| 【発明の名称】 |
コンクリート構造物のFRP補強工法 |
| 【発明者】 |
【氏名】久部 修弘 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目8番2号 三菱化学産資株式会社内
【氏名】谷木 謙介 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目8番2号 三菱化学産資株式会社内
【氏名】手塚 光晴 【住所又は居所】神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学産資株式会社内
【氏名】佐藤 正一 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目8番2号 三菱化学産資株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】コンクリート構造物を補強するためのコンクリート構造物のFRP補強工法であって、施工が容易で且つ工期を短縮でき、しかも、工事費を十分に低減でき、そして、高強度化および疲労耐久性の向上を十分に図ることが出来るコンクリート構造物のFRP補強工法を提供する。
【解決手段】コンクリート構造物のFRP補強工法は、鉄筋(2)が露出しない深さでコンクリート(1)の表層部をはつり、次いで、弾性率が100〜1000GPaの繊維から成る繊維強化プラスチック製補強筋を追加補強筋(4)としてはつり部分(3)に配置した後、樹脂モルタル(5)を打設してコンクリート(1)の表層部を復元する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鉄筋(2)が埋設されたコンクリート構造物を補強するためのコンクリート構造物のFRP補強工法であって、鉄筋(2)が露出しない深さでコンクリート(1)の表層部をはつり、次いで、弾性率が100〜1000GPaの繊維から成る繊維強化プラスチック製補強筋を追加補強筋(4)としてはつり部分(3)に配置した後、当該はつり部分に樹脂モルタル(5)を打設して前記の表層部を復元することを特徴とするコンクリート構造物のFRP補強工法。 【請求項2】 追加補強筋(4)として、炭素繊維強化プラスチック製の補強筋を使用する請求項1に記載のコンクリート構造物のFRP補強工法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート構造物のFRP補強工法に関するものであり、詳しくは、高弾性率の繊維強化プラスチック製補強筋によって補強することにより、高強度化および疲労耐久性の向上を図ったコンクリート構造物のFRP補強工法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】例えば、道路橋鉄筋コンクリート床版においては、活荷重の変更、あるいは、実際の通行車両の大型化、通行量の増加による疲労損傷を防止するため、補強筋の補充による補強が必要とされる。道路橋床版などのコンクリート構造物の補強においては、通常、鉄筋が完全に露出する深さまでコンクリート表面をはつった後、既存の鉄筋に添わせて追加の補強筋を配置し、そして、はつり(削り)部分をコンクリートで埋め戻している。 【0003】これに対し、コンクリート構造物に対する昨今の補強工法では、軽量で施工性に優れ、しかも、耐久性に優れた繊維強化プラスチック製の補強筋が補充用の補強筋として使用される傾向にある。また、コンクリート構造物の補修などにおいては、工期を短縮する観点から、補修部分に樹脂モルタルも使用されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、道路橋床版などの補強は、コンクリート表面からのはつり代が深いため、工期が長く、また、修復施工にて上記の樹脂モルタルを使用せんとすると、多くの量が必要となり、工事費が極めて高くなる。一方、工期を短縮し、工事費を低減するには、補強部分のはつり代を浅くすることもことも考えられるが、はつり代を浅くした場合には、補修後の樹脂モルタル(マトリックス)の厚さも薄く、実際、その変形のために使用に耐えられない。 【0005】本発明は、上記の実情に鑑みなされたものであり、その目的は、鉄筋が埋設されたコンクリート構造物を補強するためのコンクリート構造物のFRP補強工法であって、施工が容易で且つ工期を短縮でき、しかも、工事費を十分に低減でき、そして、高強度化および疲労耐久性の向上を十分に図ることが出来るコンクリート構造物のFRP補強工法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明においては、コンクリートの表層部に補強筋を配置することによりコンクリート構造物を補強するにあたり、工期を短縮するためにはつり代を浅くし、これにより、高級であるが施工容易な樹脂モルタルをマトリックスとして使用する。そして、はつり代の深さを浅くすることによる樹脂モルタルの変形を特定の弾性率の繊維強化プラスチック製補強筋によって防止する。 【0007】すなわち、本発明の要旨は、鉄筋が埋設されたコンクリート構造物を補強するためのコンクリート構造物のFRP補強工法であって、鉄筋が露出しない深さでコンクリート(1)の表層部をはつり、次いで、弾性率が100〜1000GPaの繊維から成る繊維強化プラスチック製補強筋を追加補強筋としてはつり部分に配置した後、当該はつり部分に樹脂モルタルを打設して前記の表層部を復元することを特徴とするコンクリート構造物のFRP補強工法に存する。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明に係るコンクリート構造物のFRP補強工法の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るコンクリート構造物のFRP補強工法の適用例としての道路橋床版の一部を示す平面図であり、分図(b)は、分図(a)におけるA部の拡大図である。図2は、コンクリート構造物のFRP補強工法による補強構造を図1中のII−II線に沿って破断して示す部分的な縦断面図であり、図3は、コンクリート構造物のFRP補強工法による補強構造を図1中のIII−III線に沿って破断して示す部分的な縦断面図である。以下、実施形態の説明においては、コンクリート構造物のFRP補強工法を「補強工法」と略記する。 【0009】本発明の補強工法は、鉄筋が埋設された種々のコンクリート構造物、典型的には道路橋鉄筋コンクリート床版などのコンクリート構造物を補強するための補強工法であり、斯かる補強工法は、活荷重の変更、通行車両の大型化、通行量の増加などに対応するための道路橋床版の補強において、工期を短縮でき、工事費を十分に低減できる。本発明の補強工法は、図1(a)に示す様に、例えば、道路橋床版の橋軸と平行な路側帯部分に適用される。図1に示す道路橋床版においては、矢印の方向が車輌の走行方向である。 【0010】本発明の補強工法によって道路橋床版を補強するには、先ず、図2及び図3に示す様に、補強すべき路側帯部分に対し、鉄筋(2)が露出しない深さでコンクリート(1)の表層部をはつる。すなわち、コンクリート(1)の表面を浅くはつる。はつり代は、埋設する後述の追加補強筋(4)の太さ、および、既存の鉄筋(2)の深さにもよるが、通常は10〜25mm程度である。また、片方の路側帯補強部分におけるはつり幅(橋軸に直交する方向のはつり長さ)は、橋幅の10〜20%程度に相当する長さとされる。 【0011】上記の様にコンクリート(1)の表層部をはつった後は、図1(b)〜図3に示す様に、はつり部分(3)に対し、追加補強筋(4)として繊維強化プラスチック製の棒状の補強筋を配置する。追加補強筋(4)は、例えば、橋幅方向に沿わせて配置し、その配列ピッチは、追加補強筋(4)の断面積にもよるが、鉄筋(2)の配列ピッチと同様に、通常は100〜300mm程度とされる。 【0012】本発明においては、鉄筋(2)の強度を補完し且つ後述の樹脂モルタル(5)の変形を防止するため、追加補強筋(4)としては、弾性率が100〜1000GPa、好ましくは400〜1000GPaであって且つ補強筋の長さ方向に引き揃えられた連続繊維から成る繊維強化プラスチック製の補強筋を使用することが重要である。上記の弾性率の連続繊維を使用した場合、補強筋そのものの弾性率は、65〜650GPa、好ましくは260〜650GPaである。 【0013】補強繊維の弾性率を上記の範囲に規定する理由は次の通りである。すなわち、弾性率が100GPa未満の場合は、構成される補強筋が柔軟になるため、はつり部分に打設される後述の樹脂モルタルの変形を十分に防止できず、樹脂モルタルに亀裂を生じる場合がある。一方、弾性率が1000GPaを越える場合は、構成される補強筋としての引張強度が不足する。上記の高弾性の繊維としては、特に限定されるものではないが、炭素繊維が好適に使用される。 【0014】なお、上記の繊維強化プラスチックを形成するためのマトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアネート樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。また、繊維強化プラスチックの製造方法としては、補強繊維を一方向に引き揃え、これらの繊維に未硬化のマトリックス樹脂を含浸してプリプレグを形成した後、斯かるプリプレグをマンドレルに積層捲回して硬化するシートワインド法、補強繊維を樹脂に含浸しながら直接マンドレルに捲回して硬化するフィラメントワインド法、補強繊維に樹脂を含浸して連続的に金型で硬化する引き抜き成形法などが挙げられる。 【0015】追加補強筋(4)の断面形状は、図示する様な円形の他、楕円形、方形などの種々の形状に設計可能である。追加補強筋(4)の太さは、前述の配列ピッチ等を勘案して決定されるが、通常、円形断面の場合で5〜15mm程度とされる。 【0016】本発明においては、上記の様にはつり部分(3)に追加補強筋(4)を配置した後、図2及び図3に示す様に、既存のコンクリート(1)の表面と面一に、すなわち、コンクリート(1)のはつっていない部位の表面と同一面となる様に、はつり部分(3)に樹脂モルタル(5)を打設する。これにより、床版のコンクリート(1)の表層部を復元する。通常、追加補強筋(4)に対する表面側の樹脂モルタル(5)の被覆厚さ(かぶり)は5〜10mm程度である。 【0017】樹脂モルタル(5)としては、特許第3187753号、特許第3165590号の各公報などに開示されている公知の各種樹脂モルタルを使用することが出来る。樹脂モルタルは、セメントを含む微粒子及び珪石粉を混合した骨材としての粉末成分と、バインダとしての接着剤系樹脂とから成る組成物であり、短時間に強度が得られ、硬化までの時間制御が可能であり、しかも、硬化した際の体積変化が少ないなどの優れた特性を有する。 【0018】上記の様な樹脂モルタルは、例えば、次の様にして調製される。すなわち、先ず、水分散可能な変性ポリアミドアミン及び/またはポリアミンの存在下、液状のビスフェノールA型又はビスフェノールA/F型のエポキシ樹脂を水に乳化させてエポキシ樹脂エマルションとなし、次いで、このエポキシ樹脂エマルションに、セメント、珪砂、その他の骨材、充填材などが含まれる粉末成分を配合する。上記の骨材としては、粒度50〜500μ程度の人工または天然の粒子が使用され、充填材としては、鉱物繊維、ベントナイト等が使用される。また、増粘剤などの各種添加剤が必要に応じて配合される。 【0019】上記の様に、樹脂モルタル(5)によって床版のコンクリート(1)の表層部を復元した後は、図3に示す様に、通常の施工仕様に従って、床版の表面に防水層(6)及びアスファルト層(7)を付設することにより路面を構成する。施工後の樹脂モルタル(5)の表面は、既存のはつっていない部分のコンクリート(1)表面と略同等の付着性を発揮するため、防水層(6)やアスファルト層(7)の施工が容易である。 【0020】本発明の補強工法においては、上記の様に、特定の弾性率の繊維から成る繊維強化プラスチック製補強筋を追加補強筋(4)として使用するため、施工後の樹脂モルタル(5)の変形や亀裂の発生を有効に防止できる。すなわち、樹脂モルタルの弾性率は、一般的にはバインダ樹脂の弾性率が小さいためにコンクリートの弾性率の1/10程度であり、補強部分(はつり部分)に樹脂モルタルを使用せんとした場合、樹脂モルタルの変形や亀裂を防止するには、十分な厚さで打設しなければならない。これに対し、本発明においては、樹脂モルタル(5)に埋設する追加補強筋(4)として高弾性の繊維から成る繊維強化プラスチック製補強筋を適用したことにより、樹脂モルタル(5)の薄くしたことによる変形などを防止している。 【0021】また、本発明の補強工法においては、はつり部分(3)を深さ(はつり代)を浅くし、取扱い容易な樹脂モルタル(5)によって追加補強筋(4)を埋設するため、施工が容易で且つ工期を短縮でき、しかも、樹脂モルタル(5)の使用量が少ないため、工事費を一層低減できる。更に、本発明の補強工法においては、高弾性の繊維から成る繊維強化プラスチック製補強筋を追加補強筋(4)として使用するため、通常の繊維強化プラスチック製補強筋を使用する場合に比べ、追加補強筋(4)の使用量を低減でき、それによっても工事費をより一層低減できる。 【0022】そして、本発明の補強工法によれば、樹脂モルタル(5)の高い接着性により、当該樹脂モルタル、および、高弾性の繊維から成る繊維強化プラスチック製の追加補強筋(4)をコンクリート(1)に一体化できるため、道路橋床版(コンクリート構造物)の強度を高め、疲労耐久性を向上させることが出来る。 【0023】更に、本発明の補強工法においては、鉄筋に比べて耐久性に優れた繊維強化プラスチック製補強筋を追加補強筋(4)として使用し、当該追加補強筋の埋設深さを浅くする(所謂かぶりを少なくする)ため、最初のはつり施工において既存の鉄筋(2)が支障になることがない。また、追加補強筋(4)は、樹脂モルタル(5)に埋設されるため、防水層(6)の改装工事の際にも損傷する虞がない。 【0024】 【発明の効果】以上説明した様に、本発明に係るコンクリート構造物のFRP補強工法によれば、コンクリートの表層部を浅くはつり、取扱い容易な樹脂モルタルによって追加補強筋を埋設するため、施工が容易で且つ工期を短縮でき、しかも、樹脂モルタルの使用量が少ないため、工事費を一層低減できる。そして、樹脂モルタル、および、高弾性の繊維から成る繊維強化プラスチック製の追加補強筋をコンクリートに一体化できるため、コンクリート構造物の強度を高め、疲労耐久性を向上させることが出来る。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000236159 【氏名又は名称】三菱化学産資株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目8番2号
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| 【出願日】 |
平成13年12月10日(2001.12.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097928 【弁理士】 【氏名又は名称】岡田 数彦
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| 【公開番号】 |
特開2003−176508(P2003−176508A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月24日(2003.6.24) |
| 【出願番号】 |
特願2001−375939(P2001−375939) |
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