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【発明の名称】 タイル割付システム
【発明者】 【氏名】福田 明
【住所又は居所】東京都中央区銀座八丁目21番1号 株式会社竹中工務店東京本店内
【氏名】森 元一
【住所又は居所】東京都中央区銀座八丁目21番1号 株式会社竹中工務店東京本店内
【氏名】井上 史郎
【住所又は居所】東京都中央区銀座八丁目21番1号 株式会社竹中工務店東京本店内
【氏名】岩井 明徳
【住所又は居所】東京都中央区銀座八丁目21番1号 株式会社竹中工務店東京本店内
【課題】視覚的に認識しながら且つマウスのみでの調整が可能で、迅速なタイル割付条件の設定を行えるタイル割付システムを提案する。

【解決手段】CAD画面上で得た建築体の座標データに基づいた平面略図の微調整と、該微調整と連係させたタイル割付計算とを、同じ画面上で、且つ、各因子項目を選択的に指定することにより行って、タイル割付条件を設定する如く構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】CAD画面上で得た建築体の平面図形の頂点座標データと、タイルに関するデータとを予め設定し、前記座標データに基づく平面略図の微調整を、その因子項目を画面上で選択的に指定して行うとともに、前記微調整と連係させたタイル割付計算を、平面略図を構成する各辺に於いてタイル割付条件に関する因子項目を画面上で選択的に指定して行うことにより、タイル割付条件を設定することを特徴とするタイル割付システム。
【請求項2】上記タイル割付条件の設定に際し、伸縮目地位置を除いて設定し、それ以外の調整後の座標データと、各面のタイル割付計算データとをCADに読込み、建築体の設計データにそのタイル割付条件設定情報を付加し、これらデータを元にして画面上で視覚情報として認識しながら伸縮目地位置を決定する請求項1記載のタイル割付システム。
【請求項3】上記平面略図の微調整が、平面略図を構成する一辺を、該辺と隣接する二辺を通る直線間に、平行移動させるとともに、平行移動させた一辺両側の各頂点の移動量から移動後の平面略図座標を算出し、該座標を元に平行移動させた一辺及びその両側の二辺の変化を算出する微調整である請求項1又は請求項2のいずれかに記載のタイル割付システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はタイル割付システムに関する。
【0002】
【従来の技術】建物へのタイルの付設に際し、タイル割付計算を行っている。従来のタイル割付計算の際、決定しなければならない要素には以下のようなものがある。
■タイル貼り面の大きさ(平面長さ及び高さ)
■タイルの大きさ(標準平物、役物)
■タイル目地の幅■伸縮目地の幅■伸縮目地の位置■端部(出隅、入隅)のタイルの納め方(役物、切物、目地)
【0003】これらの条件で予め確定できるものはタイルの大きさで、それ以外はタイルを貼る建物の部分ごとに検討・計算する必要がある。従来の割付計算は電卓計算か表計算ソフトで行っているが、計算の際、上記の諸条件は相互に関連し、条件設定の調整は再計算を要する。また、割付計算の調整では、タイル貼り面の平面長さ変更も行うが、その場合には建物形状から関連する他の面の長さ調整のために、タイル割付計算とは別の処理作業が必要になる。
【0004】この様な要因から、最適な割付計算結果を得るまでの効率をあげることには経験を要し、また、複雑な建物形状では充分な検討が困難な場合も生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した点に鑑みなされたもので、視覚的に認識しながら且つマウスのみでの調整が可能で、迅速なタイル割付条件の設定を行えるタイル割付システムを提案するものである。また、設計段階で不確定な寸法の決定や調整に利用でき、複数面の同時調整が可能であるとともに、建物の窓の位置や壁の位置の調整が可能であり、また、伸縮目地位置の適正位置への配置を容易に行え、パネル割りも可能であるタイル割付システムを提案するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本請求項1発明のタイル割付システムは、上記課題を解決するため、CAD画面上で得た建築体の平面図形の頂点座標データと、タイルに関するデータとを予め設定し、前記座標データに基づく平面略図の微調整を、その因子項目を画面上で選択的に指定して行うとともに、前記微調整と連係させたタイル割付計算を、平面略図を構成する各辺に於いてタイル割付条件に関する因子項目を画面上で選択的に指定して行うことにより、タイル割付条件を設定することを特徴とするタイル割付システムとして構成した。
【0007】また、請求項2発明のタイル割付システムは、上記タイル割付条件の設定に際し、伸縮目地位置を除いて設定し、それ以外の調整後の座標データと、各面のタイル割付計算データとをCADに読込み、建築体の設計データにそのタイル割付条件設定情報を付加し、これらデータを元にして画面上で視覚情報として認識しながら伸縮目地位置を決定する請求項1記載のタイル割付システムとして構成した。
【0008】また、請求項3発明のタイル割付システムは、上記平面略図の微調整が、平面略図を構成する一辺を、該辺と隣接する二辺を通る直線間に、平行移動させるとともに、平行移動させた一辺両側の各頂点の移動量から移動後の平面略図座標を算出し、該座標を元に平行移動させた一辺及びその両側の二辺の変化を算出する微調整である請求項1又は請求項2のいずれかに記載のタイル割付システムとして構成した。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0010】本発明のタイル割付システムは、市販のパソコンレベルのCADシステムと、開発した計算プログラムとを組み合わせて構成している。CADシステムは、割付基本平面図形の読み取り、他種計算データとの整合を確認しながらの伸縮目地位置確定等を司り、また、タイル割付計算プログラムは、割付設定選択、割付計算、割付図形調整などを司る。
【0011】本発明では、まず、CAD画面上で得た建築体の平面図形の頂点座標データと、タイルに関するデータとを予め設定する。CADプログラムのMicroStation(以下、M/Sと呼ぶ)を立上げマクロを起動して画面上に表示されたダイアログを指定し、M/S画面上でタイルを貼る平面図形の各点を指示して閉図形を作成し、データ保存する。この際、最初に基本図面から取得した平面図形の各頂点の座標にその順番で座標点番号が振り付けられ、かつ、各辺も座標点の入力順に先の端点を始点、他方を終点として辺番号が振り付けられる。
【0012】次いで、前記座標データに基づく平面略図の微調整を、その因子項目を画面上で選択的に指定して行うとともに、該微調整と連係させたタイル割付計算を、タイル割付条件に関する因子項目を画面上で選択的に指定して行うことにより、タイル割付条件の設定を行う。
【0013】平面略図の微調整に関し、タイル割付計算の平面方向の長さは、構造躯体の外側に躯体増打量、タイル貼り厚を付加した平面形状の各辺の長さになる。タイル割付検討の際にはタイル貼り厚、下地躯体増打等の調整を前提に、その平面形状を変えてタイル割付各面の長さ調整を行う。そこで、微調整に於ける因子項目の画面上での選択的な指定とは、例えば、平面略図を構成する各辺をそれぞれ内外方向へ移動させる移動方向ボタンや、複数種類の移動量を表示してその中から移動量を選択する移動量選択ボタンを設けて、これらの項目を選択することにより自動的に各辺の変化量の計算を行える如く構成したものである。
【0014】図1は画面表示された平面略図1と、タイル割付計算用の各面割付計算ダイアログ2の一例を示し、平面略図1には、初期閉図形を基準に外側を+内側を−で移動量を表示し、マウスでクリックするとその面が移動可能な状態となる移動量表示ボックスaを各辺に設け、また、マウスでクリックするとその面と両側計三面の計算が右の三つのダイアログ2に表示される面番号ラベルbを各辺に設けている。
【0015】平面略図1は、割付面移動ダイアログ3により画面上で因子項目を選択的に指定して微調整される。該ダイアログ3は、図2に拡大図で示す如く、面番号ラベル及び移動量表示ボックス同士が重なった場合に位置調整をする表示調整ボタン4と、方向制限を行う方向制限ボタン5と、面番号表示6及び移動方向ボタン7,7と、移動量選択ボタン8とを備え、移動方向ボタン7により移動する方向(閉図形に対し外側・内側)を、移動量選択ボタン8により移動量(図示例では5mm・1mm・0.1mm )を選択して実行する。また、平行移動後の平面図形の各辺の長さはリアルタイムにタイル割付計算に自動的に反映され、具体的には後述する面の長さ表示に調整後の数値が表示される。
【0016】平面略図の微調整の具体的一例として、本発明では非直角多角形の閉図形の調整に対応するために、平面略図を構成する一辺を該辺と隣接する二辺を通る直線間に平行移動させるとともに、平行移動させた一辺両側の各頂点の移動量から移動後の平面略図座標を算出し、平行移動させた一辺及びその両側の二辺の変化を算出する方法をとっている。
【0017】図4に示す如く、平面略図を構成する一辺を、その両側の二辺を通る直線間に距離Lだけ平行移動させた際、移動前の頂点P0の座標を(x,y)とすれば、移動後の頂点P1の座標(x+dx,y+dy)を例えば下記の式を利用して算出する。
dx=L*Cos(k1)/Sin(k−k1)
dy=L*Sin(k1)/Sin(k−k1)
※ここでkは移動する面の角度,k1はその面と交差する面の角度,Lは平行移動量であり、閉図形の外側に移動は正、内側に移動は負を示す。
【0018】同様に一辺の他の頂点の移動量を計算し、これら一辺の両側の頂点の移動量から移動後の平面略図座標を算出し、該座標から移動後の一辺及びその両側の二辺の変化を算出し、この算出値をタイル割付計算に連係させる。
【0019】タイルの割付条件は(タイル貼長さ)=(タイル長さ)×(タイル枚数)+(目地幅)×(目地本数)
を基本とし、どんなケースでもタイルの種類、目地の種類を数種組み合わせた一次方程式で表すことができる。タイル割付計算は、この式の何を与条件とし、何を解とするかを切り替えて計算し、その中でもっとも適切な条件の組み合わせを適正解とする作業となる。本システムの割付計算ダイアログでは、計算の解に(タイル目地幅),(伸縮目地幅)、(端部タイル切物長さ)のいずれかを選択する切り替えボタンを設け、その時点の他の項目設定を与条件として自動計算を繰り返す。切り替えは随時可能でリアルタイムに計算結果を表示する。尚、計算の解は必ずしも上記したものに限定されず適宜選択して採用することができる。
【0020】また、初期計算は基本条件に近い目地幅になるよう実行されるが、その後の条件設定変更に対し適正さを評価する機能は備えていない。計算結果のどれを適正として採用するかは操作する人の判断に依存する。但し、誤った組み合わせの設定にはメッセージ、又は赤色表示で注意を促す(例えば、同じ端部納まりに入隅納まりの目地と出隅納まりの役物タイルを組み合わせた場合等)
【0021】図示例に於ける各面割付計算ダイアログ2は、隣接する三面を選択的に表示できる如く三つのダイアログを設けており、各ダイアログの一例を図3に拡大図で示すと、それぞれ平面図形の面番号表示9、面の長さ表示10、自動計算の調整項目の切り替えボタン11、端部条件選択リスト12としての目地種類選択ボタン12a、タイル種類選択ボタン12b 、切物長さ表示12c 、タイル数の増減ボタン13、タイル目地幅表示14、タイル目地数表示15、伸縮目地数表示16、伸縮目地幅表示17、計算結果の割付式表示18等を備えている。
【0022】この様にタイル目地幅、伸縮目地幅、端部切物タイル長さのいずれかを調整項目にしておくことで、他の条件(タイル貼り面長さ、タイル枚数、伸縮目地本数、端部タイル長さ等)が変わると調整項目を計算し直す。図1に於いて自動計算の調整項目としてタイル目地幅表示14を選択しており、また、各数値は初期値が表示されている。この場合のタイル目地幅を適正にすべく、タイル数増減ボタン13や端部条件選択リスト12、伸縮目地数表示15や伸縮目地幅表示16を適宜選択することにより、好ましいと思われる割付式表示18を導き出す。全ての面に関しこれらの操作を繰り返し、設定された平面略図の各辺の割付式を用いて、平面全体のタイル割付の適正さを判断する。
【0023】また、本発明の一例として、この時点で伸縮目地位置は設定しておかず、それ以外の調整後の座標データと、各面のタイル割付計算データとをCADに読込み、建築体の設計データにそのタイル割付条件設定情報を付加し、これらデータを元にして画面上で視覚情報として認識しながら伸縮目地位置を決定する。尚、この時点までに伸縮目地位置を設定することも当然可能である。
【0024】更に説明すれば、CADの自動処理機能を利用して他図面との整合を確認しながら伸縮目地を配置する。伸縮目地を配置する時点では、タイル枚数、目地幅等の他のタイル割付条件が決定されており、何枚目のタイルの次に伸縮目地を置くかをCAD上で検討する。始端からn本の伸縮目地端までの長さの関数f(n)を設けf(0)=始端部長さ(目地,切物,役物等の条件による長さ)とするとf(n)=f(n-1)+[タイル長さ] ×[タイル枚数]+[タイル目地幅]×[タイル枚数-1] +[伸縮目地幅]
という式が成り立つ。
【0025】操作者が、CADデータ上で伸縮目地を設ける位置を大まかにマウスで指定すると、自動処理機能ではその点の近くで上記の式が成り立つ座標位置に伸縮目地の形状を作図する。また、この際、開口位置、内部間仕切位置との関係を確認することもできる。
【0026】上下のタイルが揃うイモ目地貼りと、半枚分ずれるウマ目地貼りの両方の対応として、イモ目地貼りの場合は一段分のタイル割付で、両端部の役物、切物等の条件を設定すれば、後は標準タイルの間に伸縮目地を割り込むことで計算結果を得ることが可能である。
【0027】ウマ目地の場合は端部及び伸縮目地部を貼りパターン各2パターンづつ用意したユニットとして扱うことで処理を単純化し、上記の割付条件式の応用で解を得ることを可能にしている。ウマ目地の場合、上下2段で半枚分でタイルがずれるため、伸縮目地部で2種類のタイル設定が存在する。そこで、伸縮目地部両側の貼りパタンーを2パターンのユニットとして扱い、その組み合わせを選択することで割付を計算する手法をとった。
【0028】尚、図5は、本発明タイル割付システムのフローチャートを示す。
【0029】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明のタイル割付システムは、既述構成としたことにより、画面に表示したひとつのフォーム(書式)上で割付図形と計算設定の両方の調整を連係して行うことで、視覚的に認識しながら、かつマウスのみで調整が可能で、詳細な調整を直感的に行うことができる。また、建物全体として(複数面の)タイル割りを判断できるため、その点からも良好タイル割付条件の設定を行うことができる。
【0030】また、請求項2発明のタイル割付システムは、タイル割付条件設定後に伸縮目地位置のみを画面上で決定するため、開口部や誘発目地位置との適合性の調整をしながらの位置決定を行え、迅速にしかも適切な伸縮目地位置の設定を行えるものである。また、画面上に窓の位置・大きさ等を表現できるため、それらを考慮してタイル割付条件の設定を行える利点も兼ね備える。
【0031】また、請求項3発明のタイル割付システムは、対象となる平面略図が非直角多角形の場合であっても対応できるため、複雑な構造の建物に対しても迅速で正確なタイル割付条件の設定が行える。
【出願人】 【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区本町4丁目1番13号
【出願日】 平成13年9月26日(2001.9.26)
【代理人】 【識別番号】100068157
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 良夫 (外1名)
【公開番号】 特開2003−97008(P2003−97008A)
【公開日】 平成15年4月3日(2003.4.3)
【出願番号】 特願2001−293080(P2001−293080)