| 【発明の名称】 |
ミシンフレーム及びミシンフレームを備えたミシン |
| 【発明者】 |
【氏名】榊原 薫 【住所又は居所】名古屋市瑞穂区苗代町15番1号 ブラザー工業株式会社内
【氏名】木村 忠 【住所又は居所】名古屋市瑞穂区苗代町15番1号 ブラザー工業株式会社内
【氏名】黄木 武 【住所又は居所】名古屋市瑞穂区苗代町15番1号 ブラザー工業株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】ベッド部と脚柱部とアーム部とが合成樹脂により一体的に成形されていながらも剛性に優れたミシンフレーム等を提供すること。
【解決手段】ベッド部8と、そのベッド部8に立設された脚柱部7と、その脚柱部7からベッド部8上方に張り出すアーム部6との3つの主要部分が、合成樹脂により一体的に成形されたミシンフレーム1において、3つの主要部分により囲まれた空間9に臨むミシンフレーム1の内周壁51を補強する内周壁補強リブ70を備え、その内周壁補強リブ70は、ベッド部8と脚柱部7とが連結される部分から、アーム部6と脚柱部7とが連結される部分までの範囲に設けられる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ベッド部と、そのベッド部に立設された脚柱部と、その脚柱部から前記ベッド部上方に張り出すアーム部との3つの主要部分が、合成樹脂により一体的に成形されたミシンフレームにおいて、前記3つの主要部分により囲まれた空間に臨むミシンフレームの内周壁を補強する内周壁補強リブを備え、その内周壁補強リブは、前記ベッド部と前記脚柱部とが連結される部分から、前記アーム部と前記脚柱部とが連結される部分までの範囲に設けられることを特徴とするミシンフレーム。 【請求項2】 前記内周壁補強リブは、前記内周壁から離間した第1のリブと、その第1のリブと交差する第2のリブとを有し、前記第1及び第2のリブと前記内周壁とにより隔室状部分が形成されることを特徴とする請求項1に記載のミシンフレーム。 【請求項3】 前記第1のリブは前記内周壁に沿って連続して設けられ、前記第2のリブは一定間隔をおいて多数設けられることを特徴とする請求項2に記載のミシンフレーム。 【請求項4】 前記3つの主要部分により囲まれた空間に臨む前記内周壁は半円形状に形成され、前記第2のリブは、前記内周壁から放射状に配設されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のミシンフレーム。 【請求項5】 ベッド部と、そのベッド部に立設された脚柱部と、その脚柱部から前記ベッド部上方に張り出すアーム部との3つの主要部分が、合成樹脂により一体的に成形されたミシンフレームにおいて、ミシンフレームは、ミシンの正面または背面を構成する外部パネル壁と、その外部パネル壁の周囲に起立して形成された側壁とからなり、その側壁の中で前記3つの主要部分により囲まれた空間に臨む内周壁を補強するために前記外部パネル壁から起立して形成された内周壁補強リブと、前記外部パネル壁を補強するために前記外部パネル壁から起立して形成された外壁補強リブとを備え、前記内周壁補強リブは、前記ベッド部と前記脚柱部とが連結される部分から、前記アーム部と前記脚柱部とが連結される部分に設けられ、前記内周壁補強リブは、前記外壁補強リブより、前記外部パネル壁から起立した高さが大きいことを特徴とするミシンフレーム。 【請求項6】 前記外壁補強リブは、縦及び横の方向に伸びて多数の隔室状部分を形成し、前記外部パネル壁の全領域にわたって配設されることを特徴とする請求項5に記載のミシンフレーム。 【請求項7】 前記内周壁補強リブの下方に、断面が略半円形状で中空の補強部材を前記外部パネル壁と一体的に形成すると共に、前記補強部材の一端部を前記アーム部の長手方向に沿って延設し、且つ、前記補強部材の他端部を前記ベッド部の長手方向に沿って延設したことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載にミシンフレーム。 【請求項8】 ベッド部と、そのベッド部に立設された脚柱部と、その脚柱部から前記ベッド部上方に張り出すアーム部との3つの主要部分が、合成樹脂により一体的に成形されたミシンフレームにおいて、ミシンフレームは、ミシンの背面を構成する背面パネル壁とその背面パネル壁の周囲から起立する側壁とを有し、縫目形成機構が取り付けられるフレーム本体と、ミシンの正面を構成する正面パネル壁とその正面パネル壁の周囲から起立する側壁とを有し、前記フレーム本体に結合されるフレームカバーとからなり、前記3つの主要部分により囲まれた空間に臨む前記フレーム本体及び前記フレームカバーの内周の側壁を補強する内周壁補強リブを備え、その内周壁補強リブは、前記ベッド部と前記脚柱部とが連結される部分から、前記アーム部と前記脚柱部とが連結される部分までの範囲に設けられることを特徴とするミシンフレーム。 【請求項9】 前記内周壁補強リブの外周部に、前記内周壁補強リブを補強する補助内周壁補強リブを備えたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のミシンフレーム。 【請求項10】 請求項1から請求項9のいずれかに記載のミシンフレームを備えたミシン。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ベッド部と、そのベッド部に立設された脚柱部と、その脚柱部からベッド部上方に張り出すアーム部との3つの主要部分が、合成樹脂により一体的に成形されたミシンフレーム、及びこれを備えたミシンに関するものである。 【0002】 【従来の技術】ミシンは、スムーズな縫目形成動作ができることが必要である。スムーズな縫目形成動作を実現するためには、ミシンの針の上下往復動により発生する針先の振動や、それに伴って発生するミシンフレームの変形による針先の変位をできるだけ小さくしなければならない。なぜなら、針先の振動や変位が大きいと、ミシンのベッド部に配置された糸輪捕捉器の剣先が、針の上下往復動により形成される上糸の糸輪を捕捉できず、適切に縫い目が形成されなくなるからである。これを防ぐためには、糸輪捕捉器の剣先と上下往復動される針との出合い位置を常に適正に保持する必要がある。従って、ミシンには、針が加工布を刺通した際の反力による変位を防止できる高い剛性が要求される。このため、従来のミシンでは、ミシンカバーの内部に設けられた高剛性の金属製フレームに、針の上下往復動機構及び糸輪捕捉器を含む縫目形成機構を取り付ける構造が採用されている。 【0003】しかし、このような構造のミシンでは、コスト低減や軽量化という要請に応えることは困難である。なぜなら、ミシンフレームは、高い剛性を得るために堅固な箱型の構造が採られているところ、ミシンフレームに形成された小さな開口からその内側に縫目形成機構を格納しなければならないため、ミシンの組立作業は相当な熟練を要し、作業コストの上昇が避けられないからである。また、ミシンフレームは、高い剛性を得るために鋳鉄やアルミニウム等の金属材料により形成されているので、比較的重量物となってしまうからである。 【0004】そこで、コスト低減や軽量化という要請に応えることができるミシンフレームとして、図16に示されるような、一側面が開放され断面がコの字状に形成されたアーム部302と脚柱部303とベッド部304を合成樹脂によって一体成形し、脚柱部303とベッド部304とが連結される部分のベッド部304側に、ベッド部304の開放面の上部と下部とをつなぐ補強板301を固定して設けたミシンフレーム300が提案されている(例えば、特許文献1参照)。 【0005】 【特許文献1】特開平11−137880号公報【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のミシンフレーム300では、従来の金属製フレームと比較すると剛性が著しく低下してしまうという問題があった。具体的には、図16に示すように、アーム部302の先端付近の針の上下往復動において、針の往復する線上にかかる負荷により、ミシンフレーム300のアーム部302における垂直方向に振動が生じると共に、脚柱部303の上部においても水平方向にいわゆる尻振り現象が生じる。これは、針の上下往復動機構を支持するアーム部302が脚柱部303からベッド部304の上方に張り出して片持ち支持されているため、針の上下往復動により発生した応力がアーム部302、脚柱部303、及びベッド部304により囲まれた空間に臨むミシンフレームの内周壁302に集中してしまうところ、その内周壁302の剛性が不足しているからであると考えられる。従って、上記のミシンフレーム300では、その内周壁302の補強がされていないことから、依然として十分な剛性を得ることができず、これを用いたミシンではスムーズな縫目形成動作ができなかった。 【0007】本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、ベッド部と脚柱部とアーム部とが合成樹脂により一体的に成形されていながらも剛性に優れたミシンフレーム、及びこのようなミシンフレームを備えたミシンを提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記のような課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明は、ベッド部と、そのベッド部に立設された脚柱部と、その脚柱部から前記ベッド部上方に張り出すアーム部との3つの主要部分が、合成樹脂により一体的に成形されたミシンフレームにおいて、前記3つの主要部分により囲まれた空間に臨むミシンフレームの内周壁を補強する内周壁補強リブを備え、その内周壁補強リブは、前記ベッド部と前記脚柱部とが連結される部分から、前記アーム部と前記脚柱部とが連結される部分までの範囲に設けられることを特徴とする。 【0009】これにより、針の上下往復動により発生した応力が集中するアーム部、脚柱部、及びベッド部により囲まれた空間に臨むミシンフレームの内周壁のベッド部と脚柱部とが連結される部分からアーム部と脚柱部とが連結される部分までの範囲の剛性が十分に確保される。 【0010】従って、このミシンフレームを用いたミシンであれば、針の上下往復動が行われても、ミシンフレームの垂直方向に発生する振動や水平方向に発生する尻振り現象を防止できるので、スムーズな縫目形成動作が可能になる。 【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミシンフレームと同様の構成を備え、さらに、前記内周壁補強リブは、前記内周壁から離間した第1のリブと、その第1のリブと交差する第2のリブとを有し、前記第1及び第2のリブと前記内周壁とにより隔室状部分が形成されることを特徴とする。 【0012】これにより、内周壁は、内周壁から離間した第1のリブ及びその第1のリブと交差する第2のリブにより補強されるので、相当の厚さを有して形成されたのと同等の剛性を有するものとなる。 【0013】従って、このミシンフレームを用いたミシンであれば、針の上下往復動が行われても、ミシンフレームの垂直方向に発生する振動や水平方向に発生する尻振り現象を防止できるので、スムーズな縫目形成動作が可能になる。 【0014】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のミシンフレームと同様の構成を備え、さらに、前記第1のリブは前記内周壁に沿って連続して設けられ、前記第2のリブは一定間隔をおいて多数設けられることを特徴とする。 【0015】これにより、内周壁は、内周壁に沿って連続して設けられた第1のリブ及びその第1のリブと交差する多数の第2のリブにより補強されるので、相当の厚さを有して形成されたのと同等の剛性を有するものとなる。 【0016】従って、このミシンフレームを用いたミシンであれば、針の上下往復動が行われても、ミシンフレームの垂直方向に発生する振動や水平歩行に発生する尻振り現象を防止できるので、スムーズな縫目形成動作が可能になる。 【0017】請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載のミシンフレームと同様の構成を備え、さらに、前記3つの主要部分により囲まれた空間に臨む前記内周壁は半円形状に形成され、前記第2のリブは、前記内周壁から放射状に配設されることを特徴とする。 【0018】これにより、半円形状に形成された内周壁は、内周壁から離間した第1のリブ及び内周壁から放射状に配設されて第1のリブと交差する第2のリブにより補強されるので、内周壁の形状に応じてリブの配置が最適化され、相当の厚さを有して形成されたのと同等の剛性を有するものとなる。 【0019】従って、このミシンフレームを用いたミシンであれば、針の上下往復動が行われても、ミシンフレームの垂直方向に発生する振動や水平方向に発生する尻振り現象を防止できるので、スムーズな縫目形成動作が可能になる。 【0020】請求項5に記載の発明は、ベッド部と、そのベッド部に立設された脚柱部と、その脚柱部から前記ベッド部上方に張り出すアーム部との3つの主要部分が、合成樹脂により一体的に成形されたミシンフレームにおいて、ミシンフレームは、ミシンの正面または背面を構成する外部パネル壁と、その外部パネル壁の周囲に起立して形成された側壁とからなり、その側壁の中で前記3つの主要部分により囲まれた空間に臨む内周壁を補強するために前記外部パネル壁から起立して形成された内周壁補強リブと、前記外部パネル壁を補強するために前記外部パネル壁から起立して形成された外壁補強リブとを備え、前記内周壁補強リブは、前記ベッド部と前記脚柱部とが連結される部分から、前記アーム部と前記脚柱部とが連結される部分に設けられ、前記内周壁補強リブは、前記外壁補強リブより、前記外部パネル壁から起立した高さが大きいことを特徴とする。 【0021】これにより、外部パネル壁は、ミシンフレームの内部に縫目形成機構を収容し得る高さで形成された外壁補強リブにより十分な剛性が確保される。また、針の上下往復動により発生した応力が集中する内周壁のベッド部と脚柱部とが連結される部分からアーム部と脚柱部とが連結される部分までの範囲は、外壁補強リブよりも高く形成された内周壁補強リブによって、より一層、十分に剛性が確保される。つまり、内周壁補強リブの部分には縫目形成機構が収納されないことから、リブの高さを十分に高くすることができる。 【0022】従って、このミシンフレームを用いたミシンであれば、針の上下往復動が行われても、ミシンフレームの垂直方向に発生する振動や水平方向に発生する尻振り現象を防止できるので、スムーズな縫目形成動作が可能になる。 【0023】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のミシンフレームと同様の構成を備え、さらに、前記外壁補強リブは、縦及び横の方向に伸びて多数の隔室状部分を形成し、前記外部パネル壁の全領域にわたって配設されることを特徴とする。 【0024】これにより、外壁補強リブの高さを、ミシンフレームの内部に縫目形成機構を収容するためにあまり高くすることができなくても、外部パネル壁の剛性をより一層十分に確保することができる。 【0025】従って、このミシンフレームを用いたミシンであれば、針の上下往復動が行われても、ミシンフレームの垂直方向に発生する振動や水平方向に発生する尻振り現象を防止できるので、スムーズな縫目形成動作が可能になる。 【0026】請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載にミシンフレームと同様の構成を備え、さらに、前記内周壁補強リブの下方に、断面が略半円形状で中空の補強部材を前記外部パネル壁と一体的に形成すると共に、前記補強部材の一端部を前記アーム部の長手方向に沿って延設し、且つ、前記補強部材の他端部を前記ベッド部の長手方向に沿って延設したことを特徴とする。 【0027】これにより、針の上下往復動により発生した応力が集中する内周壁のベッド部と脚柱部とが連結される部分からアーム部と脚柱部とが連結される部分までの範囲について、その下方部分は外部パネル壁と一体的に形成された補強部材により補強され、且つ、その上方部分は内周壁補強リブにより補強されるので、より一層十分に剛性が確保される。 【0028】従って、このミシンフレームを用いたミシンであれば、針の上下往復動が行われても、ミシンフレームの垂直方向に発生する振動や水平方向に発生する尻振り現象を防止できるので、スムーズな縫目形成動作が可能になる。 【0029】請求項8に記載の発明は、ベッド部と、そのベッド部に立設された脚柱部と、その脚柱部から前記ベッド部上方に張り出すアーム部との3つの主要部分が、合成樹脂により一体的に成形されたミシンフレームにおいて、ミシンフレームは、ミシンの背面を構成する背面パネル壁とその背面パネル壁の周囲から起立する側壁とを有し、縫目形成機構が取り付けられるフレーム本体と、ミシンの正面を構成する正面パネル壁とその正面パネル壁の周囲から起立する側壁とを有し、前記フレーム本体に結合されるフレームカバーとからなり、前記3つの主要部分により囲まれた空間に臨む前記フレーム本体及び前記フレームカバーの内周の側壁を補強する内周壁補強リブを備え、その内周壁補強リブは、前記ベッド部と前記脚柱部とが連結される部分から、前記アーム部と前記脚柱部とが連結される部分までの範囲に設けられることを特徴とする。 【0030】これにより、針の上下往復動を行わせる縫目形成機構が取り付けられるフレーム本体において、発生した応力が集中するアーム部、脚柱部、及びベッド部により囲まれた空間に臨むミシンフレームの内周壁のベッド部と脚柱部とが連結される部分からアーム部と脚柱部とが連結される部分までの範囲の剛性が十分に確保される。 【0031】従って、このミシンフレームを用いたミシンであれば、針の上下往復動が行われても、ミシンフレームの垂直方向に発生する振動や水平方向に発生する尻振り現象を防止できるので、スムーズな縫目形成動作が可能になる。 【0032】請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項8に記載のミシンフレームと同様の構成を備え、さらに、前記内周壁補強リブの外周部に、前記内周壁補強リブを補強する補助内周壁補強リブを備えたことを特徴とする。これにより、内周壁の剛性がより一層確保されるので、このミシンフレームを用いたミシンであれば、針の上下往復動が行われても、ミシンフレームの垂直方向に発生する振動や水平方向に発生する尻振り現象を防止できるので、スムーズな縫目形成動作が可能になる。 【0033】請求項10に記載の発明は、請求項1から請求項9のいずれかに記載のミシンフレームを備えたミシンであることを特徴とする。 【0034】 【発明の実施の形態】[ミシンの全体構造]以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、実施形態に係るミシンフレームを備えたミシンの全体構造について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、実施形態に係るミシンフレーム1を備えたミシンの全体構造を示す正面図であり、図2は、実施形態に係るミシンフレーム1を備えたミシンの全体構造を示す側面図である。 【0035】ミシンフレーム1は、ベッド部8と、そのベッド部8に立設された脚柱部7と、その脚柱部7からベッド部8上方に張り出すアーム部6との3つの主要部分が、全体として略コ字状を形成するように、合成樹脂により一体的に成形されている。このミシンフレーム1は、針16の上下往復動機構及び糸輪捕捉器を含む縫目形成機構を支持すると共に、そのままミシンの外殻を構成している。つまり、このミシンフレーム1では、縫目形成機構を取り付けるための金属製フレームが不要となっている。従って、従来のように、金属製フレームに縫目形成機構を取り付け、その上から樹脂カバーで被覆する構成と比較すると、構成の単純化、大幅な軽量化を図ることができる。なお、合成樹脂の成形方法としては、周知の射出成形法等を用いることができる。 【0036】ミシンフレーム1に用いられる合成樹脂材料としては、スチレン系樹脂等の非結晶性の熱可塑性樹脂、具体的には、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン、アクリロニトリルアクリレートスチレン、アクリロニトリルエチレンスチレン、塩素化アクリロニトリルポリエチレンスチレン等を用いることができ、これらを単独で、あるいは混合物として用いることができる。この中でも、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体を主成分とし、タルクあるいはガラスビーズ等の無機の添加剤を添加した樹脂組成物が、剛性及び熱膨張係数の点で好適である。また、このような材料を用いると、そのままでも十分な美観を呈するため、後工程で塗装をすることが不要になる。 【0037】アーム部6は、上糸を担持した針16を上下往復動させる上機構ユニット3を支持するものである。この上機構ユニット3は、ミシンの駆動源であるモータ2により発生した回転運動をクランク機構により往復運動に変換して針16に伝達するものである。また、上機構ユニット3は、金属製の上フレーム11に取り付けられた主軸12、天秤クランク13、針棒ホルダ14、針棒15、天秤支え軸17等からなる。なお、上フレーム11は、ミシンフレーム1に複数個のネジにて直接取り付けられている。 【0038】ここで、上機構ユニット3の作用について説明すると、モータ2により発生された回転駆動力は、モータベルト36を介して大プーリ35に伝達される。そして、大プーリ35に伝達された回転駆動力は、軸受け32、32により回転可能に支持された上伝導軸31、及び上伝導軸31と継ぎ手を介して連結された主軸12を介して天秤クランク13に伝達される。この天秤クランク13に伝達された回転運動は、針棒クランクロッドの働きにより、針棒ホルダ14により上下往復動可能に支持された針棒15の往復運動に変換され、針16に伝達されるのである。 【0039】脚柱部7は、その上端部にてアーム部6を片持ち支持すると共に、その下端部にてベッド部8に連結されている。脚柱部7の内部には、モータ2からの回転駆動力をアーム部6内の上機構ユニット3及びベッド部8内の下機構ユニット4に伝達するための動力伝達手段5が設けられている。動力伝達手段5は、モータ2、大プーリ35、モータベルト36、プーリ38、プーリ39、タイミングベルト41等からなる。この動力伝達手段5は、ミシンフレーム1に直接取り付けられている。 【0040】ここで、動力伝達手段5の作用について説明すると、脚柱部7の下方に固定されたモータ支持金具33により支持されたモータ2から供給された回転駆動力は、モータベルト36を介して大プーリ35に伝達される。そして、大プーリ35に伝達された回転駆動力は、軸受け32、32により回転可能に支持された上伝導軸31に伝達される。この回転運動は、上記のように、主軸12を介して上機構ユニット3に伝達されるが、一方で下機構ユニット4にも伝達される。すなわち、上伝導軸31のほぼ中央部分にはプーリ39が固着されており、プーリ39に伝達された回転運動は、タイミングベルト41を介してベッド部8に配置されたプーリ38に伝達される。そして、プーリ38には、軸受け32により回転可能に支持された下伝導軸37が連結されているので、プーリ38の回転運動により下伝導軸37も上伝導軸31の回転に同期して回転されることになる。 【0041】ベッド部8は、その一端部にて脚柱部7が立設され、上下動される針の上糸の糸輪を捕捉して縫い目を形成するための糸輪捕捉器としての釜23を支持するものである。ベッド部8の内部には、釜23を針16の上下往復動と同期させて回転駆動するための下機構ユニット4が設けられている。この下機構ユニット4は、金属製の下フレーム20に取り付けられた下軸21、ヘリカルギヤ22、釜23、ヘリカルギヤ24、下伝導軸37等からなる。なお、下フレーム20は、ミシンフレーム1に複数個のネジにて直接取り付けられている。 【0042】ここで、下機構ユニット4の作用について説明すると、タイミングベルト41を介してプーリ38に伝達された回転運動は、軸受け32により回転可能に支持された下伝導軸37、及び下伝導軸37と継ぎ手を介して連結され、軸受け25、25により回転可能に支持された下軸21を介してヘリカルギヤ22(図2参照)に伝達される。なお、図2に示すように、下軸21にはヘリカルギヤ22が固着されている。一方、下フレーム20には水平面内を回転する釜23が固定された釜軸が回転可能に支持され、その釜軸にはヘリカルギア22とかみ合うヘリカルギヤ24が固着されている。従って、下軸21が回転すると、ヘリカルギヤ22、24を介して釜23が回転することになる。このとき、釜23の剣先が上下往復動される針16の針先と同期して、針16に担持される上糸の糸輪を捕捉できるようになっている。[ミシンフレーム]上記のような構成を採用したミシンにおいて、スムーズな縫目形成動作を実現するためには、針16の上下往復動により発生する針先の振動や、それに伴って発生するミシンフレーム1の変形による針先の変位をできるだけ小さくしなければならない。なぜなら、針先の振動や変位が大きいと、ベッド部8に配置された釜23の剣先が、針16の上下往復動により形成される上糸の糸輪を捕捉できず、適切に縫い目が形成されなくなるからである。これを防ぐためには、回転駆動される釜23の剣先と、上下往復動される針16との出合い位置を常に適正に保持する必要がある。従って、ミシンフレーム1には、針が加工布を刺通した際の反力による変形(変位)を防止できる高い剛性が要求される。しかしながら、合成樹脂により一体的に成形されたミシンフレームでは十分な剛性を確保することが困難であるので、本実施形態に係るミシンフレーム1では、十分な剛性を確保するために種々の構成を採用している。 【0043】図2に示すように、ミシンフレーム1は、その側面のほぼ中央部(図中の一点鎖線部)に形成された分割面52を境界として、針16を上下往復動させる上機構ユニット3及び釜23を回転駆動させる下機構ユニット4からなる縫目形成機構が取り付けられるフレーム本体1Aと、フレーム本体1Aに結合されて縫目形成機構を被覆するフレームカバー1Bとに分割形成されている。 【0044】フレーム本体1Aとフレームカバー1Bの分割面52は全面的に開放した形状となっていて(図4、図11等参照)、その内部に上機構ユニット3及び下機構ユニット4等を収容し得るようになっている。そして、ミシンの組立時には、フレーム本体1Aの開放面から上機構ユニット3及び下機構ユニット4等を取り付けた後、フレーム本体1A及びフレームカバー1Bに設けられた結合部90、190等(図4、図11等参照)にネジ等を螺合させて両者を結合する。従って、ミシンの組立時には組立作業が容易に行えるので組立コストの低減を図ることができると共に、組立後にはミシンフレームの開放面が閉塞されるので、十分に剛性が確保され、針16の上下往復動によるアーム部2のねじれ変形が生じにくくなる。 【0045】[フレーム本体]次に、ミシンフレーム1のフレーム本体1Aについて、図3から図9を参照して説明する。図3は、フレーム本体1Aを外側から見た斜視図であり、図4は、フレーム本体1Aを内側から見た斜視図であり、図5は、フレーム本体1Aを内側から見た平面図であり、図6(A)は、フレーム本体1AのA−A線(図5参照)における断面図であり、図6(B)は、フレーム本体1AのB−B線における断面図であり、図7(A)は、フレーム本体1AのC−C線における断面図であり、図7(B)は、フレーム本体1Aの下端縁の拡大図であり、図7(C)は、フレーム本体1AのD−D線における断面図であり、図8(A)は、フレーム本体1AのE−E線における断面図であり、図8(B)は、フレーム本体1AのF−F線における断面図であり、図8(C)は、図8(B)における突起103の部分を拡大した拡大図であり、図8(D)は、フレーム本体1AのM−M線における断面図であり、図9(A)は、フレーム本体1AをG−G線から見た拡大平面図であり、図9(B)は、フレーム本体1AをH−H線から見た拡大平面図である。 【0046】図3に示すように、フレーム本体1Aは、アーム部6、脚柱部7、ベッド部8との3つの主要部分からなり、それらが一体的に成形されている。前記3つの主要部分により囲まれた部分は、半円形状に形成された空間9となっている。また、フレーム本体1Aは、ミシンの背面を構成する背面パネル壁250と、その背面パネル壁250の周囲から起立する側壁251とを有している。この側壁251のうちの空間9に臨む部分は、特に内周壁51と称する。なお、内周壁51には、布押さえレバー(図示しない)が挿通される長方形状の開口部53が開設されている。 【0047】また、図1、図4及び図5に示すように、フレーム本体1Aには、縫目形成機構を取り付けるための構成が備えられている。具体的には、アーム部6内には、天秤支え軸(図示しない)を回転自在に支持するための一対の天秤支え軸支持部140、140、針棒ホルダ14を取り付けるための針棒ホルダ取付部141、上フレーム11が取り付けられる上フレーム取付部142、モータ2からの回転駆動力を上機構ユニット3に伝達する上伝動軸31を回転自在に支持するための一対の上伝導軸支持部144、144等が設けられている。また、脚柱部7内には、モータ2を支持固定するモータ支持金具33が取り付けられるモータ支持金具取付部146が設けられている。さらに、ベッド部8内には、モータ2からの回転駆動力を下機構ユニット4に伝達する下伝動軸37を回転自在に支持するための一対の下伝導軸支持部147、下フレーム20が取り付けられる下フレーム取付部148等が設けられている。 【0048】[補強部材]図4及び図5に示すように、フレーム本体1Aの側壁251の中で、ベッド部8と脚柱部7とアーム部6との3つの主要部分により囲まれた空間9に臨む内周壁51の周囲には、補強部材60が背面パネル壁250と一体的に形成されている。この補強部材60の一端部は、アーム部6の長手方向に沿って、アーム部6の脚柱部7と反対側に形成された側壁251の近傍まで延設されている。同様に、補強部材60の他端部は、ベッド部8の長手方向に沿って、ベッド部8の脚柱部7と反対側に形成された側壁251の近傍まで延設されている。このように、補強部材60は、背面パネル壁250において、内周壁51の周囲では半円形状に配置されると共に、その一端部がアーム部6を横断するように直線状に配置され、その他端部がベッド部8を横断するように直線状に配置されている。従って、全体としてはU字状を形成するように連続的に配置されている。これにより、脚柱部7からアーム部6及びベッド部8が張り出している部分については、補強部材60により全体的に補強がされるようになる。 【0049】また、図8(D)に示されるように、補強部材60は、断面が略半円形状であり、中空のチューブ状に形成されている。そして、補強部材60は、フレーム本体1Aの背面パネル壁250の内側から隆起するように、背面パネル壁250と一体的に形成されている。このように補強部材60をチューブ状に形成したのは、次のような理由による。すなわち、上記のように、フレーム本体1Aは射出成形法にて成形されるが、この場合、溶融した樹脂組成物を金型のキャビティ内に注入した後に冷却すると、成形品の肉厚が厚い部分では、肉厚の薄い部分に比べて固化が遅れ、且つ収縮量が大きいことから、その部分だけが陥没してしまうひけ現象が生じることがある。そこで、これを防止するため、補強部材60の内部を中空のチューブ状として、補強された部分だけが肉厚にならないようにしているのである。なお、補強部材60のチューブ状部は、フレーム本体1Aの成形時に、補強部材60の側壁251付近の一端部に形成されたガス注入口61から、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性な流体を注入し、その後冷却することにより形成されている。 【0050】上記のような補強部材60の構成により、針16の上下往復動により発生した応力が集中するアーム部6、脚柱部7、及びベッド部8により囲まれた空間9に臨むフレーム本体1Aの内周壁51、並びにその内周壁51に隣接するアーム部6及びベッド部8の背面パネル壁250及び側壁251の剛性が十分に確保される。従って、このフレーム本体1Aを用いたミシンであれば、針16の上下往復動が行われても、フレーム本体1Aの垂直方向に発生する振動や水平方向に発生する尻振り現象を防止できるので、スムーズな縫目形成動作が可能になる。また、補強部材60は、断面が半円形状で中空であることから、軽量且つ十分な強度を有し、背面パネル壁250と一体的に形成されることから、形成工程を簡略化することができる。 【0051】なお、上記の実施形態では、補強部材60の一端部をアーム部6の先端の側壁251の近傍まで延設し、他端部をベッド部8の先端の側壁251の近傍まで延設するようにしたが、アーム部6やベッド部8の途中部分までしか延設しないようにすることもできる。ただし、少なくとも空間9の周囲の部分には補強部材60を形成することが望ましい。これらの場合には、補強部材の配置形状は、J字状となったり、C字状となったり、コ字状となったりすることになる。 【0052】[補助補強部材]図4及び図5に示すように、フレーム本体1Aの背面パネル壁250には、補強部材60の外周部に補強部材60と所定間隔を有して略平行に配置された補助補強部材66が、背面パネル壁250と一体的に形成されている。この補助補強部材66は、アーム部6の脚柱部7と反対側に形成された側壁251の近傍から、アーム部6の長手方向に沿ってアーム部6を横断するように脚柱部7に至り、脚柱部7の内部を半円状に反転されてベッド部8に至り、ベッド部8の長手方向に沿ってベッド部8を横断してベッド部8の脚柱部7と反対側に形成された側壁251の近傍まで至るように連続的に配置されている。このように、補助補強部材66が補強部材60と略平行に配置されているのは、フレーム本体1Aの成形時に補強部材60と補助補強部材66の間の背面パネル壁250を構成する部分に合成樹脂が均等に充填されるようにして、背面パネル壁250に発生するウェルドラインの発生やひけ現象を防止することにより美観を向上するためである。 【0053】図7(C)に示すように、補助補強部材66は、補強部材60と同様に、断面が略半円形状であり、その内部に空洞68を有する中空のチューブ状に形成されている。そして、補助補強部材66は、フレーム本体1Aの背面パネル壁250の内側から隆起するように、背面パネル壁250と一体的に形成されている。このように補助補強部材66をチューブ状に形成した理由は、上記の補強部材60をチューブ状に形成した理由と同様である。また、補助補強部材66のチューブ状部の形成方法も、上記の補強部材60のチューブ状部の形成方法と同様である。 【0054】上記のような補助補強部材66の構成により、背面パネル壁250の剛性がより一層十分に確保されるので、このフレーム本体1Aを用いたミシンであれば、針16の上下往復動に伴う振動や尻振り現象を効果的に防止でき、スムーズな縫目形成動作が可能になる。 【0055】なお、上記の実施形態では、補助補強部材66は、補強部材60の外周部に1本だけ形成するようにしたが、2本以上形成することもできる。 【0056】なお、本実施形態に係るミシンフレーム1では、フレーム本体1Aにのみ補強部材60及び補助補強部材66を設けていて、後述するフレームカバー1Bには補強部材及び補助補強部材を設けていない(図11等参照)。これは、フレーム本体1Aには、針16を上下往復動させる上機構ユニット3及び釜23を回転駆動させる下機構ユニット4からなる縫目形成機構が取り付けられるため、振動や変位が発生しやすいからである。ただし、必要に応じてフレームカバー1Bにも補強部材及び補助補強部材を設けることは可能であり、そのように構成することにより、さらに高い剛性を確保することができる。 【0057】[内周壁補強リブ]図4及び図5に示すように、フレーム本体1Aの背面パネル壁250の内側には、ベッド部8と、そのベッド部8に立設された脚柱部7と、その脚柱部7からベッド部8上方に張り出すアーム部6との3つの主要部分により囲まれた空間9に臨むフレーム本体1Aの内周壁51を補強する内周壁補強リブ70が設けられている。内周壁補強リブ70は、内周壁51の外周を取り巻くように、ベッド部8と脚柱部7とが連結される部分から、アーム部6と脚柱部7とが連結される部分までの範囲に形成されている。 【0058】内周壁補強リブ70は、内周壁51から離間した第1のリブとしての隔壁状リブ71と、その隔壁状リブ71と交差する第2のリブとしての中間リブ72とを有する。隔壁状リブ71は、背面パネル壁250の内側から、内周壁51に沿って連続して垂直状に立設されている。また、中間リブ72は、背面パネル壁250の内側から、内周壁51と隔壁状リブ71の間に一定間隔をおいて、垂直状に多数立設されている。この中間リブ72は、内周壁51と隔壁状リブ71とを連結し、さらにはそれらと背面パネル壁250とを連結している。このようにして内周壁51と隔壁状リブ71及び中間リブ72とが配置されていることにより、内周壁51と隔壁状リブ71の間には、断面が台形状の複数の隔室状部分73が形成されている。ここで、フレーム本体1Aのベッド部8、脚柱部7、アーム部6の3つの主要部分により囲まれた空間9に臨む内周壁51は半円形状に形成されていることから、中間リブ72は、空間9の中の一点を中心として内周壁51から放射状に伸びるように配設されている。これにより、中間リブ72は、内周壁51及び隔壁状リブ72に対して垂直に交差するようになるので、リブの配置が最適化され、内周壁51を効果的に補強することができる。 【0059】上記のような内周壁補強リブ70の構成により、内周壁51は相当の厚さを有して形成されたのと同等の剛性を有するものとなる。つまり、針16の上下往復動により発生した応力が集中するアーム部6、脚柱部7、及びベッド部8により囲まれた空間9に臨むフレーム本体1Aの背面パネル壁250のベッド部8と脚柱部7とが連結される部分からアーム部6と脚柱部7とが連結される部分までの範囲の剛性が十分に確保される。従って、このフレーム本体1Aを用いたミシンであれば、針16の上下往復動が行われても、フレーム本体1Aの垂直方向に発生する振動や水平方向に発生する尻振り現象を防止できるので、スムーズな縫目形成動作が可能になる。 【0060】なお、上記の実施形態では、内周壁補強リブ70は、ベッド部8と脚柱部7とが連結される部分から、アーム部6と脚柱部7とが連結される部分までの範囲に形成するようにしたが、これを内周壁51の外周の全範囲にわたって形成することもできる。また、上記の実施形態では、中間リブ72を多数設けるようにしたが、内周壁51と隔壁状リブ71とを十分に固定することができれば、さらに少数にしたり、1つにしたりすることもできる。さらに、上記の実施形態では、独立した中間リブ72が放射状に配設されたものを示したが、中間リブ72同士を連結、交差させて断面がハニカム状またはダイヤフラム状になるようにしてもよい。 【0061】なお、上記のように、フレーム本体1Aの内周壁51の周囲には、断面が略半円形状で中空の補強部材60が、背面パネル壁250と一体的に形成されている。つまり、内周壁51の周囲のほぼ同じ位置に、補強部材60と内周壁補強リブ70の双方が形成されていることになる。具体的には、補強部材60は、内周壁補強リブ70の下方、すなわち背面パネル壁250により近い側に位置している。そして、内周壁補強リブ70は、補強部材60の表面に立設されている。このような構成としたのは、上記のように、内周壁51は針16の上下往復動により発生した応力が集中する部分であるので、十分な補強が必要とされるからである。また、内周壁51の周囲には、縫目形成機構が収容されないのでスペースに余裕があり、十分な高さを有する内周壁補強リブ70を形成することができるからである。 【0062】[外壁補強リブ]図4及び図5に示すように、フレーム本体1Aの背面パネル壁250の内側には、その略全領域にわたって、背面パネル壁250から起立して形成された外壁補強リブ80がマトリクス状に配設されている。外壁補強リブ80は、ミシンを作業台に設置した場合における垂直方向(縦方向)に配列された縦方向リブ81と、水平方向(横方向)に配列された横方向リブ82とからなる。これらの縦方向リブ81及び横方向リブ82は、図6(A)、(B)に示すように、フレーム本体1Aの背面パネル壁250に対してほぼ垂直状に立設されている。なお、縦方向リブ81及び横方向リブ82の端部は、フレーム本体1Aの側壁251に連結されている。また、向かい合う一対の縦方向リブ81、81と、横方向リブ82、82により囲まれた領域は、略正方形状又は長方形状の隔室状部分83として形成されている。この隔室状部分83は、フレーム本体1Aの背面パネル壁250の内側に多数設けられている。 【0063】多数の隔室状部分83の中で、面積が広い隔室状部分83を形成する外壁補強リブ80は、面積が狭い隔室状部分83より、背面パネル壁250から起立した高さが高くなるように形成されている。ここで、面積が広い隔室状部分83として、脚柱部7内の上伝導軸支持部144の右側にある大隔室状部分83Aを(図4及び図5参照)、面積が狭い隔室状部分83として、アーム部6内の針棒ホルダ取付部141の右下側にある小隔室状部分83Bを(同図参照)、例にとって説明する。図5に示されるように、大隔室状部分83Aの縦方向の長さxは、小隔室状部分83Bの縦方向の長さuとほぼ同じである。しかし、大隔室状部分83Aの横方向の長さyは、小隔室状部分83Bの横方向の長さvの2倍以上の長さを有している。従って、大隔室状部分83Aの面積は、小隔室状部分83Bの面積よりも広くなっている。一方、図6(A)に示されるように、大隔室状部分83Aを形成する外壁補強リブ80(横方向リブ82)の背面パネル壁250からの高さzは、小隔室状部分83Bを形成する外壁補強リブ80(縦方向リブ81)の背面パネル壁250からの高さwよりも高くなっている。これは、フレーム本体1Aの内部に収容される部品の大きさ・形状や、フレーム本体1Aのデザイン上の要請により、外壁補強リブ80の高さが部分ごとに不均一になっても、外壁補強リブ80の高さが高い部分については隔室状部分83の面積を広くし、外壁補強リブ80の高さが低い部分については隔室状部分83の面積を狭くすることで、背面パネル壁250の剛性を全体で均一化できるようにするためである。これにより、背面パネル壁250の特定部分に応力が集中することが防止されるので、フレーム本体1A全体としては十分な剛性を確保できることになる。 【0064】また、ベッド部8及びアーム部6において縫目形成機構が収納される収納部分に形成された外壁補強リブ80は、その収納部分以外の他の部分より、背面パネル壁250から起立した高さが低くなるように形成されている。すなわち、上記のように、小隔室状部分83Bは、上機構ユニット3を構成する針棒ホルダ14を取り付けるための針棒ホルダ取付部141の右下側に位置していて、縫目形成機構が収納される部分である。従って、縫目形成機構を収納するため、上記のように、外壁補強リブ80(縦方向リブ81)の背面パネル壁250からの高さwは比較的低く形成されている。一方、大隔室状部分83Aは、縫目形成機構が収納される部分ではない。従って、上記のように、外壁補強リブ80(横方向リブ82)の背面パネル壁250からの高さzは比較的高く形成されている。もっとも、このように構成すると、縫目形成機構が収納される部分では、背面パネル壁250の剛性が不十分となるおそれがある。そこで、縫目形成機構が収納される部分では、その収納部分以外の他の部分より、隔室状部分83の面積が狭くなるようにして、すなわち、小隔室状部分83Bを形成するようにして、その収納部分の背面パネル壁250の剛性を他の部分の背面パネル壁250と同等にしているのである。そうすると、背面パネル壁250の特定部分に応力が集中することが防止されるので、フレーム本体1A全体としては十分な剛性を確保できることになる。 【0065】上記のような外壁補強リブ80の構成により、フレーム本体1Aの背面パネル壁250の剛性が十分に確保されるので、針16の上下往復動によりアーム部6の背面パネル壁250に生じるねじれ変形や、アーム部6のねじれ変形に伴って生じる脚柱部7及びベッド部8の背面パネル壁250のねじれ変形を最小限に抑えることができる。また、外壁補強リブ80は、背面パネル壁250の縦方向及び横方向に伸びて多数の隔室状部分83を形成するように配設されていることにより、外壁補強リブ80の高さを、フレーム本体1Aの内部に縫目形成機構を収容するためにあまり高くすることができなくても、背面パネル壁250の剛性をより一層十分に確保することができる。従って、このフレーム本体1Aを用いたミシンであれば、針16の上下往復動が行われても、フレーム本体1Aの垂直方向に発生する振動や水平方向に発生する尻振り現象を防止できるので、スムーズな縫目形成動作が可能になる。 【0066】なお、上記の実施形態では、背面パネル壁250の略全領域にわたって外壁補強リブ80を形成するようにしたが、縫目形成機構から離れていてそれほど剛性が必要とされない部分(例えば、脚柱部7の上方部分)については、これを形成しないようにすることもできる。また、上記の実施形態では、外壁補強リブ80を背面パネル壁250の縦方向及び横方向に配列して略正方形状又は長方形状の隔室状部分83を形成するようにしたが、例えば、隔室状部分83が六角形や八角形となるように外壁補強リブ80を配列してもよい。 【0067】なお、前述の内周壁補強リブ70は、外壁補強リブ80より、背面パネル壁250から起立した高さが大きくなっている。具体的には、図8(A)に示すように、フレーム本体1Aのアーム部6の根元部分では、内周壁補強リブ70は、背面パネル壁250から分割面52に至る高さで形成されているのに対し、外壁補強リブ80を構成する縦方向リブ81は、背面パネル壁250から分割面52に至る高さの半分程度の高さで形成されている。また、図8(B)に示すように、フレーム本体1Aの脚柱部7の中央部分では、内周壁補強リブ70を構成する中間リブ72は、背面パネル壁250から分割面52に至る高さで形成されているのに対し、外壁補強リブ80を構成する横方向リブ82は、壁面50から分割面52に至る高さの半分以下の高さで形成されている。これは、針16の上下往復動により発生する応力が集中する箇所である内周壁51については高い剛性が必要とされる一方、フレーム本体1Aの背面パネル壁250の内側には上機構ユニット3、下機構ユニット4からなる縫目形成機構を収容するスペースを確保しなければならないからである。 【0068】[結合部]図4及び図5に示すように、フレーム本体1Aの背面パネル壁250には、分割形成されたフレーム本体1Aとフレームカバー1Bとを結合するための複数の結合部90、92、94、96が設けられている。結合部90は、フレーム本体1Aの内周壁51に沿って、ベッド部8と脚柱部7とが連結される部分に形成されている。より具体的には、内周壁51の周囲に形成された内周壁補強リブ70及びその下方に形成された補強部材60に隣接するように配置されている。このように結合部90を配置したのは、針16の上下往復動により発生する脚柱部7の上部の尻振り現象の原因となるアーム部6及び脚柱部7のねじれ変形を防止するためである。また、結合部92は、フレーム本体1Aの内周壁51に沿って、アーム部6と脚柱部7とが連結される部分に形成されている。より具体的には、内周壁51の周囲に形成された内周壁補強リブ70及びその下方に形成された補強部材60に隣接するように配置されている。また、結合部94は、フレーム本体1Aの内周壁51に沿って、内周壁補強リブ70のアーム部6側の終端部付近に形成されている。なお、結合部92と結合部94は、結合部90を基準として、空間9の略半円周上に均等な間隔を有して配置されている。さらに、結合部96は、フレーム本体1Aとフレームカバー1Bを均等な圧力で結合できるように、背面パネル壁250の内側の隅角部または辺縁部の複数箇所に形成されている。 【0069】これらの結合部90、92、94、96の内部には、それぞれにネジ孔91、93、95、97が穿設されていて、フレームカバー1Bの正面パネル壁252の対応する位置に配置された結合部190、192、194、196(図11等参照)と重ね合わされた状態でネジ(図示しない)を螺合することにより、フレーム本体1Aとフレームカバー1Bとを着脱可能に結合し得るようになっている。従って、ミシンの組み立て時には、フレーム本体1Aに縫目形成機構を取り付けた後、フレームカバー1Bをネジ止めするだけで容易に組み立てることができ、作業コストの低減を図ることができる。また、後の点検・修理時には、ネジを緩めるだけでフレームカバー1Bをフレーム本体1Aから取り外して容易に縫目形成機構の全てを露出させることができ、メンテナンスが容易になる。なお、本実施形態では、フレーム本体1A及びフレームカバー1Bの結合にネジを用いたが、ネジの代わりにボルト及びナット等を用いても良い。 【0070】上記のような結合部90、92、94の構成により、針16の上下往復動により発生した応力が集中するアーム部6、脚柱部7、及びベッド部8により囲まれた空間9に臨むフレーム本体1Aの内周壁51とフレームカバー1Bの内周壁161が、応力によって上下又は左右の方向に相対移動しようとしても、フレーム本体1Aとフレームカバー1Bを結合する複数の結合部190、192、194(図11等参照)が内周壁51、161に沿って配置されていることによって、両者の相対移動が規制される。そうすると、フレーム本体1Aの内周壁51とフレームカバー1Bの内周壁161が当接したままとなり、フレーム本体1Aとフレームカバー1Bの適切な結合状態が保持される。そして、当接した状態の内周壁51、161を通じて、振動を発生する縫目形成機構が取り付けられるフレーム本体1Aからフレームカバー1Bへと応力が伝達され、ひいてはミシンフレーム1の全体に応力が分散される。このようにして応力が分散されれば、ミシンフレーム1全体としては十分な剛性を確保できることになる。従って、このミシンフレーム1を用いたミシンであれば、針16の上下往復動が行われても、ミシンフレーム1の垂直方向に発生する振動や水平方向に発生する尻振り現象を防止することができるので、スムーズな縫目形成動作が可能になる。 【0071】なお、上記の実施形態では、フレーム本体1Aの内周壁51に沿って結合部を3箇所配置するようにしたが、2箇所に配置したり、4箇所以上に配置したりすることもできる。 【0072】[突起]図4に示すように、フレーム本体1Aの分割面52には、突起100、101、102、103が設けられている。これらの突起100、101、102、103は、フレーム本体1Aとフレームカバー1Bが結合されたときに、フレームカバー1Bの分割面52(図11等参照)に設けられた嵌合部111、112、113、114と嵌合されて、フレーム本体1A及びフレームカバー1Bが水平方向に相対移動することを規制するためのものである。 【0073】このように構成したのは、次のような理由による。すなわち、前述のように、針16の上下往復動により、脚柱部7の上部においても水平方向にいわゆる尻振り現象が生じるが、そうすると、結合されたフレーム本体1Aとフレームカバー1Bが水平方向に相対移動して、両者が位置ズレを起こす場合がある。このように両者が位置ズレを起こした場合には、適切な結合状態が保たれず剛性不足となり、振動や変位の発生を助長してしまうことになる。しかも、フレーム本体1Aとフレームカバー1Bはネジにより相当の圧力で結合されていて、摩擦係数も大きいことから、一旦位置ズレを起こすと容易に元の状態に戻ることはない。従って、当初からフレーム本体1Aとフレームカバー1Bの位置ズレの発生を防止する必要があるため、上記構成を採用したものである。これにより、ミシンフレーム1について、十分な剛性を確保することができる。 【0074】ここで、突起100は、図9(A)に示すように、アーム部6の下方の分割面52上であって、針16の上下往復動機構が支持される水平状部分と空間9が形成される半円状部分の境界付近に、結合されるフレームカバー1Bの方向に向かってほぼ垂直に突設されている。なお、アーム部6の先端部には、針16の上下往復動機構が下方に突出される開口部143が開設されていて、突起100はその開口部143の一側端部に位置している。この突起100は、フレームカバー1Bのアーム部6に設けられた嵌合部111(図11等参照)に嵌合される。これにより、結合されたフレーム本体1Aとフレームカバー1Bのアーム部6の分割面52に振動や変位が生じて両者が相対移動することが規制される。 【0075】突起101、102は、図9(B)に示すように、ベッド部8の上方の分割面52上であって、釜23等が露出される開口部149の両側端部に、結合されるフレームカバー1Bの方向に向かってほぼ垂直に突設されている。これらの突起101、102は、フレームカバー1Bのベッド部8に設けられた嵌合部112、113(図11等参照)に嵌合される。これにより、結合されたフレーム本体1Aとフレームカバー1Bのベッド部8の分割面52に振動や変位が生じて両者が相対移動することが規制される。 【0076】突起103は、図8(B)、(C)に示すように、空間9の周囲の分割面52上の所定位置、すなわち、内周面補強リブ70を構成する中間リブ72上であって、空間9の内周壁51と交差する部分の近傍位置に、結合されるフレームカバー1Bの方向に向かってほぼ垂直に突設されている。この突起103は、フレームカバー1Bの空間9に設けられた溝状の嵌合部114(図11等参照)に嵌合される。これにより、結合されたフレーム本体1Aとフレームカバー1Bの凹部9の分割面52に振動や変位が生じて両者が相対移動することが規制される。 【0077】なお、図4及び図9(A)に示すように、フレーム本体1Aのアーム部6の下方の分割面52上であって、開口部143の突起100が突設される側と反対側である他側端部には、フレームカバー1Bのアーム部6の下方の分割面52上に突設された突起104(図11等参照)が嵌合される嵌合部110が陥没形成されている。これにより、結合されたフレーム本体1Aとフレームカバー1Bのアーム部6の分割面52に振動や変位が生じて両者が相対移動することが規制される。 【0078】[段差部]図4及び図7(A)に示すように、フレーム本体1Aのフレームカバー1Bと当接する上端縁120のほぼ全ての部分にわたって、その下方がフレームカバー1B側に突出した凸状段差部121が形成されている。この凸状段差部121は、その突出した部分が、フレームカバー1Bのフレーム本体1Aと当接する上端縁125に形成された凹状段差部126(図11等参照)に収容されると共に、凹状段差部126に上方から係止されることにより、フレーム本体1Aが上方向に相対移動することを規制するためのものである。 【0079】このように構成したのは、次のような理由による。すなわち、前述のように、針16の上下往復動によりフレーム本体1Aのアーム部6付近の部分が垂直方向に振動するが、特に、針16を支持する上機構ユニット3が取り付けられるフレーム本体1Aは、上方向に移動しようとする。そうすると、結合されたフレーム本体1Aとフレームカバー1Bが垂直方向に相対移動して、両者が位置ズレを起こす場合がある。このように両者が位置ズレを起こした場合には、適切な結合状態が保たれず剛性不足となり、ミシンフレーム1の振動や変位の発生を助長してしまうことになる。しかも、フレーム本体1Aとフレームカバー1Bはネジにより相当の圧力で結合されていて、摩擦係数も大きいことから、一旦位置ズレを起こすと容易に元の状態に戻ることはない。従って、当初からフレーム本体1Aとフレームカバー1Bの位置ズレの発生を防止する必要があるため、上記構成を採用したものである。これにより、ミシンフレーム1について、十分な剛性を確保することができる。 【0080】また、本実施形態では、凸状段差部121は、フレーム本体1Aのフレームカバー1Bと当接する上端縁120のほぼ全ての部分にわたって形成されているが、必ずしも全ての部分にわたって形成されなければならないものではない。しかし、上記のような凸状段差部121を形成する理由に鑑みると、凸状段差部121は、フレーム本体1Aの少なくともアーム部6に対応する部分の上端縁120に形成されることが望ましい。同様に、凹状段差部126(図11等参照)は、フレームカバー1Bの少なくともアーム部6に対応する部分の上端縁125に形成されることが望ましい。これにより、特にアーム部6について十分な剛性を確保することができる。 【0081】また、フレーム本体1Aのフレームカバー1Bと当接する下端縁130のほぼ全ての部分にわたって、その上方がフレームカバー1B側に突出した凸状段差部131が形成されている。凸状段差部131は、図7(B)に示すように、フレームカバー1B側に突出形成され、フレームカバー1Bのフレーム本体1Aと当接する下端縁135に形成された凹状段差部136(図11等参照)に陥入される陥入部132と、結合されるフレームカバー1Bの凹状段差部136を摺動案内する摺動面133と、結合されるフレームカバー1Bの凹状段差部136が摺動案内されたときに所定位置にて係止する係止壁134と、からなる。そして、陥入部132がフレームカバー1Bの凹状段差部136に陥入されると共に、摺動面133が凹状段差部136に下方から係止されることにより、フレーム本体1Aが下方向に相対移動することが規制されるようになっている。 【0082】このように構成したのは、次のような理由による。すなわち、前述のように、針16の上下往復動によりフレーム本体1Aは上方向に移動しようとするが、このとき、フレーム本体1Aと結合されたフレームカバー1Bのベッド部8は相対的に下方向に移動しようとする。そうすると、フレーム本体1Aとフレームカバー1Bが垂直方向に位置ズレを起こし、ミシンフレーム1の振動や変位の発生を助長する等の問題が生じる。従って、当初から両者の位置ズレの発生を防止する必要があるため、上記構成を採用したものである。これにより、ミシンフレーム1について、十分な剛性を確保することができる。 【0083】また、本実施形態では、凸状段差部131は、フレーム本体1Aのフレームカバー1Bと当接する下端縁130のほぼ全ての部分にわたって形成されているが、必ずしも全ての部分にわたって形成されなければならないものではない。しかし、上記のような凸状段差部131を形成する理由に鑑みると、凸状段差部131は、フレーム本体1Aの少なくともベッド部8に対応する部分の下端縁130に形成されることが望ましい。同様に、凹状段差部136(図11等参照)は、フレームカバー1Bの少なくともベッド部8に対応する部分の下端縁135に形成されることが望ましい。これにより、特にベッド部8について十分な剛性を確保することができる。 【0084】ここで、凸状段差部131の摺動面133は、フレーム本体1Aの側壁251よりも内側に引っ込むように段差を有して形成されている。そして、この部分にフレームカバー1Bの凹状段差部136が重ね合わされると、フレーム本体1A及びフレームカバー1Bの壁面は同一の高さとなるようにされている。従って、フレーム本体1A及びフレームカバー1Bが結合されると、この部分では、両者の壁面は同一面上に連続的に形成されることになるので、ミシンフレーム1の美観が向上する。 【0085】なお、上記の上端縁120の凸状段差部121の構造については、詳細には図示しないが、基本的に図7(B)に示す下端縁130の凸状段差部131と同様のものである。但し、凸状段差部121は、凸状段差部131とは上下対称となっている。 【0086】[フレームカバー]次に、ミシンフレーム1のフレームカバー1Bについて、図10から図15を参照して説明する。図10は、フレームカバー1Bを外側から見た斜視図であり、図11は、フレームカバー1Bを内側から見た斜視図であり、図12は、フレームカバー1Bを内側から見た平面図であり、図13は、フレームカバー1BのI−I線(図12参照)における断面図であり、図14(A)は、フレームカバー1BのJ−J線(図12参照)における断面図であり、図14(B)は、フレームカバー1Bの下端縁の拡大図であり、図15(A)は、フレームカバー1BをK−K線から見た拡大平面図であり、図15(B)は、フレームカバー1BをL−L線から見た拡大平面図である。 【0087】図10に示すように、フレームカバー1Bは、アーム部6、脚柱部7、ベッド部8との3つの主要部分からなり、それらが一体的に成形されている。前記3つの主要部分により囲まれた部分は、半円形状に形成された空間9となっている。また、フレームカバー1Bは、ミシンの正面を構成する正面パネル壁252と、その正面パネル壁252の周囲から起立する側壁253とを有している。この側壁253のうちの空間9に臨む部分は、特に内周壁161と称する。また、アーム部6の側端部には、複数種類の糸等が内蔵された糸カセット(図示しない)が装着される糸カセット装着部203が形成されている。 【0088】[内周壁補強リブ]図11及び図12に示すように、フレームカバー1Bの正面パネル壁252の内側には、ベッド部8と脚柱部7とアーム部6との3つの主要部分により囲まれた空間9に臨むフレームカバー1Bの内周壁161を補強する内周壁補強リブ170が設けられている。内周壁補強リブ170は、内周壁161の外周を取り巻くように、ベッド部8と脚柱部7とが連結される部分から、アーム部6と脚柱部7とが連結される部分までの範囲に形成されている。 【0089】内周壁補強リブ170は、内周壁161から離間した第1のリブとしての隔壁状リブ171と、その隔壁状リブ171と交差する第2のリブとしての中間リブ172とを有する。隔壁状リブ171は、正面パネル壁252の内側から、内周壁161に沿って連続して垂直状に立設されている。また、中間リブ172は、正面パネル壁252の内側から、内周壁161と隔壁状リブ171の間に一定間隔をおいて、垂直状に多数立設されている。この中間リブ172は、内周壁161と隔壁状リブ171とを連結し、さらにはそれらと正面パネル壁252とを連結している。このようにして内周壁161と隔壁状リブ171及び中間リブ172とが配置されていることにより、内周壁161と隔壁状リブ171の間には、断面が台形状の複数の隔室状部分173が形成されている。ここで、フレームカバー1Bのベッド部8、脚柱部7、アーム部6の3つの主要部分により囲まれた空間9に臨む内周壁161は半円形状に形成されていることから、中間リブ172は、空間9の中の一点を中心として内周壁161から放射状に伸びるように配設されている。これにより、中間リブ172は、内周壁161及び隔壁状リブ171に対して垂直に交差するようになるので、リブの配置が最適化され、内周壁161を効果的に補強することができる。 【0090】上記のような内周壁補強リブ170の構成により、内周壁161は相当の厚さを有して形成されたのと同等の剛性を有するものとなる。つまり、針16の上下往復動により発生した応力が集中するアーム部6、脚柱部7、及びベッド部8により囲まれた空間9に臨むフレームカバー1Bの正面パネル壁252のベッド部8と脚柱部7とが連結される部分からアーム部6と脚柱部7とが連結される部分までの範囲の剛性が十分に確保される。従って、このフレームカバー1Bを用いたミシンであれば、針16の上下往復動が行われても、フレームカバー1Bの垂直方向に発生する振動や水平方向に発生する尻振り現象を防止できるので、スムーズな縫目形成動作が可能になる。 【0091】なお、上記の実施形態では、内周壁補強リブ170は、ベッド部8と脚柱部7とが連結される部分から、アーム部6と脚柱部7とが連結される部分までの範囲に形成するようにしたが、これを内周壁161の外周の全範囲にわたって形成することもできる。また、上記の実施形態では、中間リブ172を多数設けるようにしたが、内周壁161と隔壁状リブ171とを十分に固定することができれば、さらに少数にしたり、1つにしたりすることもできる。さらに、上記の実施形態では、独立した中間リブ172が放射状に配設されたものを示したが、中間リブ172同士を連結、交差させて断面がハニカム状またはダイヤフラム状になるようにしてもよい。 【0092】また、内周壁補強リブ170の外周部には、内周壁補強リブ170を補強するために、内周壁補強リブ170を構成する隔壁状リブ171に沿って連続して設けられた補助隔壁状リブ174と、隔壁状リブ171及び補助隔壁状リブ174に交差するように一定間隔をおいて多数設けられ、隔壁状リブ171と補助隔壁状リブ174の間の空間に複数の隔室状部分176を形成する複数の補助中間リブ175とからなる補助内周壁補強リブ177が設けられている。これにより、内周壁161の剛性がより一層確保される。なお、本実施形態では、フレームカバー1Bの内周壁補強リブ170の外周部にのみ補助内周壁補強リブ177を設けるようにしたが、スペースが許せば、フレーム本体1Aの内周壁補強リブ70の外周部にも補助内周壁補強リブを設けることもできる。 【0093】[外壁補強リブ]図11及び図12に示すように、フレームカバー1Bの正面パネル壁252の内側には、その略全領域にわたって、正面パネル壁252から起立して形成された外壁補強リブ180がマトリクス状に配設されている。外壁補強リブ180は、ミシンを作業台に設置した場合における垂直方向(縦方向)に配列された縦方向リブ181と、水平方向(横方向)に配列された横方向リブ182とからなる。これらの縦方向リブ181及び横方向リブ182は、図13及び図14(A)に示すように、フレームカバー1Bの正面パネル壁252に対してほぼ垂直状に立設されている。なお、縦方向リブ181及び横方向リブ182の端部は、フレームカバー1Bの側壁253に連結されている。ただし、縦方向リブ181の上端部は、側壁253に連結されていない。これは、フレームカバー1Bの上部には、LED表示基板や糸カセット等を収納するスペースが必要だからである。また、向かい合う一対の縦方向リブ181、181と、横方向リブ182、182により囲まれた領域は、略正方形状又は長方形状の隔室状部分183として形成されている。この隔室状部分183は、フレームカバー1Bの正面パネル壁252の内側に多数設けられている。多数の隔室状部分183の中で、面積が広い隔室状部分183を形成する外壁補強リブ180は、面積が狭い隔室状部分183より、正面パネル壁252から起立した高さが高くなるように形成されている。また、ベッド部8及びアーム部6において縫目形成機構が収納される収納部分に形成された外壁補強リブ180は、その収納部分以外の他の部分より、正面パネル壁252から起立した高さが低くなるように形成されている。さらに、縫目形成機構が収納される部分では、その収納部分以外の他の部分より、隔室状部分183の面積が狭くなるように形成されている。これらの構成を採用した理由は、上記フレーム本体1Aの場合と同様であるので、詳細な説明を省略する。 【0094】上記のような外壁補強リブ180の構成により、フレームカバー1Bの正面パネル壁252の剛性が十分に確保されるので、針16の上下往復動によりアーム部6の正面パネル壁252に生じるねじれ変形や、アーム部6のねじれ変形に伴って生じる脚柱部7及びベッド部8の正面パネル壁252のねじれ変形を最小限に抑えることができる。また、外壁補強リブ180は、正面パネル壁252の縦方向及び横方向に伸びて多数の隔室状部分183を形成するように配設されていることにより、外壁補強リブ180の高さを、フレームカバー1Bの内部に縫目形成機構を収容するためにあまり高くすることができなくても、正面パネル壁252の剛性をより一層十分に確保することができる。従って、このフレームカバー1Bを用いたミシンであれば、針16の上下往復動が行われても、フレームカバー1Bの垂直方向に発生する振動や水平方向に発生する尻振り現象を防止できるので、スムーズな縫目形成動作が可能になる。 【0095】また、前述の内周壁補強リブ170は、外壁補強リブ180より、正面パネル壁252から起立した高さが大きくなっている。具体的には、図14(A)に示すように、フレームカバー1Bのアーム部6の根元部分では、内周壁補強リブ170は、正面パネル壁252から分割面52に至る高さで形成されているのに対し、外壁補強リブ180を構成する縦方向リブ181は、正面パネル壁252から分割面52に至る高さの4分の3以下の高さで形成されている。これは、針16の上下往復動により発生する応力が集中する箇所である内周壁161については高い剛性が必要とされるからである。 【0096】なお、上記の実施形態では、フレームカバー1Bの略全領域にわたって外壁補強リブ180を形成するようにしたが、これを一部の領域のみに形成したり、全く形成しないようにすることもできる。フレームカバー1Bには、縫目形成機構が取り付けられないので、フレーム本体1A程には、正面パネル壁252の剛性が必要とされないからである。 【0097】[結合部]図11及び図12に示すように、フレームカバー1Bの正面パネル壁252には、分割形成されたフレーム本体1Aとフレームカバー1Bとを結合するための複数の結合部190、192、194、196が設けられている。これらの複数の結合部190、192、194、196は、それぞれ、フレーム本体1Aに設けられた複数の結合部90、92、94、96に対応する位置に配置される。結合部190は、フレームカバー1Bの内周壁161に沿って、ベッド部8と脚柱部7とが連結される部分に形成されている。より具体的には、内周壁161の周囲に形成された内周壁補強リブ170に隣接するように配置されている。このように結合部190を配置したのは、針16の上下往復動により発生する脚柱部7の上部の尻振り現象の原因となるアーム部6及び脚柱部7のねじれ変形を防止するためである。また、結合部192は、フレームカバー1Bの内周壁161に沿って、アーム部6と脚柱部7とが連結される部分に形成されている。より具体的には、内周壁161の周囲に形成された内周壁補強リブ170に隣接するように配置されている。また、結合部194は、フレームカバー1Bの内周壁161に沿って、内周壁補強リブ170のアーム部6側の終端部付近に形成されている。なお、結合部192と結合部194は、結合部190を基準として、空間9の略半円周上に均等な間隔を有して配置されている。さらに、結合部196は、フレーム本体1Aとフレームカバー1Bを均等な圧力で結合できるように、正面パネル壁252の内側の隅角部または辺縁部の複数箇所に形成されている。 【0098】これらの結合部190、192、194、196の内部には、それぞれにネジ孔191、193、195、197が穿設されていて、フレーム本体1Aの背面パネル壁250の対応する位置に配置された結合部90、92、94、96(図4等参照)と重ね合わされた状態でネジ(図示しない)を螺合することにより、フレーム本体1Aとフレームカバー1Bとを着脱可能に結合し得るようになっている。 【0099】[嵌合部]図11に示すように、フレームカバー1Bの分割面52には、嵌合部111、112、113、114が設けられている。これらの嵌合部111、112、113、114は、フレーム本体1Aとフレームカバー1Bが結合されたときに、フレーム本体1Aの分割面52(図4等参照)に設けられた突起100、101、102、103と嵌合されて、フレーム本体1A及びフレームカバー1Bが水平方向に相対移動することを規制するためのものである。 【0100】ここで、嵌合部111は、図15(A)に示すように、フレームカバー1Bのアーム部6の下方の分割面52上であって、針16の上下往復動機構が下方に突出される開口部200の一側端部に陥没形成されている。この嵌合部111は、フレーム本体1Aのアーム部6に設けられた突起100(図4等参照)に嵌合される。これにより、結合されたフレーム本体1Aとフレームカバー1Bのアーム部6の分割面52に振動や変位が生じて両者が相対移動することが規制される。 【0101】嵌合部112、113は、図15(B)に示すように、ベッド部8の上方の分割面52上であって、釜23等が露出される開口部202の両側端部に陥没形成されている。これらの嵌合部112、113は、フレーム本体1Aのベッド部8に設けられた突起101、102(図4等参照)に嵌合される。これにより、結合されたフレーム本体1Aとフレームカバー1Bのベッド部8の分割面52に振動や変位が生じて両者が相対移動することが規制される。 【0102】嵌合部114は、図11に示すように、空間9の周囲の内周壁161上に、連続した溝状に形成されている。この溝状部には、フレーム本体1Aに設けられた突起103(図4等参照)が嵌合される。これにより、結合されたフレーム本体1Aとフレームカバー1Bの分割面52に振動や変位が生じて両者が相対移動することが規制される。 【0103】[突起]図15(A)に示すように、フレームカバー1Bのアーム部6の下方の分割面52上であって、開口部200の嵌合部111が形成される側と反対側である他側端部には、突起104が、結合されるフレーム本体1Aの方向に向かってほぼ垂直に突設されている。この突起104は、フレーム本体1Aのアーム部6に設けられた嵌合部110(図4等参照)に嵌合される。これにより、結合されたフレーム本体1Aとフレームカバー1Bのアーム部6の分割面52に振動や変位が生じて両者が相対移動することが規制される。 【0104】[段差部]図14(A)に示すように、フレームカバー1Bのフレーム本体1Aと当接する上端縁125のほぼ全ての部分にわたって、フレーム本体1Aの上端縁120に形成された凸状段差部121を収容して上方から係止する凹状段差部126が形成されている。この凹状段差部126は、図14(B)に示すように、フレーム本体1A側に突出形成され、結合されるフレーム本体1Aの凸状段差部121が摺動案内されたときに所定位置にて係止する係止壁127と、結合されるフレーム本体1Aの凸状段差部121を摺動案内する摺動面128と、結合されるフレーム本体1Aの凸状段差部121の陥入部を陥入収容する収容部129と、からなる。そして、フレーム本体1Aの凸状段差部121の陥入部が収容部129に陥入収容されると共に、その摺動面が凹状段差部126の摺動面128に上方から係止されることにより、フレーム本体1Aが上方向に相対移動することが規制されるようになっている。 【0105】また、フレームカバー1Bのフレーム本体1Aと当接する下端縁135のほぼ全ての部分にわたって、フレーム本体1Aの下端縁130に形成された凸状段差部131を収容して下方から係止する凹状段差部136が形成されている。この凹状段差部136の構造については、詳細には図示しないが、基本的に図14(B)に示す上端縁125の凹状段差部126と同様のものである。但し、凹状段差部136は、凹状段差部126とは上下対称となっている。そして、フレーム本体1Aの凸状段差部131がフレームカバー1Bの凹状段差部136に収容係止されることにより、フレーム本体1Aが下方向に相対移動することが規制されるようになっている。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005267 【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社 【住所又は居所】愛知県名古屋市瑞穂区苗代町15番1号
|
| 【出願日】 |
平成14年9月24日(2002.9.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100109195 【弁理士】 【氏名又は名称】武藤 勝典 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2003−169984(P2003−169984A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月17日(2003.6.17) |
| 【出願番号】 |
特願2002−277138(P2002−277138) |
|