ可能としておくのが好ましい。前記相フランジと弾性筒体の固着方法としては、相フランジによって閉塞される中空部が形成された突出部を有するニップルを設け、該ニップルを弾性筒体の開口部に挿入した状態で該ニップルの外側に剛性の高いソケットを当てがって、該ニップルの内側から該ニップルをソケットに密着させるように押し広げて弾性筒体に固着するのが好ましい。さらに、弾性筒体内に注入された流体により該弾性筒体が膨張させられる際に、挿入方向前側の端部に設けられている部材が軸方向に移動可能であるようにするのが好ましく、この場合、二重管の外周部に、弾性筒体の端部に設けられている部材の移動範囲を限定する段部を設け、挿入方向前側の相フランジの摺動部には弾性筒体内の流体の漏れを防止するOリングを設けておくのが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面に表された本発明の実施の形態に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
【0015】図1は、本発明にかかる中小口径管用水圧試験器の1例を表すもので、この水圧試験器1は被検査管100内に挿入されている。図1における矢印は挿入方向を表すもので、この管100は、試験器1の挿入方向前側の管と後側の管が継手部Jにより接続されている。継手部Jは前側の管の受口102に後側の管の挿し口101を挿入して水密ゴム104を介装して接続し、該水密ゴムを押し輪105、ボルト・ナット106で押し付けることにより継手部の水密性を確保している。なお、前側の管が受口、後側の管が挿し口の例について説明するが、これとは逆の場合、すなわち前側の管が挿し口で後側の管が受口の場合も当然実施できる。また、管の継手部の構造には種々のものがあり、図示例のもの以外に水密ゴムを採用する他の構造のものでもよい。
【0016】水圧試験器1は、弾性筒体2を備えている。図示例の弾性筒体2はゴム製ホースであり、内部に流体(空気、水等)を入れることにより直径方向に膨張させることができる。なお、前記弾性筒体2であるゴムホースは、ワイヤー等を埋設した材質で補強されており、高圧にも耐え得るものとなっている。
【0017】弾性筒体2の両端部にはニップル15,15が取り付けられている。ニップル15の外側端部には、当該試験器の半径方向に突出する突出部16が円周方向に沿って設けられており、内側端部は直径が絞られて嵌合部となっていて、その外周部にシール部(図示例では段差状となっている)17が形成されている。前記突出部16の中央部には、ニップル15の内部と連通する円形の中空部16aが形成されている。なお、ニップル15は、上記嵌合部を弾性筒体2の開口部に挿入し、その外側をソケット19とで締め付けて固定している。
【0018】上記した弾性筒体2の固定方法は、弾性筒体にソケット19を預け入れた状態で挿入しておき、弾性筒体の開口部にニップル15を嵌め込んだ後、一般的な内筒拡大方式によってニップルの内側端部(シール部)17を押し広げて、弾性筒体2をソケット19とニップル15のシール部17とによって挟み込む。
【0019】上記ニップル15の突出部16には、当該突出部の中空部16aを外側から閉塞する相フランジ20がカップリング21によって取り付けられている。相フランジ20とニップル15の突出部は互いに対向する面で接触し、ニップル15の外側部分がテーパ状となっていて、図3に示すように二つ割りのカップリング21の内面に設けられた溝21aに嵌め込まれている。この溝21aに前記突出部16と相フランジ20を併せて嵌め込み、カップリング21に設けられたねじ穴21cにねじ21bを締め込むことによって、テーパ部の楔効果により両者が締め付けられる。なお、相フランジ20とニップル15の突出部端面には、後述する弾性筒体内に圧入される流体が漏れないようにOリング22が介装される。この点は挿入方向前側のフランジも後側のフランジも同様である。相フランジ20には、ブラケット25が突設されていて、該ブラケットに移動用の車輪26が取り付けられている。車輪26は左右に対をなすように設けられているが、これを図1に示すように前後に一組づつ、計8個設けておけば、被検査管である鋳鉄管等の受口と挿し口との間にあらかじめ隙間のある耐震管継手の場合にも、この隙間に車輪が落ち込むことなく移動することができるので、試験器の円滑な挿入・抜き出しが可能となる。
【0020】挿入方向後側の相フランジ20には、該フランジを貫通するパイプA,Bが設けられている。パイプAは弾性筒体内に流体を充填するためのものであり、相フランジの下方位置に設けられている。パイプBは挿入方向後側の相フランジ20のほぼ中央を貫通しており、弾性筒体内に挿通されて、さらに挿入方向前側の相フランジ20のほぼ中央を貫通している。
【0021】前記したパイプBは両端部が閉塞されており、該パイプ内は密閉されているが、後述する試験区間の管内へ充水するためのパイプCがその両端部を貫通してパイプB内に挿通されていて、両パイプは二重管構造となっている。また、試験区間内の残留空気を外部に排出するために、パイプBの前側の端部には排気管Fが取り付けられており、該排気管からパイプBとパイプCの隙間を通って挿入方向後側のパイプBに設けられた通気口29より排出される。なお、挿入方向前側のパイプCの端部には、下向きに屈曲してほぼ管底まで達する吐出管Eが取り付けられ、前記排気管Fは上向きに屈曲してほぼ管の天上部まで達するように取り付けられている。
【0022】上記排気管Fの先端の開口部は、口径が異なる管に対し試験を行う場合に、前記開口部より試験区間内に充水した水が入らないようにするため、水位(水面の高さ)に応じて高さが変わるように構成しておくのが好ましい。このような構造としては、図4に示すようなものがある。図4(a)に示すものは、前記開口部50に伸縮可能な蛇腹式の管もしくは可撓性を有する管からなる伸縮管51を取り付け、その先端部に設けた可動管52にフロート53を取り付けたもので、水位が上がるとフロートの浮力により開口部も上昇する。このように、開口部が上下するようにしておくと、試験される管の口径が変わっても、常に排気管(図示例では可動管52)の先端が水面上に位置するため、水が入り込みにくく、試験区間内の排気が可能となるのである。また、図4(b)に示すものは、排気管Fの上部外周部に沿って上下動する防水管55を取り付けたもので、排気管Fの上端部と中間部には該防水管55の上下動範囲を規制するストッパー56,57が設けられている。図中の58はシール部材、59はフロートである。この例では、水位が上がると防水管55がフロートによって持ち上げられ、排気管F内への水の流入を防止する。
【0023】挿入方向前側の相フランジ20、ニップル15、カップリング21等の各構成部材は、一体としてパイプBに沿って所定範囲内で前後移動可能となっている。パイプBの外周部には、上記各構成部材の移動のための範囲を決める段部28が設けられ、挿入方向前側の先端部にはフランジ23が溶接等によって固着されて上記移動を規制している。したがって上記前側の各部材の移動範囲は図のLで示す範囲である。
【0024】弾性筒体2内に流体を充填することにより、該筒体が直径方向に膨張することになるが、その膨張の際には、該膨張分だけ軸方向の長さが短くなろうとするので、双方の相フランジ20,20をパイプBに固定しておくと、筒体が十分に膨張できなくなる。このため、上記のように、パイプBの段部よりも挿入方向前側の外径を小さくし、弾性筒体2の膨張に応じて挿入方向前側の相フランジ20が追従し、軸方向に移動できるようにしているのである。挿入方向前側の相フランジ20とパイプBとの間にはOリング22が介装されており、弾性筒体2内の流体が漏れ出さない構成となっている。なお、挿入方向後側の相フランジとパイプBとは溶接等によって固着され、動かないようになっている。このため、パイプBは、当該試験器を管内に挿入する時に、前側の相フランジ等の各構成部材を押す役割も担うことになる。
【0025】挿入方向後側の相フランジ20には、移動用の操作具である棒体(竿)30を連結するための連結部材32が突設されている。この連結部材の先端部にはメネジを設けたネジ筒33が一体に設けられており、棒体30の先端部に設けたオネジ部をこのネジ筒33に螺着することにより、当該棒体30を連結することができる。なお、棒体(竿)30は定尺品であり、これをネジ部を有するカップリングスリーブを用いて複数本継ぎ足して使用することもできる。ダクタイル鋳鉄管の場合、中小口径管では定尺が4〜6mであるから、上記棒体の長さを1.0〜1.5mとすれば、複数本継ぎ足せばよいことになる。なお、掘削箇所に寸法的な制限がなく、挿入距離が短い場合は、棒体30の長さを長くして1本の棒体で試験器を進退させるようにしてもよい。また、前記連結部材32は、試験器を進退させることができればよいので、その取り付け位置は図示例に限らず、他の適当な位置でもよい。
【0026】次に、この水圧試験器1の使用法について説明する。試験に際しては、試験器1を試験区間の一方の端部まで挿入するとともに、試験区間の他方の端部となる管内部にも同様な試験器1を挿入して、両試験器で試験区間を挟む状態とする。なお、試験区間におけるどちらか一方の端部は、適当な栓体を管に挿入して密閉しておいてもよい。試験器1の挿入方向後側の相フランジに設けられているパイプAに圧力計40を取り付けた給気用のバルブ35付のホースを接続し、該バルブを開いてゴム製の弾性筒体2内に空気を充填する。これにより、弾性筒体2は図2に示すように膨張し、被検査管100の内周面に圧着する。空気を充填した後は給気用のバルブ35を閉め、一定圧を保つ。図示例の試験器1は、弾性筒体2内に空気を圧入するものとなっているが、この他に、弾性筒体2を充水によって膨張させるように構成することもできる。この場合は、図1に破線で示すように、相フランジ20を貫通するパイプGを該フランジの上部位置にもう1本設け、弾性筒体内の残留空気を外部へ排出させながら充水を行うことによって試験を行うことができる。
【0027】一方、上記試験区間内へのパイプCに圧力計42付の給水用のパイプ(またはホース)を接続し、そのバルブ36を開いて挿入方向前側の相フランジ20よりも前の試験区間に充水する。この時、通気口29にはバルブ41付の通気管を接続し、当該バルブは開いておく。これにより試験区間の管内に水が次第に充水され、それにつれて管内に残留する空気が通気管を通って外部に排出される。なお、管内が殆ど充水されたら通気口29のバルブ41を閉じる。
【0028】この状態で、管内にさらに水を管内が所定圧力となるまで加圧充水し、所定圧力に達したらバルブ36を閉じ、充水を停止してそのまま所定時間保持する。そして、この間の水圧変化を調べることにより、両試験器若しくは栓体で挟まれた試験区間にある継手部Jの水密ゴム104の部分からの漏水状態を確認するのである。所定量の水圧変化がなければ漏水がないものとして試験を終了する。また、所定量以上の水圧変化がある場合は、試験区間内のいずれかの継手部Jにおいて漏水があると判断される。
【0029】水圧試験が終了すると、パイプC側のバルブ36と通気口側のバルブ41を開放して管内の水を排水し、さらに水圧試験器1の弾性筒体(ホース)2内の空気をバルブ35を開いて排出し、当該弾性筒体を収縮させる。なお、弾性筒体2内に充水する方法によって膨張させる場合でも、パイプAが相フランジ20の下方に設けられているため、試験終了後に弾性筒体内に水が殆ど残らない。上記空気抜き、充水、排水等は、管後方に設置したポンプ(図示を省略)等を利用して行えばよい。
【0030】つぎに、水圧試験を行う具体例について説明する。図7は、本発明の水圧試験器1を使用して水圧試験を行っている状態を表す一部断面図である。同図(a)は、開削工法により管路を布設した後に、掘削箇所Dに出ている管100(A)の挿し口と前側の管100(B)の受口が接合される継手部J’の奥側に水圧試験器1を配置して試験を行う例を表しており、水圧試験器1は、移動用の棒体30により設置位置まで挿入される。この状態で水圧を負荷すると、水圧試験機1には水圧による不平均力PAが作用することになるが、それに抵抗する土圧による摩擦力が図のY部分に作用することによって、管の抜け出しが抑制される。
【0031】図7(a)の方法よりも埋め戻す土の量を少なくしたい場合は、図7(b)に示すように、さらに前方の管100(C)に試験器をセットして水圧試験を行えばよい。このようにすると、水圧による不平均力PAに抵抗する土圧による摩擦力が図のZ部分に作用することになるので、図7(a)に比べて、管1本分(Z−X)の摩擦力が作用することになり、埋め戻す量が少なくても抜け出しの発生を抑えることができる。
【0032】表1は、土圧による摩擦力が見込める管の本数と土被りの関係を、管径ごとに導き出したものである。例えば、呼び径150mmの管について説明すると、通常、水圧試験の試験水圧は0.5MPaとされ、当該試験水圧で5分間経過後に0.4MPa以上の水圧が保持されていれば合格としてよいことになっている(「水道施設設計指針2000」)ので、図7(a)に示す位置で試験する場合は、埋め戻しを0.7m見込めば管の抜け出しの発生を回避できる。さらに埋め戻し量を少なくしたい場合には、図7(b)に示す位置で水圧試験を行えばよい。この場合だと、0.3mまで埋め戻しを減らすことが可能となる。このように、埋め戻しを少なくすることができるから、配管布設工事中の試験時に漏水が発生しても掘り返す土量が極めて少なく、直ちに修復することができる。なお、ここで用いた計算式は、日本水道協会発行の「水道施設設計指針2000」の離脱防止金具による異形管部の防護方法に準拠しているもので、各数値は一般に使用される値を用いている。
【0033】
【表1】

【0034】水圧試験中における管の抜け出しを防止する方法としては、上述のとおり、埋め戻しによる摩擦力の調整と、試験器を挿入する位置による摩擦力の調整の2種類の方法がある。このため、防護設備が不要であるとともに、布設現場や管径、開削深さ等の条件が変わっても、その状況にうまく対応して試験を行うことができる。試験に際しては、正規の埋め戻しを行わなくてもよいので、埋め戻し量が少なくてすみ、仮に埋め戻し後に漏水が発覚しても再度掘り起こさなければならない量が少なく、短時間で漏水事故を解消できる。
【0035】図8は上記と異なる例を表すもので、異形管部を含む管路(工区)に本発明を適用した例を示すものである。この例では、図示のように、2箇所の掘削箇所D,Dにおいて、端部が出ている管(次の接合を行うため)と試験器挿入方向の前方にある管との継手部よりも前方に試験器1をセットして管路を閉塞することにより、異形管であっても水圧試験を行うことが可能である。
【0036】上記図8に示す試験方法で水圧試験を行った結果、漏水が発生した場合の対処について説明する。この異形管を含む管路では、不平均力による管の抜け出しを防ぐため管路布設後は埋め戻しを行う必要がある。上記と同様に呼び径150mmの管の場合について説明すると、試験水圧を0.5MPa負荷して試験を行うので、埋め戻しは0.7m行えば充分である。そのため、土被りの標準とされる1.2mに対しては、約6割の埋め戻しですむことになる(浅層埋設の場合は異なる)。ここで仮に漏水が発生した場合、図の継手k以外については、従来の方法(例えば特開2000−296249号参照)で試験を行えるので、それぞれの継手部について漏水の確認をすることができる。これらの継手部で漏水が確認できなかった場合は、継手部kで漏水していると判断でき、この部分だけを掘り返せばよい。したがって、全長にわたって掘り返す必要がなく、掘り返す深さも0.7mですむため時間がかからない。
【0037】図9は、さらに異なる実施形態例を表すもので、管路の布設延長上にすでに埋設物M等が存在する場合は、図示のように、埋設物を避けるようにして配管される(いわゆる「伏せ越し配管」)。この場合でも、図8の場合と同様に試験器1をセットするだけで、水圧試験を行うことができる。従来の試験法では、管の受口側には栓Sを、挿し口側では継ぎ輪Rを用いて栓Sをそれぞれ取り付けるため、セット、解体等の必要があるが、本発明ではその必要がなく、また、摩擦を期待できる延長部分が管1本分(Y−X)だけ長いため、不平均力による抜け出しの心配もない。
【0038】次に、管路の形成においては、近年管路自体にも耐震性が要求されるようになり、この要求を満たす管継手として、例えば図17に示すようなNS形管継手等の耐震継手200が使用されるようになっている。このNS形管継手200は、挿し口201の先端と受口202の奥端面202aとの間に収縮代tが設けられており、挿し口突起201aとロックリング203との間には伸長代sが設けられていて、地震による大きな外力が作用した時は、これら伸縮代(収縮代tと収縮代s)の分だけ伸縮できるようになっている。大きな引き抜き力が作用した時は、挿し口突起201aがロックリング203に係合するので、管の逸脱が防止される。
【0039】本発明では、継手部の奥側に水圧試験器1を配置し、検査区間に充水して試験を行うが、このとき、水圧による不平均力PAが当該試験器に作用し、管が抜け出し方向の力を受ける。この不平均力に対しては、土圧による摩擦力によって抵抗し、管の抜け出しを防止するようになっている。しかしながら、継手部Jが上記耐震継手によって構成されている場合は、不平均力が土圧による摩擦力を超えてしまうと、試験器を設置している管100(図7参照)が不平均力の作用によって掘削箇所D側に移動し、挿し口201先端が受口奥端部202aに当接して、耐震性が損なわれる懸念がある(図16の鎖線参照)。
【0040】このような懸念がある場合は、水圧がかかる前に挿し口201の先端と受口奥端部202aとの間に間隔保持用のスペーサを介在させて、伸縮代を確保した状態で試験を行うのが望ましい。図10乃至図13はこの例を表すもので、挿入方向後側に設けた車輪26を取り付けている左右1対のブラケット25間に2枚のプレートからなるフレーム70を設け、該フレームに昇降装置72を設けて、この昇降装置にスぺーサ75を取り付けている。図示例の昇降装置72は、伸縮自在なフレキシブルチューブ73の外周部に収縮方向に作用するコイルバネ74を設け、該フレキシブルチューブ73の下端部を閉塞してスペーサ75を取り付けたもので、常時はコイルバネ74の作用でフレキシブルチューブ73が収縮し、スぺーサ75が管内面から引き上げられているが、フレキシブルチューブ73に空気、水等の流体を圧入すると、その圧力により該フレキシブチューブが伸長してスぺーサ75が下降し、前記挿し口201先端と受口奥端部202aとの間隔部Mに嵌り込むようになっている。スペーサ75の前後長さは、この間隔部Mの長さと同等以下とするが、当該間隔部Mへの挿入に支障が生じない限り、前後長を長くしておくのが継手部の収縮代を維持するためには好ましい。
【0041】この場合、スペーサ75がうまく挿し口201先端と受口奥端部202aとの間に嵌り込むためには、スペーサ75を下降させるとき、該スペーサが前記挿し口201先端と受口奥端部202aとの間隔部の直上部に位置していなければならない。すなわち、スペーサを下降させる時に該スペーサの位置が上記間隔部にあることを確認してからスペーサを下降させる必要がある。このようなスペーサ下降位置検出方法としては、種々の方法が考えられるが、図10に示すように、水圧試験器1に設けられている移動用の車輪26の落ち込みを利用するのが便利である。
【0042】すなわち、図1の実施形態では、水圧試験器1の進行方向後側に、管の中心線を中心とする同心円上に設けられた左右の車輪の対が前後に2組(後側の車輪は鎖線で表されている)設けられているが、図10乃至図13に示す実施形態では、水圧試験器1の後側には左右1対の車輪のみが設けられている。そして、上記左右の車輪26の軸同士を結ぶ中心線C1 、フレーム70の前後方向の中心線C2 、スペーサ75の前後方向の中心線C3 が、管100の中心軸を中心とする同心円上に位置するように配置されているため、車輪26の中心とスペーサ75の前後中心とが同一線上にある。
【0043】図12は及び図13は、水圧試験器1の移動時の状況を表すもので、これらの図において、(a)に示す段階では車輪は挿し口201の内面上にあり、スペーサ75も管内面から持ち上げられている。この状態から水圧試験機1が前進すると、(b)に示すように、車輪26が挿し口201の先端と受口奥端部202aとの間隔部Mにさしかかって、若干下降する。この状態でもスペーサ75は持ち上げられた状態にある。水圧試験機がさらに前進すると、(c)に示すように車輪26が間隔部Mに落ち込む。この落ち込みは管100の外側でも感知できるので、このとき昇降装置を操作して、スペーサ75を下降させればよい。車輪の中心とスペーサの前後方向の中心とは平面視で一致しているので、スペーサ75はうまく間隔部Mに嵌り込み、継手の収縮を規制することができるのである。
【0044】上記昇降装置は、油圧シリンダ等のアクチュエータ(油圧ホースを外部まで引き出す)を利用してもよいが、図示例のように、伸縮自在なフレキシブルチューブを用いるのが構造的に簡単である。この昇降装置用の圧力流体としては、水圧試験器1の弾性筒体2内に供給する空気、水等を利用するのが便利である。また、スペーサの昇降をワイヤーによる外部操作で行うようにしてもよい。なお、スペーサとしては、水圧試験の加圧時に継手の収縮を規制できるものであればどのような形状のものでもよい。さらに、図示例では、進行方向後側の車輪を左右1組(側面視で1個)としたが、継手部の間隔部Mを検出できる装置を別途設けておけば、車輪の対を前後2組設けておいてもよい。
【0045】試験終了後は、昇降装置を作動させてスペーサ75を間隔部Mから取り出し、試験器1を回収すればよい。このとき、試験水圧によってスペーサ75が挿し口201と受口102の間に噛み込まれて、昇降装置の作動では抜き取りができなくなる恐れがあると仮定しても、試験終了後は管内の水を排水するので、試験圧がかからなくなるので、スペーサ75を容易に抜き取ることができる。
【0046】なお、この抜き取りをさらに容易にするためには、図14に示すような装置を設けておくのが好ましい。この装置は、前記左右1対のブラケット25間に2枚のプレートからなるフレーム70を設け、該フレームに昇降装置72を設けて、この昇降装置にスぺーサ75を取り付けている点で、上記装置と同じである。この昇降装置72は、フレーム70と一体に設けたシリンダ76の内部に収縮方向に作用するコイルバネ74を設け、該コイルバネの下端部には、外周部にOリングを設けたピストン77を取り付けている。このピストン77の下側には第2のシリンダ78が一体に設けられ、該シリンダ78の下部には横向きのシリンダ78aが一体に設けられている。横向きのシリンダ78aの内部には、収縮方向に付勢されたコイルバネ74’が設けられ、該コイルバネ74’の両端部に横向きピストン79a,79aが取り付けられている。このピストン79a,79aには、ロッド79b,79bを介してスペーサ79,79が取り付けられている。上記2個のコイルバネ74,74’のバネ定数は、昇降用のコイルバネ74の方が拡縮用のコイルバネ74’よりも小さく設定されている。バネ定数に差を設けているのは、後述するホースh,h’からの空気、水等の流体の圧入を同じ供給管(バルブ35付ホース等)から分岐させて設けた場合に、シリンダ77の昇降とスペーサ79の拡縮を時間差をつけて作動させるためである。ただし、ホースh,h’からの供給を独立して行うものとするのであれば、バネ定数に差を設ける必要はない。なお、駆動用の水または空気等の流体を外部から供給するホースh’が前記シリンダ76に取り付けられており、また、シリンダ78への貫通孔77aが設けられているピストン77には、バネ74内を挿通するホースhが取り付けられている。さらに、前記シリンダ78の下部には、前記横向きのシリンダ78a内に連通する通孔78bが設けられている。
【0047】この装置は、常時は図14(a)に示すように、コイルバネ74の作用によりスペーサ79を有するシリンダ78aが管内面から引き上げられ、1対のスペーサ79,79がコイルバネ74’の作用で、シリンダ78aの端面に当たるまで引き込まれた状態となっている。この状態で、上記空気、水等の流体がホースh’を通して圧入されると、圧力が上昇し、図14(b)に示すように、コイルバネ74に抗してピストン77を押し下げるので、スペーサ79を支持するシリンダ78aが下降し、挿し口201先端と受口奥端部202aとの間隔部Mに入り込む。次に、ピストン77に取り付けたホースhにより、ピストン77の貫通孔77aを経てシリンダ78内に流入した流体により、ピストン79a,79aがコイルバネ74’に抗して押し出され、スペーサ79,79を上記間隔部一杯に広がるように両側に押し出すので、この状態で不平均力PAが作用しても伸縮代は維持されるのである。なお、ホースhをフレキシブルチューブとしておけば、シリンダ77の昇降に追従することが可能である。また、コイルバネ74と74’のバネ定数を変えているので、同圧で水又は空気等の流体を外部から供給してもピストン77が先に降下し、スぺーサ79がその後に広げられる。なお、ホースhは、図14に示す装置外部に設けてもよく、ピストン77の昇降、スペーサ79の拡縮が行われるものであれば、図示した構成にかかわらず、いかなる態様であっても構わない。
【0048】試験が終了して、スペーサを抜き取るときは、上記と反対の作用となる。すなわち、両側のスペーサ79,79が元通り収縮し、次にコイルバネ74の作用により、ピストン77と一体のシリンダ78,78aが持ち上げられる。このため、スペーサ79,79が上記間隔部Mから容易に抜き取られるのである。
【0049】上記説明では、スペーサを伸縮代の維持用に使用する点について説明したが、このようなスペーサを円周方向に数か所設けておくことにより、水圧による不平均力PAが作用したときに試験器が移動するのを防ぐことができる。試験中の水圧による不平均力には、試験器の弾性筒体が膨張して管内面に密着することにより生ずる摩擦力で対抗するが、当該摩擦力のみでは対抗しきれない場合でも、上記スペーサが間隔部Mに嵌合することにより移動を阻止することができる。すなわち、金属等の高強度材料で作られているスペーサは、試験器の不平均力による移動を防止する移動阻止突起として機能するのである。このように、移動阻止突起として機能するスペーサを設けておくと、試験器の摩擦力は小さくてすむので、試験器自体の長さを短くすることができる。
【0050】次に、図15は、上記とさらに異なる実施形態を表すもので、この例では、車輪26自体を継手部の間隔を保持するためのスペーサとして利用するようになっている。この場合、進行方向後側の車輪は、左右1対のものを前後2組設け、試験器1の後側を合計4個の車輪で支持するようになっている。このうち前側の車輪26は、コイルバネ80等のサスペンション装置で上下移動可能に支持されており、移動中は当該コイルバネ80によって下向きに付勢されている。このため、走行は円滑な走行が行われるが、走行面に凹部があると、コイルバネ80に押されて、この車輪が下降するようになっている。
【0051】水圧試験器1が前進して、車輪26が挿し口201の先端と受け口202の奥端部202aの間隔部Mに達すると、前側の車輪26が車軸のレベル付近の高さまで当該間隔部Mに落ち込む。このため、車輪自体によって継手の収縮が規制されるのである。なお、試験器1の後側には前後2組の車輪が設けられていて、この2組のうち前側の車輪が落ち込んでも後側の車輪で試験器1が支えられるため、試験器1の姿勢が前後に傾くことはない。試験終了後は、外部からのワイヤー81の操作等でコイルバネ80の弾力に抗して車輪を引き上げ、間隔部Mから抜き取って回収すればよい。このような操作用ワイヤーを設けておく代わりに、流体油圧シリンダ、電動アクチュエータ等を用いて車輪を引き上げるように構成してもよい。
【0052】以上の実施形態例では、管路布設時に本試験器1を2つ用いて水圧試験を行う例について説明したが、一方が配水地に接続された管路や、一方を既設のバルブで閉塞することができる管路のような場合は、本試験器を1つだけ用いて水圧試験することもできる。
【0053】また、管路布設時の水圧試験について説明したが、地震等により断水した場合の管路の復旧作業にも使用することができる。この場合は、断水となっているため、配水地等からの送水が行われていないので、管路の一部を切断して本試験器を挿入して試験を行うことにより、適当な区間ごとに試験を行えるため、早急に漏水箇所を発見することができるという利点がある。
【0054】さらに、上記説明では主として開削工法についての使用法を説明したが、管をさや管内、土中に推進する推進工法においても同様に使用することができる。また、埋設される管のみならず、水管橋や橋梁添加管についてもこの試験器を用いて水圧試験を行うことができる。
【0055】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、管内に人が入れない口径(700mm以下)の場合でも、継手部の良否を判断でき、異形管を含め、あらゆる継手の水密性能を確認することができる。また、継手数が多くても、一度の試験で管路の試験区間にある全継手の水密性能を確認することができるため、工期を短縮することができ、効率的である。さらに、この水圧試験器は、簡単な構造の継ぎ足し式棒体(竿)によって管内への挿入・移動が可能であるから、土圧による摩擦力を簡単に得ることができ、継手部の抜け出しを効果的に防止することが可能である。また、抜け出し防止用の摩擦力を確保する方法として、埋め戻しによる摩擦力の調整と、試験器を挿入する位置による摩擦力の調整の2種類の方法があるので、防護設備を省略することが可能で、布設現場や、管径、開削深さ等の条件にうまく対応でき、試験不可能となることが殆どない。
【出願人】 【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
【住所又は居所】大阪府大阪市西区北堀江1丁目12番19号
【識別番号】000145471
【氏名又は名称】株式会社十川ゴム
【住所又は居所】大阪府大阪市西区南堀江四丁目2番5号
【出願日】 平成14年3月29日(2002.3.29)
【代理人】 【識別番号】100083611
【弁理士】
【氏名又は名称】菅原 弘志
【公開番号】 特開2003−4581(P2003−4581A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2002−96301(P2002−96301)