トップ :: D 繊維 紙 :: D04 組みひも;レ−ス編み;メリヤス編成;縁とり;不織布

【発明の名称】 難燃毛布およびその製造方法
【発明者】 【氏名】新井 正志
【住所又は居所】山口県防府市鐘紡町4番1号 カネボウ合繊株式会社内

【要約】 【課題】難燃性を有する肌触り、軽量性、保温性の優れた毛布を提供する。

【解決手段】モダクリル繊維を少なくとも60重量%含有し、目付が200〜600g/m2の範囲の丸編物であって、かつ、フリース調である事を特徴とする難燃毛布である。また、その難燃毛布の製造方法は、モダクリル繊維を含有する原綿から、カード機によりスライバーを得て、そのスライバーからスライバーニット機により丸編みにし、得られた丸編物にシャーリングおよびタンブラー加工をほどこした後、パイル裏面を起毛してフリース調にしたことを特徴としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 モダクリル繊維を少なくとも60重量%含有し、目付が200〜600g/m2の範囲の丸編物であって、かつ、フリース調である事を特徴とする難燃毛布。
【請求項2】 モダクリル繊維を含有する原綿から、カード機によりスライバーを得て、そのスライバーからスライバーニット機により丸編みにし、得られた丸編物にシャーリングおよびタンブラー加工をほどこした後、パイル裏面を起毛してフリース調にしたことを特徴とする請求項1に記載の難燃毛布の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肌触り、軽量性、保温性に優れた難燃性を有する毛布に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、毛布は一般家庭以外にも、ホテル・旅館等の宿泊施設や航空機内等で広く使われてきたが、近年では、肌触りや保温性の良さからマイヤー毛布が主流となっている。しかし、マイヤー毛布は保温性が良い反面、嵩高で軽量性に欠け、逆に、軽量性を求めると、薄くなり保温性に欠け、肌触りも低下する傾向にある。そこで、保温性と軽量性の両立を目指して、毛布の中央部と両側部の目付を変えて、着用時の密着感を増し、暖かくて軽い着用感に改良した毛布(特開平11−56563号公報)や、特定の紡績糸をパイル糸として用い、毛布の厚みや目付を特定したもの(特開2001−78869号公報)などが提案されている。
【0003】一方、宿泊施設や航空機内等では難燃規制があり、それらの場所では、モダクリルや難燃ポリエステル、ウール等を素材とした難燃毛布が主に使われており、多くの場合、それら素材の紡績糸を用いた織毛布である(特開平11−250号公報他)。
【0004】これらの織毛布は布帛としては薄く軽量であるものの、特に航空機内毛布として使われる布帛は殆どが起毛されておらず、保温性の点で問題が有るばかりでなく、肌触りも良くない。
【0005】また、空調完備された室内においては、体感温度の個人差から、マイヤー毛布では暑すぎたり、織毛布では寒すぎる等の問題も有る。
【0006】更に、マイヤー毛布や織毛布の製造工程は、原綿から紡績工程を経て紡績糸を得、それを用いて織りや編みの工程、さらに仕上げ工程といった、通常長い工程が必要であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述の問題点に鑑み、本発明者は、肌触りが良く、軽量で、保温性に優れた難燃毛布を探求し、また改良して、実現することができた。すなわち、本発明の目的は難燃性を有する肌触り、軽量性、保温性の優れた毛布を提供する事に有る。
【0008】
【課題を解決する為の手段】上述の目的を達成するため、本発明の難燃毛布は、モダクリル繊維を少なくとも60重量%含有し、目付が200〜600g/m2の範囲の丸編物であって、かつ、フリース調である事を特徴としている。
【0009】また、上記難燃毛布の製造方法は、モダクリル繊維を含有する原綿から、カード機によりスライバーを得て、そのスライバーからスライバーニット機により丸編みにし、得られた丸編物にシャーリングおよびタンブラー加工をほどこした後、パイル裏面を起毛してフリース調にしたことを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明におけるモダクリル繊維とは、アクリロニトリル30〜80重量%、塩化ビニル及び/又は塩化ビニリデン20〜70重量%、及び他の不飽和単量体0〜10重量%よりなるものである。このモダクリル繊維は難燃性を有しており、さらに、このモダクリル繊維を使用した毛布は、肌触り、保温性、軽量性の点で難燃ポリエステル、ウールを使用した毛布よりも優れている。
【0011】前記不飽和単量体としては、スルホン酸基含有モノマーが繊維に緻密性、染色性を付与する点で好ましい。
【0012】そして、そのスルホン酸基含有モノマーとしては、アリルスルホン酸ソーダ、メタリルスルホン酸ソーダ、ビニルスルホン酸ソーダ、スチレンスルホン酸ソーダ、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ等が挙げられるが、同様の効果が得られるものであれば、この限りではない。
【0013】さらに、前記モダクリル繊維には、難燃性を強化する目的でアンチモン酸化物を含有させても良い。
【0014】含有させるアンチモン酸化物としては、三酸化アンチモンや五酸化アンチモン等が挙げられ、その粒径を1.5μm以下に微粒化したものが好適である。1.5μmを超えると紡糸時に、紡糸口金が目詰まりを起こし易い欠点が有る。また、必要に応じてチタネート系カップリング剤、又はシラン系カップリング剤をアンチモン酸化物の表面に処理する事で有機溶剤に対する分散性、ポリマーとの相性が改善される。
【0015】また、本発明の難燃毛布に、モダクリル繊維が占める割合は少なくとも60重量%である。モダクリル繊維の含有量が60重量%未満だと、公共施設で防炎製品として使用する際に定められた防炎テストに合格する事が困難となる。
【0016】そして、この難燃毛布に含有される、40重量%以下の繊維素材としては、ポリアミド系、オレフィン系、アクリル系、コットン、ウール等の化学繊維や天然繊維が挙げられる。この中で、肌触り、保温性に優れている点でアクリル系合成繊維が好ましい。
【0017】また、本発明の難燃毛布は着用時の保温性や、軽量感、肌触り等の面から、目付は、200〜600g/m2であることが必要であり、更に好ましくは300〜500g/m2である。例えば、目付が200g/m2未満では着用時の保温性不足が起こり、又600g/m2を超えると風合いが硬くなり着用時重く感じたり、布帛表面の風合いが硬くなり肌触りも悪くなる。
【0018】また、本発明の難燃毛布は着用時の保温性の面から、丸編物であることが必要である。丸編物は、一般的に伸縮性が有り、体に良くフィットするため衣料用布帛として最適であるが、毛布として使用しても、この特徴により着用時に体に密着するため、保温性に優れる。
【0019】また、本発明の難燃毛布は着用時の保温性、肌触りの面から、フリース調であることが必要である。本発明においてフリース調とは、パイル部の裏面を起毛することを云う。パイル部の裏側を起毛することで、ニットした地糸部が直接肌に触れない為、触感が悪くならない。また、フリース調布帛にする事で含気率が高くなり、軽量であるにもかかわらず保温性に優れた毛布になる。
【0020】次に難燃毛布の製造方法について説明する。上述した、モダクリル繊維60重量%以上と他の繊維素材40重量%以下を混綿した後、カード機にてスライバーにし、そのカードスライバーからスライバーニット機で丸編物を製造する。
【0021】次いで、スライバーニット機で得られた丸編物を、所定のパイル長になる様シャーリングを施し、所定の乾熱温度でタンブラー加工し、その後パイル裏面を起毛する事でフリース調布帛が得られる。
【0022】なお、この製造方法は従来のマイヤー毛布や織毛布、シールフライス機やシンカーパイル機等から出来る丸編物の様な紡績工程は不要であり、本発明の難燃毛布は一般的なハイパイル製造工程で容易に得る事が出来る。
【0023】
【実施例】以下、本発明を、実施例によって具体的に説明する。
【0024】実施例1〜3、比較例1〜2アクリロニトリル(以下ANと記す)57重量%、塩化ビニリデン(以下VDCと記す)40重量%、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ(以下SAMと記す)3重量%を共重合して得られた3.3dtexのモダクリル繊維(カネボウ合繊社製ルフネンVO6、LOI値29)を32mm定長カットし、表1に示す比率で他素材と混綿した後、40インチローラーカードでゲレン15g/mのスライバーを得た。
【0025】そして、ワイルドマン社製8Gスライバーニット機でスライバーニットに丸編みした後、パイル長が8mmになる様シャーリングを施した。その後、乾熱110℃でタンブラー処理し裏側をブラッシングして起毛し、フリース調布帛よりなる毛布を得た。
【0026】得られた毛布の難燃性、肌触り、軽量性、保温性の各評価項目の測定方法、評価方法を以下に示す。
【0027】■難燃性難燃性評価は、日本防炎協会防炎性能試験基準による燃焼テストでの45°メセナミン法及び45°たばこ法に拠った。メセナミン法では、毛布に3回着火し、炭化長の最大が120mm以下、平均100mm以下で合格としている。また、たばこ法では、毛布に着火1時間後残炎、残じんが無く周辺端部に達しない事で合格としている。
【0028】■肌触り最終的に出来上がった毛布を、5名の有識判定者により着用し、その肌触りが、非常によい(◎)、よい(○)、あまりよくない(△)、悪い(×)の4段階で判定した。
【0029】■軽量性最終的に出来上がった毛布を、5名の有識判定者により着用し、その着用感が、非常に軽い(◎)、軽い(○)、やや重い(△)、重い(×)の4段階で判定した。
【0030】■保温性冬の気温12℃の室内で7時間使用後、5名の有識判定者により着用し、その時の保温状態が、とても快適(◎)、快適(○)、やや不快(△)、不快(×)の4段階で判定した。
【0031】モダクリル繊維70重量%とアクリル繊維30重量%を混綿して、最終的に目付450g/m2で出来上がった毛布(実施例1)と、モダクリル繊維80重量%とコットン繊維20重量%を混綿して、最終的に目付420g/m2で出来上がった毛布(実施例2)、および、モダクリル繊維85重量%とポリエステル繊維15重量%を混綿して、最終的に目付530g/m2で出来上がった毛布(実施例3)は難燃性、肌触り、軽量性、保温性の全ての項目について満足な結果が得られた。
【0032】一方、モダクリル繊維を範囲外の55重量%とアクリル繊維45重量%を混綿して、最終的に目付250g/m2で出来上がった毛布(比較例1)は、肌触りと軽量性の2項目は問題なかったものの、難燃性が不合格であり、保温性も不快となった。
【0033】さらに、モダクリル繊維80重量%とコットン繊維20重量%を混綿して、最終的に目付450g/m2で出来上がった毛布、すなわち、目付が範囲外のもの(比較例2)は、難燃性と保温性の2項目は問題なかったものの、肌触りがあまりよくないうえ、着用感(軽量性)も重いものとなった。
【0034】以上の結果を表1に示す。
【0035】
【表1】

【0036】実施例4、比較例3AN57重量%、VDC40重量%、SAM3重量%を共重合したポリマーに三酸化アンチモン5重量%を添加し紡糸して2.2dtexのモダクリル繊維(カネボウ合繊社製ルフネンVE、LOI値33) を得た。得られた繊維を32mm定長カットしたものと、2.2dtexの通常のアクリル繊維(カネボウ合繊社製アクリルXQ3)を 25mm定長カットしたものとを、モダクリル繊維/アクリル繊維=70%/30%の比率(実施例4)と、モダクリル繊維/アクリル繊維=25%/75%の比率(比較例3)で、それぞれ混綿した後、40インチローラーカードでゲレン13g/mのスライバーを得た。
【0037】そして、ワイルドマン社製8Gスライバーニット機で丸編み作成後、パイル長が6mmになる様シャーリングを施した。その後、乾熱110℃でタンブラー処理し、裏側をブラッシングして起毛し、最終的に目付350g/m2のフリース調布帛よりなる毛布を得た。
【0038】上記方法により得られた毛布は、肌触り、軽量性、保温性については共に良好であった。
【0039】難燃性については、モダクリル繊維/アクリル繊維=70%/30%の比率のもの(実施例4)が、45°メセナミン法では、最大炭化長36mm平均炭化長33mmで合格し、45°たばこ法でも1時間後の残炎、残じんが無く、周辺端部に燃焼が達しておらず合格だった。
【0040】一方、モダクリル繊維/アクリル繊維=25%/75%の比率のもの(比較例3)は全焼し、難燃性不合格だった。
【0041】
【発明の効果】本発明の難燃毛布およびその製造方法により、難燃性を有する肌触り、軽量性、保温性の優れた毛布を提供する事ができる。また、紡績工程が不要であり、一般的なハイパイル製造工程で容易に本発明の難燃毛布を得る事が出来るため、設備や製造コスト面から見てもかかる有用である。
【出願人】 【識別番号】000000952
【氏名又は名称】カネボウ株式会社
【住所又は居所】東京都墨田区墨田五丁目17番4号
【識別番号】596154239
【氏名又は名称】カネボウ合繊株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区梅田一丁目2番2号
【出願日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−105656(P2003−105656A)
【公開日】 平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願番号】 特願2001−299698(P2001−299698)