| 【発明の名称】 |
導光体およびそれを備える照明装置ならびに表示装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】角田 行広 【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】光の利用効率が高い導光体およびそれを備える照明装置ならびに表示装置を提供する。
【解決手段】光源110から出射された光を受ける入射面121と、入射面121から入射した光を出射する出射面125と、出射面125に対向するプリズム面126とを有し、プリズム面126を含む第1導光層120aと、第1導光層120aに対向し、出射面125を含む第2導光層120bとから構成されている。第2導光層120bが出射面125に平行な面内に有するリタデーションの値が15nm以下である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光源から出射された光を受ける少なくとも1つの側面と、前記少なくとも1つの側面から入射した光を出射する出射面と、前記出射面に対向するプリズム面とを有する導光体であって、前記プリズム面を含む第1導光層と、前記第1導光層に対向し、前記出射面を含む第2導光層とから構成されており、前記第2導光層が前記出射面に平行な面内に有するリタデーションの値が15nm以下である、導光体。 【請求項2】 前記第2導光層は、前記出射面に平行な面内に遅相軸を有し、前記遅相軸は前記出射面に平行な面内において実質的にそろっている、請求項1に記載の導光体。 【請求項3】 光源から出射された光を受ける少なくとも1つの側面と、前記少なくとも1つの側面から入射した光を出射する出射面と、前記出射面に対向するプリズム面とを有する導光体であって、前記プリズム面を含む第1導光層と、前記第1導光層に対向し、前記出射面を含む第2導光層とから構成されており、前記第2導光層は、前記出射面に平行な面内に遅相軸を有し、前記遅相軸は前記出射面に平行な面内において実質的にそろっている、導光体。 【請求項4】 前記プリズム面は、互いに略平行に延びる複数の稜線を有し、前記第2導光層が有する前記遅相軸は、前記複数の稜線に略平行または略垂直である、請求項2または3に記載の導光体。 【請求項5】 前記プリズム面を含む前記第1導光層は、前記プリズム面側に形成された複数のプリズムを有するプリズムシートと、前記プリズムシートの前記第2導光層側に設けられた接着層とから構成されており、前記第2導光層は、前記プリズムシートに前記接着層を介して貼り合わされた導光板である、請求項1から4のいずれかに記載の導光体。 【請求項6】 前記第1導光層の厚さt1と前記第2導光層の厚さt2とが、t1/t2≦0.30の関係を満たす、請求項1から5のいずれかに記載の導光体。 【請求項7】 前記出射面に、前記出射面での界面反射を抑制する反射抑制処理が施されている、請求項1から6のいずれかに記載の導光体。 【請求項8】 請求項1から7のいずれかに記載の導光体と、前記導光体の前記少なくとも1つの側面に向けて光を出射する少なくとも1つの光源と、を備える照明装置。 【請求項9】 請求項8に記載の照明装置と、前記照明装置に対して前記導光体の前記出射面側に配置され、前記照明装置から出射された光を変調する表示パネルとを備える、表示装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、導光体およびそれを備える照明装置ならびに表示装置に関し、特に、反射型液晶表示装置が備える照明装置(フロントライト)に好適に用いられる導光体およびそれを備える照明装置ならびに表示装置に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、液晶表示装置(Liquid Crystal Display)は、薄型で低消費電力であるという特徴を生かして、ワードプロセッサやパーソナルコンピュータなどのOA機器、電子手帳などの携帯情報機器、あるいは液晶モニターを備えたカメラー体型VTRなどに広く用いられている。 【0003】液晶表示装置に代表される非発光型の表示装置は、CRT(Cathode Ray Tube)、PDP(Plasma Display Panel)およびEL(Electro Luminescence)などの自発光型の表示装置とは異なり、自らは発光せずに、外部から照射された光の透過光量や反射光量を制御することによって文字や画像を表示する。 【0004】上述した液晶表示装置は、透過型と反射型に大別される。 【0005】透過型の液晶表示装置においては、液晶表示パネルの背後に配置された照明装置(いわゆるバックライト)からの照明光を液晶表示パネルの液晶層で変調することにより表示が行われる。 【0006】一方、反射型の液晶表示装置は、周囲光(外光)を用いて表示を行うので、バックライトを必要とせず、そのため、軽量、薄型、低消費電力という利点を有しており、さらに、非常に明るい使用環境において視認性が低下することもなく、より鮮明に画像の視認を行うことができる。しかしながら、反射型液晶表示装置は、表示の明るさやコントラスト比が周囲の明るさなどの使用環境によって大きく左右されるという問題を有しており、特に、暗い使用環境においては視認性が極端に低下するという欠点を有している。 【0007】そのため、反射型液晶表示装置のなかには、十分な強度の周囲光が得られない場合の表示品位を向上するための照明装置を備えたものもあり、液晶表示パネルの前面に配置されるこの照明装置は、透過型液晶表示装置の照明装置が「バックライト」と称されるのに対して、「フロントライト」と称される。 【0008】フロントライトを備える反射型液晶表示装置は、例えば、特開平11−52375号公報に開示されている。 【0009】上記特開平11−52375号公報に開示されている反射型液晶表示装置においては、フロントライトが有する導光体は、光が出射する出射面に対向する面に形成された帯状の段差部を有し、液晶表示パネルの前面に配置される偏光板の透過軸が、帯状の段差部の延びる方向と平行に配置されている。段差部に入射する光の入射角がブリュースター角に近いと、段差部で反射されて液晶表示パネル側に出射される光は、段差部が延びる方向に平行な方向に振動するS偏光を多く含む。上記公報に開示されている反射型液晶表示装置においては、偏光板の透過軸が段差部の延びる方向と平行に配置されているので、導光体の出射面から出射された光の偏光板での吸収が抑制され、光が効率よく液晶表示パネルの液晶層に入射する。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特開平11−52375号公報に開示されている反射型液晶表示装置には、以下のような問題があることを本願発明者は見出した。 【0011】段差部への光の入射角がブリュースター角近傍となるように段差部を形成することで、段差部で反射された光はS偏光を多く含むものの、導光体自身が有するリタデーションのために、この光は導光体から出射するまでの間にその偏光状態を乱されてしまう。そのため、偏光板の透過軸が段差部の延びる方向に平行に配置されていても、実際には、導光体から出射された光の偏光板での吸収を十分には抑制できず、光の利用効率を十分に向上することができない。 【0012】特に、インジェクション成形などにより段差部が導光体と一体に形成されると、成型時の歪み(例えばインジェクション時の樹脂が流れる方向のばらつきに起因する)によって、導光体は、出射面に平行な面内に比較的大きな値のリタデーションを有し、その値が面内で大きくばらつく。また、導光体が出射面に平行な面内に有する遅相軸や進相軸も面内でばらつく。そのため、段差部で反射された光(S偏光を多く含む光)は、偏光状態を大きく乱されてしまうので、偏光板での光の吸収が十分には抑制されず、光の利用効率が低下してしまう。 【0013】図11に、インジェクション成形により段差部602が一体に形成された導光体600における遅相軸の分布を示す。図11は、導光体600を帯状の段差部602が形成された面側からみた上面図である。図11中の矢印a〜iが遅相軸を示し、矢印604がインジェクション成形の際の樹脂の注入方向を示している。図11に示したように、導光体600においては、矢印a〜iで表される遅相軸は出射面に平行な面内でばらついている。 【0014】また、表1に、導光体600が出射面に平行な面内に有するリタデーション(Δn・d)の値を分光エリプソメーターM−220(日本分光株式会社製)で可視光の範囲(波長λ=450nm〜650nm)を用いて測定した結果を示す。なお、表1には、図11中に矢印a〜iで遅相軸を示した場所におけるリタデーションの値を示している。 【0015】 【表1】
【0016】表1に示したように、導光体600が有するリタデーションの値は比較的大きく、面内でばらついている。 【0017】本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光の利用効率が高い導光体およびそれを備える照明装置ならびに表示装置を提供することにある。 【0018】 【課題を解決するための手段】本発明による導光体は、光源から出射された光を受ける少なくとも1つの側面と、前記少なくとも1つの側面から入射した光を出射する出射面と、前記出射面に対向するプリズム面とを有する導光体であって、前記プリズム面を含む第1導光層と、前記第1導光層に対向し、前記出射面を含む第2導光層とから構成されており、前記第2導光層が前記出射面に平行な面内に有するリタデーションの値が15nm以下であり、そのことによって上記目的が達成される。 【0019】前記第2導光層は、前記出射面に平行な面内に遅相軸を有し、前記遅相軸は前記出射面に平行な面内において実質的にそろっていることが好ましい。 【0020】あるいは、本発明による導光体は、光源から出射された光を受ける少なくとも1つの側面と、前記少なくとも1つの側面から入射した光を出射する出射面と、前記出射面に対向するプリズム面とを有する導光体であって、前記プリズム面を含む第1導光層と、前記第1導光層に対向し、前記出射面を含む第2導光層とから構成されており、前記第2導光層は、前記出射面に平行な面内に遅相軸を有し、前記遅相軸は前記出射面に平行な面内において実質的にそろっており、そのことによって上記目的が達成される。 【0021】前記プリズム面は、互いに略平行に延びる複数の稜線を有し、前記第2導光層が有する前記遅相軸は、前記複数の稜線に略平行または略垂直であることが好ましい。 【0022】前記プリズム面を含む前記第1導光層は、前記プリズム面側に形成された複数のプリズムを有するプリズムシートと、前記プリズムシートの前記第2導光層側に設けられた接着層とから構成されており、前記第2導光層は、前記プリズムシートに前記接着層を介して貼り合わされた導光板であることが好ましい。 【0023】前記第1導光層の厚さt1と前記第2導光層の厚さt2とが、t1/t2≦0.30の関係を満たすことが好ましい。 【0024】前記出射面に、前記出射面での界面反射を抑制する反射抑制処理が施されていることが好ましい。 【0025】本発明による照明装置は、上記構成を有する導光体と、前記導光体の前記少なくとも1つの側面に向けて光を出射する少なくとも1つの光源と、を備えており、そのことによって上記目的が達成される。 【0026】本発明による表示装置は、上記構成を有する照明装置と、前記照明装置に対して前記導光体の前記出射面側に配置され、前記照明装置から出射された光を変調する表示パネルとを備えており、そのことによって上記目的が達成される。 【0027】以下、本発明の作用を説明する。 【0028】本発明による導光体においては、出射面を含む第2導光層が出射面に平行な面内に有するリタデーションの値が15nm以下であるので、第2導光層はその内部を通過する光にほとんど位相差を与えず、第2導光層を通過する光がその偏光状態を乱されることが抑制される。従って、プリズム面で反射された光はその偏光状態をほとんど乱されずに出射面から出射する。そのため、表示装置が備える偏光板での光の吸収が抑制されるので、光を表示装置に効率よく入射させることができる。 【0029】あるいは、本発明による導光体においては、出射面を含む第2導光層の遅相軸が出射面に平行な面内で実質的にそろっているので、第2導光層の遅相軸を所定の向きにすると、第2導光層はその内部を通過する光にほとんど位相差を与えず、第2導光層を通過する光がその偏光状態を乱されることが抑制される。従って、プリズム面で反射された光はその偏光状態をほとんど乱されずに出射面から出射する。そのため、表示装置が備える偏光板での光の吸収が抑制されるので、光を表示装置に効率よく入射させることができる。 【0030】プリズム面が、互いに略平行に延びる複数の稜線を有しているときには、第2導光層を通過する光の偏光状態の乱れを抑制するためには、第2導光層の遅相軸は、この稜線に略平行または略垂直であることが好ましい。 【0031】プリズム面を含む第1導光層が、プリズム面側に形成された複数のプリズムを有するプリズムシートと、プリズムシートの第2導光層側に設けられた接着層とから構成されており、第2導光層が、プリズムシートに接着層を介して貼り合わされた導光板である構成を採用すると、第2導光層を構成する導光板にはプリズムなどの特別な構造を作り込む必要がない。そのため、導光板を押出し成形により形成することが容易であり、第2導光層が出射面に平行な面内に有するリタデーションの値を15nm以下としたり、第2導光層の遅相軸を出射面に平行な面内で実質的にそろえたりすることが容易である。また、このような構成を採用すると、製造工程においてプリズム面に欠点が発生した場合に、プリズムシートを交換することによって対応できるので、導光体の生産性を向上することができる。 【0032】第1導光層の厚さt1と第2導光層の厚さt2とが、t1/t2≦0.30の関係を満たしていると、入射面から第1導光層に入射する光量が、入射面から第2導光層に入射する光量に比べて十分に少なくなるので、第1導光層と第2導光層との間に屈折率差が存在している場合であっても、明暗縞の発生を抑制できる。より高品位の表示を行う観点からは、t1/t2≦0.25であることがより好ましく、t1/t2≦0.10であることがさらに好ましい。t1/t2の値が小さいほど、明暗縞の発生を抑制する効果が高いが、t1/t2の値が0.01未満であると、導光体の作製が困難である場合があるので、作製の容易さも鑑みると、第1導光層120aの厚さt1と第2導光層の厚さt2とが0.01≦t1/t2≦0.30の関係を満足することが好ましい。 【0033】出射面に、出射面での界面反射を抑制する反射抑制処理が施されていると、出射面での界面反射が抑制され、出射面から出射する光量を多くすることができる。そのため、表示装置の照明装置に用いる場合には、コントラスト比が高く明るい表示が実現される。 【0034】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明による実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。 【0035】図1に、本発明による実施形態の表示装置である反射型液晶表示装置1000を模式的に示す。反射型液晶表示装置1000は、反射型液晶表示パネル200と、反射型液晶表示パネル200の観察者側に設けられた照明装置(フロントライト)100とを有している。 【0036】反射型液晶表示パネル200は、図1に示すように、TFT基板200aと、TFT基板200aに対向する対向基板200bと、これらの間に設けられた液晶層203および反射板204とを有している。 【0037】TFT基板200a上には、スイッチング素子としての複数のTFT(薄膜トランジスタ;不図示)と、各TFTに電気的に接続された絵素電極(不図示)とが形成されている。絵素電極は、反射板204としても機能する反射電極であってもよい。 【0038】対向基板200bは、液晶層203とは反対側の表面に設けられた円偏光板(偏光層とλ/4板の積層)201と、液晶層203側の表面に形成されたカラーフィルタ層および対向電極(いずれも不図示)とを有している。 【0039】反射型液晶表示素子200においては、図2に示すように、円偏光板(偏光層201Aとλ/4板201Bの積層)201を介して液晶層203に入射した照明光50が、液晶層203を通過して反射板204で反射されて再び液晶層203を通過する課程でその偏光状態を液晶層203によって変調されることによって光量が制御され、そのことによって画像の表示が行われる。 【0040】以下、反射型液晶表示パネル200の動作原理をより詳しく説明する。偏光層(例えば偏光板)201Aの透過軸201aは、λ/4板201Bの遅相軸201bと45°の角度をなすように配置されており、照明光50のうち、偏光層201Aを通過した直線偏光がλ/4板201Bで円偏光に変換されて液晶層203に入射する。 【0041】液晶層203がこの光を変調しない(偏光状態を乱さない)場合、反射板204で反射する際に円偏光の回転方向が逆転するので、円偏光は再びλ/4板201Bを通過すると偏光層201Aの透過軸201aに直交する直線偏光となり、偏光層201Aで吸収される。従って、この場合には黒表示が行われる。 【0042】これに対して、液晶層203が円偏光を変調する場合、例えば、液晶層203に入射した円偏光の偏光状態が保存されるように変調する場合には、液晶層203から出射した円偏光は、λ/4板201Bを通過すると偏光層201Aの透過軸201aに平行な直線偏光となり、偏光層201Aを透過する。従って、この場合には白表示が行われる。 【0043】なお、本実施形態では、偏光層201Aの透過軸201aは、図2に示したように、絵素の繰り返し方向(あるいは絵素を規定する辺に平行な方向)に対して15°の角度で傾斜するように配置するが、勿論、透過軸201aの角度はこれに限定されず、液晶材料や配向方向、あるいは視野角特性等を考慮して適宜決定される。 【0044】照明装置100は、光源110と、導光体120とを有する。光源110として、本実施形態では、CCFT(冷陰極管)を用いる。勿論、LED(発光ダイオード)や、LEDと線状導光体とを組み合わせた線状光源、あるいは有機EL素子などを用いてもよい。光源110を囲むように、反射部材(例えば拡散反射シート)112が設けられており、光源110から出射された光は導光体120に効率的に入射する。 【0045】図1、図3および図4を参照しながら、導光体120の構造と機能を説明する。図3は、導光体120を模式的に示す上面図であり、図4は、導光体120が有するプリズム126aと偏光層201Aの透過軸201aとの配置関係を説明するための斜視図である。 【0046】導光体120は、光源110からの光を受ける入射面(第1側面)121と、入射面121に対向する第2側面122と、入射面121と第2側面122との間に位置し互いに対向する第3側面123および第4側面124と、反射型液晶表示パネル200側に配置された出射面125と、出射面125に対向するプリズム面126とを有する。出射面125は、ここでは、入射面121に略直交するように配置されている。 【0047】プリズム面126には、複数のプリズム126aが形成されており、プリズム面126は鋸歯状の断面構造を有する。プリズム126aは、伝搬面126a1と反射面126a2とを有している。伝搬面126a1と反射面126a2とが接する稜線126rは、本実施形態では、図3および図4に示したように、偏光層201Aの透過軸201aに平行であり、絵素の繰り返し方向に対して15°傾斜している。 【0048】また、導光体120は、プリズム面126を含む第1導光層120aと、第1導光層120aに対向し、出射面125を含む第2導光層120bとから構成されている。第1導光層120aおよび第2導光層120bは、出射面125の法線方向に沿ってそれぞれ所定の厚さを有している。第1導光層120aは、導光体120内部に入射した光を出射面125に向けて反射する機能を有し、光反射層として機能する。また、第2導光層120bは、導光体120内部に入射した光を伝搬する機能を有し、光伝搬層として機能する。 【0049】光源110から出射され入射面121から導光体120内に入射した光は、図1に示したように、プリズム面126の(プリズム126aの)伝搬面126a1と出射面125とで全反射を繰り返しながら、第2側面122に向けて伝搬する。導光体120内を伝搬する光の一部は、プリズム面126の(プリズム126aの)反射面126a2で反射され、出射面125から反射型液晶表示パネル200に向けて出射される。反射型液晶表示パネル200によって反射された光は、出射面125から再び導光体120に入射し、導光体120内を通過した後、プリズム面126から観察者側に出射され、表示に用いられる。 【0050】ここで、図1と図5(a)および(b)とを参照しながら導光体120のより具体的な構成を説明する。図5(a)は、照明装置100を模式的に示す断面図であり、図5(b)は、導光体120が有するプリズム面126を拡大して模式的に示す断面図である。 【0051】本実施形態では、導光体120は、図5(a)に示すように、複数のプリズム126aを有するプリズムシート127と、導光板128と、プリズムシート127と導光板128との間に設けられた接着層129とから構成されている。プリズムシート127と接着層129とが第1導光層120aに相当し、導光板128が第2導光層120bに相当する。 【0052】また、導光体120の出射面125には、出射面125での界面反射を抑制する反射抑制処理が施されている。反射抑制処理は、具体的には、厚さが約0.001mmのMgF2膜およびSiO2膜が交互に積層された反射抑制膜130を蒸着法を用いて形成することによって施されている。反射抑制膜130は、薄膜の干渉作用によって界面反射を抑制する機能を有しているので、導光体120の出射面125での界面反射が約4%から約1%に低減され、表示の明るさおよびコントラスト比が向上する。 【0053】プリズムシート127として、ここでは、屈折率が1.51のアートンからなるシートに複数のプリズム126aを転写形成することによって形成されたプリズムシート127を用いる。プリズムシート127を、ロール金型へシート材料を挿入することにより作製すると、生産性が向上するという利点が得られる。プリズムシート127が有するプリズム126aの形状は、導光体120の内部に入射する光を出射面125に向けて有効に出射できるように設定される。ここでは、プリズム126aのピッチPを0.253mm、伝搬面126a1が出射面125に対してなす角βを2.1°、反射面126a2が出射面125に対してなす角αを43.7°とする。勿論、プリズム126aの形状は例示したものに限定されず、プリズムシートの材料の屈折率に応じて適宜選択される。また、光源110から遠ざかるにつれて反射面126a2の傾斜角αを大きくすると、照明光の強度分布がより均一となり、より均一な照明を行うことができる。 【0054】導光板128としては、ここでは、屈折率が1.49のアクリル樹脂を用いて押出し成形により形成した導光板128を用いる。このようにして形成された導光板128の出射面125に平行な面内におけるリタデーション(位相差Δn・d)を可視光の範囲(波長400nmから700nmの範囲)で測定したところ、0.10nmから0.13nmであった。リタデーションの測定には、分光エリプソメーターM−220(日本分光株式会社製)を用いた。なお、ここでは、平行平板状の導光板128を用いるが、導光板128の形状はこれに限定されず、光源110から遠ざかるにつれて厚さが薄くなる楔型であってもよい。導光板128の形状が楔形であると、照明光の強度分布がより均一となり、より均一な照明を行うことができる。 【0055】上述したプリズムシート127と導光板128とを貼り合わせる接着層129としては、ここでは、屈折率が1.51のアクリル樹脂からなる接着層129を用いる。 【0056】また、本実施形態では、プリズムシート127および接着層129の厚さの合計、すなわち、第1導光層120aの厚さt1を0.20mmとし、導光板128の厚さ、すなわち、第2導光層120bの厚さt2を0.80mmとする。 【0057】上述したように、本実施形態においては、導光体120を構成する第2導光層120bが出射面125に平行な面内に有するリタデーションの値が0.10nm〜0.13nmであるので、第2導光層120bはその内部を通過する光にほとんど位相差を与えず、第2導光層120bを通過する光がその偏光状態を乱されることが抑制される。従って、プリズム面126で反射された光(稜線126rに平行な光(S偏光)を多く含む光)は、その偏光状態をほとんど乱されずに出射面125から出射する。そのため、出射面125から出射される光の偏光層(典型的には透過軸201aが稜線126rと平行になるように配置されている)201Aでの吸収が抑制され、出射面125から出射された光は、反射型液晶表示パネル200の液晶層203に効率よく入射する。 【0058】このように、第2導光層120bのリタデーションの値を例示したような比較的小さな値とすることによって、光を反射型液晶表示パネル200に効率よく入射させることができ、光の利用効率が高い導光体120が提供されるが、第2導光層120bのリタデーションの値は、例示したものに限定されない。 【0059】図6に、第2導光層120bが出射面125に平行な面内に有するリタデーション(Δn・d)の値と、偏光層201Aを透過する光量との関係を示す。なお、図6では、第2導光層201Aがリタデーションを有していない(リタデーションの値が0)ときに偏光層201Aを透過する光量を1.00とし、偏光層201Aを透過する光量を波長λ=450nm、λ=550nmおよびλ=650nmの場合について相対輝度で示している。 【0060】図6に示したように、第2導光層120b(導光板128)が出射面125に平行な面内に有するリタデーションの値が15nm以下であると、視感度が高い波長550nmにおける光量の低下を1%未満とすることができるので、光の利用効率を十分高くすることができ、明るい表示が実現される。これに対して、インジェクション成形により形成された図11に示したような従来の導光体600では、リタデーションの値は、λ=550nmの光に対して16.6nm〜59.8nm程度であり、光量の低下は13%程度である。従って、第2導光層120bのリタデーションの値が15nm以下であると、従来の導光体600に比べて約10%以上明るさを向上することが可能になる。 【0061】第2導光層120bのリタデーションの値を15nm以下とするには、例えば、本実施形態のように、第2導光層120bを、第1導光層120aを構成する部材とは別体の導光板128で構成し、この導光板128を押出し成形により形成すればよい。第1導光層120aの部材とは別体で第2導光層120bを構成すると、光を伝搬させる機能を担う第2導光層120bには特別な構造体(例えばプリズムなど)を作り込む必要がないので、第2導光層120bを単純な平板状(直方体状)の導光板128で構成でき、押出し成形で形成することが容易である。押出し成形により導光板128を形成すると、インジェクション成形する場合とは異なり、樹脂の流れ方向のばらつきが少なく、成形時の歪みが小さいので、遅相軸が面内でそろった導光板128が得られる。また、押出し成形により導光板128を形成すると、リタデーションの値が小さい導光板128が得られる。これは、押出し成形の場合には、成型時の温度および圧力が低いので、導光板に残留するリタデーションの値が小さくなるためと考えられる。 【0062】また、上述のように、導光体120が、プリズムシート127と、導光板128と、これらを接着する接着層129とから構成されていると、導光体120の生産性を向上することができる。この理由を以下に説明する。 【0063】一般に、プリズムを備える導光体は、生産工程において金型などの欠点(例えば、金型上の傷や曇り、あるいは転写条件の不整合によるプリズムの変形、傷、曇りなど)の影響を受けやすく、プリズム上に小さな欠点が発生することがある。プリズム上に発生する欠点は、照明時の輝点や黒点として観察されるので、表示装置の表示品位を著しく低下させる。図11に示したような、インジェクション成形によりプリズムが一体成形された導光体600のプリズムに欠陥が発生した場合には、導光体600そのものを利用できなくなることになり、生産歩留まりが著しく低下することがある。 【0064】これに対して、図5(a)などに示したように、導光体120が、プリズムシート127と、導光板128と、これらを接着する接着層129とから構成されていると、プリズム126aに欠点が発生した場合には、プリズムシート127のみを交換することによって導光体120を再び利用することができるので、生産歩留まりを向上することが可能になり、導光体120の生産性が向上する。 【0065】なお、第1導光層120aと第2導光層120bとを別体で構成する場合、第1導光層120aと第2導光層120bとの屈折率の差に起因して照明光に明暗縞が発生することがある。例えば、導光体120内部を伝搬する光を効率よく第1導光層120aで反射させるためには、第1導光層120aの屈折率が第2導光層120bの屈折率よりも高いことが好ましいが、第1導光層120aの屈折率が第2導光層120bの屈折率よりも高いと、図7に示すように、第1導光層120aに入射する光と、第2導光層120bに入射する光との間で強度差が生じてしまう。そのため、光源110近傍では、明部と暗部とが発生し、明暗縞として観察されることがある。 【0066】明暗縞の発生を抑制するためには、第2導光層の厚さt2に対する第1導光層120aの厚さt1の比t1/t2を小さくすることが好ましい。t1/t2の値が小さいほど、入射面121から第1導光層120aに入射する光量が、入射面121から第2導光層120bに入射する光量に比べて十分に少なくなるので、暗部の幅を狭くすることができ、明暗縞を視認しにくくできるからである。 【0067】表2に、t1/t2の値と、明暗縞の発生する様子との関係を示す。表1中に示す◎は、明暗縞が発生しないことを示し、○は、薄い明暗縞が発生するものの表示には影響しないことを示している。また、△は、明暗縞が発生するものの表示には影響しないことを示し、×は、濃い明暗縞が発生して表示に影響を及ぼすことを示している。 (表2) t1/t2 明暗縞の発生0.01 ◎0.10 ◎0.20 ○0.25 ○0.30 △0.35 ×0.40 ×表2からわかるように、第1導光層120aの厚さt1と、第2導光層の厚さt2とがt1/t2≦0.30の関係を満たしていると、照明光に現れる明暗縞の発生が抑制され、高品位の表示を行うことができる。より高品位の表示を行う観点からは、t1/t2≦0.25であることがより好ましく、t1/t2≦0.10であることがさらに好ましい。t1/t2の値が小さいほど、明暗縞の発生を抑制する効果が高いが、t1/t2の値が0.01未満であると、導光体120の作製が困難であることがあるので、作製の容易さなども鑑みると、第1導光層120aの厚さt1と第2導光層の厚さt2とが0.01≦t1/t2≦0.30の関係を満足することが好ましいともいえる。上述したように、本実施形態では、第1導光層120aの厚さt1が0.20mmであり、第2導光層120bの厚さt2が0.80mmであり、t1/t2=0.25であるので、明暗縞の発生が抑制され、高品位の表示を行うことができる。 【0068】また、本実施形態では、図4に示すように、偏光層201Aの透過軸201aは、プリズム面126が有する稜線126rに平行になるように配置されている。このように、プリズム面126の稜線126rと偏光層201Aの透過軸201aとが平行であると、導光体120から出射する照明光をもっとも効率よく反射型液晶表示装置200の液晶層203に入射させることができる。図8に、偏光層201Aの透過軸201aとプリズム面126の稜線126rとがなす角度θと、偏光層201Aを透過する光量との関係を示す。 【0069】図8に示したように、光量は、透過軸201aと稜線126rとがほぼ平行である場合(θ=0°)にもっとも多く、角度θが大きくなるにつれて少なくなる。そのため、明るい表示を行う観点からは、透過軸201aと稜線126rとがほぼ平行であることが好ましい。勿論、これに限定されず、プリズム面126の周期構造と絵素の周期構造との干渉によるモアレ縞の発生を抑制するために、プリズム面126の稜線126rを偏光層201Aの透過軸201aに対して傾けて配置してもよい。 【0070】なお、導光体120を構成するプリズムシート127、導光板128および接着層129の材料は、例示したものに限定されず、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂などの熱可塑性の透明樹脂や、エポキシ樹脂、アリルジグリコールカーボネイト樹脂等の熱硬化性の透明樹脂や、各種のガラスあるいは各種の無機材料を用いることができる。 【0071】上述の説明においては、第2導光層120bのリタデーションを15nm以下とすることによって、光の利用効率を向上できることを説明した。 【0072】本願発明者は、図9(a)および(b)に示す導光体120’のように、第2導光層120bの遅相軸SA(あるいは進相軸)が、出射面125に平行な面内において実質的にそろっている構成とすることによっても、光の利用効率を向上することができることを見出した。図9(a)に示したように、第2導光層120bの遅相軸が面内で実質的にそろっていると、プリズム面126の稜線126rを第2導光層120bの遅相軸に対して略平行(あるいは略垂直)に配置した場合に、第2導光層120bはプリズム面126の稜線126rに平行に振動する偏光にほとんど位相差をあたえない。そのため、プリズム面126で反射された光(プリズム面126の稜線126rに平行に振動するS偏光を多く含む光)の偏光状態の乱れが抑制されるので、光の利用効率を向上することができる。 【0073】本願明細書において、「遅相軸が出射面に平行な面内において実質的にそろっている」とは、面内での遅相軸の平均方向に平行に振動する偏光に対して第2導光層120bがほとんど位相差を与えない程度に、遅相軸が面内で均一な状態をいう。具体的には、面内での遅相軸の平均方向からの遅相軸のずれが4°以下であること、すなわち、遅相軸のゆらぎが4°以下であることをいう。 【0074】図10に、遅相軸が透過軸201aとなす角度θ’と、偏光層201Aを透過する光量との関係を示す。図10では、第2導光層120bのリタデーションΔn・dと波長λとの比Δn・d/λが1/5、1/4、1/3および1/2の場合について偏光層201Aを透過する光量を相対輝度で示している。 【0075】図10に示したように、遅相軸が透過軸201aとなす角度が0°以上4°以下、あるいは86°以上90°以下であると、光量の低下を1%未満とすることができる。従って、遅相軸のゆらぎが4°以下であれば、プリズム面126の稜線126rを第2導光層120bの遅相軸に対して略平行(あるいは略垂直)にしたときに、プリズム面126で反射された光の偏光状態の乱れを十分に抑制することができるので、光の利用効率を十分向上することができる。 【0076】なお、図9(a)および(b)に示した導光体120’のように、第2導光層120bの遅相軸が面内において実質的にそろっていると、第2導光層120bのリタデーションが15nmを超えていても、光の利用効率を向上できる。逆に、図1に示した導光体120のように、第2導光層120bのリタデーションが15nm以下であれば、第2導光層120bの遅相軸が面内においてそろっていなくても、光の利用効率を向上することができる。なお、図6では、第2導光層120b(導光板128)が有する遅相軸が、プリズムシート127に形成されたプリズム126aの稜線126rに対してほぼ45°の角度をなすように配置された場合を示している。 【0077】上述の説明においては、第2導光層120bの遅相軸が出射面125に平行な面内において実質的にそろっていれば光の利用効率を向上できることを説明したが、上述の説明において、第2導光層120の「遅相軸」を、第2導光層の「進相軸」(第2導光層120bが出射面125に平行な面内に有する進相軸)と言い換えても上述の説明に異なるところはない。第2導光層120bの遅相軸と進相軸とは所定の角度で交差する(典型的には互いに直交する)ので、第2導光層120bの遅相軸が面内で実質的にそろっていれば、第2導光層120bの進相軸も面内で実質的にそろっているといえるからである。つまり、出射面125に平行な面内における第2導光層120bの複屈折の主軸が実質的にそろっていれば、光の利用効率を向上できる。 【0078】第2導光層120bの遅相軸(あるいは進相軸)を面内でそろえるためには、例えば、既に述べたように、第2導光層120bを構成する導光板128を押出し成形によって形成すればよい。押出し成形により導光板128を形成すると、押出し方向と遅相軸(あるいは進相軸)の方向とがほぼ一致するので、プリズムシート127の稜線126rの方向が押出し方向に一致するように、プリズムシート127を切り出して貼り付けることによって、プリズムシート127の稜線126rと第2導光層120bの遅相軸(あるいは進相軸)とが一致した導光体120が得られる。 【0079】本実施形態の導光体120のように、第2導光層120bを構成する導光板128を押出し成形によって形成すれば、第2導光層120bのリタデーションが15nm以下であり、かつ、第2導光層120bの遅相軸(あるいは進相軸)が、出射面125に平行な面内において実質的にそろっている導光体120を容易に得ることができる。 【0080】なお、本実施形態では、導光体120が有する側面のうちの一つの側面が光源110からの光を受ける場合について説明したが、勿論、複数の光源からの光を複数の側面で受ける構成としてもよい。 【0081】 【発明の効果】本発明によると、プリズム面で反射された光の偏光状態の乱れが抑制されるので、光の利用効率が高い導光体が提供される。本発明による導光体は、照明装置や表示装置に好適に用いることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005049 【氏名又は名称】シャープ株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号
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| 【出願日】 |
平成14年5月16日(2002.5.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077931 【弁理士】 【氏名又は名称】前田 弘 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−331623(P2003−331623A) |
| 【公開日】 |
平成15年11月21日(2003.11.21) |
| 【出願番号】 |
特願2002−141571(P2002−141571) |
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