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【発明の名称】 往復駆動機構
【発明者】 【氏名】安部 俊也
【住所又は居所】神奈川県伊勢原市板戸80番地 市光工業株式会社伊勢原製造所内

【要約】 【課題】新たな設置スペースの確保が不要で、部品点数の増加を伴うこともなく、可動体の作動停止位置についての高精度の位置制御が可能であること。

【解決手段】駆動部2により往復駆動される可動体(可動リフレクタ)3と、この可動体3に接続された被覆電線4とを備えて構成されており、被覆電線4は、その中間部をベース板5に固定して取り付けられており、かつ少なくとも固定部分(クリップ9)を含めた可動体3寄りの部分の被覆部が、弾性絶縁樹脂材で形成されて可動体3を被覆電線4の反発力fで駆動時の機械的な遊びの範囲内で片寄せする弾性付勢部分10を構成している。可動体3は、弾性付勢部分10によりがたの無い状態で駆動する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 駆動部により往復駆動される可動体と、この可動体に接続された被覆電線とを備えて構成される往復駆動機構において、前記被覆電線は、その中間部を固定部材に固定して取り付けられており、かつ少なくとも前記固定部分を含めた前記可動体寄りの部分の被覆部が、弾性絶縁樹脂材で形成されて前記可動体を被覆電線の反発力で駆動時の機械的な遊びの範囲内で片寄せする弾性付勢部分を構成していることを特徴とする往復駆動機構。
【請求項2】 請求項1に記載の往復駆動機構であって、前記可動体は、車両に搭載され車両の旋回方向を照射する配光制御機構の可動リフレクタであることを特徴とする往復駆動機構。
【請求項3】 請求項1または2に記載の往復駆動機構であって、前記弾性絶縁樹脂材は、エチレン四フッ化エチレンであることを特徴とする往復駆動機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、車両に搭載され車両の旋回方向を照射する配光制御機構の可動リフレクタに適用される往復駆動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】車両に搭載され車両の旋回方向を照射する配光制御機構は、カーブ走行あるいは交差点で曲がる際に、前方のより広い範囲あるいは側方の視認性を向上させるためのもので、操舵角を検出して、モータ等の動力源と減速機構とで構成される駆動部により可動リフレクタを往復回動させるように構成されている。
【0003】このとき可動リフレクタには、光源バルブが取り付けられると共に、この光源バルブに電力を供給するために被覆電線が接続されている。この被覆電線は、その反発力により可動リフレクタの駆動時に作動負荷の増大を招く、という考え方から被覆部を、耐熱性を満足しかつ比較的に柔らかい樹脂材(例えば、架橋ビニル、架橋ポリエチレン)で形成し、反発力を軽減させたものが用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の配光制御機構においては、可動リフレクタの作動停止位置が駆動時の機械的な遊びの範囲内でばらつき、高精度の位置制御ができない、という課題を有している。
【0005】このためバックラッシュ補正機構を付加することも考えられるが、その場合、設置スペースの確保、および部品点数の増加という新たな課題が派生して根本的な解決にはならない。
【0006】そこで、この発明は、新たな設置スペースの確保が不要で、部品点数の増加を伴うこともなく、しかも可動体の作動停止位置についての高精度の位置制御が可能な往復駆動機構を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、請求項1の発明は、駆動部により往復駆動される可動体と、この可動体に接続された被覆電線とを備えて構成される往復駆動機構において、前記被覆電線は、その中間部を固定部材に固定して取り付けられており、かつ少なくとも前記固定部分を含めた前記可動体寄りの部分の被覆部が、弾性絶縁樹脂材で形成されて前記可動体を被覆電線の反発力で駆動時の機械的な遊びの範囲内で片寄せする弾性付勢部分を構成していることを特徴とする。
【0008】このため請求項1の発明では、可動体は、被覆電線の被覆部を弾性絶縁樹脂材で形成して構成される弾性付勢部分により機械的な遊びの範囲内で片寄せられてがたの無い状態で駆動する。
【0009】また、請求項2の発明は、請求項1に記載の往復駆動機構であって、前記可動体は、車両に搭載され車両の旋回方向を照射する配光制御機構の可動リフレクタであることを特徴とする。
【0010】このため、請求項2の発明では、可動リフレクタは、被覆電線の被覆部を弾性絶縁樹脂材で形成して構成される弾性付勢部分により機械的な遊びの範囲内で片寄せられてがたの無い状態で駆動する。
【0011】また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の往復駆動機構であって、前記弾性絶縁樹脂材は、エチレン四フッ化エチレンであることを特徴とする。
【0012】このため、請求項3の発明では、エチレン四フッ化エチレンは、周囲温度が−40℃〜120℃の範囲内で変化しても、温度変化に対し柔らかくなったり、堅くなったりすることなく、高弾性を維持できるので、温度変化に対し弾性力の変化の幅が小さい弾性付勢部分を構成することができる。
【0013】また、エチレン四フッ化エチレンは、良滑性を有するので、可動体の繰り返し駆動の際に生じる電線同士の擦れ、あるいは電線と他部材との擦れに対しても被覆部に摩耗を生じることがない。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】図1は、この発明の一実施形態としての往復駆動機構で、車両に搭載され車両の旋回方向を照射する配光制御機構1を示す。
【0016】この配光制御機構1は、駆動部2により往復駆動される可動体としての可動リフレクタ3と、この可動リフレクタ3に接続された被覆電線4とを備えて大略構成されている。
【0017】このとき被覆電線4は、その中間部を固定部材としてのベース板5に固定して取り付けられており、かつ少なくとも前記固定部分を含めた可動リフレクタ3寄りの部分の被覆部が、弾性絶縁樹脂材で形成されて可動リフレクタ3を被覆電線4の反発力で駆動時の機械的な遊びの範囲内で片寄せする弾性付勢部分10を構成している。
【0018】具体的には、可動リフレクタ3は、その下部が駆動部2の出力軸6に連結されており、かつそのバルブ孔にはバルブ7が着脱可能に取り付けられている。駆動部2は、モータ等の動力源と減速機構とで構成されており、被覆電線4の反発力(負荷)を加味して設計されるものであって、ベース板5に固定されている。可動リフレクタ3の後部には、バルブ7に電気的に接続するコネクタ8が着脱可能に取り付けられている。可動リフレクタ3は、出力軸6を回転中心cとしてa矢印方向に往復駆動(往復旋回)する。
【0019】被覆電線4は、その一端をコネクタ8に接続すると共に、その他端を電源(図示せず)に接続し、かつその中間部をクリップ9を介してベース板5に固定して取り付けられている。そして被覆電線4を構成する被覆部は、少なくともクリップ9による固定部分を含めた可動リフレクタ3寄りの部分が、弾性絶縁樹脂材で形成されている。このためこの部分の被覆電線4は、自由状態から折り曲げおよび/あるいはねじりにより変形させることにより、弾性絶縁樹脂材の被覆部により、自由状態へ復帰しようとする反発力が生じる。弾性付勢部分10は、この反発力を蓄積するように被覆電線4を変形して構成される。
【0020】本実施形態では、弾性付勢部分10は、被覆電線4のクリップ9による固定部分を含めた可動リフレクタ3寄りの部分をU字形状に折り曲げると共に、さらにU字形状の上側部分4aをr矢印方向(図1参照)にねじることにより構成されている。本実施形態では、弾性付勢部分10は、2本の被覆電線4で構成されている。
【0021】そして、このときの被覆電線4は、例えば、自動車用耐熱低圧電線と同一仕様(例えば、導体の公称断面積0.75〜1.25mm、被覆部の厚さ0.5〜0.6mm)で、好ましくは被覆部がエチレン四フッ化エチレンで形成されたものが用いられる。弾性付勢部分10は、クリップ9による固定端W1からコネクタ8へ接続するための屈曲端W2までの長さが100〜170mm(本実施形態では135mm)の被覆電線4を、曲率Rが20mm以下(本実施形態では10〜11程度)になるようにU字形状に折り曲げて形成されている。被覆電線4の長さは、バルブ7の取り外しの容易性をも考慮されて決定される。エチレン四フッ化エチレンは、例えば、絶縁耐力(KV/mm)20〜35、誘電率2.6、引っ張り強さ(MPa)59〜69、比重1.7の属性を有するものが用いられる。
【0022】このように構成された弾性付勢部分10は、可動リフレクタ3に対して駆動時の機械的な遊びの範囲内でf方向へ片寄せする反発力を作用させることができる。
【0023】すなわち、図2は、本実施形態の初期位置(セッティング位置)(図2(a))と、右方向旋回後の旋回位置(図2(b))とを示しており、可動リフレクタ3を初期位置から旋回位置へ旋回させるには、弾性付勢部分10の反発力fに抗して行われるが、逆に旋回位置から初期位置への復帰は、弾性付勢部分10の反発力fと同方向の旋回となり、素早い復帰作動が期待できる。
【0024】また、弾性付勢部分10の反発力fは、被覆電線4の次のような変形により生じる複数の反発力を種種組み合わせることにより得ることができる。
【0025】すなわち、図3に示す被覆電線4は、その先端に、水平面内を直線状に往復動(図中、矢印m1で示す)する可動体M1を連結し、その中間部分を曲率Rで折り曲げて全体をU字形状に変形し、かつ折り曲げ部分よりも後端側部分を固定Pして構成されている。可動体M1は、変形後の被覆電線4のU字形状の上辺の長さの変動を伴って、往復動m1する。この構成では、可動体M1に対して被覆電線4の反発力f1が作用する。
【0026】また、図4に示す被覆電線4は、その先端に、垂直面内を円弧状に往復動(図中、矢印m2で示す)する可動体M2を連結し、その中間部分を曲率Rで折り曲げて全体をU字形状に変形し、かつ折り曲げ部分よりも後端側部分を固定Pして構成されている。可動体M2は、折り曲げ部分の曲率Rの変動を伴って、往復動m2する。この構成では、可動体M2に対して被覆電線4の反発力f2が作用する。
【0027】さらに、図5に示す被覆電線4は、その先端に、水平面内を円弧状に往復動(図中、矢印m3で示す)する可動体M3を連結し、その中間部分を曲率Rで折り曲げて全体をU字形状に変形し、かつ折り曲げ部分よりも後端側部分を固定Pして構成されている(図5(a))。可動体M3は、折り曲げ部分の曲率Rを変動させることなく、同じ高さを保って(水平面内で)円弧方向に往復動m3する(図5(b))。この構成では、可動体M3に対して被覆電線4の反発力f3あるいはf4が作用する。
【0028】本実施形態における弾性付勢部分10の反発力fは、反発力f2(図4参照)と反発力f3(あるいはf4)(図5参照)を組み合わせて得ることができる。
【0029】このように構成された配光制御機構1では、可動リフレクタ3は、被覆電線4の被覆部をエチレン四フッ化エチレンで形成して構成される弾性付勢部分10により機械的な遊びの範囲内で片寄せられてがたの無い状態で駆動することができるので、その作動停止位置についての高精度の位置制御が可能となる。
【0030】その上、弾性付勢部分10は、専用の付勢部材を何等必要とすることなく、バルブ7に電力を供給する被覆電線4を用いて構成することができるので、弾性付勢部分10のための新たな設置スペースの確保が不要で、部品点数の増加を伴うことも無い。
【0031】また、被覆電線4の被覆部は、エチレン四フッ化エチレンで構成したので、周囲温度が−40℃〜120℃の範囲内で変化しても、温度変化に対し柔らかくなったり、堅くなったりすることなく、高弾性を維持できるので、温度変化に対し弾性力の変化の幅が小さい弾性付勢部分10を構成することができる。
【0032】さらには、エチレン四フッ化エチレンは、良滑性を有するので、可動リフレクタ3の繰り返し駆動の際に生じる電線4同士の擦れ、あるいは電線4と他部材との擦れに対しても被覆電線4の被覆部に摩耗を生じることがなく、総じて耐久性および信頼性の向上した弾性付勢部分10を備えた配光制御機構1を提供することができる。
【0033】被覆電線4の被覆部は、少なくともクリップ9による固定部分から可動リフレクタ3寄りの部分をエチレン四フッ化エチレンで形成すれば足りるものであるから、他の部分を自動車用架橋ビニルや自動車用架橋ポリエチレン等の樹脂材で形成することによりコスト高を抑制することができる。
【0034】また、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、往復駆動する可動体を備えた往復駆動機構であればいずれにも適用可能である。このとき可動体の往復駆動の方向に対しても限定されるものではない。
【0035】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1の発明によれば、可動体は、被覆電線の被覆部を弾性絶縁樹脂材で形成して構成される弾性付勢部分により機械的な遊びの範囲内で片寄せられた状態で駆動することができるので、その作動停止位置についての高精度の位置制御が可能となる。
【0036】その上、弾性付勢部分は、専用の付勢部材を何等必要とすることなく、バルブに電力を供給する被覆電線を用いて構成することができるので、弾性付勢部分のための新たな設置スペースの確保が不要で、部品点数の増加を伴うことも無い。
【0037】また、請求項2の発明によれば、配光制御機構における可動リフレクタは、被覆電線の被覆部を弾性絶縁樹脂材で形成して構成される弾性付勢部分により機械的な遊びの範囲内で片寄せられた状態で駆動することができるので、請求項1の発明の効果に加えて、その作動停止位置についての高精度の位置制御が可能となる。
【0038】また、請求項3の発明によれば、被覆電線の被覆部を構成する弾性絶縁樹脂材としてエチレン四フッ化エチレンを用いているので、周囲温度が−40℃〜120℃の範囲内で変化しても、温度変化に対し柔らかくなったり、堅くなったりすることなく、高弾性を維持できること、および良滑性を有するので、可動体の繰り返し駆動の際に生じる電線同士の擦れ、あるいは電線と他部材との擦れに対しても被覆部に摩耗を生じることがないことにより、請求項1または2の発明の効果に加えて、耐久性および信頼性の向上した弾性付勢部分を備えた往復駆動機構を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
【住所又は居所】東京都品川区東五反田5丁目10番18号
【出願日】 平成14年4月1日(2002.4.1)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
【公開番号】 特開2003−297115(P2003−297115A)
【公開日】 平成15年10月17日(2003.10.17)
【出願番号】 特願2002−98843(P2002−98843)