| 【発明の名称】 |
カムブラケット |
| 【発明者】 |
【氏名】羽田 雅敏 【住所又は居所】名古屋市熱田区川並町2番12号 愛知機械工業株式会社内
【氏名】大川 尚男 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】エンジンの始動時にも良好にスラストプレート周辺を潤滑することのできるカムブラケットの提供を目的とする。
【解決手段】スラストプレート3を有するカムシャフト1を回転可能に支承し得るとともに、スラストプレート3が回転可能に挿入される上面が開口されたスラストプレート溝10を備えたカムブラケット8において、スラストプレート溝10の開口された上面におけるスラストプレート3の回転方向の少なくとも片側には、凹状にオイル溜め11が形成されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 スラストプレートを有するカムシャフトを回転可能に支承し得るとともに、前記スラストプレートが回転可能に挿入される上面が開口されたスラストプレート溝を備えたカムブラケットにおいて、前記スラストプレート溝の開口された上面におけるスラストプレート回転方向の少なくとも片側には、凹状にオイル溜めが形成されていることを特徴とするカムブラケット。 【請求項2】 前記オイル溜めが、スラストプレート回転方向の両側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカムブラケット。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、カムブラケットの改良に関するものである。 【0002】 【従来の技術及びその課題】従来、図7の分解斜視図で示すように、エンジンの吸気・排気バルブを開閉させるためにカムシャフト1にはカム2,2が設けられており、また、カムシャフト1の軸方向への移動を規制するために、カムシャフト1には2枚のスラストプレート3,3が間隔をおいて設けられており、カムシャフト1の先端にはカムスプロケット4が設けられて、エンジンのクランクシャフトの駆動力をチェーン,ベルト等でカムスプロケット4に伝達してカムシャフト1が回転されるように構成されている。このカムシャフト1を取り付けるシリンダヘッド5側の凹み状のジャーナル面6に、オイルを供給するオイル供給孔7が形成されている。また、ジャーナル面6上に、カムシャフト1を回転可能に支承するカムブラケット8がボルトで取り付けられるものであるが、図7では、シリンダヘッド5の外周側のジャーナル面6の内側及び外側に、前記スラストプレート3,3が摺接する摺接面51,51が形成されており、また、外側のカムブラケット8にも、スラストプレート3,3が摺接する摺接面52,52が内側及び外側に形成されたものとなっている。 【0003】このような構造においては、摺接面51と摺接面52を整合させて面一状に形成させるために、カムブラケット8をシリンダヘッド5に取り付けた状態で、この摺接面51,52をそれぞれ加工する必要があり、摺接面51,52の加工が困難であるという問題点があった。また、オイル供給孔7からのオイルが、ジャーナル面6からスラストプレート3,3と摺接面51,52間に供給される構造であるため、エンジンの始動時などにおいては、摺接面51,52の潤滑が遅れることとなり、そのためにオイルポンプの低回転での供給能力を高く設定しておく必要があるという問題点があった。 【0004】また、従来、図8の分解斜視図で示すように、カムシャフト1に1枚のスラストプレート3を設け、このスラストプレート3が回転可能に挿入されるスラストプレート溝53を、シリンダヘッド5のジャーナル面6の内側に凹み状に形成するとともに、カムブラケット8側にも、スラストプレート3が回転可能に挿入されるスラストプレート溝54を形成させ、オイル供給孔7からのオイルを、ジャーナル面6に凹み状に形成したオイル通路溝6aを通してスラストプレート溝53へ供給するように構成したものが存在し、このような構造では、エンジンの始動時に、スラストプレート溝53内に溜まっているオイルで良好にスラストプレート3の周辺を潤滑することができるため、オイルポンプの低回転での供給能力を高める必要がないものとなる。しかし、このような構造では、スラストプレート溝53及び54をそれぞれ精度良く加工する必要があり、加工に困難を伴うという問題点があった。また、スラストプレート溝53,54はスラストプレート3全体を覆う構造であり、この部分の材料が必要で、重量が大となってしまうという問題点があった。 【0005】さらに、従来、図9の分解斜視図で示すような構造が存在し、図9では、カムシャフト1に設けられた1枚のスラストプレート3が、回転可能に挿入されるスラストプレート溝54をカムブラケット8側のみに形成したものであり、カムブラケット8の内側面に受部56を一体形成し、この受部56にスラストプレート溝54を形成させ、受部56の上面側に切欠面56aを形成させて、スラストプレート溝54からスラストプレート3の上端が突出するようにしたものである。このような構造では、カムシャフト1及びスラストプレート3の近傍を飛散するオイルを、スラストプレート3に付着させることができ、スラストプレート溝54の加工も容易で、重量も軽くなるが、エンジンの始動直後などにおいて、オイルが十分にスラストプレート3の近傍に飛散していない状況では、潤滑不足になり、焼き付きなどの問題が発生するため、これを防ぐために、シリンダヘッド5側にオイルジェット55などを設けて、このオイルジェット55からオイルをスラストプレート3に向けて噴出させる必要があり、このオイルジェット55により、オイル供給経路の圧力が下がるため、その分、オイルポンプの供給能力を高めてやる必要があるという問題点があった。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、重量がさほど重くなることもなく、また、加工も比較的容易に行なえ、しかもオイルポンプの供給能力を高めることなく良好にスラストプレートの周辺を潤滑できるカムブラケットを提供せんことを目的とし、その第1の要旨は、スラストプレートを有するカムシャフトを回転可能に支承し得るとともに、前記スラストプレートが回転可能に挿入される上面が開口されたスラストプレート溝を備えたカムブラケットにおいて、前記スラストプレート溝の開口された上面におけるスラストプレート回転方向の少なくとも片側には、凹状にオイル溜めが形成されていることである。また、第2の要旨は、前記オイル溜めが、スラストプレート回転方向の両側に形成されていることである。 【0007】 【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、カムシャフト周辺の分解斜視図であり、カムシャフト1には、カム2,2とともに1枚のスラストプレート3が設けられており、このカムシャフト1を支持するジャーナル面6が、シリンダヘッド5側に凹み状に形成され、このジャーナル面6には、ジャーナル面6にオイルを供給するオイル供給孔7が形成されている。 【0008】また、このジャーナル面6上にボルト12で取り付けられてカムシャフト1を回転可能に支承するカムブラケット8は、図2の平面拡大構成図,図3の縦断面構成図(図2のスラストプレート溝の部分で切断した縦断面構成図),図4の側面配置構成図で示すように、内側へ突出して受部9が一体形成され、受部9の分だけ通常のカムブラケットより幅広に形成されて、この受部9には、上面が切り欠かれて切欠面9aが形成され、この切欠面9aに開口して、受部9には上下方向に貫通状に、スラストプレート3が挿入されるスラストプレート溝10が形成されており、このスラストプレート溝10の上面側の切欠面9aには、切欠面9aよりも下方へ凹ませて、オイルを溜めることのできるオイル溜め11,11が一体形成されている。 【0009】このオイル溜め11,11は、スラストプレート溝10内に挿入されるスラストプレート3の回転方向の両側にそれぞれ凹み状に形成され、それぞれ内側の深さの小なる浅部11aから、P点を越えて外側へ深さが増大され、P点の外側のオイル溜め11の最も深い部分は、内部に良好にオイルを溜めることができるように、切欠面9aよりも下方へ相当深く凹ませて5mm程度の深さに設定されている。なお、スラストプレート溝10内にスラストプレート3が挿入された時に、スラストプレート3の外周が、P点と一致するか、または、P点より外側のオイル溜め11の深い部分に配置されるように設定されている。 【0010】なお、このオイル溜め11の拡大平面図を図5に示し、また図6では、スラストプレート溝10内にスラストプレート3を挿入して、スラストプレート3が回転された時の作用を図示しており、エンジンの運転状態では、ジャーナル面6のオイル供給孔7から供給されるオイルがカムシャフト1の回転で漏れ出して飛沫となり、また、ブローバイガス中などのオイルの飛沫が、スラストプレート3に付着し、スラストプレート3とスラストプレート溝10との摺接面を良好に潤滑することができる。また、エンジンの停止時に、ミスト状になっていたオイルが、重力で落下して良好にオイル溜め11内に溜められるものであり、このオイル溜め11内に溜まったオイルは、エンジンの始動時に、スラストプレート3の回転で飛散され、また、エンジンの振動により良好にスラストプレート溝10側へ流れ、スラストプレート3に付着して、良好にスラストプレート3を潤滑することができるものとなり、エンジンの始動時にも焼き付けなどが発生することがないものとなる。 【0011】なお、スラストプレート3の回転が上向き方向である側(図6では左側)にのみオイル溜め11を形成させても良い。即ち、スラストプレート3の回転が上向き方向であるので、スラストプレート3の回転でオイル溜め11内のオイルが良好に飛散され、良好にスラストプレート3を潤滑することができるものとなる。なお、本例では、シリンダヘッド5側には摺接面などの加工は全く必要とせず、カムブラケット8側のみに上面が開口したスラストプレート溝10を形成させるものであるため、加工が比較的容易で、重量の増加も少ないものとなる。また、オイルポンプの低回転での供給能力を高める必要もなく、エンジン始動時に、オイル溜め11内に溜められたオイルでスラストプレートの周辺を良好に潤滑することができるものとなる。 【0012】 【発明の効果】本発明は、スラストプレートを有するカムシャフトを回転可能に支承し得るとともに、スラストプレートが回転可能に挿入される上面が開口されたスラストプレート溝を備えたカムブラケットにおいて、スラストプレート溝の開口された上面におけるスラストプレート回転方向の少なくとも片側には、凹状にオイル溜めが形成されていることにより、エンジンの運転状態では、飛散しているオイルをスラストプレートに付着させて潤滑でき、また、飛散したオイルを良好にオイル溜めに溜めることができ、エンジンの始動時には、このオイル溜めに溜められたオイルがスラストプレートに付着し、良好にスラストプレートの周辺を潤滑することができ、焼き付けなどを良好に防ぐことができるものとなる。 【0013】また、オイル溜めが、スラストプレート回転方向の両側に形成されていることにより、両側のオイル溜めに十分なオイルを溜めておくことができ、エンジンの始動時に、より良好にオイルをスラストプレートに供給して潤滑できるものとなる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】390009896 【氏名又は名称】愛知機械工業株式会社 【住所又は居所】名古屋市熱田区川並町2番12号 【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地
|
| 【出願日】 |
平成14年1月30日(2002.1.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086520 【弁理士】 【氏名又は名称】清水 義久
|
| 【公開番号】 |
特開2003−222003(P2003−222003A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月8日(2003.8.8) |
| 【出願番号】 |
特願2002−22565(P2002−22565) |
|