| 【発明の名称】 |
生分解性吸水性樹脂を用いた備蓄用土嚢 |
| 【発明者】 |
【氏名】原 敏夫
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| 【要約】 |
【課題】収納性、作業性及び緊急事態への適応性にも優れる他、出水がやんだ後の撤去且つ後処理を短時間で容易に行うことができる生分解性吸水性樹脂を用いた備蓄用土嚢を提供することを目的とする。
【解決手段】透水性、且つ生分解性吸水性樹脂を通過させない織布で製造された袋内に生分解性吸水性樹脂を直接或いは透水性、且つ生分解性吸水性樹脂を通過させない織布で製造された複数の小袋内に収納、密封された生分解性吸水性樹脂を用いた備蓄用土嚢。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】織布製の袋内に生分解性吸水性樹脂を収納、密封したことを特徴とする備蓄用土嚢。 【請求項2】生分解性吸水性樹脂が、ポリアミノ酸、多糖類等の高分子のいずれか又はこれらの組み合わせからなることを特徴とする請求項1に記載の生分解性吸水性樹脂を用いた備蓄用土嚢。 【請求項3】ポリアミノ酸が、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸又はポリリジンからなることを特徴とする請求項1乃至請求項2記載の生分解性吸水性樹脂を用いた備蓄用土嚢。 【請求項4】多糖類が、グルコース又はフラクトースからなる請求項2記載の多糖類、又はラムノース、フコース、グルコース及びグルクロン酸又はヒアルウロン酸を主要構成成分とするポリカルボン酸からなる請求項請求項1乃至3のいずれか1項に記載の生分解性吸水性樹脂を用いた備蓄用土嚢。 【請求項5】前記生分解性吸水性樹脂が、透水性、且つ樹脂粒子を通過させない複数の小袋内に保持されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の生分解性吸水性樹脂を用いた備蓄用土嚢。 【請求項6】前記透水性の織布から製造された袋の周縁部の所定箇所に、紐状体又は固定部材を通すための係合孔が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の生分解性吸水性樹脂を用いた備蓄用土嚢。 【請求項7】前記係合孔に、紐状体の端部が縫製や接着又は結着手段により取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の生分解性吸水性樹脂を用いた備蓄用土嚢。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、台風襲来時や梅雨時の集中豪雨等に伴って発生する水害等の非常時に対して好適に使用できる生分解性吸水性樹脂を用いた備蓄用土嚢に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、河川の氾濫防止対策、地下施設の浸水防止対策或いは工事現場での防水対策等として、土嚢が用いられている。かかる土嚢は、織布から縫製した袋に土砂等を充填し、これを複数個用意した上で堤防等に積み上げることにより全体として堤防を構成し、浸水を防止する役割を果たしている。 【0003】また、近年においては都市化の進行によりコンクリート等からなる人工的地面が広域化し、大雨の際に地面の雨水吸収機能が充分に発現されずに溢れだす都市型被害も深刻化しつつあるため、土嚢の役割が河川部のみならず市街地の各所においてもますます重要となってきている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、土嚢はその性質上大量の土砂を必要とすることから以下の課題を有していた。まず、土嚢に必要な大量の土砂を保管し、速やかに運搬することはきわめて困難である。特に、余剰スペースが慢性的に不足すると共に近辺からの土砂収集が事実上不可能な都市部では、保管場所の確保及び運搬が土嚢使用に際してネックとなっている。また、農村部、山間部、工事現場等、いずれにおいてもスコップ等を用いた土砂の充填作業が必要となり、労力と時間を要することに加えて水害等の緊急対策として土嚢では対応が不充分なものとなっていた。 【0005】そこで、収納性及び作業性に優れ、水害による緊急事態への適応性にも優れた吸水性高分子を用いた水土嚢が開示されている(特開2001−059211)。しかしながら、吸水性高分子を用いた従来の土嚢では、外部から供給される水が吸水性高分子中にゲル化した状態で保持されているので、水土嚢を撤去する際に、水土嚢の袋を破いても排水するのに自然乾燥による方法では約1月近くもの長時間を要し、この間、交通の障害になると共に、この後処理に多大の手間と時間を要するという問題点があった。 【0006】この問題点を克服するため、吸水性高分子にゲル化状態で固定された水を開放させるゲル分解促進剤を内蔵した水土嚢が開示されている(特開2001−248133)。しかしながら、ゲル化分解促進剤を放出させる袋体破断機構を装着する必要があり、水土嚢自体の構造が複雑となり、且つ、水を開放した後の吸水性高分子の乾燥、洗浄、再利用、又は廃棄等の処理が煩雑となる等の問題点があった。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の課題を解決するもので、収納性及び作業性に優れ、緊急事態への適応性にも優れる他、出水がひいた後の撤去及び後処理を短時間で容易に行うことができると共に、吸水性樹脂に固定された水をゲル化状態で河川又は海洋等に直接廃棄することができる生分解性吸水性樹脂を用いた備蓄用土嚢を提供することを目的とする。 【0008】上記目的を達成するために本発明は、生分解性吸水性樹脂粒子を通過させない大きさの織布を用いて製造された袋内に生分解性吸水性樹脂が直接、或いは透水性、且つ生分解性吸水性樹脂粒子を通過させない複数の小袋内に収納、保持されていることを特徴とする。織布からなる袋内に保持される生分解性吸水性樹脂の量は、吸水膨張時に袋を充分に膨張させるに足る量であると共に、周囲に大量の水が存在するため、膨張時に吸水し過ぎて破袋させない量であることを要する。 【0009】本発明は、都市部等においても冠水等の危険箇所に設置するだけで、生分解性吸水性樹脂が水を吸収してゲル化し、これらの水によって膨潤した土嚢同士でバリヤーを形成し、水漏れすることなく迅速且つ確実に地下街等への水の浸入を阻止することができるので、突然の集中豪雨に迅速に対応することができ、市民の安全を確保し、冠水による損害を未然に防止することができる。出水がひいた後は水を吸収してゲル化した状態の生分解性吸水性樹脂を河川又は海海等へ廃棄することができ、その後処理が容易になると共に、環境汚染等の恐れがない。 【0010】備蓄用土嚢が使用前後で折り畳み可能になって、コンパクトにまとめられ、狭いスペースでも容易に収納しておくことができる。これによって、地価の高い都市部でも集中豪雨に対する備えを容易に行うことができる。また、予め豪雨等が予測される場合には、吸水させる前の備蓄用土嚢を危険箇所の周囲に設置しておくだけでよいので、軽量の備蓄用土嚢を小人数で迅速に配置することができる。備蓄用土嚢の必要が生じたときは水をかけるのみで吸水して土嚢の大きさに膨れ、外的圧力を与えても水は脱離しない。吸水させた備蓄用土嚢に形のばらつきが少なくなるので、積み重ねられた備蓄用土嚢間の隙間を少なくでき防水性を高めることができる。 【0011】前記の生分解性吸水性樹脂は、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸又はポリリジン等のポリアミノ酸、グルコース又はフラクトースからなる多糖類、又はラムノース、フコース、グルコース及びグルクロン酸又はヒアルウロン酸を主要構成成分とするポリカルボン酸からなる多糖類等のいずれか又はこれらの組み合わせからなることを特徴とし、10分前後で自重の数百倍から数千倍までの水を吸収し保持する。例えば、生分解性吸水性樹脂としては、ポリグルタミン酸架橋体が開示されている(特開平10−251402、特開2000−327795、特開2000―181387)。特開に開示されているポリグルタミン酸架橋体を使用すれば、本発明の備蓄用土嚢内部に50グラム以下のポリグルタミン酸架橋体を保持することにより目的を達成することができる。なお、この吸水性高分子の使用形態としては顆粒状、繊維状、ペレット状のものが含まれる。これらの材料の中から必要とする強度、価格にマッチした材料を適宜選択して、安価に備蓄用土嚢を製造することができる。 【0012】また、塩化カルシウム又は塩化マグネシウム等の電解質成分をゲル分解促進剤として用いると、膨潤した生分解性吸水性樹脂を収縮させ、短時間で水を排出することができる。 【0013】前記の生分解性吸水性樹脂粒子を通過させない大きさの織布から製造される袋は、不織布、吸水性高分子からなる繊維、又は再生樹脂や生分解性ポリマー等を素材として形成される繊維を用いても製造できるので、備蓄用土嚢1個当たりに吸収できる水の容量を増加させ、防水効果の高い備蓄用土嚢とすることができると共に、再生樹脂又は生分解性高分子を素材として用いると、省資源性に優れ、緊急時のみならず、全地球規模の環境問題にも配慮したものとすることができる。特に、再生樹脂を用いた場合には、資源の有効利用を図ることができる。 【0014】前記の生分解性吸水性樹脂粒子を通過させない大きさの織布から製造される袋として生分解性高分子を用いた場合には、備蓄用土嚢の使用後に、河川、海洋又は土中等に土嚢をそのまま廃棄することもできるのでその後処理がさらに容易になると共に、環境汚染等の恐れを回避できる。 【0015】ここで、再生樹脂としては、家庭等で発生する使用済みのPETボトル等のプラスチック容器やポリアミド、ポリオレフィン等のオフスペック等の廃樹脂を再生した樹脂であり、これを素材として、繊維状にしたもの等が透水性カバーとして用いられる。生分解性プラスチックは、自然界の微生物によって分解される高分子である。生分解性プラスチックには、ポリ乳酸、微生物により発酵合成される3−ヒドロキシブチレートを主成分とするポリエステルや、ペプチド結合、多糖のエーテル結合等を有した合成高分子等が該当する。 【0016】生分解性吸水性樹脂を用いた備蓄用土嚢の周縁部の所定箇所に、紐状体又は固定部材を通すための係合孔が設けられて構成されているので、紐状体や固定部材を用いて積み重ねて配置される多数の備蓄用土嚢の位置を規制して、非常時においても多数の備蓄用土嚢を迅速且つ安定に配列することができると共に、係合孔に固定部材を通して各備蓄用土嚢を規則的に配列することにより、吸水して膨潤した備蓄用土嚢間の隙間が生じ難くなり隙間からの水漏れを防止することができる。 【0017】また、前記の係合孔に、紐状体の端部が縫製や接着又は結着手段により取り付けられて構成されているので、特別な道具等を用いることなく紐状体同士を結び合わせて、積み重ねて配置される多数の備蓄用土嚢の位置を規制して、非常時においても多数の備蓄用土嚢を迅速且つ安定に配列することができ、吸水して膨潤した備蓄用土嚢間の隙間が生じ難くなり隙間からの水漏れをさらに有効に防止することができる。紐状体同士を水平方向のみならず上下方向にも連結して備蓄用土嚢全体を有機的に連結して大量の水流等で流されるのを効果的に防止できる。なお、紐状体は非常時において容易に目視できるように透水性の織布製の袋とは異なる色の例えば蛍光色や黄色と黒色等のゼブラ模様等にしておくことが望ましい。これにより暗がり等での備蓄用土嚢の積み上げ作業を迅速かつ適正に行うことができる。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につき図面を用いて説明する。 (実施の形態1)図1は実施の形態1のポリグルタミン酸架橋体を用いた備蓄用土嚢の平面図で、図2はその横断図である。図1と図2において、10は集中降雨等に際して浸水を阻止するために危険箇所に配置される実施の形態1のポリグルタミン酸架橋体を用いた備蓄用土嚢、11は土嚢表面の透水性、且つポリグルタミン酸架橋体粒子を通さない織布製の袋、12は土嚢10の内部に配置されポリグルタミン酸架橋体、13は備蓄用土嚢の周囲の側端部に設けられた複数の備蓄用土嚢10同士を必要に応じて連結し、配列するための紐状体や固定部材等を挿入するための係合孔である。織布製の袋11は、ポリエステル等の合成繊維を素材とする織布から縫製され、縦横の長さがそれぞれ200〜500mm(好ましくは450mm)、550〜700mm(好ましくは600mm)で、厚みが3〜10mm(好ましくは5mm)の矩形状であり、その吸水時には、厚みが約20〜50倍程度に膨張してもよいようになっている。袋状に形成される透水性織布11は、例えば2枚の布地を重ねて縫製又は接着剤を用いて形成することができる。ここで使用する接着剤には、合成ゴム系接着剤等の他に、熱可塑性樹脂を主成分とするホットメルト型接着剤、エポキシ系接着剤や、シアノアクリレート系接着剤等を用いることも可能である。また、透水性織布11の側端部の所定箇所を穿孔して使用するか、鳩目等で補強した係合孔13を形成し、複数の備蓄用土嚢10を紐状体等を介して連結できるようにしている。 【0019】吸水体12は、吸水前で厚みが約3〜10mmであって、ポリグルタミン酸架橋体が使用されている。このポリグルタミン酸架橋体は自重の数百から数千倍の水を吸収してゲルを形成し、一旦、吸収した水は多少の圧力を加えても殆ど放出しない等、吸水性と保水性に優れた性質を有している。 【0020】以上のように構成された実施の形態1のポリグルタミン酸架橋体を用いた備蓄用土嚢10について、以下その使用方法を説明する。まず、水位の上昇が予想される危険箇所に備蓄用土嚢10を図3(a)に示すように配置する。この際、予め各備蓄用土嚢10間を各係合孔13に紐状体14等を介して連結しておくと、連結された両端部側の備蓄用土嚢を左右に引っ張って配列するだけで、各備蓄用土嚢を適正に配置でき、非常時でも迅速に作業を行うことができる。こうして、水を備蓄用土嚢10に直接供給したり、雨水が水土嚢10に侵入して、ポリグルタミン酸架橋体中に吸収されて吸水体12が膨潤して、多数の備蓄用土嚢が厚み方向に上昇することにより図3(b)に示すように水に対するバリヤーが形成され、地下施設等への水の浸入を効果的に防止することができる。周囲の水位が下がって危険状態を脱した時には、各備蓄用土嚢10の縫合部を開き、各備蓄用土嚢10の内部のゲル化されたポリグルタミン酸架橋体を河川又は海洋等へ廃棄処分することができるので、積み上げられた備蓄用土嚢10を簡単に撤去し、後処分することができる。 【0021】(実施の形態2)ポリグルタミン酸架橋体を用いた本発明の備蓄用土嚢は、図4に例示するように、工盤を不透水層まで堀削した溝に詰めることができるほか、河川、湖沼等の護岸堤体の構築に使用することにより、河川、湖、池等に対する防水壁や汚水等の移動防止のための防水壁等に使用することができる。 【0022】 【発明の効果】以上本発明においては、吸水体が生分解性吸水性樹脂から構成されることから、収納性及び作業性に優れ、水害等による緊急事態への迅速な適応が可能となると共に、出水がすんだ後、水を吸収してゲル化した備蓄用土嚢内容物を河川又は海洋等に廃棄することができ、撤去性及び後処理性に優れ、環境を破壊する恐れのない備蓄用土嚢を提供できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】597002416 【氏名又は名称】原 敏夫
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| 【出願日】 |
平成14年1月9日(2002.1.9) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−206516(P2003−206516A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月25日(2003.7.25) |
| 【出願番号】 |
特願2002−2005(P2002−2005) |
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