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【発明の名称】 光源ユニットおよびそれを用いた照明装置
【発明者】 【氏名】秋山 泰宏
【住所又は居所】東京都品川区西五反田二丁目8番1号 エヌイーシーライティング株式会社内

【要約】 【課題】配置スペースが小さく、可視光および赤外光のリフレクターからの漏れを低減することのできる、低コストな光源ユニットを提供する。

【解決手段】放電ランプ12と、内面に誘電体光学多層膜15を備え、該誘電体光学多層膜15にて放電ランプ12からの放射光1が反射光2と透過光3に分離される遮光リフレクター10を有する。遮光リフレクター10のガラス製筐体には、透過光3に含まれている可視光成分および赤外光成分を吸収、散乱するグラファイト粉末11が混入されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 放電ランプと、内面に反射面を備え、該反射面にて前記放電ランプからの放射光が反射光と透過光に分離されるリフレクターと、前記リフレクターに一体的に設けられた、前記透過光に含まれている可視光成分および赤外光成分を吸収、散乱する遮光手段とを有することを特徴とする光源ユニット。
【請求項2】 前記リフレクターの外面の所定の部分または全体が凹凸形状になっていることを特徴とする請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】 前記遮光手段が、前記リフレクターを構成するガラス製筐体に混入された、前記可視光成分および赤外光成分を吸収、散乱する粉末よりなることを特徴とする請求項1または2に記載の光源ユニット。
【請求項4】 前記粉末の混入量が重量比1%〜50%の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の光源ユニット。
【請求項5】 前記遮光手段が、前記リフレクターの外面の所定の部分または全体に形成された、前記可視光成分および赤外光成分を吸収、散乱する粉末を含む遮光層よりなることを特徴とする請求項1または2に記載の光源ユニット。
【請求項6】 前記粉末が、前記リフレクターの外面に塗布されていることを特徴とする請求項5に記載の光源ユニット。
【請求項7】 前記遮光層は、前記凹凸形状の面に形成されており、その膜厚が5μm以上であることを特徴とする請求項6に記載の光源ユニット。
【請求項8】 前記粉末が、前記リフレクターの外面に含浸されていることを特徴とする請求項4に記載の光源ユニット。
【請求項9】 前記粉末の含浸量が重量比1%〜20%の範囲であることを特徴とする請求項8に記載の光源ユニット。
【請求項10】 前記粉末が絶縁体粉末または金属粉末もしくはこれらの混合粉末であることを特徴とする請求項3乃至9のいずれか1項に記載の光源ユニット。
【請求項11】 前記絶縁体粉末が、グラファイトまたはアルミナもしくはこれらの混合粉末であることを特徴とする請求項10に記載の光源ユニット。
【請求項12】 前記金属粉末が、タングステンまたは銅もしくはこれらの混合物であることを特徴とする請求項10に記載の光源ユニット。
【請求項13】 前記遮光手段が、前記リフレクターの外面の所定の部分または全体を覆うように設けられた、前記可視光成分および赤外光成分を吸収、散乱する遮光板であり、該遮光板の内面と前記リフレクターの外面との間に所定の大きさの間隙を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光源ユニット。
【請求項14】 前記遮光板の表面の少なくとも1部が凹凸形状になっていることを特徴とする請求項13に記載の光源ユニット。
【請求項15】 前記遮光板が、絶縁体または金属よりなることを特徴とする請求項13に記載の光源ユニット。
【請求項16】 請求項1乃至15のいずれか1項に記載の光源ユニットと、前記光源ユニットから出射された光束を集光して一様な照明光を得る集光光学系とを有することを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば液晶プロジェクターに代表される投射型表示装置に用いられている光源ユニットおよびそれを用いた照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の光源ユニットは、高輝度で発光効率の高い、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプに代表される放電ランプを光源に備え、この放電ランプから放射される光をリフレクターで所定の方向に反射させることで、平行または集光光束を得るように構成されている。
【0003】図16は従来の光源ユニットの構成を示す縦断面図である。この光源ユニットは、内部に放電ランプ212を備えるリフレクター210を有する。放電ランプ212は、両端が封止された管状の石英ガラスバルブ213を有し、この石英ガラスバルブ213の中心部近傍に設けられた一対の電極214間に所定の電圧が供給されることで放電発光が生じる。リフレクター210の内面には、誘電体光学多層膜215がコーティングされている。
【0004】放電ランプ212からの放射光の一部(放射光1)がリフレクター210の内面にコーティングされている誘電体光学多層膜215に入射し、この誘電体光学多層膜215にて反射光2と透過光3に分離される。通常、リフレクター210の可視光の透過率は1%以下と小さいが、放電ランプ212は輝度が非常に高いため、絶対値として数10ルックス(lx)以上の光が透過光3としてリフレクター210を透過する。反射光2はリフレクター210から所定の方向に出射されて照明光として使用され、透過光3は不要光となる。
【0005】上記光源ユニットを備えた投写型表示装置では、リフレクター210から出射された光束を光学系により集光して一様な照明光を得、この得られた照明光で液晶パネルやライトバルブなどからなる投写画像形成部に照射することで投射画像を生成し、この生成された投写画像を投写光学系によりスクリーン上に拡大投写する。リフレクター210を透過した透過光3は、スクリーン上でのコントラストを低下させる原因となるとともに、装置本体から漏れるため、使用者に不快感を与えることになる。
【0006】そこで、透過光3を遮光するための種々の提案がなされている。その1つに、光源ユニットにルーバーを一体的に設けたものがある。ルーバーは、複数の薄板を格子状に組んだものであって、光源ユニットを覆うように設けられる。各薄板は、それぞれの間に一定の隙間を有するが、漏れ光(透過光3)を遮光できるようにそれぞれの面が重なり合っている。
【0007】また、ルーバーを用いずに漏れ光を遮光できるものとしては、特開2001−296607号公報に記載された遮光リフレクターがある。図17に、その遮光リフレクターを備える光源ユニットの概略構成を示す。
【0008】図17において、光源ユニットは、光源112と、光源112からの光を反射するリフレクター110とからなる。リフレクター110の内面の反射面はコールドミラーよりなる。リフレクター110の外面には、可視光を吸収し、赤外光を透過する赤外光透過塗料層111が塗布されている。
【0009】光源112からの放射光1は、リフレクター110の内面の反射面にて反射光2と透過光3に分離される。この透過光3には、赤外光成分3aと可視光成分3bがあり、赤外光成分3aは赤外光透過塗料層111をそのまま透過するが、可視光成分3bは赤外光透過塗料層111にて吸収される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】図16に示した従来の光源ユニットには、上述したように漏れ光の問題がある。
【0011】ルーバーを備えるものにおいては、上記漏れ光の問題を解決することができるが、以下のような問題がある。
【0012】光源である放電ランプは発熱量が多く、その発生した熱は光源の寿命を短くするばかりか、光源ユニット近傍に配置される部品に対しても影響を及ぼす。このため、通常は、光源ユニットを冷却するための冷却ファンが設けられる。このように冷却ファンを有する構成の場合、冷却ファンからの冷却風はルーバーの各薄板の隙間を通ることになるため、薄板自体が冷却風の流れの抵抗となって冷却効率が低下するとともに、乱流が生じて騒音が発生する、という問題がある。
【0013】また、最近では、投写型表示装置などは小型化が進み、ルーバーの配置は小型化の面で不利なものとなっている。
【0014】さらに、ルーバーを設けることは、コストアップの要因にもなっている。
【0015】特開2001−296607号公報に記載されたものにおいては、上記ルーバーにおける問題を解決することができるが、以下のような問題がある。
【0016】最近では、投写型表示装置の小型化に伴って、光学部品や電気部品が光源ユニットに隣接して配置されるようになってきたため、赤外光透過塗料層111を透過した赤外光成分3aが周辺の光学部品や電気部品に照射されて光源ユニット周辺の温度が上昇し、それによって表示装置自体の動作が不安定になることが懸念される。
【0017】また、可視光成分3bを赤外光透過塗料層111にて吸収する際に生じる熱により、リフレクター110自体の温度が上昇し、その結果、光源ユニットの温度をさらに上昇させてしまい、光源の信頼性が低下するとともに、隣接する光学部品や電気部品への熱の影響も問題となる。
【0018】さらに、赤外光透過塗料層111とリフレクター110は熱膨張係数が大きく異なるため、加熱、冷却が繰り返される投写型表示装置に用いた場合、赤外光透過塗料層111が剥離してしまう、という問題がある。
【0019】本発明の目的は、ルーバーのような大きな配置スペースを必要とせず、可視光および赤外光のリフレクターからの漏れを低減することのできる、低コストな光源ユニットおよびそれを用いた照明装置を提供することにある。
【0020】本発明の他の目的は、遮光効果および冷却効率を高めることのできる光源ユニットおよびそれを用いた照明装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の光源ユニットは、放電ランプと、内面に反射面を備え、該反射面にて前記放電ランプからの放射光が反射光と透過光に分離されるリフレクターと、前記リフレクターに一体的に設けられた、前記透過光に含まれている可視光成分および赤外光成分を吸収、散乱する遮光手段とを有することを特徴とする。この構成によれば、放電ランプからの放射光のうちの、リフレクターを透過する可視光および赤外光は遮光手段により吸収、散乱されるので、従来のような、可視光や赤外光の漏れによる問題は生じない。また、遮光手段はリフレクターに一体的に設けられていることから、ルーバーのような大きな配置スペースは必要ない。
【0022】上記の発明において、前記リフレクターの外面の所定の部分または全体が凹凸形状になっていてもよい。この構成によれば、リフレクターの外面を凹凸形状にしたことで、放熱による冷却効果が高まり、その結果、遮光手段にて可視光および赤外光を吸収する際に生じる熱による温度上昇が低減される。
【0023】また、前記遮光手段が、前記リフレクターを構成するガラス製筐体に混入された、前記可視光成分および赤外光成分を吸収、散乱する粉末よりなっていてもよい。この構成によれば、リフレクター外面に、従来用いられていたような赤外光透過塗料層のような遮光層を設けなくてよいので、遮光膜の剥がれの問題は生じない。
【0024】さらに、前記リフレクターの外面の所定の部分または全体が凹凸形状になっており、前記遮光手段が、前記リフレクターの外面の所定の部分または全体に形成された、前記可視光成分および赤外光成分を吸収、散乱する粉末を含む遮光層であってもよい。この構成によれば、遮光層が形成される面が凹凸形状になっていることで、その表面積が大きくなり、結果的に、遮光層の接着強度および散乱性能が向上するとともに、この遮光膜に生じる熱を効率良く放熱させることができる。接着強度が増したことで、遮光層が従来の赤外光透過塗料層のように剥がれることはない。
【0025】また、前記遮光手段が、前記リフレクターの外面の所定の部分または全体を覆うように設けられた、前記可視光成分および赤外光成分を吸収、散乱する遮光板であり、該遮光板の内面と前記リフレクターの外面との間に所定の大きさの間隙を有していてもよい。この構成によれば、リフレクターを透過した光の可視光成分および赤外光成分は遮光板で吸収、散乱され、その吸収の際に熱が生じるが、遮光板とリフレクター外面との間にはある程度の隙間があるため、その発生した熱は遮光板の内面おとび外面から放熱される。したがって、従来のように、遮光によりリフレクター自体の温度が上昇して問題となることはない。
【0026】上記の場合、前記遮光板の表面の少なくとも1部が凹凸形状になっていてもよい。この構成によれば、遮光板の表面積が大きくなるため、散乱性能が向上するとともに、可視光成分および赤外光成分の吸収の際に生じる熱を効率良く放熱させることができる。
【0027】本発明の照明装置は、上述したいずれかの光源ユニットと、該光源ユニットから出射された光束を集光して一様な照明光を得る集光光学系とを有することを特徴とする。この構成によれば、上述した光源ユニットと同様な作用を奏することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0029】(実施形態1)図1は、本発明の第1の実施形態である光源ユニットの概略構成を示す縦断面図である。この光源ユニットは、内部に放電ランプ12を備える遮光リフレクター10を有する。放電ランプ12は、両端が封止された管状の石英ガラスバルブ13を有し、この石英ガラスバルブ13の中心部近傍には一対の電極14が設けられている。発光は、これら電極14に挟まれた領域(0.5mm〜2.5mm)において生じる。
【0030】遮光リフレクター10は、グラファイト粉末11が混入されたガラス製筐体よりなる。このガラス製筐体は、石英ガラスバルブ13の発光部中心を焦点とする回転方物面、または回転楕円面に近似した曲面により内面が形成されており、その内面には、反射膜である誘電体光学多層膜15がコーティングされている。
【0031】放電ランプ12の発光部からの放射光1は、遮光リフレクター10の内面に形成された誘電体光学多層膜15に入射する。誘電体光学多層膜15では、放射光1の可視光成分のほとんどが反射光2として反射され、放射光1の可視光成分の一部と赤外光成分が透過光3として透過する。
【0032】透過光3の可視光成分は、そのほとんどが遮光リフレクターのガラス製筐体に混入されたグラファイト粉末11によって吸収される。一方、透過光3の赤外光成分は、グラファイト粉末11によって吸収、散乱されてその一部が透過光4として遮光リフレクター10外へ放出される。この透過光4(赤外光)の光強度は十分に低い。
【0033】図2は、通常のガラス製筐体よりなるリフレクターと本実施形態に用いられている遮光リフレクターとの、漏れ光(可視光)の相対強度の比較結果を示す図で、縦軸に相対強度がとられている。漏れ光(可視光)の強度は、いずれもリフレクター後方で照度計によって測定したものである。本実施形態で使用した遮光リフレクターでは、ガラス製筐体に混入したグラファイト粉末11によって、透過光3の可視光成分のほとんどが吸収されるため、漏れ光(可視光)は通常の場合より大幅に減少している。
【0034】図3は、通常のガラス製筐体よりなるリフレクターと本実施形態に用いられている遮光リフレクターとの、漏れ光(赤外光)の相対強度の比較結果を示す図で、縦軸に相対強度がとられている。漏れ光(赤外光)の強度は、いずれもリフレクター後方で赤外分光計によって測定したものである。本実施形態で使用した遮光リフレクターでは、ガラス製筐体に混入したグラファイト粉末11によって、透過光3の赤外光成分の一部が吸収されるため、漏れ光(赤外光)は通常の場合の半分程度まで減少している。
【0035】以上説明したように、本実施形態の光源ユニットによれば、遮光リフレクター10からの可視光の漏れ光はほとんどない。したがって、投写型表示装置に適用した場合に、漏れ光によってスクリーン上でのコントラストが低下したり、表示装置本体からの漏れ光のために使用者に不快感を与えたりすることはない。また、赤外光の漏れ光の強度も十分に低いものとなっているので、この赤外光の漏れ光によって、光源ユニット周辺の温度が上昇することもない。
【0036】上述の説明では、遮光効果の高いグラファイト粉末11をガラス製筐体に混入した例を挙げたが、可視光を吸収でき、赤外光を吸収、散乱することできるのであれば、グラファイト粉末11に代えて別の粉末を用いてもよい。使用可能な粉末としては、絶縁体粉末または金属粉末もしくはこれらの混合粉末がある。絶縁体粉末としては、グラファイト粉末の他に例えばアルミナ粉末がある。金属粉末としては、例えばタングステン粉末や銅粉末などがある。また、ここで挙げた粉末を2つ以上混合したものをガラス製筐体に混入してもよい。
【0037】可視光および赤外光の漏れ光強度は、ガラス製筐体に混入させる粉末の量によって変化する。粉末の混入量を重量比1%未満とした場合は、可視光および赤外光が透過してしまい、十分な遮光効果を得られない。また、粉末の混入量が重量比50%を超えた場合には、ガラス製筐体の衝撃強度が低下するため、リフレクターとして必要とされる強度が得られない。このため、ランプ破裂時に発生する衝撃によりガラス製筐体にクラックが生じ、リフレクター自体が壊れてしまう。衝撃強度の低下は、混入した粉末がガラス間の結合部分に入り込み、ガラスの粘性が大きく低下するために生じる。このようなことから、粉末の混入量は、重量比1%〜50%の範囲とすることが望ましい。
【0038】(実施形態2)図4は、本発明の第2の実施形態である光源ユニットの概略構成を示す縦断面図である。この光源ユニットは、グラファイト粉末11を用いず、ガラス製筐体の外面にグラファイト層16を形成して遮光リフレクター10を構成した点が上述した第1の実施形態のものと異なる。図4中、同じ部分には同じ符号を付している。
【0039】グラファイト層16は、グラファイト粉末をガラス製筐体の外面にコーティング、または含浸させたものである。本実施形態の光源ユニットにおいても、上述した第1の実施形態の場合と同様、誘電体光学多層膜15を透過した透過光3の可視光成分のほとんどがグラファイト層16にて吸収される。また、透過光3の赤外光成分は、グラファイト層16により吸収、散乱され、その一部が透過光4として遮光リフレクター10外に放出される。
【0040】図5は、通常のガラス製筐体よりなるリフレクターと本実施形態に用いられている遮光リフレクターとの、漏れ光(可視光)の相対強度の比較結果を示す図で、縦軸に相対強度がとられている。漏れ光(可視光)の強度は、いずれもリフレクター後方で照度計によって測定したものである。本実施形態で使用した遮光リフレクター10では、ガラス製筐体の外面に設けられたグラファイト層16によって、透過光3の可視光成分のほとんどが吸収されるため、漏れ光(可視光)は通常の場合より大幅に減少している。
【0041】図6は、通常のガラス製筐体よりなるリフレクターと本実施形態に用いられている遮光リフレクターとの、漏れ光(赤外光)の相対強度の比較結果を示す図で、縦軸に相対強度がとられている。漏れ光(赤外光)の強度は、いずれもリフレクター後方で赤外分光計によって測定したものである。本実施形態で使用した遮光リフレクター10では、ガラス製筐体の外面に設けられたグラファイト層16によって、透過光3の赤外光成分の一部が吸収されるため、漏れ光(赤外光)は通常の場合の半分以下まで減少している。
【0042】以上説明したように、本実施形態の光源ユニットにおいても、遮光リフレクター10からの可視光および赤外光の漏れ光はほとんどない。したがって、投写型表示装置に適用した場合に、漏れ光によってスクリーン上でのコントラストが低下したり、表示装置本体からの漏れ光のために使用者に不快感を与えたりすることはない。また、赤外光の漏れ光の強度も十分に低いものとなっているので、この赤外光の漏れ光によって、光源ユニット周辺の温度が上昇することもない。
【0043】上述の説明では、遮光効果の高いグラファイト粉末を用いた例を挙げたが、可視光を吸収でき、赤外光を吸収、散乱することできるのであれば、グラファイト粉末に代えて別の粉末を用いてもよい。使用可能な粉末としては、絶縁体粉末または金属粉末もしくはこれらの混合粉末がある。絶縁体粉末としては、グラファイト粉末の他に例えばアルミナ粉末がある。金属粉末としては、例えばタングステン粉末や銅粉末などがある。また、ここで挙げた粉末を2つ以上混合したものを用いてもよい。
【0044】粉末を含浸させる場合は、その含浸量によって可視光および赤外光の漏れ光強度が変化する。粉末の含浸量が重量比1%未満の場合は、可視光および赤外光が透過してしまい、十分な遮光効果を得られない。含浸量を多くする場合、ガラスの空孔率を上げる必要があり、空孔率を上げるとガラスの衝撃強度が低下する。空孔率が20%を超えるとリフレクターとして必要とされる強度が得られない。このようなことから、粉末の含浸量は重量比1%〜20%の範囲にすることが望ましい。
【0045】粉末を塗布して遮光層を形成する場合は、遮光層の膜厚によって可視光および赤外光の漏れ光強度が変化する。膜厚が5μm未満の場合は、可視光および赤外光が透過してしまい、十分な遮光効果を得られない。したがって、遮光層の膜厚は5μm以上が望ましい。なお、遮光層は、膜厚が厚いほど高い遮光効果を望めるが、膜厚が2mmを超えると遮光効果が飽和し、それ以上膜を厚くしても大きな遮光効果は得られない。また、ガラスと遮光層との熱膨張率の違いから、あまり遮光層を厚くすると、遮光層の剥れが発生する。このようなことから、遮光層の膜厚は、5μm〜2mmの範囲が望ましい。
【0046】(実施形態3)図7は、本発明の第3の実施形態である光源ユニットの概略構成を示す縦断面図である。この光源ユニットは、グラファイト粉末11やグラファイト層16を用いず、ガラス製筐体の後方(放電ランプ12が固定される側)にアルミナセラミックスよりなる遮光板17を設けて遮光リフレクター10を構成した点が上述した第1および第2の実施形態のものと異なる。図7中、同じ部分には同じ符号を付している。
【0047】遮光板17は、ガラス製筐体の外面側から放電ランプ12の発光部を覆うように配置されている。遮光板17の内面とガラス製筐体の外面との間には所定の大きさの間隙を有する。誘電体光学多層膜15を透過した透過光3の可視光成分は遮光板17にて吸収、散乱される。同様に、透過光3の赤外光成分も、遮光板17にて吸収、散乱される。透過光3の可視光成分および赤外光成分を吸収する際に生じる熱は、遮光板17の内面および外面の両方から放熱される。
【0048】図8は、通常のガラス製筐体よりなるリフレクターと本実施形態に用いられている遮光リフレクターとの、漏れ光(可視光)の相対強度の比較結果を示す図で、縦軸に相対強度がとられている。漏れ光(可視光)の強度は、いずれもリフレクター後方で照度計によって測定したものである。本実施形態で使用した遮光リフレクター10では、ガラス製筐体の後方に設けられた遮光板17によって、透過光3の可視光成分のほとんどが吸収されるため、漏れ光(可視光)は通常の場合より大幅に減少している。
【0049】図9は、通常のガラス製筐体よりなるリフレクターと本実施形態に用いられている遮光リフレクターとの、漏れ光(赤外光)の相対強度の比較結果を示す図で、縦軸に相対強度がとられている。漏れ光(赤外光)の強度は、いずれもリフレクター後方で赤外分光計によって測定したものである。本実施形態で使用した遮光リフレクター10では、ガラス製筐体の後方に設けられた遮光板17によって、透過光3の赤外光成分のほとんどが吸収されるため、漏れ光(可視光)は通常の場合より大幅に減少している。
【0050】以上説明したように、本実施形態の光源ユニットにおいても、遮光リフレクター10の後方側では可視光および赤外光の漏れ光はほとんどない。したがって、投写型表示装置に適用した場合に、漏れ光によってスクリーン上でのコントラストが低下したり、表示装置本体からの漏れ光のために使用者に不快感を与えたりすることはない。また、赤外光の漏れ光の強度も十分に低いものとなっているので、この赤外光の漏れ光によって、光源ユニット周辺の温度が上昇することもない。
【0051】上述の説明では、遮光板17にアルミナセラミックスを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、漏れ光(可視光および赤外光)を十分に吸収できるのであれば、どのような材料を用いてもよい。例えば、アルミナセラミックスに代えて、ジルコニア、金属板(例えば銅板)を使用してもよい。
【0052】以上説明した第1〜第3の実施形態において、それぞれの形態の構成のみでも遮光の効果は十分に得られるが、各形態の構成要素を組み合わせれば相乗的な効果が得られることはいうまでもない。
【0053】(実施形態4)図10は、本発明の第4の実施形態である光源ユニットの概略構成を示す縦断面図である。この光源ユニットは、上述した第1〜第3の実施形態のものに適用されるものであって、リフレクター10’のガラス製筐体の後方部分の外面18に凹凸部19が設けられている。その他の部分は、上述した第1〜第3の実施形態のものと同じである。図10中、同じ部分には、同じ符号を付している。なお、本実施形態における特徴の説明を簡単化するため、遮光部分の構成は省略している。
【0054】凹凸部19は、平面のものに比べて、表面積が大きくなるため、放熱による冷却効果が大きい。したがって、凹凸部19を設けたことで、リフレクター10’自体の温度上昇を軽減することができる。
【0055】また、凹凸部19に遮光層として例えば上述した第2の実施形態で説明したグラファイト層をコーティングした場合、平面のものにそのようなコーティングを施した場合に比べて、グラファイト層の接着強度が増すとともにグラファイト層における光散乱性能が向上する。したがって、凹凸部19を設けることで、グラファイト層の剥がれを防止するとともに、グラファイト層における透過光3の可視光成分および赤外光成分の遮光効果を高めることができる。また、凹凸部19上に形成されるグラファイト層の表面も凹凸形状になることから、可視光成分および赤外光成分を吸収することで生じる熱を効率よく放熱することができる。
【0056】図11は、通常のリフレクター、本実施形態で用いられている凹凸部19付きのリフレクターおよびその凹凸部19にグラファイト層が形成された遮光リフレクターの温度比較結果を示す図で、縦軸にリフレクター外面温度がとられている。この例では、リフレクターの外面に熱電対センサーを取り付けて温度測定を行った。通常のリフレクターでは200℃近くまで上昇するのに対して、凹凸部19付きのリフレクターの場合は、150℃程度と低く、凹凸部19における放熱による冷却効果を十分に得られている。また、遮光リフレクターにおいても、通常のリフレクターに比べて温度が低くなっており、この場合も、凹凸部19における放熱による冷却効果を得られている。
【0057】上記の温度比較結果から分かるように、凹凸部19を設けたことによる熱放出効率の向上は顕著であり、その冷却効果は、上述した第1〜第3の実施形態のものに適用した場合においても、十分な冷却効果を得ることができる。また、冷却ファンからの冷却風を凹凸部19の部分に当てることで、その冷却効果を大幅に増大させることが可能である。
【0058】上述した本実施形態の光源ユニットにおいて、凹凸部19の凹凸形状は、放熱性および接着強度を向上することができるのであれば、どのような形状であってもよい。例えば、凹凸部19の凹凸形状として、図12に示すように凹部が線状に形成されたもの、図13に示すように凹部が網目状に形成されたもの、図14に示すように突起がランダムに設けられたものなどを適用することができる。
【0059】また、図10に示した例では、凹凸部19はリフレクター10’の後方にのみ形成されているが、外面全体に渡って形成されてもよい。
【0060】本実施形態の光源ユニットは、放熱による冷却効果を大幅に改善することができることから、それ自体で特徴的な構成を有するが、上述した第1〜第3の実施形態と組み合わせることによって、遮光効果および熱放出特性改善という相乗的な効果を奏する。第1の実施形態と組み合わせる場合は、遮光リフレクター10の、グラファイト粉末11が混入されたガラス製筐体の外面の一部または全部に凹凸部19が設けられる。第2の実施形態と組み合わせる場合は、遮光リフレクター10の外面の一部または全部に凹凸部19が設けられ、その凹凸部19にグラファイト層16がコーティングまたは含浸により形成される。第3の実施形態と組み合わせる場合は、遮光リフレクター10のガラス製筐体の外面の一部または全部に凹凸部19が設けられる。さらに、この場合は、遮光板17の表面にも凹凸部19を設けることが望ましい。
【0061】(照明装置)上述した本発明の光源ユニットを用いることで、安定性および信頼性に優れた照明装置を実現することができる。この照明装置の主な構成は、上述した第1〜第4の実施形態で説明した光源ユニットと、該光源ユニットから出射された光線を集光して一様な照明光を得る集光光学系とからなる。集光光学系としては、集光レンズの他、レンズアレイの組み合わせなど、種々のレンズを用いることができる。
【0062】本照明装置の一例として、図15に、図1に示した光源ユニットを備える照明装置の一構成例を示す。この照明装置は、光源ユニット310と、一対のレンズアレイ311、312、補正レンズ313からなる集光光学系とから構成されている。レンズアレイ311、312は、それぞれ平板に複数のレンズが二次元配列されたものであって、平坦面が互いに向き合うように対向配置されている。二次元配列されたレンズは、各レンズアレイ311、312間において一対一で対応する。光源ユニット310は図1に示した光源ユニットと同じものである。
【0063】光源ユニット310から出射された光束はレンズアレイ311、312にて複数の部分光束に分割され、部分光束が補助レンズ313にて所定の平面上に重なるように集光される。部分光束の重ね合せにより、より高輝度で、一様な照明光を得られる。
【0064】(投写型表示装置)上述した本発明の光源ユニットを用いることで、安定性および信頼性に優れた投写型表示装置を実現することができる。その主な構成は、上述した第1〜第4の実施形態で説明した光源ユニットと、該光源ユニットから出射された光線を集光して一様な照明光を得る集光光学系と、該集光光学系からの一様な照明光を部分的に透過して投写画像を生成する、液晶パネルやライトバルブなどからなる投写画像形成部とからなる。光源ユニットは従来のものに比べて熱の発生が少なく、また、漏れ光(可視光および赤外光)も十分に低減されているので、集光光学系や投写画像形成部への熱や漏れ光(可視光および赤外光)による影響がない。例えば、可視光がリフレクターから漏れることはないので、スクリーン上で良好なコントラストが得られるとともに、使用者に対して、漏れ光による不快感を生じることがない良好な環境を提供することができる。また、リフレクターを透過する赤外光も十分に低減されるので、光源ユニット周辺における温度上昇を低減することができ、光源ユニットに隣接する集光光学系や投写画像形成部(光学部品や電気部品)の信頼性を高めることができる。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、リフレクターを透過する赤外光が十分に低減されるので、光源ユニット周辺における温度上昇を低減することができ、光源ユニットに隣接する光学部品や電気部品の信頼性を高めることができる。
【0066】さらに、本発明によれば、ルーバーのような冷却風の抵抗となる、大掛かりな装置は必要ないので、低コストで、低騒音の小型の光源ユニットを提供することができる。特に、本発明のうち、絶縁体または金属の粉末を用いるものにおいては、それら粉末をリフレクターのガラス製筐体に混入する、またはリフレクターの外面に塗布する(または含浸させる)だけでよいので、光源ユニットの大きさは遮光機能を持たない通常のものとさほど変わらず、より低コストで小型の光源ユニットを提供することができる。
【0067】本発明のうち、リフレクターの外面を凹凸形状にしたものにおいては、放熱による冷却効果が高められるので、光源ユニット自体の温度上昇を低減することができ、放電ランプの信頼性が従来比べて高くなる。加えて、光源ユニット自体の温度上昇を低減したことで、光源ユニット周辺への熱の影響も少なくなる。
【0068】本発明のうち、遮光層がリフレクターの外面の凹凸形状の部分に形成されるものにおいては、遮光層の接着強度および散乱性能を高めることができるので、より信頼性の高い光源ユニットを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】300022353
【氏名又は名称】NECライティング株式会社
【住所又は居所】東京都品川区西五反田二丁目8番1号
【出願日】 平成14年5月17日(2002.5.17)
【代理人】 【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫 (外3名)
【公開番号】 特開2003−331620(P2003−331620A)
【公開日】 平成15年11月21日(2003.11.21)
【出願番号】 特願2002−143139(P2002−143139)