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【発明の名称】 バーチカルブラインド用スラットの製法
【発明者】 【氏名】岩田 嘉男
【住所又は居所】京都市左京区静市市原町265番地 株式会社川島織物内

【氏名】岡田 義男
【住所又は居所】京都市左京区静市市原町265番地 株式会社川島織物内

【要約】 【課題】複数条のスラットに分割し得るように広幅経編地を編成し、ウェール方向に並んだ編目の配列に平行に揃えて分割し、捩じれや反りのないバーチカルブラインド用の経編スラットを効率的に得る。

【解決手段】複数本のバーチカルブラインド用スラット生地11・11を長さ方向に平行に並べて同時に編成する過程において、平行に並んで隣合うスラット生地11とスラット生地11の間に連結用編糸24を配置し、連結用編糸24を隣合うスラット生地11・11に編み込み、連結用編糸24を介して隣合うスラット生地11・11を連結し、複数本のスラット生地11・11を一枚の経編地として編成し、その経編地の形状をバインダーを付与し又は加熱してセットし、その後、連結用編糸24を緊張して破断して、その一枚の経編地を複数本のスラット20に分割する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】(a) 複数条のバーチカルブラインド用スラット生地(11・11)を長さ方向に平行に並べて同時に編成する過程において、平行に並んで隣合うスラット生地(11)とスラット生地(11)の間に連結用編糸(24)を配置し、(b) その連結用編糸(24)を、その隣合うスラット生地(11)とスラット生地(11)に編み込んで各スラット生地(11)の編糸に係止させ、(c) その連結用編糸(24)を介して隣合うスラット生地(11・11)を連結し、複数条のスラット生地(11・11)を一枚の経編地として編成し、(d) その経編地の形状を、その経編地にバインダーを付与し、又は、その経編地を加熱してセットし、(e) その後、連結用編糸(24)を緊張して破断して、その一枚の経編地を複数条のスラット(20)に分割するバーチカルブラインド用スラットの製法。
【請求項2】(f) 前掲請求項1に記載の連結用編糸(24)に、その連結用編糸(24)を係止するスラット生地(11)の編糸よりも引張強度の弱い糸条を用いる前掲請求項1に記載のバーチカルブラインド用スラットの製法。
【請求項3】(g) 前掲請求項2に記載の連結用編糸24を2本以上とし、(h) その連結用編糸(24)と共に、他の編糸(21・22・23・25)を、隣合うスラット生地(11)とスラット生地(11)の間に配置し、(i) その連結用編糸(24)と他の編糸(21・22・23・25)によって、連結用編地(12)を隣合うスラット生地(11)とスラット生地(11)の間に編成し、(j) 2本以上の連結用編糸(24)を、隣合うスラット生地(11)とスラット生地(11)とに分けて編み込んで、連結用編地(12)とスラット生地(11)を連結し、(k) 連結用編地(12)を介して、隣合うスラット生地(11・11)を連結する前掲請求項2に記載のバーチカルブラインド用スラットの製法。
【請求項4】(l) 前掲請求項3に記載の連結用編糸(24)を係止するスラット生地(11)の編糸の数を、連結用編糸(24)を係止する連結用編地(12)の編糸の数よりも少なくする前掲請求項3に記載のバーチカルブラインド用スラットの製法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はバーチカルブラインドに使用される経編スラットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】スラットには、それがバーチカル(垂直)ブラインド用でもベネシアン(水平)ブラインド用でも、薄鋼板が使用されていた。しかし鋼板スラットが材質からして硬く冷たい印象を与えるので、近時は、柔軟で温和な印象を与える繊維製スラットが使用されるようになって来ている。繊維製スラットには、織物、編物、不織布の何れの布帛も使用することが出来る。
【0003】しかし、繊維製スラットでは、鋼板製スラットと異なり製造過程で加えられる張力(テンション)が潜在応力として繊維内部に蓄積され、これが使用中に顕現して繊維が伸縮し、それに起因してスラットに捩じれや反りが発生し易い。そこで、繊維製スラットの材料である布帛にバインダー樹脂を含浸させて繊維間を接合したり、布帛の表裏を樹脂皮膜で被覆して補強したり、布帛に熱可塑性合成繊維(特にポリエステル繊維)を使用して布帛を加熱セットするなど、布帛の形状を固定するセット処理がなされる。
【0004】布帛の中でも経編地は、編糸が輪奈状に折れ曲がった編目を形成しており、それに蓄積されていた潜在応力が顕現しても、それに起因する伸縮応力は四方八方に分散し、スラットの長さ方向や幅方向と言う特定方向に作用せず、織物や不織布に比して捩じれや反りが生じ難く、スラットに最適とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】スラット用経編地には、スラットの幅に合わせてテープ状に編成された小幅経編地と、裁断して複数条のスラットに分割し得るように編成された広幅経編地がある。小幅経編地では、左右の側縁が耳糸で綴じ込まれているので解れ難く、側縁の感触もよいが、小幅なるが故に広幅経編地に比して生産効率が低く、バインダーを付与し又は加熱して形状をセットするとき均一にテンションを掛け難く、そのテンションのバラツキによって、スラットとしての使用中に捩じれや反りが発生し易い。
【0006】広幅経編地は、小幅経編地に比して効率的に編成することが出来、セット時に均一にテンションを掛け易いと言う利点もある。しかし、側縁での解れを防ぐために、裁断には裁断口を裁断と同時に融着することが出来る超音波カッターが使用されており、その裁断口では繊維が融着して鋼板スラットの側縁と同様にシャープな側縁になり、その構造からして硬い印象を与える。
【0007】そして経編機上ではコース方向とウェール方向に沿って編目が揃っていても、経編機から取り外された経編地では、それがバインダーを付与し又は加熱してセットされたものであっても、編目の配列がコース方向とウェール方向に沿って真っ直ぐに揃うことは殆どなく、真っ直ぐに裁断された側縁に対して傾斜或いは彎曲したものとなり、スラットの捩じれや反りの原因となる。
【0008】
【発明の目的】そこで本発明は、複数条のスラットに分割し得るように広幅経編地を編成し、ウェール方向に並んだ編目の配列に平行に揃えて分割し、捩じれや反りのないバーチカルブラインド用の経編スラットを効率的に得ることを目的とする。本発明の他の目的は、広幅経編地を複数条に分割して得られる経編スラットの側縁を、耳糸で綴じ込まれた小幅経編地の側縁と同様に柔らかく感触よくすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a) 複数条のバーチカルブラインド用スラット生地11・11を長さ方向に平行に並べて同時に編成する過程において、平行に並んで隣合うスラット生地11とスラット生地11の間に連結用編糸24を配置し、(b) その連結用編糸24を、その隣合うスラット生地11とスラット生地11に編み込んで各スラット生地11の編糸に係止させ、(c) その連結用編糸24を介して隣合うスラット生地11・11を連結し、複数条のスラット生地11・11を一枚の経編地として編成し、(d) その経編地の形状をバインダーを付与し又は加熱してセットし、(e) その後、連結用編糸24を緊張して破断して、その一枚の経編地を複数条のスラット20に分割することを第1の特徴とする。
【0010】本発明の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、(f) 連結用編糸24に、その連結用編糸24を係止するスラット生地11の編糸よりも引張強度の弱い糸条を用いることにある。
【0011】本発明の第3の特徴は、上記第1および第2の何れかの特徴に加えて、(g)連結用編糸24を2本以上とし、(h) その連結用編糸24と共に、他の編糸21・22・23・25を、隣合うスラット生地11とスラット生地11の間に配置し、(i) その連結用編糸24と他の編糸21・22・23・25によって、連結用編地12を隣合うスラット生地11とスラット生地11の間に編成し、(j) 2本以上の連結用編糸24を、隣合うスラット生地11とスラット生地11とに分けて編み込んで、連結用編地12とスラット生地11を連結し、(k) 連結用編地12を介して、隣合うスラット生地11・11を連結することにある。
【0012】本発明の第4の特徴は、上記第13の特徴に加えて、連結用編糸24を係止するスラット生地11の編糸の数を、連結用編糸24を係止する連結用編地12の編糸の数よりも少なくすることにある。
【0013】
【発明の実施の形態】経編地は、編成後に染色し、防炎加工、消臭加工、抗菌加工、帯電防止加工等を施して所要の機能性を付与することが出来る。経編地の形状(編目や編組織の構造)のセットは、それらの後加工において付与する機能性薬剤の接着性を利用し、或いは、それらの機能性薬剤と共に付与するバインダー樹脂により、或いは又、それらの後加工に伴う加熱処理を兼ねて行うことが出来る。しかし、最後に加熱して編目や編組織の構造をセットするときは、その前にタンブラーに通すなど、経編地を解布、即ち、無緊張状態にして繊維内部に蓄積されている潜在応力を顕在化させ発散除去する前処理を施す。
【0014】編糸には、熱セットが可能な熱可塑性合成繊維、特に強度的に優れたポリエステル繊維を用いる。連結用編糸24は除去されるものであるから、その編目をセットする必要はなく、又、それを引き千切って隣合うスラット生地11とスラット生地11の間で経編地を分割させるので、そのスラット生地11を構成する編糸(以下、スラット用編糸と言う。)よりも引張強度の弱い糸条を連結用編糸24に使用する。従って、連結用編糸24には熱セット性のないレーヨン繊維を用いてもよく、スラット生地11の編糸にポリエステル繊維を用いる場合には、その編糸よりも連結用編糸24を細くすればよい。
【0015】スラット生地間11・11に配置する連結用編糸24は1本でも複数本でもよい。連結用編糸を複数本とする場合は、その異なる連結用編糸が左右に分かれ、それぞれ左右隣合う別々のスラット生地の鎖編目列13に引っ掛かって係止されるように編み込むとよい。更に好ましくは、それら複数本の連結用編地24・24が、その隣合うスラット生地11・11の間に極く細い連結用編地12を編成するようにする。そのように連結用編地12を編成すると、複数条のスラット生地11・11が連結用編糸24に連結された状態の1枚の経編地をロール状に巻き上げた状態において、連結用編地12の端末を引っ張れば、そのロール巻きされた状態で複数条のスラット生地11に分割されることになり、分割して得られるスラット20を1条づつロール巻きにする手間が省け、又、そのようにロール巻きされた経編地は嵩張らないので、狭い作業場でも分割作業を効率的に行うことが出来る。
【0016】
【具体例】図1は、筬振りが〔0022〕の第1筬に導入されてウェール方向19に一直線に続く鎖編目列13を形成する第1編糸21と、筬振りが〔0660〕の第2筬に導入されて上記鎖編目列間13・13を連結する第2編糸22と、筬振りが〔0000〕の第3筬に上記鎖編目列13の1列おきに導入されて編目を形成することなくウェール方向に一直線(平行)に続く第3編糸23と、筬振りが〔0440〕の第5筬に導入されて上記鎖編目列間13・13を連結する第5編糸25によって編成された経編地の隣合うスラット生地11とスラット生地11との連結箇所を図示する。図中、数字0〜8は、経編機のニードル間の隙間の位置であり、筬に導入された編糸を導く筬目(編糸を挿通するガイド孔)が移動して通過することが出来る筬目の通路の位置を示す。
【0017】図1に図示する経編地を編成する経編機のニードルゲージは18ウェール/インチに設定され、編成時のステッチゲージは36コース/インチに設定されている。スラット生地11のウェール数は18(ウェール)隣合うスラット生地11・11の間の連結部分12のウェール数は4ウェールに設定されている。各スラット生地11と連結部分12の間で隣合う鎖編目列13a・13bの間は、第2編糸22と第5編糸25で連結されておらず、それらの編糸22・25に代わって筬振りが〔0088〕の第4筬に導入された第4編糸である連結用編糸24で連結されている。
【0018】即ち、隣合うスラット生地11・11の間には、3本の第1編糸21に成る3条の各隣合う鎖編目列13b・13c・13dが第2編糸22と第5編糸25で連結された連結用編地12が編成されている。その連結用編地12の片端の鎖編目列13dは、それの反対側の他の片端において隣合うスラット生地11の片端の鎖編目列13aに、連結用編糸(第4編糸)24によって連結される。尚、図1に示す連結用編地12では、3条の各隣合う鎖編目列13b・13cと鎖編目列13cと13dの各間は、合計2本の第3編糸(23・23)で連結されている。
【0019】第1編糸には82.5dtex/36fのポリエステル・マルチフイラメント糸が、第2編糸には165dtex/75fのポリエステル・マルチフイラメント糸が、第3編糸と第5編糸には330dtex/96fのポリエステル・マルチフイラメント糸が、連結用編糸24(第4編糸)には22dtex/2fのポリエステル・モノフイラメント糸(11dtex×2本)が使用されている。このように連結用編糸(第4編糸)24が他の編糸21・22・23・25(特に第1編糸21)に比して細いので、連結用編地12を引っ張れば、連結用編糸24は連結用編地12とスラット生地11の間で引き千切られ、隣合うスラット生地11・11の間から連結用編地12が取り除かれる。その結果、1枚の経編地は数条のスラット生地(11・11)に分割される。
【0020】その場合、連結用編糸24は、連結用編地12の3条の鎖編目列13b・13c・13dの中の片端の鎖編目列13dと他の片端において隣合うスラット生地11の鎖編目列13dの間を連結している。即ち、連結用編糸24は、スラット生地11においては片端の1条の鎖編目列13aにだけ把持・係止されているが、連結用編地12においては両端と中間の合計3条の鎖編目列13b・13c・13dに把持・係止されている。従って、連結用編地12を引っ張って連結用編糸24に張力が作用するとき、その張力は、連結用編地側(12)では3条の鎖編目列13b・13c・13dに分散されるが、スラット生地側(11)では1条の鎖編目列13aにだけ集中することになる。このため、連結用編糸24は、その張力が集中作用するスラット生地11の鎖編目列13aとの係合箇所で破断し、連結用編地12に把持・係止された状態でスラット生地11から引き離されることになる。従って、連結用編糸24の破断屑がスラット生地11に取り残されることはない。
【0021】そしてその破断時には、スラット生地11の鎖編目列13aに連結用編糸24から張力が作用するので、その鎖編目列13aを形成しているニードルループ18が連結用編糸24に掴み出され、その結果、スラット生地11の側縁は、僅かに摘み出されたニードルループ18の凹凸によって柔らかい感触を与えるものとなる(図2)。このように、連結用編糸24が係合するスラット生地の編糸(13a)の本数を、連結用編糸24が係合する連結用編地の編糸13b・13c・13dの本数よりも少なくすると、連結用編糸24の破断屑が残らずスラット20が綺麗に仕上がる。
【0022】
【発明の効果】本発明(請求項1)によると、スラットを複数本のスラット生地の連結された一枚の広幅経編地として編成しセットするので、このセット過程でスラット生地11に均一にテンションを作用させ易く、垂直に吊り下げて使用中のスラット20の捩れや反りが抑えられる。又、広幅経編地をロール状に巻き上げてから連結用編糸を破断して数本のスラットに分割することも出来るので、スラットを1本づつロール巻きにする手間が省かれる。
【0023】本発明(請求項2)によると、連結用編糸24の破断時に、スラット20の編糸(21)が引き千切られてスラット20の側縁が解れ出るようなことはない。
【0024】本発明(請求項3)によると、細い連結用編糸24を1本づつ引っ張ることなく、連結用編地12を掴んで引っ張れば、スラット生地11に係止されている連結用編糸24が破断するので、一枚の経編地を複数条のスラット20に分割し易い。
【0025】本発明(請求項4)によると、破断した連結用編糸24の破断屑がスラット20に取り残されるようなことはなく、スラット20の側縁のニードルループ18が突き出て細かい凹凸が出来るので、手触りのよいスラット20に仕上がる。
【出願人】 【識別番号】000148151
【氏名又は名称】株式会社川島織物
【住所又は居所】京都府京都市左京区静市市原町265番地
【出願日】 平成13年7月16日(2001.7.16)
【代理人】 【識別番号】100081891
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 茂雄
【公開番号】 特開2003−27359(P2003−27359A)
【公開日】 平成15年1月29日(2003.1.29)
【出願番号】 特願2001−215314(P2001−215314)