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【発明の名称】 丸編み機におけるパイル糸の切断装置
【発明者】 【氏名】辻本 泰久
【住所又は居所】和歌山県伊都郡高野口町大野436 中野メリヤス工業株式会社内

【要約】 【課題】どのような種類のパイル糸であっても確実かつきれいに切断することができる装置を開示する。

【解決手段】丸編み機において編成した天竺パイルの、シリンダとダイヤル間に編成されたパイル糸に対して前記シリンダ外周から前記パイル糸に向って水平方向に切断する刃物を設けた。刃物は一対のはさみ刃であり、このはさみ刃はモータおよびカムによって開閉する。あるいは、刃物は水平方向に回転する回転刃である。従って、パイル糸の種類がどのようなものであっても確実に、かつ任意の位置で切断することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】丸編み機において編成した天竺パイルの、シリンダとダイヤル間に編成されたパイル糸に対して前記シリンダ外周から前記パイル糸に向って水平方向に切断する刃物を設けたことを特徴とする丸編み機におけるパイル糸の切断装置。
【請求項2】刃物は、一対のはさみ刃であり、このはさみ刃はモータおよびカムによって開閉する請求項1記載の丸編み機におけるパイル糸の切断装置。
【請求項3】刃物は、水平方向に回転する回転刃である請求項1記載の丸編み機におけるパイル糸の切断装置。
【請求項4】回転刃は、フレキシブルシャフトを介してモータによって駆動される請求項3記載の丸編み機におけるパイル糸の切断装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は丸編み機によってパイル糸を天竺編地に編み込む場合に、パイル糸を効率よく確実に切断することができる切断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から丸編み機によって編地を編成しながら、パイル糸を編地に編み込むパイル編は知られている。そして、編み込んだパイル糸を均一長さで切断する装置としては、次のような構成が公知である。即ちシリンダ針としてナイフ付シリンダ針を採用し、このナイフ付シリンダ針が上昇する際に針の中途に設けたナイフによってパイル糸を切断するものがある。しかし、この構成のみではナイフがパイル糸を切断しようとするとパイル糸が逃げてしまい確実にこれを切断することは困難であった。従ってパイル糸の切断を容易にするために公知の構成としては、シリンダの上面にほぼ接触するように押え鉄ごまを自由回転の状態で設けシリンダ針が上昇する際に押え鉄ごまでパイル糸の逃げを規制し、ナイフで切断するようにしている。
【0003】しかしながら、上記構成では押え鉄ごま自体はパイル糸の逃げを規制するのみであるから、たとえばパイル糸が疏毛糸からなるような場合にはナイフでは十分に切断することができないという問題がある。また、パイル糸が毛足の長い繊維からなる解繊可能な綿毛のような紡糸であれば、よほど鋭利なナイフでなければきれいな切断を行うことができないという問題もある。
【0004】本発明は上述したような従来の課題を解決するものでどのような種類のパイル糸であっても確実かつきれいに切断することができる新規な構成を開示することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明では上述した目的を達成するために丸編み機に備えられたシリンダとダイヤル間に編成されたパイル糸に対してシリンダの外周から前記パイル糸に向って水平方向に切断する刃物を設けるという手段を用いた。この手段において、刃物は通常は垂直方向に編成されるパイル糸の群に対して水平方向から動作することになり、刃物の切断高さを設定する位置で任意の長さにパイル糸を切断する。また、水平方向からの切断であり一定のテンションで上下の編地に交互に編成されるパイル糸を過度に引っ張ることがなく、切断後の処理面が均一になる。
【0006】また、刃物としては、一対のはさみ刃を採用し、このはさみ刃をモータおよびカムによって開閉させるという具体的手段を用いた。この場合一対のはさみ刃であるから、パイル糸の繊維の質や硬さに大きく影響を受けることなく切断する。
【0007】一方刃物として、水平方向に回転する回転刃を選択的に採用した。この回転刃は水平方向に回転し通常のシール編み機において垂直方向に編成されるパイル糸を引っ張ることなく確実に切断する。さらに、回転刃をフレキシブルシャフトを介してモータによって駆動する手段においては、モータから回転刃までを自由に接続するので、回転刃の位置を比較的自由に設定することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明の好ましい実施形態を、添付した図面に従って説明する。先ず図1は本発明が達成する切断構成の第1の実施形態を示すもので丸編機に適用したものである。丸編機として、1はダイヤル、2はダイヤル用カム、3はシリンダ、4はシリンダ3に沿って多数本が設けられているシリンダ針、5はバンコードであり、これらは公知の丸編機と同じ構成であり、ダイヤル1側に天竺編地が編成されていく。なお、シリンダ針4にはナイフは設けられていないものを採用する。次に、図2に示すように、本実施形態の特徴的な構成として6に示すはさみを用いた。このはさみ6は一対の刃物部7a・7bと、この刃物部7a・7bを開閉するための作動部8a・8bによって構成されており刃物部7a・7bの開脚時には編成中のパイル群から退避する位置に設けられ、その開閉はカムおよびモータによって行われる。9はパイル群をダイヤル内周側に押さえ込むパイル押えで、これによってそれぞれのパイル糸にテンションを与えはさみ6による切断を容易にしている。10は吸引ホースであり、パイル糸の切断時に発生する糸ほこりが舞い上がらないように吸引するものである。なお、はさみ6の位置は、パイル群に対する距離および高さともに調整が可能である。
【0009】上記実施形態によると、はさみ6は編成中のパイル群を確実に任意の位置で切断するので、たとえパイル群に疏毛糸や綿毛糸が混在していても、刃物部7a・7bが鋭利であればこれらを同等の条件で切断することができる。なお、本実施形態ではシリンダ針としてナイフが設けられていないシリンダ針を用い押え鉄ごまを撤去した構成として説明しているがシリンダ針さえナイフ付きでないものを採用すれば押え鉄ごまは従来と同様の位置に残留させておいても差し支えない。要は、ナイフ付きのシリンダ針による不十分な切断に代えてはさみ6による切断を行うものであるから、シリンダ針さえ上述のようにナイフなしの構成に交換すればよい。
【0010】はさみ6の具体的駆動構造としては、図2において、作動部8aを固定脚とし、作動部8bをリンク機構を用いた動作を行わせ両方の刃物部7a・7bの開閉を行っている。刃物部7a・7bの支点11はパイル群の外側近傍に位置しパイル押え9によって整列されたパイル群を効率よく切断していく。吸引ホース10による切断くずの吸引は、常時行ってもよいし間欠的に行ってもよい。なお、通常の丸編み機ではパイル糸は垂直方向に編成されるので、はさみはこれらを効率よく切断するように刃物部の開閉は水平方向に行われる。さらに、パイル糸はダイヤル側に編成される天竺編地からシリンダ針によってシリンダ側にV字状に引っ張られるように編成されるが、はさみ6の高さを設定することによってパイル糸をV字状のどの位置ででも切断することができる。しかしながら、パイル糸を長くしようとすればシリンダ針で引っ張った状態において極力V字状の尖端に近い部分で切断することが好ましい。この場合切断くずはシリンダ針の近辺に発生することになるので吸引ホース10の吸引口ははさみ6の下側に位置させることが好ましい。
【0011】次に本発明を達成するための別の実施形態を図3に説明する。図に示すようにパイル編機としては従来と同様に押え鉄ごま12が設置され、ナイフ付きのシリンダ針13を採用した装置を基本としさらに回転刃14を設けている。回転刃14はパイル群に対して水平方向外周から動作させており、別途設けられたモータからフレキシブルシャフト15によってその駆動を回転刃14に伝達する。この実施形態によると、ナイフ付きのシリンダ針13によって従来のように綿毛を紡糸したパイル糸を切断する一方ナイフ付きのシリンダ針13では切断が困難な疏毛糸を回転刃14によって切断する。また、ナイフ付きのシリンダ針13では十分に切断することができなかった綿毛を紡糸したパイル糸も、この回転刃14によって確実に処理することができるので、回転刃14による処理を完了した編地はパイル糸がどのような種類のものであっても確実に切断することができる。言い換えると回転刃14によるパイル糸の切断は従来のナイフ付きシリンダ針によるパイル糸の切断を補完するものである。即ち全てのパイル糸がナイフ付きシリンダ針で切断することができるものであれば、回転刃14の駆動は必須ではないが、疏毛糸などはナイフ付きシリンダ針による切断が困難であるためこれを補完するために回転刃14による切断を加えるのである。したがって装置全体としては、どのようなパイル糸の種類にも対応することができるように、回転刃14は適宜着脱自在の構成としておくことが好ましい。回転刃14は第1の実施形態と同様にフレキシブルシャフト15を介してモータ(図示せず)によって駆動される。
【0012】なお、回転刃14はシリンダの外側に立設したポールに固定し、固定高さを調節することによって、所望の長さでパイル糸を切断することが可能であるが、第1の実施形態と同様に、シリンダ針の近辺で切断すれば長いパイル糸を得ることができ、好ましい。第2の実施形態では第1の実施形態と比較して切断くずは少ないので吸引ホースを必ずしも設けるものではない。
【0013】
【発明の効果】本発明ではパイル糸の切断のための構成としてシリンダとダイヤル間に編成されたパイル糸に対してシリンダ外周からパイル糸に向って水平方向に切断する刃物を設けることとしたので、パイル糸の種類がどのようなものであっても確実に、かつ任意の位置で切断することができるようになった。また、刃物として一対のはさみ刃を用い、これをモータ駆動によって開閉させるようにしたことにより、異なる種類のパイル糸が混在していてもはさみ刃のみで切断することができ別途予備的な切断手段を必要としない。
【0014】一方刃物として水平方向に回転する回転刃を採用する構成においては従来のナイフ付きシリンダ針と押え鉄ごまによる切断を補完して回転刃で切断することができるので、比較的硬い糸である疏毛糸はこの回転刃によって切断することができるようになった。また、回転刃をフレキシブルシャフトを介してモータによって駆動するようにしているので、回転刃の設置位置は任意であり、取り扱いが容易である。
【出願人】 【識別番号】399100639
【氏名又は名称】中野メリヤス工業株式会社
【住所又は居所】和歌山県伊都郡高野口町大野436
【出願日】 平成13年10月12日(2001.10.12)
【代理人】 【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
【公開番号】 特開2003−119651(P2003−119651A)
【公開日】 平成15年4月23日(2003.4.23)
【出願番号】 特願2001−315777(P2001−315777)