トップ :: D 繊維 紙 :: D04 組みひも;レ−ス編み;メリヤス編成;縁とり;不織布

【発明の名称】 快適性シャツ地
【発明者】 【氏名】田中 潤
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区備後町四丁目1番3号 ユニチカファイバー株式会社内

【氏名】赤崎 久仁夫
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区備後町四丁目1番3号 ユニチカファイバー株式会社内

【氏名】冨路本 靖弘
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区備後町四丁目1番3号 ユニチカファイバー株式会社内

【要約】 【課題】高度の吸水性、吸放湿性を備えた快適性シャツ地を提供する。

【解決手段】編地を構成する糸条の横断面が外周部に凸部を一か所以上有し、扁平度が1.5〜5の範囲にある扁平断面で2種以上の単糸繊度を有する異繊度混繊ポリエステル繊維を使用し、該編地にポリアルキレンオキサイドとポリオールおよび脂肪族ジイソシアネート化合物との反応によって得られたポリアルキレンオキサイド変性物または前記変性物とポリアミドからなる芯成分と、ポリアミドからなる鞘成分で構成された芯鞘複合型吸放湿性合成繊維を質量比率50%以下の割合で含み、開口率が10%以上40%以下のメッシュ組織で編成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 編地を構成する糸条が、吸放湿性合成繊維と、横断面が外周部に凸部を一か所以上有している扁平断面であり、かつ2種以上の単糸繊度が異なるフィラメントからなる異繊度混繊ポリエステル繊維とであって、該編地に占める吸放湿性合成繊維の割合が50%以下であり、開口率が10%以上40%以下のメッシュ組織で編成されていることを特徴とする快適性シャツ地。
【請求項2】 吸放湿性合成繊維がポリアルキレンオキサイドとポリオールおよび脂肪族ジイソシアネート化合物との反応によって得られたポリアルキレンオキサイド変性物または前記変性物とポリアミドからなる芯成分と、ポリアミドからなる鞘成分で構成された芯鞘複合型吸放湿性合成繊維である請求項1記載の快適性シャツ地。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸水性、吸放湿性に優れる合成繊維素材を用いたスポーツ用、特にランニング用に好適なシャツ地に関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成繊維は、木綿、麻、ウール等の天然繊維に比べて、強力、耐摩耗性、寸法安定性、ウォッシュアンドウェアー性、速乾性等の点で優れており、衣料素材として広く使用されている。しかし、合成繊維は、一般に天然繊維が有する優れた制電性、吸水性能、吸放湿性能を有しておらず、冬場の着用時には静電気によるまとわりつきや埃の付着など、また夏場の着用時には発汗により、ムレ・ベタツキ等が生じ、天然繊維よりも快適性の面で劣っていた。
【0003】これらの問題を解決すべく、従来から合成繊維に吸水性、吸放湿性を付与する試みがなされている。例えば、後加工によってナイロン繊維、ポリエステル繊維に上記機能を付与する方法として、ラジカル開始剤や電子線を用いてビニルカルボン酸をグラフト重合する方法(特開平4−146271号公報、特開平4−272272号公報)が知られているが、この方法では加工処理による繊維の強力低下や風合いの硬化、効果の耐久性不足といった種々の問題を有していた。また、原糸の製造段階でポリアルキルキシレングリコールに配合した複合繊維(特開昭39−5214号公報)、繊維表面から中空部まで貫通溝を有する繊維形成性ポリマーよりなる中空繊維(特開昭60−37203号公報)、有機スルホン酸化合物を均一に分散させたポリエステル繊維をアルカリ処理した微多孔性繊維(特開昭60−167969号公報)等が提案されている。しかしこれらの繊維はいずれも吸湿性のレベルが低く、また吸水性能、吸放湿性能の両性能を同時に十分なレベルまで満たすものではなかった。
【0004】これらの問題を解消すべく10%以上の吸水性能を有する樹脂を芯部に、ポリエステル繊維を鞘部として構成された芯鞘複合繊維(特開平2−99612号公報)が提案されている。しかしながらこの繊維は、原糸の製造段階で十分な吸水性と吸放湿性を有するものの染色加工時、特に減量加工時に繊維の鞘部が破損し、芯成分である吸放湿性樹脂が溶出してしまい、初期の吸水性と吸放湿性が損なわれるといった問題を有していた。このように合成繊維に十分な吸水性、吸放湿性を付与することは難しく、まだ実用化された例は認められない。
【0005】そして従来、ランニング用等の運動時に着用されるシャツには、軽量性、吸水拡散性、速乾性等の機能を必要とするので、素材や組織及び後加工によりそれらの機能が付与されてきた。人体の体温調節機構には、運動時に発生する熱量を発汗することによって、汗が蒸発するときに奪う気化熱で体温上昇を抑える働きがあり、この発生する汗をどのように処理するかにより着用時の快適性が大きく左右される。そのためメッシュ等の通気性の良好な素材によって外気を積極的に取り込み、着用時の快適性を向上させてきたが、運動時に着用されるシャツは走行中の風圧によって汗に濡れた前身頃が、腹部から胸部にかけて肌面に密着し、気化熱により絶えず腹部や胸部を冷却し続けるため腹痛を起こしたり、胸部を冷やし過ぎ心臓に負担をかけるなど、著しい運動能力の低下を招く原因となっていた。そこでこのような問題を解決すべく、実開昭63−33923号に開示されているように通気性を有する素材により構成されたシャツ本体に通気性の少ない布で前面腹部を被覆し、冷えを防止したものがある。しかし、通気性を抑えただけであるため前面腹部で発汗された汗がシャツ本体内に滞留しムレ感が高まり、着用者に不快感を与える。また、吸湿性の良好な天然繊維を用いたシャツ地は速乾性に劣り、運動終了後も濡れたまま肌面を冷却し続け、着用者に不快感を与え続けるため、速乾性に優れる合成繊維を用いることが一般的である。しかし、合成繊維は吸水拡散性、速乾性ともに満たすことができるが天然繊維の持つ吸放湿性が全くといって良いほどなく、合成繊維特有のムレ感を解消することはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする手段】本発明は、このような現状に鑑みて行われたものであり、高度の吸水性、吸放湿性を備えた快適性シャツ地を提供することを技術的課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するものであり、編地を構成する糸条が、吸放湿性合成繊維と、横断面が外周部に凸部を一か所以上有している扁平断面であり、かつ2種以上の単糸繊度が異なるフィラメントからなる異繊度混繊ポリエステル繊維とであって、該編地に占める吸放湿性合成繊維の割合が50%以下であり、開口率が10%以上40%以下のメッシュ組織で編成されていることを特徴とする快適性シャツ、及び吸放湿性合成繊維がポリアルキレンオキサイドとポリオールおよび脂肪族ジイソシアネート化合物との反応によって得られたポリアルキレンオキサイド変性物または前記変性物とポリアミドからなる芯成分と、ポリアミドからなる鞘成分で構成された芯鞘複合型吸放湿性合成繊維である上記の快適性シャツ地を要旨とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明において、編地を構成する繊維は、吸放湿性合成繊維と、横断面が外周部に凸部を一か所以上有する扁平形状で少なくとも2種以上の単糸繊度の異なるフィラメントが混繊されている異繊度混繊ポリエステル繊維である。
【0009】図1に異繊度混繊ポリエステル繊維の横断面の例を示しており、図1の(イ)(ロ)(ニ)は、いずれも凸部を1か所有する扁平断面形状の例を示し、(ハ)は凸部を2か所有する扁平断面形状の例を示している。このような図1の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)に示す断面形状の繊維は、それぞれ図2の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)に示す形状の孔を有する紡糸口金を用いて紡糸することができる。異繊度混繊ポリエステル繊維は、これらの断面形状の混在するものであってもよい。
【0010】本発明において扁平断面形状の扁平度は、繊維横断面の長軸方向の長さを繊維横断面の短軸方向の長さで除した値で表す。本発明において表面に用いる繊維の横断面の扁平度は1.5〜5の範囲にあるのが好ましい。この扁平度が1.5未満であると、繊維の有効な配向性が得られにくく、また扁平度が5を超えると、横断面形状が不安定となり好ましくない。
【0011】本発明において、異繊度混繊ポリエステル繊維は、少なくとも2種以上の単糸繊度の異なるフィラメントが混繊されていることが必要であり、単糸繊度は0.5〜5dtexの範囲にあることが好ましい。フィラメントの繊度差は1.5dtex以上あるのが好ましい。
【0012】このように、扁平断面形状の外周部に1か所以上の凸部を存在せしめ、しかも2種以上の単糸繊度を設けることにによって、繊維間に微細な空隙を設けることができるようになり、この繊維間空隙によって毛細管路が形成されて、毛細管現象により吸水性、導水性の効果が得られるようになる。
【0013】本発明において、異繊度混繊ポリエステル繊維を構成するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート単位に第3成分を共重合されたポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等のポリエステルが挙げられる。
【0014】本発明では、編地を構成する今一つの糸条として吸放湿性合成繊維を用いる。本発明でいう吸放湿性合成繊維とは、高度な吸放湿性を有する合成繊維であって、例えば、25℃×60%RHの雰囲気から34℃×90%RHの雰囲気の移した時の吸湿率の増加が3%以上であり、逆に34℃×90%RHの雰囲気から25℃×60%RHの雰囲気の移した時の吸湿率の減少、すなわち放湿率が3%以上であるといった吸放湿性を有する合成繊維であるのが好ましい。これは25℃、60%RHの雰囲気で運動して液状発汗したときの衣服と肌との間の雰囲気が34℃、90%RHにあるといわれていることから、発汗状態での衣服への吸湿により衣服と肌との間の湿気を吸収することにより良好な着用感を維持させるためである。
【0015】このような吸放湿性合成繊維としては、吸放湿性を有する化合物と繊維形成性ポリマーとをブレンドして製糸した繊維、吸放湿性を有する化合物を芯成分あるいは吸放湿性を有する化合物と繊維形成性ポリマーとをブレンドして芯成分とし、鞘成分として繊維形成性ポリマーを用いて製糸した芯鞘複合繊維が挙げられる。ここで繊維形成性ポリマーとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート単位に第3成分を共重合されたポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等のポリエステルが挙げられる。
【0016】吸放湿性を有する化合物としては、良好な吸湿性を有し、色調変化の少ないものであればよいが、ポリアルキレンオキサイド、ポリオール及び及び脂肪族ジイソシアネート化合物との反応によって得られるポリアルキレンオキサイド変性物が好ましく用いられる。このポリアルキレンオキサイド変性物の原料として用いられるポリエチレンオキサイドとしてはポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド及び両者の共重合体、ポリオールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、脂肪族ジイソシアネートとしては、ここでは脂肪族ジイソシアネートも含むが、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。このようなポリアルキレンオキサイド変性物を吸放湿性を有する化合物として用いると、芳香族イソシアネート化合物を用いた場合に見られるようなイソシアネート基と芳香環との共鳴構造により形成されるイミド環に起因する黄変が抑制され、長時間使用しても繊維が黄変することがなくなり、耐候性に優れた複合繊維とすることができる。
【0017】吸放湿性合成繊維の吸放湿性を有する化合物としてポリアルキレンオキサイド変性物を用いる場合のこの化合物の含有率は、0.5〜60質量%の範囲にあることが好ましい。ポリアルキレンオキサイド変性物の含有率が0.5質量%未満では目的とする吸放湿性が得られない場合があり、含有率60質量%を超えると、製糸性に問題が生じるおそれがある。
【0018】また、芯鞘複合繊維とする場合の芯鞘複合比は使用するポリマー等により異なるが、質量比で15/85〜85/15の範囲にあることが好ましく、これよりも芯成分の割合が少ないと吸放湿性に劣り、芯成分が多いと製糸性に問題が生じるおそれがある。
【0019】本発明においては、編物中に占める吸放湿性合成繊維の割合を50%以下とする。特に本発明で編物に用いる吸放湿性繊維の繊維形成性ポリマーとしてポリアミドを用いる場合には、染色に際しては温度管理が必要である。通常のポリエステルの染色条件では、ポリアミドが強力低下し風合も硬化する。そのため、常圧可染タイプのポリエステルを用いてカチオン染料を使用して染色するか、キャリアー等を使用し100℃程度の温度で染色するのが好ましい。しかしこのときポリアミドへの染料汚染によってスポーツ衣料素材に使用する場合の堅牢度レベルをクリアすることが難しい。これを解決するためにはポリアミドへ汚染した染料を十分に除去しなければならず、質量比50%以下であれば、汚染染料の除去によって堅牢度レベルをクリアすることができる。また、ポリアミド側を染色しなくても表面より未染のポリアミドが露出することはなく、ポリエステル染色のみでも編地表面の品位を大きく損なうことはない。但し、目的の吸放湿性を得るために吸放湿性合成繊維を質量比10%以上含んでいることが望ましい。
【0020】一般にこのような成分を芯成分とした芯鞘型複合繊維の場合、染色仕上加工時、特に減量加工時に芯成分が吸水膨張して単糸繊維の鞘割れが発生しやすくなる。しかしながら、鞘成分にポリアミドを用いると芯成分として吸水性能の大きい上記のポリアルキレンオキサイド変性物を用いた場合においても染色加工時の芯成分の吸水膨潤作用に追随して、鞘成分ポリアミドも多少膨潤し両者の水膨潤差が少なくなるため、糸の鞘割れが発生しにくくなる。
【0021】本発明においては、編地の組織をメッシュとし、その開口率を10%以上40%以下とする。開口率とは、メッシュ組織による貫通孔の総面積の割合を百分率でで表したもので、開口率の小さいものは通気性が少なく密度の高い生地であり、大きいものは通気性が高く密度も低い生地となる。メッシュ組織は通気性に優れ、外気を衣服内に取り込み体表面を冷却するのに非常に有効であるが、その開口率が10%以下であると外から衣服内への換気が十分に行なわれず、40%以上であると編地の密度が低いため液状発汗を吸水し拡散する際に水分を保水する量が少なく吸水性に劣る。開口率は、編地の拡大写真のメッシュ穴部を切り取り、切り取った部分の重さの全体の重さに対する割合を測定することにより測定できる。本発明の編地に用いることのできるメッシュ組織としては、経編や緯編の生地に透かし目を編みだしたもので、貫通孔の大きさや密度は開口率により適宜用いればよい。
【0022】
【作用】本発明において、シャツ地の構成糸として吸放湿性合成繊維を用いることにより合成繊維の高い吸水性・速乾性を維持したまま、天然繊維の持つ吸放湿機能を付与することができる。これによりシャツ本体内の湿度を低く抑えることができ、合成繊維に特有のムレ感を解消することができるようになる。また、メッシュ組織にすることにより、シャツ本体の側面部及び後身頃部はメッシュの持つ通気性により冷却効果が高く、運動中の体表面を効率的に冷却することができ、比較的蒸れの発生しやすい前身頃部分も吸放湿繊維によって低い湿度に保ち非常に快適な環境を維持できるようになる。そして、運動中の風圧により密着する前身頃部はメッシュ組織のため肌面に対して点接触となり、肌から奪う熱量が少なく腹部や胸部を冷やし過ぎることがなくなる。
【0023】
【実施例】次に、本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。なお、実施例における性能の測定と評価は次の方法で行なった。
(1)吸水性試料を温度25℃、相対湿度60%の条件下で2時間調湿した吸水前のサンプルの質量Wを秤量した後、JIS L−1907 5.3で規定された吸水性測定法によって10秒後、20秒後、30秒後及び180秒後の吸水サンプルの質量Wn(n秒後)を測定し、下記式により吸水率Rnを求める。
Rn(%)={(Wn−W)/W}×100(2)消費熱量1消費熱量1は、図3に示すようなカトーテック社製サーモラボ2(KES−F7)を用いて測定した。試料Bは温度20℃、相対湿度65%の条件下で一昼夜放置し調湿した後、そのまま測定に用いる試料と、もう1つは試料中央部にスポイトで0.2ccの水を滴下し拡散させた試料を用いる。同環境下で試料Bを保温板C上に置いて、保温板Cの温度と環境の温度差が10℃になるように調整し、送風機Aからの風速3m/secの送風を行なう場合と行なわない場合について、それぞれの消費熱量を測定した。
(3)消費熱量2消費熱量2は、図4に示すように上記の消費熱量1と同一の装置を用いて、保温板Cの上に水分率200%の濡れた濾紙を置きその上を透湿防水布で覆いD、その上に試料Bを0.5cm離した状態に固定し、試料中央部にスポイトで0.2ccの水を滴下し拡散させ、送風機Aからの風速3m/secの送風を行なった場合の消費熱量を測定した。
【0024】実施例1固有粘度0.68のポリエチレンテレフタレートを図2の(イ)に示す形状の孔が24孔、(ロ)に示す形状の孔が16孔、(ハ)に示す形状の孔が4孔、合計44孔の紡糸口金を通して、常法にしたがって1400m/minの速度で溶融紡糸し未延伸を得た。この未延伸糸を常法により延伸速度700m/min、延伸倍率2.6倍にて延伸しながら巻き取り、異繊度混繊扁平断面ポリエステル糸を得た。これに仮撚数3500T/M、仮撚温度170℃、仮撚オーバーフィード率2%で仮撚加工を施し、73dtex/44fの異繊度混繊扁平断面加工糸を得た。この糸条を解繊して単糸繊度と扁平度を測定したところ、図2(イ)の形状の孔によるものは、繊維の断面形状が図1の(イ)で、繊度2.9dtexで扁平度1.5のフィラメント8本、繊度1.9dtexで扁平度1.6のフィラメント8本、繊度1.0dtexで扁平度1.8のフィラメント8本、繊度0.8dtexで扁平度1.5のフィラメント8本、図2(ロ)の形状の孔によるものは、繊維の断面形状が図1(ロ)で、繊度1.4dtexで扁平度2.4のフィラメント8本、繊度1.2dtexで扁平度1.8のフィラメント8本、図2(ニ)の形状の孔によるものは、繊維の断面形状が図1(ニ)で、繊度3.6dtexで扁平度1.9のフィラメントであった。次にm−クレゾール溶媒中で濃度0.5g/テ゛シリットル、温度20℃にて測定した相対粘度2.6のナイロン6を85質量部と、ポリエチレンオキサイド、1,4−ブタンジオール及びジシクロヘキシルメタン4,4ジイソシアネートの反応物であるポリアルキレン変性物(1gの吸収能35g)15質量部とをブレンドした混合物を芯成分とし、相対粘度2.6のナイロン6を鞘成分として、芯成分/鞘成分の質量比を50/50として、24孔の吐出孔を有する芯鞘型複合紡糸口金を使用して、紡糸温度255℃で溶融紡糸し、紡出した糸条に18℃の空気を吹き付けて冷却し、油剤を付与した後、1300m/minで巻き取り、3.0倍の延伸を行い、仮撚数3400T/M、仮撚温度180℃、仮撚オーバーフィード率−5%で仮撚加工を施し、84dtex/24fの芯鞘型吸放湿性複合繊維の仮撚加工糸を得た。得られた芯鞘型吸放湿性複合繊維の25℃×60%RHでの吸湿率は4%で、34℃×90%RHでの吸湿率は8%であり、再び25℃×60%RHに戻した時の吸湿率は4%であった。次に、14ゲージ丸編機を用い、上記の異繊度混繊扁平断面加工糸と吸放湿性複合加工糸を添糸編にて表裏に異繊度混繊扁平断面加工糸、内部に吸放湿性複合加工糸が配されるように編立を行い、メッシュをストライプ状に配した組織の生機を編成した。染色加工は、キャリアーを使用し100℃で行い、浴中で吸水加工した後、ポリアミドへの汚染を除去して仕上げセットを行い、芯鞘型吸放湿性複合繊維の割合が34%でメッシュの開口率が21%である本発明の快適性シャツ地を得た。
【0025】実施例2編地のメッシュ部を格子状に配し、開口率を16%とすること以外は実施例1と同様の方法で本発明の快適性シャツ地を得た。
【0026】比較例1編地のメッシュ部を全面に配し、開口率を45%とすること以外は実施例1と同様の方法で比較例1のメッシュ編地を得た。
【0027】比較例2編地の表面に実施例1で用いた73dtex/44fの異繊度混繊扁平断面糸を配し、裏面に通常の84dtex/36fのポリエステル加工糸を配した28ゲージ両面丸編機で裏鹿の子を編成し、染色加工を130℃で行い浴中で吸水加工した後、仕上げセットして芯鞘型吸放湿性複合繊維の質量比が0%、開口率が0%である比較例2の編地を得た。上記実施例1及び2、比較例1は、いずれも吸放湿性合成繊維の使用割合が同一で、25℃×60%RHの雰囲気下での吸湿率は1.5%、34℃×90%RHの雰囲気下での吸湿率は3.1%で、その差は1.6%であり、比較例2の25℃×60%RHの雰囲気下での吸湿率は0.3%、34℃×90%RHの雰囲気下での吸湿率は0.7%で、その差は、0.4%であった。実施例1〜2と比較例1〜2の編物の評価結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】表1から明らかなように、実施例1及び実施例2の編物は優れた吸水性を示した。消費熱量1については、編物と保温板が接触した状態で測定し、つまりシャツの前身頃が肌面に密着した状態を想定した場合では風の影響を受けず、常に奪われる熱量が低いことから、走行中の発汗によって濡れたシャツによる不快感(冷感)は少なく、消費熱量2では保温板の上に水分率200%の濾紙を置き、その上から透湿防水布で覆い、気相発汗する肌面を想定し、編物とは接触していない状態、つまりシャツの側面及び後身頃が走行中の風によってはためき身体から離れた状態では、奪う熱量が大きいことから、外気を積極的に取り込み冷却する効果があり、ランニング用素材として好敵なものであった。一方、比較例1の編物は消費熱量1及び消費熱量2のデータは、実施例のデータと遜色ないが、メッシュの開口率が大きく編地の密度が低いため、多くの水を取り込むことができず吸水性に劣るものであった。また、比較例2の編地は消費熱量1の差が大きく、乾いた状態と濡れた状態、また無風下と有風下での差があり、発汗着用時に不快感を与えるものであり、消費熱量2のデータから有風下での冷却効果も実施例に比べ劣るものであった。
【0030】
【発明の効果】本発明による快適性シャツを運動用衣料に用いた際には、着用初期の気相発汗によるムレ感を吸放湿性合成繊維により軽減し、運動中の液状発汗も扁平断面糸の繊維間空隙へ肌面から素早く吸収拡散されることでベタツキ感もなく、さらにメッシュ組織の持つ通気性によりシャツ側面及び後身頃から外気を取り込み、体を冷却し、運動中の風圧で体に密着した前身頃は、メッシュ組織のため肌面に対して点接触となり冷え感が少なく、腹部や胸部を冷やし過ぎることがない。また、運動直後の安静時においても気相発汗によるムレ感を着用初期と同様の理由で軽減することができ着用快適性が向上する。
【出願人】 【識別番号】399065497
【氏名又は名称】ユニチカファイバー株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区備後町四丁目1番3号
【出願日】 平成13年9月27日(2001.9.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−96648(P2003−96648A)
【公開日】 平成15年4月3日(2003.4.3)
【出願番号】 特願2001−296679(P2001−296679)