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【発明の名称】 パイル編物
【発明者】 【氏名】辻本 泰久
【住所又は居所】和歌山県伊都郡高野口町大野436 中野メリヤス工業株式会社内

【要約】 【課題】従来よりもパイルを長くし、かつ編地からパイルが抜けにくい製品を提供する。

【解決手段】丸編み機によって編成した天竺パイル編物であって、編地における編成方向に並ぶ複数ウエールを一群とし、編地に編み込まれたパイル糸の一方端が前記一群のウエールの一方最外側から延出するとともに、他方端は前記一群のウエールの他方最外側から延出し、前記パイル糸の中間部によって前記一方端と他方端が繋がっている。パイル糸は編み込み後に起毛させた。また、一群のウエールは、少なくとも4個以上のウエールである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】丸編み機によって編成した天竺パイル編物であって、編地における編成方向に並ぶ複数ウエールを一群とし、編地に編み込まれたパイル糸の一方端が前記一群のウエールの一方最外側から延出するとともに、他方端は前記一群のウエールの他方最外側から延出し、前記パイル糸の中間部によって前記一方端と他方端が繋がっていることを特徴とするパイル編物。
【請求項2】パイル糸は編み込み後に起毛させた請求項1記載のパイル編物。
【請求項3】一群のウエールは、少なくとも4個以上のウエールである請求項1または2記載のパイル編物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は丸編み機などによって天竺パイル地を製造する際の編物地の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、人工毛皮などの起毛地を製造するには、例えば特公昭60−1420号公報に記載した技術が公知である。この技術は地組織の両面にシール糸を延出させてこれを起毛することを主たる特徴とするものであるが、基本的には地組織にパイルを植毛する技術が開示されている。
【0003】ところで、従来から編地に天竺を用いてこれに対してパイル糸を延出する場合には丸編み機で編んだ編地に対して適宜パイル糸を地編に編み入れたり挿入編をするようなポイント針によるパイル編がある。さらに、カットナイフによるパイル編として、ナイフをポイント先に設けたものをとりつけ、後方針床が編成を終わって沈むときにナイフでパイルを切断する方法、さらには丸編み機の両釜で別個の編地を製造し、その両編地の地組織をつなぐためにパイル糸を用い、両編地間に設けたカットナイフでパイル糸を切断して2枚のパイル編地を取得する方法などがある。
【0004】上述した従来の例においてたとえばカットナイフを用いるパイル編では、編地に対してシリンダ針が突出して編地の一目にパイル糸を編み込み、針に設けられているカットナイフでパイル糸を切断して編地に対してパイル糸を編み込むものである。図4はこの従来の例を示したものでこのように編み込むと編地の一目に対してパイル糸が松葉状に編みこまれるために、製品になってからでもパイルが抜けやすいという問題がある。特にパイル糸を起毛させる場合にはパイル糸が抜ける方向に引っ掻くので、起毛段階でパイルが抜けてしまうことがある。これを防止するために天竺(編地)裏面に樹脂を塗布しパイルが抜けないように加工することが一般であるが樹脂の塗布によって編地が硬くなりドレープ性が劣ってしまうという問題がある。
【0005】また、丸編み機の場合には釜のシリンダ周囲にシリンダ針が並んでおり、このシリンダ針を高速で上下させながら編地にパイルを引っ掛けるがパイルの長さはシリンダ針の上下する速度に制約されることになる。即ち、量産性を向上するために編成速度を上げようとすればシリンダ針の上下動する速度、言い換えると往復動の距離が制限されてしまうので、編地に対してパイル長さはせいぜい20mm程度にしかできない。反対にパイル長さを長くしようとすれば編成速度を落とさなければならないので量産性に劣ってしまうという問題がある。また、パイル長さが現状のように短ければ、これを起毛した場合でも起毛密度を高くしなければならないので全体としてパイル地が重くなってしまい、軽い風合いの編地を製造することができない。したがって、量産によって毛足の長い人工毛皮を得ることは従来の技術では困難であった。
【0006】本発明は、上述した従来の課題を解決することを目的とするもので従来よりもパイルを長くし、かつ編地からパイルが抜けにくい製品を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では上記目的を達成するために丸編み機によって編成した天竺パイル編物であって、編地における編成方向に並ぶ複数ウエールを一群とし、編地に編み込まれたパイル糸の一方端が前記一群のウエールの一方最外側から延出するとともに、他方端は前記一群のウエールの他方最外側から延出し、前記パイル糸の中間部によって前記一方端と他方端が繋がっている構成のパイル編を得た。この編物では、シリンダ針を上下方向に移動させる場合に、次順のシリンダ針の作動まで従来よりも余裕があるので上下動のストロークを大きく設定することができる。したがって、パイル長さを従来よりも相当長くすることができる。また、両端が編地から延出したパイル糸の中間部は一群のウエールを飛ばした状態で編地に支承されており、1本のパイル糸は2箇所で編み込まれることになり、従来のように一目に編み込まれるパイル糸と比較するとパイルはより脱落しにくくなり、編地裏側に塗布する樹脂量を削減することができる。
【0008】さらに、パイル糸は編み込み後に起毛させるという手段によって、毛足が長く、かつパイル糸の植毛密度を少なくしても風合いに優れた人工毛皮が完成する。さらに、一群のウエールを少なくとも4個以上のウエールで構成することによって、従来と比較して大幅に密度を減らすことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明の好ましい実施形態を、添付した図面に従って説明する。図1は本発明のパイル編物の一例を示した編組織図であって、1は丸編み機で編成した天竺編みの地編であり、横編みによって上下方向にコース2a、2b〜2nが整列している。3はコースごとに見て横方向に5個のウエールを一群とした単位である。そして、4は一群のウエール3a〜3eに対して設けられたパイル糸であり、最初のウエール3aに編み込まれてその外側に一端4aが、また最終のウエール3eにも編み込まれて、その外側に他端4bが延出している。パイル糸4の中間部4cは、中間部のウエール3b〜3dを編成するときにシリンダ針はウエール3aおよび3eの場合と同様に一端地編組織に入りこむがパイルを引っ掛けることなく復帰するようにしている。したがって、この部分については地編に絡むことなくフリーの状態である。このようにパイル糸を地編に編み込むことによって、1本のパイル糸4は2箇所で編み込まれて抵抗が大きくなり、引っ張りが生じても容易に抜け落ちることはない。本実施形態では、一群のウエールは5個を一単位としたが、これに限定されることはなく、より少なくあるいはより多くを一単位とすることもある。ただし、2個、あるいは3個を一単位とすれば植毛密度は高くなるので好ましくは4個以上のウエールを一単位とする。
【0010】本実施形態のパイル編物を編成するには、図2に示したように丸編み機で地編を編みながら、多数並んだダイヤル針11にパイル糸12を設置しておき、これに対して釜のシリンダ周囲に設けられたシリンダ針13を上下することによってダイヤル針11に架橋されているパイル糸12を引っ掛け下ろし、同時にシリンダ針13に予め設けられているカットナイフ13aにローラ(図示せず)を押し付けることによってパイル糸を切断する。図2ではシリンダ針13は多数並列に設けられているがこのうちA、C、Eがパイル糸を引っ掛ける動作を行うもので、BおよびDはいったんダイヤル針の方向に上昇するものの、パイル糸を下まで引っ掛け下ろすことなく復帰するようにしている。また、a〜dのシリンダ針は予めカムの設定によって動作しないようにしている。この動作によって図2の実施形態では3個のウエールを飛ばしてパイル糸を引っ掛け、切断する。このようにすると、針は頻繁に往復動を繰り返すのではなく、ダイヤル針11の方向に動いたのちに十分な時間的余裕をもって復帰方向に戻ることができるので、ストロークを長く設定することができ、その結果、パイルを長くすることができる。また、針の動作は従来と比較して緩やかになるので針折れなどの事故も制限することができる。
【0011】図3には、一群のウエールのうちのパイル糸12が編み込まれた両端のウエール2の組織図を拡大して示す。
【0012】本実施形態によれば、たとえばウエールの一群単位を5個とした場合シリンダ針をカムによって動作させた場合には従来よりも相当長い40mm程度のパイル糸の延出を可能とした。したがって、本発明のパイル編物は毛足の長いパイル編物となる。
【0013】上述のようにして得られたパイル編物は、続いて公知の起毛機あるいは起毛手段によってパイル糸を起毛させる。パイル糸は編地に対して両端のウエールに対して編み込まれ、中間部によってこれらが連結されているので、起毛時にパイルを引っ掻いた場合でもパイル糸の抜け落ちは少ない。また、パイル糸の植毛密度が低い割にそれぞれのパイル糸長が長いので起毛後は軽くて風合いがよい人工毛皮になる。なお、本実施形態ではパイル糸は起毛機によって起毛することが可能な糸を用いることを前提として説明しているが起毛糸だけではなく、適宜間隔ごとにモノフィラメントや起毛しない糸を混在させることは自由でありパイル編物の用途によって選択できる範囲であることはいうまでもない。
【0014】
【発明の効果】本発明ではパイル編物の組成を上述したように編地における編成方向に並ぶ複数ウエールを一群とし、編地に編み込まれたパイル糸の一方端が前記一群のウエールの一方最外側から延出するとともに、他方端は前記一群のウエールの他方最外側から延出し、前記パイル糸の中間部によって前記一方端と他方端が繋がっているので、パイル糸が抜けにくい構成とすることができた。また、丸編み機を用いて本発明品を製造する場合においてシリンダ針の動作は従来と比べて少なくて済み、中間部のウエールに対してシリンダ針を編み込むことはないので十分な時間的余裕を持って針を動作させることができる結果、シリンダ針をストロークの長い動きとすることが可能となる。したがって、長いパイルを編みこむことができ、毛足の長いパイル編物を提供することが可能となった。
【0015】さらに、パイル糸が抜けにくい構成とすることによって、従来必須であった裏面に対する樹脂の裏打ちを省略したり、樹脂の塗布量を減らすことができるので柔らかいドレープ性に富む編物、あるいは人工毛皮とすることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】399100639
【氏名又は名称】中野メリヤス工業株式会社
【住所又は居所】和歌山県伊都郡高野口町大野436
【出願日】 平成13年8月22日(2001.8.22)
【代理人】 【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
【公開番号】 特開2003−64559(P2003−64559A)
【公開日】 平成15年3月5日(2003.3.5)
【出願番号】 特願2001−251840(P2001−251840)