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【発明の名称】 鉄道用コンクリート枕木における残留折損ボルトの取出工法とその取出工事用工具
【発明者】 【氏名】斉藤 力男
【住所又は居所】埼玉県川越市南台3丁目1番1号 富士機材株式会社内

【氏名】鈴木 修平
【住所又は居所】埼玉県川越市南台3丁目1番1号 富士機材株式会社内

【要約】 【課題】コンクリート枕木の硬質合成樹脂製受部の中に残留した鉄製ボルトの折損部分を簡便な工法と簡単な工具により鉄製ボルトの更新を図れる鉄道用コンクリート枕木における残留折損ボルトの取出工法とその取出工事用工具を得る。

【解決手段】鉄製ボルトの折損胴部がコンクリート枕木の硬質合成樹脂製受部中に残留している場合に、該受部の肉厚の中間部で補強用螺旋状金属筋の螺旋内径のやや内側を上端面から底部まで同心円状に切り離し、それを外部に取り出して該受部を外側部分の外郭部とその外側の金属筋が残る空間とする切り離し工程と、該外郭部を切削して前記金属筋のみが残るコンクリート空間とする切削工程と、該コンクリート空間に新しい硬質合成樹脂製受部を差し込み該受部の外面をコンクリート表出面に接着固定する工程とから該受部の更新を図る鉄道用コンクリート枕木における残留折損ボルトの取出工法とその取出工事用工具からなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 折損した鉄製ボルトの胴部がコンクリート枕木の硬質合成樹脂製受部の中に残留している場合において、前記硬質合成樹脂製受部の肉厚の中間部であって補強用螺旋状金属筋の螺旋内径のやや内側を上端面から底部まで同心円状に切り離し、それを外部に取り出して該受部の状態を外側部分の外郭部とその外側に介装された金属筋が残る中空の空間とする切り離し工程と、その後、前記受部の外郭部を切削して前記金属筋のみが残る中空のコンクリート空間とする切削工程と、前記中空のコンクリート空間に新しい硬質合成樹脂製受部を差し込んで該受部の外面をコンクリート表出面に接着固定する工程とから該受部の更新を図ることを特徴とする鉄道用コンクリート枕木における残留折損ボルトの取出工法。
【請求項2】 硬質合成樹脂製受部の肉厚の外径と内径の間の中間径を有する金属製円筒状中空胴部において、前記中空胴部の先端部に、180度間隔で先端方向に開放した開口部が形成され、その回転方向に面した開口端面に一体に形成された刃と、前記開口部に連続し且つ母線方向に対して回転方向と逆方向にやや傾斜して切設された所要長さの溝孔とからなることを特徴とする前記切り離し工程に用いる中空ドリル。
【請求項3】 前記中空ドリルの先端外径と略同径の円柱体の外周面において、所要の等角度間隔で切断され且つ前記受部の外郭部の幅とほぼ同じ高さで一体に構成された不連続な螺旋凸筋と、前記凸筋の回転方向先端に設けられた胴歯とからなることを特徴とする前記切削工程に用いる鋼鉄製螺旋型胴歯ドリル。
【請求項4】 前記所要の等角度間隔は、90度又は180度である請求項3記載の鋼鉄製螺旋型胴歯ドリル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道用コンクリート枕木に残留した折損ボルトを取り出して新規なボルトと交換できるようにするための鉄道用コンクリート枕木における残留折損ボルトの取出工法とその取出工事用工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄道におけるレールをコンクリート枕木に固定する手段は、図12及び図13に示されているような構成が一般的である。即ち、枕木11の上面に敷設されたレール12の側縁13をクリップピン状に折り返し形成された弾性締結用板バネ14で挟持し、その板バネ14の折返側に設けられた上下一対のボルト孔15とそれに対置する枕木11の硬質合成樹脂製受部16に鉄製ボルト17を上方から差し込んで、該鉄製ボルト17の胴部18を枕木11の硬質合成樹脂製受部16に対して螺入し締結する。それによって、レール12は、枕木11に対して、鉄製ボルト17によりその頭部19と、枕木11の硬質合成樹脂製受部16に固持された胴部18との間で板バネ14、ワッシャー20などを介して支持されるように構成されている。21は、硬質合成樹脂製受部16の外周面に螺旋介在して該受部16の構造的な強度を高めるための螺旋状金属筋である。
【0003】前記鉄製ボルト17は、定期又は随意の検査で電蝕や腐蝕或いは電車の走行による振動を永年にわたり反復継続的に受けることによる金属疲労などによって、その胴部が折損しているのを発見されることが多い。
【0004】前記折損した鉄製ボルト17の胴部は、コンクリート枕木11の硬質合成樹脂製受部16の中に残留し、その部分を取り出して排除するのは実際には不可能である。
【0005】そこで、従来は、螺旋状金属筋21の外側をその外径よりも大径の円で抉り、それによって該金属筋21を含む折損ボルト残留の硬質合成樹脂製受部16全体を丸ごと摘出する工法が普通である。
【0006】上記のような工法においては、当然にコンクリートを切削するので、切削能力の大きな装置が必要であるだけでなく、切削の騒音が極めて大きい外、切削工事に多くの時間を要すると共に切削工事のコストが高い。更に、切り取った空間に当該摘出部分に対応する新規な部品を納置した後、当該部品との間の間隙にコンクリートの埋め戻しを要するなどの幾多の欠点があった。
【0007】その他、コンクリート枕木とレールに関係する緊締(締結)装置として、実公平6−12894号「コンクリート枕木用型枠に対するレール取付金具の締結装置」、実公平7−2643号「レールと枕木の緊締装置」、実公平7−2644号「レールと枕木の緊締装置」、実公平8−1843号「コンクリート枕木用型枠に対するレール取付金具の締結装置、実公平8−4245号「コンクリート枕木用型枠の金具固定装置」などが提案されているが、それらは、いずれも、本願のようなコンクリート枕木における残留折損ボルトの取出工法とその取出工事用工具とは、目的、構造、効果とも全然異なり、本願には関係がないものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、コンクリート枕木の硬質合成樹脂製受部の中に残留した鉄製ボルトの折損部分を簡便な工法と簡単な工具によって発生騒音が比較的小さく且つ簡易迅速に取り出せると共に、取り出し部品に対応する新規な部品を設置した後の復旧処置も簡単で作業コストが安いなどの優れた効用を有する鉄道用コンクリート枕木における残留折損ボルトの取出工法とその取出工事用工具を得ようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の如き観点に鑑みてなされたものであって、その第1は、折損した鉄製ボルトの胴部がコンクリート枕木の硬質合成樹脂製受部の中に残留している場合において、前記硬質合成樹脂製受部の肉厚の中間部であって補強用螺旋状金属筋の螺旋内径のやや内側を上端面から底部まで同心円状に切り離し、それを外部に取り出して該受部の状態を外側部分の外郭部とその外側に介装された金属筋が残る中空の空間とする切り離し工程と、その後、前記受部の外郭部を切削して前記金属筋のみが残る中空のコンクリート空間とする切削工程と、前記中空のコンクリート空間に新しい硬質合成樹脂製受部を差し込んで該受部の外面をコンクリート表出面に接着固定する工程とから該受部の更新を図る鉄道用コンクリート枕木における残留折損ボルトの取出工法を提供しようとするものである。
【0010】その第2は、硬質合成樹脂製受部の肉厚の外径と内径の間の中間径を有する金属製円筒状中空胴部において、前記中空胴部の先端部に、180度間隔で先端方向に開放した開口部が形成され、その回転方向に面した開口端面に一体に形成された刃と、前記開口部に連続し且つ母線方向に対して回転方向と逆方向にやや傾斜して切設された所要長さの溝孔とからなる前記切り離し工程に用いる中空ドリルを提供しようとするものである。
【0011】その第3は、前記中空ドリルの先端外径と略同径の円柱体の外周面において、所要の等角度間隔で切断され且つ前記受部の外郭部の幅とほぼ同じ高さで一体に構成された不連続な螺旋凸筋と、前記凸筋の回転方向先端に設けられた胴歯とからなる前記切削工程に用いる鋼鉄製螺旋型胴歯ドリルを提供しようとするものである。
【0012】
【発明の実施の態様】次に、本発明一実施例の構成を図面を参照しながら説明する。図1乃至図6は本発明一実施例の鉄道用コンクリート枕木における残留折損ボルトの取出工法の工程を図解したものであって、コンクリート枕木1の所定位置に、硬質合成樹脂製受部2がその外周面にやや食い込む状態で螺旋介在した補強用螺旋状金属筋3と共に埋設されており、該受部2の内部の下部に電蝕や腐蝕或いは金属疲労などによって鉄製ボルト4の折損した胴部5が錆付いた状態で残留している(図1)。
【0013】前記硬質合成樹脂製受部2の肉厚の外径と内径の間の所要の中間径の刃径を有する後記のコア抜き用中空ドリル6の回転駆動により該受部2の肉厚の中間部が中空ドリル6の回転方向先端に設けられた刃7によって該金属筋3の螺旋内径のやや内側を上端面から底部まで同心円状に切り離していく。そのボーリング動作によって、前記中空ドリル6の内部空洞には、受部2の二つに分離した直状の内側の部分がホース状になって上方に進入していく。その分離されたホース状の中には、前記折損した鉄製ボルト4の胴部5も一体に含まれている(図2)。
【0014】前記中空ドリル6は、そのボーリング動作が所要の深さに達したところで上方に引き上げられる。そのときの中空ドリル6の内部空洞には、切り取られた前記受部2の内側部分と、その中に一体的に固持された鉄製ボルトの折損胴部5とが圧入している(図示されていない)。その後の受部2の状態は、外側部分の外郭部2Aとその外側に介装された金属筋3が残る中空の空間となる(図3)。
【0015】その後、前記中空ドリル6の先端外径と略同径の円柱体の外周面に、等角度間隔で切断され且つ外郭部2Aの幅とほぼ同じ高さの不連続な螺旋凸筋8が一体に構成された後記の鋼鉄製螺旋型胴歯ドリル9の回転駆動により、該凸筋8の回転方向先端に設けられた胴歯10で前記外郭部2Aが切削されていくと共に前記金属筋3は該凸筋8間の溝部に進入位置する(図4)。
【0016】前記のようにして、受部2の外郭部2Aの切削が完了した後は、前記螺旋型胴歯ドリル9を上方に引き上げる。該外郭部2Aの切削処理を終えた後には前記金属筋3のみが残った中空のコンクリート空間となる(図5)。
【0017】前記の金属筋3のみが残った中空のコンクリート空間に、新しい硬質合成樹脂製受部2を差し込み、所要の接着剤によって該受部2の外面をコンクリート表出面に接着固定する。その後は、従来と同様に、レール12の側縁13を挟持する弾性締結用板バネ14に設けられた上下一対のボルト孔15とそれに対置する硬質合成樹脂製受部2に新しい鉄製ボルト4を上方から差し込んで、該鉄製ボルト4の胴部5を該新規な硬質合成樹脂製受部2に対して螺入し締結する(図6)。
【0018】次に、前記中空ドリル6及び鋼鉄製螺旋型胴歯ドリル9の構造について説明する。前記中空ドリル6は、図7に示されているように、金属製円筒状中空胴部6Aの先端部に、180度間隔で先端方向に開放した開口部6Bが形成され、その回転方向に面した開口端面には刃7が一体に形成されている。また、該開口部6Bに連続し母線方向に対して回転方向と逆方向にやや傾斜して切設された所要長さの溝孔6Cが設けられ、それによって、中空ドリル6の回転駆動により硬質合成樹脂製受部2の肉厚の中間部がその胴部6Aの回転方向先端に設けられた刃7によって切り込まれた後の分離した内側の部分を溝孔6Cの側縁がその手前から奥に向けて押し切り状に当たって当該切り離された受部内側部分を抵抗の少ない状態で胴部空洞に押し込んでいけるようになされている。
【0019】前記鋼鉄製螺旋型胴歯ドリル9は、図8に示されているように、前記中空ドリル6の先端外径と略同径の円柱体9Aの外周面に、180度間隔で切断され且つ前記受部2の外郭部2Aの幅とほぼ同じ高さを有する不連続な螺旋凸筋8が一体に構成され、そして、該凸筋8の回転方向先端には胴歯10が設けられている。
【0020】図9乃至図11は、前記鋼鉄製螺旋型胴歯ドリル9のそれぞれ異なる螺旋凸筋8の実施例を示す模式図であって、図9は螺旋凸筋8が90度間隔で切断されている構造を示しており、図10は図9に示すような90度間隔で切断された螺旋凸筋8の各片において、回転後方に向かうにしたがって該凸筋の高さを逓減し、それによって切削時の摩擦抵抗が小さくなるようになされている。図11は、螺旋凸筋に代わって、90度間隔で突起8Aが配設されている構造を示している。胴歯がこれらの事例のように90度間隔で配設されている場合は、前記の180度間隔で配設されている場合に比して、切削時間が短く処理能力が高いことが期待される。
【0021】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発明に係る鉄道用コンクリート枕木における残留折損ボルトの取出工法とその取出工事用工具によれば、コンクリート枕木の硬質合成樹脂製受部の中に残留した鉄製ボルトの折損部分を、コンクリート部分を切削することなく、切り易い硬質合成樹脂製受部を内外の2つに切り離して鉄製ボルトの折損した胴部が通常錆付いた状態で残留している内側受部全体を外部に取り出し、残る受部の外郭部を切削して新規な硬質合成樹脂製受部の更新を図るものであるから、その工事は簡易迅速に行えると共に工事の際に発生する騒音は比較的小さい外、取り出し部品に対応する新規な部品を設置した後の復旧処置も簡単であり作業コストも安くなることが期待できるなどの実用性と経済性に優れた効用を有するものである。
【出願人】 【識別番号】502090699
【氏名又は名称】富士機材株式会社
【住所又は居所】埼玉県川越市南台3丁目1番1号
【出願日】 平成14年3月13日(2002.3.13)
【代理人】 【識別番号】100079980
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 伸行
【公開番号】 特開2003−268704(P2003−268704A)
【公開日】 平成15年9月25日(2003.9.25)
【出願番号】 特願2002−68313(P2002−68313)