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【発明の名称】 車両用前照灯
【発明者】 【氏名】松本 昭則
【住所又は居所】静岡県清水市北脇500番地 株式会社小糸製作所静岡工場内

【氏名】内田 直樹
【住所又は居所】静岡県清水市北脇500番地 株式会社小糸製作所静岡工場内

【氏名】山村 聡志
【住所又は居所】静岡県清水市北脇500番地 株式会社小糸製作所静岡工場内

【要約】 【課題】プロジェクタ型の車両用前照灯において、光束ロスを生じることなく、オーバヘッドサイン照射に適した形状および明るさを有する配光パターンが得られるようにする。

【解決手段】リフレクタ14からの反射光の一部を遮蔽するシェード20の上端縁近傍部位に、開口部20bを形成する。これにより、開口部20bを介して前方へ照射される光によって、オーバヘッドサイン照射に適した位置に、該開口部20bの開口形状に対応した形状の配光パターンを形成するようにする。また、シェード20の後面に、その上端縁20aと開口部20bとの間から後方へ向けて斜め下方へ延びるひさし状遮光板22を設ける。これにより、リフレクタ14からの反射光のうち反射面14aの下部反射領域14aBからの反射光のみを開口部20bに入射させるようにし、オーバヘッドサイン照射光Bの光束が過大となるのを防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両前後方向に延びる光軸上に配置された光源と、この光源からの光を前方へ向けて上記光軸寄りに反射させるリフレクタと、このリフレクタの前方に設けられた投影レンズと、この投影レンズと上記リフレクタとの間に設けられ、該リフレクタからの反射光の一部を遮蔽して上向き照射光を除去するシェードとを備えてなる車両用前照灯において、上記シェードの上端縁近傍部位に、該シェードを貫通する所定形状の開口部が形成されており、上記シェードの後面に、該シェードの上端縁と上記開口部との間から後方へ向けて斜め下方へ延びるひさし状遮光板が設けられている、ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】 上記リフレクタの反射面における上記ひさし状遮光板の斜め下方延長面との交線位置よりも下方の領域に、上記光源からの光を上記開口部へ向けて反射させる少なくとも1つの反射素子が形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
【請求項3】 上記反射面における上記反射素子の周辺領域に、複数の拡散反射素子が形成されている、ことを特徴とする請求項2記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、いわゆるプロジェクタ型の車両用前照灯に関するものであり、特に、オーバヘッドサイン(頭上標識)の照射を行い得るように構成された車両用前照灯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、プロジェクタ型の車両用前照灯は、車両前後方向に延びる光軸上に配置された光源からの光をリフレクタにより前方へ向けて光軸寄りに反射させ、この反射光をリフレクタの前方に設けられた投影レンズを介して灯具前方へ照射するように構成されている。
【0003】そして、このプロジェクタ型の車両用前照灯をロービーム照射用として構成する場合には、図8に示すように、投影レンズ2とリフレクタ4との間にリフレクタ4からの反射光の一部を遮蔽して上向き照射光を除去するシェード6を設けることにより、所定のカットオフラインCL´を有するロービーム配光パターンP´で前方へビーム照射を行うようになっている。
【0004】このようなプロジェクタ型の前照灯においては、シェード6により上向き照射光が略完全に除去されてしまうため、車両前方路面の上方に設置されたオーバヘッドサインOHSが良く見えなくなってしまう。
【0005】そこで従来、図9に示すように、シェード6の前面における上端縁近傍部位に、前方へ向けて斜め下方へ延びる突起片8を取り付け、この突起片8によりリフレクタ4からの反射光の一部を上方側へ偏向反射させて、投影レンズ2から上向きのオーバヘッドサイン照射光B´を出射させる工夫もなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の車両用前照灯においては次のような問題がある。
【0007】すなわち、リフレクタ4からの反射光の一部を突起片8で再度反射させることによりオーバヘッドサイン照射光B´を得るようになっているので、スポット的な配光パターンしか形成することができず、オーバヘッドサイン照射に適した形状および明るさを有する配光パターンを得ることが容易でない、という問題がある。
【0008】また、本来ロービーム配光パターンP´を形成するために利用可能な光束の一部がオーバヘッドサイン照射光B´として使われてしまうので、その分だけ光束ロスを生じてしまう、という問題もある。
【0009】本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、プロジェクタ型の車両用前照灯において、光束ロスを生じることなく、オーバヘッドサイン照射に適した形状および明るさを有する配光パターンを得ることができる車両用前照灯を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願発明は、オーバヘッドサイン照射光の生成構造に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0011】すなわち、本願発明に係る車両用前照灯は、車両前後方向に延びる光軸上に配置された光源と、この光源からの光を前方へ向けて上記光軸寄りに反射させるリフレクタと、このリフレクタの前方に設けられた投影レンズと、この投影レンズと上記リフレクタとの間に設けられ、該リフレクタからの反射光の一部を遮蔽して上向き照射光を除去するシェードとを備えてなる車両用前照灯において、上記シェードの上端縁近傍部位に、該シェードを貫通する所定形状の開口部が形成されており、上記シェードの後面に、該シェードの上端縁と上記開口部との間から後方へ向けて斜め下方へ延びるひさし状遮光板が設けられている、ことを特徴とするするものである。
【0012】上記「光源」の具体的構成は特に限定されるものではなく、放電バルブの放電発光部であってもよいし、ハロゲンバルブ等の白熱バルブのフィラメント等であってもよい。
【0013】上記「開口部」は、シェードの上端縁近傍部位において該シェードを貫通するように形成されたものであれば、その開口形状は特に限定されるものではなく、狙いとするオーバヘッドサイン照射用の配光パターンの形状等に応じて適宜設定することが可能である。
【0014】上記「ひさし状遮光板」は、シェードの後面に設けられ、該シェードの上端縁と開口部との間から後方へ向けて斜め下方へ延びるものであれば、その形状、大きさ等の具体的構成は特に限定されるものではない。また、この「ひさし状遮光板」は、シェードと一体で構成されたものであってもよいし、別体で構成されたものであってもよい。
【0015】
【発明の作用効果】上記構成に示すように、本願発明に係る車両用前照灯は、投影レンズとリフレクタとの間に設けられたシェードにより、リフレクタからの反射光の一部を遮蔽して上向き照射光を除去するように構成されているが、シェードの上端縁近傍部位には該シェードを貫通する所定形状の開口部が形成されるとともに、シェードの後面には該シェードの上端縁と開口部との間から後方へ向けて斜め下方へ延びるひさし状遮光板が設けられているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0016】すなわち、シェードに入射するリフレクタからの反射光のうち、開口部に入射した光については該開口部を介して前方へ照射されるが、この開口部はシェードの上端縁近傍部位に形成されているので、該開口部からの照射光によって、オーバヘッドサイン照射に適した位置に、該開口部の開口形状に対応した形状の配光パターンを形成することができる。
【0017】その際、シェードの後面には、該シェードの上端縁と開口部との間から後方へ向けて斜め下方へ延びるひさし状遮光板が設けられているので、リフレクタからの反射光のうち反射面の下部反射領域からの反射光のみを開口部に入射させるようにすることができる。そしてこれにより、開口部を介して前方へ照射される光束を制限することができるので、オーバヘッドサイン照射光の光束が過大となって対向車ドライバ等にグレアを与えてしまうのを防止することができる。
【0018】このように本願発明によれば、プロジェクタ型の車両用前照灯において、光束ロスを生じることなく、オーバヘッドサイン照射に適した形状および明るさを有する配光パターンを得ることができる。そしてこれによりオーバヘッドサインの視認性を高めることができる。
【0019】上記構成において、反射面の下部反射領域は、プロジェクタ型の車両用前照灯におけるリフレクタの通常の反射面形状を有するものとしてもよいが、反射面における遮光板の斜め下方延長面との交線位置よりも下方の領域に、光源からの光を開口部へ向けて反射させる少なくとも1つの反射素子を形成するようにすれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0020】すなわち、本願発明に係る車両用前照灯は、ひさし状遮光板が設けられていることにより、反射面の下部反射領域内に、ロービーム配光パターンの形成に全く寄与しない反射領域(すなわち反射光がシェードの上方を通って前方へ向かうことのない反射領域)を生成することができる。そして、この反射領域に関してはオーバヘッドサイン照射のみを考慮した反射面形状とすることができる。
【0021】そこで、反射面における遮光板の斜め下方延長面との交線位置よりも下方の領域に、光源からの光を開口部へ向けて反射させる少なくとも1つの反射素子を形成するようにすれば、オーバヘッドサイン照射に適した光度分布を有する配光パターンを得ることができ、これによりオーバヘッドサインの視認性を一層高めることができる。
【0022】その際、反射面における上記反射素子の周辺領域に、複数の拡散反射素子を形成するようにすれば、該周辺領域からの反射光のうち開口部を介して前方へ照射される反射光の割合を小さくすることができるので、該周辺領域からの反射光によってオーバヘッドサイン照射用の配光パターンが不用意に拡大してしまうのを防止することができ、これによりグレア光が発生してしまうのを未然に防止することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0024】図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用前照灯を示す正面図であり、図2は、その側断面図である。
【0025】これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用前照灯10は、プロジェクタ型の車両用前照灯であって、図7に示すようなオーバヘッドサイン照射用の配光パターンPohsが付加形成されたロービーム配光パターンP(これについては後述する)で前方へビーム照射を行うように構成されている。
【0026】この車両用前照灯10は、光源バルブ12と、リフレクタ14と、ホルダ16と、投影レンズ18と、シェード20と、ひさし状遮光板22とを備えてなっている。
【0027】光源バルブ12は、いわゆるH7ハロゲンバルブであって、そのフィラメント12a(光源)が車両前後方向(正確には車両前後方向に対して0.5〜0.6°程度下向きの方向)に延びる光軸Axと同軸で配置されるようにしてリフレクタ14に取り付けられている。
【0028】リフレクタ14は、光軸Axを中心軸とする略楕円球面状の反射面14aを有している。この反射面14aは、その下部反射領域14aB(これについては後述する)以外の一般反射領域14aAが、光軸Axを含む断面形状が楕円で形成されており、その離心率が鉛直断面から水平断面へ向けて徐々に大きくなるように設定されている。ただし、これら各断面を形成する楕円の後方側頂点は同一位置に設定されている。光源12aは、この反射面14aの鉛直断面を形成する楕円の第1焦点F1に配置されている。そしてこれにより、反射面14aは、光源12aからの光を前方へ向けて光軸Ax寄りに反射させるようになっており、その際、光軸Axを含む鉛直断面内においては上記楕円の第2焦点F2に略収束させるようになっている。
【0029】ホルダ16は、リフレクタ14の前端開口部から前方へ向けて延びるようにして筒状に形成されており、その後端部の複数箇所においてリフレクタ14にネジ締め固定されている。その際、リフレクタ14の前端開口部に形成された複数の位置決めピン14bが、ホルダ16の後端部に形成された複数のピン挿通孔16aに挿通されるようになっており、これによりホルダ16とリフレクタ14との光軸合わせが行われるようになっている。
【0030】投影レンズ18は、ホルダ16の前端部に固定支持されている。この投影レンズ18は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸レンズからなり、その後方側焦点位置がリフレクタ14の反射面14aの第2焦点F2に一致するように配置されている。そしてこれにより、投影レンズ18は、リフレクタ14の反射面14aからの反射光を光軸Ax寄りに集光させるようにして透過させるようになっている。
【0031】シェード20は、リフレクタ14とホルダ16との間に設けられており、リフレクタ14の反射面14aからの反射光の一部を遮蔽して上向き照射光を除去するようになっている。すなわち、シェード20は、光軸Axと直交する鉛直面に略沿うようにして延びており、その左右段違いで水平に延びる上端縁20aが第2焦点F2を通るように配置され、反射面14aからの反射光の一部を遮蔽して投影レンズ18から出射される上向き照射光を除去し、これにより光軸Axに対して下向きに照射されるロービーム用照射光を得るようになっている。
【0032】このシェード20は、金属板で構成されており、ホルダ16をリフレクタ14にネジ締め固定する際、両者間に挟まれた状態で共締め固定されるようになっている。これを実現するため、シェード20の外周縁部には、複数のネジ挿通孔20cおよび位置決めピン挿通孔20dが形成されている。そして、ホルダ16をリフレクタ14にネジ締め固定する際、リフレクタ14の位置決めピン14bを位置決めピン挿通孔20dに挿通させることにより、シェード20とリフレクタ14との光軸合わせを行うようになっている。
【0033】このシェード20の上端縁近傍部位には、該シェード20を貫通する横長略矩形状の開口部20bが形成されている。そして、このシェード20の後面には上記ひさし状遮光板22が取り付けられている。
【0034】図3は、シェード20を、ひさし状遮光板22が取り付けられた状態で示す斜視図である。
【0035】この図にも示すように、ひさし状遮光板22は、シェード20よりも板厚の薄い金属板に打ち抜き加工および曲げ加工を施すことにより形成されており、シェード20の上端縁20aと開口部20bとの間から後方へ向けて斜め下方へ延びる本体部22Aと、シェード20の後面に沿って下方へ延びる支持部22Bとからなっている。
【0036】本体部22Aは、その下向き傾斜角度が30〜35°程度に設定されており、その後方への突出長さが15〜25mm程度に設定されている。また、本体部22Aの左右幅は、シェード20の開口部20bの左右幅よりもある程度大きい値に設定されている。
【0037】一方、支持部22Bは、左右幅が本体部22Aの左右幅よりもある程度大きい値に設定されており、その両端部においてシェード20にスポット溶接等により固定されている。この支持部22Bには、シェード20の開口部20bを囲むようにして該開口部20bよりも大きい開口部22aが形成されている。
【0038】図4は、図2の要部詳細図であり、図5は、リフレクタ14を、光源バルブ12が取り付けられた状態で示す正面図である。
【0039】これらの図にも示すように、リフレクタ14の反射面14aは、ひさし状遮光板22の斜め下方延長面との交線位置Lよりもやや上方の位置を境にして一般反射領域14aAと下部反射領域14aBとに区分けされている。下部反射領域14aBの基準面形状は一般反射領域14aAと略同様であるが、その詳細形状が一般反射領域14aAとは異なっている。
【0040】すなわち、下部反射領域14aBにおける交線位置Lよりもやや下方の領域には、光源12aからの光をシェード20の開口部20bへ向けて反射させる複数(3つ)の反射素子14s1が左右方向に一列で互いに隣接して形成されている。また、下部反射領域14aBの他の部分(3つの反射素子14sの周辺領域)には、複数の拡散反射素子14s2がローレット状(細かい波板状)に形成されている。
【0041】図4に示すように、一般反射領域14aAで反射した光源12aからの光は、その一部がシェード20の開口部20bへ向かうが、この開口部20bへ向かう反射光は、すべてひさし状遮光板22の本体部22Aによって遮蔽されるので、開口部20bに入射することはない。
【0042】一方、下部反射領域14aBで反射した光源12aからの光のうち、各反射素子14s1からの反射光は開口部20bに入射するが、それ以外の各拡散反射素子14s2からの反射光は、左右に大きく拡散する光となるので開口部20bにはほとんど入射しない。
【0043】図6は、図4の要部詳細図である。
【0044】図示のように、各反射素子14s1からの反射光も、そのすべてが開口部20bに入射するわけではなく、光源12aの中央部分の反射光のみが開口部20bに入射し、それ以外の部分の反射光は、ひさし状遮光板22の本体部22Aまたは支持部22Bあるいはシェード20における開口部20bの周辺部位によって遮蔽されることとなる。このため、開口部20bを介して前方へ照射される光、すなわちオーバヘッドサイン照射光Bは、方向性が極めて安定したものとなる。
【0045】図7は、本実施形態に係る車両用前照灯10から前方へ照射されるビームにより灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成されるロービーム配光パターンPおよびオーバヘッドサイン照射用の配光パターンPohsを、車両用前照灯10と共にその背面側から透視的に示す図である。
【0046】ロービーム配光パターンPは、左配光のロービーム配光パターンであって、その上端縁に左右段違いの段付き水平カットオフラインCLを有している。
【0047】この段付き水平カットオフラインCLは、H−V(灯具前方真正面)に対して左側(自車線側)が上段部としてH−H線(H−Vを通る水平線)と略同じ位置に設定されており、右側(対向車線側)が下段部としてH−H線のやや下方位置(0.5〜0.6°程度下方位置)に設定されている。
【0048】オーバヘッドサイン照射用の配光パターンPohsは、H−H線の上方近傍において左右方向に広がるように形成され、車両走行路前方のオーバヘッドサインOHSを十分に照射することができるようになっている。具体的には、この配光パターンPohsは、H−Vの上方約3°の位置を中心にして3〜4°程度の上下幅でかつ20〜25°程度の左右拡散角(全幅)で形成されている。
【0049】この配光パターンPohsは、3つの反射素子14s1からの反射光により形成される3つの配光パターンP1、P2、P3の合成配光パターンとして形成されている。これら各配光パターンP1、P2、P3は、いずれも開口部の開口形状に対応した横長形状の配光パターンとなる。その際、光源12aの中央部分の反射光のみがオーバヘッドサイン照射光Bとして用いられるので、各配光パターンP1、P2、P3は、各々略均一な光度分布を有するものとなる。そして、これら3つの配光パターンP1、P2、P3が左右方向に互いに幾分ずれた状態で合成されることにより、配光パターンPohsとしては、その左右両端部以外は一層均一な光度分布となっている。
【0050】以上詳述したように、本実施形態に係る車両用前照灯10は、投影レンズ18とリフレクタ14との間に設けられたシェード20により、リフレクタ14からの反射光の一部を遮蔽して上向き照射光を除去するように構成されているが、シェード20の上端縁近傍部位には該シェード20を貫通する横長略矩形状の開口部20bが形成されるとともに、シェード20の後面には該シェード20の上端縁20aと開口部20bとの間から後方へ向けて斜め下方へ延びるひさし状遮光板22が設けられているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0051】すなわち、シェード20に入射するリフレクタ14からの反射光のうち、開口部20bに入射した光については該開口部20bを介して前方へ照射されるが、この開口部20bはシェード20の上端縁近傍部位に形成されているので、該開口部20bからの照射光によって、オーバヘッドサインOHSの照射に適した位置に、該開口部20bの開口形状に対応した形状の配光パターンPohsを形成することができる。
【0052】その際、シェード20の後面には、該シェード20の上端縁20aと開口部20bとの間から後方へ向けて斜め下方へ延びるひさし状遮光板22が設けられているので、リフレクタ14からの反射光のうち反射面14aの下部反射領域14aBからの反射光のみを開口部20bに入射させるようにすることができる。そしてこれにより、開口部20bを介して前方へ照射される光束を制限することができるので、オーバヘッドサイン照射光の光束が過大となって対向車ドライバ等にグレアを与えてしまうのを防止することができる。
【0053】このように本実施形態によれば、光束ロスを生じることなく、オーバヘッドサインOHSの照射に適した形状および明るさを有する配光パターンPohsを得ることができる。
【0054】特に本実施形態においては、光源12aからの光を開口部20bへ向けて反射させる複数(3つ)の反射素子14s1が、反射面14aの下部反射領域14aBにおける遮光板22の斜め下方延長面との交線位置Lよりも下方の領域に形成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0055】すなわち、光源12aは線分光源であり所定の長さを有しているので、この光源12aからの光を各反射素子14s1により反射させて開口部20bへ向かわせようとすると、その反射光の一部はシェード20の上端縁20aよりも上方へ向かおうとする。
【0056】しかしながら本実施形態においては、ひさし状遮光板22が設けられており、かつ各反射素子14s1が交線位置Lよりも下方に形成されているので、該反射素子14s1からシェード20の上端縁20aよりも上方へ向かう反射光を、ひさし状遮光板22によって遮蔽することができる。
【0057】したがって本実施形態においては、各反射素子14s1の反射面形状を、ロービーム配光パターンPへの影響を全く考慮することなく、オーバヘッドサイン照射のみを考慮した形状とすることができ、これによりオーバヘッドサインOHSの照射に適した光度分布を有する配光パターンPohsを得ることができる。
【0058】しかも本実施形態においては、反射面14aにおける3つの反射素子14s1の周辺領域(下部反射領域14aBにおける3つの反射素子14s1以外の部分)に、複数の拡散反射素子14s2が形成されているので、該周辺領域からの反射光のうち開口部20bを介して前方へ照射される反射光の割合を小さくすることができる。このため、該周辺領域からの反射光によってオーバヘッドサイン照射用の配光パターンPohsが不用意に拡大してしまうのを防止することができ、これによりグレア光が発生してしまうのを未然に防止することができる。
【0059】また本実施形態においては、オーバヘッドサイン照射用の反射素子14s1が3つ形成されているので、これら3つの反射素子14s1からの反射光により形成される3つの配光パターンP1、P2、P3の合成配光パターンとして配光パターンPohsを形成することができる。そしてこれにより、配光パターンPohsの主要部(左右両端部以外の部分)の光度分布を一層均一化することができるので、オーバヘッドサインOHSの視認性を一層高めることができる。
【0060】さらに本実施形態においては、ひさし状遮光板22がシェード20とは別体の金属板で構成されているので、ロービーム配光パターンPを形成するための反射光とオーバヘッドサイン照射用の配光パターンPohsを形成するための反射光との仕切りを薄い本体部22Aで構成することができ、これにより反射光を有効に活用することができる。また、ひさし状遮光板22がシェード20とは別体の金属板で構成されていることにより、本体部22Aの形状を比較的任意に設定することができる。なお、この本体部22Aの傾斜角度、後方への突出長さ、左右幅等の具体的な値は、リフレクタ14のサイズやシェード20の開口部20bの形状等に応じて本実施形態とは異なる値に設定することももちろん可能である。
【0061】本実施形態においては、3つの反射素子14s1が左右方向に一列で互いに隣接して形成された構成となっているが、これ以外の配置で複数のオーバヘッドサイン照射用の反射素子14s1を形成することももちろん可能であり、単一の反射素子14s1を形成することも可能である。
【0062】また本実施形態においては、反射面14aにおける3つの反射素子14s1の周辺領域に複数の拡散反射素子14s2が形成されているが、このようにする代わりに、フロスト加工やシボ加工を施したり、あるいは非反射塗装等を施すようにしてもよく、このようにした場合においても、本実施形態と同様、該周辺領域からの反射光のうち開口部20bを介して前方へ照射される割合を小さくすることができる。
【0063】なお本実施形態においては、左右段違いの段付き水平カットオフラインCLを有するロービーム配光パターンPを形成するため、シェード20が左右段違いで水平に延びる上端縁20aを有するものとして説明したが、これ以外のカットオフライン(例えば水平および斜めカットオフラインからなるもの)を有するロービーム配光パターンを形成するために、シェード20の上端縁20aを本実施形態とは異なる形状に設定した場合においても、本実施形態と同様の構成を採用することにより本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
【住所又は居所】東京都港区高輪4丁目8番3号
【出願日】 平成14年4月8日(2002.4.8)
【代理人】 【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
【公開番号】 特開2003−297117(P2003−297117A)
【公開日】 平成15年10月17日(2003.10.17)
【出願番号】 特願2002−105089(P2002−105089)