| 【発明の名称】 |
車両灯具用レンズ構造体およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】花咲 真吾 【住所又は居所】神奈川県伊勢原市板戸80番地 市光工業株式会社伊勢原製造所内
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| 【要約】 |
【課題】ケミカルストレスクラックの発生をなくして高品質を維持できると共に、成形工程数の削減が可能であること。
【解決手段】周縁部に沿うフランジ部2とシール脚部3とを有するように透明樹脂材で形成されシール脚部3をシール材6内に埋没させると共にフランジ部2で開口外周縁部を覆うようにしてランプハウジング7の開口部7aに取り付けられるレンズ体4と、このレンズ体4の外表面に積層して形成される透明保護層5とを有して射出成形により形成され、シール脚部3の先端部に、射出成形の離型工程における突出機構の突き出し部材の突き出しにより生じる歪み部9が形成されている。歪み部9は、シール材6内に埋没して保護される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 周縁部に沿うフランジ部とシール脚部とを有するように透明樹脂材で形成され前記シール脚部をシール材内に埋没させると共に前記フランジ部で開口外周縁部を覆うようにしてランプハウジングの開口部に取り付けられるレンズ体と、このレンズ体の外表面に積層して形成される透明保護層とを有して射出成形により形成される車両灯具用レンズ構造体であって、前記シール脚部の先端部に、前記射出成形の離型工程における突出機構の突き出し部材の突き出しにより生じる歪み部が形成されていることを特徴とする車両灯具用レンズ構造体。 【請求項2】 請求項1の車両灯具用レンズ構造体の製造方法であって、前記射出成形の離型工程で、前記シール脚部の先端を、突出機構の突き出し部材で突き出すことによって、成形品を金型から取り外すようにしたことを特徴とする車両灯具用レンズ構造体の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、車両のヘッドランプのアウタレンズとして適用される車両灯具用レンズ構造体およびその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】この種の車両灯具用レンズ構造体は、透明樹脂材で成形されランプハウジングの開口部を覆うようにして取り付けられるレンズ体と、このレンズ体の外表面(灯室と対向する内面と反対側の外面)に積層して形成される透明保護層とで構成されている。 【0003】図3は、特開2001−52512号公報に開示されている車両灯具50を示す。この車両灯具50に適用されているレンズ構造体100は、周縁部に沿うフランジ部2とシール脚部3とを有するように透明樹脂材で形成されシール脚部3をシール材6内に埋没させると共にフランジ部2で開口外周縁部を覆うようにしてランプハウジング7の開口部7aに取り付けられるレンズ体4と、このレンズ体4の外表面に積層して形成される透明保護層5とを備えている。なお、図3中、符号8は光源バルブである。 【0004】このとき、レンズ体4は、樹脂成形品のレンズで、例えば、PC樹脂、PMMA樹脂、COP樹脂(シクロオレフィンポリマー樹脂)、透明PA樹脂等から構成されており、透明保護膜5は、透明な熱可塑性ポリウレタン樹脂から構成されている。 【0005】そして、このレンズ構造体100は、射出成形により形成される。この射出成形の離型工程では、図4に示すように、フランジ部2の裏面を、突出機構の突き出し部材10で突き出すことによって、成形品100aを金型から取り外すようにしている。なお、図4中、符号PLは金型の分割面を示す。 【0006】この成形品100aは、金型の構造上、フランジ部2の裏面側に透明保護層5を積層することが困難であり、そのためフランジ部2の裏面部に、突き出し部材10の突き出しに起因する歪み部9が形成され、このままレンズ構造体100として車両灯具50にアッシしたときは、図5に示すように、歪み部9が車両灯具50の外部に露出してしまい、薬品等によるストレスクラックでレンズ体4に割れや白化を引き起こすので、レンズ体4を高温下に置いて歪み部9の残留応力を取り除く必要がある。このため成形品100aは、応力を取り除くための熱処理工程を経て完成される。 【0007】また、特開平10−158420号公報には、車両灯具用レンズ構造体の製造方法が開示されている。この開示製造方法では、プラスチックレンズを射出成形した後のレンズ体内の残留応力による歪みを、保護層を成形するコーティング成形工程の高温下にレンズ体を置くことにより取り除いている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】この開示製造方法のように、レンズ体の射出成形後に保護層を成形するコーティング成形工程がある製造方法では、歪みはコーティング成形工程で取り除くことができるので、特に歪み除去のための工程を導入する必要がない。 【0009】しかしながら、射出成形によりレンズ体と保護層とを同時に成形する場合は、歪み除去のための工程を新たに設定する必要があり、工程の増加や設備導入によるコスト高を招く、と言う課題を有している。 【0010】そこで、この発明は、射出成形によりレンズ体と保護層とを同時に成形するにも拘わらず、歪み除去のための熱処理工程が不要でコストの低減化が可能であると共に、車体への装着後のレンズ体のストレスクラックの発生をなくして高品質を維持できる車両灯具用レンズ構造体およびその製造方法を提供することを目的としている。 【0011】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、請求項1の発明は、周縁部に沿うフランジ部とシール脚部とを有するように透明樹脂材で形成され前記シール脚部をシール材内に埋没させると共に前記フランジ部で開口外周縁部を覆うようにしてランプハウジングの開口部に取り付けられるレンズ体と、このレンズ体の外表面に積層して形成される透明保護層とを有して射出成形により形成される車両灯具用レンズ構造体であって、前記シール脚部の先端部に、前記射出成形の離型工程における突出機構の突き出し部材の突き出しにより生じる歪み部が形成されていることを特徴とする。 【0012】このため、請求項1の発明では、シール脚部の先端部に形成される歪み部は、車両灯具への適用に際して、シール材内に埋没して外部に露出することがないので、薬品等のケミカルストレスから有効に保護される。 【0013】また、請求項2の発明は、請求項1の車両灯具用レンズ構造体の製造方法であって、前記射出成形の離型工程で、前記シール脚部の先端を、突出機構の突き出し部材で突き出すことによって、成形品を金型から取り外すようにしたことを特徴とする。 【0014】このため、請求項2の発明では、突き出し部材の突き出しに起因する歪み部が、車両灯具への適用に際してシール材内に埋没するシール脚部の先端部に形成されるので、歪み部の除去のためのアニール工程や、歪み部の保護のための塗装工程等の歪み部に対する後工程を何等必要とすることなく、射出成形の成形品をそのまま車両灯具へ適用することができる。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。 【0016】図1は、この発明の一実施の形態としての車両灯具用レンズ構造体1を適用した車両灯具50の一部を示す。このレンズ構造体1は、射出成形の離型工程における突き出し部材の突き出しに起因する歪み部の形成箇所が異なるのみで、他の構成は従来のレンズ構造体100と同様に構成されている。 【0017】すなわち、レンズ構造体1は、周縁部に沿うフランジ部2とシール脚部3とを有するように透明樹脂材で形成されシール脚部3をシール材6内に埋没させると共にフランジ部2で開口外周縁部を覆うようにしてランプハウジング7の開口部7aに取り付けられるレンズ体4と、このレンズ体4の外表面に積層して形成される透明保護層5とを備えており、シール脚部3の先端部に、射出成形の離型工程における突出機構の突き出し部材の突き出しにより生じる歪み部9が形成されている。シール材6は、例えば、ホットメルトで構成され、ランプハウジング7の開口縁部に沿って形成される環状溝12内に充填されている。図1中、符号11は灯室を示す。 【0018】レンズ体4は、透明熱可塑性樹脂材、例えば、ポリカーボネート樹脂(PC)、アクリル樹脂(PMMA)、シクロオレフィンポリマー樹脂(COP)、および透明ポリアミド樹脂(PA)から形成され、好ましくはポリカーボネート樹脂で形成される。ポリカーボネート樹脂の分子量は、樹脂の性能を考慮すると、好ましくは20,000以下、より好ましくは15,000〜20,000である。 【0019】このようなポリカーボネート樹脂として、以下の例には限定されないが、例えば、ML400R(商品名、三菱エンジニアリングプラスチック(株)社製、分子量:約19,000)、およびレキサンLS−HF(商品名、日本GEプラスチックス(株)社製、分子量:約19,000)が挙げられる。分子量20,000以下のポリカーボネート樹脂は、流動性が高い。そのため、レンズの肉厚を薄く形成することができ、コスト低減化を図ることができる。 【0020】添加剤として、透明熱可塑性樹脂材に、顔料、耐電防止剤、および離型剤等を適宜選択して加えてもよい。 【0021】また、透明保護層5は、熱可塑性ポリウレタン、好ましくは脂肪族熱可塑性ウレタンで形成される。脂肪族熱可塑性ウレタンは、熱可塑性エラストマーの中でも、特に耐摩耗性、強度、耐薬品性、および耐候性に優れている。そのため、保護膜5が、表面に形成されたレンズ体4は、チッピングや、砂等による打撃系の傷付きや破損、および有機溶剤等の化学薬品による腐食等から有効に保護される。 【0022】脂肪族熱可塑性ウレタンとして、以下の例には限定されないが、例えば、CG60DV(商品名、サーメディックス社製)、およびパンデックスT−7890(商品名、大日本インキ化学工業社製、硬度98°(JISA))が挙げられる。 【0023】また、レンズ体4の厚さは、ある程度の破損し易さと経済性を考慮すると、1.5〜2.5mmが好ましく、より好ましくは、約1.5mmである。分子量20,000以下のポリカーボネート樹脂を用いた場合には、粘度が低いことからこのようにレンズ厚を薄く形成することができる。透明保護層5の厚さは、0.8〜1.5mmが好ましく、より好ましくは、約1.2mmである。 【0024】また、脂肪族熱可塑性ウレタンとポリカーボネートは、密着性が高い。このため、脂肪族熱可塑性ウレタン製保護膜5は、ポリカーボネート製レンズ体4上に充分密着して積層形成される。このため、レンズ体4の破損時に、レンズ体4の破損片が飛散するのを有効に防止することができる。 【0025】このように構成されたレンズ構造体1は、シール脚部3の先端部に形成される歪み部9は、車両灯具50への適用に際して、シール材6内に埋没して外部に露出することがないので、薬品等のケミカルストレスから有効に保護される。このため、レンズ構造体1は、車両灯具50への適用後、ケミカルストレスクラックの発生をなくして高品質を維持することができる。 【0026】次に、このレンズ構造体1の製造方法について説明する。この製造方法は、射出成形の離型工程で、突出機構の突き出し部材で突き出す箇所が相違するだけで、他の構成は従来の射出成形と同様に構成されている。 【0027】射出成形としては、例えば、フィルムインモールド成形法がある。このフィルムインモールド成形法は、成形工程そのものは特開平10−282889号公報にも開示されている従来公知のものである。 【0028】本実施形態では、このフィルムインモールド成形法を採用している。まず、射出口を有する雄金型と、通気口を有する雌金型との間のキャビティ空間に、脂肪族熱可塑性ウレタンフィルムを、所定ピッチだけ供給する。次に、所望の温度に加熱して、脂肪族熱可塑性ウレタンフィルムを軟化させる。さらに、雌金型に設けられた通気口を通してキャビティ空間内の脱気を行い、空気圧によって脂肪族熱可塑性ウレタンフィルムを雌金型のキャビティ面に沿って密着させる。これにより、脂肪族熱可塑性ウレタンフィルムを成形する。 【0029】その後、キャビティを型締めして金型内にポリカーボネート樹脂を射出して成形する。このとき金型のゲートは、例えば、キャビティの、シール脚部3の先端部に対応する部分に対応して設けられるサブマリンゲートが用いられる。次いで、金型内の樹脂が固化するまで冷却した後、金型を開き固化した成形品を突出機構を用いて金型から外す離型工程に移行する。 【0030】本実施形態では、図2に示すように、離型工程で、シール脚部3の先端を、突出機構の突き出し部材10で突き出すことによって、成形品1aを金型から取り外すようにする。突き出し部材10は、丸ピン、角ピン、スリーブ、バルブ、あるいはストリッパー等で構成されるが、製品の形状によって適宜選択される。図2中、符号PLは金型の分割面を示す。 【0031】これにより、ポリカーボネート樹脂からなるレンズ体4の外表面に、脂肪族熱可塑性ウレタンフィルムからなる保護膜5を備え、かつシール脚部3の先端部に、離型工程における突出機構の突き出し部材10の突き出しにより生じる歪み部9が形成されている成形品1aが得られる。 【0032】この製造方法によれば、突き出し部材10の突き出しに起因する歪み部9が、車両灯具50への適用に際してシール材6内に埋没するシール脚部3の先端部に形成されるので、歪み部9の除去のためのアニール工程や、歪み部9の保護のための塗装工程等の歪み部9に対する後工程を何等必要とすることなく、射出成形の成形品1aをそのままレンズ構造体1として車両灯具50へ適用することができる。 【0033】また、この製造方法によれば、分子量20,000以下のポリカーボネート樹脂を用いることによって、ポリカーボネート樹脂の金型内での高い流動性が得られ、これによりレンズ体4の厚みを薄くしたレンズ構造体1の成形性を向上させることができる。 【0034】また、以上述べた実施形態はフィルムインモールド成形法であるが、本発明は、これに限定するものでなく、他の射出成形である2色成形やスキン成形にも適用できることは勿論である。 【0035】 【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれば次のような効果を奏することができる。 【0036】すなわち、請求項1の発明によれば、シール脚部の先端部に形成される歪み部は、車両灯具への適用に際して、シール材内に埋没して外部に露出することがないので、薬品等のケミカルストレスから有効に保護されることになり、この結果ケミカルストレスクラックの発生をなくして高品質を維持できると共に、従来必要とした熱処理工程が不要となって成形工程数の削減が可能で、以て生産効率の向上およびコストの低減化をも可能とした車両灯具用レンズ構造体を提供することができる。 【0037】また、請求項2の発明によれば、突き出し部材の突き出しに起因する歪み部が、車両灯具への適用に際してシール材内に埋没するシール脚部の先端部に形成されるので、歪み部の除去のための熱処理工程を何等必要とすることなく、射出成形の成形品をそのまま車両灯具へ適用することができ、これにより生産効率の向上およびコストの低減化をも可能とした車両灯具用レンズ構造体の製造方法を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000136 【氏名又は名称】市光工業株式会社 【住所又は居所】東京都品川区東五反田5丁目10番18号
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| 【出願日】 |
平成13年6月22日(2001.6.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083806 【弁理士】 【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−7107(P2003−7107A) |
| 【公開日】 |
平成15年1月10日(2003.1.10) |
| 【出願番号】 |
特願2001−189927(P2001−189927) |
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