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【発明の名称】 ラッセルレース
【発明者】 【氏名】橋本 真規子
【住所又は居所】大阪府高槻市八丁畷町11番7号 旭化成株式会社内

【氏名】池田 昌孝
【住所又は居所】大阪府高槻市八丁畷町11番7号 旭化成株式会社内

【要約】 【課題】着用に必要なフィット感と伸度有し、肌面が平滑で肌触りのよいラッセルレースを提供する。

【解決手段】レースの地組織が潜在捲縮発現性ポリエステル繊維で形成されたラッセルレース。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 レースの地組織が潜在捲縮発現性ポリエステル繊維で構成されていることを特徴とするラッセルレース。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、快適に着用する上での必要な伸度とフィット感を有し、肌面が平滑で肌触りのよいラッセルレースに関する。
【0002】
【従来の技術】各種衣料に伸縮性素材が使用されるに伴い、装飾のために用いられてきたレースにおいても、伸縮性を有するものが出回るようになってきた。このような要求にこたえ、レース部を構成する地組織に伸縮性を持たせるために、一般に100〜500dtex程度のポリウレタン弾性糸と56dtex以下の非弾性繊維で編成された、透かし穴の大きい編地を地組織として使用することが多く行われている。しかし、この場合、柄組織の裏面にポリウレタン弾性糸の畝が現れるために平滑性が劣り、インナー用途などの、肌に直接触れるような用途に用いられる場合には、レースの裏面と皮膚との摩擦により皮膚表面が赤くなって跡が残る、かぶれる、肌がくすむ等のトラブルが発生する懸念があった。特に、被服圧が高い場合には前記トラブルの発生が多く、汗をかく季節には肌のトラブルが多くなる傾向がある。
【0003】このようなトラブルには、ソフトパワータイプのポリウレタン弾性繊維を使用し、被服圧を低くする対策がとられているが、平滑性に劣る部分は解決されていない。ポリウレタン弾性糸を用いた地組織の代わりに加工糸が用いられることがあるが、フィット性が不足しているため、体にフィットする部分に使用するのは不適切である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記の従来技術の問題点を解決し、快適な着用に必要な伸度とフィット感を有し、肌面が平滑で肌触りがよいレースを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維でレースの地組織を形成することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、レースの地組織が潜在捲縮発現性ポリエステル繊維で構成されていることを特徴とするラッセルレースである。
【0006】以下に本発明を詳細に説明する。本発明における潜在捲縮発現性ポリエステル繊維とは、少なくとも二種のポリエステル成分で構成(具体的には、サイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に接合されたものが多い)され、熱処理によって捲縮を発現する繊維である。二種のポリエステル成分の複合比(一般的に質量比で70/30〜30/70の範囲内のものが多い)、接合面形状(直線又は曲線形状のものがある)は限定されない。
【0007】レースの地組織を構成する潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の繊度は、全繊度は20〜170dtexであることが好ましく、特に、繊細な柄の鮮明性が要求される分野には20〜80dtexがより好ましい。全繊度が20dtex未満の場合は、編成時の歪みを回復させる力が低下し、さらに柄糸で被覆されている部分が少ないレースの地組織に用いられる場合には強度の点で用途が限定される。全繊度が170dtexを越えるとレースの平滑性が低下する傾向がある。潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の単糸繊度は0.1〜5dtexが好ましい。
【0008】潜在捲縮発現性ポリエステル繊維としては、例えば、特許第3119389号に開示されているようなポリエチレンテレフタレート系ポリエステル繊維があげられる。ここに示されている潜在捲縮発現性繊維は、極限粘度[η]の高い(例えば0.7以上)ポリエステル系第一成分と、極限粘度[η]の低い(例えば0.55以下)ポリエステル系第二成分とが、サイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に接合された複合繊維である。極限粘度[η]が0.7以上の第一成分としては、構造単位の85モル%以上がポリエチレンテレフタレートであり、他の15モル%以下が他のポリエステルである共重合体が挙げられる。極限粘度[η]が0.55以下の第二成分としては、構造単位の95モル%以上がポリエチレンテレフタレートである重合体が挙げられる。
【0009】他の例として、特開2000−192349号公報に記載された、熱収縮性を異にする2種のポリエステル重合体をサイドバイサイド型や鞘芯型繊維に紡糸して製造された複合繊維が挙げられる。熱収縮性を異にするポリエステル重合体として、ポリエステルホモポリマーで重合度を異にするもの、ポリエステルがポリエチレンテレフタレートの場合には、ポリエチレンテレフタレートホモポリマーと、ポリエチレンテレフタレートにテレフタル酸成分及び/又はエチレングリコール成分以外の第3成分を共重合させたもの、ポリエチレンテレフタレートホモポリマーと前記第3成分とをブレンドしたもの等がある。
【0010】さらに、特開2001−40537号公報に開示されているような、ポリエチレンテレフタレート系ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート系ポリエステルを組み合わせた繊維が挙げられる。すなわち、この繊維は、上記の中の二種のポリエステルポリマーがサイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に接合された複合繊維であり、サイドバイサイド型の場合、二種のポリエステルポリマーの溶融粘度比が、1.00〜2.00が好ましく、偏芯芯鞘型の場合は、鞘ポリマーと芯ポリマーのアルカリ減量速度比は、3倍以上鞘ポリマーが速いことが好ましい。具体的なポリマーの組み合わせとしては、ポリエチレンテレフタレート(テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、ブタンジオール等のグリコール類やイソフタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。又、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい)、ポリトリメチレンテレフタレート(テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、1.3−プロパンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、エチレングリコール、ブタンジオール等のグリコール類やイソフタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。又、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい)、ポリエチレンテレフタレートとポリフブチレンテレフタレート(テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、1.4−ブタンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、エチレングリコール等のグリコール類やイソフタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。又、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい)が好ましく、特に捲縮の内側にポリトリメチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートが配置されたものが好ましい。さらに、溶融粘度差の大きいポリトリメチレンテレフタレート及び/又はポリブチレンテレフタレートを用いた組み合わせも好ましい。
【0011】特に、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維を構成するポリエステル成分の少なくとも一方が、ポリトリメチレンテレフタレートであるものが捲縮性能面で好ましい。少なくとも一方にポリトリメチレンテレフタレートを用いた繊維として以下に示すようなものがある。例えば、上記特開2001−40537号公報、特公昭43−19108号公報、特開平11−189923号公報、特開2000−239927号公報、特開2000−256918号公報、特開2000−328382号公報、特開2001−81640号公報等には、第一成分としてポリトリメチレンテレフタレート、第二成分としてポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルが並列的又は偏芯的に配置された、サイドバイサイド型又は偏芯鞘芯型の複合繊維が開示されている。特に、ポリトリメチレンテレフタレートと共重合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせや、極限粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせが顕在捲縮伸張率や熱水処理後の伸縮伸張率が高く、レース模様に使用する柄糸の種類や柄による被覆度合いなどの制約が少なく、快適なストレッチ性を得ることができるので好ましい。なお、体に密着した用途、例えば、ショーツのウエスト部や足ぐり部、袖口等にラッセルレースを用いるためには、少なくとも長さ方向に50%以上の伸度を有することが好ましい。
【0012】本発明において、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の初期引張抵抗度は、好ましくは10〜30cN/dtex、より好ましくは20〜30cN/dtex、最も好ましくは20〜27cN/dtexである。初期引張抵抗度が10cN/dtex未満の繊維は、工業的な製造が困難であり、30cN/dtexを超えると肌面に接するレース地組織の風合いが硬くなる傾向がある。潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の顕在捲縮の伸縮伸長率は、好ましくは10〜100%、より好ましくは10〜80%、最も好ましくは10〜60%である。潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の顕在捲縮の伸縮弾性率は、好ましくは80〜100%、より好ましくは85〜100%、最も好ましくは85〜97%である。伸縮弾性率が80%未満ではレース編成時の歪みが残留しやすくなる。
【0013】さらに、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の100℃における熱収縮応力は、好ましくは0.1〜0.5cN/dtex、より好ましくは0.1〜0.4cN/dtex、最も好ましくは0.1〜0.3cN/dtexである。100℃における熱収縮応力は、布帛の精錬、染色工程において良好な捲縮を発現させるための重要な要件である。すなわち、布帛の拘束力に打ち勝って捲縮が発現するためには、100℃における熱収縮応力が0.1cN/dtex以上であることが好ましい。この条件を満足することにより、布帛の精錬、染色工程において良好な捲縮を発現させることができ、柄糸の種類や模様に制約されずレースを体に密着して着用するのに必要な伸度を得ることができる。
【0014】本発明の潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の熱水処理後の伸縮伸長率は、好ましくは100〜250%、より好ましくは150〜250%、最も好ましくは180〜250%である。熱水処理後の伸縮弾性率は、好ましくは90〜100%、より好ましくは95〜100%である。熱水処理後の伸縮弾性率が90%未満では、レースの寸法安定性が低下し、繰り返し着用による歪みが大きくなる傾向にある。このような特性を満足する潜在捲縮発現性ポリエステル繊維としては、前に述べた各種の繊維が挙げられるが、これらの中でも、特に、固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートが互いにサイドバイサイド型に複合された単糸から構成された複合繊維が好ましい。
【0015】2種類のポリトリメチレンテレフタレートの固有粘度差は0.05〜0.4(dl/g)であることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.35(dl/g)、最も好ましくは0.15〜0.35(dl/g)である。例えば、高粘度側の固有粘度を0.7〜1.3(dl/g)から選択した場合には、低粘度側の固有粘度は0.5〜1.1(dl/g)から選択されるのが好ましい。低粘度側の固有粘度は0.8(dl/g)以上が好ましく、より好ましくは0.85〜1.0(dl/g)、最も好ましくは0.9〜1.0(dl/g)である。
【0016】また、この複合繊維の平均固有粘度は、0.7〜1.2(dl/g)が好ましく、0.8〜1.2(dl/g)がより好ましく、0.85〜1.15(dl/g)が最も好ましく、0.9〜1.1(dl/g)がさらに好ましい。なお、本発明における固有粘度の値は、使用するポリマーではなく、紡糸されている糸の粘度をいう。この理由は、ポリトリメチレンテレフタレート特有の欠点として、ポリエチレンテレフタレート等と比較して熱分解が生じ易く、高い固有粘度のポリマーを使用しても熱分解によって固有粘度が著しく低下し、複合マルチフィラメントにおいては両者の固有粘度差を大きく維持することが困難であるためである。
【0017】ポリトリメチレンテレフタレートは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルであり、トリメチレンテレフタレート単位を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上含むのものをいう。したがって、第三成分として他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、最も好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
【0018】ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に結合せしめることにより合成される。この合成過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、又、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステルとポリトリメチレンテレフタレートを別個に合成した後、ブレンドしたりしてもよい。
【0019】添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキシ安息香酸等)等がある。又、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用できる。
【0020】さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。本発明において潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の紡糸法は、上記の各種特開に開示されており、例えば、3000m/分以下の巻取り速度で未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延撚する方法が好ましいが、紡糸−延撚工程を直結した直延法(スピンドロー法)、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)を採用してもよい。
【0021】繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよい。断面形態は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平(扁平度1.3〜4程度のもので、W型、I型ブ−メラン型、波型串団子型、まゆ型、直方体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。糸条の形態としては、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸等の紡績糸、単糸デニールが0.1〜5デニール程度のマルチフィラメント原糸(極細糸を含む)、甘撚糸〜強撚糸、仮撚加工糸(POYの延伸仮撚糸を含む)、空気噴射加工糸、押し込み加工糸、ニットデニット加工糸等がある。
【0022】本発明の目的を損なわない範囲内で、通常50質量%以下の範囲内で天然繊維、合成繊維等他の繊維、例えば、綿、羊毛、麻、絹等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、精製セルロース繊維、アセテート繊維、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等からなるポリエステル系繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維等の各種人造繊維、さらにはこれらの共重合タイプや、同種又は異種ポリマー使いの複合繊維(サイドバイサイド型、偏芯鞘芯型等)を用いることができる。これらを、混紡(コアヤーン、サイロスパンやサイロフィル、ホロースピンドル等)、カバリング(シングル、ダブル)、例えば、沸水収縮率3〜10%程度の低収縮糸、又は、例えば、沸水収縮率15〜30%程度高収縮糸との混繊や交撚、仮撚(伸度差仮撚、POYの延伸仮撚における複合等)、2フィード空気噴射加工等の手段で混用してもよい。
【0023】ラッセルレースは、地組織、ライナー、柄組織で構成されており、特に地組織部を形成する部分(地糸)に潜在捲縮発現性ポリエステルを用いると、着用に必要なストレッチ性に加え、肌面が平滑で、肌触りの優れたレースとなる。着用に必要なストレッチとは、使用する部位やデザインにもよるが、レースの長さ方向に少なくとも50%以上の伸度が必要であり、好ましくは80%以上である。地糸の全繊度は、20〜170dtexが好ましく、衣料用、特に、繊細な柄の鮮明性が要求される分野には20〜80dtexが好ましい。この際用いられる潜在捲縮発現性ポリエステル繊維に50〜500T/mの撚りをかけ、撚糸にして用いると、実着時に繰り返し洗濯使用された場合にも単糸がバラけたり、潜在捲縮発現性ポリエステルの2種の成分の接合部がはがれることなく、スナッギングの発生を抑え、品位を保持することができるので好ましい。地組織にはチェーン組織、6角チュール、4角チュール、マーキゼット等が一般に用いられるが、これに限定されるものではない。
【0024】ラッセルレースを構成するライナーとは、柄組織の縁部に沿った挿入部を構成する糸であり、柄組織とは、柄の縁部以外の模様を形成している部分をいう。ライナーには、柄部の明確化を目的に33〜210dtexの仮撚糸を柄に沿って挿入折込してもよい。柄糸は150〜560dtexの仮撚糸で柄部を1〜16針間振り挿入、又は編み込みしてもよい。
【0025】本発明のライナー及び柄組織を形成する繊維には制限はなく、公知の繊維種や公知の形態の繊維を用いることができる。例えば、ウール、絹等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン等のセルロース系繊維、アセテート繊維等の半合成繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等からなるポリエステル繊維、ナイロン繊維等の合成繊維が挙げられる。また繊維の形態も短繊維、長繊維、丸断面や異形断面でもよく、さらに原糸、スピンテイクアップ糸やスピンドローテイクアップ糸などの高速紡糸糸条、意匠糸、仮撚糸(POYの延伸仮撚糸を含む)等の捲縮加工糸等を用いることができる。これらの繊維種や形態を一種以上組み合わせて、混紡、混繊、交撚、複合仮撚、流体噴射加工等公知の複合手段により得られる複合糸でもよく、必要に応じて選定することができる。
【0026】本発明のラッセルレースの編成方法は限定されるものではなく、地組織用に2〜4枚の筬と柄組織用に2〜100枚の筬を持ったラッセル編機で6〜28ゲージを適宜選定し、所望の模様になるように編成すればよい。本発明のラッセルレースの染色仕上げ加工は、一般的に行われている方法を採用すればよい。例えば、(イ)生機を精錬、染色、仕上げセットする方法、(ロ)生機を精錬した後、プレセット、染色、仕上げセットを行う方法、(ハ)生機をプレセットし、その後精錬、染色、仕上げセットを行う方法等が挙げられる。
【0027】潜在捲縮発現性ポリエステル繊維のうち、少なくとも1成分がポリトリメチレンテレフタレートである場合には、プレセットや仕上げセット等の熱処理によって風合いが変化するので、処理温度は140〜180℃、好ましくは150℃〜170℃で処理する。処理温度が190℃以上になると風合いが硬くなる。セット温度が高いと黄変や風合い変化が生じやすいウールやシルクなどの天然繊維、ナイロン繊維やアクリル繊維等がライナーや柄組織に使用されている場合には、少なくとも1成分がポリトリメチレンテレフタレートである潜在捲縮発現性ポリエステル繊維を使用する方が、低い温度で十分なセット効果が得られるので好ましい。また、2成分ともポリトリメチレンテレフタレート系繊維である潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の方が、さらにセット効果が高く、より好ましい。
【0028】染色は、一般に行われているポリエチレンテレフタレート繊維を分散染料にて染色する方法を採用することができる。染色温度は、通常90℃〜130℃、時間は、通常15分〜120分の範囲で行われるが、2成分ともポリトリメチレンテレフタレートからなる潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の場合は、ポリエチレンテレフタレートの場合よりガラス転移点が低いので90℃〜120℃といった低温で染色しても優れた発色性が得られる。
【0029】仕上げセット時には、本発明の目的を損なわなければ、通常、繊維加工に用いられている樹脂加工、吸水加工、制電加工、抗菌加工、撥水加工などの仕上げ加工を適用できる。特に風合いを柔軟に仕上げたい場合には、アルキルポリシロキサン、アミノ変性シリコン、カルボキシ変性シリコン、エポキシ変性シリコン等からなるシリコン系の柔軟剤で仕上げ加工することが好ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。本発明で用いられる評価方法は以下の通りである。
(1)固有粘度[η]
固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=Lim(ηr−1)/CC→0定義中のηrは、純度98%以上の0−クロロフェノール溶媒で溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸又はポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。
【0031】なお、固有粘度の異なるポリマーを用いた複合マルチフィラメントは、マルチフィラメントを構成するそれぞれの固有粘度を測定することは困難であるので、複合マルチフィラメントの紡糸条件と同じ条件で2種類のポリマーをそれぞれ単独で紡糸し、得られた糸を用いて測定した固有粘度を、複合マルチフィラメントを構成する固有粘度とする。
【0032】(2)初期引張抵抗度JIS L 1013化学繊維フィラメント糸試験方法の初期引張抵抗度の試験方法に準じ、試料の単位繊度当たり0.882mN/dtexの初荷重を掛けて引張試験を行い、得られた荷重−伸長曲線から初期引張抵抗度(cN/dtex)を算出し、10回の平均値を求める。
【0033】(3)伸縮伸長率、伸縮弾性率JIS L 1090合成繊維フィラメントかさ高加工糸試験方法の伸縮性試験方法A法に準じて測定を行い、伸縮伸長率(%)及び伸縮弾性率(%)を算出し、10回の平均値を求める。顕在捲縮の伸縮伸長率及び伸縮弾性率は、巻取りパッケージから解舒した試料を、温度20±2℃、湿度65±2%の環境下で24時間放置後に測定を行う。熱水処理後の伸縮伸長率及び伸縮弾性率は、無荷重で98℃の熱水中に30分間浸漬した後、無荷重で24時間自然乾燥乾燥した試料を用いる。
【0034】(4)熱収縮応力熱応力測定装置(カネボウエンジニアリング(株)製、商品名KE−2)を用い、試料を20cmの長さに切り取り、両端を結んで輪を作り測定装置に装填する。初荷重0.044cN/dtex、昇温速度100℃/分の条件で収縮応力を測定し、得られた温度に対する熱収縮応力の変化曲線から100℃における熱収縮応力を読み取る。
(5)伸度レースの長さ方向について、JIS−L−1080定荷重法に基づいて測定する。
【0035】(6)レースのフィット感、肌触りの評価パネラー10人にウエスト部にそれぞれのラッセルレースを縫い合わせたショーツを着用させ、その肌触りとフィット感について、下記ランク付けを行う。なお、身生地部分は、綿60/1と、実施例1で作成した捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント56dtex/12fでリバーシブル天竺を編成し、使用する。
肌触りについて◎:肌面が非常に平滑でなめらか○:肌面が平滑でなめらか△:肌面がややざらついて肌触りが少しわるい。
×:肌面がざらついて肌触りが悪い。
フィット感について◎:非常によくフィットする。
○:よくフィットする。
△:ややフィット感が悪い。
×:フィット感が悪い。
【0036】
【実施例1】ラッセルレースの製編は以下の条件で行った。カールマイヤー(株)製18ゲージのレース用ラッセル編機MRSSを使用し、ラッセルレースの生機を得た。地組織を編成する筬配置は、地組織にL1(10/01/10/12/21/12)とL2(00/11/00/22/11/22)を配置した。ライナーにはL3〜L28、柄糸にはL29〜L42を配置した。
【0037】地組織:固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを質量比率1:1でサイドバイサイド型複合紡糸用紡口から押出し、紡糸温度265℃、紡糸速度1500m/分で紡糸して未延伸糸を得た。次いで、ホットロール温度55℃、ホットプレート温度140℃、延伸速度400m/分、延伸倍率は延伸後の繊度が56dtexとなるように設定して延撚し、56dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。
【0038】得られた繊維の初期引張抵抗度、顕在捲縮の伸縮伸長率/伸縮弾性率、熱水処理後の伸縮伸長率/伸縮弾性率、及び100℃における熱収縮応力を測定した結果を表1に示す。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は、高粘度側が[η]=0.90、低粘度側が[η]=0.70であった。得られた捲縮発現性マルチフィラメントを、イタリ−撚糸機にて350T/mの加撚を施した糸をL1とL2に配置した。
【0039】ライナー:固有粘度[η]0.92のポリトリメチレンテレフタレートを紡糸温度265℃、紡糸速度1200m/分で紡糸して未延伸糸を得、次いで、ホットロール温度60℃、ホットプレート温度140℃、延伸倍率3倍、延伸速度800m/分で延撚して、84dtex/36fの延伸糸を得た。延伸糸の強度、伸度、弾性率及び10%伸長時の弾性回復率は、各々、3.3cN/dtex、46%、20cN/dtex及び98%であった。
【0040】得られた84dtex/36fのポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメントを(株)石川製作所製ピン仮撚機IVF338を用いて、糸速190m/分、仮撚数3200T/m、仮撚加工温度170℃、1stフィード0.0%、TUフィード4.1%の条件で仮撚加工を施し、仮撚糸を得た。84dtex/36fのポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚糸2本をイタリ−撚糸機にて100T/mの加撚を施した双糸を配置した。
【0041】柄糸:得られた仮撚糸4本をイタリ−撚糸機にて100T/mの可燃を施した四子糸を配置した。得られたラッセルレース生機を、サーキュラー染色機にて120℃×30分の染色を行った。次に、シリコン系柔軟仕上げ剤にて仕上げセットを150℃×40秒間処理してラッセルレースを得た。得られたレースは、表1に示すように着用に必要なストレッチと肌触りやフィット感にすぐれたものであった。
【0042】
【実施例2】実施例1とは固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを用い、実施例1と同様の方法で56dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は高粘度側が[η]=0.86、低粘度側が[η]=0.69であった。得られた繊維の初期引張抵抗度、顕在捲縮の伸縮伸長率/伸縮弾性率、熱水処理後の伸縮伸長率/伸縮弾性率及び100℃における熱収縮応力を測定した結果を表1に示す。
【0043】得られた潜在捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメントを、実施例1と同様の撚糸を行い地組織とした。その他は実施例1と同様の糸使いと編成条件、加工条件でラッセルレースを得た。得られたレースは、表1に示すように着用に必要なストレッチと肌触りやフィット感にすぐれたものであった。
【0044】
【実施例3】固有粘度の異なる二種類のポリエチレンテレフタレートを用いて56dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は高粘度側が[η]=0.66、低粘度側が[η]=0.50であった。得られた繊維の初期引張抵抗度、顕在捲縮の伸縮伸長率/伸縮弾性率、熱水処理後の伸縮伸長率/伸縮弾性率及び100℃における熱収縮応力を測定した結果を表1に示す。
【0045】得られた潜在捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメントを、実施例1と同様の撚糸を行い地組織とした。その他は実施例1と同様の糸使いと編成条件、加工条件でラッセルレースを得た。得られたレースは、表1に示すように着用に必要なストレッチと肌触りとフィット感にすぐれたものであった。
【0046】
【比較例1】56dtex/24fのポリエチレンテレフタレート原糸(旭化成(株)製)を、石川製作所(株)社製ピン仮撚り機IVF338を用いて、糸速190m/分、仮撚り数3200T/m、仮撚り加工温度220℃、1stフィード0.0%TUフィード4.1%の条件で仮撚り加工糸を試作し、地組織とした。得られたポリエステル加工糸を地組織とした。その他は実施例1と同様の糸使いと編成条件、加工条件でラッセルレースを得た。得られたレースは、表1に示すように若干肌触りが悪く、フィット感が足りないものであった。
【0047】
【比較例2】地組織:40dtex/24fのポリエチレンテレフタレート原糸(旭化成(株)製)を、イタリ−撚糸機にて350T/mの加撚を施した糸をL1に、235dtexのポリウレタン弾性繊維ロイカ((登録商標)、旭化成(株)製)をL2に配置した。ライナーと柄糸は、実施例1と同様の糸使いとした。得られたラッセルレース生機を、ヒートセッターにて160℃×60秒のプレセットを行い、サーキュラー染色機にて120℃×30分の染色を行った。次に、シリコーン系柔軟仕上げ剤にて仕上げセットを150℃×40秒間処理してラッセルレースを得た。得られたレースは、表1に示すようにフィット感には優れるものの肌触りが悪いものであった。
【0048】
【表1】

【0049】
【発明の効果】本発明のラッセルレースは、快適な着用に必要なフィット感と伸度を有し、肌面が平滑で肌触りが良好である。
【出願人】 【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜1丁目2番6号
【出願日】 平成13年11月21日(2001.11.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−155647(P2003−155647A)
【公開日】 平成15年5月30日(2003.5.30)
【出願番号】 特願2001−356251(P2001−356251)