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【発明の名称】 靴下編機における編地案内装置
【発明者】 【氏名】堀田 輝行

【要約】 【課題】編機で編成される靴下の糸質や編成条件が変わっても、一つの吸引管でもって靴下編地を引き下げ案内することによって、筒状吸引管の取り外し交換作業を不要とし、編機の稼働率低下を防止する編地案内装置を提供する。

【解決手段】靴下編機の編針シリンダ12内に内挿固定され、編成される靴下編地を吸引力で下方に引き下げ案内する筒状吸引管33であって、該筒状吸引管33の内側に編地ガイド34を回動可能に設け、この編地ガイド34を、上記筒状吸引管33の傾斜面33aに形成された凹所37に没して該傾斜面33aと面一となる第一位置と、傾斜面33aに没した状態から筒状吸引管33の軸心方向に向けて突出する第二位置との間を回動するように構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 靴下編機の編針シリンダ内に内挿固定され、編成される靴下編地を吸引力で下方に引き下げ案内する筒状吸引管であって、該筒状吸引管は、その上端開口部を上広がりの傾斜状に形成されるとともに、少なくとも1個の編地ガイドを有し、この編地ガイドを、上記筒状吸引管の上端開口部傾斜面に形成された凹所に没して該傾斜面と面一となる第一位置と、傾斜面に没した状態から上記筒状吸引管の軸心方向に向けて突出する第二位置との間を回動可能に構成したことを特徴とする靴下編機における編地案内装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、靴下編機における編地案内装置に関し、特に靴下編機で編成される靴下編地を吸引力で下方に引き下げ案内するようにした編地案内装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から一般的に用いられている靴下製造用の丸編機は、図5に示すように、その全周に編針11を備えた編針シリンダ12が機枠10上に回転自在に装着されており、この編針シリンダ12の内側に、編成される靴下編地を吸引力で下方に引き下げ案内する筒状吸引管13が内挿固定されている。
【0003】上記筒状吸引管13の上端開口部は、上広がりの傾斜面13aとして形成され、その直上にはダイヤル駆動軸やサーキュラーカッター及びダイヤル等で構成された鋏台装置14が昇降可能に設けられている。
【0004】又、筒状吸引管13の下端開口部は連結パイプ15を介して編地排出部16に連通されている。この編地排出部16は、その下面開口部にフタ17を開閉自在に枢着し、かつ内部を多数の吸引小孔18aを有する仕切り部材18によって二重構造に形成されると共に、ブロワー等の吸引源(図示せず)に接続された吸引パイプ19が連結されている。
【0005】しかして、上記吸引源からの吸引力は、吸引パイプ19、編地排出部16(仕切り部材18の吸引小孔18a)及び連結パイプ15を通して筒状吸引管13の上端開口部まで作用することになる。この結果、靴下編機で編成される編地は、該筒状吸引管13内に作用する吸引力によって下方に引き下げ案内されて編成途中の編地に所定の張力を付与すると共に、編成完了後は連結パイプ15を介して編地排出部16から機外へ排出されるようになっている。
【0006】上記従来の靴下編機で編成される靴下21は、図8に示すように、先ず口ゴム部22から編成が始まり、次いで脚部23、踵部24、足部25及び爪先部26と順次編成されていくのであるが、その内、口ゴム部22の編成に際しては、その中間部で折返して袋状の二重編構造の口ゴム部を採用している靴下が多い。
【0007】このように、靴下21の口ゴム部22は、他の編成部分に比べて2倍以上の厚みを有しているために、上記筒状吸引管13の上端開口部上方から垂下してくる口ゴム部22は筒状吸引管13内で目詰まり状態となり、このため、筒状吸引管13内に作用する吸引力だけでは充分な引き下げ効果、すなわち、所定の張力でもって口ゴム部22を下方へ引き下げ案内することができず、結果、編地下げむらによるシワが発生したり、置寸が横に広がり長さが短くなったりして、靴下製品の品質を損ねる原因となっている。
【0008】そこで、従来は、上記筒状吸引管13の上端開口部傾斜面13aに編地ガイド20(図5、図6参照)を筒状吸引管13の軸心方向に向けて突出するように設け、この編地ガイド20に、回転しながら編成されて垂下してくる口ゴム部22を接触するようにしている。そしてこの接触により、口ゴム部22は、その全体が筒状吸引管13の内周面から浮き上がるように離れる(図7参照)ことになり、結果、該筒状吸引管13内に作用する吸引力の通り(流れ)がよくなる。これにより、口ゴム部22に所定の張力を付与しながら引き下げ案内することができるようになるので、上記の欠点は解消されることになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した編地ガイド20は、分厚い編地の口ゴム部22に対しては有効であっても、他の脚部23から爪先部26までの薄い編地にあっては、その糸質や編成条件等によって、該編地の縦(長さ)方向に螺旋状の編み筋が発生して編地不良の原因ともなっている。
【0010】そこで、靴下製造業者のある者は、編地ガイド20を設けたものと、設けていない二通りの筒状吸引管13を準備し、編成する靴下21の糸質や編成条件等に応じて、この二通りの筒状吸引管13を使い分けるようにしている。
【0011】しかしながら、上記筒状吸引管13の使い分けは、靴下編機における編針シリンダ12から上記筒状吸引管13を取り外して交換しなければならず、この交換作業が面倒であるばかりでなく、編機を一時的に停止することになるので、該編機の稼働率が低下する等の問題点を有している。
【0012】そこで、この発明の課題は、編成される靴下の糸質や編成条件等が変わっても、二通りの筒状吸引管を準備する必要がなく、一つの筒状吸引管でもって編地を引き下げ案内せしめるようにすることによって、該筒状吸引管の取り外し交換作業を不要とし、編機の稼働率低下を防止するようにした靴下編機における編地案内装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記のような課題を解決するため、この発明は、靴下編機の編針シリンダ内に内挿固定され、編成される靴下編地を下方に引き下げ案内する筒状吸引管であって、該筒状吸引管は、その上端開口部を上広がりの傾斜状に形成されるとともに、少なくとも1個の編地ガイドを有し、この編地ガイドを、上記筒状吸引管の上端開口部傾斜面に形成された凹所に没して該傾斜面と面一となる第一位置と、傾斜面に没した状態から上記筒状吸引管の軸心方向に向けて突出する第二位置との間を回動可能とした構成を採用したものである。
【0014】このように、編地ガイドを筒状吸引管の上端開口部傾斜面に対して出没するように回動可能に構成することによって、口ゴム部のような分厚い編地の編成時には、該編地ガイドを突出させて編成される口ゴム部に接触させ、この接触により、該口ゴム部を筒状吸引管の内周面から浮かした状態で引き下げ案内するようにせしめ、又、編地ガイドとの接触で編み筋が発生するような編地に対しては、その編成時に編地ガイドを上記筒状吸引管の傾斜面に形成された凹所に埋没せしめて編地と接触しないようにすることにより、編成される靴下の糸質や編成条件が変わっても、一つの筒状吸引管でもって編地を引き下げ案内することができるので、筒状吸引管の取り外し交換作業が不要となって、編機の稼働率低下を防止することになる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0016】図1乃至図3は、この発明の編地案内装置を構成する筒状吸引管33を示し、該筒状吸引管33は、図5に示した靴下編機の編針シリンダ12内に内挿固定されるものである。
【0017】筒状吸引管33の上端開口部は、上広がりの傾斜面33aとして形成され、その直上には、靴下編機の鋏台装置14(図5)が昇降可能に設けられると共に、下端開口部は、連結パイプ15(図5)を介して編地排出部16(図5)に連通されることにより、該筒状吸引管33内に吸引力が作用し、この吸引力によって、編成される編地が下方に引き下げ案内されるようになっている。
【0018】上記筒状吸引管33の内側で、その上端開口部傾斜面33aから垂直部方向に延在して1本の編地ガイド34が回動可能に配設されている。
【0019】図2と図3に示すように、上記編地ガイド34は、概ねU字状に形成された頭部34aと、筒状吸引管33の下端方向に延在する軸部34bとからなり、これら頭部34aと軸部34bは軸受35と36によって回動可能に支持されている。
【0020】筒状吸引管33の傾斜面33aに、上記頭部34aの大きさと略等しい切欠き穴37を穿設し、この切欠き穴37を覆うように傾斜面33aの外側から板状部材38を貼付ける。そしてこの板状部材38の内側に上記軸受35を設けて編地ガイド34の頭部34aを支持するようにする。この結果、傾斜面33aの切欠き穴37部分は、図2と図3から判るように、上記頭部34aが倒伏したときに没する凹所として形成されることになる。
【0021】又、編地ガイド34の軸部34bは、図2と図4に示すように、その最下端部において直角に折り曲げて、筒状吸引管33に設けた小孔から外側に突出させると共に、その突出部先端にエアシリンダ39のピストン39aを連結し、該エアシリンダ39の駆動で軸部34bを左右に回動(図4)させることにより、U字状に形成された頭部34aを、筒状吸引管33の傾斜面33aに凹所として形成された切欠き穴37内に没して該傾斜面33aと面一となる状態(図3の状態)から、筒状吸引管33の軸心方向に向けて突出する状態(図2の状態)へと、又はその逆へと回動させるようになっている。
【0022】この発明の編地案内装置は、上記のような構成であり、靴下編機が起動されると、該靴下編機の制御部から発せられる制御信号に基づいてエアシリンダ39が駆動される。
【0023】すなわち、靴下編機で編成される靴下は、前述したように、先ず口ゴム部22から編成が始まる。従って、靴下編機からの制御信号は、エアシリンダ39のピストン39aを前進せしめて編地ガイド34の軸部34bを図4で左方向に回動させることにより、頭部34aは筒状吸引管33の軸心方向に向けて突出する状態に配置されることになる。
【0024】このように、編地ガイド34の頭部34aを突出状態に配置することで、編成される口ゴム部22を該頭部34aに接触せしめて筒状吸引管33の内周面から離すことによって、吸引力の通りをよくし、結果、編成される口ゴム部22に所定の張力を付与しながら引き下げ案内するようにする。
【0025】斯くして、口ゴム部22の編成が完了すると、次に靴下編機からの制御信号に基づいてエアシリンダ39のピストン39aを後退せしめることにより、上記編地ガイド34の頭部34aを、それまでの突出位置から筒状吸引管33の傾斜面33aに形成された凹所(切欠き穴37)に没する位置へと倒伏させる。この倒伏によって、次に編成される脚部23から爪先部26までは、上記頭部34aに接触することなく編成されることになるので、編成される編地に編み筋が発生するようなこともない。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によると、筒状吸引管の内側に配設した編地ガイドを、上記筒状吸引管の上端開口部傾斜面に形成された凹所に没して該傾斜面と面一となる第一位置と、該筒状吸引管の軸心方向に向けて突出する第二位置との間を回動可能に構成することによって、口ゴム部のような分厚い編地の編成時には、該編地ガイドを突出(第二位置)させて編成される口ゴム部に接触せしめ、又、編地ガイドとの接触で編み筋が発生するような編地に対しては、その編成時に編地ガイドを上記傾斜面の凹所に埋没(第一位置)せしめて編地と接触しないようにすることにより、編成される編地の糸質や編成条件が変わっても、該編地は筒状吸引管内に作用する吸引力によって所定の張力でもって下方へ引き下げ案内されることになり、結果、一つの筒状吸引管で種々の編地に対して引き下げ案内することができるので、従来面倒であった筒状吸引管の取り外し交換作業が不要となって、編機の稼働率低下を防止することになる。
【出願人】 【識別番号】000133940
【氏名又は名称】株式会社テルミック
【出願日】 平成13年12月6日(2001.12.6)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−171855(P2003−171855A)
【公開日】 平成15年6月20日(2003.6.20)
【出願番号】 特願2001−402519(P2001−402519)