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【発明の名称】 ラッセル編地
【発明者】 【氏名】森脇 淑次
【住所又は居所】滋賀県大津市大江1丁目1番1号 東レ株式会社瀬田工場内

【氏名】今枝 直樹
【住所又は居所】滋賀県大津市大江1丁目1番1号 東レ株式会社瀬田工場内

【氏名】小足 博幸
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 滋賀殖産株式会社内

【要約】 【課題】防護性、特に斬りに対する防刃性、さらに、柔軟性、伸縮性、着用性といった特性を同時に満足する優れたラッセル編地を提供する。

【解決手段】ステンレス繊維のマルチフィラメント糸からなるより糸Aの周りに、複数本の、ステンレス繊維のマルチフィラメント糸からなる別のより糸Bを上よりしてなる挿入糸と、合成繊維または金属繊維のマルチフィラメント糸からなる鎖編糸とを含むラッセル編地である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ステンレス繊維のマルチフィラメント糸からなるより糸Aの周りに、複数本の、ステンレス繊維のマルチフィラメント糸からなるより糸Bを上よりしてなる挿入糸と、合成繊維または金属繊維のマルチフィラメント糸からなる鎖編糸とを含むラッセル編地。
【請求項2】ステンレス繊維のマルチフィラメント糸を構成する単糸の直径が0.03〜0.08mmの範囲内にある、請求項1に記載のラッセル編地。
【請求項3】より糸Aは、単糸を19〜49本の範囲内で撚り合わせてなり、より糸Bは、単糸を7〜21本の範囲内で撚り合わせてなる、請求項1または2に記載のラッセル編地。
【請求項4】挿入糸は、6〜8本の範囲内のより糸Bを含む、請求項1〜3のいずれかに記載のラッセル編地。
【請求項5】挿入糸は、直径が0.3〜1.0mmの範囲内にある、請求項1〜4のいずれかに記載のラッセル編地。
【請求項6】挿入糸は、その挿入糸をループ形成し、そのループ端に10gの荷重を吊したときのループ径が挿入糸径の20倍以下の範囲内にある、請求項1〜5のいずれかに記載のラッセル編地。
【請求項7】鎖編糸は、見掛け太さが挿入糸の2〜4倍の範囲内にある、請求項1〜6のいずれかに記載のラッセル編地。
【請求項8】合成繊維がパラ系アラミド繊維またはポリアクリロニトリル系耐炎化繊維である、請求項1〜7のいずれかに記載のラッセル編地。
【請求項9】合成繊維は、単糸繊度が1〜3dtexの範囲内にあり、かつ、総繊度が1,100〜3,300dtexの範囲内にある、請求項1〜8のいずれかに記載のラッセル編地。
【請求項10】金属繊維は、直径が0.01〜0.1mmの範囲内にあるステンレス繊維を複数本引き揃えた長繊維からなる、請求項1〜7のいずれかに記載のラッセル編地。
【請求項11】編地の目合いが、次の式を満足する、請求項1〜10のいずれかに記載のラッセル編地。
4440×a/b≧目合い(mm)≧2220×a/bただし、a:挿入糸の太さ(mm)b:挿入糸の単糸本数【請求項12】編地を横方向に50%伸張したとき、編地長さ10cmあたりの伸張応力が10N以下であり、かつ編地を横方向に折り曲げて、折り曲げ部に50g/cmの荷重をかけて圧縮したときの編地ループ径が20mm以下である、請求項1〜11のいずれかに記載のラッセル編地。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制服、作業服およびスポーツウエア等の着衣や耐刃防護材等に好適に使用できるラッセル編地に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の対刃防護材料としては、特開平1−46594号公報のように身頃全体が小片の金属板組み合わせた構造のものを防刃チョッキとして制服とシャツの間に着用したり、シャツの内側に着用していた。
【0003】また、特開平8−334296号公報のようにパラ系アラミド繊維糸からなる布地を積層した防護材料を制服の裏地側の内ポケットに収納したジャケット状防弾衣、特開平11−183093号公報のように上着本体の裏面側に防刃用あるいは防弾用の防護プレートを脱着可能に設けた防護機能付き上着が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1の公知例は、着用性について全く配慮がなされておらず、非常に硬く運動性に劣るものであった。また、防刃チョッキを別途着用する必要があり、暑くて重く着用性に劣るための、警察官は着用を嫌い常時身に付けていることができず危険に晒される時もあった。
【0005】また、第2の公知例は、柔軟で着用性には優れ、防弾性はあるものの、パラ系アラミド繊維100%では防刃性能は十分とはいえないものであった。第3の公知例は、上着に金属板などの硬質の防護プレートを1枚または複数枚配置したものであり、着用性が悪く重くなるため、胸部など一部にしか使用できないものであり、体全体を防護するには不十分なものであった。すなわち、従来の技術では、着用性と防刃性を同時に満足できる防護衣服は存在しなかった。
【0006】本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み、防護性、特に斬りに対する防刃性、さらに柔軟性、伸縮性、着用性といった特性を同時に満足する、優れたラッセル編地を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明は、ステンレス繊維のマルチフィラメント糸からなるより糸Aの周りに、複数本の、ステンレス繊維のマルチフィラメント糸からなるより糸Bを上よりしてなる挿入糸と、合成繊維または金属繊維のマルチフィラメント糸からなる鎖編糸とを含むラッセル編地を特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のラッセル編地は、ステンレス繊維のマルチフィラメント糸からなるより糸Aの周りに、複数本の、ステンレス繊維のマルチフィラメント糸からなるより糸Bを上よりしてなる挿入糸と、合成繊維または金属繊維のマルチフィラメント糸からなる鎖編糸とを含む。ステンレス繊維のマルチフィラメント糸を構成する単糸の直径が0.03〜0.08mmの範囲内にあることが好ましく、0.03〜0.05mmの範囲内にあることがさらに好ましい。ステンレス繊維のマルチフィラメント糸を構成する単糸は、ある程度細いほど柔軟で編立て加工性が好ましいが、細すぎると切断強度が低下し、かつ、製造コストが高くつくので上記範囲がよい。
【0009】次に、より糸Aは、単糸を19〜49本の範囲内で撚り合わせてなることが好ましい。単糸の本数が多い程、より糸Aは柔軟になり好ましい。しかし、これに限定するものでなく7本でも構わない。より糸Bは、単糸を7〜21本の範囲内で撚り合わせてなることが好ましい。前記より糸Aの周りに、複数本のより糸Bを上よりすることで挿入糸のステンレスコードが得られる。より糸Aとより糸Bとのバランスから、より糸Bは6〜8本の範囲内で用い、挿入糸の断面がほぼ円形状になるものが好ましい。ラッセル編地の挿入糸となるステンレスコードはフィラメント数は多いほど柔軟になるが、加工費用が高くなるため、編地加工するための好適な総本数は60〜150本の範囲内である。
【0010】具体的には、ステンレスコードは(より糸A+より糸B×本数)が(19+7×7)の68本、(19+8×7)の75本、(19+19×6)の133本、(21+6×21)の147本が最適である。ステンレスコードは定番品の49本(7+7×6)でも構わないが、直径が0.4mmまで細くしても剛性が高く、硬いラッセル編地しかできない。また、(49+19×8)の201本でも構わないが、ややコスト高になる。
【0011】挿入糸の直径は0.3〜1.0mmの範囲内にあることが好ましい。警察官の制服などに取付けるラッセル編地は、防護性の点からはステンレスコードを太くし、高密度に編むことが好ましいが、柔軟性が低下して着用性が悪くなってしまうと制服用途には使いにくい。防護性を確保しながら、着用性を向上させる、すなわち、柔軟にするためには、挿入糸の直径は、さらに好ましくは0.4〜0.7mmの範囲内にあるのがよい。
【0012】また、挿入糸は、その端面を触ったときのチクリ感を防ぐとともに切断面でのバラケを防止したり、布帛などと熱固定するためにナイロン樹脂などの熱可塑性樹脂で被覆することが望ましい。
【0013】挿入糸はラッセル編地の中ではループを形成しないが、小さな屈曲は多くあり、挿入糸がいかに小ループを形成することができるかで編地の柔軟性が決まる。挿入糸をループ形成し、そのループ端に10gの荷重を吊したときのループ径は、挿入糸径の20倍以下の範囲内にあることが好ましい。すなわち、直径が0.5mmのステンレスコードのループ径は10mm以下であることが好ましく、直径が1mmの場合はループ径は20mm以下であることが好ましい。ただし、漁網のように目合いが50mm以上であるようなラッセル編地では、ループ径が前記範囲外であっても、ある程度は柔軟であるので、全てがこの条件に限定されるものではない。
【0014】前記評価方法について簡単に説明する。ループ径の測定は、その挿入糸をループにし、ループが回転したり、ループの交点が解けることのないようにするために、そのループを2mmの間隔に設置した2枚の薄板の間に通して行う。この状態で、ループ端に10gの荷重を吊して、ループ径を測定する。
【0015】本発明のラッセル編地を構成する鎖編糸は、合成繊維または金属繊維のマルチフィラメント糸からなる。
【0016】合成繊維は高強度繊維から選ばれ、高強度ナイロン、ポリエステルが好ましく、更に好ましくは、パラ系アラミド繊維、高強度ポリエチレンなどである。ラッセル編地は鎖糸が切断すると編地がばらけて目が開き、耐切創性が低下するため、糸強度が高い繊維が必須となる。
【0017】また、防炎性が要求される消防服などの用途では、鎖編糸としては、ポリアクリロニトリル系耐炎化繊維や極細のステンレス長繊維が最適である。
【0018】合成繊維は、単糸繊度が1〜3dtexの範囲内にあり、かつ、総繊度が1,650〜3,300dtexでの範囲内にあることが好ましい。
【0019】金属繊維は、直径が0.01〜0.1mmの範囲内にあるステンレス繊維を複数本引き揃えた長繊維からなることが好ましい。
【0020】鎖編糸は単糸が細く総繊度が大きいものほど嵩高になり、かつ柔軟であるため、ラッセル編地も柔軟なものに仕上がり、また鎖編糸が挿入糸を取り囲むため、直接肌に接触する用途や編地を表面に使う用途には適している。合成繊維の総繊度が大きすぎると、小さな目合いの編地が形成できず、粗く厚い編地になってしまいよくないので、鎖編糸は、見掛け太さが挿入糸の太さの2〜4倍の範囲のものが防刃性の要求される用途には好ましい。ここで言う見掛太さとは、撚り数50t/mの甘よりを糸に掛け1g/dtexの荷重下での最大幅を測定したものである。
【0021】挿入糸にステンレスコード、鎖編糸に合成繊維を使用してラッセル編地を加工するときに、その加工条件によっても柔軟性と耐切創性が大きく変わってくる。その中で重要なポイントは編地の目合いである。太い糸を使って小さい目合いの編地を作ると厚くて硬い編み地に仕上がり好ましくない。目合いが大きすぎると防護の点から好ましくない。すなわち、編地の目合いが、次の式を満足する編成条件が柔軟性と耐切創性の点から好ましい。
【0022】
4440×a/b≧目合い(mm)≧2220×a/bここで、aは挿入糸の太さ(mm)、bは挿入糸の単糸本数である。目合いは挿入糸の太さが細いほど、挿入糸の素線本数が多いほど小さくできる。ただし、必要以上に細い糸で大きい目合いにすると柔軟にはなるが耐切創性が低下するため、性能不十分となり防護製品には使えない。ただし、防護ネットや魚の生け簀のように防護性をあまり要求しない分野ではこの範囲外でも構わない。その他、性能に影響する編地条件として、鎖編糸の編密度を粗くルーズにすればラッセル編地は柔軟になる。また、編のマス目を図3に示す「編目が閉じた編地7」のように閉じると縦密度が大きくなり横方向の耐切創性が向上するとともに、編地は横伸びが生じやすく柔軟になる。ただし、編目を閉じすぎると、編地の縦横の耐切創性のバランスが崩れたり、寸法安定性が低下しやすくなる。
【0023】このようにして出来上がったラッセル編地は横方向の伸縮性に優れ、柔軟で、屈曲による耐久性に優れたものであり、防護製品に用いると、従来の防護製品にない特徴がえられた。
【0024】横方向の伸縮性は、編地を50%伸張したとき、編地長さ10cmあたりの伸張応力が10N以下であると、低応力で伸び縮みしかつ回復性に優れるものであり好ましい。用途や使用部位によっては伸張応力は10Nを超えてもよいが、服地の腰部、足部、肘部、膝部などに防護性を持たせた防護具では、体にフィットして、動きに追従する伸縮性が要求されるので、低応力で伸びることが望ましい。また、編地の柔軟性は、剛性のある挿入糸が編地の縦方向に並んでいるため、編地を直角横方向には折り曲げにくくなるが、できるだけ低荷重で曲がるものが好ましい。編地の横方向の折り曲げやすさとしては、ラッセル編地を横方向へ折り曲げて、折り曲げ端に幅1cm当たりに荷重を50gかけて圧縮したときの編地ループ径が20mm以下であると柔軟であり好ましい。
【0025】このようにして得られた本発明のラッセル編地は各種用途に幅広く展開できる。服地としては、衣服の襟部、脇部、腹部、腕部、足部に好適に使用できる。ラッセル編地単体としては手袋、首カバー、腕カバー、肘、膝サポーター、脚絆、長靴、ヘルメットの垂れなどに使える。衣服の種類としては警察官などの制服、出動服、消防服、競艇用スーツ、ライダースーツ、自転車競技用スーツ、スライディングパンツなど、防護機能を必要とする用途に特に好ましく使用できる。また、使用業種としては工場現場用、森林伐採用、草刈り用などがある。また、本発明のラッセル編地は、伸びがなく自重で沈みにくいという特徴からハンモックなどに好適に使用できる。さらに、耐切創性に優れたバイクの座席シート、布製鞄、安全ネット、ゴムボート、フグ用生け簀ネットなど各種用途があるが、これらはほんの一例にすぎない。
【0026】次に、本発明のラッセル編地から、脚絆を作製する方法について説明する。
【0027】まず、ラッセル編地を左右対称の台形に裁断し、ポリエステル糸からなるトリコット生地2枚の間に挟んで縫製し、筒状の脚絆に仕上げる。
【0028】この脚絆は横伸びが大きく、脚部にフイットするため、面ファースナーやボタンでズボンと固定しなくてもずれることなく柔軟で着用性に優れている。さらに、ナイフ、出刃包丁や草刈り機、チェーンソーなどで、どの角度から斬られてもステンレスコードで食い止めることができるという効果を奏する。
【0029】本発明を図面により、以下説明する。
【0030】図1は、挿入糸のステンレスコードの断面図の一例である。ステンレス繊維の単糸1が19本からなるマルチフィラメント糸であるより糸A2を芯にして、その周りにステンレス繊維の単糸7本からなるマルチフィラメント糸であるより糸B3を7本配置して撚り合わせてなるステンレスコードである。
【0031】図2は、ラッセル編組織の概略図の一例である。鎖編糸4に合成繊維のマルチフィラメント糸を使用し、挿入糸5にステンレスコードを使用して編み立てたものである。
【0032】図3は、ラッセル編地の概略図である。編地6は編目が開いたものであり、この状態で使うのが一般的である。編地7は編目を閉じて縦密度を高くして切創性を高めたラッセル編地の概略図である。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1太さ0.05mmのステンレス繊維を19本撚り合わせてより糸Aを作製した。
【0034】同様にして、同じ太さのステンレス繊維を7本撚り合わせてより糸Bを作製した。次いで、より糸Aを芯にしてより糸Bを7本その周りに上よりしてステンレス繊維本数が68本からなる太さ0.5mmのステンレスコードを作製した。このステンレスコードの柔軟性の評価尺度となるループ径は7mmであり挿入糸(ステンレスコード)太さの14倍であった。
【0035】このステンレスコードを挿入糸として使用し、鎖編糸に単糸強度8cN/dtex、総繊度1650dtex、見かけ太さ1mmのポリエステル高強度糸を使用し、目合い20mmの4枚おさ組織でラッセル編地を作製した。得られたラッセル編地の50%伸張応力は0.85N/cmで、圧縮したときの編地ループ径は18mmであった。
【0036】このラッセル編地をポリエステル織物で包み込み周辺を縫製して腕カバーに仕上げた。このようにして得られた腕カバーをクッション性の高いゴム板の上に置き、出刃包丁を300Nの力で速度10cm/minで引いて腕カバーの切断の有無を評価した結果、切断は認められず、斬りに対する防護性に優れていた。また、腕カバーを着用すると、その着用感は軽量で柔軟で体にフィットして良好であった。
実施例2実施例1と同様にして太さ0.03mmのステンレス繊維を19本撚り合わせてより糸Aを作製した。同様にしてより糸Bを6本作製した。より糸Aを芯にして6本のより糸Bをその周りに上よりしてステンレス繊維本数が133本からなる太さ0.45mmのステンレスコードを作製した。このステンレスコードのループ径は3.5mmであり挿入糸の太さの7.8倍で、柔軟なものであった。このステンレスコードを挿入糸として使用し、鎖編糸に単糸強度20cN/dtex、総繊度1650dtexのパラ系アラミド糸を使用して、目合い10mmのラッセル編地を作製した。得られたラッセル編地は、出刃包丁で300Nの力で押し切っても切れることなく、50%伸張時の応力が0.6N、編地ループ径が11mmと柔軟で伸縮性に優れたものであった。このラッセル編地を膝用サポーターにしたところ体にフイットし柔軟なものであり、スライディングを行うと、擦過傷がつきにくくなった。
実施例3太さ0.08mmのステンレス繊維を使用して、実施例1と同様の総計63本からなる、太さ0.8mmのステンレスコードを作製した。次いでこのステンレスコードを挿入糸とし、実施例2と同じパラ系アラミド糸を鎖編糸として、目合い50mmのラッセル編地を作製し、フグ養殖用生け簀のネットに使用した。このラッセル編地をネットとして用いることにより、フグが網を食いちぎって逃げることがなくなり、また金網を生け簀用ネットとして用いたときのようにフグに擦傷をつけにくくなり、良質なフグを飼育することができた。
比較例1実施例1の金属ロープの代わりに0.6mmの1本の鋼線を経緯の密度8本/cmで織った金網を腕カバーとして使用した。腕カバーは硬く、剛直なものになり着用性が良くないものになった。比較例2実施例1のステンレスコードと、1650dtexのパラ系アラミド糸とを1:3の比率で経糸に使用し、1100dtexのパラ系アラミド糸を緯糸に使用した平織物を作製した。得られた織物を、実施例1と同様に出刃包丁で斬りつけて評価した結果、横方向の切りに対しては織物が切断することはなかったが、縦方向の斬りに対しては80Nの弱い押し切り力で切断してしまい、縦方向の防護性が十分ではなく、方向によるばらつきが出た。
【0037】
【発明の効果】本発明のラッセル編地によれば、ステンレス繊維のマルチフィラメント糸からなるより糸Aの周りに、複数本の、ステンレス繊維のマルチフィラメント糸からなるより糸Bを上よりしてなる挿入糸と、合成繊維または金属繊維のマルチフィラメント糸からなる鎖編糸とを含むから、斬りに対する防刃性が優れ、従来のものより軽量でかつ薄く、伸びがあり、柔軟で通気性があるため今までに使えなかった部位にも使えるようになった。
【0038】そして、ステンレス繊維のマルチフィラメント糸を構成する単糸の直径が0.03〜0.08mmの範囲内にあることにより、柔軟で編立て加工性、強度およびコストの点で良好なラッセル編地とすることができる。
【0039】さらに、より糸Aは、単糸を19〜49本の範囲内で撚り合わせてなり、より糸Bは、単糸を7〜21本の範囲内で撚り合わせてなることにより、また、挿入糸は、6〜8本の範囲内のより糸Bを含む構成にすることにより、柔軟性と剛性とのバランスに優れたラッセル編地を得ることができる。
【0040】また、挿入糸は、直径が0.3〜1.0mmの範囲内にあることにより、ラッセル編地を制服などに取付けたときに、その制服の防護性の確保と着用性の向上を同時に達成することができる。
【0041】また、挿入糸は、その挿入糸をループ形成し、そのループ端に10gの荷重を吊したときのループ径が挿入糸径の20倍以下の範囲内にあることにより、柔軟性の高いラッセル編地とすることができる。
【0042】また、鎖編糸は、見掛け太さが挿入糸の2〜4倍の範囲内にあることにより、防刃性の要求される用途に特に好ましく使用できるようになる。
【0043】さらに、合成繊維がパラ系アラミド繊維またはポリアクリロニトリル系耐炎化繊維であることにより、防炎性が要求される消防服などの用途にも使用できるようになる。
【0044】また、合成繊維は、単糸繊度が1〜3dtexの範囲内にあり、かつ、総繊度が1,100〜3,300dtexの範囲内にあり、また、金属繊維は、直径が0.01〜0.1mmの範囲内にあるステンレス繊維を複数本引き揃えた長繊維からなることにより、柔軟で直接肌に接触する用途や、編地を表面に使用する用途に適したラッセル編地が得られる。
【0045】さらにまた、編地の目合いが、次の式を満足することにより、柔軟性、伸縮性および耐切創性のすべてを兼ね備えたラッセル編地を得ることができる。
【0046】
4440×a/b≧目合い(mm)≧2220×a/bただし、a:挿入糸の太さ(mm)b:挿入糸の単糸本数また、編地を横方向に50%伸張したとき、編地長さ10cmあたりの伸張応力が10N以下であり、かつ編地を横方向に折り曲げて、折り曲げ部に50g/cmの荷重をかけて圧縮したときの編地ループ径が20mm以下であるものとすることにより、低応力で伸び縮みし、形状回復性に優れ、屈曲しやすいラッセル編地となり、服地の腰部、足部、肘部、膝部などに防護性を持たせた防護具にも使用することができる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号
【出願日】 平成13年10月19日(2001.10.19)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−129360(P2003−129360A)
【公開日】 平成15年5月8日(2003.5.8)
【出願番号】 特願2001−321604(P2001−321604)