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【発明の名称】 |
波浪退避型海洋深層水簡易取水システムと事業化モデル |
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【氏名】吉原 進 【氏名】迯目 英正 |
【課題】海洋深層水は、富栄養、ミネラル、清浄、低温、熟成など、その有益性が指摘され、一時はブームの感もあった。しかし、海洋深層水商品の割高さ、少なさなど、我々はその利点を享受できないでいる。その原因を考えると、従来の鎧装硬質ポリエチレン管を用いる取水管工事は巨額になるため、民間による事業化の本格的検討さえ困難にし、深層水利活用の実用化、高機能商品の低コスト化(一般化)を妨げていたと言えよう。
【解決手段】従来工法と簡易取水工法の工事費の差は大きく、民間による事業化では大きな要因になる。また、簡易取水工法による低コストによってはじめて段階整備が効果的となり、余計な取水や投棄を避け環境負荷低減とともに、取水コストの大幅な縮減により民間ベースでの事業の可能性が開ける。加えて、深層水の需要構造に応じた宅配システムにより、真に海洋深層水の便益を利用者が享受できることになる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】取水管にソフトパイプや硬質ポリエチレン管(随所にユニバーサルジョイントで接続)を使用し、パイプが軽量、フレキシブルであることを利用して、中が空の状態で設置個所まで海上を曳航し、パイプ内に水を充填することで取水管を沈設・敷設し、台風の波浪などで重大な影響をうける浅海域のパイプを、その影響を受けない海域に水没させて波浪の影響を退避し、影響が無くなった後、退避部分を海底部より取り上げ、ポンプ室に接続することにより、台風などを対象とする耐波設計を施さない状態で、安定した水量、水質の稼働をさせうるようにした取水システム及びその工法。 【請求項2】パイプ内に気泡が生じ、通水能力が低下することに対し、取水管が軽量かつ海底埋設していないことを利用し、取水管端部を持ち上げ、中の気泡を外部に放出する工法。 【請求項3】パイプ内に気泡が生じ、吸水能力が低下することに対し、海底勾配急変部などでエアーバルブなどによる空気抜装置を設け、ここで海底より上がってくる空気を排出する工法。 【請求項4】前述海底勾配変化部などに水中ポンプを設け、水圧を利用し取水量の増加と、パイプ内の気泡を圧送・排出する工法。 【請求項5】1項におけるパイプの敷設作業時、退避作業時、復帰作業時、2項におけるパイプ内気体排除作業時に、引っ張りや捻れ等により損傷を受けないようにパイプを補強し、海底における転倒や移動を防ぐための防護具をかねた重錘を付け、復帰時の助けとなる検索ワイヤーなどを装備したパイプシステム及び前述の各装具。 【請求項6】先端にオリフィスを付け整流させることで抵抗を減じ、防護ネットで魚など異物の混入を避けた取水管。 【請求項7】本工法により取水コストが従来に比べ大幅に安価になることを利用し、配水し易い箇所での取水など、従来取水適地とされてこなかった箇所を含め、取水地点、深度の多様性を確保することや、海洋深層水の需要にあわせた取水施設の段階整備で、環境負荷を低減した、機動的で、多様な海洋深層水事業を可能とする深層水取水・利用ビジネスモデル。 【請求項8】海洋深層水の原水・脱塩水・濃縮水を、水道水感覚で使えるように、個々の家庭・事業所に配送する際、商品の種類が限定され、配送基地が一定で、配送先が継続することを利用し、従来に比べ格安で宅配することを可能としたビジネスモデル【請求項9】前述低コストの取水と宅配による海洋深層水の事業化により、商品開発等利活用者に原水を低価格で潤沢に供給し、海洋深層水利活用商品の研究開発を促し、もって地域振興を計るビジネスモデル |
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】海洋深層水の取水工事から、原水・脱塩水・濃縮水の販売に至る、工法及び事業化のモデルである。 【0002】 【従来の技術】(1)代表的工法これまで実用化されている深層水取水システムは、図1に示すように、鉄線や鉄板で補強したパイプなど十分な強度を持つ特製の硬質パイプ(一般に鎧装パイプと言われる)を用い、波浪の影響を受けやすい浅海域では、予め掘削された海底に設置し、埋め戻すことによって構築されていた。この方式では、特製パイプそのものが高価で、海中、海底での作業量も多く、取水システムとして高額になり、利用可能性の大きい海洋深層水の実用化を妨げていた。また、環境への影響も危惧される他、近い将来、撤去回収作業に膨大な作業、コストを伴うことになる。 【0003】(2)簡易取水方式これまでの方式が高額になる理由の一つは鎧装硬質パイプなど特殊なパイプを使用するところにある。農業や建設現場で普通に使われるパイプ(ソフトパイプといわれる)やポリエチレン管を用いて施設費の低減を計った例もあるが、この方式はパイプ強度が小さいことから、波浪の影響をうける浅海域では厳重な耐波処置を必要とし、結果、低コストになっていない。 【0004】(3)洋上取水方式浅海域での管敷設を伴わない洋上取水方式では、図2に示すように、ブイ又は船舶による間歇取水運搬方式がある。 ブイ式では、■撤収が困難(巨大アンカー)、■漁業や船舶航行に影響、■台風の影響、また、船舶式では■取水準備に時間がかかる、■連続取水が困難などの難点が上げられ、共通して、■深層水の低温性が犠牲になる等の難点がある。 【0005】(4)海外の事例深層水の先進国、アメリカ合衆国(ハワイ)やノルウェーの取水方式は特殊パイプによる海底掘削埋め戻し方式で構築されている。高価になる取水経費を、大量汲み上げと多角利用で相対的に低下させ、経済性を維持しているにすぎない。このように従来技術では、水質に影響を与えず、安定した取水を、低廉で可能とするに至っていない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、以下の課題を解決し、水質に悪影響を及ぼさず、取水コストを低減させ、利活用事業者に安価な海洋深層水を潤沢に提供することで、広く海洋深層水の便益を享受できることを目的としている。 (1)安い取水工法の提案(2)その際生ずる波浪や空気排出などの対策(3)不要な取水を避け、環境に配慮し、経済的な取水施設の段階的整備(4)海洋深層水を消費者に安価に届ける宅配システム【0007】 【課題を解決するための手段】取水施設が置かれた海洋あるいは海岸に、勢力の大きな台風が通過する際の波浪や冬季の低気圧による波浪が取水パイプに甚大な影響を及ぼすことは周知のところで、通常はこの影響に耐えうるように厳重な基準を満たすことが要請され、強固な施設が設計、施工されている。結果として、膨大な経費が必要とされる。ここで、甚大な影響を及ぼす波浪の発生頻度は、特定海域や海岸に限れば、それほど多くはない。膨大な施設費を費やす代わりに、この期間は所定の機能が果たされないことを容認できれば、簡単な施設設計が可能になる。操業ロスと経費を勘案すれば、本案の退避を前提とするシステムは一つの技術的選択となりうる。 【0008】この際、以下に示す方法などにより、工事費が低廉なことに加え、退避や復帰の作業の簡便さや確実さが保証され、復帰後の品質が保証されていなければならない。また、この小規模取水での低コストにより、段階整備が現実的に可能となり、加えて、海洋深層水の需要特性に応じた宅配システムで、補助金に頼らない事業化を可能ならしめ、真に利用者の便益に資することが出来る。 【0009】 【発明の実施の形態】(1)市販されている、安価なソフトパイプやポリエチレン管の活用本システムで使用するパイプは、丈夫な管の使用を妨げるものではないが、用途が限定された特注品ではなく、安価で大量に供給されている市販のもので十分である。 【0010】(2)簡単に敷設でき、安全性、耐久性を有すること敷設に当たっては、図3、4、5に示すように、海底の掘削作業は不要となる。したがって埋め戻しも不要である。ただし、作業時に海上に伸延するパイプシステムに強い力が働き、ソフトパイプの場合、パイプが絞られて内径が細くなることは、取水可能量を極度に小さくするので、(5)項に述べる工法により、避けねばならない(取水量確保、負圧抵抗力維持のため)。また、通常の波浪により、海底面上でパイプシステムが転倒し、移動することは、パイプにねじれを発生させ、またパイプの摩耗を促進するので、(5)項に述べる工法により、避けねばならない。また、ポリエチレン管の場合、ソフトパイプに比べ管の強度は高くなるが、退避時などに必要な柔軟性を確保するため、随所にユニバーサルジョイントを設ける必要がある。 【0011】(3)台風時等の退避台風等大波浪の襲来が予想されるときは、図6、図7、図8に示すように、パイプのポンプ側において密閉蓋を施し、パイプ内部に清浄な海洋深層水を閉じこめた状態で、ポンプより取り外し、この部分を小型船舶で退避水深附近にまで曳航して、時間的余裕があるときは固定部ホースに対してU型に、危険切迫の際はL型になるような位置で水没させ、放置しておく。 【0012】(4)台風等通過後の復帰波浪が治まって取水作業を再開するには、図10に示すように、退避領域に水没している退避パイプを探索ケーブルなどにより探索し、船上に引き上げ、これをポンプ室まで曳航して、密閉蓋を取り外しのうえ、ポンプに接続する。パイプ内には前回取水した海洋深層水が満たされているので、表層水による汚染を防げて、早期に新鮮な海洋深層水の取水作業が可能となる。なお、表面水に汚染された場合は、パイプ内部の清掃のために、相当量の海洋深層水汲み上げを必要とすること、その大量の深層水は未使用のまま海域に戻さねばならないが、この場合、表層水に与える負荷が大きくなるので避けねばならない。 【0013】(5)柔らかいパイプの機能を維持すること作業効率をよくするため、以下に示す方法により、パイプは柔らかい機能を維持させる。 ■引っ張り強度を補い、絞り変形を防止するため、パイプに沿ってワイヤーで補強する。(図8参照) ■パイプのねじれを防止するため、浅海部にあるパイプに、図9にあるような、退避・復帰作業を妨げない程度の、直付けアンカーを取り付ける。(図8参照) ■復帰時に退避部の探索を容易にするため、小さな浮体を付けた長めのワイヤーを添付しておく。(図8参照) ■浅海域にあるパイプが小さな波浪や潮流で移動してパイプを摩耗させないように、踏ん張りの効果のある、分散直付けアンカーを用いる。(図9参照) 【0014】(6)パイプ内の気泡の排除パイプ内に気泡が発生した場合、通水能力が落ちることが考えられる。この場合、本パイプが軽量、フレキシブルなことを利用し、小型船舶などによりパイプの端を持ち上げるようにすれば、気泡を排除できる。 【0015】(7)空気抜き装置による気泡の排除一般に海底は水深数十m程度で急勾配になる。急勾配部ではパイプ縦断線形に凸部が出来にくく、空気が貯まるのは浅海域の凸部となる。そこで、図11に示すように、海底勾配急変部に空気抜き装置を設けることで、海底より上がってくる空気を排出することができる。空気抜き装置は水道用エアーバルブなど市販のもので対応できる。また、空気抜き装置前後はユニバーサルジョイントを設け、敷設時の調整や変位に対応する。 【0016】(8)水中ポンプによる取水量の増加と気泡の排除前述海底勾配急変部に水中ポンプを設けることで、地上部からの吸水に比べ、設置地点の水圧を加えた水頭で吸水、圧送することが出来る。この場合、管路の凹凸が生ずる浅海域は圧送することになり、空気排出も可能となる。 【0017】なお、水中ポンプは、地上基地から遠くなると送電の際の電圧低下により、経済性から現実的でなくなるが、海底勾配変化部に設けることで陸に近く、水頭の増加や空気排出など実用上、十分であることが分かる。水中ポンプは動力に応じ、浅海域に複数直列配置すればよい。 【0018】(9)海洋深層水の水質を維持すること退避時に浅海部の退避部パイプは細菌や微生物の多い表層水域に放置される。パイプ内部が表層水に汚染されることを防ぐため、退避時にはパイプを密閉する栓を添付する。(図8参照) 【0019】(10)維持管理、部分的更新、完全撤去を簡単にすること海底掘削埋戻式はもちろんブイによる洋上式にしても、海洋深層水の取水を停止(操業停止)して撤去する場合、埋戻管やアンカーの撤去に、敷設時と同じ程度か、時にはそれ以上の困難が伴い、膨大な経費が必要となる(深海部にあるため)。本案では、パイプが補強されている上、巨大アンカーを使う必要はないので、洋上から連続的に引き上げ、回収できる。海底部に放置するものはない。船上へのパイプシステムの引き上げが容易なため、損傷しやすい退避部パイプの損傷の有無の点検や、損傷がある場合、これを取り替えることが簡単に出来る。 【0020】(11)需要量にあわせた段階整備一般的に、海洋深層水の需要予測は不確定である一方で、取水コストは大量取水でなければ低減できない。ここでは簡易取水により、小規模の取水でも低コストが可能となることから、当初の少量の需要及びその後の需要の伸びにあわせた小規模施設の段階的整備よって、経済的な投資が行えることになる。需要量に対応した施設整備は、経済的側面のみならず、不要な取水を行わないことで無駄な環境負荷を発生させない。また、本工法では増設工事に既往施設が影響を及ぼさない、管路異常(取水不能)が発生しても施設全体が止まることがないなどの利点が上げられる。 【0021】(12)取水地点(陸上、海底)の多様性確保海洋深層水は場所により、深さにより異なることがいわれている。現在は取水方法の経済的理由で取水地点が決められることとなるが、簡易取水工法により、必要な地点で安価に取水でき、多様性を確保できることになる。 【0022】(13)配水システムの整備海洋深層水は重いため、安く、多く購入したい場合、運搬が負担となる。既往の宅配便では経済的負担が大きいと考えられるが、海洋深層水の配送は所定の配水基地から、同種の商品を多くの固定客に継続的に配送する特徴があり、この特性を生かすことで(一般は集荷・配送先が時間も場所も不特定で、運ぶものの内容、大きさなどもすべて異なる)、輸送コストを大幅に縮減することが出来る。この宅配システムが備わり、常時、ふんだんに使うことが出来て、はじめて、海洋深層水の便益を享受することが出来る。 【0023】(14)海洋深層水による地域振興前述の海洋深層水取水モデル、飲料水の宅配システムにより、補助金に頼らない事業化が可能となる。この事業から生ずる原水・濃縮水などを、利活用事業者に安価に潤沢に提供し、海洋深層水利活用商品の研究開発を促し、もって、その便益を享受し、地域振興を計ることが出来る。 【0024】 【発明の効果】利用可能性が極めて大きい海洋深層水の取水適地が日本には多数存在し、その活用によって新規産業の創出が明らかに容認され、資源弱小国の日本にとって資源や食料問題の切り札になることが期待されているにもかかわらず、本案で問題とするように、波浪対策のための必要とされる膨大な経費の調達難のために、特定の先進地の他は、この産業化による雇用面や所得面の恩恵を受けられないのは望むところではない。 【0025】本案は、台風などの度に退避する間歇取水であるが、従来の洋上取水の間歇取水よりは安定した取水が可能であるし、特殊管の海底掘削埋戻方式の敷設費の数%で海洋深層水の取水を可能とする。なお、本案では激しい波浪が発生するときは取水を停止することになる。しかし、日本近海は台風が接近することはあるが、特定海域に限れば、これによって退避する日数はきわめて限られたものにすぎない。 【0026】本案により、低コスト小規模取水が可能となって、相当規模への段階建設も合理的となり、環境負荷も低減することが出来る。また、海洋深層水の需要構造をとらえた、安価で、安定した宅配システムにより、海洋深層水の便益を利用者が享受することが出来る。 【0027】用語説明(1)ソフトパイプ農業や土木工事現場での取水や排水に使われる、可撓性のあるパイプまたはホースのことで、生産量も多く、価格は安い。市販されているこの種パイプの口径も数十ミリから数百ミリまであり、敷設条件に応じた対応(選択)も可能である。 【0028】(2)ユニバーサルジョイント継ぎ手の一種で、自由に回転・伸縮・ねじれなどを吸収できるものをいう。ここでは、ポリエチレン管は退避作業や空気抜き装置部でフレキシビリティに欠けるため、回転やずれを吸収するために用いる。 【0029】(3)退避領域取水管に作用する外力は岸に打ち寄せる波の周期と波高の影響を受けるが、一般的には、水深50m程度になると影響は小さいとされている。したがって、退避領域として、海底勾配や地形により異なるが、水深30〜50mが目安となる。 【0030】(4)海洋深層水の水質維持海洋深層水の水質そのものは、取水地や取水深度で一定しているものであるが、取水後その水質を維持することが重要である。一般的には、微生物や細菌が少ないのが特徴であるが、本案のように退避時にポンプ室から切り離して、微生物や細菌の多い表面水域(退避水域)に数日間放置しておく間に、パイプ内がそれらに汚染されないことが重要である。本案では退避時にはパイプ端を密閉して表面水域に放置するので、汚染される心配はない。これによって退避・復帰の作業を簡単に行えるほか、復帰後、速やかに取水が可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】500206674 【氏名又は名称】ほつま工房株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年9月13日(2002.9.13) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−176555(P2003−176555A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月24日(2003.6.24) |
| 【出願番号】 |
特願2002−268038(P2002−268038) |
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