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【発明の名称】 改良された動的断熱性能を有する両面ベロア布製品
【発明者】 【氏名】モーシエ・ロツク

【氏名】エドワード・ピイ・デイオン

【氏名】ヒユーペツシユ・デユア

【氏名】チヤールズ・ハーリスラーク

【氏名】ウイリアム・ケイ・レイ

【氏名】ダグラス・ラム

【要約】 【課題】良好な動的断熱性能を発揮するとともに、重量の増加、ならびに/あるいは、伸縮性の喪失および/または弾力性の喪失をなくすことができる両面ベロア布製品を提供すること。

【解決手段】両面ベロア布製品は、フィラメントのステッチ糸により形成される技術面およびフィラメントのループ糸により形成される技術裏面を有する布体からなる。フィラメントのステッチ糸には、感熱材料、例えばホットメルト材、または熱収縮性材料、および/またはスパンデックス等のエラストマ材料を含む。布体には、ベロア表面を技術裏面および技術面の両方より形成する。技術面および技術裏面のうち少なくとも一方の起毛繊維は、技術面および技術裏面の他方に向かって布体の織目に入って、かつ/または布体の織目を通って、たとえば仕上げ後の水力交絡処理によって交絡する。布体は、布体を介する水の1/2インチの差の圧力下で約80立方フィート/平方フィート/分以下の透過性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 フィラメントのステッチ糸により形成された技術面およびフィラメントのループ糸により形成された技術裏面を有する布体からなり、前記フィラメントのステッチ糸は感熱材料からなり、前記布体にはベロア表面が前記技術裏面および前記技術面の双方に形成され、前記感熱材料は、迂曲性を増大させるための処理中に熱の適用に反応し、その結果、前記布体は該布体を介する水の1/2インチの圧力差の下で約80立方フィート/平方フィート/分以下の透過性を有する、両面ベロア布製品。
【請求項2】 前記感熱材料は、ホットメルト材からなる、請求項1に記載の両面ベロア布製品。
【請求項3】 前記感熱材料は、熱収縮性材料からなる、請求項1に記載の両面ベロア布製品。
【請求項4】 前記感熱材料は、ポリプロピレン、ポリエステル、およびポリアミドからなるグループから選択される、請求項1に記載の両面ベロア布製品。
【請求項5】 前記感熱材料は、乾熱の適用に反応する、請求項1、請求項2、請求項3、または請求項4に記載の両面ベロア布製品。
【請求項6】 前記感熱材料は、湿熱の適用に反応する、請求項1、請求項2、請求項3、または請求項4に記載の両面ベロア布製品。
【請求項7】 前記感熱材料は、蒸気により加えられる湿熱の適用に反応する、請求項6に記載の両面ベロア布製品。
【請求項8】 前記感熱材料は、温水により加えられる湿熱の適用に反応する、請求項6に記載の両面ベロア布製品。
【請求項9】 前記感熱材料は、約212°F〜約450°Fで約2分間〜約60分間の加熱に反応する、請求項1、請求項2、請求項3、または請求項4に記載の両面ベロア布製品。
【請求項10】 前記フィラメントのステッチ糸は、エラストマ材料からなる、請求項1、請求項2、請求項3、または請求項4に記載の両面ベロア布製品。
【請求項11】 前記エラストマ材料は、スパンデックスからなる、請求項10に記載の両面ベロア布製品。
【請求項12】 前記感熱材料のフィラメントおよび前記エラストマ材料のフィラメントは、ともに混合される、請求項10に記載の両面ベロア布製品。
【請求項13】 前記感熱材料のフィラメントおよび前記エラストマ材料のフィラメントは、ともに編組される、請求項10に記載の両面ベロア布製品。
【請求項14】 前記技術面および前記技術裏面のうち少なくとも一方の前記ベロア表面の起毛繊維は、前記技術面および前記技術裏面の他方に向かって前記布体の織目に入って、かつ/または前記布体の織目を通って交絡し、請求項10に記載の両面ベロア布製品。
【請求項15】 前記技術裏面の起毛繊維は、前記技術面に向かって前記布体の織目に入って、かつ/または前記布体の織目を通って交絡する、請求項14に記載の両面ベロア布製品。
【請求項16】 前記フィラメントのステッチ糸は、コアおよびシースを有する有心糸からなり、前記シースはホットメルト材からなる、請求項1、請求項2、請求項3、または請求項4に記載の両面ベロア布製品。
【請求項17】 前記ホットメルト材は、ポリプロピレン、ポリエステル、およびポリアミドからなるグループから選択される、請求項16に記載の両面ベロア布製品。
【請求項18】 前記コアは、ポリエステルとナイロンとからなるグループから選択される材料からなる、請求項16に記載の両面ベロア布製品。
【請求項19】 前記フィラメントのループ糸は、分割して多数の小径フィラメントをリリースする、請求項1に記載の両面ベロア布製品。
【請求項20】 前記フィラメントのループ糸は、加熱により分割し、前記多数の小径フィラメントをリリースする、請求項19に記載の両面ベロア布製品。
【請求項21】 前記フィラメントのループ糸は、「海島」構造からなる、請求項20に記載の両面ベロア布製品。
【請求項22】 前記フィラメントのループ糸は、化学処理を施すことにより分割し、前記多数の小径フィラメントをリリースする、請求項19に記載の両面ベロア布製品。
【請求項23】 前記フィラメントのループ糸は、機械的作用を加えることにより分割し、前記多数の小径フィラメントをリリースする、請求項19に記載の両面ベロア布製品。
【請求項24】 前記フィラメントのループ糸は、テキスチャ化されている、請求項1に記載の両面ベロア布製品。
【請求項25】 前記フィラメントのステッチ糸は、テキスチャ化されている、請求項1に記載の両面ベロア布製品。
【請求項26】 前記技術面および前記技術裏面のうち少なくとも一方の前記ベロア表面の起毛繊維は、前記技術面および前記技術裏面の他方に向かって前記布体の織目に入って、かつ/または前記布体の織目を通って交絡する、請求項1、請求項2、請求項3、または請求項4に記載の両面ベロア布製品。
【請求項27】 前記技術裏面の起毛繊維は、前記技術面に向かって前記布体の織目に入って、かつ/または前記布体の織目を通って交絡する、請求項26に記載の両面ベロア布製品。
【請求項28】 フィラメントのステッチ糸により形成された技術面およびフィラメントのループ糸により形成された技術裏面を有する布体からなり、前記フィラメントのステッチ糸はエラストマ材料からなり、前記布体にはベロア表面が前記技術裏面および前記技術面の双方に形成され、前記布体は該布体を介する水の1/2インチの圧力差の下で約80立方フィート/平方フィート/分以下の透過性を有する、両面ベロア布製品。
【請求項29】 前記エラストマ材料は、スパンデックスからなる、請求項28に記載の両面ベロア布製品。
【請求項30】 前記布体は、約70立方フィート/平方フィート/分以下の透過性を有する、請求項1または請求項28に記載の両面ベロア布製品。
【請求項31】 前記技術面および前記技術裏面のうち少なくとも一方の前記ベロア表面の起毛繊維は、前記技術面および前記技術裏面の他方に向かって前記布体の織目に入って、かつ/または前記布体の織目を通って交絡する、請求項28に記載の両面ベロア布製品。
【請求項32】 前記技術裏面の起毛繊維は、前記技術面に向かって前記布体の織目に入って、かつ/または前記布体の織目を通って交絡する、請求項31に記載の両面ベロア布製品。
【請求項33】 フィラメントのステッチ糸により形成された技術面およびフィラメントのループ糸により形成された技術裏面を有する布体からなり、前記布体にはベロア表面が前記技術面および前記技術裏面の双方に形成され、前記技術面および前記技術裏面のうち少なくとも一方の前記ベロア表面の起毛繊維は、前記技術面および前記技術裏面の他方に向かって前記布体の織目に入って、かつ/または前記布体の織目を通って交絡し、前記布体は該布体を介する水の1/2インチの圧力差の下で約80立方フィート/平方フィート/分以下の透過性を有する、両面ベロア布製品。
【請求項34】 前記技術裏面の起毛繊維は、前記技術面に向かって前記布体の織目に入って、かつ/または前記布体の織目を通って交絡し、請求項33に記載の両面ベロア布製品。
【請求項35】 フィラメントのステッチ糸により形成された技術面およびフィラメントのループ糸により形成された技術裏面を有する布体からなり、前記布体にはベロア表面が前記技術面および前記技術裏面の双方に形成され、前記布体は該布体を介する水の1/2インチの圧力差の下で約80立方フィート/平方フィート/分以下の透過性を有する両面ベロア布製品であって、仕上げ後に、前記技術面および前記技術裏面のうち少なくとも一方は水力交絡(hydroentanglement)されて前記ベロア表面の起毛繊維が前記布体の織目に入って、かつ/または前記布体の織目を通って交絡し、それにより前記布体を緻密化し、迂曲性を増大させる、両面ベロア布製品。
【請求項36】 仕上げ後に、前記技術裏面の起毛繊維は、前記技術面に向かって前記布体の織目に入って、かつ/または前記布体の織目を通って交絡する、請求項35に記載の両面ベロア布製品。
【請求項37】 前記フィラメントのステッチ糸および前記フィラメントのループ糸のうち少なくとも一方は、ファインデニールフィラメントまたは繊維の糸である、請求項1、請求項28、請求項33、または請求項35に記載の両面ベロア布製品。
【請求項38】 両面ベロア布体を形成する方法であって、フィラメントのループ糸とフィラメントのステッチ糸とを接合して布予備体を形成するステップであって、前記フィラメントのステッチ糸は前記布予備体の技術面を形成し、前記フィラメントのループ糸は前記布予備体の技術裏面を形成し、前記フィラメントのステッチ糸は感熱材料からなる、布予備体を形成するステップと、前記布予備体の前記技術面および前記技術裏面を仕上げることにより、両ベロア表面を有する両面ベロア布体を形成するステップと、前記感熱材料が反応するのに十分なほど前記布体を加熱することにより迂曲性を増大させ、その結果、前記布体は該布体を介する水の1/2インチの圧力差の下で約80立方フィート/平方フィート/分以下の透過性を有するステップとを含む方法。
【請求項39】 両面ベロア布体を形成する方法であって、フィラメントのループ糸とフィラメントのステッチ糸とを接合して布予備体を形成するステップであって、前記フィラメントのステッチ糸は前記布予備体の技術面を形成し、前記フィラメントのループ糸は前記布予備体の技術裏面を形成する、布予備体を形成するステップと、前記布予備体の前記技術面および前記技術裏面を仕上げることにより、両ベロア表面を有する両面ベロア布体を形成するステップと、前記技術面および前記技術裏面のうち少なくとも一方の起毛繊維を交絡させ、前記布体の織目に入れ、かつ/または該布体の織目に通し、それにより該布体の密度および迂曲性を増大させるステップであって、前記布体は該布体を介する水の1/2インチの圧力差の下で約80立方フィート/平方フィート/分以下の透過性を有する、迂曲性を増大させるステップとを含む方法。
【請求項40】 前記技術面および前記技術裏面のうち少なくとも一方に微細な高圧ジェットを当てることによって、水力交絡処理の際に前記起毛繊維を交絡させるさらなるステップを含む、請求項39に記載の両面ベロア布体を形成する方法。
【請求項41】 前記技術裏面に微細な高圧ジェットを当て、前記技術裏面の前記ベロア表面の起毛繊維を前記技術面に向かって前記布体の織目に入れて、かつ/または該布体の織目に通して交絡させるさらなるステップを含む、請求項39または請求項40に記載の両面ベロア布体を形成する方法。
【請求項42】 前記フィラメントのステッチ糸は、感熱材料からなり、前記方法は、前記感熱材料に反応させるのに十分なほど前記布体を加熱し、それにより迂曲性を増大させるさらなるステップを含む、請求項39に記載の両面ベロア布体を形成する方法。
【請求項43】 染色の際に、前記感熱材料に反応させるのに十分なほど前記布体を加熱することを含む、請求項38または請求項42に記載の両面ベロア布体を形成する方法。
【請求項44】 仕上げの際に、前記感熱材料に反応させるのに十分なほど前記布体を加熱することを含む、請求項38または請求項42に記載の両面ベロア布体を形成する方法。
【請求項45】 前記布体は、乾熱を加えることを含む、請求項38または請求項42に記載の両面ベロア布体を形成する方法。
【請求項46】 前記布体に湿熱を加えることを含む、請求項38または請求項42に記載の両面ベロア布体を形成する方法。
【請求項47】 前記布体に蒸気を加えることを含む、請求項46に記載の両面ベロア布体を形成する方法。
【請求項48】 前記布体に温水を加えることを含む、請求項46に記載の両面ベロア布体を形成する方法。
【請求項49】 前記感熱材料に反応させるのに十分なほど、約212°F〜約450°Fで約2分間〜約60分間、前記布体を加熱することを含む、請求項38または請求項42に記載の両面ベロア布体を形成する方法。
【請求項50】 フィラメントのループ糸とフィラメントのステッチ糸を接合することを含み、該フィラメントのステッチ糸は、エラストマ材料からなる、請求項38または請求項42に記載の両面ベロア布体を形成する方法。
【請求項51】 前記感熱材料に反応させるのに十分なほど前記布体を加熱することによって迂曲性を増大させ、その結果、前記布体が約70立方フィート/平方フィート/分以下の透過性を有することを含む、請求項38または請求項42に記載の両面ベロア布体を形成する方法。
【請求項52】 前記フィラメントのステッチ糸は、エラストマ材料からなる、請求項38または請求項42に記載の両面ベロア布体を形成する方法。
【請求項53】 両面ベロア布体を形成する方法であって、フィラメントのループ糸とフィラメントのステッチ糸とを接合して布予備体を形成するステップであって、前記フィラメントのステッチ糸は、前記布予備体の技術面を形成し、前記フィラメントのループ糸は、前記布予備体の技術裏面を形成し、前記フィラメントのステッチ糸は、エラストマ材料からなる、布予備体を形成するステップと、前記布予備体の前記技術面および前記技術裏面を仕上げることによって、両ベロア表面、および前記布体を介する水の1/2インチの圧力差の下で約80立方フィート/平方フィート/分以下の透過性を有する両面ベロア布体を形成するステップとを含む方法。
【請求項54】 前記エラストマ材料は、スパンデックスからなる、請求項50、請求項52、または請求項53に記載の両面ベロア布体を形成する方法。
【発明の詳細な説明】【0001】本願は、1999年7月2日に提出され、同時係属中の米国特許出願第09/347,825号の一部継続出願であり、かつ2001年7月18日に提出され、同時係属中の米国特許出願第09/883,643号の一部継続出願であって、これらの開示全体が本明細書に参照により援用される。
【0002】
【発明の属する技術分野】本発明は、両面ベロア布製品に関し、より詳細には、比較的大きな緻密化(densification)および迂曲性による改良された動的断熱性能を有する両面ベロア布製品に関する。
【0003】
【従来の技術】例えば、サンダー仕上げ処理、ブラッシング処理またはナッピング処理により形成された起毛面を両面にもつ両面ベロア布製品は、静的条件、すなわち、風が布を吹き抜けることがない、空気が静かなあるいは静止した状態においては、良好な断熱性能を発揮することが知られている。しかしながら、これらの布製品の断熱性は、動的条件においては、すなわち、冷風の中では急速に損なわれる。したがって、風の強い条件下において両面ベロア布製品を着用している消費者は、例えば、ナイロンの織物その他の低透過性材料のシェル(shell)の着用が必要であることに気づく。
【0004】さらに、比較的粗いステッチ糸を組み込みおよび/またはステッチをきつくすることにより、両面ベロア布製品の断熱性が高められることも知られている。しかしながら、これらの方法は、布製品の伸縮性を極めて乏しくするとともに、剛性および重量を増加させることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする手段】本発明の目的は、良好な動的断熱性能(dynamic insulation performance)を発揮するとともに、重量の増加、ならびに/あるいは、伸縮性の喪失および/または弾力性の喪失をなくすことができる両面ベロア布製品を提供することにある。本発明の別の目的は、断熱性能の極端な低下をもたらすことなく、寒冷の、風のある条件において着用することができる両面ベロア布製品を提供することにある。一般的に、迂曲性、したがって密度は、ステッチ糸に感熱および/またはエラストマ材料を用いること、およびループ糸の繊維を交絡させることにより増大する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の1つの態様によれば、両面ベロア布製品は、フィラメントのステッチ糸により形成された技術面およびフィラメントのループ糸により形成された技術裏面を有する布体からなり、フィラメントのステッチ糸は感熱材料からなり、布体はベロア表面が技術裏面および技術面の双方に形成され、感熱材料は迂曲性を増大させるために処理中の熱の適用に反応し、その結果、布体は布体を介する水の1/2インチの圧力差の下で約80立方フィート/平方フィート/分以下の透過性を有する(本明細書においてその全開示が参照により援用される、ASTM番号:D737−96「Standard Test Method for Air Permeability of Textile Fabrics」の試験方法による)。
【0007】本発明のこの態様の好ましい実施形態は、以下のさらなる特徴の1つまたは複数を含み得る。感熱材料は、ポリプロピレン、ポリエステル、およびポリアミドからなるグループより選択されることが好ましい。感熱材料は、好ましくはポリエステル、ポリプロピレン、およびポリアミドからなるグループから選択される熱収縮性材料を含む。感熱材料は、乾熱および/または例えば蒸気または温水等の湿熱の、例えば約212°F〜約450°Fで約2分間〜約60分間の適用に反応する。フィラメントのステッチ糸は、エラストマ材料、例えばスパンデックスからなる。感熱材料のフィラメントおよびエラストマ材料のフィラメントは、共に混合または編組される。フィラメントのステッチ糸はコアおよびシースを有する有心糸からなり、シースはホットメルト材からなる。コア材料は、ポリエステルおよびナイロンからなるグループから選択されることが好ましく、ホットメルト材は、ポリプロピレン、ポリエステル、およびポリアミドからなるグループから選択されることが好ましい。フィラメントのループ糸は、例えば熱を加えられて、(例えば、ファインデニール繊維またはフィラメントのループ糸は、「海島」構造からなる)または化学物質、例えばカセイソーダを加えて、または機械的作用、例えばナッピングにより分割されて、多数の小径フィラメントをリリースする。フィラメントのループ糸および/またはステッチ糸はテキスチャ化される。技術面および技術裏面のうち少なくとも一方のベロア表面の起毛繊維は、技術面および技術裏面の他方に向かって布体の織目に入って、かつ/または布体の織目を通って交絡する。技術裏面の起毛繊維は、技術面に向かって布体の織目に入って、かつ/または布体の織目を通って交絡する。
【0008】本発明の別の態様によると、両面ベロア布製品は、フィラメントのステッチ糸により形成された技術面およびフィラメントのループ糸により形成された技術裏面を有する布体からなり、フィラメントのステッチ糸はエラストマ材料からなり、布体にはベロア表面が技術裏面および技術面の双方に形成され、布体は布体を介する水の1/2インチの圧力差の下で約80立方フィート/平方フィート/分以下の透過性を有する。
【0009】本発明のこれらの態様両方の好ましい実施形態は、以下のさらなる特徴の1つまたは複数を含み得る。エラストマ材料はスパンデックスからなる。布体は、約70立方フィート/平方フィート/分以下の透過性を有する。技術面および技術裏面の少なくとも一方のベロア表面の起毛繊維は、技術面および技術裏面の他方に向かって布体の織目に入って、かつ/または布体の織目を通って交絡する。好ましくは、技術裏面の起毛繊維は、技術面に向かって布体の織目に入って、かつ/または布体の織目を通って交絡する。フィラメントのステッチ糸およびフィラメントのループ糸のうち少なくとも一方は、ファインデニールフィラメントまたは繊維の糸である。
【0010】本発明の別の態様によれば、両面ベロア布製品は、フィラメントのステッチ糸により形成された技術面およびフィラメントのループ糸により形成された技術裏面を有する布体からなり、布体はベロア表面が技術裏面および技術面の双方に形成され、技術面および技術裏面のうち少なくとも一方のベロア表面の起毛繊維は、技術面および技術裏面の他方に向かって布体の織目に入って、かつ/または布体の織目を通って交絡し、布体は布体を介する水の1/2インチの圧力差の下で約80立方フィート/平方フィート/分以下の透過性を有する。
【0011】本発明の1つの態様によれば、両面ベロア布製品は、ステッチ糸により形成された技術面およびループ糸により形成された技術裏面を有する布体からなり、フィラメントのステッチ糸は感熱材料からなり、布体はベロア表面が技術裏面および技術面の双方に形成され、技術面および技術裏面のうち少なくとも一方のベロア表面の起毛繊維は、技術面および技術裏面の他方に向かって布体の織目に入り、かつ/または布体の織目を通り、布体は布体を介する水の1/2インチの圧力差の下で約80立方フィート/平方フィート/分以下の透過性を有する。仕上げ後は、技術面および技術裏面のうち少なくとも一方は水流絡合されて、ベロア表面の起毛繊維は、布体の織目に入って、かつ/または布体の織目を通って交絡し、それにより布体を緻密化(densify)し、迂曲性を増大させる。
【0012】本発明の両態様の好ましい実施形態では、技術裏面の起毛繊維が、技術面に向かって布体の織目に入って、かつ/または布体の織目を通って交絡し、かつ/またはフィラメントのステッチ糸およびフィラメントのループ糸の少なくとも一方は、ファインデニールフィラメントまたは繊維の糸である。
【0013】本発明のさらに別の態様によれば、両面ベロア布体の形成方法が提供されており、この方法は、フィラメントのループ糸とフィラメントのステッチ糸とを接合して布予備体を形成するステップと、フィラメントのステッチ糸は布予備体の技術面を形成し、フィラメントのループ糸は布予備体の技術裏面を形成し、フィラメントのステッチ糸は感熱材料からなり、布予備体の技術面および技術裏面を仕上げることにより、両ベロア表面を有する両面ベロア布体を形成するステップと、感熱材料が反応するのに十分なほど布体を加熱することにより迂曲性を増大させ、その結果、布体が布体を介する水の1/2インチの圧力差の下で約80立方フィート/平方フィート/分以下の透過性を有するステップとを含む。
【0014】本発明の別の態様によれば、両面ベロア布体の形成方法が提供されており、この方法は、フィラメントのループ糸とフィラメントのステッチ糸とを接合して布予備体を形成するステップと、フィラメントのステッチ糸は布予備体の技術面を形成し、フィラメントのループ糸は布予備体の技術裏面を形成し、布予備体の技術面および技術裏面を仕上げることにより、両ベロア表面を有する両面ベロア布体を形成するステップと、技術面および技術裏面のうち少なくとも一方の起毛繊維を交絡させ、布面の織目に入れ、かつ/または通し、それにより布体の密度および迂曲性を増大させるステップとを含み、布体は、布体を介する水の1/2インチの圧力差の下で約80立方フィート/平方フィート/分以下の透過性を有する。
【0015】本発明のこの態様の好ましい実施形態は、以下のさらなる特徴の1つまたは複数を含み得る。本方法は、水流絡合処理において、技術面および技術裏面の少なくとも一方に微細な高圧ウォータージェットを当てることにより、起毛繊維を交絡させるステップをさらに含む。本方法は、技術裏面に微細な高圧ジェット(例えば、ウォータージェットまたはエアジェット)を当て、技術裏面のベロア表面の起毛繊維を交絡させ、技術面に向かって布体の織目に入り、かつ/または通るようにするステップをさらに含む。フィラメントのステッチ糸は感熱材料からなり、本方法は、感熱材料が反応するのに十分なほど上記布体を加熱することにより、迂曲性を増大させるステップをさらに含む。
【0016】本発明の両態様の好ましい実施形態は、以下のさらなる特徴の1つまたは複数を含み得る。本方法は、染色および/または仕上げの際に、感熱材料が反応するのに十分なほど布体に熱を加えることを含む。本方法は、布体に乾熱および/または湿熱、例えば蒸気または温水を加えることを含む。本方法は、感熱材料が反応するのに十分なほど、約212°F〜約450°Fで約2分間〜約60分間布体を加熱することを含む。本方法は、感熱材料が反応するのに十分なほど布体を加熱することにより迂曲性を増大させ、その結果布体が約70立方フィート/平方フィート/分以下の透過性を有することを含む。本方法は、フィラメントのループ糸とフィラメントのステッチ糸とを接合することを含み、フィラメントのステッチ糸はエラストマ材料、例えばスパンデックスからなる。
【0017】本発明のさらに別の態様によれば、両面ベロア布体の形成方法が提供されており、この方法は、フィラメントのループ糸とフィラメントのステッチ糸とを接合して布予備体を形成するステップと、フィラメントのステッチ糸は布予備体の技術面を形成し、フィラメントのループ糸は布予備体の技術裏面を形成し、フィラメントのステッチ糸は感熱材料、例えばスパンデックスからなり、布予備体の技術面および技術裏面を仕上げることにより、両ベロア表面と、布体を介する水の1/2インチの圧力差の下で約80立方フィート/平方フィート/分以下の透過性とを有する両面ベロア布体を形成するステップとを備えている。
【0018】本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に示される。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面、ならびに特許請求項から明らかになるであろう。
【0019】種々の図面において同様の参照符号は同様の要素を示す。
【0020】
【発明の実施の形態】図1を参照すると、例えば本発明の両面ベロア布製品10(図2)を形成するのに使用される両面布予備体12は、例えば、David J. Spencer著のKnitting Technology(Woodhead Publishing Limited, 2nd edition, 1996)に記載されている標準的な裏編み丸編み(reverse plaiting circular knitting)(テリー編み)処理(図4〜10参照)においてステッチ糸14とループ糸16とを接合することより形成される。この開示全体は参照により本明細書に援用される。テリー編み処理においては、ステッチ糸14は、得られる布予備体12の技術面18を形成し、ループ糸16は反対側の技術裏面20を形成しており、本実施形態においては、技術裏面はループ22に形成される。裏編み丸編みにより形成される布予備体12においては、ループ糸16は外方へ延びて、技術面18のステッチ糸14を覆っている。
【0021】編み布体12の技術裏面20を形成するループ糸16は、合成または天然の素材から形成することができる。繊維またはフィラメント断面および光沢は、例えば、目的とする最終用途の要件に応じて変えることができる。ループ糸16は、テキスチャ化されたかあるいは平坦なフィラメント糸、好ましくはファインデニールフィラメントまたは繊維の糸(例えば1.5dpf以下)とすることができ、テキスチャ化された糸は、以下において説明するように、比較的大きな動的断熱効果を得るのに好ましい。ループ糸の全体のデニールは、約70デニールないし300デニールの範囲が一般的であり、好ましい番手は約150デニールである。この好ましい番手においては、フィラメントの番手の範囲は、100フィラメントないし300フィラメントであるので、フィラメント当たりのデニール(dpf)はそれぞれ1.5ないし0.5となる。比較的小さいdpf、例えば、1dpfとすると、以下において説明するように、比較的大きな動的断熱効果が得られるので好ましい。好ましい商業的に入手することができるループ糸は、1.14のdpfを有する、150/132デニールのテキスチャ化されたポリエステルの、ファインデニールフィラメントまたは繊維の糸であり、例えば、UNIFI, Inc.(Greensboro, North Carolina)から入手することができる。
【0022】編み布体12の技術面16を形成するステッチ糸14はまた、テキスチャ化されたかまたは平坦なフィラメント糸の任意のタイプの合成または天然素材から形成することができ、テキスチャ化された糸は、比較的大きな動的断熱効果が得られるので好ましい。ステッチ糸の番手デニールの範囲は、一般には、約50ないし150デニールである。ループ糸が150/132にテキスチャ化されている場合には、好ましいステッチ糸の番手は、約100デニールであり、フィラメントの番手の範囲は、約34フィラメントないし200フィラメント、すなわち、100/34ないし100/200の範囲にあるので、dpfは約3dpfないし0.5dpfとなり、ここでもまた、比較的大きな動的断熱性能を得るには比較的細いフィラメントが好ましい。好ましいステッチ糸は、約0.7dpfを有する、100/136デニールのテキスチャ化されたポリエステルであり、これは例えば、UNIFI, Inc. から商業的に入手することができる。別の好ましい糸は、約0.3dpfを有する、130/408デニールのテキスチャ化されたポリエステルであり、これは例えば、Hyosung, Inc.(Seoul, Korea)から入手可能である。
【0023】これらの例から、著しく改良された動的断熱性能を得るためには、テキスチャ化された150/132のループ糸およびテキスチャ化された100/136のステッチ糸を使うのが好ましいことがわかる。
【0024】これに対して、本発明の改良された動的断熱性能を持たない先行技術の両面ベロア布製品(100、図3)では、典型的なステッチ糸は、2.0dpfよりも大きい個々の繊維繊度を有する、70/34デニールのフィラメントのテキスチャ化されたポリエステルであり、これは、例えば、UNIFI, Inc. から商業的に入手することができる。
【0025】本発明の好ましい方法において、布予備体12は細断(fine cut)丸編み機(例えば、カット28)での裏編みにより形成される。これは、実質上、テリー編み構造であり、ループ糸16のセグメント22は、技術面18のステッチ糸14を覆い、ループ糸16のループ23は、布予備体12の技術裏面20においてループ23を形成する(図1参照)。
【0026】布予備体12は、次に、仕上げに供される。仕上げ処理の際には、布予備体12の技術面18および技術裏面20は、技術面18のステッチ糸14および技術裏面20に形成されたループ23を覆うループ糸16のセグメント22とともに、サンダー仕上げ、ブラッシング、および/またはナッピングのような仕上げ処理を受け、ベロア24、26を形成する。糸の繊維は、布予備体12(図1)の両面において起毛され、技術面18および技術裏面20を含み、本発明の両面ベロア布製品10(図2)の布体30の各面にベロア24および26を形成する。布予備体12および/または布体10もまた、例えば化学的に処理して、疎水性とすることができる。
【0027】図12を参照すると、仕上げ後、布製品10は次に、スフ糸の製造および不織布の製造に用いられるような水力交絡処理にかけられる。この処理中、微細な高圧ウォータージェット32(またはエアジェット)が、例えば布製品10の技術裏面20に当てられる。このようにして、技術裏面20のベロア表面の起毛繊維34は、技術面18に向かって布体30の織目に入って、かつ/または布体30の織目を通って交絡する。したがって水力交絡処理は、ベロア表面を緻密化する役割を果たし、かさ(bulk)すなわち厚さを実質的に増加させることなく、有利に両面布製品40(図13)の動的断熱性能を改良する(すなわち、例えば冷風の中での空気の貫流に対して)。ほんの一例として、仕上げ後、両面ベロア布製品10の技術裏面20は、微細な高圧ウォータージェット32を用いて、例えば直径0.01〜1.0mmの複数の孔を有するジェットから水を100m/秒〜350m/秒で加えて、水力交絡によって処理され得る。あるいは、技術面の起毛繊維は、技術裏面に向かって布体の織目に入り、かつ/または通り得る。
【0028】技術裏面、すなわちループ糸の起毛繊維が、技術面に向かって布体の織目に入って、かつ/または布体の織目を通って交絡することにより、たとえば技術面の起毛繊維が、技術裏面に向かって布体の織目に入って、かつ/または布体の織目を通って交絡する場合と比べて、比較的大きな緻密化、したがってより大きな迂曲性が得られる。迂曲性の比較的大きな増大が得られることに加えて、裏面から表面への絡合はまた、布/服地の外面の滑らかさを増すが、表面から裏面への絡合は、布/服地の内面の迂曲性および滑らかさを増す。
【0029】布製品40の布性能および美しさはまた、編ゲージ(例えば、約18〜約36の範囲、好ましくは約28)、糸の種類(例えば、好ましくはテキスチャ化されたかまたは平坦なフィラメント)、糸のデニール(例えば、約70〜約300、好ましくは約100)、繊維のデニール(例えば、約0.3〜約1.5、好ましくは約1.0)等の選択により調節され得る。ジェットの速度および/または孔のサイズ(例えば上述の範囲内)の調節は、布の性能および/または美しさを調節するために、さらにまたは代わりに用いられる。
【0030】布製品40はその後、布製品の幅を安定させるためにヒートセットされる。
【0031】以下に記載する本発明のこの実施形態または他の実施形態では、例えば仕上げまたは染色の際に、布体に熱、例えば乾熱および/または温水や蒸気等の湿熱が加えられる。他の部分で述べたように、ステッチ糸(および/またはループ糸)は、感熱および/またはエラストマ材料を含み得る。
【0032】本発明のこの実施形態の得られた両面ベロア布製品10においては、フィラメントのステッチ糸14の全体密度、すなわち、長さ当たりの重量は、両面にベロア104および106を有する対応する先行技術の布製品100に使用されるステッチ糸102と著しく近いものとなる。フィラメントのステッチ糸14の直径は、先行技術のステッチ糸102よりわずかに大きくなり得る(これは、フィラメントのステッチ糸14のフィラメントの、フィラメント同士の係合の増大によるものと考えられる)。本発明の両面ベロア布製品10の糸の番手とゲージもまた、対応する先行技術の布製品100と実質上同等である。従って、本発明の両面ベロア布製品10の重量と伸縮性は、同じゲージと糸番手を有する先行技術の両面ベロア布製品100の重量および伸縮性と著しく近いものとなる。
【0033】マイクロデニールフィラメントのステッチ糸14とステッチ糸102の重量と密度が同じであるということは、それぞれの製品の開放容積(open volume)に対する糸材料の比も略同じであることを意味する。しかしながら、マイクロデニールフィラメントのステッチ糸14および得られる本発明の両面ベロア布製品10においては、個々のフィラメントの平均横断面積は、先行技術の同等の布製品100に用いられるステッチ糸102におけるフィラメント平均横断面積よりも、かなり小さいものとなる。例えば、好ましいマイクロデニールフィラメントのステッチ糸14のフィラメント当たりのデニール(dpf)は、対応する先行技術の布製品100ステッチ糸102が3.0dpfであるのに対して、約0.7dpfである。従って、本発明の両面ベロア布製品10に対する空気の通過経路、例えば、冷風の通過経路は、対応する先行技術の両面ベロア布製品10と比較して、数が多くなるとともに、かなり小さくなり、しかも迂曲度が大きくなる。本発明の布製品の向上した性能は、糸の番手およびフィラメントの番手を大きくして布の経路を一層迂曲したものとすることにより、空気、すなわち、冷風が本発明の両面ベロア布製品10を素早く透通するのを一層困難にすることにより得ることができる。かくして、本発明の両面ベロア布製品の動的断熱性能は、先行技術に比べて著しく改良されたものとなる。
【0034】図14には、Canadian Journal of Research (Vol. 25, Sec. A, No. 4, (July 1947), pp. 169-190)に掲載の「種々の透過性を有するカバーオール布により得られた保護に対する特定の基準を有する衣服の熱抵抗に及ぼす風の影響」(「The Effect of Wind on the Thermal Resistance of Clothing with SpecialReference to the Protection Given by Coverall Fabrics of Various Permeabilities」)と題するP. Laroseの論文に記載の、異なる透過性を有するカバーすなわち布に関する有効断熱性の変化と風速との関係を示す曲線プロット図が再現されている。この開示全体は、参照により本明細書に援用される。試験された材料の透過性は、布を介する水の圧力差が1/2インチであるときに、0ないし193立方フィート/平方フィート/分の範囲で変化していた。
【0035】特に、このプロット図から、風速がゼロであるときには、試験された材料間の断熱性の差は、比較的小さいことがわかる。試験された各材料の動的断熱性能はまた、風速の増加に伴い減少していた。しかしながら、プロット図からわかるように、動的断熱性能の減少率は、比較的透過性の大きい布では著しく大きくなっていた。すなわち、透過性が大きくなると、風速の増大に伴う動的断熱性能の喪失の割合は、比較的大きな透過性を有する布との比較として、透過性の小さい布の場合には比較的小さくなっていた。
【0036】表A(以下)により、冷風下において本発明の両面ベロア布製品10(図2)の動的断熱性能が改良されることが、対応する先行技術の両面ベロア布製品100(図3)の性能と比較すると、容易に理解することができる。特に、本発明の両面ベロア布製品10は、布を通る空気の経路の迂回性を増大させることができるとともに、良好な伸縮特性を提供しかつ軽量化を実現することができるので、かなり良好な動的断熱性能、ならびに、良好な静的(無風)および動的(有風)断熱性能を発揮することができる。
【0037】
【表1】

【0038】「迂曲性」なる語は、糸の番手およびフィラメントの番手を大きくすることにより本発明に従って高められる布の特性を説明するのに使用されている。布を通る経路は、先行技術の布の経路よりも「迂曲」にされており、このように大きな「迂曲性」を付与することにより、動的断熱効果が一層大きくすることができる。さらに、所定の布体が通常の伸縮性よりも少ない伸縮性を受けることにより、布の最終的な幅(すなわち、仕上げの処理の際の布のヒートセット後に得られる幅)が減少すると、本発明の得られた布製品の動的断熱性能は依然として高くなっている。
【0039】別の好ましい実施形態では、本発明の布製品は、比較的大きい緻密化および迂曲性を有しており、したがって所定の選択された特性を有するステッチ糸および/またはループ糸を組み込むことにより、風の通過からの防御を高めるための動的断熱性能を増大させることができる。例えば、感熱材料(例えばホットメルトまたは熱収縮性材料)および/またはエラストマ材料(例えばスパンデックス)を含むかまたは主にそれらにより形成されるステッチ糸および/またはループ糸が用いられ得る。
【0040】例えば、図15を参照すると、好ましい実施形態では、細断丸編み機での裏編みにより形成される本発明の布製品30は、ベロア36、38の両面に仕上げられたステッチ糸32およびループ糸34を含む。ステッチ糸32は、感熱材料33、例えば熱収縮性材料、またはホットメルト材(典型的には、熱処理後に糸の結合性を維持する他の繊維と混合(例えばブレンド)される)を含むかまたは主にそれらからなる。適切な感熱材料としては、好ましくは例えば約212°F〜約450°Fで約2分間〜約60分間の後に約5%〜約50%の収縮率を有するポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。布製品はその後、染色および/または仕上げの際に、例えば乾熱および/または温水または蒸気のような湿熱が加えられる。加熱すると、ホットメルト材は融溶して小さくなりフィラメントの糸の間の織目を充填し、熱収縮性材料は短くなって詰まり、かつ/または有効な長さに短縮されることで布を通る冷風の経路を減らし、それによって本発明の布製品30の迂曲性および動的断熱性能を増大させる。
【0041】図16を参照すると、他の実施形態では、本発明の布製品40において、ステッチ糸42は、例えば、ポリエステルまたはナイロンから形成されたコアと、感熱材料、例えば、ポリプロピレン、ポリエステルまたはポリアミドのようなホットメルト材から形成されるシースを有する有心糸を含む。この材料は、例えば、Engineered Yarn Company(Fall River, Massachusetts)から商業的に入手可能である。この実施形態の布製品の加熱中、例えば染色および/または仕上げの際に、シースのホットメルト材は溶融し、そのため迂曲性が増大し、さらに布を通る冷風の経路は少なくなるので、本発明の布製品40の動的断熱性能を高めることができる。
【0042】図17を参照すると、本発明の布製品50において、ステッチ糸52はエラストマ材料53、例えばスパンデックスを含む。ステッチ糸52のエラストマ材料53はまた、布の伸縮性および着用者の快適性を高めるとともに、比較的大きな緻密化および迂曲性を備え、したがって風の通過からの防御を高めるための動的断熱性能を増大させることができる。
【0043】図18を参照すると、本発明の布製品60はまた、感熱材料63およびエラストマ材料65の組み合わせを含むかまたは主にそれからなるステッチ糸62から形成され得る。例えば、布製品60に用いられるステッチ糸は、ともに混合または編組された種々の特性を有する繊維またはフィラメントを含み得る。
【0044】図19を参照すると、他の実施形態では、本発明の布製品70は、加熱の際、例えば染色および/または仕上げの際に多数の伸長した繊維またはフィラメントに軸方向に分割された、標準デニールのループ糸72から形成される。その結果、布を通る冷風の経路が減少するかまたは狭まり、布製品70の迂曲性および動的断熱性能が増大する。ループ糸は、例えば化学処理、例えばカセイソーダを施すことによって、または機械的作用、例えばナッピングを施すことによってもまた分割され得る。
【0045】最後に図20を参照すると、さらに別の実施形態では、本発明の布製品80は、「海島」構造を有するループ糸82から形成される。すなわち、ループ糸82は、小径、例えば0.01〜0.03デニールの多数のフィラメント(「島」)を含むホットメルトポリマー体(「海」)から形成される。布体80の加熱の際、例えば染色および/または仕上げの際に、ホットメルト材は融溶して個別の小径フィラメントにリリースされる。ここでもまた、小径フィラメントのリリースにより、布製品80の迂曲性および動的断熱性能が増大する。
【0046】迂曲性の増大により、熱処理後を含め、感熱材料および/またはエラストマ材料、例えばスパンデックスを含むかまたは主にそれからなるステッチ糸、および/または感熱材料および/またはエラストマ材料、例えばスパンデックスから形成されるループ糸、および/またはホットメルト材のシースを有する有心糸で形成される本発明の布製品は、同じ重量の先行技術の布製品100(図3)と比べて高い動的断熱性能を有する。その結果、本発明の布製品は、例えば冷風および低温の過酷な条件下における使用のための軽量の衣類等において使用するのに特に適している。
【0047】感熱材料および/またはエラストマ材料で形成される本発明の布製品の例を、以下に記載する。
【0048】実施例1本発明の布製品、S/7380は、150/34POWERSTRETCH(商標)熱収縮性テキスチャ化ポリエステル(UNIFI, Inc.から入手可能)からなるステッチ糸、および150/132テキスチャ化ポリエステルからなるループ糸から形成された。加熱後、ASTM−737により試験された、完成布製品の通気性は、70立方フィート/平方フィート/分であった。
【0049】実施例2本発明の別の布製品、E555Pは、50/36テキスチャ化ポリエステルで端が1つおきに編組された20デニールのスパンデックスを有する50/36テキスチャ化ポリエステルからなるステッチ糸、および150/132テキスチャ化ポリエステルからなるループ糸から形成された。加熱後、ASTM−737により試験された完成布製品の通気性は、59立方フィート/平方フィート/分であった。
【0050】実施例3本発明のさらに別の布製品、E657Yは、40/20テキスチャ化ポリプロピレンと混合された50/36テキスチャ化ポリエステルからなるステッチ糸、および100/96テキスチャ化ポリエステルからなるループ糸から形成された。加熱後、ASTM−737により試験された完成布製品の通気性は、38〜40立方フィート/平方フィート/分であった。
【0051】実施例4本発明の別の布製品、E667Qは、100/34POWERSTRETCH(商標)熱収縮性テキスチャ化ポリエステルからなるステッチ糸、および100/96テキスチャ化ポリエステルからなるループ糸から形成された。加熱後、ASTM−737により試験された完成布製品の通気性は、60〜70立方フィート/平方フィート/分であった。
【0052】本発明の多数の実施形態を記載した。とはいえ、本発明の精神および範囲を逸脱せずに、様々な変更がなされ得ることは理解されよう。例えば、任意のタイプの糸を用いることができる。また、本発明のベロア布製品を構成する他の適切な方法も用いることができる。例えば、上述の好ましい実施形態では、裏編みにより提供される構造を用いて、ループ糸16を露出させて布体の両面で仕上げ加工し、ループ糸16のセグメント22は、技術面18のステッチ糸14を覆って技術裏面20においてループ23を形成する。これは、動的断熱性能の理由で、ループ糸だけが仕上げ加工される構造よりも好ましい。しかしながら、動的断熱性能の改良が主要または圧倒的な考慮事項ではない場合、ステッチ糸およびループ糸を平行して露出させて布体の片面または両面を仕上げる構造が好まれ得る。感熱材料で形成された本発明の布製品の実施形態では、染色および/または仕上げの際以外かまたはそれに加えて、例えばそれら製造段階の前、後、または間に加熱してもよい。また、図13を再び参照すると、本発明の両面ベロア布製品40は、例えば微細な高圧ウォータージェット32および/または32’を用いて、それぞれ技術面18および/または技術裏面20に水力交絡処理をかけることにより形成され得る。
【0053】上述のように、感熱材料および/またはエラストマ材料からなるステッチ糸および/またはループ糸を有する布製品はまた、本発明に従って交絡または水力交絡させることもできる。
【0054】したがって、他の実施形態は併記の特許請求の範囲内である。
【出願人】 【識別番号】592095077
【氏名又は名称】モールデン・ミルズ・インダストリーズ・インコーポレーテツド
【氏名又は名称原語表記】MALDEN MILLS INDUSTRIES INCORPORATED
【出願日】 平成14年10月16日(2002.10.16)
【代理人】 【識別番号】100083851
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 義勝 (外1名)
【公開番号】 特開2003−166150(P2003−166150A)
【公開日】 平成15年6月13日(2003.6.13)
【出願番号】 特願2002−301831(P2002−301831)