トップ :: E 固定構造物 :: E02 水工;基礎;土砂の移送




【発明の名称】 基礎杭施工方法及びこの方法により施工される基礎杭
【発明者】 【氏名】伊藤 政人
【住所又は居所】東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株式会社大林組技術研究所内

【要約】 【課題】過大設計を抑制して経済的かつ効率的な設計施工を実現すると共に、良好な支持力を発現可能な基礎杭施工方法及びこの方法により施工される基礎杭を提供する。

【解決手段】地盤20中に打込まれた若しくは構築された基礎杭31の杭頭32に設置したジャッキ装置40により、前記地盤20または当該基礎杭31が支持する構造物10に反力をとって、当該基礎杭31に対し前記構造物10の完成後荷重以上の載荷を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基礎杭の施工方法であって、地盤中に打込まれた若しくは構築された基礎杭の杭頭に設置したジャッキ装置により、前記地盤または当該基礎杭が支持する構造物に反力をとって、当該基礎杭に対し前記構造物の完成後荷重以上の載荷を行うことを特徴とする基礎杭施工方法。
【請求項2】 前記基礎杭の杭頭に固設され杭頭端面より上方に突出する棒状体コネクタのうち前記杭頭端面からの突出部位をサヤ管に収め、前記ジャッキ装置の稼動に先立って前記構造物に接続することを特徴とする請求項1に記載の基礎杭施工方法。
【請求項3】 請求項2に記載の方法に用いられる基礎杭であって、基礎杭の杭頭に固設され杭頭端面より上方に突出すると共にこの杭頭端面からの突出部位をサヤ管に収めた棒状体コネクタと、前記杭頭に設置されるジャッキ装置とを備えたことを特徴とする基礎杭。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、基礎杭の施工方法とそれにより施工される基礎杭に関し、特に、基礎杭が支持対象となる構造物を支持する以前に載荷を行う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】軟弱地盤など、直接基礎等では良好な支持が得られにくい地盤においては、上部構造物の重量を的確に下層地盤に伝達して良好な支持力を確保できる杭基礎が施工される場合が多い。この杭基礎を設計するにあたり、例えば杭先端面が担う支持力や杭の周面摩擦が担う支持力といった鉛直支持力を杭毎に考慮して許容支持力を算定する。そしてこの許容支持力に応じて、一つの構造物に必要な杭の本数や配置パターン等を決定している。この場合、前記の構造物の完成後荷重に由来して生じる沈下が当該構造物に損傷等を与えないよう、前記鉛直支持力の極限値(極限支持力)を2〜3の安全率でもって除した値を許容支持力として設計に用いることが多い。こうして設計された杭は打撃、振動、圧入、プレボーリングなどの工法でもって地盤中に打ち込まれ、或いは場所打ち工法でもって地盤中に構築されることになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記構造物完成後において基礎杭が常時負担する荷重は、極限支持力の1/3程度にとどまるから、実際には基礎杭の先端まで荷重が伝達されている状況は少ない。言い換えれば、基礎杭が本来備える支持能力を十分に発揮することが少なく、過大な設計をされた杭基礎がそのまま施工されていたのである。他方、特開平3−90706号公報に示すように、杭の周面摩擦力を反力にとる載荷ジャッキを基礎杭先端に設けておき、これに硬化性圧力流体を圧入することで、当該基礎杭に鉛直下方の載荷を予め行い支持力増加や設計の適正化を図るといった手法も案出されている。しかし実際の施工状況を想定するに、前記載荷ジャッキを杭打設前の打設孔底に予め設置する必要があり、場所打ち工法やプレボーリング工法以外の工法には適用しにくく、また圧力流体を扱う手間やコストが少なからずかかるといった点で改善する余地が存在した。
【0004】本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、過大設計を抑制して経済的かつ効率的な設計施工を実現すると共に、良好な支持力を発現可能な基礎杭施工方法およびこの方法により施工される基礎杭を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は上記目的を達成するためになされたもので、第1の発明は、基礎杭の施工方法であって、地盤中に打込まれた若しくは構築された基礎杭の杭頭に設置したジャッキ装置により、前記地盤または当該基礎杭が支持する構造物に反力をとって、当該基礎杭に対し前記構造物の完成後荷重以上の載荷を行うことを特徴とする。
【0006】第2の発明は、第1の発明において、前記基礎杭の杭頭に固設され杭頭端面より上方に突出する棒状体コネクタのうち前記杭頭端面からの突出部位をサヤ管に収め、前記ジャッキ装置の稼動に先立って前記構造物に接続することを特徴とする。
【0007】第3の発明は、第2の発明に記載の方法に用いられる基礎杭であって、基礎杭の杭頭に固設され杭頭端面より上方に突出すると共にこの杭頭端面からの突出部位をサヤ管に収めた棒状体コネクタと、前記杭頭に設置されるジャッキ装置とを備えたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は本発明の基礎杭施工方法における施工状況を示す図であり、図2は本発明の基礎杭の杭頭付近の構造を示す図であり、(a)はジャッキ載荷前、(b)はジャッキ載荷後の状態を示す。以下、本発明の基礎杭施工方法およびこの方法により施工される基礎杭につき図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態における状況として、例えば、橋梁10の建設工事に伴って橋脚躯体11が構築される状況を想定でき、この状況下で地盤20の状態に合わせて杭基礎30の施工が選択されたとする。
【0009】杭基礎の施工手順としては、支持層や地下水位の位置等の地質状況や地盤強度など地盤20の状態を見極めた上で、既製杭を貫入させるのか場所打ち杭を打設するのか決定する。(a)図で示す基礎杭31が場所打ち杭であるとすれば、例えばアースドリル等の削孔重機でもって地盤20に杭打設孔を穿ち、この杭打設孔に鉄筋籠を建て込んでコンクリートを打設することで形成されるのである。他方、打撃工法、圧入工法および中堀工法などを採用して既製杭を地盤20に貫入させるとしても勿論よい。以下、場所打ち杭を打設した場合や既製杭を貫入させた場合も含めて、基礎杭は地盤20に「構築される」ものとする。
【0010】こうして地盤20中に構築された基礎杭31の杭頭には油圧ジャッキ40とシアコネクター41が設置されている。この設置は基礎杭構築の前後や既製杭の製造前後を問わず、状況に合わせて行うとすればよい。いずれにしても、基礎杭31が地盤20に構築された時点から以降、本発明における“完成荷重以上の載荷”を基礎杭31に加える以前に設置がなされていればよいのである。前記油圧ジャッキ(ジャッキ装置)40は、図2で示すように例えば杭頭32の端面33にベースを埋込固定するものとし、基礎杭31の長さ方向、つまり鉛直下方に向けて適宜延伸する動作を行う。他に、基礎杭31の杭頭32および橋脚躯体11下面におけるコンクリートとの付着性を高める定着鉄筋などの手段を適宜用いることが好ましい。この定着鉄筋は、杭頭32および橋脚躯体11の少なくとも一方との定着に用いると好適だが、施工状況に応じて採用せずともよい。また、シアコネクター(棒状体コネクタ)41は水平力を基礎杭31に伝える役割を担うものであって、基礎杭31の杭頭32に一端を固設され、他端が杭頭端面33より上方に突出すると共にこの杭頭端面33からの突出部位42をサヤ管43に収めた鋼棒等の棒状体である。
【0011】以上のように基礎杭31の構築と、その杭頭32における油圧ジャッキ40等の設置が完了したならば、サヤ管43に収まった前記突出部位42を、前記橋脚躯体11におけるフーチング12の構築に伴い、これに接続する。あるいはこの接続処理を省略して、前記油圧ジャッキ40による載荷処理を開始する。この載荷処理では、油圧ジャッキ40の反力盤40aをフーチング12に当接若しくは固定し、地盤20または当該基礎杭31が支持する橋梁10(含む橋脚躯体11等)に反力をとって、当該基礎杭31に対し前記橋脚躯体11を含む橋梁10の完成後荷重以上の載荷を行う。図2に示すように、(a)図のジャッキ載荷前の状態では、フーチング12の下面と油圧ジャッキ40の反力盤40aの下面とは基礎杭31の杭頭端面33に一致している。一方、(b)図のジャッキ載荷後の状態では、杭頭端面33は、フーチング12の下面および反力盤40aの下面より下方に押し下げられている。つまり、油圧ジャッキ40の鉛直下方への延伸により基礎杭31が地盤20中へより貫入したと言える。この時、前記サヤ管43内の突出部位42は、基礎杭31の下降に伴いサヤ管43内をスライドしている。
【0012】図3は杭にかかる荷重と沈下量との関係について示したグラフであり、(a)は従来方法、(b)は本発明の施工方法の場合を示す。従来の施工方法によれば、(a)図に示すとおり、設計荷重(上記許容支持力に対応する)は、基礎杭31がもともと対応可能である極限荷重の1/3程度となっていた。一方、本発明においては、フーチング12や橋脚躯体11といった構築済み躯体の荷重に加えて、完成後荷重以上の荷重を基礎杭31に載荷することで、構造物完成後に生じるであろう沈下を予め生じさせた上で設計荷重を設定することが可能である。よって、極限荷重に近い荷重値を設計荷重とすることができる。もちろんその結果、構造物(橋梁10)完成後の沈下量が抑制されることにつながる。
【0013】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の基礎杭施工方法およびこの方法により施工される基礎杭によれば、基礎杭が本来備えている支持能力を限界近くまで発揮させる形で十分な支持力を確保可能な施工を行うことができる上に、この施工に先立つ設計時においても過大設計を抑制する効果を奏する。また、場所打ち工法やプレボーリング工法といった杭打設孔を予め設ける工法だけでなく、打撃工法などの既成杭を地盤に貫入させる工法においても本発明は適用可能であり、幅広い施工状況に確実に対応することが出来る。加えて、本発明の基礎杭を構成するジャッキ装置や棒状体コネクタは杭頭に設けるものであるから、施工の手間がさほどかからずコストも低廉に出来るのである。
【0014】しかして、過大設計を抑制して経済的かつ効率的な設計施工を実現すると共に、良好な支持力を発現可能な基礎杭施工方法およびこの方法により施工される基礎杭を提供可能となる。
【出願人】 【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜東4番33号
【出願日】 平成13年11月22日(2001.11.22)
【代理人】 【識別番号】100071283
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 健輔 (外3名)
【公開番号】 特開2003−155756(P2003−155756A)
【公開日】 平成15年5月30日(2003.5.30)
【出願番号】 特願2001−357583(P2001−357583)