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【発明の名称】 筒状一方向材、FRP複合材及びその製造方法
【発明者】 【氏名】南条 尚志
【住所又は居所】福島県郡山市富久山町福原字塩島1番地 株式会社ニットーボー・エフアールピー研究所内

【氏名】平山 紀夫
【住所又は居所】福島県郡山市富久山町福原字塩島1番地 株式会社ニットーボー・エフアールピー研究所内

【氏名】織田 政信
【住所又は居所】福島県郡山市富久山町福原字塩島1番地 株式会社ニットーボー・エフアールピー研究所内

【要約】 【課題】強度が高く、形状の自由度も高い筒状一方向材、FRP複合材及びその製造方法を提供する。

【解決手段】FRP複合材1は、長尺形状を有する芯材2と、この芯材2を被覆する筒状一方向材3とを備えている。この筒状一方向材3は、複数本の強化繊維束4を有し、この複数本の強化繊維束4が、1本の有機繊維5に編まれることにより筒を形成している。この複数本の強化繊維束2は筒の長手方向Aと同じ方向に配列されている。更に、筒状一方向材3には樹脂が含浸されており、芯材と一体化した状態で硬化されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数本の強化繊維束と、前記複数本の強化繊維束を編んで筒を形成する1本の有機繊維とを備え、前記複数本の強化繊維束は、前記筒の長手方向に沿って配列されていることを特徴とする筒状一方向材。
【請求項2】 芯材と、前記芯材を被覆する請求項1に記載の筒状一方向材とを備え、前記筒状一方向材に硬化樹脂が含まれていることを特徴とするFRP複合材。
【請求項3】 前記芯材は、曲率が異なる複数の領域を有する曲げ部材であることを特徴とする請求項2記載のFRP複合材。
【請求項4】 前記芯材は、長尺形状をなし、その長手方向おいて太さの異なる複数の領域を有することを特徴とする請求項2、3いずれか一項記載のFRP複合材。
【請求項5】 芯材に請求項1に記載の筒状一方向材を被覆した複合材を、金型内に設置し、前記金型内に液状樹脂を注入して前記筒状一方向材に含浸させ、前記液状樹脂を硬化させてFRP複合材を得ることを特徴とするFRP複合材の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば地下埋設タンクのようなシェル構造を補強する部材等に用いられるFRP複合材及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来このような分野に属する技術としては、特開平6−146133号公報及び特開平7−317213号公報に開示されたものが知られている。特開平6−146233号公報には、たて糸とよこ糸とが互いに上下に交差するように織込まれて形成された筒状の織物と、その織物に被覆されている筒状の芯材とが開示され、特開平7−317213号公報には、芯材に強化繊維束をらせん状に巻き締めた複合筋材が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平6−146233号公報に記載のものでは、たて糸とよこ糸とが互いに上下に交差するように織り込む構成としていることから、芯材を曲げたとき、一方の糸が他方の糸を締めつけてしまうため、芯材に自由度がなくなり、曲率変化を大きくすることができない。
【0004】また、特開平7−317213号公報に記載のものでは、強化繊維束が芯材のほぼ円周方向に巻かれているため、芯材を曲げるとその部分に強化繊維束のピッチ変化により粗と密の部分が生じ、粗の部分で強度が弱くなってしまう。例えば、芯材を円弧状に曲げると、内周部のピッチが密になる一方、外周部は粗になり、強化繊維束の密度が小さな外周部の強度が低くなってしまう。
【0005】本発明の目的は、強度が高く、形状の自由度も高い筒状一方向材、FRP複合材及びその製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の筒状一方向材は、複数本の強化繊維束と、複数本の強化繊維束を編んで筒を形成するための1本の有機繊維とを備え、複数本の強化繊維束は、筒の長手方向に沿って配列されていることを特徴とするものである。
【0007】このように複数本の強化繊維束を一本の有機繊維で編み込んで筒状一方向材としたことで、たて糸とよこ糸とが互いに上下に交差するように織り込まれている織物とは異なり、一方の糸が他方の糸を締めつけるということがないので、筒の径を自由に調整することができる。これにより、形状の自由度を高めることができ、様々な形状の芯材に被覆することが可能となる。また、強化繊維束が筒状一方向材の円周方向ではなく長手方向に配列されることで、曲率が変化する場所における外周部、内周部に筒の長手方向における粗密が生じないため、筒状一方向材を用いて成形する複合材の高強度化を図ることができる。
【0008】本発明のFRP複合材は、芯材と、芯材を被覆する上記の筒状一方向材とを備え、筒状一方向材に硬化樹脂が含まれていることを特徴とするものである。
【0009】このように、芯材を被覆するものとして上記の筒状一方向材を使用したことで、FRP複合材の高強度化を図ることができると共に、形状の自由度を高めることができる。
【0010】本発明の棒状複合材において、芯材は、曲率が異なる複数の領域を有する曲げ部材としてもよい。上記のように、本発明の筒状一方向材は自由度が高いため、このような曲げ部材に容易に被覆できると共に、その棒状複合材の強度は高く保持されている。
【0011】また、芯材は、長尺形状をなし、その長手方向において太さの異なる複数の領域を有するものとしてもよい。上記と同様に、本発明の筒状一方向材は自由度が高いため、このような形状の部材にも容易に被覆できると共に、その棒状複合材の強度は高く保持されている。
【0012】本発明のFRP複合材の製造方法は、芯材に上記の筒状一方向材を被覆した複合材を、金型内に設置し、金型内に液状樹脂を注入して筒状一方向材に含浸させ、液状樹脂を硬化させてFRP複合材を得ることを特徴とするものである。
【0013】このように金型を用い樹脂を注入して成形することで、製造に必要な設備が少なくて済み、設備投資の低減を図ることができるので、強度が高く、形状の自由度の高いFRP複合材を低コストで製造することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る筒状一方向材、FRP複合材及び製造方法の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】図1は、本実施形態による、筒状一方向材を備えたFRP複合材を示す斜視図であり、図2は、図1におけるFRP複合材のII―II方向の断面図である。これらの図に示すように、本実施形態のFRP複合材1は、円柱状の芯材2を有し、その芯材2を筒状一方向材3が被覆している。
【0016】筒状一方向材3は、複数本の強化繊維束4を有し、この各強化繊維束4が一本の有機繊維5に編み込まれることで筒が形成されている。また、強化繊維束4は筒の長手方向Aと同じ方向に配列され、各強化繊維束4の間に隙間が形成されるように有機繊維5によって編み込まれている。更に、筒状一方向材3には、樹脂6が含浸され、芯材と一体化した状態で硬化される。強化繊維束4としては、フィラメントを束ねてなるガラスロービング等が用いられる。また、有機繊維5の材質としてはポリエステル、ポリエチレン等の延伸性を有するものが挙げられる。
【0017】以上のように構成したFRP複合材1においては、強化繊維束4を筒状一方向材3の長手方向Aに配列したので、芯材2を曲げる場合や、予め曲げられた芯材に筒状一方向材を被覆する場合に、その部分の外周部と内周部とにおいて、強化繊維束4の筒の長手方向Aにおける密度差が生じないため、FRP複合材1に均一且つ高い強度を持たせることができる。また、強化繊維束4を一本の有機繊維5で編み込んだ一方向材としたことで、織物における一方の糸が他方の糸を締めつけてしまうという問題を解消できるため、FRP複合材1の形状の高自由度化が図れる。
【0018】詳細に見ると、ある強化繊維束4の間隔を広げるとその間の有機繊維5が伸び、反対にある強化繊維束4の間隔を狭めるとその間の有機繊維5が撓んだり縮んだりする。つまり、各強化繊維束4は、有機繊維5によって移動がさほど規制されておらず、被覆しようとする芯材2の形状に倣うように筒の径を自由に調整することが可能となる。
【0019】そのため、本発明の筒状一方向材3は、例えば、図3及び図4に示すような形状の芯材にも被覆させることができる。尚、各図に示すものはあくまで一例であり、この他様々な形状の芯材に対応することができる。
【0020】図3に示す例では、芯材8が複数の異なる曲率を有する曲げ部材であり、筒状一方向材3を被せたFRP複合材7には曲率がそれぞれ異なる領域7a〜7cが形成されている。本発明の筒状一方向材は自由度が高いため、この芯材8のような複雑な形状に対応して容易に被覆することができる。そのため、FRP複合材7の強度を高く保持できると共に、自由な形状とすることが可能となる。
【0021】更に図4に示す例では、芯材9が長手方向において太さの異なる複数の領域8a〜8cを有している。上記同様、本発明の筒状一方向材は、この芯材9のような形状にも対応して容易に被覆することができ、FRP複合材9の強度を高く保持すると共に、自由な形状とすることができる。
【0022】なお、本発明に係る筒状一方向材の断面形状は、図1に示すような丸形には限定されず、角形等であってもよく、筒状一方向材内に挿入される芯材の断面形状に従う。これにより、芯材には、直棒、曲棒、角棒、丸棒等の使用が可能となる。
【0023】芯材の材質としては、軟質フォーム材(発泡ポリプロピレン)等が用いられる。また、芯材に袋状の材料や、ワックス等のような後で除去できる材料等を用いることで、中空のFRP複合材を成形することが可能となる。筒状一方向材3に含浸される樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂等が用いられる。
【0024】次に、図5〜図7を参照して、本発明に係るFRP複合材の製造方法の好適な実施形態であるRTM(Resin Transfar Molding)成形法を説明する。
【0025】図5は、RTM成形法によるFRP複合材の製造方法を示すフローチャートである。
【0026】まず、ステップ10(以下、ステップを「S」とする)において、図6に示すように、強化繊維束21と有機繊維22とからなる筒状一方向材23を、芯材22に被せ、複合材25を形成する。次に、この複合材25を図7に示す金型24内の溝27に設置する(S20)。より詳しくは、下型26bの溝27に複合材25をはめ込んだ後に、上型26aをセットする。その後、金型26の上型26aに形成された、液状樹脂を注入するための注入孔28から金型内に液状樹脂を注入し(S30)、複合材25に含浸させる。そして、液状樹脂が硬化することで(S40)、FRP複合材が完成する。
【0027】このRTM成形法によるFRP複合材の製造方法によれば、RTM成形型と注入機を準備する程度でFRP複合材を得られるため、引抜成形法、フィラメントワインディング法等を利用する場合に比して、必要とする設備が少なくて済み、設備投資が削減できる。また、芯材24を被覆する強化材として筒状一方向材23を用いることにより、RTM成形法において液状樹脂を注入する際、編み糸によって、強化繊維束4同士に隙間が形成されているため、この隙間が樹脂の流路となる。このため、注入孔28から注入された樹脂が金型内の溝の端まで行き渡り易くなり、成形性が向上する。
【0028】以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では芯材2に被覆された筒状一方向材1が一層だけであるが、一層には限定されず、必要とする強度に合わせて何層被覆させてもよい。また、最外層の強化繊維束にバルキー性を持つスライバーロービングを用いれば、補強繊維束間の強度を改善することもできる。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、複数本の強化繊維束を一本の有機繊維で編み込んで筒状一方向材としたことで、形状の自由度を高めることができ、様々な形状の芯材に被覆することが可能となる。更に強化繊維束が筒状一方向材の円周方向ではなく長手方向に配列されることで、曲率が変化する場所における外周部及び内周部に、筒の長手方向における粗密が生じないため、筒状一方向材を用いて成形する複合材の高強度化を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000003975
【氏名又は名称】日東紡績株式会社
【住所又は居所】福島県福島市郷野目字東1番地
【識別番号】597082197
【氏名又は名称】株式会社ニットーボー・エフアールピー研究所
【住所又は居所】福島県郡山市富久山町福原字塩島1番地
【出願日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【代理人】 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹 (外2名)
【公開番号】 特開2003−27358(P2003−27358A)
【公開日】 平成15年1月29日(2003.1.29)
【出願番号】 特願2001−220051(P2001−220051)