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【発明の名称】 土留め方法及び矢板連結治具
【発明者】 【氏名】服部 恒
【住所又は居所】東京都港区海岸1丁目5番20号 東京瓦斯株式会社内
【氏名】氏家 大介
【住所又は居所】東京都港区海岸1丁目5番20号 東京瓦斯株式会社内
【課題】土留め面に管その他の障害物が存在する場合に、この部分に矢板を施工することができないので、土留め面の規模や土質条件等により、安全面、作業面等に支障が生ずる怖れがある。

【解決手段】土留め面に存在する障害物を横切る矢板を、障害物を除く短尺矢板に形成し、この短尺矢板を隣接する矢板に矢板連結治具を介して係止させて土留めを行う。この矢板連結治具は、隣接する矢板がそれぞれ挿入される2つのU字溝状係止部が面一に逆向きに連接した形状の治具である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 地中掘削ピットの土留めを施工するに当り、土留め面に存在する障害物を横切る矢板を障害物部分を除く短尺矢板に形成し、該短尺矢板を隣接する矢板に係止させて土留めを行うことを特徴とする土留め方法。
【請求項2】 隣接する矢板がそれぞれ挿入される2つのU字溝状係止部を、該係止部が面一に逆向きに連接した形状に、形成してなることを特徴とする矢板連結治具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土留め方法及び矢板連結治具に関する。さらに詳しくは側壁面に障害物がある土留め面を土留めする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】連続する縦矢板を用いた土留めにおいては、土留め面に埋設物(ガス管、水道管等)がある場合、その部分に縦矢板を施すことはできないので、その部分の縦矢板を施工することなくその部分だけ飛ばす形で矢板を施工する。従って、その部分は縦矢板のない歯抜けの状態になるので構造上土留めが不安定になってしまう。特に打ち込み矢板の場合上記歯抜けを避けることはできない。このような縦矢板の歯抜け状態を避けるためには、部分的に土留め面を覆う対策を講ずる必要がある。
【0003】横矢板を用いる場合も縦矢板の場合と同様に障害物のある部分はその横が空いてしまい、連続的に土留め面を被覆することはできない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】土留め面に管その他の障害物が存在する場合に、縦矢板を用いて土留めをする場合にはその障害物の上下の土留め面が裸の面となってしまう。横矢板を用いて土留めをする場合は、障害物の側部が矢板のない裸の面となってしまう。土留め面の規模、障害物の大きさ、土質条件等により、このような裸の面が存在すると、安全性、作業性等に支障が生ずる怖れがある。本発明はこのような土留め面に障害物がある場合に、障害物等の上下面又は両側面等を被覆し、安全性、作業性の確保を図る技術を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、地中掘削ピットの土留めを施工するに当り、土留め面に存在する障害物を横切る矢板を障害物を除く短尺矢板に形成し、該短尺矢板を隣接する矢板に係止させて土留めを行うことを特徴とする土留め方法を提供する。短尺矢板を隣接する普通の矢板に係止させるには矢板連結治具を用いるとよい。
【0006】上記方法を好適に実施をすることができる本発明の治具は、隣接する矢板がそれぞれ挿入される2つのU字溝状係止部を、該係止部が面一に逆向きに連接した形状に形成して構成したことを特徴とする矢板連結治具である。U字溝状係止部とは矩形板をU字形に折曲げて矢板が挿入されるU字溝を形成した部分を云う。係止部が面一とは、2つのU字溝状係止部に挿入された矢板が同一平面をなすようにU字溝状係止部を形成したことであり、係止部が逆向きに連接した形状とは、2つのU字形の部材がU字の底部で互いに連結されU字の開口部が逆向きになっている形状をいう。この連結された結果はH字形断面を形成している。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、例えば、親杭横矢板方式で掘削ピット(溝坑:みぞあな)内の土留めを行う際、掘削ピット内に露出する各種埋設物等の障害物を避けて土留めを行う施工方法である。親杭横矢板方式とは、掘削ピットの壁面にH鋼を一定間隔で配設し、隣接するH鋼間に横矢板を落とし込んで土留め壁を形成する方式である。本発明では土留め面に存在する障害物を横切る矢板を、障害物部分を除く短尺矢板に形成する。この短尺矢板は障害物の大きさや存在形態によって実情に合わせて製作する。この短尺矢板を隣接する矢板に係止させて土留めを行う。このとき矢板連結治具を用いる。この矢板連結治具は、隣接する矢板がそれぞれ挿入される2つのU字溝状係止部を、該係止部が面一に逆向きに連接した形状になるように、互いにU字形の底面で一体化して構成した矢板連結治具である。短尺で形状(幅・長さ)の異なる横矢板を矢板連結治具で取付けることによって、埋設物などの傷害物が横矢板を貫通するスペースをあけた土留めを実施することができる。障害物が貫通するスペースの大きさは任意に変更することができる。この土留め方法は作業も簡単なので誰でも容易に施工することができる。
【0008】以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0009】図5は配管40の改修、切替、取替その他のために掘削ピット1を開削した状態を示す平面図である。両側壁にH鋼31を立設し、横矢板32を矢板掛けした土留め面を形成している。本発明はこのような掘削ピット1の妻面の土留めに係る技術である。図5の妻面を正面から見たA−A矢視図を図6、図7に例示した。図6はこの土留め面を縦矢板33で土留めした状態を示している。管40は縦矢板33を打込み施工する場合に邪魔になり、管40の上方及び下方は矢板のない裸面41となる。図7は親杭横矢板方式の土留め壁面を示すもので、H鋼から成る親杭31を両側に立設し、横矢板3を施工する。この場合、管40のある部分に矢板を配設することはできないので管40の両横面は裸面42となる。
【0010】図1は実施例の土留め壁1を示すもので、上述の従来技術を示す図7と同様の面である。管40の両横には短尺矢板4が設けられ、隣接する上側及び下側の矢板3に矢板係止治具5を用いて係止されている。かくして短尺矢板4によって裸面が被覆され完全な土留め面が形成されている。矢板係止治具5の例を図2〜図4に示した。矢板係止治具5は隣接する矢板がそれぞれ挿入される2つのU字溝状係止部を、該係止部が面一に逆向きに連接した形状に、形成されている。
【0011】図2の例では2枚の矩形状側板52を連結板53によって中央で連結して係止溝51を面一に形成している。図3は矩形状の鋼板を折り曲げてU字溝51を形成した2ケのU字溝板54を溶接55で連結したものである。この例では、予め溶接55によってU字溝板54を連結しておいてもよく、矢板施工時に隣接矢板にそれぞれU字溝板54を単独で嵌めておき、溶接55を現場で行って連結することとしてもよい。図4は分解可能な別の例の矢板係止治具5を分解して示したもので、この矢板係止治具5は雌ねじ(連結部)57を備えた裏板56と、雌ねじ57に螺合するボルト59が貫通する孔を備えた表面板58とから形成され、予め組立てておいてもよく、現場で矢板を土留め面に取付けるとき組み立ててもよいもののである。取付け取外しが容易であるという利点がある。
【0012】以上に述べたように、短尺矢板に2以上の矢板係止治具5を取付けて、容易に安定的に裸面の土留めを行うことができ、作業の安全に寄与するところ大である。なお、以上は横矢板の例について説明したが、もちろん縦矢板にも適用することができる。
【0013】
【発明の効果】掘削ピットに存在する埋設物(ガス管・水道管等)がある場合でも、埋設物の貫通スペースをあけた短尺の矢板を用いて土留め面を覆うことができるので、連続的に土留めを行うことができ、構造的に安定である。そのため掘削ピット内において安全な作業を行うことができる。特に、道路工事現場においては掘削した溝には各種埋設物が多く存在する。本発明によれば現場の状況に合わせて埋設物を避けて簡易に土留めを施工することができることとなった。
【出願人】 【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
【住所又は居所】東京都港区海岸1丁目5番20号
【出願日】 平成13年11月22日(2001.11.22)
【代理人】 【識別番号】100079175
【弁理士】
【氏名又は名称】小杉 佳男 (外1名)
【公開番号】 特開2003−155739(P2003−155739A)
【公開日】 平成15年5月30日(2003.5.30)
【出願番号】 特願2001−357760(P2001−357760)