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【発明の名称】 緯編地
【発明者】 【氏名】矢持 章
【住所又は居所】大阪府高槻市八丁畷町11番7号 旭化成株式会社内

【氏名】片岡 直樹
【住所又は居所】大阪府高槻市八丁畷町11番7号 旭化成株式会社内

【要約】 【課題】高温染色時や、日光照射、繰り返し洗濯等によるぜい化の問題が少なく、高ストレッチ性と共に、パワーのある伸長回復性に優れ、且つ編地面は薄く、平坦性をも兼ね添えた緯編地を提供する。

【解決手段】固有粘度差が0.05〜0.4(dl/g)である2種類のポリトリメチレンテレフタレートを互いにサイドバイサイド型に複合した単糸からなるマルチフィラメントで構成された緯編地。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 固有粘度差が0.05〜0.4(dl/g)である2種類のポリトリメチレンテレフタレートを互いにサイドバイサイド型に複合した単糸からなるマルチフィラメントで構成されることを特徴とする緯編地。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高ストレッチ性及び伸長回復性に優れ、ソフトで凹凸感が少なく風合の良好な緯編地に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、高ストレッチ性で伸長回復性に優れた丸編地に代表される緯編地として、ポリウレタン系弾性繊維を交編した丸編地や、ポリエステル系繊維の仮撚加工糸からなる丸編地が、スポーツ、アウター、インナー衣料等に広く用いられている。しかしながらポリウレタン系弾性繊維を交編した丸編地は、高いストレッチ性、伸長回復性が得られるものの、高温染色の際にはポリウレタン弾性繊維がぜい化したり、ポリエステル繊維との交編では分散染料の移行問題に注意を要するため、染色加工時の取り扱い性が煩雑となると共に、製品後の日光照射や繰り返し洗濯によりポリウレタン弾性繊維がぜい化し易いという欠点を有する。更に、編立・染色加工工程の取り扱い性の煩雑さ、及びポリウレタン弾性繊維の価格が高いことにより、コスト高になるという問題点があった。
【0003】一方、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維の仮撚加工糸からなる丸編地は、編立・染色加工工程の取り扱い性の問題点は少ないという利点はあるが、編ループ形成の構造上、緯方向は比較的高いストレッチ率のものが得られるが、経方向は高いストレッチ率が得られ難いという欠点を有していた。又伸長回復性に関しても仮撚捲縮の特性からフィット性に富む高い伸長回復性を有するものを得るにはまだ十分とは言い難い。更に仮撚加工糸特有の捲縮による嵩高性の影響から編地は肉厚になりがちで、しかもフカツキ感、凹凸感が現れ易く、ストレッチ性、風合面で十分に満足するものが得られ難いという欠点を有していた。
【0004】他方、ストレッチを発現させる繊維として、サイドバイサイド型複合糸が提案されている。例えば特開平4−308271号公報には極限粘度差を有するポリエチレンテレフタレートのサイドバイサイド複合糸が開示されている。しかしながら、この様な複合糸は、沸水処理することによって複合ポリマー間の収縮差で螺旋捲縮が顕在化する潜在捲縮発現型であるため、染色工程での熱処理時にマルチフィラメントの収縮と同時に捲縮が急激に発現することになり、捲縮斑が発生し易くなり編地の筋斑、凹凸等の品質面問題が起こり易く、更に糸自身の熱収縮も低い為、満足なストレッチ性、伸長回復性が得られ難いという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題点を改善し、高温染色時や、日光照射、繰り返し洗濯等によるぜい化の問題が少なく、高ストレッチ性と共に、パワーのある伸長回復性に優れ、且つ編地面は薄く、平坦性をも兼ね添えた緯編地を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を鋭意検討した結果、特定のポリトリメチレンテレフタレートのサイドバイサイド型複合糸を用いる事によって、該複合糸が有している高い顕在捲縮伸度、伸長回復速度、並びに高熱収縮性等の特性と共に、沸水処理以前に既に旋螺捲縮が顕在化しており、従来の沸水処理によって旋螺捲縮が顕在化するサイドバイサイド型複合糸とは明確に相違した特性から、身体運動に対し縦方向、横方向共につっぱり感無く,追従性に優れた性能と共に、ソフトで薄く、平坦性をも兼ね備えた緯編地を提供出来る事を見出し、本発明に到達した。即ち、本発明は 固有粘度差が0.05〜0.4(dl/g)である2種類のポリトリメチレンテレフタレートを互いにサイドバイサイド型に複合した単糸からなるマルチフィラメントで構成されたことを特徴とする緯編地である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明において、緯編み地とは、丸編地並びに横編地をいうが、以下の説明では、代表的な丸編地を例にして説明する。マルチフィラメントを構成するポリトリメチレンテレフタレートポリマーは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルであり、メチレンテレフタレート単位を約50モル%以上、好ましくは70%モル以上、さらには80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上のものをいう。従って第三成分として他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が、約50モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらには20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
【0008】ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で適当な反応条件下に結合せしめることにより製造される。この製造過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、又、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル、ナイロンと、ポリトリメチレンテレフタレートを別個に製造した後、ブレンドしたりしてもよい。
【0009】添加する第三成分としては、脂肪酸ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2―プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1、4−ビス(βヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω―オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキシ安息香酸等)が挙げられ、又、1個又は3個以上のエステル形成性環能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用出来る。
【0010】更に二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。本発明で用いる複合マルチフィラメントは、構成する二種類のポリトリメチレンテレフタレートの固有粘度差が0.05〜0.4(dl/g)であることが重要であり、1.15〜0.35(dl/g)であることがより好ましい。例えば高粘度側の固有粘度を0.7〜1.3(dl/g)から選択した場合には、低粘度側の固有粘度は0.5〜1.1(dl/g)から選択されるのが好ましい。固有粘度差が0.4(dl/g)を超えると、紡糸工程において紡口から吐出時の糸曲がりや紡口汚染が大きくなり、安定した製造が困難になるばかりでなく、複合マルチフィラメントの繊度変動が大きくなって強伸度斑や染色斑が起き易くなる。
【0011】また、二種のポリトリメチレンテレフタレートの固有粘度平均値は、機械的強度を維持する目的から、0.8〜1.2(dl/g)であることが好ましく、0.85〜1.15(dl/g)であることがより好ましい。なお本発明でいう固有粘度の値は、使用するポリマーではなく、紡糸されている糸の粘度を指す。この理由は、ポリトリメチレンテレフタレート特有の欠点としてポリエチレンテレフタレート等と比較して熱分解が生じ易く、高い固有粘度のポリマーを使用しても熱分解によって固有粘度が著しく低下し、複合マルチフィラメトにおいては両者の固有粘度差を大きく維持することが困難であるためである。なお、本発明での固有粘度は、後述する「(1)固有粘度」の項で定義した方法により測定したものである。
【0012】本発明で用いるポリトリメチレンテレフタレート複合マルチフィラメントの紡糸については、固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを用いてサイドバイサイド型に貼りあわせた未延伸糸を3000m/分以下の巻き取り速度でパッケージに巻き取った後、2〜3.5倍程度で延伸するいわゆる紡糸−延伸を2段階で行うことが好ましい。又、本発明の目的を損なわない範囲であれば紡糸−延伸を連続して行う直接紡糸延伸法(スピンドロー法)や、巻き取り速度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)を採用しても良い。又、複合マルチフィラメントの形態は、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、断面形状においても丸型、三角、繭型、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよく、特に限定されないが、紡糸安定性の面から丸型、三角、繭型が好ましい。
【0013】本発明で使用するポリトリメチレンテレフタレート複合マルチフィラメントの総繊度は、本発明の目的を損なわず、衣料として用いられる範囲であれば特に限定されないが、20〜500dtex、好ましくは44〜330dtexの範囲であり、単糸繊度は0.5〜10dtex、更には好ましくは1.5〜6dtex程度とするのが好ましい。単糸繊度が0.5dtexよりも小さい場合は編地の伸長回復性能が低下する傾向にあり、10dtexよりも大きい場合は編地のストレッチ性や伸長回復性には優れるものの、編地表面の平滑性が損なわれたり、風合いが硬くなる為,好ましくない。
【0014】本発明で使用するポリトリメチレンテレフタレート複合マルチフィラメントの原糸物性としては、強度が1.5cN/dtex以上であり、伸度は10%以上であることが好ましい。強度が1.5cN/dtex未満、あるいは伸度は10%未満の場合は、丸編地を編みたてる時、糸切れが発生し易く、好ましくない。又、丸編地の高いストレッチ性を得る為には、伸度は25〜50%の範囲であることがより好ましい。更に、ポリトリメチレンテレフタレート複合マルチフィラメントの糸条の形態としては、甘撚糸〜強撚糸、仮撚糸(POYの延伸仮撚糸を含む)、エアー噴射加工糸、リング、オープンエンド等の紡績糸が挙げられる。しかし、撚糸の撚数は撚係数(dtex1/2 ×m当りの撚数)として7500以下が好ましく、それ以上では、ストレッチ性が低下し、編地表面もシボが発現する場合がある。
【0015】本発明の丸編地の編組織は特に限定はされないが、通常一般に用いられる天竺、スムース,フライス、天竺かのこ、ポンチローマ、ピケなどの編組織を使用することが出来る。編密度はインチ間の針本数で8〜40本ゲージの編機を用いて製布されたものが好ましい。さらに好ましくはインチ間の針本数で12〜36本のものが好ましい。この範囲以下の場合、高いストレッチ性、高い伸長回復性が得られ難く、又、範囲以上の場合もストレッチ性が低下する。
【0016】他繊維と交編してもかまわない。この場合、ポリトリメチレンテレフタレート複合マルチフィラメントの重量交編率は高いストレッチ性、伸長回復性を得る上で、10%以上、好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上である。交編の相手素材はポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリルニトリル系、ポリビニール系、ポリプロピレン系などの合成繊維及び、綿、ウール、麻、絹等の天然繊維、キュプラ、レーヨン、アセテート、ポリノジックなどの人造セルロース繊維等を用いることが出来る。
【0017】本発明において、経緯のストレッチ率が共に60%以上あることが好ましく、又、60%伸長における仕事回復率は経方向又は緯方向の一方が50%以上であることが、更に好ましい。ここでいうストレッチ率とは、1.5kgf応力時の伸び率であり、具体的には編目に沿って5cm幅×15cm長の試料を作成し、引張り試験機につかみ間隔を10cmにセットする。つかみ間隔の長さに対して毎分300%の引張り速度で1.5kgfの荷重まで伸長し、その時に描かれる伸長−応力曲線から1.5kgf応力部の伸度(%)をいう。
【0018】又、仕事回復率(%)は上記同様、5cm幅の試料を引張り試験機につかみ間隔を10cmにセットする。つかみ間隔の長さに対して毎分300%の引張り速度で伸長し,伸度60%まで伸長した後、直ちに同じ速度で収縮させる。この時、画かれる伸長−応力曲線から次式によって算出される。仕事回復率(%)=(収縮曲線下の面積/伸長曲線下の面積)×100ストレッチ率が60%未満の場合、特に身体とのゆとり率が少ないインナー、ファンデーション、水着などの身体と密着する衣料に丸編地を使用した場合、着脱容易性や運動追従性に劣るものとなる。ゆとり率が少ない衣料では、着脱時には編地の横方向が伸長される。しかし、着用後に種々の運動を行う時点では編地の横方向への伸長は少なく、腕部、脇下部、腰部、膝部、肘部などの部位では、編地の縦方向が伸長され、その時の皮膚の最大伸びは、60%程度と言われている。従って、快適な編地の運動追従性を得るためには、経緯共に60%以上のストレッチ率を有することが好ましい。
【0019】又、仕事回復率は高いものほど、伸長に対する回復性が良好で、身体運動に対しフィット性に富む。一般的に高いストレッチ率を得る場合、編地を形成する編組織を緩める手法等である程度任意に設定できる。他方、伸長衣料の重要な要件である伸長回復性に関しては、前述の仕事回復率は高いもの程伸長における早期回復性が良好で、身体運動に対しフィット性に富む。仕事回復率の低くいものはフィット性が悪くなり、更に、着ごこち感、着映え感も低下する。丸編地は、ストレッチ率の増加に伴って編目の変形度が増すため、伸長に対する回復性が低下する傾向にあるのが一般的であり、従来の仮撚糸、サイドバイサイド型複合糸使いでは、高いストレッチ性と高い伸長回復性のものを併せ持った丸編地を得ることは出来なかった。
【0020】高いストレッチ性と、高い伸長回復性のものを併せ持った本発明の要件は、特定のポリトリメチレンテレフタレートのサイドバイサイド型複合糸を用いることによって達成される。該複合糸は、ソフトで、高い顕在捲縮伸度、伸長回復速度、並びに高熱収縮性等の特性を有しており、更に、沸水処理によって、螺旋捲縮が発現する従来のサイドバイサイド型複合糸とは明確に相違した特性、即ち、沸水処理以前に既に螺旋捲縮が顕在化している特性を有している。該複合糸を用いることにより、身体運動に対し縦方向、横方向共につっぱり感無く,追従性に優れた性能と共に、ソフトで薄く、平坦性をも兼ね備えた丸編地となる。
【0021】以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、実施例及び、比較例における各種の評価方法、丸編地の編成条件、丸編地の染色仕上げ条件は以下の方法により実施した。
(1)固有粘度固有粘度[η](dl/g)は次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/CC→0定義中のηrは純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸又はポリエチレンテレフタレート糸の希釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。尚、本発明の2種類の繊維からなるサイドバイサイド型複合マルチフィラメントは、紡糸したマルチフィラメントを構成する繊維のそれぞれの固有粘度を測定することは困難であるので、複合マルチフィラメントの紡糸条件と同じ条件で2種類の繊維をそれぞれ単独で紡糸し、得られた糸を用いて測定した固有粘度を複合マルチフィラメント構成する繊維の固有粘度とした。
【0022】(2)ストレッチ率、仕事回復率前述の通りである。
(3)丸編地表面の平坦性5人のモニターによる官能評価法で行い、平坦性に劣っている ・・・×、普通 ・・・△、平坦性に優れている ・・・○、の3段階評価した。
(4)丸編地の柔軟性上記同様、5人のモニターによる官能評価法で行い、ソフト性に劣っている ・・・×、普通 ・・・△、ソフト性に優れている ・・・○、の3段階評価した。
【0023】(5)丸編地の編成条件28ゲージのダブル丸編機でスムース組織を編成した。
(6)丸編地の染色仕上げ条件上記(5)の条件で編成した編地を、80℃で精練後、いずれも有り長さ、有り幅でテンターにて160℃、30秒プレセットし、130℃の液流染色、乾燥後、160℃、30秒のファイナルセットした。ただし、後述の比較例3、及び比較例4はプレセット、ファイナルセット共に180℃、30秒の条件で仕上げした。
【0024】
【実施例1】固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートを比率1:1でサイドバイサイド型に押し出し、紡糸温度265℃、紡糸速度1500m/分で紡糸して未延伸糸を得、次いでホットロ−ル温度55℃、ホットプレート温度140℃、延伸速度400/分、延伸倍率は延伸後の繊度が56dtexとなるように設定して延撚し、56dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は高粘度側が[η]=0.88、低粘度側が[η]=0.70であり、固有粘度差は0.18であった。この延伸糸の強度、伸度、弾性率は、それぞれ2.7cN/dtex、34%、22.4cN/dtexであった。このサイドバイサイド糸を使って、前述(5)の条件で編み立てた後、(6)の条件で仕上げた。
【0025】
【比較例1】実施例1とは固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートを用い、実施例1と同様な方法で56dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は高粘度側が[η]=1.20、低粘度側が[η]=0.72であり、固有粘度差は0.48であった。この複合マルチフィラメントは固有粘度差が大きすぎるため、紡口から吐出する際の糸曲がりが著しく、紡糸時に糸切れが頻発して安定した製造が困難であった。更に延撚工程においても糸切れが多発するために適正なで延伸することが出来ず、結果的に低い延伸倍率でしか延撚出来なかったために、分子配向度の低い糸になり、強度、伸度、弾性率は、それぞれ1.5cN/dtex、21%、23.6cN/dtexであった。このサイドバイサイド糸を使って、実施例1と同様に、編地を編み立て染色仕上げた。
【0026】
【比較例2】実施例1とは固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートを用い、実施例1と同様な方法で56dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は高粘度側が[η]=0.90、低粘度側が[η]=0.86であり、固有粘度差は0.04であった。この延伸糸の強度、伸度、弾性率は、それぞれ2.3cN/dtex、43% 22.9cN/dtexであった。このサイドバイサイド糸を使って、実施例1と同様に、編地を編み立て染色仕上げた。
【0027】
【比較例3】通常仮撚糸のポリエチレンテレフタレート繊維の56dtex/24f、2ヒ−ター仮撚糸を用いて、実施例1と同様に、編地を編み立て染色仕上げた。
【比較例4】実施例1で用いたポリトリメチレンテレフタレートのサイドバイサイド糸の代わりに、固有粘度の異なる2種類のポリエチレンテレフタレートを用いて56dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は高粘度側が=0.66、低粘度側が=0.50であった。この糸の強度、伸度、弾性率は、それぞれ2.7cN/dtex,23%、70.8cN/dtexであった。このサイドバイサイド糸を使って、実施例1と同様に、編地を編み立て染色仕上げた。以上の実施例1と比較例1〜4から得られた丸編地の評価結果を、表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】本発明の丸編地は極めて高いストレッチ性、仕事回復性を有し、伸長性、伸長回復性に優れ、さらにソフトで表面も平坦性に優れた性能も併せ持っている。比較例1、2のように固有粘度差が大きすぎたり、小さ過ぎるサイドバイサイド糸を用いた場合、ストレッチ性は優れたものが得られるが、仕事回復性が劣る。また、比較例3、4のようなポリエチレンテレフタレート糸を用いた場合は、緯方向で、ある程度の高いストレッチ性が得られるが、伸長回復性を満足する丸編地が得られない。
【0030】
【発明の効果】本発明の緯編地は、製品とした時の着脱容易性、運動追従性に優れたものが得られるため、スポーツ、アウター、インナー、水着などの衣料に好適である。
【出願人】 【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜1丁目2番6号
【出願日】 平成13年7月18日(2001.7.18)
【代理人】 【識別番号】100103436
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 英夫 (外3名)
【公開番号】 特開2003−27356(P2003−27356A)
【公開日】 平成15年1月29日(2003.1.29)
【出願番号】 特願2001−217513(P2001−217513)