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【発明の名称】 染色済みデニム布地における立体模様の加工方法
【発明者】 【氏名】大坂 和三

【要約】 【課題】染色済みのジーンズに立体的でくっきりとした柄模様および人気の高い着古し風の地合いを現出せしめることができる新規な染色済みデニム布地における立体模様の加工方法を提供すること。

【解決手段】染色済みのデニム布地、あるいは、これを用いて製したジャケット、パンツ、スカートなどの表面に立体的かつ着古し風の柄模様を現出せしめる加工方法であって、互いに咬合する一対の凹凸版型2(21・22)を用いて、デニム布地1の所要位置にエンボス加工を施し、エンボス痕による立体形象を作出する工程と;前記エンボス痕による立体形象によって作出されたデニム布地1の表面の隆起部1Aの隆起表面11Aに摩擦処理を施すことにより、当該箇所に擦過性の退色部を形成して着古し風の地合いを現出せしめる工程とを含むという技術的手段を採用した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 染色済みのデニム布地、あるいは、これを用いて製したジャケット、パンツ、スカートなどの表面に立体的かつ着古し風の柄模様を現出せしめる加工方法であって、互いに咬合する一対の凹凸版型2(21・22)を用いて、デニム布地1の所要位置にエンボス加工を施し、エンボス痕による立体形象を作出する工程と;前記エンボス痕による立体形象によって作出されたデニム布地1の表面の隆起部1Aの隆起表面11Aに摩擦処理を施すことにより、当該箇所に擦過性の退色部を形成して着古し風の地合いを現出せしめる工程とを含むことを特徴とする染色済みデニム布地における立体模様の加工方法。
【請求項2】 エンボス痕による立体形象によって作出されたデニム布地1の裏面の陥没部1Bに流動状の裏打樹脂Pを充填し、この裏打樹脂Pをゴム状に硬化せしめてデニム布地1に接着する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の染色済みデニム布地における立体模様の加工方法。
【請求項3】 凹凸版型2の凸版型21上にデニム布地1を配置した状態で摩擦処理を施すことを特徴とする請求項1または2記載の染色済みデニム布地における立体模様の加工方法。
【請求項4】 裏打樹脂Pとして、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂などの軟質の樹脂材料を使用することを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の染色済みデニム布地における立体模様の加工方法。
【請求項5】 デニム布地1が乾燥状態であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の染色済みデニム布地における立体模様の加工方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、デニム製品の柄出し加工技術の改良、更に詳しくは、染色済みのジーンズに立体的でくっきりとした柄模様および人気の高い着古し風の地合いを現出せしめることができる新規な染色済みデニム布地における立体模様の加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のとおり、デニム布地を用いた衣服製品(所謂、ジーンズ)は、非常に人気の高いお洒落のアイテムとして定着しているが、近年、若者達の間では、服飾に関する自己主張の欲求が高まってきており、他者との差別化が図られた唯一無二のオリジナルジーンズが流行している。
【0003】具体的には、既製品のジーンズに柄模様や着古し風(ビンテージ(vintage)物と称されていて人気が高い)の地合いを付与したものであり、そのための公知技術として、ストーンウォッシュ加工やサンドブラスト加工などがある。
【0004】ストーンウォッシュ加工による柄模様付け方法を採用する場合、デニム生地の染色部分を物理的に削剥するのであるが、現出する柄模様は洗濯時の固形物との接触による偶然性によって形成されるので、完全に画一的な柄模様にはならないオリジナリティはあるものの、逆に、同一模様を再び現出させることができないという不満があった。
【0005】そこで、同一模様を量産すべく手法として、サンドブラスト加工による柄模様付け方法があり、例えば、デニム布地の上に所要模様を切り抜きした型材を覆って、型材の開口部内に露出する布地の表面を研磨する方法がある(特開平6− 17381号公報参照)。
【0006】しかしながら、この方法では、研磨する際に粒体が型材にも不可避的に当たってしまうので、型材がすぐに傷んでしまうという欠点があった。また、型材をデニム布地の上に載置し、覆うようにして使用するので、デニム布地の全面に柄模様加工を施す場合、型材をデニム布地よりも大きくせねばならないという欠点があった。
【0007】また、染色済みのデニム布地の抜染方法として、特開平10−1862号公報に示されるものは、比較的染色堅牢度が低い染色縫製品に使用するものであるので、通常の家庭の洗濯でも色が落ちてしまう。また、染色縫製品を十分な水分で湿潤含水状態にさせることが必要条件であり、洗剤液を含浸させて抜染加工を行うことから、汚水が発生してしまうという欠点があった。
【0008】更にまた、ワンポイントのアクセントを付与するために、デニム布地に顔料をプリントする柄模様付けも行っていたが、洗濯によって色模様が簡単に洗い落ちてしまうという不満があり、また、上記の何れの方法を用いて加工しても布地は平面的であり、装飾技術の新規性に今一つ物足りなさがあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のデニム布地製品への加工方法に上記のような欠点があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、染色済みのジーンズに立体的でくっきりとした柄模様および人気の高い着古し風の地合いを現出せしめることができる新規な染色済みデニム布地における立体模様の加工方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0011】即ち、本発明は、染色済みのデニム布地、あるいは、これを用いて製したジャケット、パンツ、スカートなどの表面に立体的かつ着古し風の柄模様を現出せしめる加工方法であって、互いに咬合する一対の凹凸版型2(21・22)を用いて、デニム布地1の所要位置にエンボス加工を施し、エンボス痕による立体形象を作出する工程と;前記エンボス痕による立体形象によって作出されたデニム布地1の表面の隆起部1Aの隆起表面11Aに摩擦処理を施すことにより、当該箇所に擦過性の退色部を形成して着古し風の地合いを現出せしめる工程とを含むという技術的手段を採用した。
【0012】また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、エンボス痕による立体形象によって作出されたデニム布地1の裏面の陥没部1Bに流動状の裏打樹脂Pを充填し、この裏打樹脂Pをゴム状に硬化せしめてデニム布地1に接着する工程を含むという技術的手段を採用した。
【0013】更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、凹凸版型2の凸版型21上にデニム布地1を配置した状態で摩擦処理を施すという技術的手段を採用した。
【0014】更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、裏打樹脂Pとして、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂などの軟質の樹脂材料を使用するという技術的手段を採用した。
【0015】更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、デニム布地1が乾燥状態であるという技術的手段を採用した。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を具体的に図示した図面に基いて更に詳細に説明すると次のとおりである。
【0017】本発明の実施形態を図1から図7に基いて説明する。図中、符号1で指示するものはデニム布地であり、このデニム布地1は染料で予め染色されている。符号2で指示するものは凹凸版型であり、この凹凸版型2は互いに咬合する一対の凸版型21および凹版型22から構成されている。
【0018】本実施形態は、染色済みのデニム布地、あるいは、これを用いて製したジャケット、パンツ、スカートなどの表面に立体的かつ着古し風の柄模様を現出せしめる服飾の全く新しい装飾加工方法である。
【0019】しかして、本実施形態の加工方法の手順を以下に説明する。まず、図1から図3に示すように、互いに咬合する一対の凹凸版型2(凸版型21および凹版型22)を用いて、デニム布地1の所要位置にエンボス加工を施す。こうして凸版型21および凹版型22でプレスされたエンボス痕により立体形象を作出する。
【0020】次に、前記エンボス痕による立体形象によって作出されたデニム布地1の表面の隆起部1Aの隆起表面11Aを摩擦処理する。この際、微小な砂などの硬質物を機械で吹き付けるサンドブラスト加工や、サンドペーパーや軽石、金属などの硬質な研磨具を用いる。このようにして当該箇所に擦過性の退色部を形成して着古し風の地合いを現出せしめることができる(図5参照)。
【0021】そして、本実施形態では、図6および図7に示すように、エンボス痕による立体形象によって作出されたデニム布地1の裏面の陥没部1Bに流動状の裏打樹脂Pを充填し、この裏打樹脂Pを硬化せしめてデニム布地1に接着する。この際、図示したように、裏打樹脂Pを陥没部1Bの周囲も一体に塗布することで、より確実に布地に接着することができる。
【0022】本実施形態に用いる裏打樹脂Pとして、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂などの軟質の樹脂材料を採用することにより、デニム布地1の柔軟性に馴染ませることができる。
【0023】また、本実施形態では、図4に示すように凹凸版型2の凸版型21上にデニム布地1を配置した状態で摩擦処理を施しており、凸版型21は硬質な金型にすることにより、隆起部1Aがズレ難く安定して都合が良い。
【0024】更にまた、必要に応じて、デニム布地1を乾燥状態にして加工することによって、水を使って洗う場合のように染料が落ちて流れ出すことがないので、排水を汚染することがなく、環境保全につながるのである。
【0025】本発明は概ね上記のように構成されるが、本発明は図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、必ずしもデニム布地1の裏面の陥没部1Bに裏打樹脂Pを充填しなくとも、表面上には立体模様を形成することができる。
【0026】また、加工する際は、デニム布地1は乾燥状態であることが好ましいが、湿潤状態であっても良い。摩擦処理はデニム布地1を凸版型21上に配置したままでなくても良く、先に樹脂充填して硬化してから行っても良く、何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【0027】
【発明の効果】以上、実施形態をもって説明したとおり、本発明にあっては、凹凸版型によるエンボス加工によって、立体感のある形象を作出できると同時に、同一柄模様を的確に現出せしめることができ、隆起表面に摩擦処理を施すことで、視覚的にも立体模様をより一層強調することができる。更に必要に応じて、陥没部に樹脂を充填することによって、立体的な形状を安定的に保持することができる。
【0028】また、既存の加工方法によって染色済みのジーンズにビンテージ物のような地合いが付与されていても、それに付加的に加工することができる。更にまた、必要に応じて、デニム布地を乾燥下で処理することによって、洗濯によって模様が洗い落ちて染料が流出するおそれも無く、乾燥工程も必要がないので、コストダウンにつながることから、実用的価値は頗る高いものがある。
【出願人】 【識別番号】592201003
【氏名又は名称】八千矛化学株式会社
【出願日】 平成13年12月7日(2001.12.7)
【代理人】 【識別番号】100076484
【弁理士】
【氏名又は名称】戸川 公二
【公開番号】 特開2003−171865(P2003−171865A)
【公開日】 平成15年6月20日(2003.6.20)
【出願番号】 特願2001−373656(P2001−373656)