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【発明の名称】 土 壁
【発明者】 【氏名】島崎 英雄

【要約】 【課題】カビの発生のおそれが全くなく衛生的で健康にも良好な居住空間の形成に寄与できる土壁を提供する。

【解決手段】土1と、土1に対して略同じ容積比の炭化籾殻2と、土1及び炭化籾殻2の総量の1割以下の糊3と、を混合してなることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 土(1)と、土(1)に対して略同じ容積比の炭化籾殻(2)と、土(1)及び炭化籾殻(2)の総量の1割以下の糊(3)と、を混合してなることを特徴とする土壁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に日本家屋の壁面に下塗りとして塗る土壁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来この種の土壁として本出願人が既に提案した特許第3090878号を挙げることができる。この特許発明の内容は、廃棄物の有効利用及び取り扱いの利便性とともに、土と土との結合力の強化を図る見地から、継ぎ材として藁に替わり籾殻を用いたことを特徴とするものである。
【0003】しかしながら、土壁中の籾殻には、たまに米が残存していることがあり、この残存している米が原因となって施工後の壁にカビが生ずる懸念があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記事情に基づいてなされたものであり、カビの発生のおそれが全くなく衛生的で健康にも良好な居住空間の形成に寄与できる土壁を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明による土壁は、土と炭化籾殻とを略同じ容積量で配合・混入し、さらに土及び炭化籾殻をかき混ぜた後の総量の約1割以下の糊を入れて混合してなることを特徴とするものである。
【0006】ここで炭化籾殻とは、籾殻を酸素の供給が不完全または断たれた状態で熱分解したものであり、未だ籾殻の原形の残っているものを使用する。このようにして作った炭化籾殻は、籾殻を炭化することによって籾殻の殺菌が行われており、しかも断熱及び保温効果が高くなるという特性に変化する。
【0007】土は赤土(粘土)と山砂を混合し十分な水を入れてその状態のまま寝かしておいたものを使用する。糊は、古くから左官材料に使用されてきたもの、例えば海草や餅米を煮て作ったものを用いるが、特に作業性や耐水性などの点から角又を主体とした海草糊が好ましい。
【0008】このように構成される土壁は、炭化籾殻を使用することによって、たとえ籾殻中に米の残存しているものがあったとしても、その米を含めて炭化され殺菌されているので、施工後の土壁中にはカビ発生原因となるものが全く存在していない。また、土壁施工後の土壁中に含まれている炭化籾殻には断熱及び保温作用があるので、本土壁を内壁や外壁に使用すれば、断熱・保温の性能に優れた居住環境の家屋を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明による土壁についての実施形態を説明する。本発明の土壁13は、土壁の主材料となる土1と、土と土との結合を強くするためのいわゆる継ぎ材2と、土壁に固着性を出し且つ粘りを出して塗りやすくするための糊3と、を配合し混ぜ合わせて作ってある点は、従来一般の土壁と基本的に変わりはないが、本発明の場合、前記継ぎ材2として、米を包んでいる籾殻をそのままではなく酸素の供給が不完全か又は断った状態で熱分解して得た炭化籾殻2を利用している点が、最大の特徴となっている。
【0010】まず、前記土1は、赤土(粘土)が1に対して山砂を2の割合で配合し混ぜて水を十分に入れ、1年程度寝かしたものを使用する。そして、実際にこの土を工事現場で土壁用に使用する場合には、例えば、約1年寝かした前記土を例えばパワーショベル等の土木機械で掘り起こし、さらに、この土をローラにかけて塊となっている部分をつぶし、土の物理的性状を整える。
【0011】次に、炭化籾殻2の作り方の例について図2に基づき説明する。すなわち、図2に示すように、炭化籾殻2を作る際に使用する加熱炉4は、底が開放され且つ内部に熱源5を入れておくための中空部6を備えている加熱体7と、該加熱体7の中空部6に連通して起立する煙突8と、から構成され、前記加熱体7は上面が中央に向かって上向き勾配に形成されている略方形錐体状をしており、煙突8は加熱体7の中央頂部から起立し、煙突8の周面には煙突内に通じる多数の小孔9が設けてある。そして、加熱体7及び煙突8はいずれもブリキにて形成されている。この加熱炉4を用いて炭化籾殻2を作る場合には、まず、加熱体7の中空部6内に薪10を入れた状態で火を付けた後、加熱炉4を中心として周りに堆く籾殻11を置く。この際、煙突8の先端は堆く積まれている籾殻11から飛び出ている状態にしておく。
【0012】このようにすれば、中空部6内で燃える薪10を熱源5として加熱体7及び煙突8は加熱されていくが、この加熱体7及び煙突8の周りには籾殻11で密閉状態となっていて放熱されないので、加熱体7及び煙突8における加熱温度が高くなり、その熱を受けて周りの籾殻11が順次広がるようにして燻り出す状態となる。そして火の手が上がったらその部分に上から籾殻をその都度被せて酸素の供給を遮断して燻り状態を維持しつつ全体の籾殻11を炭化籾殻2となるようにする。
【0013】次いで、糊3は海草糊を使用し、本実施形態例では海草のうち角又を炊いて1〜20%の液濃度にしたものを用いる。
【0014】このようにして作った土1は布袋に詰め、さらに炭化籾殻2及び角又の糊3はそれぞれ各袋に詰めて工事現場へ運ぶ。工事現場では、まず袋から炭化籾殻2を出してミキサーに投入し、次いで投入した炭化籾殻2と略同じ容積量の土1を同様にしてミキサー内に入れて両者をよくかき混ぜる。そうすると、炭化籾殻が粒状形態であることから土1の中に略均一に分散するとともに、炭化籾殻における半楕円球状の凹部12まで土1が入り込んで土1に良くなじんだ状態となる。尚、土1と炭化籾殻2の容積比割合については、土1の割合が多いと土壁に亀裂が生じやすくなり、また炭化籾殻2の割合が多いと土壁のボードへの接着性が悪くなり塗りにくくなる。前記のように、炭化籾殻2と土1を良くかき混ぜた後におけるミキサー内の炭化籾殻2及び土1の総量における約1割程度の容積量の糊3を更に入れて良くかき混ぜる。糊3を入れる理由は、土壁に粘りを出し塗りやすくするためであるが、糊3の割合が1割より超えると、土壁としての土が負けた状態になり好ましくない。
【0015】このようにして作った土壁13は、炭化籾殻2が土1の中に平均的に分散し、且つ各炭化籾殻2の半楕円球状の凹部12にまで土1が入り込んで土1と絶妙に一体的に混ざり合っているので、プラスタボードやラスボード等の被塗装面に容易に塗ることができるとともに、炭化籾殻2が土1と土1との結合力を強めて継ぎ材としての役割を十分に果たしている。
【0016】しかも、土壁13中の炭化籾殻2は、炭化することで殺菌されているのでカビや雑菌の発生及び繁殖の原因になる懸念は全くない。
【0017】さらに、土壁中に分散している炭化籾殻2の物性について生の籾殻及び半炭化の籾殻と比較した実験データを以下の表1で示す。
【表1】

【0018】このように実験データに示すように炭化籾殻2は、生の籾殻及び半炭化の籾殻のいずれよりも熱伝導率λの数値及び比熱сの数値が小さくなっている。換言すれば、炭化籾殻2の物性としての断熱性能及び保温性能は、生の籾殻のそれよりは勿論半炭化の籾殻のそれよりも優れている。
【0019】
【発明の効果】以上のように本発明による土壁は、亀裂を防いで土と土との結合力を強固にする継ぎ材として炭化籾殻を使用したので、カビや雑菌の発生及び繁殖の誘因を未然に断つことができ、しかも炭化籾殻による断熱・保温の特性とも相まって健康で且つ快適な居住環境の提供に寄与できる効果を有している。
【0020】また炭化籾殻は、運搬及び取り扱いにも便利であり、土壁による使用により現実に破棄処分に困るほど大量に存在している籾殻の有効利用を図ることができるとともに、コスト的にも極めて安価である。
【出願人】 【識別番号】591022036
【氏名又は名称】島崎 英雄
【出願日】 平成14年2月7日(2002.2.7)
【代理人】 【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
【公開番号】 特開2003−232112(P2003−232112A)
【公開日】 平成15年8月22日(2003.8.22)
【出願番号】 特願2002−31139(P2002−31139)