| 【発明の名称】 |
車両用前照灯 |
| 【発明者】 |
【氏名】堀場 健 【住所又は居所】静岡県清水市北脇500番地 株式会社小糸製作所静岡工場内
|
| 【要約】 |
【課題】シェードを備えた車両用前照灯において、リフレクタの反射面における灯具光軸の側方領域が複数の反射素子で構成されている場合であっても、反射光の利用効率を向上させるとともに、車両前方路面に光ムラを形成したり対向車ドライバにグレアを与えてしまうおそれを最小限に抑える。
【解決手段】リフレクタ26の反射面26aにおける、光軸Ax2の左側の側方領域A1を構成する複数の反射素子26sにより、放電バルブ28からの光を左右方向に拡散偏向反射させる。側方領域A1において光軸Ax2に最も近い反射素子26s1の水平断面形状は、その光軸Ax2寄りの部位s1Aが凹で反光軸寄りの部位s1Bが凸の波形曲線で構成する。これにより反射素子26s1における最も光軸Ax2寄りの部位で反射した光を光軸Ax2とは反対側へ向かわせ、該反射素子26s1からの反射光がシェード30によって遮蔽されてしまうのを効果的に抑制する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 灯具光軸上に配置された光源バルブと、この光源バルブからの光を前方へ反射させるリフレクタと、上記光源バルブの前方に配置され、該光源バルブから前方へ向かう直射光を遮蔽するシェードと、を備えてなる車両用前照灯において、上記リフレクタの反射面における少なくとも上記灯具光軸の左右いずれか一方の側方領域が、所定の回転放物面を基準面とする複数の反射素子で構成されており、上記側方領域を構成する複数の反射素子のうち上記灯具光軸に最も近い反射素子が、上記光源バルブからの光を左右方向に拡散反射させるように構成されるとともに、この反射素子の水平断面形状が、該反射素子における灯具光軸寄りの部位が凹で反灯具光軸寄りの部位が凸の波形曲線で構成されている、ことを特徴とする車両用前照灯。 【請求項2】 上記側方領域が、該側方領域からの反射光によりロービーム配光パターンの水平カットオフラインを形成する反射領域として設定されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。 【請求項3】 上記灯具光軸に関して上記側方領域の反対側に位置する第2の側方領域が、該第2の側方領域からの反射光によりロービーム配光パターンの斜めカットオフラインを形成する反射領域として設定されており、上記第2の側方領域を構成する複数の反射素子のうち上記灯具光軸に最も近い反射素子が、上記光源バルブからの光を左右方向に拡散反射させるように構成されるとともに、この反射素子の水平断面形状が、該反射素子における灯具光軸寄りの部位が凹で反灯具光軸寄りの部位が凸の波形曲線で構成されている、ことを特徴とする請求項2記載の車両用前照灯。 【請求項4】 上記光源バルブが放電バルブである、ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の車両用前照灯。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本願発明は、シェードを備えた車両用前照灯に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年の車両用前照灯においては、リフレクタの反射面の全領域または一部領域を複数の反射素子で構成することにより、光源バルブからの光を前方へ拡散偏向反射させるように構成されたものが多い。また、車両用前照灯においては、光源バルブの前方に、光源バルブから前方へ向かう直射光を遮蔽するシェードが配置されることが多い。 【0003】なお本願明細書において、「拡散偏向反射させる」とは、反射光が拡散するように反射させる態様、反射光が偏向するように反射させる態様、反射光が偏向しつつ拡散するように反射させる態様、のいずれかであることを意味するものとする。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】このようなシェードを備えた車両用前照灯において、反射面における灯具光軸の側方領域が複数の反射素子で構成されている場合には、次のような問題がある。 【0005】すなわち、灯具光軸の側方領域を構成する各反射素子は、光源バルブからの光を左右方向に拡散偏向反射させるように構成されることが多いが、これら各反射素子は、該反射素子の曲面形状を形成する際の加工容易性等の観点から、その水平断面形状が凸曲線で構成されるのが一般的である。 【0006】その際、図5に示すように、リフレクタ2の反射面2aにおける灯具光軸Ax´の側方領域A1´を構成する複数の反射素子2sのうち、灯具光軸に最も近い反射素子2s1についても、その水平断面形状が凸曲線で構成されているので、該反射素子2s1からの反射光は左右方向に広がる発散光となる。このため、この反射素子2s1の灯具光軸Ax´寄りの部位で反射した光は灯具光軸Ax´側に広がり、その一部はシェード4によって遮蔽されて灯具前方には照射されなくなってしまう。 【0007】そして、このように反射素子2s1からの反射光の一部がシェード4によって遮蔽されることにより、その分だけ反射光の利用効率が低下してしまう、という問題がある。特に、この反射素子2s1は、灯具光軸Ax´に最も近い位置にあり、その反射光束はかなり大きなものとなるので、その一部を損失するだけでも反射光利用効率が大幅に低下してしまう。 【0008】また、図6(a)に示すように、反射素子2s1からの反射光によって形成される配光パターンPa´は、該反射素子2s1からの反射光の一部がシェード4によって遮蔽されるため、その水平方向の光度分布が、同図(b)に示すように、途中で急激に変化することとなり、これにより車両前方路面に光ムラを形成してしまう、という問題がある。なお、仮に反射素子2s1からの反射光の一部がシェード4によって遮蔽されないとした場合には、配光パターンPa´およびその水平方向の光度分布は、同図(a)、(b)において破線で示すようになる。また、同図(a)において2点鎖線で示す配光パターンP(L)´は、一般的なロービーム配光パターンである。 【0009】さらに、図5に示すように、反射素子2s1からの反射光の一部がシェード4の表面で反射して迷光として前方へ照射されるため、これにより車両前方路面に光ムラを形成したり対向車ドライバにグレアを与えてしまうおそれがある。 【0010】本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、シェードを備えた車両用前照灯において、リフレクタの反射面における灯具光軸の側方領域が複数の反射素子で構成されている場合であっても、反射光の利用効率を向上させることができるとともに、車両前方路面に光ムラを形成したり対向車ドライバにグレアを与えてしまうおそれを最小限に抑えることができる車両用前照灯を提供することを目的とするものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】本願発明は、灯具光軸に最も近い反射素子の水平断面形状に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。 【0012】すなわち、本願発明に係る車両用前照灯は、灯具光軸上に配置された光源バルブと、この光源バルブからの光を前方へ反射させるリフレクタと、上記光源バルブの前方に配置され、該光源バルブから前方へ向かう直射光を遮蔽するシェードと、を備えてなる車両用前照灯において、上記リフレクタの反射面における少なくとも上記灯具光軸の左右いずれか一方の側方領域が、所定の回転放物面を基準面とする複数の反射素子で構成されており、上記側方領域を構成する複数の反射素子のうち上記灯具光軸に最も近い反射素子が、上記光源バルブからの光を左右方向に拡散反射させるように構成されるとともに、この反射素子の水平断面形状が、該反射素子における灯具光軸寄りの部位が凹で反灯具光軸寄りの部位が凸の波形曲線で構成されている、ことを特徴とするものである。 【0013】上記「光源バルブ」は、灯具光軸上に配置されたものであれば、その種類は特に限定されるものではなく、例えば、各種のハロゲンバルブや放電バルブ等が採用可能である。 【0014】上記「シェード」は、光源バルブから前方へ向かう直射光を遮蔽するものであれば、その形状、大きさ等の具体的構成は特に限定されるものではなく、光源バルブから前方へ向かう直射光のみを遮蔽するように構成されたものであってもよいし、前方へ向かう直射光だけでなくリフレクタの反射面の周辺領域へ入射する光をも遮蔽するように構成されたものであってもよい。 【0015】上記「側方領域」とは、反射面において、灯具光軸を含む平面と交差または接触する反射領域を意味するものである。 【0016】上記反射面における「側方領域」以外の反射領域については、その具体的構成は特に限定されるものではない。 【0017】上記「凹」、「凸」とは、平面に対して凹、凸ではなく、上記基準面(所定の回転放物面)に対して凹、凸であることを意味するものである。 【0018】 【発明の作用効果】上記構成に示すように、本願発明に係る車両用前照灯は、リフレクタにより光源バルブからの光を前方へ反射させるとともに、光源バルブの前方に配置されたシェードにより光源バルブから前方へ向かう直射光を遮蔽するように構成されているが、リフレクタの反射面における少なくとも灯具光軸の左右いずれか一方の側方領域が複数の反射素子で構成されており、これら複数の反射素子のうち灯具光軸に最も近い反射素子が、光源バルブからの光を左右方向に拡散反射させるように構成されるとともに、その水平断面形状が該反射素子における灯具光軸寄りの部位が凹で反灯具光軸寄りの部位が凸の波形曲線で構成されているので、次のような作用効果を得ることができる。 【0019】すなわち、灯具光軸に最も近い反射素子における灯具光軸寄りの部位は、その水平断面形状が凹曲線で構成されているので、該部位からの反射光は左右方向に関しては収束光となる。したがって、この反射素子における最も灯具光軸寄りの部位で反射した光については、これを灯具光軸とは反対側へ向かわせることができ、これにより該反射素子からの反射光がシェードによって遮蔽されてしまうのを効果的に抑制することができる。 【0020】したがって、従来のように灯具光軸に最も近い反射素子の水平断面形状が凸曲線で構成されている場合に比して、反射光の利用効率を高めることができる。特に、この反射素子は、灯具光軸に最も近い位置にあり、その反射光束はかなり大きなものとなるので、反射光利用効率を大幅に高めることができる。 【0021】また、灯具光軸に最も近い反射素子からの反射光がシェードによってほどんど遮蔽されなくなることにより、該反射素子からの反射光によって形成される配光パターンの水平方向の光度分布が途中で急激に変化することもなくなる。したがって、この配光パターンによって車両前方路面に光ムラを形成してしまうのを未然に防止することができる。 【0022】さらに、灯具光軸に最も近い反射素子からの反射光がシェードの表面で反射して上方散乱光等の迷光として前方へ照射されてしまうこともほとんどなくなるので、車両前方路面に光ムラを形成したり対向車ドライバにグレアを与えてしまうおそれをなくすことができる。 【0023】したがって本願発明によれば、シェードを備えた車両用前照灯において、リフレクタの反射面における灯具光軸の側方領域が複数の反射素子で構成されている場合であっても、反射光の利用効率を向上させることができるとともに、車両前方路面に光ムラを形成したり対向車ドライバにグレアを与えてしまうおそれを最小限に抑えることができる。 【0024】上記構成において、反射面における灯具光軸の側方領域が、該側方領域からの反射光によりロービーム配光パターンの水平カットオフラインを形成する反射領域として設定されている場合には、次のような作用効果を得ることができる。 【0025】すなわち、側方領域を構成する各反射素子からの反射光により形成される配光パターンは、その灯具光軸に最も近い反射素子からの反射光により形成される配光パターンが最も大きい配光パターンとなり、車両前方路面に光溜まりを形成しやすくなる。このため、ロービーム配光パターンの水平カットオフラインを形成する際には、灯具光軸に最も近い反射素子による反射光の左右拡散角度が最も大きい値に設定されるのが普通である。 【0026】このように反射光の左右拡散角度が大きくなると、従来のように灯具光軸に最も近い反射素子の水平断面形状が凸曲線である場合には、該反射素子からの反射光のうちシェードによって遮蔽されてしまう反射光の割合が一層大きくなるので、該反射素子の水平断面形状を本願発明のような波形曲線で構成することが特に効果的である。 【0027】また、灯具光軸に関して上記側方領域の反対側に位置する第2の側方領域が、該第2の側方領域からの反射光によりロービーム配光パターンの斜めカットオフラインを形成する反射領域として設定されている場合には、該第2の側方領域を構成する各反射素子の拡散偏向反射方向は斜めカットオフラインに沿った斜め方向になるので、その灯具光軸に最も近い反射素子の斜め方向拡散角度を大きく設定すると、車両前方路面に光ムラを形成しやすくなってしまう。 【0028】そこで、この灯具光軸に最も近い反射素子については、光源バルブからの光を斜め方向ではなく左右方向に拡散反射させるように構成するとともに、その水平断面形状を該反射素子における灯具光軸寄りの部位が凹で反灯具光軸寄りの部位が凸の波形曲線で構成すれば、この反射素子にも、上記側方領域における灯具光軸に最も近い反射素子と同様な機能を発揮させることができる。 【0029】上記「光源バルブ」の種類が特に限定されないことは上述したとおりであるが、これが放電バルブである場合には、その光源光束が非常に大きなものとなるので、車両前方路面への光ムラ形成抑制効果および対向車ドライバに対するグレア抑制効果が得られる本願発明の構成を採用することが特に効果的である。 【0030】なお、上記「シェード」の具体的構成が特に限定されないことも上述したとおりであるが、該シェードの内面に反射面を形成し、該反射面により光源バルブからの直射光をリフレクタの反射面へ向けて反射させ、これを灯具配光用として利用するように構成された特殊なシェードも知られている。このようなシェードを用いた場合、光源バルブから直接シェードの内面に入射した光については該シェードの反射面により適切に反射制御することが可能であるが、光源バルブから一旦リフレクタの反射面に入射し、該反射面からの反射光としてシェードの内面に入射した光については該シェードの反射面により適切に反射制御することはできず、グレア光等を発生させてしまうおそれがある。その際、本願発明のように、灯具光軸に最も近い反射素子の水平断面形状を上記波形曲線に設定し、該反射素子からの反射光をシェードの内面に極力入射させないようにすれば、グレア光等の発生を効果的に抑制することができる。 【0031】 【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。 【0032】図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用前照灯を示す平断面図である。 【0033】図示のように、本実施形態に係る車両用前照灯10は、車両前端部に設けられる左右1対の4灯式前照灯のうち、左側に位置する灯具である。なお、右側に位置する灯具も同様の構成である。 【0034】この車両用前照灯10は、素通し状の透光カバー12とランプボディ14とで形成される灯室内に、左右方向に隣接配置されたハイビーム用灯具ユニット16とロービーム用灯具ユニット18とが、1つの傾動ユニット20として上下および左右方向に傾動可能に設けられてなっている。そして、この車両用前照灯10は、ロービーム用灯具ユニット18の点灯によりロービーム照射を行うとともに、両灯具ユニット16、18の同時点灯によりハイビーム照射を行うようになっている。 【0035】ハイビーム用灯具ユニット16は、車両前後方向に延びる光軸Ax1を有するパラボラ型のリフレクタ22と、単一のフィラメント24aを有するハロゲンバルブ24とを備えてなっている。 【0036】ハロゲンバルブ24は、そのフィラメント24aを光軸Ax1上に位置させるようにしてリフレクタ22に支持されている。リフレクタ22は、光軸Ax1を中心軸とする回転放物面上に複数の反射素子22sが形成されてなる反射面22aを有しており、フィラメント24aからの光を前方へ向けて左右方向に拡散反射させるようになっている。 【0037】一方、ロービーム用灯具ユニット18は、車両前後方向に延びる光軸Ax2(灯具光軸)を有するパラボラ型のリフレクタ26と、放電発光部28a(光源)を有する放電バルブ28(光源バルブ)と、シェード30とを備えてなっている。 【0038】放電バルブ28は、その放電発光部28aを光軸Ax2上に位置させるようにして、バルブ支持部材38を介してリフレクタ26に支持されている。リフレクタ26は、光軸Ax2を中心軸とするとともに放電発光部28aの中心位置を焦点とする回転放物面P(図3参照)上に複数の反射素子26sが形成されてなる反射面26aを有しており、放電発光部28aからの光を前方へ向けて拡散偏向反射させるようになっている。シェード30は、放電バルブ28の前方に配置され、その放電発光部28aから前方へ向かう直射光を遮蔽するようになっている。このシェード30は、リフレクタ26に支持されている。 【0039】ハイビーム用灯具ユニット16のリフレクタ22とロービーム用灯具ユニット18のリフレクタ26とは、傾動ユニットパネル20aを介して一体的に形成されており、これにより上記傾動ユニット20を構成している。この傾動ユニット20は、その左右上端部においてエイミング機構32、34を介してランプボディ14に支持されるとともに、その中央下端部においてレベリング機構36を介してランプボディ14に支持されている。 【0040】図4は、本実施形態に係る車両用前照灯10からのビーム照射により灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンを透視的に示す図である。 【0041】車両用前照灯10は、ロービーム照射時には、ロービーム用灯具ユニット18からのビーム照射により、同図(a)に示すような左配光のロービーム配光パターンP(L)を形成する一方、ハイビーム照射時には、両灯具ユニット16、18からのビーム照射により、同図(b)に示すような上記ロービーム配光パターンP(L)にハイビーム配光パターンP(H)を重畳させた配光パターンを形成するようになっている。 【0042】ロービーム配光パターンP(L)は、その上端縁に水平カットオフラインCL1および斜めカットオフラインCL2からなるカットオフラインを有している。水平カットオフラインCL1は、灯具正面方向(H−V)に対して対向車線側に形成されており、一方、斜めカットオフラインCL2は、水平カットオフラインCL1から自車線側に斜めに立ち上がる(例えば15°で立ち上がる)ように形成されている。 【0043】図2は、ロービーム用灯具ユニット18を詳細に示す、図1のII方向矢視詳細図であり、図3は、図2のIII-III 線断面詳細図である。 【0044】これらの図に示すように、リフレクタ26の反射面26aを構成する複数の反射素子26sのうち、光軸Ax2の左側の側方領域A1を構成する複数の反射素子26sは、ロービーム配光パターンP(L)の水平カットオフラインCL1を形成する反射領域であり、一方、光軸Ax2の右側の側方領域A2(第2の側方領域)を構成する複数の反射素子26sは、ロービーム配光パターンP(L)の斜めカットオフラインCL2を形成する反射領域である。 【0045】側方領域A1を構成する各反射素子26sは、いずれも放電発光部28aからの光を左右方向に拡散偏向反射させるように構成されている。その際、側方領域A1を構成する各反射素子26sの大半は、その水平断面形状が凸曲線で構成されているが、光軸Ax2に最も近い反射素子26s1の水平断面形状は、該反射素子26s1における光軸Ax2寄りの部位s1Aが凹で反光軸Ax2寄りの部位s1Bが凸の波形曲線で構成されている。そして、この反射素子26s1からの反射光は、図4(a)に2点鎖線で示すように、水平カットオフラインCL1に沿った配光パターンPaを形成するようになっている。なお、光軸Ax2に最も近い位置にある反射素子26s1は、側方領域A1を構成する各反射素子26sのうち最も大きい配光パターンを形成する反射素子であるので、その反射光の左右拡散角度も最も大きい値に設定されている。 【0046】一方、側方領域A2を構成する複数の反射素子26sのうち、光軸Ax2に最も近い反射素子26s2以外の反射素子26sは、放電発光部28aからの光を斜め方向(斜めカットオフラインCL2の斜め立上がり方向)に拡散偏向反射させるように構成されている。そして、これら各反射素子26sは、その斜め方向に沿った断面形状が凸曲線で構成されている。これに対し、反射素子26s2は、放電発光部28aからの光を左右方向に拡散反射させるように構成されている。その際、この反射素子26s2の水平断面形状は、該反射素子26s2における光軸Ax2寄りの部位s2Aが凹で反光軸寄りの部位s2Bが凸の波形曲線で構成されている。そして、この反射素子26s2からの反射光は、図4(a)に2点鎖線で示すように、斜めカットオフラインCL2の下方近傍において左右方向に広がる配光パターンPbを形成するようになっている。 【0047】なお、反射面26aにおける側方領域A1、A2以外の反射領域を構成する複数の反射素子26sは、いずれもその水平断面形状が凸曲線で構成されている。 【0048】次に、本実施形態の作用効果について説明する。 【0049】本実施形態に係る車両用前照灯10は、リフレクタ26の反射面26aを構成する複数の反射素子26sにより放電バルブ28からの光を前方へ拡散偏向反射させるとともに、放電バルブ28の前方に配置されたシェード30により放電バルブ28から前方へ向かう直射光を遮蔽するように構成されているが、反射面26aにおける光軸Ax2の左側の側方領域A1において光軸Ax2に最も近い反射素子26s1は、放電バルブ28からの光を左右方向に拡散反射させるように構成されるとともに、その水平断面形状が該反射素子26s1における光軸Ax2寄りの部位s1Aが凹で反光軸寄りの部位s1Bが凸の波形曲線で構成されているので、次のような作用効果を得ることができる。 【0050】すなわち、図3に示すように、反射素子26s1における光軸Ax2寄りの部位s1Aの水平断面形状が凹曲線で構成されているので、該部位s1Aからの反射光は左右方向に関しては収束光となる。したがって、この反射素子26s1における最も光軸Ax2寄りの部位で反射した光については、これを光軸Ax2とは反対側へ向かわせることができ、これにより該反射素子26s1からの反射光がシェード30によって遮蔽されてしまうのを効果的に抑制することができる。 【0051】したがって、光軸Ax2に最も近い反射素子26s1の水平断面形状が従来のように凸曲線で構成された場合に比して、反射光の利用効率を高めることができる。特に、この反射素子26s1は、光軸Ax2に最も近い位置にあり、その反射光束はかなり大きなものとなるので、反射光利用効率を大幅に高めることができる。 【0052】また、反射素子26s1からの反射光がシェード30によってほどんど遮蔽されなくなることにより、該反射素子26s1からの反射光によって形成される配光パターンPaの水平方向の光度分布が途中で急激に変化することもなくなり、これにより車両前方路面に光ムラを形成してしまうのを未然に防止することができる。 【0053】さらに、反射素子26s1からの反射光がシェード30の表面で反射して上方散乱光等の迷光として前方へ照射されてしまうこともほとんどなくなるので、車両前方路面に光ムラを形成したり対向車ドライバにグレアを与えてしまうおそれをなくすことができる。 【0054】特に本実施形態においては、側方領域A1が、該側方領域A1からの反射光によりロービーム配光パターンP(L)の水平カットオフラインCL1を形成する反射領域として設定されており、この側方領域A1において光軸Ax2に最も近い位置にある反射素子26s1は、その反射光の左右拡散角度が該側方領域A1を構成する複数の反射素子26sのうちで最も大きい値に設定されているので、この反射素子26s1の水平断面形状を本実施形態のような波形曲線で構成することが、該反射素子26s1からの反射光がシェード30によって遮蔽されないようにする上で一層効果的である。 【0055】また本実施形態においては、反射面26aにおける光軸Ax2の右側の側方領域A2が、該側方領域A2からの反射光によりロービーム配光パターンP(L)の斜めカットオフラインCL2を形成する反射領域として設定されており、この側方領域A2を構成する大半の反射素子26sは、その拡散偏向方向が斜めカットオフラインCL2に沿った斜め方向に設定されている。しかしながら、この側方領域A2において光軸Ax2に最も近い反射素子26s2については、放電バルブ28からの光を斜め方向ではなく左右方向に拡散反射させるように構成されるとともに、その水平断面形状が該反射素子26s2における光軸Ax2寄りの部位が凹で反光軸寄りの部位が凸の波形曲線で構成されているので、この反射素子26s2にも、側方領域A1の反射素子26s1と同様な機能を発揮させることができる。 【0056】その際、本実施形態においては、反射素子26s2からの反射光により、斜めカットオフラインCL2の下方近傍に左右方向に広がる配光パターンPbを形成するようになっているので、車両前方路面およびその左側の路肩の視認性を高めることができる。なお、この場合において、配光パターンPbが斜めカットオフラインCL2よりも上方へ突出してしまうようであれば、反射素子26s2からの反射光の向きを適宜下向きに設定するようにすればよい。 【0057】本実施形態においては、ロービーム用灯具ユニット18の光源バルブが、非常に大きい光源光束を有する放電バルブ28で構成されているので、車両前方路面への光ムラ形成抑制効果および対向車ドライバに対するグレア抑制効果が得られる本実施形態の構成を採用することが特に効果的である。 【0058】しかも本実施形態においては、各反射素子26s1、26s2に隣接するすべての反射素子26sの水平断面形状が凸曲線で構成されているので、これら各反射素子26s1、26s2の水平断面形状を本実施形態のように波形曲線で構成することにより、仮にこれら各反射素子26s1、26s2を凹曲線で構成した場合に比して、反射素子相互間の段差を小さくすることができる。そしてこれにより、段差部分からの反射光が迷光として灯具前方へ照射されてしまうおそれを最小限に抑えることができる。 【0059】なお本実施形態においては、反射素子26s1、26s2が、ロービーム専用のロービーム用灯具ユニット18におけるリフレクタ26の反射面26aに適用されている場合について説明したが、ロービーム用灯具ユニット18の代わりに、ロービームおよびハイビーム兼用の灯具ユニット、あるいはハイビーム専用の灯具ユニット、さらにはフォグランプ等の灯具ユニットにおけるリフレクタの反射面に適用した場合においても、本実施形態と同様の構成を採用することにより本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001133 【氏名又は名称】株式会社小糸製作所 【住所又は居所】東京都港区高輪4丁目8番3号
|
| 【出願日】 |
平成14年3月4日(2002.3.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099999 【弁理士】 【氏名又は名称】森山 隆
|
| 【公開番号】 |
特開2003−257221(P2003−257221A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月12日(2003.9.12) |
| 【出願番号】 |
特願2002−56763(P2002−56763) |
|