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【発明の名称】 エンジンの動弁装置
【発明者】 【氏名】村田 真一
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目33番8号・三菱自動車工業株式会社内

【氏名】横山 友
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目33番8号・三菱自動車工業株式会社内

【氏名】中井 英雄
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目33番8号・三菱自動車工業株式会社内

【要約】 【課題】本発明は、動弁機構で用いる低速ローラの小径化において、製造コストを抑えられるエンジンの動弁装置を提供することにある。

【解決手段】高、低速用カム11h,11lを有したカムシャフト13と、高速用カムに接触する高速用ローラ25が枢支されてロッカシャフト15中心に揺動される高速用ロッカ153と、低速用カムに接触する低速用ローラ27が枢支され且つエンジン燃焼室Cのバルブ21を開閉する低速アーム部242が一体とされてロッカシャフト中心に揺動される低速用ロッカ243と、低、高速用ロッカを結合して揺動可能とする切換えピン29とを具備し、高、低速用カムは円形部が同径で形成されると共に、低速用ローラ27の半径r1は高速用ローラの半径r2より所定の縮径量δ小さく形成され、高速用ローラより低速用ローラの枢支ピン28が縮径量δ分だけカムシャフト中心線L0側にずれて配設された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】互いに並列配備され高速用カムと低速用カムとを有したカムシャフトと、前記高速用カムに転がり接触する高速用ローラが枢支されて前記高速用カムによりロッカシャフト中心に揺動駆動される高速用ロッカと、前記低速用カムに転がり接触する低速用ローラが枢支され且つエンジン燃焼室のバルブを開閉駆動するアームが一体とされて前記低速用カムにより前記ロッカシャフト中心に揺動駆動される低速用ロッカと、前記低速用ロッカと高速用ロッカとを結合して前記低速用ロッカを前記高速用ロッカに追従して揺動可能とする結合手段とを具備し、前記低速用カムと高速用カムとは、カム突出し部分以外の円形部が同径で形成されると共に、前記低速用ローラの半径は前記高速用ローラの半径より所定の縮径量小さく形成され、前記高速用ローラより低速用ローラの枢支ピンが前記縮径量分だけカムシャフト中心線側にずれて配設されたことを特徴とするエンジンの動弁装置。
【請求項2】請求項1記載のエンジンの動弁装置において、前記高速用ローラ及び低速用ローラはニードルベアリングであり、前記高速用ローラのニードル径よりも前記低速用ローラのニードル径が小径とされると共に、前記高速用ローラの枢支ピンより低速用ローラの枢支ピンが小径とされることを特徴とするエンジンの動弁装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のカムのプロフィールに応じロッカシャフトに支持されたロッカアームが燃焼室のバルブを複数の開閉モードで駆動するエンジンの動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの燃焼室の吸排気弁はこれをロッカアームを介して駆動する吸排気カムのプロフィールによりその開閉パターンが変化する。そこで、吸排気バルブの少なくとも一方を低速カム或いは高速カムにより選択的に切り換え駆動させることにより運転域の変化に適した開閉タイミングで吸排気弁を駆動してエンジンの出力向上を図ったり、あるいは、適時に一部気筒への吸気供給を停止させ、出力低減や低燃費化を図る休筒運転を行うことが出来るエンジンの可変動弁機構が知られている。
【0003】例えば、図9に示すようなエンジンの吸排気弁可変機構では、吸気2弁、排気2弁110を駆動する。ここでシリンダヘッドの軸受け部120にはカム軸130及び吸排ロッカシャフト140、150が互いに並列配備され、カム軸130に単一の排気カム160と中速吸気カム170及び高低速カム180、190が並列配備される。排気ロッカシャフト150には排気ロッカアーム200が枢支され、同排気ロッカアームはT型アーム201を延出し、その先端の二股部で排気2弁110を駆動する。吸気ロッカシャフト140はその軸部141の一端に中速吸気カム170に常時駆動され一方の吸気弁100を開閉する中速ロッカアーム210が枢支される。更に、軸部141の他端には高速アーム142が延出し、その隣に低速アーム220のボス部221が枢支される。高速アーム142の揺動端は高速ローラ230を介し高速カム180に当接し、低速アーム220の揺動端は低速ローラ240を介し低速カム190に当接する。
【0004】低速アーム220のボス部221と対向する軸部141内には、突出し可能に収容され、油圧駆動する切換えピン250が配備される。この場合、高速ローラ230と低速ローラ240の半径は同一で、高速カム180と低速カム190は突出し部以外の円筒部は同一半径で形成される。このような動弁装置では、図8(a)、(b)に示すように,排気カム160でのリフトパターンが常に、jとなる。一方、中速吸気カムのリフトパターンがmで一方の吸気弁100を常時駆動する。同時に、切換えピン250の退却時には低速アーム220が低速カム190のリフトパターンnで駆動され、他方の吸気弁100を駆動し、低回転域での吸気流動を促進させる。切換えピン250の突出し時には高速アーム142が高速カム180のリフトパターンmで駆動され、低速アーム220、ひいては他方の吸気弁100をリフトパターンMで駆動し、吸入量増による出力アップを図る。
【0005】このような、動弁装置はその高速運転域において、切換えピン250が突出し、低速アーム220と吸気ロッカシャフト140が一体化して重量増の状態で揺動作動する。この場合、低速ローラ240側は動弁機能上空作動しているが、動弁重量には加算されることとなる。
【0006】このため、それに見合った剛性を動弁装置が確保できていないと、特に、高速域で設計カムどおりにバルブが駆動できず、バルブのジャンプやバウンスにより動弁系の耐久信頼性が低下したり、設計カムプロフィールどおりにバルブが駆動できないので、出力性能が十分に引き出せなかった。また、重量に見合ったバルブスプリング荷重増加により、動弁装置各部のフリクションも増加し耐久性を低下させる傾向にあった。また、このため、高速ローラ230も比較的大型で高面圧に耐えうるものが必要であった。
【0007】しかしながら、切換えピン250が退避して低速アーム220により吸気弁100が駆動される状態では、高速運転域ほど動弁重量が大きくないため、しかも高速カム180よりリフト量が小さくバルブスプリング反力も小さいため、低速ローラ240については高速ローラ230よりも小型で耐面圧性の低いものを用いても良い。そこで、図10に示すように、高速ローラ230’の半径r2より低速ローラ240’の半径r1を小さくして動弁重量を低減させることが考えられる。
【0008】この場合、低速ローラ240’の縮小分δ’だけ、高速カム180’の円筒部半径r3より低速カム190’ の円筒部半径r4を大きくし、低速ローラ240’の中心位置qのずれを抑えることとなる。この場合、高速カム180’のリフト量h1、低速カム190’のリフト量h2はともに従来の値と同様で良い。なお、このような構成を採る動弁装置の一例が実用新案登録第2584890号公報に開示される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図9に示すエンジンの吸排気弁可変機構や、実用新案登録第2584890号公報の技術では、高速ローラ230’と高速ローラ230’より小径の低速ローラ240’の中心が同心に配置されているため、カムシャフト成形時において、高、低速カム180’、190’の円筒部の外径を異ならせる必要があるので、その部位の研磨に際して円筒部径の種数に応じたカム研磨回数の増大を招き、製造コストを上昇させてしまうことより、改善が望まれている。
【0010】また、カムの研磨回数が増大すると、それぞれの研磨についての公差を考慮する必要があり、すなわちカムによって駆動されるバルブのクリアランスを大きくとる必要がある。従ってバルブクリアランスを大きくとることにより、バルブ駆動に際し打音が大きくなり、静寂性が低下することとなってしまう。さらには、カムベース円径が大幅に小さくなると、研磨行程の制限のため、カムプロファイルの自由度が制限され、エンジン出力性能が十分に得られなくなる。本発明の目的は、動弁機構で用いる低速ローラの小径化、または低速ローラのロッカシャフト近傍の配置において、製造コストを抑えられ動弁作動を確実化させるエンジンの動弁装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するため、請求項1の発明は、互いに並列配備され高速用カムと低速用カムとを有したカムシャフトと、前記高速用カムに転がり接触する高速用ローラが枢支されて前記高速用カムによりロッカシャフト中心に揺動駆動される高速用ロッカと、前記低速用カムに転がり接触する低速用ローラが枢支され且つエンジン燃焼室のバルブを開閉駆動するアームが一体とされて前記低速用カムにより前記ロッカシャフト中心に揺動駆動される低速用ロッカと、前記低速用ロッカと高速用ロッカとを結合して前記低速用ロッカを前記高速用ロッカに追従して揺動可能とする結合手段とを具備し、前記低速用カムと高速用カムとは、カム突出し部分以外の円形部が同径で形成されると共に、前記低速用ローラの半径は前記高速用ローラの半径より所定の縮径量小さく形成され、前記高速用ローラより低速用ローラの枢支ピンが前記縮径量分だけカムシャフト中心線側にずれて配設されたことを特徴とする。
【0012】このように、高速用ローラの半径より低速用ローラの半径が所定の縮径量小さく形成されると共に高速用ローラより低速用ローラの枢支ピンが縮径量分だけカムシャフト中心線側にずれて配設されたので、低速用ローラを縮径量だけ小径とすることで動弁重量を軽減でき、この場合、高、低速用カムの各円形部を同径で形成して良く、カムシャフトの成形加工が容易化され、コスト増を抑えられる。更に、動弁重量が軽くなった分バルブスプリング荷重を低減でき、ひいてはカムとローラとのフリクションを低減することができる。また、カム研磨回数が1回で済むので、バルブクリアランスを小さく見積もることができ、静寂性を向上させることができる。
【0013】請求項2の発明は、請求項1記載のエンジンの動弁装置において、前記高速用ローラ及び低速用ローラはニードルベアリングであり、前記高速用ローラのニードル径よりも前記低速用ローラのニードル径が小径とされると共に、前記高速用ローラの枢支ピンより低速用ローラの枢支ピンが小径とされることを特徴とする。この場合、装置の耐久性を向上させることができ、動弁重量を軽減できる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1には本発明のエンジンの動弁装置1を示し、図4、図5にはそのエンジンの動弁装置を装備したエンジン2の要部を示した。エンジン2はV型6気筒エンジン(以後単にエンジンと記す)で、図4、図5に示すように、3気筒分の燃焼室Cを形成する右バンクのシリンダブロック4及びその上部のシリンダヘッド3を備え、これが複数のヘッドボルトhbにより締結されている。なお、エンジン2の図示しない左バンクもほぼ左右対称に形成され、ここでは重複説明を略す。
【0015】ここで、シリンダヘッド3と同シリンダヘッド3の上部に図示しないボルトで締結されたヘッドカバー5とにより、シリンダヘッド3の長手方向である前後方向Xに密閉された内部空間6が形成され、ここに右バンク側の可変動弁機構Mが収容される。シリンダヘッド3はシリンダブロック4に重なる下壁部分により各燃焼室Cの上壁を形成し、下壁部分の周縁部全域には上方に延出する縦壁7を連続形成し、これにより内部空間6を覆うように形成される。
【0016】シリンダヘッド3はその下壁中央部分よりカムジャーナル(図5参照)8をヘッド長手方向である前後方向Xに沿って所定間隔で複数突出し形成する。これら複数配備されたカムジャーナル8と縦壁7の前端部(図4で左端)には図4、5に示すように貫通孔9が形成され、ここにカムシャフト13が軸受け部材を介し枢着される。カムシャフト13はその前端を縦壁7より突出し、同突き出し端131には図示しないタイミングギアが一体結合され、ここにエンジンの1/2の回転数で回転力が伝達される。
【0017】各カムジャーナル8の上部にはロッカシャフトホルダ14(図4、5参照)が重合され、複数のボルトbで締結される。図5に示すように、カムジャーナル8の中央にはカムシャフト13が配備され、上部のロッカシャフトホルダ14には吸、排気ロッカシャフト15、16が貫通支持される。シリンダヘッド3の下壁の前部には屈曲して潤滑油の供給油路35が形成され、この供給油路35はシリンダブロック4側のオイルメインギャラリー36と連通する。
【0018】図4に示すように供給油路35は分岐され、前端のカムジャーナル8(図示せず)とその後ろのカムジャーナル8(図5参照)に向けて延出し、前端のカムジャーナル8を通過した分岐供給油路35aはロッカシャフトホルダ14に支持された排気ロッカシャフト16の油路17(図5参照)に連通し、潤滑油の供給を可能とする。中央のカムジャーナル8(図5参照)内の分岐供給油路35bはカムジャーナル8の上部のロッカシャフトホルダ14に支持されたオイルコントロールバルブ19の流入孔c1に連通する。オイルコントロールバルブ19の流出孔c2は第1、第2気筒と対向する各吸気ロッカシャフト15の油路18に連絡路35cを介し連通し、制御油の供給を可能としている。このようなエンジンの可変動弁機構Mは各気筒毎に駆動部maを装着することより、ここでは第1気筒の駆動部maを主に説明する。
【0019】図1、図2に示すように、第1気筒の駆動部maは、2つの吸気弁21と2つの排気弁22を駆動するものであり、シリンダヘッド3の前後4つのカムジャーナル8に支持されたカム軸13と吸、排気ロッカシャフト15、16に亘って装着される。なお、排気ロッカシャフト16は単一のパイプ部材で形成され、内部に油路17(図5参照)を形成される。吸気ロッカシャフト15は各気筒毎に分割配備され、それぞれが内部に油路18を形成され、互いに同一の回転中心線L1上に配備される。ここで、カムシャフト13は各気筒との対向部において、排気カム12と、吸気側の中速吸気カム10及び高、低速カム11h、11lを配備する。なお、符号L0はカム軸中心線を示す。
【0020】排気カム12は各気筒毎に1つ形成され、図8(a),(b)に示すようなカムプロフィールjを有する。図2に示すように、中速吸気カム10及び高速カム11hは同一形状を成す。即ち、図7(c)に示すように、高速カム11hはベースサークルを成す円筒部fbに対し、比較的大きな突出し量であるリフト量h2の突出し部frを形成し、図8(a),(b)に示すようなカムプロフィールmを有する。図7(b)に示すように、低速カム11lは円筒部fbが高速カム11hと同一形状を成し、比較的小さな突出し量であるリフト量h1の突出し部frを形成し、図8(a)に示すようなカムプロフィールnを有する。
【0021】ここで、高速カム11hと低速カム11lは円筒部fbが同一形状を成し、同一の回転角位置で突出し部frを突出すことより、カム軸加工における加工作業を共用化でき、比較的容易に加工を行えるという利点がある。排気ロッカシャフト16には排気ロッカアーム23のボス部231が枢支される。ボス部231はY型アーム201を延出し、その先端の二股部で2つの排気弁22を駆動する。図2、図6、図7(a)に示すように、吸気ロッカシャフト15はその両端部151が前後のロッカシャフトホルダ14に枢支され、中間に拡径されて軸部152が形成される。軸部152の前端(図2で左端)からは高速用ロッカとしての高速ロッカ部153がカム軸13側に延出形成される。更に、軸部152は高速ロッカ部153の隣側の部位に低速用ロッカアーム24のボス部241を外嵌し、後端側(図2で右端)に中速アーム30のボス部301を外嵌する。
【0022】図1、図2に示すように、中速アーム30のボス部301は一方の吸気弁21側に向けてロッカアーム部302を延出し、その揺動端が一方の吸気弁21を開閉駆動する。更にボス部301はカム軸13側に中速アーム303を延出し、その揺動端に中速ローラ31を図示しないピンを介し枢支する。図2、図6に示すように、高速ロッカ部153の揺動端は高速用ローラ25をピン26(図7(c)参照)を介し枢支する。高速用ローラ25は高速カム11hに当接する。
【0023】図1、図6に示すように、低速用ロッカアーム24はボス部241より他方の吸気弁21側に低速アーム部242を延出し、その揺動端に設けたラッシュアジャスタ34(図7(b)参照)が他方の吸気弁21を開閉駆動する。更に、ボス部241はカム軸13側に低速用ロッカとしての低速ロッカ部243を延出し、その揺動端に低速用ローラ27をピン28(図7(b)参照)を介し枢支する。同低速用ローラ27は低速カム11lに当接する。
【0024】図7(a),(b)に示すように、ロッカアーム24のボス部241と対向する軸部152内には、結合手段を成す切換えピン29が突出し可能に収容され、これにより低速用ロッカアーム24が低速用のみならず高速用として選択的に揺動可能と成るように構成されている。ここで、軸部152には半径方向に貫通孔31が形成され、同孔31は軸部152の回転中心線L1に沿って形成された制御油路32に連通する。なお、この制御油路32は上述の連絡路35cを介しオイルコントロールバルブ19の流入孔c1に連通する。
【0025】貫通孔31の切換えピン29はその一端に係止部gを形成され、貫通孔31は段部eを形成され、係止部gと段部e間に圧縮ばね33を配備する。ボス部241には切換えピン29を嵌挿可能な係止孔34が形成される。このため制御油路32に高圧油が供給されていないと、圧縮ばね33の弾性力で切換えピン29が退却位置H1に保持され、軸部152と分離した低速用ロッカアーム24は低速用として揺動する。一方、制御油路32に高圧油が供給されると、圧縮ばね33の弾性力に抗して切換えピン29が突出し作動し、ボス部241の係止孔31に嵌挿され、係止位置H2に達する。このため、高速ロッカ部153と低速用ロッカアーム24が一体化し、この場合、低速用ロッカアーム24は高速用として揺動する。
【0026】ここで、図3に示すように、高速用ローラ25の半径r2に対し、低速用ローラ27の半径r1は所定の縮径量δ(半径に対しての縮小量を表すものとする)だけ小さく形成される。しかも、高速用ローラ25はピン26を介し高速ロッカ部153に支持されるが、そのピン26の中心点o1に対して低速用ローラ27のピン28の中心点o2は縮径量δだけカム軸中心線L0側(図3で矢視α側)にずれた位置で低速ロッカ部243側に支持されている。このため高速用ローラ25より低速用ローラ27が小さく、この点で低速用ローラ27の軽量化を図っている。
【0027】更に、ここでは、高速用ローラ25の幅B1に対し、低速用ローラ27の幅B2は所定量小さく形成される。この場合、低速ロッカ部243は低リフト用であり、ローラ面圧は比較的低く、しかも、カム加速度も比較的小さいことより、幅B2でも耐久性を保持できる。このように低速用ローラ27の幅B2を小さくすることによって、低速用ローラ27をより軽量化している。このように、動弁重量が軽くなった分、バルブスプリング荷重を低減でき、ひいては高、低速カム11h、11lと高、低ローラ25、27とのフリクションを低減することができる。
【0028】このように、低速用ローラ27の半径r1が縮径量δ相当小さくされた分だけ、低速用ローラ27の中心位置であるピン28の位置をカム軸中心線L0に接近させたので、低速用ローラ27は高速用ローラ25と円筒部fb上の同位置(図3で符号dの位置)で当接することとなり、低速用ローラ27を高速用ローラ25と同一径とした場合と同様の形状のままでその他の部材を製作でき、低速用ローラ27を小径化したことによるその他の部材の設計変更を全く必要とせず、この点でコスト増を抑制できる。以上、第1気筒の駆動部maを説明したが、その他の気筒の駆動部maも同様に構成される。
【0029】このようなエンジンの動弁装置を備えたエンジン2の駆動時に、エンジン運転域が低速モードと判断されると、オイルコントロールバルブ19がオフしてメインギャラリー36の高圧油を制御油路322に供給せず、切換え弁29が退却位置H1に保持される。この場合、中速アーム30が一方の吸気弁21をカムプロフィールm(図8(a)参照)に沿って駆動し、低速用として駆動するロッカアーム24の低速ロッカ部243が他方の吸気弁21をカムプロフィールn(図8(a)参照)に沿って駆動する。この場合、吸気流の流路が比較的絞られ、燃焼室C内での気流の旋回を促進し、低回転時の燃焼性を改善できる。
【0030】一方、エンジン運転域が高速モードと判断されると、オイルコントロールバルブ19がオンしてメインギャラリー36の高圧油を制御油路322に供給し、切換え弁29を係止位置H2に保持する。この場合、中速アーム30が一方の吸気弁21をカムプロフィールm(図8(b)参照)に沿って駆動し、高速ロッカ部153が高速用として駆動する低速用ロッカアーム24を介し他方の吸気弁21をカムプロフィールm(図8(b)参照)に沿って駆動する。この場合、吸気流の流路が拡大され、燃焼室Cヘの気流の充填効率を高め出力向上を図れる。
【0031】この場合において、高速用ローラ25の半径r2より低速用ローラ27の半径r1が縮径量δだけ小さく形成されると共に、高速用ローラ25より低速用ローラ27のピン28が縮径量δだけカム軸中心線L0側(図3で矢視α側)にずれて配設されたので、低速用ローラ27を縮径量δだけ小径とすることで動弁重量を軽減できた。
【0032】さらに、高速用ローラ25及び低速用ローラ27はニードルベアリングであるので装置の耐久性を比較的向上させることができる。しかも、低速用ローラ枢支ピン28は高速用ローラ枢支ピン26よりも小径とされたので、枢支ピン中央の穴やニードル径も枢支ピン径に応じて設定され、すなわち、高速用ローラ25のニードル径よりも低速用ローラ27のニードル径が小径とされた。このため、必要な強度に合わせて製作されることとなり、動弁重量を軽減できた。さらに、この場合、高、低速カム25、27の各円形部fbを略同径で形成して良く、カム研磨回数が1回で済むのでバルブクリアランスを小さく見積ることができ、静寂性を向上させることができ、しかも、カム軸13の成形加工が容易化され、コスト増を抑えられる。
【0033】更に、動弁重量が軽くなった分バルブスプリング荷重を低減できる。ひいては高低カム11h,11lと高、低ローラ25、27とのフリクションを低減することができ、耐久性が向上する。上述のところにおいて、可変動弁機構Mは軸部152に高速ロッカ部153を一体結合し、低速ロッカ部243のボス部241を選択的に軸部152に結合する結合手段としての切換えピン29を備えていたが、これに代えて、軸部に低速ロッカアームを一体結合し、高速ロッカ部のボス部を選択的に軸部に結合する結合手段を備えたという構成を採っても良く、この場合も、図1、4の可変動弁機構Mと同様の作用効果が得られる。
【0034】上述のところにおいて、可変動弁機構Mはエンジン回転域を高低区分し、高低運転領域に適した高低速用カムを切換え使用する高低切換え機構であったが、これに加えて、休筒運転をも可能とする周知の可変動弁機構に本発明を適用しても良く、この場合も、同様の作用効果が得られる。
【0035】
【発明の効果】以上のように、本発明は、高速用ローラの半径より低速用ローラの半径が所定の縮径量小さく形成されると共に高速用ローラより低速用ローラの枢支ピンが縮径量分だけカムシャフト中心線側にずれて配設されたので、低速用ローラを縮径量だけ小径とすることで動弁重量を軽減でき、この場合、高、低速用カムの各円形部を同径で形成して良く、カムシャフトの成形加工が容易化され、コスト増を抑えられる。更に、動弁重量が軽くなった分バルブスプリング荷重を低減でき、ひいてはカムとローラとのフリクションを低減することができる。また、カム研磨回数が1回で済むので、バルブクリアランスを小さく見積もることができ、静寂性を向上させることができる。
【0036】更に、前記高速用ローラ及び低速用ローラをニードルベアリングとし、前記高速用ローラより低速用ローラのニードル径及び枢支ピンがそれぞれ小径とされた場合、装置の耐久性を向上させることができ、動弁重量を軽減できる。
【出願人】 【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目33番8号
【出願日】 平成13年11月27日(2001.11.27)
【代理人】 【識別番号】100067873
【弁理士】
【氏名又は名称】樺山 亨 (外1名)
【公開番号】 特開2003−161128(P2003−161128A)
【公開日】 平成15年6月6日(2003.6.6)
【出願番号】 特願2001−360863(P2001−360863)