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【発明の名称】 車両用灯具
【発明者】 【氏名】秋山 精宏
【住所又は居所】神奈川県伊勢原市板戸80番地 市光工業株式会社伊勢原製造所内

【要約】 【課題】米欧の各地域で共用できるストップランプ/テールランプ兼用の車両用灯具の提供を図る。

【解決手段】反射面17を、ストップランプ用フィラメント21を焦点f1とする第1放物反射面24と、テールランプ用フィラメント22を焦点f2とする第2放物反射面25と、に分割構成した。そのため、この発明によれば、従来ではテール用フィラメントが反射面の焦点位置からズレて配置されることでその光が偏って配光されてしまう分を第2放物反射面25で補うことで、各測定ポイントにおける光度を狭い範囲内に設定できる。これにより、車両用灯具1は、極めて困難であった日米欧の三法規を同時に満足するものとなり、各地域ごとの少数生産の必要が無くなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体後部に取り付けられるハウジングと、前記ハウジングに組み合わされて灯室を形成するレンズと、前記灯室内に配設され且つストップランプ用のフィラメントおよびテールランプ用のフィラメントを有するダブルフィラメントタイプの光源バルブと、前記光源バルブからの光を車両後方に向けて反射する反射面と、を備える車両用灯具において、前記反射面を、ストップランプ用フィラメントを焦点とする第1の放物反射面と、前記テールランプ用フィラメントを焦点とする第2の放物反射面と、に分割構成したことを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車体後部に取り付けられたテールランプおよびストップランプ兼用の車両用灯具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のテールランプ/ストップランプ兼用の車両用灯具は、車両の車体後部に取り付けられるハウジングと、ハウジングの後面開口部を覆って灯室を形成するレンズと、灯室内に配設された光源バルブと、光源バルブからの光を後方に反射する反射面と、を備えて構成される。なお、反射面はハウジングの内面に形成されるか若しくは灯室内に別途配設されるリフレクタの内面に形成される。
【0003】光源バルブは、いわゆるダブルフィラメント球として構成されていて、バルブの中心軸にほぼ直交して延在する2つのフィラメント(即ちストップランプ用フィラメントおよびテールランプ用フィラメント)を備えている。
【0004】反射面は、光源バルブからの光を車両後方に向けて反射するように、光源バルブの2つのフィラメントの近傍に焦点が位置するように放物面等の凹曲面状に形成される。なお、通常はストップランプ用フィラメントには発光量の大きい主線を用い且つこのストップランプ用フィラメントを反射面の焦点に配置している。これは、配光規格上、ストップランプがテールランプに対して20倍〜60倍程度の光度(cd)が必要とされるためである。
【0005】このような構成の車両用灯具にあっては、1)ストップランプ用フィラメントが発光した際には、その光が直接レンズを介してあるいは反射面で反射した後にレンズを介して車体の後方に照射されてストップランプとして機能する、また、2)テールランプ用フィラメントが発光した際には、その光が直接レンズを介してあるいは反射面で反射した後にレンズを介して車体の後方に照射されてテールランプとしてとして機能する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような車両用灯具にあっては、日米欧の各地域ごとに法規によってテールランプおよびストップランプの配光基準が定められているため、各地域ごとに反射面の形状およびレンズの拡散プリズムR値を変えて設計する必要があった。そのため、各地域ごとに反射面やレンズを少数生産することとなり、原価高となってしまう。
【0007】本発明はこのような従来技術を背景に為されたものであって、日米欧の各地域で共用できる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】研究の結果、本発明者は、光源バルブの何れか一方のフィラメントが反射面の焦点からズレて配置されそのズレて配置されたフィラメントの光の制御が困難であることが、日米欧の法規を同時に満足する即ち厳しい配光規格を満足する反射面の設計を極めて困難にしていると思い至った。そこで、本発明は、車体後部に取り付けられるハウジングと、前記ハウジングに組み合わされて灯室を形成するレンズと、前記灯室内に配設され且つストップランプ用フィラメントおよびテールランプ用フィラメントを有するダブルフィラメントタイプの光源バルブと、前記光源バルブからの光を車両後方に向けて反射する反射面と、を備える車両用灯具において、前記反射面を、ストップランプ用フィラメントを焦点とする第1の放物反射面と、前記テールランプ用フィラメントを焦点とする第2の放物反射面と、に分割構成したことを特徴とするものである。
【0009】この場合、ストップランプ用フィラメントが点灯すると、その光がレンズを介してまた第1放物反射面および第2放物反射面からなる反射面によって反射された後にレンズを介して車両後方に照射され、ストップランプとして機能する。また、テールランプ用フィラメントが点灯すると、その光がレンズを介してまた第1放物反射面および第2放物反射面からなる反射面によって反射された後にレンズを介して車両後方に照射され、ストップランプとして機能する。
【0010】ここで、従来の場合は、反射面が単一の放物反射面から構成され且つ少なくともいずれか一方のフィラメント(通常テールランプ用フィラメント)が放物反射面の焦点からズレて配置されるため、このズレて配置されたフィラメントの反射光が照射軸から上方または下方などのズレることで、配光範囲内の全体または一部の光度が低下する。そのため、光度上限値が低い欧州法規を満足させつつ、ストップランプでは北米法規を満足するように且つテールランプでは欧州法規を満足するように光度下限値を高く設定することは極めて困難であり、各地域ごとに反射面の形状を変更せざるをえなかった。
【0011】本発明は、従来ではテール用フィラメントが反射面の焦点位置からズレて配置されることでその光が所定配光範囲外に無駄に反射されてしまう分を第2放物反射面で補うことで、従来は極めて困難であった日米欧の三法規を同時に満足する反射面を具現化できる。これにより、日米欧の各地域で共用できる車両用灯具を提供できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態の車両用灯具を図1〜図7を基に説明する。図1はこの実施形態の車両用灯具を示す正面図、図2は同車両用灯具の図1中II−II線に沿う断面図、図3は同車両用灯具の図1中III−III線に沿う断面図、図4は同車両用灯具のリフレクタの正面図、図5は図4中V−V線に沿う断面図、図6は図4中VI−VI線に沿う断面図、図7はこの実施形態の要部拡大図である。
【0013】この実施形態の車両用灯具10は、車両の車体後部に取り付けられる例えばリアコンビランプなどに適用されるもので、車体後部に取り付けられるハウジング11と、ハウジング11の後面開口部を閉塞して該ハウジング11とともに灯室13を形成するアウターレンズ12と、ハウジング11にソケット14を介して装着されて灯室13内に配設される光源バルブ15と、同じく灯室13内に配設され且つ光源バルブ15からの光を車両後方に反射する反射面17を有するリフレクタ16と、を備えて構成されている。
【0014】アウターレンズ12は、素通しレンズで構成されていて、それ自体がストップランプ用およびテールランプ用に着色されている。このアウターレンズ12の内側面には、光源バルブ15からの直接光および反射面17からの反射光を上下左右方向に拡散する拡散プリズム部19が形成されている。
【0015】リフレクタ16は、樹脂で形成されており、その内面にアルミ蒸着または銀色塗装などによって反射面17が形成されている。なお、このリフレクタ16には上記反射面17とは別に配光性能と無関係の部分にダミー反射面18が設けられていて、このダミー反射面18で灯具内の非装飾部位を隠しつつも灯具の奥行き感および透明感を補完している。
【0016】光源バルブ15は、いわゆるダブルフィラメント球として構成されており、ハウジング11のバルブ装着口11aに対してハウジング11の外側(下方)から挿入装着されている。この光源バルブ15の2つのフィラメント21、22は、該光源バルブ15の中心軸に沿って二段に配置され、照射軸方向(=反射面17の中心軸)に対して上下にずれた状態となる。この実施形態では、光源バルブ15はT20(c−6/c−6)であり、一方のフィラメント(主線)21がストップランプ用フィラメントとして構成され、他方のフィラメント(副線)22がテールランプ用フィラメントとして構成される。
【0017】ここで、この実施形態の車両用灯具10は、日米欧の三法規の配光基準をすべて満足するように設計されてたものであり、まずは図8〜図10を参照しつつ日米欧の三法規について説明する。
【0018】三法規を比較すると、以下のような特徴がある。
【0019】第1の特徴点日米欧の三法規を満足させようとすると、ストップランプおよびテールランプのいずれの場合も測定ポイントの分布が広範囲となる。
【0020】第2の特徴点図9に示すようにストップランプの配光規格において、北米は、測定ポイントの全体に亘って光度下限値が高く設定されており、特に照射軸近傍の測定ポイントにおいて光量下限値が高い。
【0021】第3の特徴点図10に示すようにテールランプの配光規格において、欧州は、測定ポイントの全体に亘って光度下限値が高く設定されている。
【0022】第4の特徴点図9および図10に示すようにストップランプおよびテールランプの配光規格のいずれの場合も、欧州は、光度上限値がかなり低く設定されている。具体的には、テールランプの光度上限値が日本法規で15cdおよび北米法規で18cdであるのに対し欧州法規では12cdであり(図10参照)、しかも、ストップランプの光度上限値は日本法規および北米法規でともに300cdであるのに対し欧州法規では185cd(図9参照)であり、かなり低く光度上限値を設定しなければならない。
【0023】このようにな日米欧の三法規を満足しようとすると、ストップランプで北米法規を満足するように光度下限値を高く設定し且つテールランプで欧州法規を満足するように光度下限値を高く設定する一方で、光度上限値を欧州に合わせてかなり低く設定しなければならない。つまり、光度下限値をクリアするために反射面の面積を広くすると光度上限値でNGとなってしまう可能性が極めて大きい。そのため、従来とほぼ同等の反射面面積を維持して、いずれのフィラメント21、22の光も無駄なく有効に配光することが必要となる。
【0024】ここで、日本国内用に製造された従来の車両用灯具の各測定ポイントにおける光度測定結果を図11および図12に示す。なお、図11および図12に示す従来例はいずれも単一の放物面からなる反射面を備える例であって、従来例Aが放物反射面の焦点にストップランプ用フィラメントを配置した例、従来例Bが放物反射面の焦点にテールランプ用フィラメントを配置した例、従来例Cが放物反射面の焦点を二つのフィラメントの中間位置とした例である。また、図11および図12中の網掛け部分はいずれかの法規をクリアできなかったNG点である。
【0025】図11および図12に示すように反射面が単一の放物面から構成される場合にあっては、従来例A、従来例B、従来例Cのいずれの場合であっても、放物反射面の焦点からズレて配置されるフィラメントの反射方向の偏りによって、三法規を同時に満足することができないことが分かる。
【0026】そこで、この実施形態の車両用灯具10にあっては、ストップランプ用フィラメント21を焦点f1とする第1の放物反射面24内に、テールランプ用フィラメント22を焦点f2とする第2の放物反射面25を設けて、反射面17を第1放物反射面24と第2放物反射面25とに分割形成し、その立体角の比率をB/(A+B)=1/10〜2/10の範囲内となるように構成したものである。なお、Aはストップランプ用フィラメント21を中心とする第1放物反射面24の立体角〔ステラジアン〕であり、Bはテールランプ用フィラメント21を中心とする第2放物反射面25の立体角〔ステラジアン〕である。
【0027】つまり、この実施形態の車両用灯具1にあっては、第1放物反射面24の焦点f1からズレて配置されたテールランプ用フィラメント22の第1放物反射面24による反射方向の偏りを、第2放物反射面25によって補填するようになっている。実際に、本実施形態の代表例として、A+B=4.5〔str〕,B=0.8〔str〕,B/(A+B)=0.17となる車両用灯具1の光度を測定したところ、図11および図12に示すように三法規の全てを満足した。このようにこの実施形態の車両用灯具1にあっては、第1放物反射面24の焦点f1からズレて配置されたテールランプ用フィラメント22の第1放物反射面24による反射方向の偏りを、第2放物反射面25によって補填することで、日米欧の三法規の配光基準をすべて満たす厳しい配光基準をクリアするものである。結果、車両用灯具1を日米欧の三地域で共用でき、各地域ごとに少数生産する必要が無くなるため、製造コストを大幅に削減できる。
【0028】なお、本発明にあっては、光源バルブは、ダブルフィラメントであれば例えばS25球などその他の光源バルブであってもよい。また、反射光の拡散方法としては、例えば拡散プリズムを有するインナーレンズを別途設けるなど、その他の拡散方法を採ってもよい。また、ストップランプ用およびテールランプ用の機能色にあっても、アウターレンズ自身に直接着色するのみならず、例えば着色された光源バルブを用いる、着色されたインナーキャップでバルブを覆設する、着色されたシールをアウターレンズの表面または裏面に貼設するなど、その他の構成を採ってもよい。
【0029】
【発明の効果】この発明によれば、車体後部に取り付けられるハウジングと、前記ハウジングに組み合わされて灯室を形成するレンズと、前記灯室内に配設され且つストップランプ用のフィラメントおよびテールランプ用のフィラメントを有するダブルフィラメントタイプの光源バルブと、前記光源バルブからの光を車両後方に向けて反射する反射面と、を備える車両用灯具において、前記反射面を、ストップランプ用フィラメントを焦点とする第1の放物反射面と、テールランプ用フィラメントを焦点とする第2の放物反射面と、に分割構成したため、日米欧の三法規の配光基準をすべて満たして三地域で共用可能な車両用灯具とすることができる。
【出願人】 【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
【住所又は居所】東京都品川区東五反田5丁目10番18号
【出願日】 平成14年3月13日(2002.3.13)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
【公開番号】 特開2003−272412(P2003−272412A)
【公開日】 平成15年9月26日(2003.9.26)
【出願番号】 特願2002−68991(P2002−68991)