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【発明の名称】 非常用誘導灯
【発明者】 【氏名】伊藤 良一

【氏名】高畠 ちくさ

【要約】 【課題】長期に亘って経年変化がなく、非常時において確実に発光させることが出来る非常用誘導灯を提供する。また、非常時に直ちに設置できる取扱い容易な非常用誘導灯を提供する。

【解決手段】非常用誘導灯は、板状化学発光体(1)とこれを収容可能な封筒状のケース(2)とから成り、ケース(2)の表面には矢印形の切抜き部(21)が設けられている。そして、使用前における板状化学発光体(1)は通気性のない包装材料に密封されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 板状化学発光体とこれを収容可能な封筒状のケースとから成り、前記封筒状のケースの表面には矢印形の切抜き部が設けられ、かつ、使用前における前記板状化学発光体は通気性のない包装材料に密封されていることを特徴とする非常用誘導灯。
【請求項2】 封筒状のケースの裏面に粘着剤層が設けられている請求項1に記載の非常用誘導灯。
【請求項3】 封筒状のケースに環状の紐部材が取り付けられている請求項1に記載の非常用誘導灯。
【請求項4】 封筒状のケースの内面が光反射面に形成されている請求項1〜3の何れかに記載の非常用誘導灯。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非常用誘導灯に関するものであり、詳しくは、板状化学発光体を使用した非常用誘導灯であって、長期に亘って経年変化がなく、非常時において確実に発光させ得る非常用誘導灯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】化 学ルミネセンス反応によって発光する化学発光体は、特定の溶液および蛍光物質と、前記溶液と反応する溶液が封入されたガラスアンプルとを透光性のプラスチック製ケースに収容した簡易発光具であり、発光させる場合は、ケースを折り曲げて内部のアンプルを割ることにより、アンプルに封入されている溶液をケース内の溶液と反応させる。上記の化学発光体は、通常、照明具、表示灯、発光玩具として使用されるが、電力を供給できない場所や状況での非常用誘導灯としても利用可能である。
【0003】非常用誘導灯に好適な形態の化学発光体としては、例えば、実公平6−43921号公報に記載される「板状発光体」(板状化学発光体)が挙げられる。斯かる板状化学発光体は、第2の溶液が封入された管状のガラスアンプルを第1の溶液と共に扁平なケース(板状の容器)に収容して成り、かつ、反応ガスの発生によるケースの膨張変形をケース中央部分の厚肉構造によって防止する様にしたものである。
【0004】非難路の誘導灯などに上記の様な板状化学発光体を利用する場合には、矢印形の切抜き部を備えたシールを板状化学発光体の表面に貼着しておき、非常時には板状化学発光体を一時的に折り曲げて内部のアンプルを割ることにより、化 学ルミネセンス反応を生起させ、矢印形の切抜き部だけを発光させることが考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般的に、化学発光体は、ケース内に透過する空気中の水分による蛍光物質の劣化を防止するため、使用するまでは密封保管する必要があるが、板状化学発光体を使用した上記の様な非常用誘導灯は、これを密封保存した場合、表面に貼着したシールの接着剤の成分により、ケース内の溶液が劣化し、実際、使用する際に十分な発光機能を得られない場合がある。
【0006】また、板状化学発光体を使用した非常用誘導灯は、容易に持ち運び出来る反面、金具などで固定できないため、使用場所によっては適切な位置に設置できないと言う問題がある。従って、上記の様な非常用誘導灯においては、より簡便に設置し得る手段が望まれる。
【0007】本発明は、上記の実情に鑑みなされたものであり、その目的は、板状化学発光体を使用した非常用誘導灯であって、長期に亘って経年変化がなく、非常時において確実に発光させることが出来る非常用誘導灯を提供することにある。また、本発明の他の目的は、非常時に直ちに設置できる取扱い容易な非常用誘導灯を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、本発明の非常用誘導灯は、板状化学発光体にマスキング材を組み合わせることにより矢印状に発光させるにあたり、マスキング材として板状化学発光体を容易に収容可能な封筒状のケースを適用し、そして、使用するまでの板状化学発光体を独立して外気から遮断することにより、使用前の板状化学発光体の経年変化を防止している。
【0009】すなわち、本発明の非常用誘導灯は、板状化学発光体とこれを収容可能な封筒状のケースとから成り、前記封筒状のケースの表面には矢印形の切抜き部が設けられ、かつ、使用前における前記板状化学発光体は通気性のない包装材料に密封されていることを特徴とする。
【0010】更に、本発明の非常用誘導灯においては、所望の場所に簡便に設置するため、封筒状のケースの裏面に粘着剤層が設けられているのが好ましく、また、封筒状のケースに環状の紐部材が取り付けられていてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に係る非常用誘導灯の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る非常用誘導灯の構成要素を示す使用直前の斜視図である。図2は、本発明に係る非常用誘導灯の設置容易な態様を示すケース裏面側の斜視図であり、図3は、設置容易な他の態様を示すケース裏面側の斜視図である。なお、以下の実施形態の説明においては、非常用誘導灯を「誘導灯」と略記する。
【0012】本発明の誘導灯は、例えば、停電状態の地下鉄の駅構内、地下街などで非難誘導する際に避難路を指示するために使用される誘導灯であり、斯かる誘導灯は、図1に示す様に、板状化学発光体(1)とこれを収容可能な封筒状のケース(2)とから主として構成される。
【0013】板状化学発光体(1)は、薄板状またはシート状の外形を備えている点を除き、基本的には通常の化学発光体と同様の構成を有する。周知の通り、化学発光体は、プラスチック製の透光性容器の内部にガラスアンプル及びこのガラスアンプル内の溶液と混合して化学ルミネセンス反応を生じる溶液が封入したものである。通常、容器内の溶液は、シュウ酸誘導体などの反応物質と、この反応物質の反応により励起して発光する蛍光物質とを含有し、また、ガラスアンプル内の溶液は、触媒や過酸化水素などを含有する。勿論、容器内の溶液とガラスアンプル内の溶液とは逆に収容されていてもよい。上記の化学発光体においては、容器を折り曲げてガラスアンプルを割ると、容器内の反応物質がガラスアンプル内の過酸化水素と混合して反応し、その結果、容器内の蛍光物質が励起されて発光する。
【0014】また、化学発光体は、通常は容器内に1本のガラスアンプルを封入した単色発光のタイプであるが、複数本のガラスアンプルを容器内に封入して多色発光させることも可能である。この場合、容器内には、触媒や過酸化水素などを含有する溶液が封入され、各ガラスアンプル内には、それぞれ反応物質および発光色の異なる蛍光物質を含有する溶液が封入される。本発明において、板状化学発光体(1)は、容器として薄板状またはシート状の容器を使用して構成された化学発光体であり、前述の通り、実公平6−43921号公報に記載の発光体を好適に使用できる。
【0015】封筒状のケース(2)は、図1に示す様に、各種の樹脂シート、板目紙やボール紙、合成紙、織布などによって作製された扁平な所謂ソフトケースであり、通常は表裏の面(正面および背面)の形状を方形状に形成される。ケース(2)の一つの側縁、例えば図示した長方形の形態における短辺側の側縁は、板状化学発光体(1)を挿入するために開口される。そして、ケース(2)の表面には、矢印状に発光させて誘導方向を指示するため、矢印形の切抜き部(21)が設けられる。
【0016】板状化学発光体(1)は、使用時は上記のケース(2)に挿入されるが、励起した光を表示機能に十分に利用するため、封筒状のケース(2)の内面(図1の符号(2c)で示すケースの内側の面)は、光反射面に形成されているのが好ましい。光反射面は、金属メッキ、金属蒸着、金属箔の貼着、反射性フィルム等の貼着、塗装などの適宜の手段により形成することが出来る。光反射面は、少なくとも、切抜き部(21)のない裏面側の構成材料の内面に形成される。
【0017】本発明においては、保管中の板状化学発光体(1)の経年変化を防止するため、使用前における板状化学発光体(1)は、通気性のない包装材料に密封されていることが重要である。具体的には、板状化学発光体(1)は、水分の透過による溶液の劣化、ならびに、光による溶液の劣化を防止するため、使用前においては、アルミニウム蒸着フィルム等のガスバリヤー性を有し且つ遮光性を有する包装材料としての例えば包装袋(3)に密封される。
【0018】また、図2に示す様に、本発明においては、所望の場所に一層簡単に設置できる様に、封筒状のケース(2)の裏面には、粘着剤層(4)が設けられる。粘着剤層(4)は、天然または合成ゴムラテックス化合物またはそれらの組合わせから成る粘着剤組成物、アクリル系共重合体樹脂を主成分とする粘着剤組成物、アルキルエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、粘着付与剤を主成分とする粘着剤組成物などの各種粘着剤組成物のケース(2)の裏面への直接塗布によって形成することも出来るが、製造を簡単にする観点からは、両面に粘着剤が添付された両面テープを貼着するのが好ましい。
【0019】更に、図3に示す様に、本発明の誘導灯においては、封筒状のケース(2)に環状の紐部材(5)が取り付けられていてもよい。紐部材(5)としては、ナイロン、ポリエステル等の樹脂の糸、無機繊維から成る撚紐、組紐などの適宜の糸または紐を使用できる。紐部材(5)は、図示する様に、ケース(2)の上縁部および下縁部にそれぞれ設けられた左右一対の穴に挿通され且つ環状に構成される。具体的には、紐部材(5)は、例えば、左上縁部の穴からケース(2)の内部に挿通し、左下縁部の穴からケース(2)の外部に引きだし、更に、右下縁部の穴からケース(2)の内部に挿通し、右上縁部の穴からケース(2)の外部に再び引き出すことにより、環状に結束される。
【0020】本発明の誘導灯を使用する場合は、先ず、包装袋(3)から板状化学発光体(1)を取り出した後、板状化学発光体(1)を一時的に湾曲させ、内部のガラスアンプルを破壊することにより、板状化学発光体(1)を発光させる。次いで、ケース(2)に板状化学発光体(1)を収容する。あるいは、包装袋(3)から取り出した板状化学発光体(1)を先ずケース(2)に収容し、次いで、ケース(2)と共に板状化学発光体(1)を湾曲させ、内部のガラスアンプルを破壊することにより、板状化学発光体(1)を発光させる。
【0021】本発明の誘導灯は、上記の様に、ケース(2)の内部で板状化学発光体(1)を発光させることにより、ケース(2)の切抜き部(21)を利用して矢印状に発光させることが出来る。その場合、使用するまでの板状化学発光体(1)は、通気性のない包装袋(3)に独立に密封されているため、溶液の経年変化がなく、また、シールを予め貼着したものの様な接着剤成分による溶液の変質がない。従って、本発明の誘導灯は、非常時などの必要時に確実に発光させることが出来、十分な光量を得ることが出来る。
【0022】更に、本発明の誘導灯は、図2に示す様なケース(2)の裏面の粘着剤層(4)を利用することにより、壁、扉、ダクト等の表面に簡単に且つ直ちに貼り付けることが出来る。勿論、上下を転倒させて貼り付けることにより、矢印の向きを簡単に左右逆転させることが出来る。換言すれば、図2に示す態様の本発明の誘導灯は、非常時などに容易に持運び出来、取付場所に制限されることなく、迅速に且つ簡便に的確な場所に設置できる。
【0023】また、本発明の誘導灯は、図3に示す様なケース(2)の紐部材(5)を利用することにより、壁や柱の突起部などに簡単に且つ直ちに吊り下げることが出来る。そして、図3に示す誘導灯においては、ケース(2)の外部に露出する紐部材(5)の他の部位、例えばケース(2)の下縁部に露出する部位を引き出し、上下を転倒させて吊り下げることにより、上記の場合と同様に、矢印の向きを簡単に左右逆転させることが出来る。図3に示す態様の誘導灯も、上記の態様と同様に、容易に持運び出来、迅速に且つ簡便に的確な場所に設置できる。
【0024】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の非常用誘導灯によれば、使用するまでの板状化学発光体が通気性のない包装材料に密封されており、板状化学発光体の溶液の経年変化や接着剤成分による変質がないため、必要時に確実に発光させることが出来、十分な光量を得ることが出来る。また、ケースの裏面に粘着剤層が設けられた本発明の非常用誘導灯およびケースに環状の紐部材が取り付けられた本発明の非常用誘導灯によれば、取付場所に制限されることなく、迅速に且つ簡便に的確な場所に設置できる。
【出願人】 【識別番号】000215925
【氏名又は名称】帝都高速度交通営団
【識別番号】595147445
【氏名又は名称】日本オムニグロー株式会社
【出願日】 平成14年1月17日(2002.1.17)
【代理人】 【識別番号】100097928
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 数彦
【公開番号】 特開2003−217301(P2003−217301A)
【公開日】 平成15年7月31日(2003.7.31)
【出願番号】 特願2002−8612(P2002−8612)