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【発明の名称】 パイル布帛
【発明者】 【氏名】竹原 勝己
【住所又は居所】愛媛県伊予郡松前町大字筒井1515 東レ株式会社愛媛工場内

【氏名】横山 正雄
【住所又は居所】愛媛県伊予郡松前町大字筒井1515 東レ株式会社愛媛工場内

【氏名】鎌田 繁儀
【住所又は居所】愛媛県伊予郡松前町大字筒井1515 東レ株式会社愛媛工場内

【要約】 【課題】ソフト性向上、カード通過性、更には発色性、耐光性に優れたパイル布帛特に、車両用パイル布帛として好ましく用いられ得るパイル布帛を提供すること。

【解決手段】主としてプロピレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分が繊維表面の少なくとも一部に露出してなる短繊維を少なくともパイル糸に用いてなるパイル布帛。
【特許請求の範囲】
【請求項1】主としてプロピレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分が繊維表面の一部に露出してなる短繊維を少なくともパイル糸に用いたことを特徴とするパイル布帛。
【請求項2】ポリプロピレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートを含有しブレンドされてなる短繊維を少なくともパイル糸に用いたことを特徴とする請求項1記載のパイル布帛。
【請求項3】ポリプロピレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートを含有しブレンドされてなる短繊維を少なくともパイル糸に用いたことを特徴とする請求項1記載のパイル布帛。
【請求項4】主としてプロピレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分が繊維表面の少なくとも一部に露出してなる鞘成分と主としてエチレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分からなる芯成分による芯鞘型の複合短繊維を少なくともパイル糸に用いたことを特徴とするパイル布帛。
【請求項5】主としてプロピレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分が繊維表面の少なくとも一部に露出してなる鞘成分と主としてブチレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分からなる芯成分による芯鞘型の複合短繊維を少なくともパイル糸に用いたことを特徴とするパイル布帛。
【請求項6】パイルがカットパイルである請求項1〜5のいずれかに記載のパイル布帛。
【請求項7】パイルがループパイルである請求項1〜5のいずれかに記載のパイル布帛。
【請求項8】車両用に用いられることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のパイル布帛。
【請求項9】短繊維の単糸繊度が1.5〜6.0dtexであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のパイル布帛。
【請求項10】短繊維の断面形状が、実質的に丸断面であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のパイル布帛。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パイル布帛に関する。更に詳しくは、ソフト性触感、カード通過性などに優れ、かつ発色性、耐光性に優れたパイル布帛に関するものであり、特に車両用パイル布帛として好適に用いられるパイル布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、輸送用車両のカーシート表皮材、ドア内装材などの車両内装材にはトリコットの起毛によるもの、ダブルラッセル編やモケット織によるパイルが広く用いられているが、これらの多くはナイロンやポリエステルといった合成繊維が用いられてきた。特に、ポリエチレンテレフタレートを中心とするポリエステルは、その優れた機械的特性や耐光性が認められており、その使用量が増加してきた。
【0003】また、近年は、消費者の高級化志向により、さらにソフト性触感に優れた車両用内装材が好まれるようになってきた。ソフト性触感を得るために、ヤング率の低いナイロンやポリブチレンテレフタレートを用い検討されたが、これらは耐光性が悪く、黄変や退色といった問題が生じ実用されることはなかった。
【0004】一方、ポリエチレンテレフタレートを用いた車両内装用パイル布帛は触感が硬く、そのため細繊度化や扁平化などの方法でソフト化を図ってきた。しかしながら、細繊度化するとカード通過性が悪化する傾向にあり、扁平異形化すると反射光が増加し白っぽい光がギラついて見える、いわゆる「イヤビカリ」が発生する。
【0005】従って、従来技術では、ポリエチレンテレフタレートを用いた細繊度化と扁平化による車両内装用パイル布帛は得られていたが、よりソフト性向上し、発色性、耐光性いずれも満足したパイル布帛を提供することはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記従来技術では達成できなかった、ソフト性向上、カード通過性、更には発色性、耐光性に優れたパイル布帛を提供するものである。特に、車両用パイル布帛として好ましく用いられ得るパイル布帛を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、主としてプロピレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分が繊維表面の少なくとも一部に露出してなる短繊維を用いたことを特徴とするパイル布帛により解決できることを見出した。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明でいうパイル布帛は、主としてプロピレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分が繊維表面の少なくとも一部に露出してなる短繊維を少なくともパイル糸に用いることが必要である。該繊維を用いて作製されたパイル布帛はソフト性を有し、かつ発色性と耐光性に優れている。
【0010】通常、パイル布帛はパイル糸と地糸から構成されているが、本発明のパイル布帛には該繊維をパイル糸だけでなく地糸に用いても構わない。ただし、少なくともパイル糸として構成されてなることで、所期の目的が達成される。
【0011】また、パイル糸として紡績する際に本発明の短繊維と他の合成繊維や天然繊維を混繊させて紡績糸とし用いても構わない。
【0012】本発明の短繊維は、主としてプロピレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分が繊維表面の少なくとも一部に露出してなることが必要である。
【0013】ここで、主としてプロピレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分とは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、1,3−プロパンジオールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。ただし、20モル%、より好ましくは10モル%以下の割合でエステル結合の形成が可能な共重合成分を含むものであってもよい。共重合可能な成分として、例えば、イソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコールなどのジオール類を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、必要に応じて、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを添加してもよい。
【0014】更に、主としてプロピレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分が繊維表面の一部に露出することで、該繊維を用いて作製したパイル布帛にソフト性を付与でき、かつ良好な発色性、耐光性を保持することが可能となる。
【0015】このときの繊維表面に対して上記ポリマーが露出している割合は10〜100%が好ましく、その中でも繊維表面に40〜100%露出していることがより好ましい。露出の割合が40%未満では、60%を超える割合で露出した他の成分の影響で、ソフト性、発色性、耐光性を良好に付与し難い傾向となるが、全く露出していない場合を除き、これらの特性が向上する傾向にある。
【0016】本発明のパイル布帛に用いられる短繊維の形態としては、ブレンド型、バイメタル型、芯鞘型(同芯、偏芯、多芯など)等が用いられる。
【0017】パイル布帛を形成する繊維は、ポリプロピレンテレフタレート(以下、PPTと略記する)とポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する)を含有しブレンドされてなることが好ましい。
【0018】パイル布帛を形成する繊維はPPT単独でも問題はない。しかし、PPT単独繊維は、伸長回復性が極めて優れており、容易に伸長・回復するという利点がある一方で、延伸後、けん縮付与、カット後、カードで開繊しウエッブを得る際、けん縮が伸長しやすいため、通過性に劣る傾向にある。そのため、PETをブレンドすることでけん縮の伸長が抑制され、容易にカードを通過することが可能となり、より良好な特徴を発揮できる。
【0019】PPTとブレンドされてなる成分は、PPTと接着性が良好で製糸性が安定している繊維形成性ポリエステルであれば、特に限定されるものではないが、力学的特性、化学的特性および原料価格を考慮すると、PETが好ましい。その際、第3成分として他の繊維形成性ポリマーをブレンドさせても問題ない。
【0020】PETのブレンド比率は、10〜90%が好ましく、その中でも30〜70%がより好ましい。
【0021】2種以上のポリエステルを混合する方法としては、2種以上のポリマを別々に溶融し、ミキサーで混練する方法、2種以上のポリマをチップの状態で混合し、溶融する方法、2種以上のポリマを別々に溶融し、ミキサーで混練していったんマスターチップとした後で紡糸する方法などが挙げられる。
【0022】パイル布帛を形成する繊維は、ポリプロピレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと略記する)を含有しブレンドされてなることが好ましい。
【0023】パイル布帛を形成する繊維は、PPT単独でも問題はないが、上記した通り、PPT単独繊維は、伸長回復性が極めて優れており、容易に伸長・回復するという利点がある。しかし、その一方でPPT単独繊維を延伸後、けん縮付与、カット後、カードで開繊しウエッブを得る際、けん縮が伸長しやすいため、通過性に劣る傾向にある。そのため、PBTをブレンドすることでけん縮の伸長が抑制され、容易にカードを通過することが可能となる。
【0024】PPTとブレンドされてなる成分は、PPTと接着性が良好で製糸性が安定している繊維形成性ポリエステルであれば、特に限定されるものではないが、力学的特性、化学的特性および原料価格を考慮すると、PBTが好ましい。その際、第3成分として他の繊維形成性ポリマーをブレンドさせても問題ない。
【0025】PBTの複合比率は、10〜90%が好ましく、その中でも30〜70%がより好ましい。
【0026】本発明のパイル布帛に用いられる短繊維は、主としてプロピレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分が繊維一部に露出してなる鞘成分と主としてエチレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分からなる芯成分による芯鞘型の複合短繊維であることが好ましい。
【0027】主としてプロピレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分が繊維表面の一部に露出することで、該繊維を用いて作製したパイル布帛にソフト性を付与でき、かつ良好な発色性、耐光性を保持することが可能となる。
【0028】本発明における短繊維の複合形態としては、芯鞘型(同芯、偏芯、多芯など)等が用いられる。
【0029】芯成分として、主としてエチレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分を用いることで、PPT単独繊維に比べ、カード通過時のけん縮の伸長による工程通過性不良が抑制され、容易にカードを通過することが可能となる。
【0030】また、そのときの芯成分の複合比率は10〜90%が好ましく、更に好ましくは30〜70%である。
【0031】本発明のパイル布帛に用いられる短繊維は、主としてプロピレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分が繊維表面の少なくとも一部に露出してなる鞘成分と主としてブチレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分からなる芯成分による芯鞘型の複合短繊維であることが好ましい。
【0032】主としてプロピレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分が繊維表面の一部に露出することで、該繊維を用いて作製したパイル布帛にソフト性を付与でき、かつ良好な発色性、耐光性を保持することが可能となる。
【0033】本発明における短繊維の形態としては、芯鞘型(同芯、偏芯、多芯など)が用いられる。
【0034】芯成分として、主としてブチレンテレフタレート単位よりなるポリエステル成分を用いることで、PPT単独繊維に比べ、カード通過時のけん縮の伸長による工程通過性不良が抑制され、容易にカードを通過することが可能となる。
【0035】また、そのときの芯成分の複合比率は10〜90%が好ましく、更に好ましくは30〜70%である。
【0036】本発明のパイル布帛に用いる短繊維は紡糸後、次いで延伸、捲縮を付与して、更に所望の繊維長に切断し原綿として得ることができる。
【0037】該原綿を紡績糸とした後、カットパイル布帛を次のような工程を得て形成するに至る。紡績糸をソフト巻き返し、染色後、単糸もしくは合撚糸となしパイル糸とする。該パイル糸をダブルラッセル編成、あるいはモケット製織後センターカットしてパイル布帛にとせしめる。この状態におけるパイル布帛は無地生機と称す。更に、パイル無地生機にプリント捺染することも容易に展開できるものである。
【0038】また、染色工程をパイル布帛形成後に、分散染料などで染色して得ることもできる。
【0039】更に、カットせずループパイル布帛として得ることもできる。
【0040】本発明のパイル布帛は、特にソフト性、発色性、耐光堅牢性を要求される車両用パイル布帛として用いられることが好ましい。
【0041】本発明のパイル布帛に用いる短繊維の単繊維繊度は1.5〜6.0dtexであることが好ましい。通常、パイル布帛に用いられる短繊維の単繊維繊度はソフト性保持の観点から細繊度化傾向にあり、単繊維繊度が1.5〜3.5dtex程度が一般的である。しかし、本発明の短繊維を用いれば、単繊維繊度が3.5dtexを超え6.0dtexレベルまで太繊度化しても通常レベルのソフト性が保持される。また、通常の単繊維繊度が1.5〜3.5dtexの範囲内においては、これまでのパイル布帛を遙かに凌ぐソフト性を有した布帛が得られる。更に繊維長は30〜100mmであればよい。
【0042】短繊維の断面形状は、特に限定されず、丸、三角、四角〜八葉などの多葉断面、Y、H、扁平型などの異形断面、多葉扁平断面などいずれの断面形状も用いることができ特に限定されない。その中でも特に丸断面であることが好ましい。
【0043】通常、パイル布帛はソフト性向上を目的として、扁平断面とすることが多い。
【0044】しかし、単に扁平化するだけでは反射光が増加し白っぽい光がギラついて見える、いわゆる「イヤビカリ」が発生する。「イヤビカリ」を抑制するため、扁平の表面を異形化させたり、粒子を多量添加する方法が検討されてきた。
【0045】しかしながら、扁平異形断面を得るためには用いる口金が高価であり、更に使用年数により口金吐出形状にダレが生じ、所期の異形度を保持できなくなるといったトラブルが生じる。粒子を多量に添加すると、紡糸・延伸時にガイドでの擦過が生じ糸切れトラブルが多発する傾向にある。
【0046】一方、本発明の短繊維を用いた場合、扁平もしくは扁平異形断面とすれば従来のパイル布帛を超える高レベルのソフト性を付与でき好適である。また、丸断面においても従来の扁平断面繊維のパイル布帛と同等レベルのソフト性が保持でき、上記のようなトラブルを回避することが可能である。
【0047】これまでも、丸断面の短繊維でパイル布帛を作製してきた経緯はあるが、それらは単繊維繊度が2.0dtex以下の細繊度化が必須であった。しかし、本発明のパイル布帛では丸断面においても2.0dtexを超える単繊維繊度で用いても十分なソフト性を保持することができる。
【0048】本発明のパイル布帛は、カーペット・カーテンなどの室内インテリア用途をはじめ、乗用車、トラック、バス、鉄道、船舶、航空機等の輸送用車両・室内等の内装に用いる部材の少なくとも一部に効果的に用いることができ、特に、カーシート表皮材、ドア内装材等に好ましく用いられるものである。
【0049】
【実施例】なお、本発明で定義する各特性値は、以下の方法で求めた。
(1)固有粘度[η]:オルソクロロフェノールを溶媒として用い、25℃で測定した溶液粘度から求めた。
(2)カード通過性の評価:室内温度30℃、相対湿度60%とし、カード機に2g/m〜10g/mの原綿を投入しつつ、ローラー通過時のシリンダーローラーの巻き付き、ネップの発生を観察し、以下のように評価した。
【0050】
◎:非常に良好、 ○:良好、 △:やや悪い、 ×:非常に悪い(3)ソフト性:10人のパネラーが手で押したときの風合い(ソフト性)をランクづけで、非常に良好(10点)、良好(8点)、普通(5点)、不良(0点)として評価し、その平均点が8点を越える場合をクッション材の風合いとして非常に良好◎とし、7点以上8点以下を良好○、4点以上〜7点未満を普通△、4点未満を不良×として評価した。
(4)耐光堅牢度:JASO(日本自動車技術会)M346−93規定のキセノンウェザーメーター(SC750−WAP(スガ試験器(株)社製))を用い、厚み10mm、比重0.02±0.005のウレタンフォーム裏打ちを行い、以下の(A)+(B)の処理を1サイクルとし、38サイクルの光照射をした後、JIS L0804規定の変褪色用グレースケールで等級を判定し、3級以上を合格とした。
(A)放射照度150W/m2 、ブラックパネル73℃、湿度50%RH、3.8時間照射。
(B)放射照度0W/m2 、ブラックパネル38℃、湿度95%RH、1時間照射。
実施例1固有粘度[η]が0.89のPPTを用い、通常の紡糸機により紡糸温度260℃で扁平断面形状の紡糸口金を用いて、1500m/minの速度で紡糸を行った。この未延伸糸を液浴で延伸後、押し込み方式による機械けん縮を付与、切断し、単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mm、扁平度2.0、捲縮度15%の扁平断面形状を有する短繊維を得た。該短繊維を紡績糸とした後、ダブルラッセル編し、カットした後、分散染料で染色し、車両内装用パイル布帛を得た。
【0051】得られた短繊維のカード通過性および車両用パイル布帛のソフト性評価、耐光堅牢度結果を表1に示した。
【0052】得られたパイル布帛は、ソフト性に非常に優れておりこれまでにないレベルを有していた。さらに耐光堅牢度も問題ないレベルであった。
実施例2固有粘度[η]が0.89のPPTと固有粘度[η]が0.65のPETを90/10の重量比率で溶融混合したポリマ流を通常の紡糸機により紡糸温度290℃で扁平断面形状の紡糸口金を用いて、1500m/minの速度で紡糸を行った。この未延伸糸を液浴で延伸後、押し込み方式による機械けん縮を付与、切断し、単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mm、扁平度2.0、捲縮度15%の扁平断面形状を有する短繊維を得た。該短繊維を紡績糸とした後、ダブルラッセル編し、カットした後、分散染料で染色し、車両内装用パイル布帛を得た。
【0053】得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性評価、耐光堅牢度結果を表1に示した。
【0054】得られた短繊維はカード通過性に優れていた。また、パイル布帛はソフト性に非常に優れており、耐光堅牢度も問題ないレベルであった。
実施例3〜6PPTとPETとのブレンド比率を表1のように変更した以外は実施例2の方法で紡糸、延伸、けん縮付与、カットを行い短繊維を得、車両内装用パイル布帛を作製した。得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性評価、耐光堅牢度結果を表1に示した。
【0055】得られた短繊維はカード通過性に優れており、PETのブレンド比率を増すことで、カード通過性が改善された。また、パイル布帛はソフト性に非常に優れており、耐光堅牢度も問題ないレベルであった。
比較例1固有粘度[η]が0.65のPETを用い、通常の紡糸機により紡糸温度290℃で扁平断面形状の紡糸口金を用いて、1500m/minの速度で紡糸を行った。この未延伸糸を液浴で延伸後、押し込み方式による機械けん縮を付与、切断し、単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mm、扁平度2.0、捲縮度15%の扁平断面形状を有する短繊維を得た。該短繊維を紡績糸とした後、ダブルラッセル編し、カットした後、分散染料で染色し、車両内装用パイル布帛を得た。
【0056】得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性評価、耐光堅牢度結果を表1に示した。
【0057】得られた短繊維はカード通過性に優れており、耐光堅牢度も問題ないレベルであった。しかし、パイル布帛のソフト性がやや低いレベルにあり硬く感じた。
実施例7固有粘度[η]が0.89のPPTと固有粘度[η]が0.70のPBTを90/10の重量比率で溶融混合したポリマ流を通常の紡糸機により紡糸温度260℃で扁平断面形状の紡糸口金を用いて、1500m/minの速度で紡糸を行った。この未延伸糸を液浴で延伸後、押し込み方式による機械けん縮を付与、切断し、単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mm、扁平度2.0、捲縮度15%の扁平断面形状を有する短繊維を得た。
【0058】該短繊維を紡績糸とした後、ダブルラッセル編し、カットした後、分散染料で染色し、車両内装用パイル布帛を得た。
【0059】得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性評価、耐光堅牢度の評価結果を表1に示した。
【0060】得られた短繊維はカード通過性に優れており、パイル布帛はソフト性に非常に優れており、耐光堅牢度も問題ないレベルであった。
実施例8〜11PPTとPBTとのブレンド比率を表1のように変更した以外は実施例7の方法で紡糸、延伸、けん縮付与、カットを行い短繊維を得、車両内装用パイル布帛を作製した。得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表1、2に示した。
【0061】得られた短繊維はカード通過性に優れており、PBTのブレンド比率を増すことで、カード通過性が改善されが、耐光堅牢度はやや低下する傾向にあった。また、パイル布帛はソフト性に非常に優れていた。
実施例12〜16PPTとPETのブレンド比率を50/50とし、表2のように単繊維繊度を変更した以外は実施例2の方法で紡糸、延伸、けん縮付与、カットを行い短繊維を得、車両内装用パイル布帛を作製した。得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表2に示した。
【0062】単繊維繊度が1.2dtexではカード通過性がやや劣ったが、得られたパイル布帛のソフト性は非常に優れていた。単繊維繊度が6.5dtexではソフト性がやや低下する傾向にあった。単繊維繊度が1.7〜6.0dtexでは、カード通過性およびソフト性ともに非常に優れていた。耐光堅牢度はどの範囲でも問題のないレベルであった。
実施例17〜21PPTとPBTのブレンド比率を50/50とし、単繊維繊度を表2のように変更した以外は実施例7の方法で紡糸、延伸、けん縮付与、カットを行い短繊維を得、車両内装用パイル布帛を作製した。得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表2に示した。単繊維繊度が1.2dtexではカード通過性がやや劣ったが、得られたパイル布帛のソフト性は非常に優れていた。単繊維繊度が6.5dtexではソフト性がやや低下する傾向にあった。
【0063】単繊維繊度が1.7〜6.0dtexでは、カード通過性およびソフト性ともに非常に優れていた。耐光堅牢度はどの範囲でも問題のないレベルであった。
実施例22〜25PPTとPETのブレンド比率を50/50とし、単繊維繊度を表3のように変更し、断面形状を丸断面とした以外は実施例2の方法で紡糸、延伸、けん縮付与、カットを行い短繊維を得、車両内装用パイル布帛を作製した。得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表3に示した。
【0064】いずれの範囲内においてもカード通過性およびソフト性ともに非常に優れており、耐光堅牢度もどの範囲でも問題のないレベルであった。
実施例26〜29PPTとPBTのブレンド比率を50/50とし、単繊維繊度を表3のように変更し、断面形状を丸断面とした以外は実施例7の方法で紡糸、延伸、けん縮付与、カットを行い短繊維を得、車両内装用パイル布帛を作製した。得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表3に示した。
【0065】いずれの範囲内においてもカード通過性およびソフト性ともに非常に優れており、耐光堅牢度もどの範囲でも問題のないレベルであった。
比較例2〜4PET比率を100とし、単繊維繊度を表3のように変更し、断面形状を丸断面とした以外は比較例1の方法で紡糸、延伸、けん縮付与、カットを行い短繊維を得、車両内装用パイル布帛を作製した。得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表3に示した。
【0066】カード通過性および耐光堅牢度は問題ないが、得られたパイル布帛は非常に硬く、ソフト性が感じられないレベルであった。
実施例30通常の紡糸機により、固有粘度[η]が0.89のPPTを鞘成分として用い、固有粘度[η]が0.65のPETを芯成分として用い、紡糸温度290℃で芯鞘タイプの紡糸口金を用いて、芯鞘比率50/50で吐出して1500m/minの速度で紡糸を行った。この未延伸糸を液浴で延伸後、押し込み方式による機械けん縮を付与、切断し、単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mm、捲縮度15%の丸断面形状を有する短繊維を得た。該短繊維を紡績糸とした後、ダブルラッセル編し、カットした後、分散染料で染色し、車両内装用パイル布帛を得た。
【0067】得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性評価結果を表4に示した。カード通過性およびソフト性ともに非常に優れており、耐光堅牢度も問題のないレベルであった。
実施例31通常の紡糸機により、固有粘度[η]が0.89のPPTと固有粘度[η]が0.65のPETを70/30の重量比率で溶融混合したポリマを鞘成分として用い、固有粘度[η]が0.65のPETを芯成分として用い、紡糸温度290℃で芯鞘タイプの紡糸口金を用いて、芯鞘比率50/50で吐出して1500m/minの速度で紡糸を行った。この未延伸糸を液浴で延伸後、押し込み方式による機械けん縮を付与、切断し、単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mm、捲縮度15%の丸断面形状を有する短繊維を得た。該短繊維を紡績糸とした後、ダブルラッセル編し、カットした後、分散染料で染色し、車両内装用パイル布帛を得た。
【0068】得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表4に示した。カード通過性およびソフト性ともに非常に優れており、耐光堅牢度も問題のないレベルであった。
実施例32、33PPTとPETのブレンド比率を表4のように変更した以外は実施例31の方法で紡糸、延伸、けん縮付与、カットを行い短繊維を得、車両内装用パイル布帛を作製した。得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表4に示した。いずれの範囲内においてもカード通過性およびソフト性ともに非常に優れており、耐光堅牢度もどちらの範囲でも問題のないレベルであった。
実施例34通常の紡糸機により、固有粘度[η]が0.89のPPTを鞘成分として用い、固有粘度[η]が0.70のPBTを芯成分として用い、紡糸温度260℃で芯鞘タイプの紡糸口金を用いて、芯鞘比率50/50で吐出して1500m/minの速度で紡糸を行った。
【0069】この未延伸糸を液浴で延伸後、押し込み方式による機械けん縮を付与、切断し、単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mm、捲縮度15%の丸断面形状を有する短繊維を得た。該短繊維を紡績糸とした後、ダブルラッセル編し、カットした後、分散染料で染色し、車両内装用パイル布帛を得た。
【0070】得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表4に示した。カード通過性およびソフト性ともに非常に優れており、耐光堅牢度も問題のないレベルであった。
実施例35通常の紡糸機により、固有粘度[η]が0.89のPPTと固有粘度[η]が0.65のPETを70/30の重量比率で溶融混合したポリマを鞘成分として用い、固有粘度[η]が0.70のPBTを芯成分として用い、紡糸温度290℃で芯鞘タイプの紡糸口金を用いて、芯鞘比率50/50で吐出して1500m/minの速度で紡糸を行った。この未延伸糸を液浴で延伸後、押し込み方式による機械けん縮を付与、切断し、単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mm、捲縮度15%の丸断面形状を有する短繊維を得た。該短繊維を紡績糸とした後、ダブルラッセル編し、カットした後、分散染料で染色し、車両内装用パイル布帛を得た。
【0071】得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表4に示した。カード通過性およびソフト性ともに非常に優れており、耐光堅牢度も問題のないレベルであった。
実施例36、37PPTとPETのブレンド比率を表4のように変更した以外は実施例35の方法で紡糸、延伸、けん縮付与、カットを行い短繊維を得、車両内装用パイル布帛を作製した。得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表4に示した。いずれの範囲内においてもカード通過性およびソフト性ともに非常に優れており、耐光堅牢度もどちらの範囲においても問題のないレベルであった。
実施例38通常の紡糸機により、固有粘度[η]が0.89のPPTと固有粘度[η]が0.70のPBTを90/10の重量比率で溶融混合したポリマを鞘成分として用い、固有粘度[η]が0.65のPETを芯成分として用い、紡糸温度290℃で芯鞘タイプの紡糸口金を用いて、芯鞘比率50/50で吐出して1500m/minの速度で紡糸を行った。
【0072】この未延伸糸を液浴で延伸後、押し込み方式による機械けん縮を付与、切断し、単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mm、捲縮度15%の丸断面形状を有する短繊維を得た。該短繊維を紡績糸とした後、ダブルラッセル編し、カットした後、分散染料で染色し、車両内装用パイル布帛を得た。
【0073】得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表4に示した。カード通過性およびソフト性ともに非常に優れており、耐光堅牢度も問題のないレベルであった。
実施例39〜41PPTとPBTのブレンド比率を表4、5のように変更した以外は実施例38の方法で紡糸、延伸、けん縮付与、カットを行い短繊維を得、車両内装用パイル布帛を作製した。得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表4、5に示した。いずれの範囲内においてもカード通過性およびソフト性ともに非常に優れており、耐光堅牢度もどの範囲でも問題のないレベルであった。
実施例42通常の紡糸機により、固有粘度[η]が0.89のPPTと固有粘度[η]が0.70のPBTを90/10の重量比率で溶融混合したポリマを鞘成分として用い、固有粘度[η]が0.70のPBTを芯成分として用い、紡糸温度260℃で芯鞘タイプの紡糸口金を用いて、芯鞘比率50/50で吐出して1500m/minの速度で紡糸を行った。この未延伸糸を液浴で延伸後、押し込み方式による機械けん縮を付与、切断し、単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mm、捲縮度15%の丸断面形状を有する短繊維を得た。該短繊維を紡績糸とした後、ダブルラッセル編し、カットした後、分散染料で染色し、車両内装用パイル布帛を得た。
【0074】得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表5に示した。カード通過性およびソフト性ともに非常に優れており、耐光堅牢度も問題のないレベルであった。
実施例43〜45PPTとPBTのブレンド比率を表5のように変更した以外は実施例42の方法で紡糸、延伸、けん縮付与、カットを行い短繊維を得、車両内装用パイル布帛を作製した。
【0075】得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表5に示した。いずれの範囲内においてもカード通過性およびソフト性ともに非常に優れており、耐光堅牢度もどの範囲でも問題のないレベルであった。
実施例46、47芯鞘比率を表5のように変更した以外は実施例32と同様にして紡糸、延伸、けん縮付与、カットを行い短繊維を得、車両内装用パイル布帛を作製した。得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表5に示した。いずれの範囲内においてもカード通過性およびソフト性ともに非常に優れており、耐光堅牢度もどちらの範囲でも問題のないレベルであった。
実施例48、49芯鞘比率を表5のように変更した以外は実施例36と同様にして紡糸、延伸、けん縮付与、カットを行い短繊維を得、車両内装用パイル布帛を作製した。得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表5に示した。いずれの範囲内においてもカード通過性およびソフト性ともに非常に優れており、耐光堅牢度もどちらの範囲でも問題のないレベルであった。
実施例50〜52単繊維繊度を表5、6のように変更した以外は実施例32と同様にして紡糸、延伸、けん縮付与、カットを行い短繊維を得て車両内装用パイル布帛を作製した。得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表5、6に示した。いずれの範囲内においてもカード通過性およびソフト性ともに非常に優れており、耐光堅牢度もどちらの範囲でも問題のないレベルであった。
実施例53〜55単繊維繊度を表6のように変更した以外は実施例36と同様にして紡糸、延伸、けん縮付与、カットを行い短繊維を得、車両内装用パイル布帛を作製した。得られた短繊維のカード通過性および車両内装用パイル布帛のソフト性の評価結果を表6に示した。いずれの範囲内においてもカード通過性およびソフト性ともに非常に優れており、耐光堅牢度もどちらの範囲でも問題のないレベルであった。
【0076】以上の結果から、本発明で規定する短繊維を用いた車両内装用パイル布帛は、ソフト性、耐光堅牢度ともに優れていることがわかる。
【0077】一方、本発明で特定した以外の短繊維を用いた車両内装用パイル布帛はソフト性、耐光堅牢度の双方を満足できていないことがわかる。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【0082】
【表5】

【0083】
【表6】

【0084】
【発明の効果】本発明によれば、ソフト性向上とカード通過性、更に発色性、耐光性に優れたパイル布帛を提供できる。特に車両用パイル布帛として用いることが好ましい。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号
【出願日】 平成13年8月24日(2001.8.24)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−64562(P2003−64562A)
【公開日】 平成15年3月5日(2003.3.5)
【出願番号】 特願2001−254353(P2001−254353)