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【発明の名称】 車両用前照灯
【発明者】 【氏名】谷内 均
【住所又は居所】東京都目黒区中目黒2丁目9番13号 スタンレー電気株式会社内

【要約】 【課題】従来の2つの反射鏡を隣り合わせて一体成形した前照灯においては、両者の仕切り部分にも抜きテーパーを設けなければ成らず、その部分が厚肉となって有効な反射面が少なくなり明るさが低下する問題点を生じていた。

【解決手段】本発明により、走行配光用反射鏡3とすれ違い配光用反射鏡4との境界に対応する部位にはスリット状とした仕切板取付穴5が設けられ、この仕切板取付穴5に差し込まれる略板状とされた仕切板8の前面レンズ6側の先端部8aは、この前面レンズの内面側に設けられている装飾部品7の仕切板に対峙する側の面に断面略コ字状として設けられている溝部7aに挿入されている車両用前照灯1としたことで、走行配光用反射鏡3とすれ違い配光用反射鏡4との境界を仕切板8で仕切るものとして抜きテーパーを不要とし課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行配光用反射鏡とすれ違い配光用反射鏡とが接した状態として一体形成されて成るして成る車両用前照灯において、前記走行配光用反射鏡とすれ違い配光用反射鏡との境界に対応する部位にはスリット状とした仕切板取付穴が設けられ、該仕切板取付穴に差し込まれる略板状とされた仕切板の前面レンズ側の先端部は、この前面レンズの内面側に設けられている装飾部品の前記仕切板に対峙する側の面に断面略コ字状として設けられている溝部に挿入されていることを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】 前記走行配光用反射鏡とすれ違い配光用反射鏡とには両反射鏡を同時に駆動するエイミング装置が設けられ、このエイミング装置の調整可能範囲内においては、前記装飾部品の溝部への前記仕切板の先端部が挿入されている状態が維持されていることを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用灯具に関するものであり、詳細には前面レンズに比較的に透明感の高いものが採用されることが多く、これにより内部構造にも美観上の配慮が必要となる車両用前照灯の構成に係るものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の車両用前照灯90の構成の例を示すものが図4であり、この車両用前照灯90には、それぞれに光源91が設けられた走行配光用反射鏡92と、すれ違い配光用反射鏡93とが接する状態で一体化して設けられ、照射方向前方には両反射鏡92、93を覆う一面とした前面レンズ94が設けられている。また、前記両反射鏡92、93と前面レンズ94との間にはエクステンションなどと称されている装飾部品95が設けられ、両反射鏡92、93の前端面を覆い美観の向上を図っている。
【0003】このように構成し、夜間の市街地走行時などすれ違い配光が要求される場合には、すれ違い配光用反射鏡93の側の光源91のみを点灯し、郊外走行時など走行配光が要求される場合には、走行配光用反射鏡92の側の光源91とすれ違い配光用反射鏡93の側の光源91との双方を点灯するものとして所望の配光特性が得られるものとしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来の車両用前照灯90の構成においては、走行配光用反射鏡92とすれ違い配光用反射鏡93との間にも両者をを仕切るための仕切部92aを設け、四方が取り囲まれるものとして、一方の光源91からの光が他方の反射鏡(92、93)に達することがないようにしておくことが、それぞれの配光特性の形成上必要となる。
【0005】ところが、前記走行配光用反射鏡92とすれ違い配光用反射鏡93とを一体形成する場合には、それぞれが略函状となる両反射鏡92、93を同時に金型からスムーズに離型させるためには、それぞれに略5%程度の抜きテーパーを設けなければ成らず、奥行きが深い車両用前照灯90においては、有効となる反射鏡92、93の面積が少なくなり性能が低下する問題点を生じると共に、図5に示すように、この車両用前照灯90を正面から視るときには前記仕切部92aの厚みが目立つものとなって見栄えも低下する問題点を生じている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記した従来の課題を解決するための具体的手段として、走行配光用反射鏡とすれ違い配光用反射鏡とが接した状態として一体形成されて成るして成る車両用前照灯において、前記走行配光用反射鏡とすれ違い配光用反射鏡との境界に対応する部位にはスリット状とした仕切板取付穴が設けられ、該仕切板取付穴に差し込まれる略板状とされた仕切板の前面レンズ側の先端部は、この前面レンズの内面側に設けられている装飾部品の前記仕切板に対峙する側の面に断面略コ字状として設けられている溝部に挿入されていることを特徴とする車両用前照灯を提供することで課題を解決するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1に符号1で示すものは本発明に係る車両用前照灯であり、この車両用前照灯1も、それぞれが光源2を有する走行配光用反射鏡3と、すれ違い配光用反射鏡4とが設けられているものである点は従来例のものと同様である。
【0008】ここで、従来例では、走行配光用反射鏡3とすれ違い配光用反射鏡4とを樹脂の射出成形などで一体に形成する際に、両反射鏡3、4の間を仕切る仕切部を同時に一体形成していたが、本発明では、この仕切部を形成することはなく、両反射鏡3、4の境界とする部位に対応してスリット状とした仕切板取付穴5が設けられている。
【0009】また、前記走行配光用反射鏡3およびすれ違い配光用反射鏡4の前方には一面として形成された前面レンズ6が設けられ、そして、前記前面レンズ6と両反射鏡3、4との間には装飾部品7が設けられるものである点は、従来例のものと同様である。
【0010】加えて、本発明では前記仕切板取付穴5に取付ける仕切板8を別体として用意するものであり、この仕切板8は金属板、樹脂板をプレス加工などで形成したものでも良く、或いは、樹脂の射出成形で形成したものでも良く、何れの場合にも形状は前記仕切板取付穴5に見合う板厚とした略板状に形成されている。尚、走行配光用反射鏡3とすれ違い配光用反射鏡4とが隣接する部分以外は従来例通りの抜きテーパーが設けられて形成されている。
【0011】そして、前記仕切板8は仕切板取付穴5に挿入され、前記走行配光用反射鏡3若しくはすれ違い配光用反射鏡4の背面でネジ止めなど適宜な手段で固定されている。また、前記装飾部品7の背面側、即ち、反射鏡3、4側となる面には断面略コ字状とした溝部7aが形成されていて、前記仕切板8の前面レンズ6側となる先端部8aが挿入されている。
【0012】このように構成することで、本発明の車両用前照灯1においては、走行配光用反射鏡3とすれ違い配光用反射鏡4とが隣接する部分は仕切板8により仕切られるものとなり、この仕切板8は板状として形成されているので、この部分にはテーパーを生じないものとなる。よって、抜きテーパーが不要となった分だけ、走行配光用反射鏡3も、すれ違い配光用反射鏡4も面積が増加するものとなり、車両用前照灯1としての明るさが向上する。
【0013】また、同時に両側が見える場所である走行配光用反射鏡3とすれ違い配光用反射鏡4との間を従来例の両側に抜きテーパーが設けられ厚みを感じさせる仕切部から、板状で且つ抜きテーパーも設けられることのない仕切板8に置き換えられたことで、前面レンズを6を透過して見える内部構造がシャープな印象のものとなり美観も向上する。
【0014】図3は本発明に係る車両用前照灯1の別な実施形態を要部で示すものであり、前の実施形態では、走行配光用反射鏡3、すれ違い配光用反射鏡4、前面レンズ6、装飾部品7は、それぞれが相互移動しないように固定されている。従って、この種の車両用前照灯1に必要とされる照射方向の調整(エーミング)は車両用前照灯1の全体を動かすことで行われる。
【0015】その一方で、前記前面レンズ6がデザインの一部を構成するように、車体側に固定されている車両用前照灯1も存在する。このような場合には、ハウジング9が設けられて前面レンズ6とで容室を構成し、この容室内にエーミング装置10を設け、このエーミング装置10を介して走行配光用反射鏡3、すれ違い配光用反射鏡4をハウジング9に取付けることで、照射方向の調整(エーミング)を可能とする。
【0016】従ってエーミングを行う際には、装飾部品7を含む前面レンズ6と、両反射鏡3、4との間には移動による位置差を生じるものとなるが、近年において、この種の車両用前照灯1に対しては上下(垂直)方向へのエーミングのみが行えれば良いとする法規制が採用されている国もあり、この場合には、前の実施形態で説明した溝部7aを前記仕切板8が移動するのに充分な幅、および、エーミングによる移動でも仕切板8の先端部8aが露出することのない深さとして設定しておけば良いものとなる。
【0017】
【発明の効果】以上に説明したように本発明により、走行配光用反射鏡とすれ違い配光用反射鏡との境界に対応する部位にはスリット状とした仕切板取付穴が設けられ、この仕切板取付穴に差し込まれる略板状とされた仕切板の前面レンズ側の先端部は、この前面レンズの内面側に設けられている装飾部品の仕切板に対峙する側の面に断面略コ字状として設けられている溝部に挿入されている車両用前照灯としたことで、走行配光用反射鏡とすれ違い配光用反射鏡との境界を仕切板で仕切るものとして抜きテーパーを不要とし、それぞれの反射面の有効面積の増加を可能としてより明るい車両用前照灯とし、性能の向上に極めて優れた効果を奏するものである。
【0018】また、同時に上記仕切板としたことで、車両用前照灯の内部を前面レンズ越しに覗き込んだときに、最も目立つ部分である部位にテーパーを生じていないものとして、観視者にこの部分が厚肉に成ることで生じていたデザイン面での不存在感などをなくし、美感の向上にも極めて優れた効果を奏するものである。
【出願人】 【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
【住所又は居所】東京都目黒区中目黒2丁目9番13号
【出願日】 平成13年9月21日(2001.9.21)
【代理人】 【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
【公開番号】 特開2003−100117(P2003−100117A)
【公開日】 平成15年4月4日(2003.4.4)
【出願番号】 特願2001−288638(P2001−288638)