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【発明の名称】 車両用灯具およびそのレーザ溶着方法
【発明者】 【氏名】浅香 賢一
【住所又は居所】神奈川県伊勢原市板戸80番地 市光工業株式会社伊勢原製造所内

【要約】 【課題】アウタレンズおよびインナシートのハウジングへの固定を、溶着バリや白化に起因する外観上の品質の低下を伴うことなく簡単な作業で確実に行う。

【解決手段】アウタレンズ2が、透明な熱可塑性樹脂材で構成されており、ハウジング4が、レーザ光13に対して吸収性のある熱可塑性樹脂材で構成されており、インナシート20が、透明な熱可塑性樹脂材で構成されており、かつアウタレンズ2は、ハウジング4の開口部との当接部位をアウタレンズ2側から照射されるレーザ光13により全周に亘ってレーザ溶着(溶着面9a)することによりハウジング4に固定されており、インナシート20は、アウタレンズ2とハウジング4との間に挟持されると共に、該挟持部位を少なくとも部分的にアウタレンズ2側から照射されるレーザ光13によりレーザ溶着(溶着面9b)することによりハウジング4に固定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アウタレンズが、レーザ光に対して透明な熱可塑性樹脂材で構成されると共に、レーザ光に対して吸収性のある熱可塑性樹脂材で構成されたハウジングと共働して光源バルブの設けられる灯室を画成するように前記ハウジングの開口部を覆うようにして固定されており、かつ光透過部材が、レーザ光に対して透明な熱可塑性樹脂材で構成されると共に、前記光源バルブの光を前記アウタレンズ側に透過するように前記灯室内に設けられている車両用灯具であって、前記アウタレンズは、前記ハウジングの開口部との当接部位を前記アウタレンズ側から照射されるレーザ光により全周に亘ってレーザ溶着することにより前記ハウジングに固定されており、かつ前記光透過部材は、前記アウタレンズと前記ハウジングとの間に挟持されると共に、該挟持部位を少なくとも部分的に前記アウタレンズ側から照射されるレーザ光によりレーザ溶着することにより前記ハウジングに固定されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】 請求項1に記載の車両用灯具であって、前記アウタレンズおよびハウジングのいずれか一方の部材は、他方の部材へ突出する環状リブを一体に形成して構成されており、かつ前記環状リブは、その幅方向の外側に位置する前記他方の部材へ当接する第1当接面と、その幅方向の内側に位置する前記光透過部材へ当接する第2当接面とからなる段部を先端面に形成して構成されており、前記アウタレンズおよび光透過部材は、前記第1当接面を前記他方の部材へ当接させると共に、前記第2当接面と他方の部材との間に前記光透過部材を挟持させた状態で、前記アウタレンズ側から照射されるレーザ光によるレーザ溶着により前記ハウジングに固定されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項3】 請求項2に記載の車両用灯具であって、前記環状リブは、前記ハウジングに一体に形成されており、前記光透過部材は、一般部よりも肉薄に形成される被挟持部を周縁部に有して構成されており、かつ前記アウタレンズは、アウタレンズを透して照射されるレーザ光による第1当接面へのレーザ溶着により固定されると共に、前記光透過部材は、アウタレンズおよび前記被挟持部を透して照射されるレーザ光による前記被挟持部の第2当接面へのレーザ溶着により固定されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項4】 請求項2または3に記載の車両用灯具のレーザ溶着方法であって、前記レーザ光を前記第1当接面と第2当接面に跨る集光径を有して照射することにより、前記アウタレンズおよび光透過部材を、前記レーザ光の同一集光径内で同時に溶着することを特徴とする車両用灯具のレーザ溶着方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えばリヤランプとして適用される、インナシート(フィルム)やインナレンズ等の光透過部材を灯室内に設けた車両用灯具およびそのレーザ溶着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用灯具では、アウタレンズが、透明な熱可塑性樹脂材で構成されると共に、ハウジングと共働して灯室を画成するように前記ハウジングの開口部を覆うようにして固定されている。
【0003】また、インナシート(フィルム)は、見栄え向上の模様付けを目的としてアウタレンズの裏面に接近させて設けられており、インナレンズは、ランプの配光制御と色付けを目的としてアウタレンズの後方に設けられている。
【0004】そして、アウタレンズのハウジングへの固定手段としては、振動溶着、超音波溶着等に代表される溶着が短時間で接合が可能であり、接着剤やねじ等の金属部品を使用しないので、それにかかるコストや重量増、環境汚染らの問題が発生しないことから、主流になりつつある。図6は、アウタレンズ2のハウジング4への固定状態を示す。
【0005】また、インナシート20は、図7に示すように、両面テープ15を介してアウタレンズ2の裏面側に貼り付けられる。すなわち、インナシート20は、アウタレンズ2の裏面に直接貼着される両面テープ15を介して貼り付けられる(図7(a))か、またはアウタレンズ2の環状リブ3に貼着される両面テープ15を介して貼り付けられる(図7(b))。
【0006】また、インナレンズ21は、図8に示すように、インナレンズ21に設けたランス16によりランス係合させると共に、がたつきやはずれを防止するためにさらにスクリュー17止めして取り付けられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、振動溶着や超音波溶着は、図6に示すように、アウタレンズ2の環状リブ3の先端とハウジング4の平坦面との溶着となり、溶着部付近に溶着バリや糸引き5が現出するばかりでなく、この部分Tが広いダミー幅となってアウタレンズ2の表面側から観察することができ、ひいては外観上の品質の低下を招く、という課題を有している。
【0008】また、インナシート20やインナレンズ21の取付は、工数が掛かり、ひいてはコスト高を招くばかりでなく、両面テープ15を用いた工法では、さらに接着後、熱や振動等で剥がれや白化を生じる虞がある、という課題を有している。
【0009】そこで、この発明は、アウタレンズおよび光透過部材(インナシートまたはインナレンズ)のハウジングへの固定が、溶着バリや糸引き並びに白化に起因する外観上の品質の低下を伴うことなく比較的簡単な作業で確実に行うことができ、ひいてはコストの低減化をも可能とした車両用灯具およびそのレーザ溶着方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記した目的を達成するため、請求項1の発明は、アウタレンズが、レーザ光に対して透明な熱可塑性樹脂材で構成されると共に、レーザ光に対して吸収性のある熱可塑性樹脂材で構成されたハウジングと共働して光源バルブの設けられる灯室を画成するように前記ハウジングの開口部を覆うようにして固定されており、かつ光透過部材が、透明な熱可塑性樹脂材で構成されると共に、前記光源バルブの光を前記アウタレンズ側に透過するように前記灯室内に設けられている車両用灯具であって、前記アウタレンズは、前記ハウジングの開口部との当接部位を前記アウタレンズ側から照射されるレーザ光により全周に亘ってレーザ溶着することにより前記ハウジングに固定されており、かつ前記光透過部材は、前記アウタレンズと前記ハウジングとの間に挟持されると共に、該挟持部位を少なくとも部分的に前記アウタレンズ側から照射されるレーザ光によりレーザ溶着することにより前記ハウジングに固定されていることを特徴とする。
【0011】このため請求項1の発明では、アウタレンズは、レーザ光に対して透明な熱可塑性樹脂材で構成されているので、アウタレンズ側から照射されるレーザ光はアウタレンズを透過してハウジングに到達する。ハウジングは、レーザ光に対して吸収性のある熱可塑性樹脂材で構成されているので、ハウジングに到達したレーザ光はハウジングに吸収されて熱に変換され、この熱でハウジングの照射部位を溶解させる。この溶解熱はアウタレンズ側にも伝播され、アウタレンズを同様に溶解させる。しかして、アウタレンズとハウジングは、その溶解部同士が融合するレーザ溶着により接合される。アウタレンズは、このようなレーザ溶着をアウタレンズの全周に亘って施すことによって、ハウジングの開口部を覆うようにして固定される。
【0012】また、光透過部材は、レーザ光に対して透明な熱可塑性樹脂材で構成されているので、アウタレンズ側から照射されるレーザ光は、アウタレンズおよび光透過部材を透過してハウジングに到達する。ハウジングに到達したレーザ光は、前述したようにハウジングに吸収されて熱に変換され、この熱でハウジングの照射部位を溶解させる。この溶解熱は光透過部材側にも伝播され、光透過部材を同様に溶解させる。しかして、光透過部材とハウジングは、その溶解部同士が融合するレーザ溶着により接合される。光透過部材は、その溶着面にシール性が要求されないので、このようなレーザ溶着は部分的に施されていれば足りる。
【0013】また、溶着面は、溶解部同士の融合により形成されるので、溶着バリや糸引きを生じさせることなく形成することができる。
【0014】また、請求項2の発明は、請求項1に記載の車両用灯具であって、前記アウタレンズおよびハウジングのいずれか一方の部材は、他方の部材へ突出する環状リブを一体に形成して構成されており、かつ前記環状リブは、その幅方向の外側に位置する前記他方の部材へ当接する第1当接面と、その幅方向の内側に位置する前記光透過部材へ当接する第2当接面とからなる段部を先端面に形成して構成されており、前記アウタレンズおよび光透過部材は、前記第1当接面を前記他方の部材へ当接させると共に、前記第2当接面と他方の部材との間に前記光透過部材を挟持させた状態で、前記アウタレンズ側から照射されるレーザ光によるレーザ溶着により前記ハウジングに固定されていることを特徴とする。
【0015】このため請求項2の発明では、環状リブは、アウタレンズに形成される場合はレーザ光に対して透明な熱可塑性樹脂材で構成され、ハウジングに形成される場合はレーザ光に対して吸収性のある熱可塑性樹脂材で構成される。このためアウタレンズ側から照射されるレーザ光は、前者の場合、環状リブ、または環状リブおよび光透過部材を介してハウジングに達するのに対して、後者の場合、直接または光透過部材を介して環状リブの段部に達する。
【0016】そして、溶着面は、前者の場合、段部の第1当接面とハウジングとの間および光透過部材とハウジングとの間にそれぞれ形成されるのに対して、後者の場合、アウタレンズと段部の第1当接面との間および光透過部材と段部の第2当接面との間にそれぞれ形成される。
【0017】また、レーザ溶着は、前者の場合、ハウジングの溶着面が平坦面であるときは、レーザ光の第1および第2当接面に跨る同一集光径内でのアウタレンズおよび光透過部材の同時溶着が可能であるのに対して、後者の場合、光透過部材が厚いとその分第2当接面の深さが深くなり前記同時溶着が不能となるが、その場合でも、光透過部材の厚さ(第2当接面の深さ)に見合ったレーザ光の少しの移動でアウタレンズおよび光透過部材のレーザ溶着が可能となるので、制御が簡単である。
【0018】また、請求項3の発明は、請求項2に記載の車両用灯具であって、前記環状リブは、前記ハウジングに一体に形成されており、前記光透過部材は、一般部よりも肉薄に形成される被挟持部を周縁部に有して構成されており、かつ前記アウタレンズは、アウタレンズを透して照射されるレーザ光による第1当接面へのレーザ溶着により固定されると共に、前記光透過部材は、アウタレンズおよび前記被挟持部を透して照射されるレーザ光による前記被挟持部の第2当接面へのレーザ溶着により固定されていることを特徴とする。
【0019】このため請求項3の発明では、被挟持部を薄く形成した分第2当接面の深さも浅くなり、これによりレーザ溶着は、レーザ光の第1および第2当接面に跨る同一集光径内でのアウタレンズおよび光透過部材の同時溶着が可能となる。
【0020】また、請求項4の発明は、請求項2または3に記載の車両用灯具のレーザ溶着方法であって、前記レーザ光を前記第1当接面と第2当接面に跨る集光径を有して照射することにより、前記アウタレンズおよび光透過部材を、前記レーザ光の同一集光径内で同時に溶着することを特徴とする。
【0021】このため請求項4の発明では、溶着工程の簡略化を図ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、実施の形態に基づいて具体的に説明する。なお、図6〜図8に示す部材と同一機能を有する部材は、同一符号を付して説明する。
【0023】図1は、本発明の第1実施形態としての車両用灯具1を示す。この車両用灯具1は、アウタレンズ2が、レーザ光13に対して透明な熱可塑性樹脂材で構成されると共に、レーザ光13に対して吸収性のある熱可塑性樹脂材で構成されたハウジング4と共働して光源バルブ12の設けられる灯室11を画成するようにハウジング4の開口部を覆うようにして固定されており、かつ光透過部材としてのインナシート20が、レーザ光13に対して透明な熱可塑性樹脂材で構成されると共に、光源バルブ12の光をアウタレンズ2側に透過するように灯室11内に設けられている。
【0024】そして、アウタレンズ2は、ハウジング4の開口部との当接部位をアウタレンズ2側から照射されるレーザ光13により全周に亘ってレーザ溶着することによりハウジング4に固定されており、かつインナシート20は、アウタレンズ2とハウジング4との間に挟持されると共に、該挟持部位をアウタレンズ2側から照射されるレーザ光13により少なくとも部分的にレーザ溶着することによりハウジング4に固定されている。図1中、符号6は、反射面であり、符号8は、レーザ射出部である。
【0025】本実施形態では、アウタレンズ2は、その外周縁部のやや内側に沿って一体的に形成される透明環状リブ3を有して構成されており、ハウジング4は、環状リブ3の内側に対応する部位に一体的に形成される立壁7を有して構成されている。このとき透明環状リブ3は、アウタレンズ2の全周に亘って形成されており、立壁7は、インナシート20の外周縁部の全周に対応して設ける必然性はなく、インナシート20の安定した張設状態が維持できる場合は、インナシート20の外周縁部に沿って部分的に設けてもよい。
【0026】具体的には、アウタレンズ2は、素通しレンズであり、アクリル樹脂(PMMA)やポリカーボネート樹脂(PC)等の透明な熱可塑性樹脂材で形成されている。
【0027】また、ハウジング4は、レーザ光13に対して吸収性のある熱可塑性樹脂材で構成される。このような熱可塑性樹脂材としては、レーザ光13に対して吸収性を有する着色料で着色された熱可塑性樹脂材がある。このときの着色料は、例えばカーボンブラックであり、樹脂材は、アウタレンズ2の樹脂材(PMMA、PC等)との相溶性のある樹脂材が選択される。このような樹脂材としては、例えばABS樹脂、アクリロニトリル・エチレンプロピレン・スチレン樹脂(AES)、アクリル・アクリロニトリル・スチレン樹脂(AAS(またはASA))、アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS)、PC樹脂、およびポリマーアロイがある。ポリマーアロイは、例えばPC/ABS樹脂、PC/AAS樹脂、PC/ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、PC/ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等、あるいはPMMA/ABS樹脂、PMMA/AAS樹脂、PMMA/PBT樹脂、PMMA/PET樹脂等がある。ハウジング4は、前記以外の成分、例えばガラス、シリカ、タルク、炭酸カルシウム等の無機または有機物よりなるフィラー、帯電防止剤、耐侯安定剤等の慣用の添加物の1種以上を樹脂材中に含有させることもできる。
【0028】また、インナシート20は、例えば厚さ0.3〜0.5mmのPC樹脂フィルムで構成される。
【0029】また、レーザ光13は、アウタレンズ2(環状リブ3を含む)内の透過率が充分高くなるような波長を有するものが適宜選択される。このようなレーザ光13として、半導体レーザ(波長808nm、または940nm)がある。
【0030】そして、レーザ溶着は、図1に示すように、透明環状リブ3の先端面を立壁7の外側のハウジング4の平坦面に当接させてアウタレンズ2をセットし、かつアウタレンズ2の裏面と立壁7の先端面との間で挟持するようにしてインナシート20をセットし、その後前記当接部位を加圧しながら該当個所にアウタレンズ2側からレーザ光13を照射することにより行う。すなわち、アウタレンズ2のレーザ溶着は、透明環状リブ3の真上にレーザ射出部8を位置させて行われ、インナシート20のレーザ溶着は、立壁7の真上にレーザ射出部8を移動させて行われる。
【0031】アウタレンズ2は、レーザ光13に対して透明な熱可塑性樹脂材で構成されているので、アウタレンズ2側から照射されるレーザ光13はアウタレンズ2(透明環状リブ3を含む)を透過してハウジング4に到達する。ハウジング4は、レーザ光13に対して吸収性のある熱可塑性樹脂材で構成されているので、ハウジング4に到達したレーザ光13はハウジング4に吸収されて熱に変換され、この熱でハウジング4の照射部位を溶解させる。この溶解熱は透明環状リブ3側にも伝播され、透明環状リブ3を同様に溶解させる。しかして、透明環状リブ3とハウジング4は、その溶解部同士が融合するレーザ溶着により接合される。アウタレンズ2は、このようなレーザ溶着を透明環状リブ3の全周に亘って施すことによって、ハウジング4の開口部を覆うようにして固定される。
【0032】また、インナシート20は、レーザ光13に対して透明な熱可塑性樹脂材で構成されているので、アウタレンズ2側から照射されるレーザ光13は、アウタレンズ2およびインナシート20を透過して立壁7に到達する。立壁7に到達したレーザ光13は、前述したように立壁7に吸収されて熱に変換され、この熱で立壁7の照射部位を溶解させる。この溶解熱はインナシート20側にも伝播され、インナシート20を同様に溶解させる。しかして、インナシート20と立壁7は、その溶解部同士が融合するレーザ溶着により接合される。
【0033】しかして、アウタレンズ2は、アウタレンズ2側から照射されるレーザ光13による透明環状リブ3とハウジング4との間のレーザ溶着(溶着面9a)により固定されている。インナシート20は、アウタレンズ2の裏面と立壁7の先端面との間に挟持された状態で、アウタレンズ2側から照射されるレーザ光13によるインナシート20と立壁7との間のレーザ溶着(溶着面9b)により固定されている。
【0034】このように車両用灯具1においては、その溶着面9a、9bは、振動溶着や接着剤を用いることなく溶解部同士の融合により形成されるので、溶着バリや糸引きや白化を生じさせることなく形成することができる。
【0035】このため車両用灯具1は、アウタレンズ2およびインナシート20のハウジング4への固定が、溶着バリや糸引き並びに白化に起因する外観上の品質の低下を伴うことなく比較的簡単なレーザ溶着作業で確実に行うことができ、ひいてはコストの低減化をも可能としている。
【0036】図2は、本発明の第2実施形態としての車両用灯具10を示す。この車両用灯具10は、インナシート20の挟持と、アウタレンズ2とハウジング4の固定とを1個の環状リブを介して行っている点が相違するだけで、他の構成は車両用灯具1と同様に構成されている。
【0037】すなわち本実施形態では、ハウジング4は、アウタレンズ2へ突出する不透明環状リブ14を一体に形成して構成されており、かつ不透明環状リブ14は、その幅方向の外側に位置するアウタレンズ2へ当接する第1当接面17aと、その幅方向の内側に位置するインナシート20へ当接する第2当接面17bとからなる段部17を先端面に形成して構成されている。不透明環状リブ14は、ハウジング4の外周縁部のやや内側の全周に亘って形成されており、かつ第1当接面17aは、不透明環状リブ14の全長に亘って形成される。第2当接面17bは、不透明環状リブ14の全長に亘って形成しても良いが、インナシート20の安定した張設状態が維持できる場合は、不透明環状リブ14に沿って部分的に設けることもできる。アウタレンズ2は、リブを備えない板状体として構成される。
【0038】そして、アウタレンズ2およびインナシート20は、図2に示すように、第1当接面17aをアウタレンズ2の裏面に当接させると共に、第2当接面17bとアウタレンズ2との間にインナシート20を挟持させた状態で、アウタレンズ2側から照射されるレーザ光13によるレーザ溶着によりハウジング4に固定されている。このときのレーザ溶着もまた、前述したと同様の原理に基づいて行われる。
【0039】しかして、アウタレンズ2は、アウタレンズ2を透して照射されるレーザ光13による第1当接面17aへのレーザ溶着(溶着面9c)により固定されており、インナシート20は、アウタレンズ2およびインナシート20を透して照射されるレーザ光13による第2当接面17bへのレーザ溶着(溶着面9d)により固定されている。
【0040】このときのレーザ溶着は、第1および第2当接面17aおよび17bにそれぞれ照射される各レーザ光13による個別溶着方法により行うこともできるが、インナシート20の厚みが薄い(第2当接面17bの深さが浅い)ので、図2に示すように、レーザ光13を第1当接面17aと第2当接面17bに跨る集光径を有して照射することにより、アウタレンズ2およびインナシート20を、レーザ光13の同一集光径内で同時に溶着する同時溶着方法を採用することができる。この同時溶着方法は、個別溶着方法と相違して第1当接面17aと第2当接面17bとの間でレーザ射出部8が移動することがないので、制御が簡単で良好な溶着操作性を有すると共に、1回の溶着で2箇所を同時に溶着することができるので、溶着工程の簡略化を図ることができる。
【0041】このようにして構成される車両用灯具10は、前述した車両用灯具1と同様な作用効果を奏することができることは勿論のこと、加えて同時溶着方法の採用により製造の容易化とコストの一層の低減化を図ることができる。
【0042】図3〜図5は、光透過部材としてインナレンズ21を採用した車両用灯具22、23、24、25を示す。これらの車両用灯具22、23、24、25において、インナレンズ21は、アウタレンズ2とハウジング4とで区画形成される灯室11内に設けられている。インナレンズ21は、例えば、厚さ1.0〜2.0mmのPC樹脂板材、あるいは厚さ1.5〜2.5mmのPMMA樹脂板材で構成される。アウタレンズ2とハウジング4は、第1実施形態と同様の樹脂材を用いて構成されている。
【0043】車両用灯具22は、前述した第1実施形態に属するもので、図3に示すように、インナレンズ21を採用している点が相違するのみで、他の構成およびレーザ溶着の方法は車両用灯具1と同様である。
【0044】すなわち、車両用灯具22は、アウタレンズ2が、アウタレンズ2側から照射されるレーザ光13による透明環状リブ3とハウジング4との間のレーザ溶着(溶着面9a)により固定されており、インナレンズ21が、アウタレンズ2の裏面と立壁7の先端面との間に挟持された状態で、アウタレンズ2側から照射されるレーザ光13によるインナレンズ21と立壁7との間のレーザ溶着(溶着面9e)により固定されており、車両用灯具1と同様の作用効果を奏することができる。
【0045】また、車両用灯具23、24は、前述した第2実施形態に属するものである。
【0046】車両用灯具23は、図4(a)に示すように、不透明環状リブ14の先端面に厚いインナレンズ21を受け入れ可能な深い段部18を形成した点および段部18の各当接面18a、18b毎にレーザ溶着する点が相違するだけで、他の構成は車両用灯具10と同様に構成されている。段部18は、アウタレンズ2の裏面に当接する第1当接面18aと、インナレンズ21をアウタレンズ2との間で挟持できるようにインナレンズ21の厚さに相当する深さ(第1当接面18aからの段差)に形成される第2当接面18bとから構成されている。
【0047】そして、車両用灯具23は、アウタレンズ2が、アウタレンズ2を透過して照射されるレーザ光13による段部18の第1当接面18aへのレーザ溶着(溶着面9c)により固定されており、インナレンズ21が、アウタレンズ2の裏面と段部18の第2当接面18bとの間に挟持された状態で、アウタレンズ2およびインナレンズ21を透過して照射されるレーザ光13による第2当接面18bへのレーザ溶着(溶着面9f)により固定されている。
【0048】この車両用灯具23の場合、第1当接面18aと第2当接面18bとの段差が大きいので、レーザ光13の同一集光径内でのアウタレンズ2およびインナレンズ21の同時溶着が不能であるが、第1および第2当接面18aおよび18bが不透明環状リブ14の同じ先端面に形成されるものであるから両者の物理的距離は必然的に近くなり、その分レーザ溶着時の各当接面18a、18b間のレーザ射出部8の移動量が、例えば車両用灯具22と比較して小さくなり、ひいてはレーザ溶着時の制御が簡単になる。
【0049】このため車両用灯具23は、車両用灯具10と略同様の作用効果を奏することができる。
【0050】車両用灯具24は、図4(b)に示すように、インナレンズ21の被挟持部21aを一般部よりも肉薄に形成した点およびレーザ光13の同一集光径内でアウタレンズ2およびインナレンズ21を同時溶着した点が相違するだけで、他の構成は車両用灯具23と同様に構成されている。この車両用灯具24の段部17は、車両用灯具10と同様に、アウタレンズ2へ当接する第1当接面17aと、被挟持部21aへ当接する第2当接面17bとを有して不透明環状リブ14の先端面に形成されている。
【0051】そしてこの車両用灯具24においては、アウタレンズ2は、アウタレンズ2を透して照射されるレーザ光13による第1当接面17aへのレーザ溶着(溶着面9c)により固定されており、インナレンズ21は、アウタレンズ2および被挟持部21aを透して照射されるレーザ光13による被挟持部21aの第2当接面17bへのレーザ溶着(溶着面9g)により固定されている。その上、溶着面9cおよび9gは、同時溶着の採用により1回のレーザ溶着により同時に形成することができる。
【0052】このため車両用灯具24は、車両用灯具10と同様の作用効果を奏することができる。
【0053】図5は、第3実施形態としての車両用灯具25を示す。この車両用灯具25では、アウタレンズ2は、ハウジング4へ突出する透明環状リブ3を一体に形成して構成されており、かつ透明環状リブ3は、その幅方向の外側に位置するハウジング4へ当接する第1当接面19aと、その幅方向の内側に位置するインナレンズ21へ当接する第2当接面19bとからなる段部19を先端面に形成して構成されている。第2当接面19bは、透明環状リブ3の全長に亘って形成しても良いが、インナレンズ21の安定した架設状態が維持できる場合は、透明環状リブ3に沿って部分的に設けることもできる。
【0054】そして、アウタレンズ2およびインナレンズ21は、図5に示すように、第1当接面19aをハウジング4の平坦面に当接させると共に、第2当接面19bとハウジング4の平坦面との間にインナレンズ21を挟持させた状態で、アウタレンズ2側から照射されるレーザ光13によるレーザ溶着によりハウジング4に固定されている。
【0055】しかして、アウタレンズ2は、アウタレンズ2(透明環状リブ3を含む)を透して照射されるレーザ光13による第1当接面19aのハウジング4へのレーザ溶着(溶着面9h)により固定されており、インナレンズ21は、アウタレンズ2(透明環状リブ3を含む)およびインナレンズ21を透して照射されるレーザ光13によるハウジング4へのレーザ溶着(溶着面9i)により固定されている。
【0056】このときのレーザ溶着は、溶着面9h、9i毎の個別溶着方法により行うこともできるが、溶着面9h、9iがハウジング4の平坦面に形成されるので、図5に示すように、レーザ光13を溶着面9hと溶着面9iに跨る集光径を有して照射することにより、レーザ光13の同一集光径内でアウタレンズ2およびインナレンズ21を同時に溶着する同時溶着方法を採用することができる。この同時溶着方法は、前述した同時溶着方法と同様に、個別溶着方法と相違して溶着面9hと溶着面9iとの間でレーザ射出部8が移動することがないので、制御が簡単で良好な溶着操作性を有すると共に、1回の溶着で2箇所を同時に溶着することができるので、溶着工程の簡略化を図ることができる。
【0057】このようにして構成される車両用灯具25は、車両用灯具10と同様な作用効果を奏することができる。
【0058】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれば次の効果を奏することができる。
【0059】すなわち、請求項1の発明によれば、アウタレンズおよび光透過部材のハウジングへの固定が、溶着バリや糸引き並びに白化に起因する外観上の品質の低下を伴うことなく比較的簡単なレーザ溶着作業で確実に行うことができ、ひいてはコストの低減化をも可能とする車両用灯具を提供することができる。
【0060】また、請求項2の発明によれば、アウタレンズおよび光透過部材が当接する第1および第2当接面を備えた段部を、アウタレンズあるいはハウジングに突出形成される環状リブの先端面に形成したので、アウタレンズおよび光透過部材の各溶着箇所が漸近し、その分溶着箇所間のレーザ光の移動量が少なくなり、これにより請求項1の発明の効果に加えて、溶着作業の制御が簡単で作業精度の向上を図ることができると共に、コストの一層の低減化をも図ることができる。
【0061】また、請求項3の発明によれば、レーザ溶着は、レーザ光の第1および第2当接面に跨る同一集光径内でのアウタレンズおよび光透過部材の同時溶着が可能となるので、請求項2の発明の効果に加えて、溶着作業の制御が一層簡単でコストの一層の低減化を図ることができる。
【0062】また、請求項4の発明によれば、レーザ光の同一集光径内で、アウタレンズおよび光透過部材を同時に溶着するので、制御が簡単で良好な溶着操作性を有すると共に、溶着工程の簡略化を図ることができる車両用灯具のレーザ溶着方法を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
【住所又は居所】東京都品川区東五反田5丁目10番18号
【出願日】 平成13年10月9日(2001.10.9)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
【公開番号】 特開2003−123506(P2003−123506A)
【公開日】 平成15年4月25日(2003.4.25)
【出願番号】 特願2001−311304(P2001−311304)