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【発明の名称】 護岸法覆構造
【発明者】 【氏名】山田 武治郎
【住所又は居所】岐阜県海津郡南濃町上野河戸1055番地 南濃コンクリート工業 株式会社内

【要約】 【課題】施工作業を容易かつ効率的に行うことができる護岸法覆構造を提供する。

【解決手段】護岸法覆構造10は堤防の法面の下端縁に沿って構築された基礎工11上に法面コンクリート工12が構築され、当該法面コンクリート工12の上部に、波返し工13が配置されて構成されている。波返し工13の両側面には止水板28の一端部が埋め込まれている。そして、護岸法覆構造10の施工現場において、波返し工13に止水板28を取付ける作業を行う必要をなくすことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】護岸の法面の下端縁に沿って構築されたコンクリートより予め一体的に成形された基礎工上に法面コンクリート工が設置され、当該法面コンクリート工の上部に、コンクリートにより予め一体的に成形されるとともに、上部側に波返し部が形成された波返し工が設置されて構成され、前記波返し工の両側面に、横方向に隣接する波返し工間から下方へ水が浸透しないようにするための止水板が予め設けられていることを特徴とする護岸法覆構造。
【請求項2】前記法面コンクリート工の両側面に、横方向に隣接する法面コンクリート工間から下方へ水が浸透しないようにするための止水板が予め設けられ、前記波返し工の止水板と法面コンクリート工の止水板とが上下方向に連なるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の護岸法覆構造。
【請求項3】前記波返し工の裏面のフックに連結された連結部材が前記法面上に設けられたベースコンクリートのフックに連結されて、波返し工がベースコンクリートに連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の護岸法覆構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、河川の岸や海岸等における堤防の法面に形成される護岸法覆構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、河川の岸や海岸には護岸用の堤防が設けられ、その水面側の法面には護岸法覆構造が設けられている。この護岸法覆構造は、上記法面の下端縁部に沿って基礎工が延設されるとともに、基礎工から上方の法面の表面には、コンクリートが打設されてベースコンクリートが形成されている。前記基礎工からベースコンクリートのほぼ中間までの間には、法面コンクリート工が平面状をなすように形成されている。
【0003】そして、法面コンクリート工の上端から法面の上端までの間には、上端側が水面側に向かって湾曲した曲面状の波返し部を備えた波返し工が配置されている。これら基礎工、波返し工及び法面コンクリート工は、一般的に、すべてコンクリートからなっている。また、前記波返し工の両側面には、隣接する波返し部の間から下方への水の浸透を防止するための止水板が設けられている。
【0004】この護岸法覆構造の施工方法は、まず、現地において、法面全体を被覆するようにベースコンクリートが打設され、そのベースコンクリートの下端縁に基礎工を設けられる。次いで、基礎工からベースコンクリートのほぼ中間までの間にコンクリートにより予め一体成形された法面コンクリート工が法面に沿って延びるように配置され、さらに、その法面コンクリート工の上端に、コンクリートにより予め一体成形された波返し工が配置され、護岸法覆構造が構築される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の護岸法覆構造において、止水板は、波返し工が施工される現地でそれら波返し工に取り付けられるため、作業効率が非常に悪いという問題があった。
【0006】この発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、施工作業を容易かつ効率的に行うことができる護岸法覆構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、護岸の法面の下端縁に沿って構築されたコンクリートより予め一体的に成形された基礎工上に法面コンクリート工が設置され、当該法面コンクリート工の上部に、コンクリートにより予め一体的に成形されるとともに、上部側に波返し部が形成された波返し工が設置されて構成され、前記波返し工の両側面に、横方向に隣接する波返し工間から下方へ水が浸透しないようにするための止水板が予め設けられていることを要旨とする。
【0008】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の護岸法覆構造において、前記法面コンクリート工の両側面に、横方向に隣接する法面コンクリート工間から下方へ水が浸透しないようにするための止水板が予め設けられ、前記波返し工の止水板と法面コンクリート工の止水板とが上下方向に連なるように形成されていることを要旨とする。
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の護岸法覆構造において、前記波返し工の裏面のフックに連結された連結部材が前記法面上に設けられたベースコンクリートのフックに連結されて、波返し工がベースコンクリートに連結されていることを要旨とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した護岸法覆構造の一実施形態を図1〜図8に従って説明する。
【0011】図1に示すように、護岸法覆構造10は護岸の法面の下端縁に沿って構築された基礎工11上に法面コンクリート工12が構築され、当該法面コンクリート工12の上部に、波返し工13が配置されて構成されている。前記基礎工11、法面コンクリート工12を形成する被覆工16及び波返し工13はコンクリートより予め一体的に成形されている。
【0012】図8に示すように、護岸法覆構造10が構築される堤防の法面14は予め平らな斜面として整地され、その表面には所定厚さとなるようにベースコンクリート15が打設されている。このベースコンクリート15は法面14に沿って斜めに形成され、さらに法面14の上端となる位置においては法面14の斜面から上方へ鉛直方向に沿って延びる垂直面が形成されている。
【0013】図1に示すように、前記基礎工11は底面に敷設されたコンクリートよりなる細長い板状の底部11aと、その底部11aを囲むように立設され、上面が開口されたほぼ四角筒状をなす複数のコンクリート製の支持部11bとを組み付けて構成されている。各支持部11bの法面14側の側壁上部には、段差状に切り欠き形成された係合凹条11cが設けられている。
【0014】また、一対の各支持部11bを隣接するように連結した状態で、一対の支持部11bの相対向する端部同士の間には凹部11dが形成されるようになっている。さらに、図4に示すように、各支持部11bの係合凹条11cには、支持部11bの長さ方向に沿って止水板11eの一側縁部が埋め込まれ、その止水板11eの他側縁部は支持部11bの外面より外方へ突出している。止水板11eの長さ方向における両端縁は、それぞれ支持部11bの各端縁にまで到達している。
【0015】そして、図1に示すように、一対の支持部11bが両者間に凹部11dが形成されるように配置され、一対の支持部11bが図示しないボルト及びナットによって互いに連結されている。このとき、一対の支持部11bが連結されることにより、両支持部11bの長さ方向に沿って一対の止水板11eが連なるとともに、その連なった止水板11eの両端縁は一対の支持部11bの両端縁にまで到達している。
【0016】さらに、各支持部11bの内側及び各支持部11b間の凹部11d内にコンクリートが打設されることによって一対の支持部11bが連結されている。加えて、固定された一対の支持部11b同士は、別の固定された一対の支持部11b同士と図示しない連結バーによって連結されて法面14に沿って基礎工11が構築されている。
【0017】図8に示すように、法面コンクリート工12は、基礎工11の上部側から法面14のほぼ全体に亘ってベースコンクリート15上に平面状をなすように形成されている。この法面コンクリート工12は工場で予め一体成形された被覆工16を、法面14の上下方向へ四段、左右方向へ複数個配置して形成されている。
【0018】前記被覆工16は表面が平面状に形成され、図3(a)に示すように、被覆工16の裏面の両側縁部からは被覆工16の裏面側へ突出する脚部17が形成されている。前記一対の脚部17の相対向する内側面は当該脚部17の先端側へ向かうに従い互いに離間する傾斜面となっている。
【0019】また、図3(b)に示すように、各脚部17には、脚部17の長さ方向に沿って二箇所に連結孔18が穿設されている。さらに、図3(a)、(b)に示すように、被覆工16の両側面、即ち両脚部17の外側面において、前記連結孔18よりも被覆工16の表面側には、各脚部17の長さ方向に沿って止水板19の一側縁部が埋め込まれ、その止水板19の他側縁部は脚部17の外面より外方へ突出している。
【0020】加えて、各脚部17の先端側の外面の中央部には、脚部17の外方へ突出する係止突部20が形成されている。図3(a)に示すように、被覆工16の裏面において、被覆工16の幅方向の中心を通り、同被覆工16の長さ方向に延びる中心線上にはフック30が三箇所に設けられている。
【0021】図1に示すように、上記被覆工16は基礎工11の上端から法面14を被覆するように複数個配置されている。図4に示すように、法面コンクリート工12の下端を形成する位置に配置された被覆工16、即ち、基礎工11の上側に配置された被覆工16の下端部は、基礎工11の係合凹条11cに係合するように切り欠き形成されている。また、基礎工11の上側に配置された被覆工16の両脚部17の下端部には、基礎工11に設けられた止水板11eが嵌入するようになっている。
【0022】そして、図4に示すように、脚部17間に位置する止水板11eが当該脚部17間に打設されたコンクリート内に埋設され、その止水板11eにより、基礎工11と法面コンクリート工12との間の繋ぎ目における水の護岸法覆構造10の裏側への浸透が防止されるようになっている。図5に示すように、被覆工16は隣接する係止突部20の端面同士が面接触するように配置され、さらに、図1に示すように、隣接する被覆工16の表面間には隙間21が形成されている。
【0023】各被覆工16は法面14、即ちベースコンクリート15に対して固定されている。具体的には、図6に示すように、ベースコンクリート15にはフック29がベースコンクリート15の横方向に沿って三箇所に埋め込まれ、フック29はベースコンクリート15の表面に露出するようになっている。
【0024】被覆工16の各フック30及びベースコンクリート15のフック29にはロッド31がそれぞれ連結され、それら両ロッド31の端部には雄ネジ(図示せず)が螺刻されている。そして、連結部材としてのターンバックル32に形成された雌ネジが、各ロッド31の雄ネジに螺合され、そのターンバックル32により両ロッド31が連結されている。さらに、ターンバックル32により両ロッド31が互いに近付くように引き締められ、被覆工16が法面14、即ちベースコンクリート15に連結されている。
【0025】また、図5に示すように、左右に隣接する被覆工16は、対応する連結孔18が位置合わせされた状態で、連結バー23によって連結されている。具体的には、隣接する被覆工16において、一方の被覆工16の一側部の連結孔18と、他方の被覆工16の他側部の連結孔18とを位置合わせした状態で、それぞれの連結孔18に連結バー23が挿通されている。なお、この連結バー23は一端部が脚部17を貫通して被覆工16内に露出し、他端部が連結孔18内に位置するように挿通されている。
【0026】そして、各被覆工16の脚部17の内側に打設されたコンクリートによって、連結バー23の一端部は被覆工16に対して固定されるとともに、他端部は連結孔18内に対して移動可能となっている。上記連結バー23によって、隣接する被覆工16同士は連結され、上下及び左右方向の位置決めができるようになっている。さらに、連結バー23は連結孔18内に対して移動可能となっていることから、温度変化により被覆工16が膨張したり、収縮したりする場合に生ずる被覆工16間の距離の変化に対応することができるようになっている。
【0027】図6に示すように、ベースコンクリート15上に上下に隣接する被覆工16は、脚部17間に打設されたコンクリート間を連結するように埋設された鉄筋24により連結されている。また、図5に示すように、左右に隣接する被覆工16同士の間の前記隙間21はコンクリートが打設されて埋められている。隙間21にコンクリートが打設された状態において、コンクリート内に止水板19が埋め込まれている。
【0028】そのため、その止水板19により、被覆工16の表面側から隙間21内へ浸透した水が脚部17の外面とコンクリートとの間等から下方へ浸透するのを防止するようになっている。そして、被覆工16を連結して形成された法面コンクリート工12の両側面には止水板19が上下方向に連なるように配置されている。前記止水板19により法面14の横方向、即ち左右方向に隣接する被覆工16同士の間、ひいては左右に隣接する法面コンクリート工12同士の間から護岸法覆構造10の下方へ水が浸透しないようになっている。
【0029】また、図8に示すように、隙間21内に打設されたコンクリート内に脚部17の係止突部20が埋め込まれることにより、コンクリートに対して係止突部20が係止することになる。そのため、係止突部20によって、各被覆工16は上下方向への移動が規制されるようになっている。
【0030】図1に示すように、前記法面コンクリート工12の上端部に配置された被覆工16の上側には波返し工13が設けられている。図6に示すように、その波返し工13の上部には水面側が凹むように湾曲形成された波返し部13aが備えられている。そして、法面14に向かって進んできた波は、波返し部13aによって水面側に戻され、波が堤防を越えて陸地に入り込むことを防止するようになっている。
【0031】図2(a)に示すように、波返し工13の裏面には、両側縁から突出された一対の脚部26が備えられるとともに、これら脚部26の内側面は波返し工13の裏面から離れるほど互いに離間する傾斜面となっている。また、図2(b)に示すように、両脚部26には所定間隔置きに複数の連結孔27が穿設されている。さらに、波返し工13の両側面、具体的には両脚部26の外側面において、前記連結孔27よりも波返し部13aの表面側には、各脚部26の長さ方向に沿って止水板28の一側縁部が予め埋設されている。その止水板28の他側縁部は脚部26の外面より外方へ突出している。
【0032】図2(a)に示すように、波返し工13の裏面の上端側には、波返し工13の長さ方向に沿ってフック34が四箇所に埋設され、さらに、それらフック34は波返し工13の上下方向に二段に埋設されている。
【0033】図1に示すように、複数の波返し工13は被覆工16により形成された法面コンクリート工12の上端縁に沿って並列に配置され、隣接する波返し工13同士の表面間に隙間が形成されないように波返し工13の表面側端縁同士が接触している。各波返し工13は法面14、即ちベースコンクリート15に対して固定されている。具体的には、図6に示すように、ベースコンクリート15にはフック35が法面14の左右方向へ4箇所に埋め込まれ、そのフック35がベースコンクリート15の表面に露出するようになっている。
【0034】波返し工13の各フック34及びベースコンクリート15のフック35にはロッド36がそれぞれ連結され、それら両ロッド36の端部には雄ネジ(図示せず)が螺刻されている。そして、連結部材としてのターンバックル37に形成された雌ネジが、各ロッド36の雄ネジに螺合され、そのターンバックル37により両ロッド36が連結されている。さらに、ターンバックル37により両ロッド36が互いに近付くように引き締められ、波返し工13が法面14、即ちベースコンクリート15に連結されている。
【0035】また、図7に示すように、法面14の横方向、即ち左右方向に隣接する波返し工13は、対応する連結孔27が位置合わせされた状態で、前記連結バー23によって連結されている。具体的には、隣接する一対の波返し工13において、一方の波返し工13の一側部の連結孔27と、隣接する別の波返し工13の他側部の連結孔27とを位置合わせした状態で、連結バー23がそれぞれの連結孔27に挿通されている。
【0036】なお、この連結バー23は一端部が波返し工13内に露出し、他端部が連結孔27内に位置するように挿通されている。そして、波返し工13の内側にコンクリートが打設されることによって、連結バー23の一端部は波返し工13に対して固定されるとともに、他端部は連結孔27内に対して移動可能となっている。
【0037】上記連結バー23によって、隣接する波返し工13同士は連結され、上下及び左右方向の位置決めができるようになっている。さらに、連結バー23は連結孔27内に対して移動可能となっていることから、温度変化により波返し工13が膨張したり、収縮したりする場合に生ずる波返し工13間の距離の変化に対応することができるようになっている。
【0038】さらに、隣接する波返し工13の裏面側において、隣接する脚部26同士の間に形成される隙間33にはコンクリートが打設され、そのコンクリート内に止水板28が埋め込まれている。そのため、その止水板28により、法面14の横方向、即ち左右方向に隣接する波返し工13間の表面側から波返し工13の裏面側、即ち護岸法覆構造10の下方へ浸透した水が脚部26の外面とコンクリートとの間等から下方へ浸透するのを防止するようになっている。
【0039】図1に示すように、護岸法覆構造10の全体構造としては、波返し工13の両側面と、法面コンクリート工12の両側面とにはそれぞれ止水板19,28が設けられている。それら止水板19,28は護岸法覆構造10の上下方向に沿って連なるようにほぼ直線状に延びている。さらに、基礎工11の法面コンクリート工12側にも、基礎工11の延びる方向に沿って止水板11eが直線状に連なるように設けられている。そのため、護岸法覆構造10を構築することにより形成される繋ぎ目には止水板11e,19,28が連なって形成されている。
【0040】次に、前記護岸法覆構造10の施工方法について以下に記載する。さて、護岸法覆構造10を構成するには、まず、図4に示すように、堤防の法面14を整地し、平らな斜面とした後、法面14上にベースコンクリート15を形成し、さらに法面14の下端縁に沿って基礎工11を設置する。
【0041】基礎工11を設置するには、まず、予め、工場で成形された支持部11bを、法面14の下端縁部に沿って複数個配置し、左右に隣接する一対の支持部11b同士の間に凹部11dが形成されるように配置する。そして、隣接する一対の支持部11bの端部同士をそれぞれ図示しないボルト及びナットで固定し、さらに、固定された一対の支持部11b同士を図示しない連結バーで連結する。続いて、各支持部11bの内側及び各支持部11b間の凹部11d内に、生コンクリートを流し込むことにより基礎工11が形成される。
【0042】次に、ベースコンクリート15上において、基礎工11の上端側に、当該基礎工11の延びる方向へ沿って被覆工16を複数個配置し、被覆工16の下端部と基礎工11の係合凹条11cとを止水板11eが介装された状態で係合する。次いで、ベースコンクリート15のフック29に連結されたロッド31と、被覆工16のフック30に連結されたロッド31とをターンバックル32により引き締め、被覆工16をベースコンクリート15に連結、固定する。なお、ターンバックル32によるベースコンクリート15と被覆工16との連結固定作業は被覆工16の上端側における脚部17間の開口から行われる。
【0043】続けて、図5に示すように、左右に隣接する被覆工16同士を、連結バー23によって連結する。次いで、図4に示すように、被覆工16の裏面側とベースコンクリート15の表面と、脚部17との間及び左右に隣接する被覆工16間の隙間21にスラリー状の生コンクリートが流し込まれる。そして、被覆工16の上端側にまで生コンクリートが打設された後、その生コンクリートが硬化する前に、生コンクリート内に鉄筋24の一端側を埋設し、同鉄筋24の他端側を被覆工16の上端から突出させておく。
【0044】コンクリートが硬化することにより、法面14上、即ちベースコンクリート15上に被覆工16が一段に連結して形成されるとともに、基礎工11に法面コンクリート工12の下端側が連結される。続いて、上記と同様の作業を行い、一段目の被覆工16の上側に二段目の被覆工16を設置する。
【0045】このとき、一段目の被覆工16の脚部17間に固定された鉄筋24の他端側が二段目の被覆工16の脚部17間に打設されたコンクリート内に埋設され、上下に隣接する被覆工16が鉄筋24により連結される。そして、上記作業を繰り返して、法面14上のベースコンクリート15のほぼ全体に被覆工16を四段に設置して法面コンクリート工12を形成するとともに、それら被覆工16により法面14を被覆する。すると、法面14の上下方向に沿って止水板19が上下方向に連なる。
【0046】次に、図6に示すように、前記法面コンクリート工12の上端縁部に波返し工13を複数個設置する。このとき、法面コンクリート工12の最上部に位置する被覆工16の脚部17間のコンクリートに一端側が埋設された鉄筋24の他端側が波返し工13の脚部26間に挿入される。そして、ベースコンクリート15のフック35に連結されたロッド36と、波返し工13のフック34に連結されたロッド36とをターンバックル37により引き締め、波返し工13を法面14上のベースコンクリート15に固定する。
【0047】さらに、図7に示すように、左右に隣接する波返し工13同士を前記連結バー23によって連結する。そして、波返し工13の裏面側にコンクリート型枠(図示せず)を設置し、波返し工13の上端開口から一対の脚部26間及び隙間33にスラリー状の生コンクリートが流し込まれる。生コンクリートは、波返し工13の両脚部26の内側及び隙間33を通って、法面コンクリート工12の上端部まで流し込まれる。
【0048】このとき、図6に示すように、法面コンクリート工12の最上部に位置する被覆工16の脚部17間から突出する鉄筋24が波返し工13の脚部26間に打設されたコンクリートに埋設され、被覆工16と波返し工13とが連結される。そして、コンクリートが硬化することにより、法面14上に護岸法覆構造10が構築される。
【0049】図1に示すように、護岸法覆構造10において、波返し工13から被覆工16の両側面、即ち法面コンクリート工12全体にかけて止水板19,28が護岸法覆構造10の上下方向へ連なるように設けられている。さらには基礎工11と法面コンクリート工12との連結部分にも止水板11eが設けられている。そのため、護岸法覆構造10を構築することにより形成される繋ぎ目には止水板11e,19,28が設けられ、護岸法覆構造10の表面から裏側、即ち下方への水の浸透が防止される。
【0050】上記実施形態の護岸法覆構造10によれば、以下のような特徴を得ることができる。
(1)波返し工13は、止水板28が工場で予め埋設されて形成されている。そのため、護岸法覆構造10の施工現場で止水板28を取付けていた従来と異なり、波返し工13の施工作業を容易かつ効率的に行うことができ、ひいては護岸法覆構造10の施工作業を容易かつ効率的に行うことができる。
【0051】(2)止水板28は波返し工13に工場で埋設されるため、得られる波返し工13の品質を一定のものとし、特に止水板28と波返し工13との連結部分における止水機能を一定のものとし、護岸法覆構造10における水の浸透を効果的に防止することができる。
【0052】(3)被覆工16は、止水板19が工場で予め埋設されて形成されている。また、基礎工11の支持部11bは、止水板11eが工場で予め埋設されて形成されている。そのため、護岸法覆構造10の施工現場で止水板11e,19を基礎工11、被覆工16に取付ける場合と比較して、施工作業を容易かつ効率的に行うことができ、ひいては護岸法覆構造10の施工作業を容易かつ効率的に行うことができる。
【0053】(4)被覆工16及び波返し工13は、予め工場等で成形されている。そのため、波返し工13及び被覆工16を成形するために、現地で鉄筋を構築したり、コンクリート型枠を曲面状をなすように組み付けたりする必要がなく、護岸法覆構造10の施工作業の簡易化を図ることができ、さらに工期の短縮を図ることができる。
【0054】(5)波返し工13の両側面の止水板19と、被覆工16よりなる法面コンクリート工12の両側面の止水板28とは、護岸法覆構造10が構築された状態でほぼ直線状に連なるように形成されている。さらに、法面コンクリート工12と基礎工11との連結部分においても、被覆工16の止水板19の下端縁と、基礎工11の止水板11eの各端縁とが連なるように形成されている。そのため、護岸法覆構造10を構築する際に形成される繋ぎ目から護岸法覆構造10の裏面側への水の浸透を防止することができる。
【0055】(6)波返し工13及び被覆工16はターンバックル32,37によりベースコンクリート15に固定されている。そのため、波返し工13及び被覆工16を法面14に対して強固に固定することができる。
【0056】(7)波返し工13及び被覆工16を連結する連結バー23の他端部は、連結孔27,18内に対して移動可能となっている。このため、温度変化により波返し工13及び被覆工16が膨張したり、収縮したりする場合に生ずる波返し工13及び被覆工16間の距離の変化に対応することができる。
【0057】(8)隣接する被覆工16同士の間に形成される隙間21に打設されたコンクリート内には各被覆工16の係止突部20が埋設され、係止突部20が隙間21に打設されたコンクリートに係止する状態となっている。そのため、被覆工16が地震等により上下移動しても、コンクリートに対する係止突部20の係止により上下に隣接する被覆工16間の大幅な上下のずれの発生を防止することができる。
【0058】(9)法面コンクリート工12は被覆工16を連結することにより形成されている。そのため、法面14の上下方向への長さに容易に対応することができる。
(10)波返し工13は表面側の側端縁が接触して配置されるため、隣接する波返し工13同士の間に幅広の繋ぎ目が形成されない。従って、護岸法覆構造10における波返し部13aの外観の低下を防止することができるとともに、波返し部13aからの水の浸透を効果的に防止することができる。
【0059】(11)上下に隣接する被覆工16同士及び被覆工16と波返し工13との間には鉄筋24が埋設されている。そのため、被覆工16及び波返し工13が左右方向へ移動しても鉄筋24により、上下に隣接する被覆工16同士及び被覆工16と波返し工13とが左右に位置ずれする不具合を防止することができる。
【0060】なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 実施形態では、被覆工16を四段に連結して法面コンクリート工12を形成したが、法面コンクリート工12を形成する被覆工16の個数を法面14の長さに応じて任意に変更してもよい。
【0061】・ 実施形態では、波返し工13をターンバックル37によりベースコンクリート15に固定したが、ターンバックル37による連結を省略してもよい。また、実施形態では、波返し工13の長さ方向に沿った四箇所でターンバックル37により波返し工13をベースコンクリート15に連結したが、上下二段の八箇所でターンバックル37により波返し工13をベースコンクリート15に連結してもよい。
【0062】・ 波返し工13及び被覆工16にシリンダを設け、そのシリンダに連結バー23を挿通支持させてもよい。
・ 被覆工16の係止突部20を省略してもよい。
【0063】・ 実施形態では、波返し工13、被覆工16及び基礎工11に止水板19,28,11eを設け、護岸法覆構造10を形成したとき、止水板19,28,11eが連なるようにしたが、止水板19,28,11eが連ならなくてもよい。
【0064】・ 被覆工16をターンバックル32によりベースコンクリート15に連結固定しなくてもよい。
・ 図9に示すように、堤防の法面14の平面視が円弧状に湾曲している場合、例えば法面14が半径1000m〜3000mの円弧をなすように湾曲している場合、複数の波返し工13を平面視において円弧状に配置してもよい。このとき、隣接する波返し工13の表面側の上下の側端縁同士が当接して配置され、波返し工13の裏面側の脚部26間に形成される隙間33の幅が大きくなるように配置される。このように構成した場合、波返し工13の表面側の側縁を離間させて配置する場合と比較して、波返し工13同士の表面間の隙間に施工現場で打設されるコンクリートの量を抑えることができる。また、隣接する波返し工13の波返し部13a間に形成される隙間は小さいため、その隙間から打設されたコンクリートが漏れ出ることが防止され、波返し工13の波返し部13aにおける一体感を出すことができ、美観の低下を抑えることができる。また、波返し工13の側端縁同士の間に形成される隙間に、発泡樹脂材料製の発泡材を充填してもよい。
【0065】次に上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(1)前記基礎工において、法面コンクリート工と連結される位置には、基礎工と法面コンクリート工との間から下方へ水が浸透しないようにするための止水板が予め設けられ、波返し工の止水板と、法面コンクリート工の止水板と、基礎工の止水板とが連なるように形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の護岸法覆構造。このように構成した場合、護岸法覆構造を基礎工、法面コンクリート工及び波返し工により形成したときに形成される繋ぎ目のほぼ全体に止水板を配置して護岸法覆構造の裏側への水の浸透を効果的に防止することができる。
【0066】(2)前記法面コンクリート工は法面を被覆する複数個の被覆工を上下左右に配置して形成され、当該被覆工の裏面のフックに連結された連結部材が前記ベースコンクリートのフックに連結されて、被覆工がベースコンクリートに連結されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の護岸法覆構造。このように構成した場合、被覆工を法面に強固に固定して法面コンクリート工を法面に強固に設置することができる。
【0067】(3)前記法面の平面視が円弧状に湾曲し、当該法面に沿って複数個の波返し工を平面視において円弧状をなすように配置した場合、隣接する波返し工の表面側の側縁同士が当接して配置されることを特徴とする請求項1〜請求項3、前記技術的思想(1)及び(2)のいずれか一項に記載の護岸法覆構造。このように構成した場合、複数個の波返し工の表面側の側縁を離間させて配置する場合と比較して、波返し工同士の間の隙間に施工現場で打設されるコンクリートの量を抑えることができる。また、波返し工部分における一体感を出すことができ、美観の低下を抑えることができる。
【0068】(4)前記連結部材は、波返し工の裏面のフックに連結されたロッドと、ベースコンクリートのフックに連結されたロッドとを連結するターンバックルにより形成されていることを特徴とする請求項3に記載の護岸法覆構造。このように構成した場合、波返し工とベースコンクリートとの連結作業を容易に行うことができる。
【0069】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発明によれば、施工作業を容易かつ効率的に行うことができる。
【0070】請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、護岸法覆構造における上下方向に延びる繋ぎ目から下方へ水が浸透するのを効果的に防止することができる。
【0071】請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、波返し工を法面に強固に固定することができる。
【出願人】 【識別番号】596004473
【氏名又は名称】南濃コンクリート工業株式会社
【住所又は居所】岐阜県海津郡南濃町上野河戸1055番地
【出願日】 平成14年1月15日(2002.1.15)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣 (外1名)
【公開番号】 特開2003−206520(P2003−206520A)
【公開日】 平成15年7月25日(2003.7.25)
【出願番号】 特願2002−6253(P2002−6253)