| 【発明の名称】 |
コアおよび無電極ランプ |
| 【発明者】 |
【氏名】小俣 雄二 【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】数十Hz〜数百Hzといった比較的低い領域の高周波で駆動される無電極ランプにおける励起コイルに適用されるコアを提供すること。
【解決手段】比抵抗値と初透磁率と励起コイルの発生する交流磁界の周波数とで決定される表皮深さの2倍よりも薄い板厚をし、一軸磁気異方性を有する珪素鋼板36を、励起コイルの発生する磁束の内部における通過方向と磁化困難軸方向(矢印40)とがほぼ一致するように、筒状に巻いてコアとする。珪素鋼板36の片面には、絶縁体がコーティングされている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 無電極ランプの励起コイルと共に用いるコアであって、一軸磁気異方性を有し、比抵抗値と初透磁率と前記励起コイルの発生する交流磁界の周波数とで決定される表皮深さの2倍よりも薄い板厚をした軟磁性金属板が、その磁化困難軸方向と前記励起コイルの発生する磁束の通過方向とがほぼ一致する方向に、筒状に複数回巻かれてなる軟磁性金属板筒状体と、前記軟磁性金属板筒状体における軟磁性金属板の少なくとも片面に配された絶縁体層と、を備えたことを特徴とするコア。 【請求項2】 前記絶縁体層は、前記軟磁性金属板表面に絶縁体がコーティングされてなるコーティング層であることを特徴とする請求項1記載のコア。 【請求項3】 前記絶縁体層は、絶縁シートであって、前記軟磁性金属板と重ね合わせた状態で、当該軟磁性金属板と共に巻かれていることを特徴とする請求項1記載のコア。 【請求項4】 無電極ランプの励起コイルと共に用いるコアであって、一軸磁気異方性を有し、比抵抗値と初透磁率と前記励起コイルの発生する交流磁界の周波数とで決定される表皮深さの2倍よりも薄い板厚をした軟磁性金属板が、磁化困難軸方向と前記励起コイルの発生する磁束の通過方向とがほぼ一致するように筒状に丸められてなる径の異なる複数の筒体を、ほぼ同心状に重ねて積層させた軟磁性金属板筒状体と、前記各筒体間に配された絶縁体層と、を備えたことを特徴とするコア。 【請求項5】 さらに、前記軟磁性金属板筒状体と前記励起コイルとの間に配された、軟磁性フェライトからなる筒体を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコア。 【請求項6】 前記軟磁性金属板は、珪素鋼板であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコア。 【請求項7】 前記軟磁性金属板は、軟磁性アモルファス合金からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコア。 【請求項8】 放電物質が封入され、凹部を有する発光管球と、前記凹部に没入された励起コイルとを有する無電極ランプであって、前記励起コイルと共に、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコアが用いられていることを特徴とする無電極ランプ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は電磁誘導結合型放電(H放電)を利用した無電極ランプ、特に無電極コンパクト蛍光灯に関わるものである。 【0002】 【従来の技術】無電極ランプは、文字通り電極を持たないランプであり、電極が寿命を決定する主要素となる蛍光灯などと比較して長寿命であることが大きな特徴であることから近年注目されている。このような無電極ランプのひとつの形態として、円筒状の凹部を有する発光管球と、前記凹部に埋没された励起コイルとを有する構造のものがある。そして、当該コイルに高周波(数MHz〜数十MHz程度)の交流電流を流すことで、発光管球内に交流磁界を発生させると、当該交流磁界によって発光管球内に封入された不活性ガス及びHgのガスプラズマが形成され、この際に発生される紫外線によって発光管球内壁に塗布された蛍光体から励起された可視光を発生させるものである。 【0003】前記励起コイルには、磁芯として、従来、軟磁性フェライト(MnZnフェライトやNiZnフェライト)から成る円筒形コアが挿入されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の無電極ランプでは、数MHz〜数十MHzといった非常に高い領域の高周波の交流電力で駆動しているため、当該電力を創出する高周波回路を構成する電子部品の耐久性が低下したり、あるいは、励起コイルからの不要輻射や電源ノイズに対する対策を講じる必要があるためコスト高になっているといった問題がある。また、国内においては、電気安全法等の法規制によって使用しづらいといったこともある。 【0005】そこで、数十〜数百kHz程度で発光する無電極ランプ仕様が考えられるが、その励起コイルに対し上記した軟磁性フェライトコアを用いるのは、以下の理由から得策ではない。すなわち、数百kHz程度の高周波であれば、コア材料として軟磁性金属を使用できる可能性が出てくるのであるが、上記軟磁性フェライトでは、軟磁性金属材料と比較して飽和磁束密度が1/2〜1/4程度と低く、また、キュリー温度も軟磁性金属材料と比較して低いからである。さらに、軟磁性フェライトは、軟磁性金属と比べて、コスト面(コアとしての単価)やランプの軽量化といった面からも不利だからである。 【0006】しかしながら、コア材料を軟磁性フェライトから軟磁性金属に単純に置換えただけでは、たとえ数十〜数百kHz程度といえども高周波であるため渦電流に起因する損失が大きくて実用上大変に使用しにくい。本発明は、上記の課題に鑑み、渦電流に起因する損失を効果的に低減させることによって、無電極ランプの励起コイルに適用することのできる軟磁性金属からなるコアおよび当該コアを有する無電極ランプを提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明に係るコアは、無電極ランプの励起コイルと共に用いるコアであって、一軸磁気異方性を有し、比抵抗値と初透磁率と前記励起コイルの発生する交流磁界の周波数とで決定される表皮深さの2倍よりも薄い板厚をした軟磁性金属板が、その磁化困難軸方向と前記励起コイルの発生する磁束の通過方向とがほぼ一致する方向に、筒状に複数回巻かれてなる軟磁性金属板筒状体と、前記軟磁性金属板筒状体における軟磁性金属板の少なくとも片面に配された絶縁体層とを備えたことを特徴とする。 【0008】また、前記絶縁体層は、前記軟磁性金属板表面に絶縁体がコーティングされてなるコーティング層であることを特徴とする。また、前記絶縁体層は、絶縁シートであって、前記軟磁性金属板と重ね合わせた状態で、当該軟磁性金属板と共に巻かれていることを特徴とする。上記の目的を達成するため、本発明に係るコアは、無電極ランプの励起コイルと共に用いるコアであって、一軸磁気異方性を有し、比抵抗値と初透磁率と前記励起コイルの発生する交流磁界の周波数とで決定される表皮深さの2倍よりも薄い板厚をした軟磁性金属板が、磁化困難軸方向と前記励起コイルの発生する磁束の通過方向とがほぼ一致するように筒状に丸められてなる径の異なる複数の筒体を、ほぼ同心状に重ねて積層させた軟磁性金属板筒状体と、前記各筒体間に配された絶縁体層とを備えたことを特徴とする。 【0009】また、さらに、前記軟磁性金属板筒状体と前記励起コイルとの間に配された、軟磁性フェライトからなる筒体を有することを特徴とする。また、前記軟磁性金属板は、珪素鋼板であることを特徴とする。また、前記軟磁性金属板は、軟磁性アモルファス合金からなることを特徴とする。 【0010】上記の目的を達成するため、本発明に係る無電極ランプは、放電物質が封入され、凹部を有する発光管球と、前記凹部に没入された励起コイルとを有する無電極ランプであって、前記励起コイルと共に、上記コアが用いられていることを特徴とする。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。 (実施の形態1)図1は、実施の形態1に係る、電磁誘導結合型放電(H放電)を利用した無電極蛍光ランプ(以下、単に「無電極ランプ」と言う。)10の一部切り欠き縦断面図である。 【0012】無電極ランプ10は、透光性ガラスからなり、内壁に蛍光体が塗布されてなる発光管球12を有している。当該発光管球12内には、水銀(Hg)と不活性ガスである例えばクリプトン(Kr)ガスとが放電物質として封入されている。発光管球12は、円筒状をした凹部14を有している。上記凹部14に没入する形で、励起コイル18が外周に巻回されたコア20が設けられている。 【0013】コア20の内周側には、コア20の過熱を防止するための放熱手段として、アルミ製ヒートシンク22の円筒部24が挿入されている。ヒートシンク22は、前記円筒部24に延設されたカップ状部26を有しており、当該カップ状部26が、合成樹脂製の回路ケース28に固定されている。回路ケース28内には、励起コイル18と接続され、当該励起コイル18に高周波の交流電流を流すための高周波駆動回路30が収納されている。 【0014】また、回路ケース28には、一般の白熱電球と同規格の口金32が取り付けられており、商用電源からの電力が当該口金32を介して前記高周波駆動回路30に供給される。上記の構成からなる無電極ランプ10において、高周波駆動回路30から励起コイル18に高周波の励磁電流を流すことで、発光管球12内に封入された水銀を含む封入ガス(Hg+Kr)が主に図中34で示す領域にプラズマ放電を形成し、このプラズマ(封入ガス)が2次コイルとして励起コイル18と電気的に結合して、その放電状態が安定することとなる。当該放電によって、水銀から紫外線が放出され、当該紫外線によって発光管球12内壁に塗布された蛍光体が励起されて可視光線が発生する。なお、本実施の形態において、励起コイル18に通電する交流電流の周波数は、75〜450[kHz]の範囲で設定される。 【0015】図2は、励起コイル18が巻回されたコア20の概略構成を示す斜視図である。なお、図中、励起コイル18は、便宜上単線で描いているが、実際は、リッツ線と称される撚り線である。当該撚り線が、円筒状をしたコア20の長手方向ほぼ中央部の外周に、コア20の軸心方向と直交する方向に巻回されて励起コイル18が形成されている。なお、巻数は40[ターン]であり、コア20の軸心方向約15(=L1)[mm]に渡って巻回されている。 【0016】コア20は、後述するように、軟磁性金属からなる薄帯が複数回(本例では、約10回)円筒状に密着して巻かれてなるものであり、当該コア20の主要寸法は、全長L2が45[mm]、外径φ1が15[mm]、肉厚T1が約0.8[mm]である。図3は、上記コア20の素材として用いられる軟磁性金属板を示す図である。本実施の形態では、軟磁性金属板として、電磁鋼板の一種である珪素鋼板36を用いており、その片面には絶縁体がコーティングされて、絶縁体層が形成されている。なお、片面のみならず両面に絶縁体をコーティングすることとしても構わない。珪素鋼板36は、珪素(Si)含有量3[wt%]で板厚0.08[mm]のものが用いられる。3[wt%]のものを用いるのは、この含有量のものが他の含有量のものと比較して、市場に一般的によく出まわっており、入手しやすいからである。板厚は、以下に記す観点から決定される。 【0017】すなわち、珪素鋼板36の板厚は、表皮深さとの関係で決定される。高周波の磁界が、渦電流の発生によって導体の表面近くだけに局在し、内部に浸入しない現象を表皮効果と言うが、表皮深さとは、導体表面における磁界の強さが1/e(e:自然対数の底)にまで減衰する深さ(表面からの深さ)を言う。導体が薄板の場合、表皮深さδは下記の近似式で得られる。 【0018】 δ=[(2×ρ)/(2×π×f×μi・μ0)]1/2 … ■ρ:導体の比抵抗値f:磁界の周波数(励起コイルに流す交流電流の周波数) μi:導体の初透磁率μ0:真空の透磁率(=4π×10-7) 珪素鋼板の板厚は、古典的な渦電流による効果を考慮すると、■式で定まる表皮深さよりも薄くする必要がある。また、本実施の形態では、円筒状に巻かれた珪素鋼板36の外周に励起コイルを配することとしている関係上、珪素鋼板36には、その両面から磁界が浸入することとなる。したがって、珪素鋼板36の板厚は、表皮深さの2倍よりも薄くすればよいことになる。ここで、珪素鋼板36の比抵抗値ρは、47[μΩ・cm]であり、初透磁率μiは、400なので、fを100[kHz]とすると■式より表皮深さδは0.054[mm]となる。当該表皮深さδの2倍の値0.108[mm]を考慮し、これよりも十分に薄くなる値をとって、板厚0.08[mm]としたものである。なお、珪素鋼板36の片面又は両面に絶縁体のコーティング層を形成することとしたのは、珪素鋼板36を密着して巻くと、絶縁層が無い場合、電気的には実効的に板厚が増えたのと同じこととなり、上記のようにして板厚を決定した趣旨を没却してしまうからである。 【0019】上記珪素鋼板36は、例えば、鋼板メーカによって製造される一軸磁気異方性を有する圧延珪素鋼帯を圧延方向(磁化容易軸方向)との関係で定まる適当な方向に適当な寸法で切り出すことによって準備される。圧延によって製造される一軸磁気異方性の珪素鋼帯は、その圧延方向が磁化容易軸方向となり、圧延方向と直交する方向が磁化困難軸方向となる。このような珪素鋼帯を磁化容易軸方向(圧延方向・珪素鋼帯の長手方向)が長手方向となるように、帯状に切り出して珪素鋼板36とする。 【0020】したがって、切り出された珪素鋼板36は、図3に矢印で示すように、長手方向が磁化容易軸方向(矢印38)、幅方向が磁化困難軸方向(矢印40)となる。なお、珪素鋼板36の幅L3(=L2)は45[mm]で、全長L4は450[mm]である。上記のようにして準備された珪素鋼板36を、矢印42で示すように長手方向にロール状に巻き取って、図2に示したような円筒状とする(この場合、約10巻となる)。すなわち、磁化困難軸の方向が、円筒の軸心方向とほぼ一致するように巻き取るのである。換言すれば、磁化困難軸の方向が、励起コイル18の発生する磁束の珪素鋼板36内部における通過方向とほぼ一致するように巻き取るのである。この場合、円筒状とした珪素鋼板36外周に励起コイルを巻く関係上、絶縁体のコーティング層が外側となるように巻き取ることが好ましい。 【0021】このように、珪素鋼板36の磁化困難軸の方向を珪素鋼板36内部における磁束の通過方向とほぼ一致させるのは、以下に説明するように、異常渦電流による電力損失を可能な限り低減させるためである。ここで、電力損失に関し、磁束の通過方向と磁化困難軸の方向との関係および磁気異方性の有無との関係を確認するための試験を行った。 【0022】当該試験のため、上記したコア20の他に2種類のコアを準備した。以下、当該2種類のコアの内、一方を第1比較コア、もう一方を第2比較コアと言うこととする。両比較コアとも、コア20と同じ形状をしたコアであり、同量の珪素含有量を有する珪素鋼板で作成したものであるが、以下の点においてコア20と異なっている。 【0023】第1比較コアは、コア20とは、磁束の通過方向に対する磁化困難軸のとりかたが異なっている。すなわち、コア20では、磁束の通過方向と磁化困難軸の方向とをほぼ一致させることとしたが、第1比較コアは、(磁化困難軸と直交する)磁化容易軸方向を磁束の通過方向方向に一致させることとした。第2比較コアは、磁気異方性の無い珪素鋼板、すなわち、磁気的に等方な珪素鋼板を用いて作成されたものである。 【0024】コア20、第1比較コアおよび第2比較コアの各々に、図2で示したのと同様に巻線をして励起コイルを作成した。そして、各励コイルに100[kHz]の交流電流を、電流の大きさを変化させながら流し、発生する磁束の磁束密度と電力損失とを測定した。測定結果を図4に示す。図4は、横軸に磁束密度[T]、縦軸に電力損失[W]をとったグラフである。なお、電力損失は、後述する異常渦電流損を含んだ総損失である。 【0025】図4から、同じ磁束密度であれば、第1比較コア、第2比較コア、コア20の順に電力損失が大きいことがわかる。この差は、専ら、下記する異常渦電流損失の大きさの違いによるものと考えられる。磁性体の磁化は、磁区内における磁化回転機構、および、磁区間を隔てる磁壁の移動によってなされる。そして、磁壁の移動による磁化の方が磁化回転機構による磁化よりも損失が大きくなる(磁壁の移動に起因する損失を「異常渦電流損失」という)。 【0026】磁束の通過方向を磁化困難軸方向にとった場合(コア20)、磁性体の磁化機構は、磁化回転機構が支配的となる。一方、磁束の通過方向を磁化容易軸方向にとった場合(第1比較コア)、磁性体の磁化機構は、磁壁の移動が支配的となる。その結果、コア20の方が、第1比較コアよりも異常渦電流損失による電力損失が低減されるのである。 【0027】また、等方性の第2比較コアと比べても、コア20の磁化機構は、磁化回転によるものがより支配的となる。その結果、コア20の異常渦電流損は、第2比較コアよりも低減されるのである。また、図4から、各種コア間における電力損失の差は、磁束密度が高くなるほど開いているのがわかる。これは、異常渦電流損の大きさは、磁壁の移動距離に依存していることに起因する。すなわち、同じ周波数(100[kHz])の交流電流であれば、電流値が大きくなるほど(励磁界の振幅が大きくなるほど)、磁壁の移動は幅広くなり、その結果、異常渦電流損が増大することとなるからである。 【0028】以上説明したように、実施の形態1に係るコア20は、軟磁性金属を使用したものでありながら、渦電流(古典的渦電流および異常渦電流)に起因する損失が効果的に低減されており、75〜450[kHz]といった比較的低い高周波領域で点灯される無電極ランプにおける励起コイルのコアとして用いられ得るものとなっている。 【0029】また、従来、無電極ランプに用いられてきた軟磁性フェライト(MnZnフェライト)のキュリー温度が約230℃であるのに比べ、珪素鋼板のキュリー温度が約700℃と500℃近く高いので、温度特性的に、より安定な無電極ランプとなる。さらに、珪素鋼板の飽和磁束密度は1.7[T]であり、これは、MnZnフェライトの4倍近い値であることから、磁気飽和が起こりにくく、また、MnZnフェライトと同等の磁束の量を得るだけなら、円筒体状のコアの肉厚を、MnZnフェライトの場合の約1/4程度に薄くできることとなる。その結果、コアの軽量化、ひいては、無電極ランプ全体の軽量化を図ることができる。 【0030】なお、上記実施の形態では、珪素鋼板36の片面に絶縁体のコーティング層を形成することとしたが、当該コーティング層に代えて、絶縁体からなるフィルム状のシート(以下、「絶縁シート」と言う。)44を用いてもよい。当該絶縁シート44には、厚さ80[μm]のものを用いる。その大きさは、珪素鋼板36と同じ、すなわち、幅45[mm]、全長450[mm]とする。 【0031】そして、図5に示すように、当該絶縁シート44を珪素鋼板36に重ねた状態で巻き取って、コアとするのである。さらに、珪素鋼板44を2枚の絶縁シート44でサンドイッチ状態に挟んだ状態で巻き取ることとしても構わない。 (実施の形態2)実施の形態2に係る無電極ランプは、コアの材質が異なる他は、実施の形態1と基本的に同じ構成である。したがって、共通部分の説明は省略し、コアを中心に説明する。 【0032】実施の形態1では、珪素鋼板36を用いてコアを作製したが、実施の形態2では、珪素鋼板36に代えて、一軸磁気異方性を有する軟磁性アモルファス合金板(以下、単に「アモルファス合金板」と言う。)46を用いることとした。アモルファス合金板46は、例えば、FeCoSiB系アモルファス合金の超急冷薄帯(以下、「アモルファス合金薄帯」と言う。)から切り出される。なお、アモルファス合金薄帯の一軸磁気異方性は、アモルファス材料における結晶化温度未満の温度の下、一軸の静磁界中にて適当な熱処理を施すことによって得られるものである。 【0033】アモルファス合金板46は、アモルファス合金薄帯を、珪素鋼板36の場合と同様、磁化容易軸方向が長手方向となるように、幅L3=45[mm]、全長L4=400[mm]の帯状に切り出して得る(図3参照)。なお、用いるアモルファス合金薄帯の厚さ(アモルファス合金板46の板厚)は、約0.05[mm]である。この厚さは、言うまでもなく、FeCoSiB系アモルファス合金における表皮深さの2倍の値よりも小さな値である。 【0034】図5で説明したのと同様にし、上記のようにして得られるアモルファス合金板46に同じ大きさの絶縁シート48を重ねた状態で巻き取って、筒状体をしたコア50(図2参照)を作成する。なお、巻数は約8巻、外径φ1は15[mm]、肉厚T1は約0.05[mm]である(図2参照)。ここで、アモルファス合金の場合についても、電力損失に関する、磁束の通過方向と磁化困難軸方向との関係および磁気異方性の有無との関係を確認すべく、実施の形態1と同様の試験を行った。 【0035】すなわち、上記アモルファス合金薄帯から、磁化容易軸方向を磁束の通過方向とほぼ一致させて作製した第3比較コアと、磁気的に等方なアモルファス合金薄帯を用いて作製した第4比較コアとを準備し、コア50、第3比較コアおよび第4比較コアについて、実施の形態1の場合と同様の条件で試験を行った。試験の結果を図6に示す。図6から、コア50は、第3比較コアおよび第4比較コアよりも電力損失が少なくなっているのがわかる。すなわち、磁性体内部における磁束の通過方向と磁化困難軸の方向をほぼ一致させることよって電力損失を低減できることが、アモルファス合金においても確認されたこととなる。 【0036】以上説明したように、実施の形態2に係るコア50も、軟磁性金属を使用したものでありながら、渦電流(古典的渦電流および異常渦電流)に起因する損失が効果的に低減されており、75〜450[kHz]といった比較的低い高周波領域で点灯される無電極ランプにおける励起コイルのコアとして用いられ得るものとなっている。 【0037】また、アモルファス合金のキュリー温度は約380℃であり、MnZnフェライトのキュリー温度よりも約150℃高いので、温度特性的に、より安定な無電極ランプとなる。さらに、アモルファス合金の飽和磁束密度は1.6[T]と、MnZnフェライトの3〜4倍ことから、磁気飽和が起こりにくく、また、MnZnフェライトと同等の磁束の量を得るだけなら、円筒体状のコアの肉厚を、MnZnフェライトの場合の約1/3〜約1/4程度に薄くできることとなる。その結果、実施の形態1の場合と同様、コアの軽量化、ひいては、無電極ランプ全体の軽量化を図ることができる。 【0038】なお、上記の例では、アモルファス合金板46に絶縁シート48を重ねて巻いてコア50を作製したが、これに限らず、実施の形態1の場合と同様、アモルファス合金板46の片面または両面に絶縁体をコーティングしたものを巻いてコアを作製することとしても構わない。 (実施の形態3)実施の形態3に係る無電極ランプは、コアの構造が若干異なる他は、実施の形態1および実施の形態2と基本的に同じ構成である。したがって、共通部分の説明は省略し、コアを中心に説明する。 【0039】実施の形態3では、実施の形態1や実施の形態2で使用した軟磁性金属板を用いて、図7に示すように、互いに径の異なる円筒体を複数個(本例では10個)準備し、これらの円筒体52,54,56,58,…(図7では、10個の内4個のみを描いている)を、ほぼ同心円状に重ねて積層して、コアを作製することとした。なお、図7は、各円筒体を完全に重ね合わせる前の状態を示している。 【0040】上記コアは、例えば、以下のようにして作製される。先ず、同じ幅で全長が少しづつ異なる軟磁性金属板を10枚作製する。当該軟磁性金属板の片面には、絶縁体がコーティングされている。これら軟磁性金属板をその長手方向(全長方向)に一重に丸めて円筒状にする。そして、円筒形状になった軟磁性金属板を、その径の大きい順に、合成樹脂製の円筒体(不図示)へ挿入していく。このとき、コーティング面の向きが各磁性金属板間で揃うようにする。このようにすることで、合成樹脂製の前記円筒体(以下、「ボビン」と言う。)内に円筒状をしたコアが作製されることとなる。 【0041】そして、励起コイルは、ボビンの外周に銅線を巻回して作製することとする。なお、上記の例では、軟磁性金属板の片面に絶縁体をコーティングすることとしたが、両面にコーティングすることとしても構わない。さらに、コーティングに代えて、絶縁シートを前記各円筒体間に配することとしても構わない。 (実施の形態4)実施の形態4に係る無電極ランプも、コアの構造が異なる他は、実施の形態1〜3と基本的に同じ構成である。したがって、共通部分の説明は省略し、コアを中心に説明する。 【0042】実施の形態4では、図8に示すように、実施の形態1〜3で作製した軟磁性金属板からなる円筒状体(コア20やコア50等)60に、軟磁性フェライトから成る円筒体62を外挿したものをコア64としている。軟磁性フェライトには、例えば、MnZnフェライトを用いる。電磁誘導結合放電型無電極ランプには、始動時に、定常点灯時の数倍から十数倍の大きさの電流を極短時間始動電流として励起コイルに流すものがある。このような無電極ランプの場合、軟磁性フェライト円筒体のみであった従来のコアに、上記軟磁性金属板からなる円筒状体60を挿入することによって、軟磁性フェライト円筒体だけでは磁気飽和してしまって不足する磁束の量を、軟磁性金属板からなる当該円筒状体60によって補填することが可能となる。その結果、始動特性が改善されることとなる。 【0043】なお、上記の例では、内側に軟磁性金属板からなる円筒状体60を、外側に軟磁性フェライト円筒体62を配することとしたが、内・外の順をこの逆にすることは好ましくない。すなわち、励起コイルと軟磁性フェライト円筒体との間に軟磁性金属板筒状体が存在することとなると、当該軟磁性金属板筒状体による磁気的なシールド効果によって、軟磁性フェライト円筒体に及ぶ磁界の強さが低減されてしまうからである。また、内側に軟磁性金属板からなる円筒状体60を、外側に軟磁性フェライト円筒体62を配することにより、軟磁性フェライト円筒体60から軟磁性金属板筒状体60に伝達される熱が、ヒートシンク22(図1参照)によって効果的に放熱されることとなるからである。 【0044】以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記した実施の形態に限らないことは言うまでもなく、例えば、以下のような形態とすることもできる。 (1)上記実施の形態では、珪素鋼板として圧延によって磁気異方性(一軸磁気異方性)を獲得するものを用いたが、これに限らず、他の製造方法によって一軸磁気異方性を呈することとなる珪素鋼板を用いてもよい。例えば、珪素鋼板表面をレーザー処理して小さな表面起伏を形成することにより、磁区構造を微細にし、且つ磁区の整列方向を制御する技術(オーム社刊「OHM」1972年2月号掲載記事:田口、板倉、山本 共著)による珪素鋼板を用いてもよい。 (2)上記実施の形態では、軟磁性アモルファス合金として、FeCoSiB系のものを用いたが、これに限らず、例えば、FeSiB系やCoFeB系のものを用いても良い。 (3)上記実施の形態では、発光管球において励起コイルが没入される凹部は円筒状をしていたが、凹部の形状はこれに限定されるものではない。例えば、円柱状をしていても構わない。 (4)上記実施の形態1,2および4では、コアに銅線(撚り線)を直接巻回することとしたが、これに限らず、実施の形態3で紹介したように、ボビンに銅線(撚り線)を巻回し、当該ボビンにコアを挿入配置させることとしても構わない。 【0045】 【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るコアによれば、渦電流(古典的渦電流および異常渦電流)に起因する損失が効果的に低減されているので、軟磁性金属から成るものでありながら無電極ランプの励起コイルに適用可能なものとなっている。また、従来の軟磁性フェライトから成るコアよりもキュリー温度が低く、かつ飽和磁束密度の高いものとなっている。 【0046】したがって、上記コアが適用される本発明に係る無電極ランプは、軟磁性フ+ェライトが用いられる従来の無電極ランプと比較して、温度特性的により安定であり、かつコアの軽量化が図られる分、全体として軽量化を図ることができる。また、本発明に係る無電極ランプは、軟磁性フェライトコアを用いたものよりも相当安価に製造することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005821 【氏名又は名称】松下電器産業株式会社 【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地
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| 【出願日】 |
平成14年5月14日(2002.5.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090446 【弁理士】 【氏名又は名称】中島 司朗
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| 【公開番号】 |
特開2003−331602(P2003−331602A) |
| 【公開日】 |
平成15年11月21日(2003.11.21) |
| 【出願番号】 |
特願2002−139145(P2002−139145) |
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