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【発明の名称】 立毛製品及びその製造方法
【発明者】 【氏名】坂田 一浩
【住所又は居所】山口県防府市鐘紡町4番1号 カネボウ合繊株式会社内

【氏名】岩渕 俊行
【住所又は居所】山口県防府市鐘紡町4番1号 カネボウ合繊株式会社内

【要約】 【課題】カチオン染料で染色したアクリル系短繊維を用い、乾熱ポリシャー工程を施してパイルに加工の製造方法により、優れた風合いの立毛製品を得ること。

【解決手段】スルホン酸基含有モノマーを0.5〜5重量%含有するアクリル系ポリマーを原料とし、湿式紡糸後95℃未満の温浴にてカチオン染料で染色したアクリル系短繊維のヤング率がRW綿のヤング率と沸水収縮率が=0.7〜1.50の範囲内を用い、乾熱ポリシャー工程を施してパイルに加工した立毛製品及びその製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 スルホン酸基含有モノマーを0.5〜5重量%含有するアクリル系ポリマーを原料とし、95℃未満の温浴にてカチオン染料で染色したアクリル系短繊維のヤング率比と沸水収縮率比が下記の式で表される染め綿を用い、乾熱ポリシャー工程を施してパイルに加工した立毛製品。
染色綿のヤング率/RW綿のヤング率=0.7〜1.50染色綿の沸水収縮率/RW綿の沸水収縮率=0.7〜1.50RW綿:未染色のアクリル系短繊維【請求項2】 スルホン酸基含有モノマーを0.5〜5重量%含有するアクリル系ポリマーを原料とし、湿式紡糸後95℃未満の温浴にてカチオン染料で染色したアクリル系短繊維のヤング率がRW綿のヤング率=0.7〜1.50の範囲内と沸水収縮率がRW綿の沸水収縮率=0.7〜1.50の範囲内を用い、乾熱ポリシャー工程を施してパイルに加工する立毛製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カチオン染料を使い、特定の染色温度で染色されたアクリル系短繊維を乾熱ポリシャーのパイル加工を施す立毛製品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インテリア、衣料、玩具、フェイクファに最適なアクリル系短繊維は発色性、染着性に優れたカチオン染料で容易、安価に染色可能な合成繊維として広く使用されている。その染色方法は沸騰浴中でカチオン染料を吸着させる方法や、湿式紡糸法において紡糸口金から押し出した直後にカチオン染料水溶液に浸して染料を吸着させるいわゆる原着加工法があり、これらの染色綿や原着綿を使い、乾熱ポリシャー工程を施してパイルに加工した立毛製品がある。
【0003】インテリア、衣料、玩具、フェイクファに適した風合いの最終目標は当然、天然の獣毛風合いであり、真っ直ぐ伸びた刺毛綿、ソフトでしっとりとした風合いと製品の嵩高・腰感である。しかし、この沸騰浴中でカチオン染料をアクリル系短繊維に吸着させる方法は原着加工法に較べ小ロット多品種の染色に適しているが、沸騰染色時の熱負荷により繊維が収縮し、染色綿の風合いが硬化する。又、染色時に紡績風合い油剤が脱落する為、風合いが劣化し、満足する製品風合いは得られていない。
【0004】天然の獣毛はクリンプが少なく絡み、解舒がスムースである。しかし、合成繊維は太さが均一で、紡績用の機械クリンプがあり、仮にクリンプを伸ばさなければ刺毛綿と綿毛が絡み、解舒が不能となり、風合いはざらついて極端に悪く、そして、梱包時などに寝たり、倒れたパイルの回復性不良、折りたたみしわ、塵の付着などの問題が発生する。これらの問題を解消し、より天然の獣毛に似せるには繊維の機械クリンプを乾熱ポリッシャーで一定方向に真っ直ぐ伸ばす必要がある。
【0005】沸騰染色時の熱負荷により繊維収縮が発生、染色綿の風合いが硬化する。熱負荷によりセットされた機械クリンプを乾熱ポリシャーで真っ直ぐ伸ばすには、従来は170〜180℃以上の加工条件が必要であった。そして、染色時に紡績風合い油剤が脱落する為アクリル系短繊維の制電効果が劣化し、静電気の頻発によりカット屑・フライが付着し、仕上げシャーリングは非常に困難で当然作業環境は悪化、レサイプ違いの反物毎の機械停止・掃除・昇温稼動などの切り替え頻度が増加するなどの問題があった。
【0006】一方、原着加工法では、カチオン染料を紡糸直後のアクリル系短繊維の繊維構造が柔軟なうちに、繊維内部へ染料を押し込むため染色速度が格段に高く、大量生産向きの利点があるものの、特別の装置、工程、管理が必要であり、小ロット多品種の染色には不向きという欠点がある。
【0007】低温度で染色の例として特公昭49−38945号公報はハロゲン化脂肪族炭化水素化合物を溶解し、これにカチオン染料を溶解し80℃以下の温度でアクリル系合成繊維を染色する方法が提案されているが、カチオン染料の染着斑大、ハロゲン化脂肪族炭化水素化合物の排水への悪影響、紡績工程での静電気発生の多発、カード通過性の悪化、各種ローラーへの巻付き多発など本生産レベルの加工性を得るには困難である。
【0008】獣毛調アクリル系合成繊維の製造方法の例として特開平7−238423号公報には湿式紡糸して延伸、水洗後のゲル膨潤状態にあるアクリル系合成繊維にアミノ変性シリコンを付与乾燥する方法が提案されている。しかし、シリコン油剤では滑り、柔軟性は付与出来る反面、特に加工中、加工後、縫製時、製品での静電気が異常に発生し問題があった。そして高温の沸騰カチオン染料染色時の熱負荷により繊維収縮が発生、染色綿の風合いが硬化、さらに、原綿クリンプを伸ばす適正乾熱ポリシャー温度は170〜180℃以上必要であり、繊維が硬化し、風合いが劣化し、ドライタッチの製品風合いとなり目標の製品風合いには程遠い。
【0009】また、カチオン系柔軟剤、シリコン系油剤の付着した原綿は撥水性が強く、ハイパイル製品を加工する場合、浸透性不良によるバッキング剤の接着性に問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、上記の従来技術の問題点を解消し、優れた風合いの立毛製品を得ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的は、スルホン酸基含有モノマーを0.5〜5重量%含有するアクリル系ポリマーを原料とし、湿式紡糸後95℃未満の温浴にてカチオン染料で染色したアクリル系短繊維のヤング率がRW綿のヤング率=0.7〜1.50の範囲内と沸水収縮率がRW綿の沸水収縮率=0.7〜1.50の範囲内である染め綿を用い、乾熱ポリシャー工程を施してパイルに加工の優れた風合いの立毛製品によって達成される。そして、スルホン酸基含有モノマーを0.5〜5重量%含有するアクリル系ポリマーを原料とし、湿式紡糸後95℃未満の温浴にてカチオン染料で染色したアクリル系短繊維を用い、乾熱ポリシャー工程を施してパイルに加工することを特徴とする製造方法によって、刺毛綿は真っ直ぐ伸び、ソフトでしっとりとした天然獣毛並の風合いと嵩高・腰感を持つ製品により、課題の解消が可能となった。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に使用されるアクリル系短繊維は後述するスルホン酸基含有モノマーを0.5〜5.0重量%含むアクリル系ポリマーを原料とする。ここでいうアクリル系ポリマーとはスルホン酸基含有モノマー以外の成分としてアクリロニトリルを40重量%以上と他のビニル系モノマー60重量%以下からなるものである。ビニル系モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、或いはこれらのアルキルエステル類、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどが挙げられる。
【0013】本発明に使用するスルホン酸基含有モノマーとしてはアリルスルホン酸ソーダ、メタリルスルホン酸ソーダ、ビニルスルホン酸ソーダ、スチレンスルホン酸ソーダ、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダなどを適宜組合せたものが挙げられる。中でもメタリルスルホン酸ソーダ、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダが好ましい。
【0014】上記スルホン酸基含有モノマーはアクリル系短繊維にはアニオン座席としてカチオン染色する際に用いられる。本発明に用いるスルホン酸基含有モノマー量はアクリルポリマー中に0.5〜5.0重量%含まれる必要がある。0.5重量%より少ないと繊維の柔軟性が低下、カチオン染料による中色・濃色の発色性、染着性不良が発生し、又5.0重量%より多いと繊維の膠着、生産・操業で問題がある。
【0015】湿式紡糸は通常のアクリル系合成繊維と同様な方法で行なえば良い。数段の浴槽を通し、順次延伸、水洗、乾燥を行ないカット後、アクリル系短繊維を得る。尚、繊維断面は丸型、偏平、その他の異型等どの様な断面でもかまわないが優れた風合いの立毛製品を得るには偏平、楕円が好ましく、視覚、風合い向上には偏平率は3〜11がさらに好ましい。
【0016】本発明において、繊維中に公知の添加剤を加えることは何ら差し支えない。例えば、難燃剤、耐光剤、紫外線吸収剤、顔料、制電剤などが具体的な添加剤として挙げられる。
【0017】カチオン染料の銘柄は従来公知の物で良く、特に限定されるものではないが、例えばBASF社のBasacrylシリーズや三菱化学社のDiacrylシリーズ等が挙げられる。
【0018】カチオン染料の濃度は特に制限されるものではないが、例えば繊維重量当たり、0.1〜5.0重量%が好適に用いられる。染色促染剤は特に必要ないが、従来公知の染色促染剤を公知の技術例に沿って使用しても良い。また、染色浴比は特に制限されるものではない。
【0019】染色時のアクリル系短繊維の詰め込み密度は特に制限はないが、染め斑に成らない程度が好ましく、染色後のソーピングは従来公知の条件で良いが65〜70℃が好ましい。
【0020】本発明では、カチオン染料を使った染色温度は一般の染色温度より低い、95℃未満の温浴で染色する必要がある。95℃以上の温度で染色すると熱負荷により繊維収縮が発生、ヤング率が増大、風合いが硬化し、熱負荷によりセットされた機械クリンプを乾熱ポリッシャーで真っ直ぐ伸ばすには高熱の加工条件が必要である為、製品の風合いを損なう。乾熱ポリシャー工程を施してパイルに加工後、優れた風合いの立毛製品を得るには、80〜90℃がさらに好ましい。一般にアクリル系短繊維の染着は染色温度が80℃付近から急激に開始・増大し、80℃未満ではほとんど染着は起こらない。
【0021】本発明に使用されるカチオン染料で染色したアクリル系短繊維染め綿のヤング率はRW綿のヤング率=0.7〜1.50の範囲内と沸水収縮率はRW綿の沸水収縮率=0.7〜1.50の範囲内である必要があり、さらにヤング率=0.8〜1.30の範囲内と沸水収縮率=0.8〜1.20の範囲内がより好ましい。ヤング率が0.7未満は腰ボリュームが不足し、1.50を超えると繊維が硬化、クリンプの伸びが低下、商品風合いが劣る。沸水収縮率が0.7未満はカチオン染料で染色時にアクリル系短繊維のクリンプがセットされるので、乾熱ポリシャー処理後の製品クリンプは伸びず、風合いは悪い。1.50を超えると腰ボリューム不足の商品風合いとなる。
【0022】染色時間は、従来公知の条件で良いが、例えば20分〜70分程度が好ましい。
【0023】染色後のアクリル系短繊維に添加する紡績風合い油剤は特に制限はないが、次工程で静電気発生などの障害がない油剤を選定使用する。
【0024】尚、本願発明においては、アクリル系短繊維に少量の他の繊維を混合して立毛製品とする事も出来る。
【0025】乾熱ポリシャー工程は一般のアクリル系短繊維に使われる従来公知の器具を用いれば良いが、工程温度条件は従来条件より低い170℃未満が良く、150〜160℃が好ましく、優れた風合いの立毛製品を得るには、150℃程度がさらに好ましい。
【0026】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。尚、実施例中「%」とあるのは「重量%」を意味する。
【0027】実施例1〜3、比較例1〜2アクリロニトリル(AN)/塩化ビニリデン(VDC)/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ(SAM)=(58−X)/42/Xからなる表1に示すアクリル系共重合体を重合体濃度27%になる様にジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した紡糸原液を0.055mmφ×8,000ホールの口金を通してDMF/水=58/42%、20℃の凝固浴に湿式紡糸し、水洗、油剤添加、乾燥後クリンプ、カットして8dtex×51mmのアクリル系短繊維を得た。そして、このアクリル系短繊維をBascryl BLACKX−BLN Ligの黒染料を2%又は5%添加し、オーバーマーイヤー綿染色機を使い、90℃×40分の染色を実施した。
【0028】これらの染色綿に紡績風合い油剤と制電油剤を合わせて1.0%添加後、ローラーカードを使い、14g/mのスライバーを作り、14Gのスライバーニット機で製編し、毛抜け防止の目的でその裏面に糊剤を塗布乾燥した。このあとブラッシングを2回、そして、乾熱ポリシャーを6回、シャーリングを2回実施した。この得られた立毛製品のパイル長は23mmで目付け624g/m2であった。
【0029】上記実施例1〜3及び比較例1〜2について下記に示す方法で評価した。その結果を表1に示す。
【0030】■生産・操業時の単糸切れ・巻付き生産・操業時に単糸切れ、ローラーへの巻付きがあるのは不合格(×)とした。
■繊維の膠着度5名で肉眼判定を行い、合否を判定し、5名とも繊維の膠着がなく、分繊性が良好と判断した場合を合格(○)とし、それ以外は不合格(×)とした。
■色相の達成度5名で肉眼判定を行い、合否を判定し、5名とも色相の達成度が良好と判断した場合を合格(○)とし、それ以外は不合格(×)とした。
【0031】
【表1】

【0032】実施例4〜6、比較例3〜5AN/VDC/SAM+メタリルスルホン酸ソーダ(SMAS)=56/42/2からなるアクリル系共重合体を重合体濃度26%になる様にジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した紡糸原液を0.451mm×0.038mm、4,800ホールの偏平型口金を通してDMF/水=58/42%、20℃の凝固浴に湿式紡糸し、水洗、油剤添加、乾燥後クリンプ、カットして11dtex×51mmのアクリル系短繊維を得た。そして、このアクリル系短繊維をBascryl BLACK X−BLN Ligの黒染料を3%添加し、オーバーマーイヤー綿染色機を使い、90℃×40分と100℃×40分の染色を実施しこれらの染色綿のヤング率と沸水収縮率を測定した。
【0033】これらの染色綿に紡績風合い油剤と制電油剤を合わせて1.0%添加後、ローラーカードを使い、15g/mのスライバーを作り、14Gのスライバーニット機で製編し、毛抜け防止の目的でその裏面に糊剤を塗布乾燥した。このあとブラッシングを2回、そして、最初が150℃の乾熱ポリシャーを6回、シャーリングを2回実施した。この得られた立毛製品のパイル長は25mmで目付け655g/m2であった。
【0034】実施例4〜690℃×40分染色綿のヤング率と沸水収縮率はRW綿(染色前)と対比し、0.7〜1.50にあり、乾熱ポリシャー処理後の製品はクリンプが伸びており、風合いはソフト感に優れた立毛製品であった。
【0035】比較例3〜5100℃×40分染色綿のヤング率と沸水収縮率はRW綿(染色前)と対比し、ヤング率と沸水収縮率共に、又は何れかが0.7〜1.50を外れており総合評価は不良であった。
【0036】次に、上記実施例4〜6及び比較例3〜5で得られた立毛製品について、クリンプの伸び状態とソフト風合いについて以下に示す方法で評価しその結果を表2に示す。
【0037】■RW綿との沸水収縮率の比JIS L1015の7.15の(1)熱水収縮率に準じて沸水収縮率を測定し、その比を算出した。
※RW綿との沸水収縮率の比=染め綿の沸水収縮率/RW綿の沸水収縮率沸水収縮率(%)=L−L*/L×100L=処理前の初荷重をかけた時のつかみ間の距離(mm)
L*=処理後の初荷重をかけた時のつかみ間の距離(mm)
【0038】■RW綿とのヤング率の比JIS L1015の7.11の初期引張抵抗度からヤング率を算出し、RW綿との比を計算表示した。
※RW綿とのヤング率の比=染め綿のヤング率/RW綿のヤング率【0039】■クリンプの伸び10名で肉眼判定を行い、合否を判定し、10名ともクリンプの伸び状態が良好と判断した場合を合格(○)とし、それ以外は不合格(×)とした。
【0040】■製品のソフト風合い5名で官能評価を行い、合否を判定し、5名ともソフト感が良好と判断した場合を合格(○)とし、それ以外は不合格(×)とした。
【0041】■更に以上■〜■の総合評価として、いずれの評価においても合格したものを合格(○)とし、それ以外を不合格として表2に示した。
【0042】
【表2】

【0043】実施例7〜12、比較例6〜12AN/アクリル酸メチル(MA)/SAM=89.9/7.6/2.5からなるアクリル系共重合体を重合体濃度25%になる様にDMFに溶解した紡糸原液を作成した。この紡糸原液に酸化チタンをDMF分散液状で1.0重量%添加し、0.451mm×0.038mm、4,800ホールの扁平型口金を通してDMF/水=58/42%、20℃の凝固浴に湿式紡糸し、水洗、油剤添加、乾燥後クリンプ、カットして17dtex×51mmのアクリル系短繊維を得た。そして、このアクリル系短繊維をBascryl BLACK X−BLN Ligの黒染料を2%添加し、オーバーマーイヤー綿染色機を使い、80℃×40分、90℃×40分、95℃×40分、100℃×40分の染色を実施した。これらの染色綿に紡績風合い油剤と制電油剤を約1.0%添加後、ローラーカードを使い、13g/mのスライバーを作り、8Gのスライバーニット機で製編し、毛抜け防止の目的でその裏面に糊剤を塗布乾燥した。このあとブラッシングを2回、そして、実施例、比較例の温度の乾熱ポリシャーを6回、シャーリングを2回実施した。この得られた立毛製品のパイル長は25mmで目付け689g/m2であった。
【0044】実施例7〜980℃×40分の染め綿を使い、150℃、160℃、170℃の乾熱ポリシャー処理を行ったがいずれの製品もクリンプは伸びて、風合いはソフトでしっとり感が強く、そして、ボリュームがあり嵩高で、腰感も優れた立毛製品を得た。
【0045】実施例10〜1290℃×40分の染め綿を使い、150℃、160℃、170℃の乾熱ポリシャー処理を行い、いずれも製品はクリンプが伸び、ソフトでしっとりの風合いがあり、嵩高で、腰感も優れた立毛製品であった。
【0046】比較例7〜995℃×40分の染め綿を使い、同様に乾熱ポリシャー処理を実施した。170℃の製品のクリンプは伸びてはいるが商品風合いのソフト、しっとりの風合いには今一歩不足の立毛製品であった。そして、150℃、160℃の乾熱ポリシャーではクリンプは伸びずに風合いも不良であつた。
【0047】比較例10〜12100℃×40分の染め綿を使い、同様に乾熱ポリシャー処理を実施した。170℃の製品のクリンプは伸びたが、乾熱ポリシャー温度が高いために、商品風合いは硬く、不満足な立毛製品であった。そして、150℃、160℃の乾熱ポリシャーではクリンプは伸びずに不良であつた。
【0048】次に、上記実施例7〜12及び比較例6〜12で得られた立毛製品について、クリンプの伸び状態と風合いについて、ソフト感、しっとり感、嵩高・腰感を以下に示す方法で評価しその結果を表3に示す。
【0049】■クリンプの伸び状態10名で肉眼判定を行い、合否を判定し、10名ともクリンプの伸び状態が良好と判断した場合を合格(○)とし、それ以外は不合格(×)とした。
【0050】■ソフト感5名で官能評価を行い、合否を判定し、5名ともソフト感が良好と判断した場合を合格(○)とし、それ以外は不合格(×)とした。
【0051】■しっとり感5名で官能評価を行い、合否を判定し、5名ともしっとり感が良好と判断した場合を合格(○)とし、それ以外は不合格(×)とした。
【0052】■嵩高・腰感5名で官能評価を行い、合否を判定し、5名とも嵩高・腰感が良好と判断した場合を合格(○)とし、それ以外は不合格(×)とした。
【0053】■更に以上■〜■の総合評価として、いずれの評価においても合格したものを合格(○)とし、それ以外を不合格として表3に示した。
【0054】
【表3】

【0055】表1から判る通り、実施例1〜3のアクリル系短繊維は綿染め後の目標色相が得られ、表2の実施例4〜6にある染色綿のヤング率と沸水収縮率がRW綿(染色前)の0.7〜1.50範囲内にある染め綿を使った乾熱ポリシャー処理後の製品はクリンプが良く伸びて、風合いはソフト感に優れた立毛製品であった。そして、表3に示す様に、実施例7〜12のアクリル系短繊維をつかった製品として最適であった。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、クリンプは良く伸び、商品風合いはソフトでしっとり感が強く、そして、ボリュームがあり嵩高で、腰感も優れた立毛製品を提供することが出来る。
【出願人】 【識別番号】000000952
【氏名又は名称】カネボウ株式会社
【住所又は居所】東京都墨田区墨田五丁目17番4号
【識別番号】596154239
【氏名又は名称】カネボウ合繊株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区梅田一丁目2番2号
【出願日】 平成13年8月23日(2001.8.23)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−64560(P2003−64560A)
【公開日】 平成15年3月5日(2003.3.5)
【出願番号】 特願2001−252455(P2001−252455)