| 【発明の名称】 |
土留構造及び土留工法 |
| 【発明者】 |
【氏名】加藤千博 【住所又は居所】東京都渋谷区渋谷一丁目16番14号 東急建設株式会社内
【氏名】吉田眞章 【住所又は居所】東京都渋谷区渋谷一丁目16番14号 東急建設株式会社内
【氏名】三浦正悟 【住所又は居所】東京都渋谷区渋谷一丁目16番14号 東急建設株式会社内
【氏名】無津呂大輔 【住所又は居所】東京都渋谷区渋谷一丁目16番14号 東急建設株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】アンカーの自由長部を短くできる土留構造を提供すること。
【解決手段】アンカー2を配置する土留構造であって、前記アンカーの頭部に緩衝機構11,12,13を設け、アンカーの自由長部21が有する緩衝機能の一部又は大部分を前記緩衝機構に受け持たせたことを特徴とするものである。このため、アンカーの自由長部を従来に比べて大幅に短く出来、削孔長が減少するので経済的である。例えば、前記アンカーの頭部を固定するアンカーヘッド41と該アンカーヘッドを据え付けるアンカー台座42の間に緩衝機構を設けることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】アンカーを配置する土留構造であって、前記アンカーの頭部に緩衝機構を設け、アンカーの自由長部が有する緩衝機能の一部又は大部分を前記緩衝機構に受け持たせたことを特徴とする、土留構造。 【請求項2】前記アンカーの頭部を固定するアンカーヘッドと該アンカーヘッドを据え付けるアンカー台座の間に緩衝機構を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の土留構造。 【請求項3】前記アンカーヘッドを据え付けるアンカー台座本体が緩衝機構を備えたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の土留構造。 【請求項4】前記アンカーヘッドを据え付けるアンカー台座の底部に緩衝機構を設けたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の土留構造。 【請求項5】略水平方向に間隔を置いて配置した支点部材を介して土留壁と略平行に配置した緩衝梁にアンカーの頭部を固定し、アンカーの自由長部が有する緩衝機能の一部又は大部分を前記緩衝梁に受け持たせたことを特徴とする、土留構造。 【請求項6】略水平方向に間隔を置いて配置した支点部材を介して土留壁と略平行に配置した緩衝梁に、アンカーの頭部を固定したことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の土留構造。 【請求項7】前記アンカーを深度方向に間隔をおいて複数段設けたことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の土留構造。 【請求項8】アンカーを配置する土留工法において、土留壁を構築し、前記土留壁の前面を掘削してアンカーを打設し、前記アンカーの頭部にアンカーの自由長部が有する緩衝機能の一部又は大部分を受け持たせるための緩衝機構を配置することを特徴とする、土留工法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、アンカーを配置した土留構造に関するものである。 【0002】 【従来の技術】土留壁bにアンカーaを支保工として配置する土留構造が従来から実施されている。例えば、H形鋼等からなる親杭を所定の間隔で地盤に打ち込み、親杭間に横矢板を配置することで土留壁bを構築する。そして、親杭間に2段に配置した腹起しfに、アンカー台座dを介してアンカーaの頭部を固定する。アンカーaは、設計によって求められた抵抗力が期待できる硬質地盤cにアンカー体部a2を構築する必要がある。また、想定滑り面よりも深い位置にアンカー体部a2を構築しなければならない。このアンカー体部a2とアンカーの頭部の間にはアンカー力を伝達するための自由長部a1が存在する。自由長部a1は地盤に固結されておらず、アンカー力に比例して伸縮する弾性材である。すなわち、同じアンカー力に対する自由長部a1の伸び量は、自由長部の長さに比例して大きくなるため、自由長部a1があまりに短いと、土留壁bが少し膨らんで自由長部a1が少し伸びただだけでも過大な荷重がアンカーaに作用する。その結果、アンカーaが破断したり、アンカー体部a2が抜け出したりするおそれがある。その逆に、アンカーヘッドeにアンカーaを固定するために使用するクサビなどが沈み込んで自由長部a1が少しでも縮むと、アンカー力の抜けが大きい。このため、アンカーの自由長部a1の長さは原則として4m以上にするように各基準、指針(例えば地盤工学会「グラウンドアンカー設計・施工基準,同解説(JGS4101−2000)」平成12年3月,p.100、日本建築学会「建築地盤アンカー設計施工指針・同解説」平成13年1月,p.51など)では求められている(但し、技術的な根拠がある場合を除く)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】前記した従来の土留構造にあっては、次のような問題点がある。 <イ>硬質地盤cが浅いところに存在する場合でも、アンカー力の過敏な変化を緩和させるために、自由長部a1を一定の長さ以上とする。このため、削孔長が長くなり工費及び工期が増大する。アンカー工における工費及び工期は削孔長に比例するため特に影響が大きい。また、自由長部a1の材料費も高くなる。 <ロ>自由長部a1に使用する引張り材は、伸びに対するアンカー力の変化を少なくするためにひずみが大きいPC鋼より線などを使用する。このため、材料の選択の余地が少なく、安価な材料や防食性の高い材料であっても剛性の大きい材料を選択しにくい。 <ハ>アンカーの頭部にロードセルなどの荷重計が予め設置されていない場合は、導入されているアンカー力を確認しにくい。また、荷重計は高価なため設置できる数に限りがある。 【0004】 【発明の目的】本発明は上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、アンカーの自由長部を短くできる土留構造を提供することを目的とする。また、土留壁などが変位又は変形してもアンカー力の変化が少ない土留構造を提供することを目的とする。さらに、導入したアンカー力を容易に確認できる土留構造を提供することを目的とする。本発明は、これらの目的の少なくとも一つを達成するものである。【0005】 【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成するために、本発明の土留構造は、アンカーを配置する土留構造であって、前記アンカーの頭部に緩衝機構を設け、アンカーの自由長部が有する緩衝機能の一部又は大部分を前記緩衝機構に受け持たせたことを特徴とするものである。このため、アンカーの自由長部を従来に比べて大幅に短く出来、削孔長が減少するので経済的である。ここで、前記アンカーの頭部を固定するアンカーヘッドと該アンカーヘッドを据え付けるアンカー台座の間に緩衝機構を設けることができる。また、前記アンカーヘッドを据え付けるアンカー台座本体またはその底部に緩衝機構を設けてもよい。さらに、略水平方向に間隔を置いて配置した支点部材を介して土留壁と略平行に配置した緩衝梁に、アンカーの頭部を固定することもできる。また、これらの緩衝機構を適宜組み合わせて配置することで、広い範囲で調整することができる。そして、本発明の土留工法は、アンカーを配置する土留工法において、土留壁を構築し、前記土留壁の前面を掘削してアンカーを打設し、前記アンカーの頭部にアンカーの自由長部が有する緩衝機能の一部又は大部分を受け持たせるための緩衝機構を配置することを特徴とする方法である。 【0006】 【発明の実施の形態1】以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態1について説明する。 【0007】<イ>適用条件本発明は、地盤条件が比較的よく、アンカー力に抵抗するためのアンカー体部22を設ける硬質地盤5が浅い位置にあるような地盤に適用するのが好ましい。例えば比較的浅いところから固結シルトのような自立する地盤が見られる地盤がこれに相当する。すなわち、想定滑り面が深い場合など、他の要因で自由長部21を長くしなければならない場合には、本発明を適用する必要性は少ない。逆に、自由長部21に緩衝機能のみを求めるような場合に本発明を適用すれば、その効果は大きくなる。 【0008】<ロ>緩衝機構11緩衝機構11は、土留壁3が変位又は変形するなどしてアンカー2を固定するアンカーヘッド41などを介して新たな力が作用した時に、その力のアンカー2への伝達を和らげるために配置する機構である。例えば、緩衝機構11として弾性体が使用できる。弾性体には、例えばワッシャ−タイプのばね、中央部が膨らんだ板状の皿ばね、コイルばね、直径方向に伸縮するように配置する円筒状のばね、ゴム板と鉄板などを重ねたものなどやこれらの幾つかを組み合わせたものが使用できる。これらの材料は、何れも新たな力が作用すると縮み、力が開放されると開放された分だけ伸びる。なお、力の作用と変形の時間的な関係は、即応するものでなくてもよく、粘弾性材料であってもよい。また、大きな荷重に対しては一部、塑性変形するような材料も使用できる。また、場合によっては緩衝機構11には所定以上の荷重に対して塑性変形するような材料も使用できる。新たな力の作用によって緩衝機構11が塑性変形し、土留壁3の膨らみ分の変位を吸収できれば、結果的にアンカー2には新たな力が作用しないためである。例えば、土留壁3が膨らむ場合にのみアンカー力を効かせればよいときや、衝撃的に弾性範囲を超えるような大きな力が作用してもアンカー体部22が地盤から引き抜けることを防ぎたい場合などに使用できる。 【0009】<ハ>緩衝機構の配置実施の形態1では、緩衝機構11をアンカーヘッド41とアンカー台座42の間に配置する。アンカーヘッド41は、アンカー2の頭部を固定するための部材である。アンカーヘッド41は自由長部21を構成するアンカー2の引張り材の種類によって異なる。例えば、PC鋼より線を引張り材に使用する場合は、クサビを介してアンカー2をアンカーヘッド41に固定する場合が多い。また、PC鋼棒を引張り材に使用する場合は、アンカーの頭部にネジ溝を刻んでナットタイプのアンカーヘッド41を使用する場合が多い。アンカー台座42は、アンカー力を土留壁3に無理なく伝達させるために配置する台座で、例えば斜めに打設したアンカー2に直交する面が形成されるような台座を使用する。アンカー台座42は鋼材、鋳物などで製作する。アンカー台座42は、例えば2段の腹起し31間に架け渡すように配置する(図2参照)。 【0010】<ニ>作用緩衝機構11を設けた本発明の土留構造では、アンカーの自由長部21を従来に比べて短くすることができる。例えば、掘削するに従って土留壁3が掘削側に膨らんできた場合、緩衝機構11が最初に縮む(縮み量δ)ことによって、土留壁3の変位を吸収する(図2参照)。このため、過大な力がアンカー2に作用することがない。逆に、土留壁3が地山側に倒れると、緩衝機構11が伸張してアンカー力が抜けることがない。また、アンカー力は一旦、緩衝機構11に作用するため、緩衝機構11の変位を測定すれば、容易に設置したすべてのアンカー力を測定することができる。このように自由長部21を短くできれば、削孔長を大幅に削減できる。また、隣地境界が近い場合にもアンカー2を打設することができる。また、アンカー長が短ければ、鋼棒のような巻き取りのできない材料もアンカー材料として容易に使用できる。さらに、自由長部21に剛性の大きい引張り材を使用することもできる。例えば直径の大きな鋼棒や炭素繊維などを使用することができる。この結果、アンカーに使用できる材料の選択の幅が広がる。 【0011】 【発明の実施の形態2】以下、図3を参照しながら本発明の実施の形態2について説明する。なお、実施の形態1と同様の内容については説明を省略する。 【0012】<イ>緩衝機構12実施の形態2では、緩衝機構12をアンカー台座42の底部に設ける。例えば、腹起し31の間隔を通常の土留構造より広くして、鋼板などの板材を重ねて構成した緩衝機構12を腹起し31間に配置する。複数の板材を重ねて使用した場合、同じ厚さの一体の板材に比べて大きく撓ませることができる。アンカー台座42に最も近い板材は、アンカー台座42と一体に成形してもよい。 【0013】<ロ>作用土留壁3が膨らんで変位した場合、アンカーヘッド41を介して緩衝機構12に新たな力が作用する。この力の分だけ緩衝機構12は撓み、図3の2点鎖線で示したような変形をする。この変形が、土留壁3の変位を吸収するため、過大な力がアンカー2に作用することがない。この実施の形態2に、実施の形態1の緩衝機構11を併せて使用することで、緩衝機能の大きさの調節範囲を広くすることができる。 【0014】 【発明の実施の形態3】以下、図4を参照しながら本発明の実施の形態3について説明する。なお、実施の形態1及び2と同様の内容については説明を省略する。 【0015】<イ>緩衝梁13実施の形態3では、緩衝機構を土留壁3の掘削側に配置する緩衝梁13に設ける。例えば親杭32と横矢板33で構成した土留壁3を例にして説明する。親杭32の掘削側の面に、緩衝梁13の変形を見込んだ長さの支点部材34を配置する。支点部材34によって緩衝梁13が土留壁3側に自由に撓む空間が確保される。この支点部材34を支点にして、緩衝梁13を連続梁状に配置する。この緩衝梁13は、通常使用する腹起し31に代わるものであるが、通常の腹起し31より断面剛性が小さい、撓み易い材料を使用する。また、この緩衝梁13は、必ずしも連続梁状に配置する必要はなく、不連続にすることも可能である(図5参照)。 【0016】<ロ>作用土留壁3が膨らんで変位した場合、アンカーヘッド41を介して緩衝梁13に新たな力が作用する。この力の分だけ緩衝梁13は撓み、図4の2点鎖線で示したような変形をする。この変形が、土留壁3の変位を吸収するため、過大な力がアンカー2に作用することがない。この実施の形態3に、実施の形態1や実施の形態2の緩衝機構11,12を併せて使用することで、緩衝機能の大きさの調節範囲を広くすることができる。 【0017】 【発明の効果】本発明の土留構造及び土留工法は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。 <イ>緩衝機構をアンカーの頭部に設ける。このため、アンカーの自由長部を従来に比べて短くできる。自由長部が短くなると、削孔長も短くなり、工費及び工期の短縮に大幅に貢献できる。また、隣地境界が近いなど土留壁からアンカー体部末端までの距離に制約がある場合にも有効である。 <ロ>土留壁などが変位又は変形しても緩衝機構で吸収できる。このため、アンカー力の変化が小さい。 <ハ>緩衝機構を測定することで導入されたアンカー力を確認できる。すなわち、経済的、かつ容易にアンカー力を確認することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000219875 【氏名又は名称】東急建設株式会社 【住所又は居所】東京都渋谷区渋谷1丁目16番14号
|
| 【出願日】 |
平成14年1月15日(2002.1.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082418 【弁理士】 【氏名又は名称】山口 朔生 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2003−206530(P2003−206530A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月25日(2003.7.25) |
| 【出願番号】 |
特願2002−5875(P2002−5875) |
|