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【発明の名称】 高層建物の架構構造
【発明者】 【氏名】深田 良雄
【住所又は居所】東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島建設株式会社内

【氏名】後藤 仁
【住所又は居所】東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島建設株式会社内

【氏名】河野 賢一
【住所又は居所】東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島建設株式会社内

【氏名】鈴木 忠夫
【住所又は居所】東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島建設株式会社内

【氏名】荒川 豊彦
【住所又は居所】東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島建設株式会社内

【氏名】赤対 清吾郎
【住所又は居所】東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島建設株式会社内

【要約】 【課題】高層建築物の板状化と平面計画の自由度(フリープラン、大スパン化等)の向上を図った高層建築物の架構構造を提供する。

【解決手段】平面がほぼ正方形状をなすチューブ架構体1を3ユニット、桁行き方向に一文字状に連続させて配置する。各チューブ架構体1は、外周にのみ柱2,2aと各階の梁3,3aを配置して平面ほぼ正方形のチューブ状(筒状)に構築する。特に、各ユニットの柱2,2aは想定される地震荷重などの設計荷重に応じて所定間隔おきに配置し、通常の建物の柱スパンより小スパンに配置することで、特に曲げ剛性を高める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 チューブ架構体を複数、桁行き方向に連続させて配置してなることを特徴とする高層建物の架構構造。
【請求項2】 チューブ架構体は、桁行き方向に一文字状または雁行状に配置してなることを特徴とする請求項1記載の高層建物の架構構造。
【請求項3】 チューブ架構体は、外周に柱と各階の梁を配置して平面矩形のチューブ状に構築してなることを特徴とする請求項1または2記載の高層建物の架構構造。
【請求項4】 最下階から最上階まで連続する柱と、最下階から途中階まで連続する柱とを配置してなることを特徴とする請求項1、2または3記載の高層建物の架構構造。
【請求項5】 軸力柱を配置してなることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の高層建物の架構構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、高層建物の板状化と平面計画の自由度(フリープラン、大スパン化等)の向上を図った高層建物の架構構造に関し、主に共同住宅やオフィス建築などに広く用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、共同住宅の場合、桁行き方向に対して梁間(スパン)方向を短くして平面形状を可能な限り偏平な板状とする方が、全室南向きの住戸を配置できる等のメリットがあり、建築計画的にも要望が多い。
【0003】ところで、建物の変形はせん断変形と曲げ変形に分離することができるが、例えば図4(b)に図示するような板状高層建物の場合、塔状比(H/D)が大きくなると、柱の軸伸縮によって生ずる建物の全体曲げ変形が大きくなる傾向にある。
【0004】このため、板状高層建物を従来の純ラーメン構造や耐震壁を併用したラーメン構造によって計画した場合、地震荷重や風荷重などの水平力に対して、全体曲げ変形が大きくなるため、水平変形が大きくなりすぎて充分な安全性や快適な居住性が確保できない等の課題があった。
【0005】また、耐震壁を併用したラーメン構造では、耐震壁を平面的にバランスよく配置しないと、建物の重心と剛心がずれる剛性偏心によって建物にねじれが生じやすくなる等の課題があるだけでなく、耐震壁の配置により平面計画が大幅に制限される等の課題があった。
【0006】本願発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、高層建物の板状化と平面計画の自由度(フリープラン、大スパン化等)の向上を可能にした高層建物の架構構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の高層建物の架構構造は、チューブ架構体を複数、桁行き方向に連続させて配置してなることを特徴とするものである。チューブ架構体は、外周にのみ柱と各階の梁を配置して平面ほぼ正方形のチューブ状(筒状)に構築し、加力と直交(面外)骨組の立体効果を積極的に曲げ抵抗に利用することで、通常のラーメン構造の架構体より剛性が非常に大きく、特に曲げ変形に対する強度を著しく高めることができる。
【0008】なお、この場合の柱と各階の梁にはS構造、RC構造またはSRC構造、あるいはCFT構造などといった従来一般に用いられている構造形式を用いることができ、また各階の床スラブにはフラットスラブ、ボイドスラブあるいは合成スラブ等を用いることができる。
【0009】請求項2記載の高層建物の架構構造は、請求項1記載の高層建物の架構構造において、チューブ架構体は、桁行き方向に一文字状または雁行状に配置してなることを特徴とするものである。
【0010】請求項3記載の高層建物の架構構造は、請求項1または2記載の高層建物の架構構造において、チューブ架構体は、外周に柱と各階の梁を配置して平面矩形のチューブ状に構築してなることを特徴とするものである。なお、この場合のチューブ架構体の平面形状としては、他に五角形、六角形または八角形などの多角形状も考えられる。
【0011】請求項4記載の高層建物の架構構造は、請求項1、2または3記載の高層建物の架構構造において、最下階から最上階まで連続する柱と、最下階から途中階まで連続する柱とを配置してなることを特徴とするものである。
【0012】すべての柱を最下階から最上階まで連続する柱とするのではなく、一部の柱を最下階から途中階まで連続する柱とすることで、これより上の階には柱のない広い居住空間を確保することができ、また外周部には大きな開口部を設けることができる。この場合、どの柱をそのような配置とするかは、建物の平面計画と設計荷重に基いて決定すればよい。
【0013】請求項5記載の高層建物の架構構造は、請求項1、2、3または4記載の高層建物の架構構造において、軸力柱を配置したことを特徴とするものである。この場合の軸力柱は、特に床面積が比較的大きい場合に配置することで、床スラブの振動やたわみを防止して居住性を高めることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1(a),(b),(c)は、本願発明に係る高層建物の架構構造の一例を示し、図において平面がほぼ正方形状をなすチューブ架構体1が3ユニット、桁行き方向に一文字状に連続させて配置されている。
【0015】ここで言うチューブ架構体1は、外周にのみ柱2と各階の梁3を配置して平面ほぼ正方形のチューブ状(筒状)に構築され、特に隣接する各ユニット間の柱2aと梁3aは隣接する2つのユニットの柱と梁を兼ねている。
【0016】また、各ユニットの柱2と2aは想定される地震荷重などの設計荷重に応じて所定間隔おきに配置され、かつ通常の建物の柱スパンより小スパンに配置されていることで、通常のラーメン構造より剛性が非常に大きく、特に曲げ変形に強いに構造になっている。
【0017】さらに、図1(b)に図示するように、各ユニット間の柱2aは、すべてが最下階から最上階まで連続して配置されているのではなく、そのいくつかは途中階まで連続して配置され、それより上の階にはその柱はなく、柱2aのない階には大きな居住空間が確保されている。この場合、どの柱2aを途中階までとするかは、建物の平面計画と設計荷重などに基いて決定されている。
【0018】なお、各ユニットの外周に配置された柱2も構造的に可能であれば、すべてが最下階から最上階まで連続して配置されている必要はなく、そのいくつかは途中階まで配置し、それより上の階にその柱はなくてもよい。これにより大きな開口部を設けることができる。また、各階の梁3には各ユニット間の梁3aを除いて、逆さ梁も用いることができる。
【0019】また、この場合の柱2、2aと各階の梁3、3aにはS構造、RC構造またはSRC構造など、従来一般に用いられている構造部材が用いられ、また各階の床スラブにはフラットスラブまたは合成スラブ等が用いられてる。
【0020】また、床面積が比較的大きいために振動やたわみが心配される場合には、例えば図1(c)に図示するように、必要に応じて各階の床荷重のみを負担する軸力柱4や小梁5が用いられ、さらに基礎部、中間階あるいは最上階に免震装置(図省略)が用いられる場合もある。この場合の免震装置としては、例えば積層ゴムや鉛ダンパー、あるいはオイルダンパー等の従来一般に知られているものを用いることができる。
【0021】このような構成において、特に各ユニットが大きな曲げ剛性を有するチューブ架構体によって構築されていることで、建物全体の架構体としても曲げ剛性が大きく、したがって高層建物の板状化が可能となる。
【0022】図2(a),(b)は本願発明の他の例を示し、図において平面がほぼ正方形状をなすチューブ架構体1が4ユニット、桁行き方向に一文字状に連続させて配置されている。また、中央の隣接する2つのユニット間の柱2aは、途中階までのみ連続して配置され、(b)に示すようにそれより上の階には柱2aのない大きな居住空間が確保されている。
【0023】図3(a),(b)は、同じく本願発明の他の例を示し、特に図3(a)は、チューブ架構体1が3ユニット、桁行き方向に連続し、かつ隣接するユニットどうしが梁間(スパン)方向にずらして雁行状に配置されている例を示したものである。
【0024】また、図3(b)は、チューブ架構体1が3ユニット、桁行き方向に連続し、かつ中央のユニットとその両側のユニットをスパン方向にずらして平面略V字状に配置されている例を示したものである。
【0025】いずれの例においても、各ユニットが大きな曲げ剛性を有するチューブ架構体によって構築されていることで、建物全体の架構体としても曲げ剛性が大きく、したがって高層建物の板状化が可能となる。
【0026】
【発明の効果】本願発明は以上説明したとおりであり、特に剛性の非常に大きなチューブ架構体を複数、桁行き方向に連続させて配置して水平力に抵抗させるため、建物全体としても曲げ剛性が非常に大きく、したがって板状の高層建物においても、特に柱断面を大きくする等の方法によらないで高層建築物の板状化が図れる。
【0027】また、チューブ架構体は、外周に柱と各階の梁を鳥かご状に配置して平面矩形のチューブ状に構築されているので、ねじれ剛性が非常に大きく、建物のねじれ変形を低減することができる。
【0028】さらに、各ユニットの内部を無柱空間とすることができるため、柱や梁の配置によって平面計画が左右されことはなく、平面計画の自由度(フリープラン、大スパン化等)も非常に高い。
【出願人】 【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目2番7号
【出願日】 平成14年2月20日(2002.2.20)
【代理人】 【識別番号】100070091
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 知 (外1名)
【公開番号】 特開2003−239562(P2003−239562A)
【公開日】 平成15年8月27日(2003.8.27)
【出願番号】 特願2002−43059(P2002−43059)