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【発明の名称】 編み具
【発明者】 【氏名】桑原 順一
【住所又は居所】大阪市東成区中道3丁目15番5号 クロバー株式会社内

【要約】 【課題】使い勝手の良い編み具を提供する。

【解決手段】糸掛け用の複数の突起12を有するヘッド1と、このヘッド1を支持する支持体2と、を備えている、編み具Aであって、支持体2またはヘッド1に支持されており、かつ糸Yを支持ガイド可能なガイド手段3を具備しているとともに、ガイド手段3とヘッド1とは、ガイド手段3に支持されている糸Yを複数の突起12に掛け廻すことができるように、相対回転可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 糸掛け用の複数の突起を有するヘッドと、このヘッドを支持する支持体と、を備えている、編み具であって、上記支持体または上記ヘッドに支持されており、かつ糸を支持ガイド可能なガイド手段を具備しているとともに、上記ガイド手段と上記ヘッドとは、上記ガイド手段に支持されている糸を上記複数の突起に掛け廻すことができるように、相対回転可能であることを特徴とする、編み具。
【請求項2】 上記ヘッドが上記支持体に対して相対回転可能であることにより、上記ガイド手段と上記ヘッドとが相対回転可能とされている、請求項1に記載の編み具。
【請求項3】 上記ガイド手段が上記支持体に対して相対回転可能であることにより、上記ガイド手段と上記ヘッドとが相対回転可能とされている、請求項1に記載の編み具。
【請求項4】 上記複数の突起とは構造が相違する糸掛け用の複数の突起を有する少なくとも1つの追加のヘッドをさらに具備しており、かつ、この追加のヘッドおよび上記ヘッドは、上記支持体に対して着脱自在である、請求項1ないし3のいずれかに記載の編み具。
【請求項5】 上記ヘッドと上記ガイド手段とが所定角度相対回転するごとにそれらの仮固定を可能とする仮固定手段をさらに備えている、請求項1ないし4のいずれかに記載の編み具。
【請求項6】 上記ガイド手段は、上記複数の突起に糸が掛け廻されるときの糸の張力を変更可能な構成とされている、請求項1ないし5のいずれかに記載の編み具。
【請求項7】 上記ガイド手段は、糸を通過させるための通路を形成しており、かつこの通路は、糸がこの通路を通過するときの摩擦力を変更できるように拡縮自在とされている、請求項6に記載の編み具。
【請求項8】 上記各突起の外向き面には、この突起と同方向に延びた凹溝が形成されている、請求項1ないし7のいずれかに記載の編み具。
【請求項9】 上記ヘッドは、片面に上記複数の突起が起立して設けられたフランジ部を有しており、かつ、このフランジ部のうち、上記各突起の基部よりも上記フランジ部の半径方向外方部分には、穴または切欠状の凹部が形成されている、請求項1ないし8のいずれかに記載の編み具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、リリヤンと称される編み紐あるいはこれに類する編み物を作成するのに好適な編み具に関する。
【0002】
【従来の技術】編み具の従来例を図12に示す。同図に示す編み具Bは、片手で把持可能な支持体90の上部に、複数(たとえば5本)の糸掛け用の突起91aを有するヘッド91が固定して取り付けられたものである。支持体90およびヘッド91は、一連に繋がった貫通穴92を有しており、複数の突起91aは、貫通穴92の上部開口部を囲むように配置されている。
【0003】この編み具Bを用いる場合には、まず図13(a)に示すように、支持体90およびヘッド91の貫通穴92に糸Yを通した後に、同図(b)に示すように、その糸Yの一部分Y1を複数の突起91aに対して星形状に掛ける。次いで、同図(c)に示すように、複数の突起91aの周囲に糸Yの他の部分Y2を掛け廻す。その後は、同図(d)〜(f)に示すように、星形状に掛けられていた糸Yの一部分Y1を、かぎ針80を利用して上方に引き上げることにより,糸Yの他の一部分Y2に掛ける。このような糸Yの一部分どうしを掛け合わせる作業と、各突起91aに対する糸Yの掛け廻し作業とを繰り返して行う。すると、図14に示すように、糸Yが筒状に編まれた編み紐Ly が作成される。この編み紐Lyは、長い寸法に作成されるに連れて、支持体90の貫通穴92内からその下方に延びていく。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の編み具Bにおいては、次に述べるように、使い勝手が悪いという不具合があった。
【0005】すなわち、図14に示したように、編み紐Ly を作成するユーザは、片手にかぎ針80を持つとともに、もう一方の片手に編み具Bを持つ必要があり、この状態で各突起91aに糸Yを順次掛け廻していく必要がある。ところが、この作業を行なうには、糸Yがその自重によって垂れ下がらないように、糸Yを指で支持しながら編み具Bの全体を回転させるといった操作を行なう必要があり、このような操作は容易でない。とくに、糸Yを各突起91aに掛け廻す場合には、この糸Yをそれよりも先に各突起91aに掛けられている糸の一部分(図13に示す符号Y1の部分)よりも高い位置に掛け廻す必要があるため、その作業性は一層悪いものとなっていた。また、編み紐Ly の仕上がり具合を良好にするためには、各突起91aに掛け廻される糸Yの張力を一定に維持しておく必要があるが、そのようなことも従来においては難しいものとなっていた。
【0006】本願発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、従来よりも使い勝手の良い編み具を提供することをその課題としている。
【0007】
【発明の開示】上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】本願発明によって提供される編み具は、糸掛け用の複数の突起を有するヘッドと、このヘッドを支持する支持体と、を備えている、編み具であって、上記支持体または上記ヘッドに支持されており、かつ糸を支持ガイド可能なガイド手段を具備しているとともに、上記ガイド手段と上記ヘッドとは、上記ガイド手段に支持されている糸を上記複数の突起に掛け廻すことができるように、相対回転可能であることを特徴としている。
【0009】このような構成によれば、編み紐を作成する際には、糸を上記ガイド手段に支持させておくことができるため、従来とは異なり、ユーザが指で糸を支えておくといった煩わしさがない。加えて、糸を上記複数の突起に掛け廻す作業は、上記ガイド手段と上記ヘッドとを相対回転させることにより簡単に行なうことができる。したがって、従来の編み具よりも使い勝手が良くなる。また、ユーザが指で糸を支えていた従来の場合と比較すると、上記複数の突起に糸が掛け廻されるときの糸の張力に大きなバラツキが生じないようにすることも可能となり、編み紐の仕上がり具合も良好なものにすることができる。
【0010】本願発明の好ましい実施の形態においては、上記ヘッドが上記支持体に対して相対回転可能であることにより、上記ガイド手段と上記ヘッドとが相対回転可能とされている。また、本願発明は、このような構成に代えて、上記ガイド手段が上記支持体に対して相対回転可能であることにより、上記ガイド手段と上記ヘッドとが相対回転可能とされている構成とすることもできる。
【0011】ただし、上記2つの構成を比較した場合、後者よりも前者の方が次のような点において有利である。すなわち、後者においては、上記ヘッドを固定させた状態で上記ガイド手段を回転させることとなるが、この場合には、上記複数の突起に対して糸が掛けられていく位置が順次変更されていくこととなる。これに対し、前者によれば、上記ガイド手段を固定させたまま上記ヘッドを回転させるために、上記複数の突起のそれぞれが一定の位置に来るとその突起に糸が掛けられることとなって、かぎ針を操作する位置が一定化される。また、後者において、上記ガイド手段を回転させたときには、上記ガイド手段に支持されている糸がそれに連れもって回転するため、もつれを生じる虞れがあるが、前者によれば、そのような虞れもない。
【0012】本願発明の他の好ましい実施の形態においては、上記複数の突起とは構造が相違する糸掛け用の複数の突起を有する少なくとも1つの追加のヘッドをさらに具備しており、かつこの追加のヘッドおよび上記ヘッドは、上記支持体に対して着脱自在である。
【0013】このような構成によれば、上記追加のヘッドと上記ヘッドとを交換することにより、複数種類の編み紐を作成することが可能となる。
【0014】本願発明の他の好ましい実施の形態においては、上記ヘッドと上記ガイド手段とが所定角度相対回転するごとにそれらの仮固定を可能とする仮固定手段をさらに備えている。
【0015】このような構成によれば、上記ヘッドと上記ガイド手段とが大きな角度で安易に相対回転しないようにすることができるために、使い勝手が一層良くなる。
【0016】本願発明の他の好ましい実施の形態においては、上記ガイド手段は、上記複数の突起に糸が掛け廻されるときの糸の張力を変更可能な構成とされている。
【0017】このような構成によれば、作成される編み紐の目の粗さを簡単に調整することが可能となる。
【0018】本願発明の他の好ましい実施の形態においては、上記ガイド手段は、糸を通過させるための通路を形成しており、かつこの通路は、糸がこの通路を通過するときの摩擦力を変更できるように拡縮自在とされている。
【0019】このような構成によれば、上記通路のサイズを変更することにより、上記複数の突起に糸が掛け廻されるときの糸の張力を簡単に調整することができる。
【0020】本願発明の他の好ましい実施の形態においては、上記各突起の外向き面には、この突起と同方向に延びた凹溝が形成されている。
【0021】このような構成によれば、上記各突起に掛けられている糸をかぎ針の先端に掛止させる場合に、このかぎ針の先端を上記凹溝に挿入すれば、その作業を容易かつ迅速に行なうことが可能となる。
【0022】本願発明の他の好ましい実施の形態においては、上記ヘッドは、片面に上記複数の突起が起立して設けられたフランジ部を有しており、かつこのフランジ部のうち、上記各突起の基部よりも上記フランジ部の半径方向外方部分には、穴または切欠状の凹部が形成されている。
【0023】このような構成によれば、上記各突起に掛けられている糸をかぎ針の先端に掛止させて上方に引き上げる作業を行なう場合に、上記糸が上記各突起の基部近傍に存在する場合であっても、上記かぎ針の先端を上記穴または切欠状の凹部に挿入することによって、その先端に上記糸を容易に掛止させることができる。
【0024】本願発明の他の好ましい実施の形態においては、上記複数の突起を覆うように装着可能なカバーキャップをさらに具備している。
【0025】このような構成によれば、たとえば編み紐の作成作業を中断するような場合に上記カバーキャップを用いることにより、上記複数の突起に掛け廻されている糸をほどけ難くすることができる。
【0026】本願発明のその他の特徴および利点については、以下に行う発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0028】図1〜図6は、本願発明の一実施形態を示している。図1〜図3によく表われているように、本実施形態の編み具Aの各部は、たとえばABS樹脂などの合成樹脂製であり、ヘッド1、支持体2、ガイド部3、およびカバーキャップ4を具備している。
【0029】ヘッド1は、厚み方向に貫通した穴部10を中央部に有する略リング状のフランジ部11と、このフランジ部11の上面に起立して設けられた複数(たとえば6本)の突起12とを有している。複数の突起12は、糸Yを掛けるための部分であり、穴部10を囲む同一円周上に等間隔で並んでいる。各突起12の上部先端には、フランジ部11の半径方向外方に突出した凸部12aが設けられている。この凸部12aは、突起12に糸を掛けたときにこの糸が突起12の上方に容易に外れないようにするためのものである。
【0030】各突起12の外向き面には、各突起12と同方向に延びる凹溝13が形成されている。また、フランジ部11の各部のうち、各突起12よりも外方寄りの部分には、穴14が形成されている。凹溝13は、穴14の周壁面まで延びて形成されている。フランジ部11の外周縁は、凹凸状に形成されており、ユーザがヘッド1を回転させようとしてフランジ部11の外周縁に触れたときに指が滑り難い構造となっている。好ましくは、フランジ部11の外周縁の各凸状部分は、支持体2の上端よりも半径方向外方にはみ出した構成とされており、上記各凸状部分を指で触り易くなっている。
【0031】支持体2は、ヘッド1を支持するためのものであり、片手で把持するのに具合の良いサイズとされた筒状である。この支持体2の上部には、フランジ部20が形成されており、このフランジ部20上にヘッド1が着脱自在かつ支持体2の中心軸C周りに回転可能に装着されている。支持体2に対するヘッド1の装着は、次に述べるように、第1および第2のリング5A,5Bを利用して行なわれている。
【0032】第1のリング5Aは、ヘッド1のフランジ部11よりも下方に延びた筒状部15に外嵌する筒部50を有している。図4に示すように、ヘッド1の筒状部15の外周面には、筒部50の内周に形成された1または複数の凹部51に嵌合する1または複数の凸部16が形成されており、これら凹部51と凸部16との嵌合により、ヘッド1と第1のリング5Aとは相対回転不能となっている。
【0033】図2によく表われているように、第1のリング5Aは、支持体2の上部開口部の近傍に設けられた上向きの支持面21上に載せられており、この支持面21に摺接しながら中心軸C周りに回転可能である。支持体2に対する第1のリング5Aの装着部分には、ヘッド1を等角度間隔で仮固定させるための仮固定機構6が設けられている。この仮固定機構6は、第1のリング5Aの下向き面に設けられた球面状の複数(たとえば3つ)の第1の凸部61と、支持体2の支持面21に設けられた複数の第2の凸部62とを具備して構成されている。複数の第2の凸部62は、図5(b)に示すように、中心軸Cを中心とする等角度間隔の放射状に設けられており、同図(a)に示すように、丸みを帯びた断面形状を有している。第1のリング5Aが回転するときには、第1の凸部61は、複数の第2の凸部62のいずれかに接触してその回転を抑制しようとする抵抗力が発生し、これにより第1のリング5Aおよびヘッド1の仮固定がなされる。ただし、この仮固定機構6においては、ヘッド1および第1のリング5Aに加わる回転操作力が一定値以上になると、第1の凸部61が第2の凸部62を乗り越えるようになっており、これによりヘッド1および第1のリング5Aが操作方向に回転するようになっている。
【0034】図2によく表われているように、第2のリング5Bは、支持体2の上部開口部に着脱自在に嵌合されている。この第2のリング5Bは、第1のリング5Aをその上方から押さえつけることにより第1のリング5Aが支持体2から容易に外れるのを防止する役割を果たす。第1および第2のリング5A,5B間の摩擦力を少なくして第1のリング5Aの回転性の悪化を抑制する手段として、第2のリング5Bの下向き面には細幅な環状の凸部52が形成され、かつこの凸部52が第1のリング5Aに接触する構成とされている。
【0035】ガイド部3は、支持体2のフランジ部20に連設された起立部22と、この起立部22に装着された補助部材30とを具備して構成されている。補助部材30は、図6によく表われているように、上部に形成された摘まみ部30aと、この摘まみ部30aの下部に連設された二股状の一対の脚部31a,31bとを有している。これら一対の脚部31a,31bは、起立部22に形成された穴23内にスライド可能に挿入されており、一対の脚部31a,31bの基部(上部)と起立部22の上面との間には、糸通し用の通路32が形成されている。この通路32の上下方向の開口寸法Hは、補助部材30を同方向にスライドさせることにより変更自在である。
【0036】脚部31bの下部には、略くの字状のバネ部35が連設されており、このバネ部35が穴23の内壁に当接する力を発揮することにより、補助部材30を所定の高さに維持できるようになっている。また、脚部31bには、ストッパ用の段部33が形成されており、補助部材30を上方に大きく引き上げたときにはこの段部33が穴23の上部壁面に形成されている段部23aに当接し、このことにより補助部材30が穴23から容易に抜けないようになっている。補助部材30の上部にも、ストッパ用の段部34が形成されている。この段部34は、補助部材30を押し下げたときに起立部22の上面に当接可能であり、この当接により補助部材30が穴23内に押し込まれ過ぎないようになっている。図1および図2によく表われているように、ガイド部3の糸通し用の通路32は、複数の突起12の側方であって、フランジ部11よりも高い箇所から複数の突起12に対して糸Yを供給できるように設けられている。
【0037】カバーキャップ4は、略ドーム状であり、複数の突起12を含むヘッド1の上部を覆うようにしてヘッド1のフランジ部11に着脱自在である。カバーキャップ4をフランジ部11に着脱自在とする手段としては、たとえばカバーキャップ4の下部周縁がフランジ部11に対して適当な弾発力をもって外嵌する構造を採用することが可能であるが、むろん本願発明はこれに限定されない。
【0038】次に、上記構成の編み具Aの使用例ならびに作用について説明する。
【0039】編み紐を作成する場合の基本的な手順は、既述した従来技術と同様であり、複数の突起12のそれぞれに糸Yを適当に掛けた後に、図7に示すように、糸Yを複数の突起12の周囲に掛け廻していきながら、それよりも先に掛け廻されている糸Yの一部分を、新たに掛け廻された他の部分に対してかぎ針80を利用して掛けていく作業を繰り返す。ただし、糸Yについては、ガイド部3の通路32に通しておく。
【0040】糸Yを複数の突起12に掛け廻す作業は、ユーザがヘッド1を回転させることにより行なうことができる。すなわち、糸Yの一部分については、複数の突起12のいずれかの外側方からガイド部3の通路32まで延びた状態に設定しておくことができるため、ヘッド1を回転させれば、糸Yは自然に複数の突起12に掛け廻されることとなる。ヘッド1の回転操作は、支持体2を把持する手の親指でヘッド1のフランジ部11に触れることによって簡単に行なうことが可能である。糸Yを突起12に掛け廻す際のこの糸Yの高さは、突起12に先に掛けられている糸の一部分よりも高くする必要があるが、ガイド部3の通路32はフランジ部11よりも上方の適度な高さに設定されているため、特別な操作をなんら行なうことなく、単にヘッド1を回転させるだけで、上記した必要性に応えることができる。
【0041】糸Yが複数の突起12に掛け廻されるときの糸Yの張力は、ガイド部3の補助部材30を操作することにより調整することが可能である。すなわち、補助部材30を上下方向に移動させて通路32の開口寸法H(図6参照)を変更すると、この通路32の内側面と糸Yとの摩擦力が変化する。この摩擦力が、糸Yに張力を生じさせるため、この摩擦力の調整によって糸Yの張力を適度な値にすることができるのである。一般的に、編み紐の仕上がり具合を良好にするためには、糸の張力を弱めに設定しておくことが好ましい。本実施形態の編み具Aにおいては、補助部材30の操作によってそのような要請にも的確に応えることが可能である。糸Yをガイド部3に支持させた場合には、糸を指で摘んで支持する場合とは異なり、複数の突起12に向けて繰り出される糸Yの張力は略一定となる。したがって、この編み具Aを用いて作成される編み紐は、編み組織の密度に大きなバラツキのない体裁の良いものとなる。
【0042】ヘッド1を回転させることによって糸Yを複数の突起12に掛け廻していく場合、複数の突起12のそれぞれに糸Yが掛けられる場所は一定化される。より具体的には、たとえば図7の符号N1で示す箇所において1つの突起12に糸Yが掛けられるとすると、他の複数の突起12についてもそれと同一箇所において糸Yが掛けられることとなる。したがって、かぎ針80を用いて糸の一部分を他の一部分に掛ける作業(図13の(d)〜(f)に相当する作業)については、常に、符号N1で示す箇所において行なえばよいこととなり、この作業も容易化される。ヘッド1は、図7の矢印N2の方向のみならず、それとは反対方向にも回転させることが可能であるため、ヘッド1の回転方向はユーザが操作し易い方向とすればよく、ユーザが右利きと左利きとのいずれであっても使い勝手がよいこととなる。
【0043】図5(a)に示した仮固定機構6の第1および第2の凸部61,62は、ヘッド1が所定角度回転されるごとに互いに接触し、ヘッド1が一定角度以上の大きな角度で容易に回転することを阻止する。したがって、たとえばかぎ針80を用いて糸掛け作業を行なっている際に、ヘッド1が不用意に大きく回転するといったこともない。また、仮固定機構6は、ユーザがヘッド1を回転させるときに、その回転動作に節度感をもたせる役割をも果たし、複数の突起12とガイド部3との間の糸Yに弛みが生じて、その張力に大きな変化をきたすといった不具合を解消するのにも役立つ。仮固定機構6によってヘッド1が仮固定される回転ピッチを、複数の突起12の配列ピッチと同一にしておけば、ヘッド1を回転させる際には、複数の突起12をそれらの1ピッチ分ずつ回転させることが可能となり、より便利となる。
【0044】図8に示すように、突起12に糸Yを掛けた場合、突起12の凹溝13がこの突起12と糸Yとの間の隙間s1を構成する。したがって、たとえば同図に示す糸Yの下段部分Yaを、上段部分Ybに掛けようとして図9の実線に示すようにかぎ針80を利用して引き上げる場合には、かぎ針80の先端を凹溝13に挿入することにより、このかぎ針80の先端に糸Yの下段部分Yaを容易に引っ掛けることが可能となる。また、かぎ針80の先端は、図9の仮想線に示すように、穴14内に挿入させることによって、フランジ部11の上面よりも下降させることができるため、たとえば糸Yの下段部分Yaがフランジ部11の上面に接触しているといった低い高さに存在している場合であっても、この糸Yの下段部分Yaをかぎ針80に適切に掛止させることができる。なお、フランジ部11に穴14を設ける手段に代えて、フランジ部11の外周縁部のうちの穴14に相当する箇所に切欠状の凹部を形成した場合においても、穴14を設けた場合と同様な効果が得られることとなり、本願発明はこのような構成にしてもかまわない。
【0045】カバーキャップ4は、編み具Aを使用しないときに図2の仮想線に示すようにヘッド1に装着されるが、このカバーキャップ4は、複数の突起12を保護する役割を果たす。また、編み紐の作成を途中で中断する場合にこのカバーキャップ4を使用すれば、複数の突起12に掛けられている糸Yがカバーキャップ4によって囲まれるために、複数の突起12から容易にほどけ難くなる。
【0046】図10および図11は、本願発明の他の実施形態を示している。これらの図においては、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0047】図10に示す構成においては、追加のヘッド1Aを具備している。このヘッド1Aは、ヘッド1と同様に、支持体2に対して着脱自在である。ただし、突起12の本数がヘッド1とは相違している。
【0048】このような構成によれば、ヘッド1に代えて、ヘッド1Aを支持体2に装着することにより、ヘッド1を用いた場合とは異なる編み紐を作成することが可能となり、便利である。このように支持体2に装着されるヘッドのみを取り替えることによって複数種類の編み紐を作成できるようにすれば、複数種類の編み具のそれぞれを一式ずつ準備する場合よりもコスト的に有利であり、また全体の部品点数も少なくすることができるために、保管収納やその他の取り扱いに際しても便利となる。
【0049】図11に示す構成においては、ヘッド1が支持体2に固定されている一方、ガイド部3はヘッド1や支持体2に対して相対回転可能とされている。ガイド部3を回転させるための手段としては、たとえば補助部材30を保持する起立部39を有するリング体38を支持体2に対して回転可能に嵌合させて支持するといった手段を採用することができる。
【0050】このような構成によれば、ガイド部3をヘッド1の周囲において回転させることにより、このガイド部3の通路32に支持されている糸Yを複数の突起12に対して簡単に掛け廻すことが可能である。本願発明においては、要は、ガイド部3とヘッド1とが相対回転可能であればよく、これら両者のうち、少なくとも一方が回転可能であればよい。ただし、ガイド部3を回転させた場合には、ヘッド1を回転させる場合とは異なり、常に一定の箇所において各突起12に糸Yを掛けていくことができない。したがって、使い勝手の良さからすれば、ガイド部3を回転させる構造よりも、ヘッド1を回転させる構造を採用することが好ましい。図11に示したように、ガイド部3を回転させる構造においては、ヘッド1を支持体2に固定させればよいため、この場合にはヘッド1と支持体2とを必ずしも別体で形成する必要はなく、これらを一体に成形することも可能である。
【0051】本願発明の内容は、上述の実施形態に限定されない。本願発明に係る編み具の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0052】支持体は、ユーザが片手で把持できるサイズおよび形状に形成することが好ましいが、本願発明はこれに限定されない。大きなサイズの編み紐あるいはこれに類する編み物を作成可能とするには、それに対応して編み具のサイズも大きくする必要があり、このような場合には、たとえば編み具を適当な箇所に載置した状態で使用可能な構成とすることもできる。
【0053】本願発明でいうガイド手段は、糸の張力調整機能を有しないものであってもよく、要は、糸を支持ガイドする機能を有していればよい。
【出願人】 【識別番号】000105039
【氏名又は名称】クロバー株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市東成区中道3丁目15番5号
【出願日】 平成13年12月6日(2001.12.6)
【代理人】 【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔 (外2名)
【公開番号】 特開2003−171854(P2003−171854A)
【公開日】 平成15年6月20日(2003.6.20)
【出願番号】 特願2001−372525(P2001−372525)