トップ :: D 繊維 紙 :: D04 組みひも;レ−ス編み;メリヤス編成;縁とり;不織布

【発明の名称】 伸縮性編地
【発明者】 【氏名】大家 義信
【住所又は居所】大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡績株式会社本社内

【氏名】古谷 哲朗
【住所又は居所】大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡績株式会社本社内

【氏名】林 清秀
【住所又は居所】大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡績株式会社本社内

【氏名】野口 修司
【住所又は居所】大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡績株式会社本社内

【要約】 【課題】大型サイズ衣服を効率的に製造することができる伸縮性編み地を提供する。

【解決手段】弾性糸に非弾性糸を巻き付けて成るカバリング糸を作成するに際し、繊度78dtex以下、好ましくは44dtex以下の弾性糸が15重量%以上を占めるドラフトで作成し、該カバリング糸を伸縮性編み地を構成する複合弾性糸として3重量%以上の混率とすることにより、良好な熱セット性を有する伸縮性編み地となり、仕上げ生地のウェール密度が30ウェール/インチ以下の伸縮性編み地を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】繊度78dtex以下の弾性糸を15重量%以上含む複合弾性糸を少なくとも3重量%以上含み、かつウェール密度が30ウェール/インチ以下であり、かつ該複合弾性糸が弾性糸に非弾性糸を被覆したカバリング糸であることを特徴とする伸縮性編地。
【請求項2】 請求項1記載の複合弾性糸に含まれる弾性糸がポリウレタン弾性糸であり、該ポリウレタン弾性糸が下記(1)〜(4)の条件を満足することを特徴とする伸縮性編地。
(1)小角X線散乱測定における方位角スキャンの最大ピーク強度の半価幅のなす角度が60度以上。
(2)小角X線散乱測定における赤道方向の半価幅のなす角が2.5度以下。
(3)熱応力測定における最大収縮応力ピーク温度が135℃以下。
(4)下式2式に示した乾熱セット率が120℃において65%以上。
[数1] PSD (%) = (L2-L1)/L1 × 100(式中、L1は処理前の糸長、L2は処理後の糸長を表す)。
【請求項3】請求項1〜2記載の複合弾性糸と組み合わせる素材が綿、アクリル、羊毛、絹であることを特徴とする伸縮性編地。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弾性糸を含む伸縮性編み地、さらに詳しくは、大型サイズの衣服を効率的に得ることができる伸縮性編み地に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、セーター、スポーツ衣料などに使用される伸縮性編み地において、高伸縮性、低緊迫性が求められる衣服サイズの大型化への要求がある。このような大型サイズの衣服を効率的に製造するためには、幅が大きい編み地が必要とされている。
【0003】しかしながら、高伸縮性が必要とされる編地としては一般にポリウレタン弾性糸を交編したものが多用されており、そのため布帛の収縮性が極めて大きく、従来の伸縮性編み地では、大型サイズの衣服を効率的に製造することができていなかった。
【0004】また無理に幅が大きい編み地を得ようとし、後加工工程において、伸長した状態で長時間高温の熱セットを行うと、相手素材の変色、風合いが堅くなるなどの不具合が生じる。特に相手素材が綿、アクリル、羊毛、絹等である場合に顕著となり、結果として得られた編み地は著しく変色する又は風合いが著しく堅くなる。
【0005】こうした不具合を解決する手段として、弾性糸の低温セット化の試みが行われているが、市場で多く用いられている従来のポリウレタン弾性糸では、変色することなく、風合いが良好で、かつ効率的に大型サイズ衣服を製造するために必要な幅を持つ伸縮性編地を得ることができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、大型サイズ衣服を効率的に製造することができる伸縮性編み地を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の条件を満たす伸縮性編み地に関する。
■繊度78dtex以下の弾性糸を15重量%以上含む複合弾性糸を少なくとも3重量%以上含み、かつウェール密度が30ウェール/インチ以下であり、かつ該複合弾性糸が、弾性糸に非弾性糸を被覆したカバリング糸であることを特徴とする伸縮性編地。
■該複合弾性糸に含まれる弾性糸がポリウレタン弾性糸であり、該ポリウレタン弾性糸が下記(1)〜(4)の条件を満足することを特徴とする伸縮性編地の製造方法に関する。
(1)小角X線散乱測定における方位角スキャンの最大ピーク強度の半価幅のなす角度が60度以上。
(2)小角X線散乱測定における赤道芳香の半価幅のなす角が2.5度以下。
(3)熱応力測定における最大収縮応力ピーク温度が135℃以下。
(4)下式2式に示した乾熱セット率が120℃において65%以上。
[数2] PSD (%) = (L2-L1)/L1 × 100(式中、L1は処理前の糸長、L2は処理後の糸長を表す)。
【0008】本発明者らは、まず現状の伸縮性編み地が大型サイズの衣服を効率的に製造するために必要な幅が得られない原因について調査をおこなった結果、弾性糸を含む現状の伸縮性編み地は熱セットが効果的になされず、仕上がった編み地は熱セッターにセットされた幅から大きく収縮しているため、ウェール密度が高くなっていることが明らかとなった。
【0009】本発明者らは、熱セットが効果的になされ、熱セッターにセットされた幅からの収縮を抑制し、ウェール密度を低くする編み地について鋭意検討した結果、本発明に至った。
【0010】すなわち、弾性糸に非弾性糸を巻き付けて成るカバリング糸を作成するに際し、繊度78dtex以下、好ましくは44dtex以下の弾性糸が15重量%以上を占めるドラフトで作成し、該カバリング糸を伸縮性編み地を構成する複合弾性糸として3重量%以上の混率とすることにより、良好な熱セット性を有する伸縮性編み地となり、仕上げ生地のウェール密度が30ウェール/インチ以下の伸縮性編み地を得ることを見いだした。得られたウェール密度が30ウェール/インチ以下の伸縮性編み地を用いることにより、効率的に大型サイズの衣服を製造することができた。
【0011】複合弾性糸に用いる弾性糸の繊度が大きくなると、編み地の収縮力が大きくなるためウェール密度が高くなる傾向があり、ウェール密度を30ウェール/インチ以下にすることは困難となるため、弾性糸の繊度は78dtex以下が好ましい。
【0012】また複合弾性糸に含まれる弾性糸の量が15%以上となるドラフト条件でカバリングが行われないと、編み地の熱セット性が低下するため、目的とする布帛が得られない。
【0013】さらに伸縮性編み地における複合弾性糸の混率は低くなるほどウェール密度が小さくなる傾向があるが、3%以下であると十分な伸縮特性が得られない。より好ましくは5%以上の混率である。
【0014】上記の複合弾性糸に用いる弾性糸は以下の条件を満たすポリウレタン弾性糸が好ましい。
(1)小角X線散乱測定における方位角スキャンの最大ピーク強度の半価幅のなす角度が60度以上。
(2)小角X線散乱測定における赤道芳香の半価幅のなす角が2.5度以下。
(3)熱応力測定における最大収縮応力ピーク温度が135℃以下。
(4)下式2式に示した乾熱セット率が120℃において65%以上。
[数2] PSD (%) = (L2-L1)/L1 × 100(式中、L1は処理前の糸長、L2は処理後の糸長を表す)。
【0015】上記の条件を満たすポリウレタン弾性糸を用いれば、更に効率的に大型サイズの衣服を得ることができる伸縮性編み地がえられ、また複合弾性糸と組み合わせる素材が綿、アクリル、羊毛、絹のような、高温の熱セットができない素材であっても、ウェール密度が30ウェール/インチ以下の伸縮性編み地を得ることが可能となる。
【0016】本発明にかかる伸縮性編地に用いるポリウレタン弾性糸の小角X線散乱測定における方位角スキャンの最大ピーク強度の半価幅のなす角が60度以上であることが望ましい。ここで言う、小角X線散乱測定における方位角スキャンの最大ピーク強度の半価幅のなす角とは、方位角スキャン測定を行い得られた回折像写真の中心と最大ピーク強度の半価幅とのなす角である。
【0017】60度未満であると主としてウレタンハードセグメントからなる結晶領域の配向性が高くなるため、収縮力が過大となり、ひいてはウェール密度が高くなるからである。本発明では、結晶領域の配向性をあえて乱すことにより、繊維軸方向に歪みが生じる際に比較的低応力で歪み変形するポリウレタン弾性糸となすものである。好ましくは75〜85度である。
【0018】本発明にかかるポリウレタン弾性糸は上記特徴に加えて小角X線散乱測定における赤道方向の半価幅のなす角が2.5度以下である構造を有するものである。ここで言う小角X線散乱測定における赤道方向の半価幅のなす角とは、回折像写真における子午線方向の散乱の赤道方向の半値幅とサンプルから作られる二等辺三角形の頂角である。2.5度を超えると結晶領域、特に繊維軸方向に対して横方向の成長が不十分となり得られた糸の強伸度が低くなり実用上に問題が生じる。好ましくは0.8度以上2.5度以下、更に好ましくは0.8度以上1.5度以下である。0.8度未満ではウレタンハードセグメントからなる結晶領域の、特に繊維軸方向の広がりが大きくなり、伸縮力が過大となり、ひいてはウェール密度を低くする妨げとなるからである。
【0019】本発明にかかる伸縮性編地用いるポリウレタン弾性糸の熱応力測定における最大収縮応力ピーク温度は135度以下であることが望ましい。135度を超えると、アクリル及びウール、綿、絹等の素材と組み合わせた場合、これらの素材の適正加工条件で十分なセット性が得られず、目的とするウェール密度に仕上げることが困難となるからである。従って最大収縮応力ピーク温度は低温であるほど望ましく、130以下、更には115度以下、更には100度以下が好ましい【0020】本発明にかかるポリウレタン弾性糸の熱セット性は120℃での乾熱セット性(PSD120)が65%以上であることが望ましい。このような特性を持つポリウレタン弾性糸ではアクリル及びウール、面、絹等の素材と組み合わせた場合、これらの素材の適正条件での十分なセット性を得ることが出来るからである。すなわちPSD120が65%未満であれば後加工工程においてプリセット行程等乾熱処理下の熱セット性が不良となり、目的とするウェール密度に仕上げることができない。好ましくはPSDが70%以上である。
【0021】[実施例]以下、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、各種測定は、下記の方法に従った。
【0022】(小角X線散乱測定)糸をかせ取りし、約1800本の束の両端を結んで測定試料とした。写真撮影はRAD RC X線発生装置を用い、点収束カメラでカメラ距離350mm、30分露光で撮影を行った。X線源はCuKα線(Niフィルター使用、波長1.5418オングストローム)、出力40.0kvを用いた。
【0023】(熱応力測定)セイコー電子工業(株)製、SSC#5200装置を用いて糸長2cmの一本の糸にデニールあたり、5mgの初期荷重をかけ、昇温速度20℃/分で測定をおこなった。
【0024】(PSD測定法)初期長22.5cm(L1)のポリウレタン弾性糸を100%伸張下で乾熱120℃で一分間処理した後、室温で10分間放縮、放冷させた後の糸長(L2)を測定し次式により求めた。
PSD(%)=(L2―L1)/L1×100【0025】以下実施例による発明の詳細を具体的に説明する。
(実施例1〜2、比較例1〜3)表1記載の繊度22dtexのポリウレタン弾性糸を表1に示す倍率でドラフトして12dtex/5fil のナイロンフィラメントによりエアカバリング糸を作成した。
【0026】該カバリング糸を用い、2/48番手のウール糸で12ゲージの緯編機で編成を行い、リンキング縫製にてセーターを作成した。その後、45℃で縮絨を実施後、スチームアイロンにて蒸熱仕上げを行った。仕上げたセーターのウェール密度及び布帛幅の結果を表.1に示す。
【0027】
【表1】

【0028】実施例はセット後の生地収縮が小さく、大型サイズの衣服(セーター)が効率的に得られた。比較例はセット後の生地収縮が大きく、大型サイズ衣服が効率的に得られなかった。
【0029】
【発明の効果】本発明によると、伸縮特性に優れ、かつ大型サイズの衣服を効率よく裁縫できる伸縮性編み地を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜2丁目2番8号
【出願日】 平成13年10月18日(2001.10.18)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−129359(P2003−129359A)
【公開日】 平成15年5月8日(2003.5.8)
【出願番号】 特願2001−320738(P2001−320738)