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【発明の名称】 立体構造状ネット
【発明者】 【氏名】松本 紘一

【要約】 【課題】ネット目空間を画成する立体紐部さらにはネット全体の保形性がよく、耐圧縮性に優れ、空隙保有率が高く、軽量で、しかも良好な弾性力を保持でき、クッション材やマット材、スペーサーその他に好適に使用できる立体構造状ネットを得る。

【解決手段】経編編成され、網状の表裏の素地1,2と、両素地を連結する連結糸3とよりなり、表裏の素地1,2においてそれぞれ網目を形成する各紐条部11,21に連結糸3を掛け渡して立体紐部4を形成し、この立体紐部4により立体的なネット目空間Sを画成し、立体紐部4における編方向の任意の個所で、連結糸3が表裏素地1,2の一方から他方側に向って相対応する編目列より1列もしくは数列離れた編目列に移行させて斜めに掛け渡して編成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】経編編成により形成され、網状をなす表裏の素地とこれら両素地を所要の間隔を存して連結する連結糸とよりなり、表裏の素地においてそれぞれ網目を形成する各紐条部が編方向に連続する複数ウエールの編目列により構成されるとともに、表裏の対応する紐条部同士の間にそれぞれ連結糸が複数列で掛け渡されて立体紐部が形成され、該立体紐部によりネット目空間が画成されてなる立体構造状ネットであって、前記連結糸は、前記立体紐部の表裏紐条部の対応する編目列に掛け渡されるとともに、前記立体紐部における編方向の任意の個所において、表裏の素地の一方から他方側に向って対応する編目列より1もしくは数列離れた編目列に移行して斜めに掛け渡されてなることを特徴とする立体構造状ネット。
【請求項2】経編編成により形成され、網状をなす表裏の素地とこれら両素地を所要の間隔を存して連結する連結糸とよりなり、表裏の素地は、それぞれ網目を形成する紐条部が編方向に連続する1もしくは複数ウエールの編目列により構成されるとともに、表裏一方の素地の網目が他方の素地の網目より大きく形成され、この一方の素地の各紐条部とこれに対応する他方の素地の紐条部とに連結糸が掛け渡されて立体紐部が形成され、この立体紐部により前記大きい網目に相当するネット目空間が画成され、このネット目空間の内方に前記他方の素地の紐条部による小さい網目が形成されてなる立体構造状ネットであって、前記連結糸は、前記立体紐部の表裏紐条部の対応する編目列に掛け渡されるとともに、前記立体紐部における編方向の任意の個所において、表裏の素地の一方から他方側に向って対応する編目列より1もしくは数列離れた編目列に移行して、ネット目空間の内方で小さい網目を形成する紐条部に斜めに掛け渡されてなることを特徴とする立体構造状ネット。
【請求項3】経編編成により形成され、網状をなす表裏の素地とこれら両素地を所要の間隔を存して連結する連結糸とよりなり、表裏の素地は、それぞれ網目を形成する紐条部が両素地それぞれの編方向に連続する1もしくは複数ウエールの編目列により構成されるとともに、両素地それぞれの複数網目毎に対応する紐条部の部分に連結糸が掛け渡されて立体紐部が形成され、この立体紐部により表裏の素地の網目より大きいネット目空間が画成され、このネット目空間の内方に表裏の素地の紐条部による小さい網目が形成されてなる立体構造状ネットであって、前記連結糸は、前記立体紐部の表裏紐条部の対応する編目列に掛け渡されるとともに、前記立体紐部における編方向の任意の個所において、表裏の素地の一方から他方側に向って対応する編目列より1もしくは数列離れた編目列に移行して、ネット目空間の内方で小さい網目を形成する紐条部にも斜めに掛け渡されてなることを特徴とする立体構造状ネット。
【請求項4】表裏の素地において網目を形成する各紐条部が、それぞれ編方向の所要間隔毎に隣接する左右の紐条部と交互に結節されてジグザグ状をなし、それぞれ多角形の網目を形成している請求項1〜3のいずれかに記載の立体構造状ネット。
【請求項5】表裏の素地の紐条部が、それぞれ表裏で互いに編方向に位置をずらせて結節されており、この表裏の対応する紐条部に連結糸が掛け渡されることにより、ネット目空間を画成する立体紐部が交互に左右に傾斜していることを特徴とする請求項4に記載の立体構造状ネット。
【請求項6】連結糸の斜めの掛け渡し部分が、ネット目空間内において略X状をなすように掛け渡されてなる請求項1〜5のいずれかに記載の立体構造状ネット。
【請求項7】ネット目空間内において略X状をなす連結糸の斜めの掛け渡し部分が、対応する編目列での掛け渡し部分と交互に編方向所定コース毎に存して、ネット目空間の開きを規制するように設けられてなる請求項6に記載の立体構造状ネット。
【請求項8】連結糸の斜めの掛け渡し部分が、立体紐部の内部および/または立体紐部同士の結節部の内部において立体紐部の幅方向で略X状をなすように、所定コース毎に掛け渡されてなる請求項1〜7のいずれかに記載の立体構造状ネット。
【請求項9】請求項1〜8のいずれか1項に記載の立体構造状ネットにおいて、表裏の素地の少なくとも一方を平地組織で編成した平地部分を、両耳部を含む任意の個所に設定してなる立体構造状ネット。
【請求項10】平地部分における表裏の少なくとも一方側の素地の構成糸および/または表裏素地間に掛け渡された連結糸の少なくとも一部が、柔軟性を有する糸よりなる請求項9に記載の立体構造状ネット。
【請求項11】平地部分の中央部が連結糸を有さない組織で編成された表裏の素地のみよりなる請求項9または10に記載の立体構造状ネット。
【請求項12】経編編成により、表裏一方側の素地を鎖編糸と挿入糸とにより形成した平地として形成し、他方側の素地を網状として、該素地の網目を形成する紐条部を編方向に連続する複数ウエールの編目列により構成し、この網状の素地の網目を形成する紐条部と前記一方側の素地とに連結糸を掛け渡して片面側にネット目空間を画成する立体紐部を形成した立体構造状ネットであって、前記連結糸は、前記の網状の素地における紐条部と前記の平地の素地との対応する編目列に掛け渡されるとともに、前記立体紐部における編方向の任意の個所において、表裏の素地の一方から他方側に向って対応する編目列より1もしくは数列離れた編目列に移行して斜めに掛け渡されてなることを特徴とする立体構造状ネット。
【請求項13】請求項12に記載の立体構造状ネットにおいて、表裏の素地を網状として編成した立体構造のネット部を、両耳部を含む任意の個所に設定してなる立体構造状ネット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、経編編成による立体構造状ネット、特にネット目空間を画成する立体紐部の保形性がよくて形が崩れ難くかつ耐圧縮性に優れる立体構造状ネットに関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来より、例えば衣料用の通気性スペーサー等(例えば肩パッド)として使用される経編編成によるネットやメッシュ状編地として、実開平2−74647号公報に見られるように、少なくとも一方が網状をなす表裏の素地を連結糸により連結し、ネット目空間を画成する紐部を立体構造にして、厚みおよび空隙保有率を高くしたネットが知られている。
【0003】前記のような立体構造のネットは、ネット目空間の開口径が大きくなればなるほど、またネットの厚み(連結糸が掛け渡された紐部の高さ)が大きくなればなるほど保形性が低下し、曲り変形や倒れ等が生じ易くなり、厚み方向の具有弾性力が劣ることになる。そのため、大きな耐圧縮性や弾性力を具有することが要求される場合には、ネットの厚みやネット目空間の開口径(差し渡し)は、あまり大きくすることができないもので、その用途は限定されている。
【0004】また本発明者は、経編編成による立体構造状ネットとして、表裏の素地の編成に挿入糸を使った編成技術により、ネット目空間を画成する立体の紐部を、複数ウエールの編目列で構成することにより、立体紐部の耐圧縮性を高くして組織安定を図った立体構造のネットを提案している(特開平5−187011号)。
【0005】しかし、この場合においても、ネット目空間の開口径が大きくなればなるほど、またネットの厚みが大きくなればなるほど、保形性が低下して立体紐部の倒れが生じ易く、厚み方向の耐圧縮力や具有弾性力が劣ることになる。
【0006】本発明は、上記に鑑みてなしたものであり、ネット目空間を画成する立体の紐部の保形性がよくて容易に変形せず、耐圧縮性に優れ、空隙保有率が高くて軽量で、しかも良好な弾性力を保持でき、スペーサー等の衣料用のネットもしくは医療用の保護ネットとして、またクッション材やマット材として、また各種成形構造物の補強用芯材や中間材等の工業材料として、さらには法面の植生ネットや保護ネットその他の各種の用途に広く好適に使用することができる立体構造状ネットを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】本発明は上記の課題を解決するものであり、請求項1の発明は、経編編成により形成され、網状をなす表裏の素地とこれら両素地を所要の間隔を存して連結する連結糸とよりなり、表裏の素地においてそれぞれ網目を形成する各紐条部が編方向に連続する複数ウエールの編目列により構成されるとともに、表裏の対応する紐条部同士の間にそれぞれ連結糸が編目列に対応する複数列で掛け渡されて立体紐部が形成され、該立体紐部によりネット目空間が画成されてなる立体構造状ネットであって、前記連結糸は、前記立体紐部の表裏紐条部の対応する編目列に掛け渡されるとともに、前記立体紐部における編方向の任意の個所において、表裏の素地の一方から他方側に向って、対応する編目列より1もしくは数列離れた編目列に移行して斜めに掛け渡されてなることを特徴とする。
【0008】この立体構造状ネットによれば、ネット目空間を画成する立体紐部自体が、複数ウエールの編目列と複数列での連結糸の掛け渡しによる立体構造のために、連結糸が1列の場合に比して保形性がよいのに加えて、任意の個所における連結糸の斜めの掛け渡し部分、すなわち対応する編目列より1もしくは数列離れた編目列に移行する斜めの掛け渡し部分により、表裏の紐条部の過度の開きや曲りが規制されて、立体紐部の保形性がさらに良好なものになり、ネット目空間が部分的に過度に拡がったりすることがなく、ネット全体に亘って略均一かつ良好な耐圧縮性を保持できる。またこのため、保形性や耐圧縮性を低下させることなくネット目空間の口径およびネットの厚みを大きくすることが可能になる。
【0009】請求項2の発明は、経編編成により形成され、網状をなす表裏の素地とこれら両素地を所要の間隔を存して連結する連結糸とよりなり、表裏の素地は、それぞれ網目を形成する紐条部が編方向に連続する1もしくは複数ウエールの編目列により構成されるとともに、表裏一方の素地の網目が他方の素地の網目より大きく形成され、この一方の素地の各紐条部とこれに対応する他方の素地の紐条部とに連結糸が掛け渡されて立体紐部が形成され、この立体紐部により前記大きい網目に相当するネット目空間が画成され、このネット目空間の内方に前記他方の素地の紐条部による小さい網目が形成されてなる立体構造状ネットであって、前記連結糸は、前記立体紐部の表裏紐条部の対応する編目列に掛け渡されるとともに、前記立体紐部における編方向の任意の個所において、表裏の素地の一方から他方側に向って対応する編目列より1もしくは数列離れた編目列に移行して、ネット目空間の内方で小さい網目を形成する紐条部に斜めに掛け渡されてなることを特徴とする。
【0010】この立体構造状ネットによれば、ネット目空間の内方で小さい網目を形成する表裏一方の連結糸を有さない紐条部により、ネット目空間を画成する立体紐部に属する紐条部、ひいては立体紐部の曲り変形等を規制できるとともに、ネット目空間が部分的に過度に拡がるのを防止できる。さらにその上、立体紐部の任意の個所における斜めの掛け渡し部分、すなわち対応する編目列から1もしくは数列離れた編目列に移行して、前記ネット目空間の内方で小さい網目を形成する紐条部に対して斜めに掛け渡された部分により、立体紐部の倒れ等を防止でき、立体状態およびネット目空間の保形を良好になし得る。またそのため、ネットの厚みやネット目空間の口径を大きくしても、厚み方向の荷重や圧力に対して強く、空隙率を高く軽量にして、しかも保形性や耐圧縮性さらには弾力性を良好に保持できるものとなる。
【0011】また、請求項3の発明は、前記同様に経編編成により表裏の素地と連結糸とより形成され、表裏の素地は、それぞれ網目を形成する紐条部が両素地それぞれの編方向に連続する1もしくは複数ウエールの編目列により構成されるとともに、両素地それぞれの複数網目毎に対応する紐条部の部分に連結糸が掛け渡されて立体紐部が形成され、この立体紐部により表裏の素地の網目より大きいネット目空間が画成され、このネット目空間の内方に表裏の素地の紐条部による小さい網目が形成されてなる立体構造状ネットにおいて、前記同様に、前記連結糸は、前記立体紐部の表裏紐条部の対応する編目列に掛け渡されるとともに、前記立体紐部における編方向の任意の個所において、表裏の素地の一方から他方側に向って対応する編目列より1もしくは数列離れた編目列に移行して、ネット目空間の内方で小さい網目を形成する紐条部に斜めに掛け渡されてなることを特徴とする。
【0012】この発明の場合には、立体的なネット目空間の内方で小さい網目を形成する連結糸を有さない紐条部が表裏両側に存しているので、このネット目空間内方の紐条部により、ネット目空間を画成する立体紐部に属する表裏の紐条部の曲がり変形防止作用と、前記連結糸の斜めの掛け渡し部分、特にネット目空間の内方で小さい網目を形成する紐条部に対する斜めの掛け渡し部分による傾倒防止作用とにより、立体紐部の保形をさらに良好になし、ネット目空間が過度に拡がったりすることがなく、厚み方向の荷重や圧力に対して強く、耐圧縮性に優れ、良好な弾性力を具有できる。また立体空隙率が高く軽量なものとなる。
【0013】さらに前記の各発明において、請求項4のように、表裏素地において網目を形成する各紐条部が、それぞれ編方向の所要間隔毎に隣接する左右の紐条部と交互に結節されてジグザグ状をなし、それぞれ多角形の網目を形成してなるものが好適である。
【0014】このように形成されていると、立体構造をなすネットであるにも拘らず、ネットの拡幅調整や折畳みが容易に可能になる上、ダブルラッシェル機での経編編成による製造も容易になる。
【0015】請求項5の発明は、前記の表裏の素地の紐条部が、それぞれ表裏で互いに編方向に位置をずらせて結節されており、この表裏の紐条部に連結糸が掛け渡されることにより、ネット目空間を画成する立体紐部が交互に左右に傾斜しているものとすることができる。
【0016】この場合、ネットに対し厚み方向の荷重や圧力が作用したとき、立体紐部自身がその倒れを相互に規制するように作用し、これが前記連結糸の斜めの掛け渡し部分による曲り変形の規制作用と相俟って、ネット目空間の形状およびネットの立体構造がさらに安定したものとなる。すなわち、厚み方向の荷重や圧力に対して強く、耐圧強度や保形性に優れるとともに、良好な弾性力を具有できる。
【0017】前記の各発明の立体構造状ネットにおいて、請求項6のように、連結糸の斜めの掛け渡し部分が、ネット目空間内において略X状をなすように掛け渡されてなるものとするのが好ましい。この場合、ネット目空間の拡開を表裏で略均等に規制できるとともに、立体紐部の方向性を抑制でき、厚み方向の荷重を受けたときに各立体紐部が同じ側に倒れたり変形するのを防止でき、全体として略均一な方向性のない耐圧縮性が得られる。
【0018】特に、請求項7のように、前記のネット目空間内において略X状をなす連結糸の斜めの掛け渡し部分が、対応する編目列での掛け渡し部分と交互に編方向所定コース毎に存して、ネット目空間の開きを規制するように設けられてなるものであると、ネット目空間の開きが小さくて保形性がさらに良好に保持され、全体に略均一な方向性のない耐圧縮強度が得られ、しかも軽量で、クッション材等として特に好適に使用できる。
【0019】また前記の各発明の立体構造状ネットにおいて、請求項8のように、連結糸の斜めの掛け渡し部分が、立体紐部の内部および/または立体紐部同士の結節部の内部において立体紐部の幅方向で略X状をなすように掛け渡されてなるものとするのが好ましい。
【0020】この場合にも、立体紐部あるいは結節部の保形力が高まり、かつ立体紐部の方向性や倒れ等も抑制され、ネットの厚みやネット目空間の口径を大きくしても、さらに優れた耐圧縮性および弾力性を保有できる。特に前記請求項6または7の構成と組合せた場合、立体紐部の立体状態およびネット目空間の拡開状態を良好に保持でき、かつ全体として略均一な耐圧縮性や弾力性が得られる。
【0021】さらに請求項9のように、上記各発明の立体構造状ネットにおいて、表裏の素地の少なくとも一方を平地組織で編成した平地部分を、両耳部を含む任意の個所に設定しておくことができる。またこの立体構造状ネットにおいて、平地部分における表裏の少なくとも一方側の素地の構成糸および/または表裏素地間に掛け渡された連結糸の少なくとも一部が、柔軟性を有する糸よりなるものとするのが好ましい。
【0022】前記のように耳部等に平地部分を設定した立体構造状ネットの場合、例えば編成後に熱セット加工を行なう際、両耳部の平地部分を利用してピンセットすることができ、加工が容易になる上、シート材等の他部材と組合せて使用する場合に、前記の平地部分を縫合等による接合部として利用できる。またこの平地部分を利用して接着剤や両面接着テープによる接合も容易に可能になり、シート等の他部材との組合せが容易になる。
【0023】特に、請求項10のように両耳部を含む任意の個所の平地部分に柔軟性を有する糸を使用した場合は、平地部分を扁平化させ易く、該部の厚みを小さくできるため、ミシン針が通り易く縫合が容易になる。また前記の平地部分で折曲して折畳むことも可能になる。特に耳部が柔軟な繊維の糸で編成された平地になっていると、編成後に編幅方向に拡げて立体構造状ネットを拡開する際、耳部が編方向に収縮し易いため、ネットの全域に渡ってネット目空間を略均等な所定の形状に拡開しセットすることができる。
【0024】さらに、請求項11のように、前記の立体構造状ネットにおける平地部分の中央部が、連結糸を有さない組織で編成されて表裏の素地のみよりなる場合、この表裏素地を接合することにより、さらに厚みを小さくできる。また表裏素地間の空間に、ロープや金属線材あるいは中空パイプや有孔パイプ、綿やウレタンフォーム等の長尺体を挿入することが可能であり、法面等の保護ネットや植生ネットとして使用する場合、ネットの張設が容易になるし、またスペーサーに使用する場合はクッション性が良くなる。
【0025】請求項12の発明は、経編編成により、表裏一方側の素地を鎖編糸と挿入糸とにより形成した平地とし、他方側の素地を網状として、該素地の網目を形成する紐条部を編方向に連続する複数ウエールの編目列により構成し、この網状の素地において網目を形成する紐条部と前記一方側の素地とに連結糸を掛け渡して片面側にネット目空間を画成する立体紐部を形成した立体構造状ネットであって、前記連結糸は、前記の網状の素地における紐条部と前記の平地の素地との対応する編目列に掛け渡されるとともに、前記立体紐部における編方向の任意の個所において、表裏の素地の一方から他方側に向って対応する編目列より1もしくは数列離れた編目列に移行して斜めに掛け渡されてなる立体構造状ネットとしたものである。
【0026】この立体構造状ネットの場合、平地によるシートとしての機能と、片面側の立体紐部による立体構造のネットとしての機能とを併せ持ち、しかもこの片面側のネットを構成する複数の編目列と複数列の連結糸による立体紐部が、連結糸の斜めの掛け渡し部分、例えば隣接する立体紐部もしくはその内方の素地部分との間の斜めの掛け渡し部分による傾倒防止作用により、立体構造の保形をさらに良好になし、平面的に安定して、しかも厚み方向の耐圧縮性に優れ、良好な弾性力を具有できるものとなる。そのためクッション性を有するスペーサー等として特に好適なものとなる。
【0027】また請求項13のように、前記の立体構造状ネットにおいて、表裏の素地を網状として編成した立体構造のネット部を、両耳部を含む任意の個所に設定することができる。この場合、片面平地の部分と立体構造のネット部の効果で、平面安定性と柔軟性を併せ持つことになる上、その編成は、網状に形成する素地の挿入糸を、平地を編成するように配するだけでよく、軽量で折畳みのできるスペーサー等に好適なものを容易に得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態を図面に示す実施例に基いて説明する。
【0029】図1は、合成繊維糸により経編編成された1実施例の立体構造状ネット(A)の一部を略示しており、図2は同上一部の拡大斜視図を示し、図3は同上の編組織のラッピング図を示している。
【0030】図において、(1)および(2)は網状をなす表裏の素地を示し、(3)はこれら両素地(1)(2)を所要の間隔を存して連結する連結糸を示している。(11)は表側の素地(1)の網目を画成する紐条部を、また(21)は裏側の素地(2)の網目を画成する紐条部を示し、それぞれ後述するように複数ウエール(図の場合は2ウエール)の編目列により構成されている。さらにこれらの表裏で対応する紐条部(11)と紐条部(21)の間に、連結糸(3)が紐条部の編目列と同じ複数列で掛け渡されて、表裏の両素地(1)(2)が連結されており、これによりネット目空間(S)を画成する立体紐部(4)が形成されている。(5)は立体紐部(4)(4)同士の結節部を示している。
【0031】前記の網状をなす表裏の素地(1)(2)の各紐条部(11)(21)は、それぞれ鎖編糸と、鎖編ウエールに対し横振り挿入される挿入糸とにより構成される複数ウエールの編目列よりなり、この紐条部(11)(21)が、それぞれ左右に隣接する紐条部(11)(21)と網目に相当する所要間隔毎に交互に結節されてジグザグ状をなして編方向に連続しており、これにより表裏の網目がそれぞれ四角形や菱形あるいは略六角形等の多角形をなしている。(15)および(25)は、紐条部(11)(11)同士および(21)(21)同士の結節部を示している。
【0032】また連結糸(3)は、基本的には表裏の紐条部(11)(21)に対応する編目列で掛け渡されて複数ウエールに渡る幅を持ち、表裏で対応する編目列での通常の掛け渡し部分(31)が紐条部(11)(21)とともに編方向にジグザグ状に連続して、立体紐部(4)がその長手方向および内外にも通気および通水可能な実質的に立体空隙を有する立体状をなすように形成されている。
【0033】そして、前記立体紐部(4)における編方向の任意の個所(任意のコース位置)において、前記連結糸(3)が表裏の素地(1)(2)の一方から他方側に向って、表裏で相対応する編目列より1もしくは数列離れた編目列に移行して斜めに掛け渡されている。この斜めの掛け渡し部分(32)は、後述するように、ネット目空間(S)内において略X状をなすように掛け渡されるか、あるいは立体紐部(4)の内部および/または立体紐部(4)(4)同士の結節部(5)の内部において略X状をなすように掛け渡される。
【0034】上記実施例の立体構造状ネット(A)は、2列の針床を有するダブルラッシェル機により経編編成されて構成されるもので、その編成の具体例を図3に示すラッピング図に基いて説明する。
【0035】ダブルラッシェル機のフロント側においては、それぞれ鎖編糸を2本づつ交互に導糸する2種の鎖編筬(L2 )および(L3 )と、挿入糸を2ウエール毎に導糸する挿入糸筬(L1 )とにより、鎖編筬(L2 )および(L3 )による鎖編ウエールに対してそれぞれ挿入糸を横振り挿入しながら、2ウエールに渡る編目列により表側の網状の素地(1)の紐条部(11)をそれぞれ編成するとともに、網目に相当する所要コース毎に鎖編筬(L2 )(L3 )の鎖編糸をそれぞれ左右交互に2ウエール分横に移行させて編目形成することにより、左右に隣接する紐条部(11)と交互に結節し、その後、元のウエール位置に戻す編成を繰返す。
【0036】また、バック側においても、それぞれ鎖編糸を2本づつ交互に導糸する2種の鎖編筬(L6 )および(L7 )と、挿入糸を2ウエール毎に導糸する挿入糸筬(L8 )とにより、鎖編筬(L6 )(L7 )による鎖編ウエールに対してそれぞれ挿入糸を横振り挿入しながら、2ウエールに渡る編目列により裏側の網状をなす素地(2)の紐条部(21)をそれぞれ編成するとともに、網目に相当するコース毎のフロント側と同じコース位置で鎖編糸を左右交互に2ウエール分横に移行させて編目形成することにより、左右に隣接する紐条部(21)と交互に結節し、その後、元のウエール位置に戻す編成を繰返す。
【0037】さらに、連結糸については、それぞれ2本づつ交互に導糸する2種の連結糸筬(L4 )および(L5 )により、表側の紐条部(11)を構成するフロント側の鎖編筬(L2 )(L3 )によるそれぞれ2ウエールの編目列と、これに対応する裏側の紐条部(21)を構成するバック側の鎖編筬(L6 )(L7 )によるそれぞれ2ウエールの編目列とに交互に掛け渡して表裏で編目形成することにより、両素地(1)(2)を連結糸(3)により連結するように編成する。
【0038】そして、前記の連結糸筬(L4 )および(L5 )による対応する編目列での掛け渡しを基本組織として、図3に示すように、編方向の任意の個所、例えばフロントおよびバックの各鎖編筬の移行による紐条部(11)(11)同士および紐条部(21)(21)同士の結節部(15)および(25)、すなわち隣接する立体紐部(4)(4)同士の結節部(5)およびその前後のコース位置において、それぞれ前記の連結糸筬(L4 )および(L5 )の連結糸を、フロントとバックの一方(通常バック側)から他方側へ掛け渡す際に、前記鎖編筬と同方向または前記鎖編筬とは反対方向に、対応する編目列より2ウエール分横に移行させて、隣接する紐条部に相当する編目列へ斜めに掛け渡して編成し、次に元のウエール位置へ戻して編成する。
【0039】こうして図3の編組織で編成することにより、連結糸(3)は、表裏の紐条部(11)(21)と連結糸の通常の掛け渡し部分(31)とにより構成される立体紐部(4)が画成するネット目空間(S)内において、特に編方向両端の結節部(5)の前後位置と編方向の中央位置で斜めに掛け渡されることになる。
【0040】この編成後、前記の編地をネット状をなすように適当に拡幅して表裏の素地(1)(2)の網目、つまりはネット目空間(S)を開口させるよう拡張して熱セットすることにより、構成糸として使用した糸に適度に保形力が付与されて、かつ連結糸(3)の一部がネット目空間(S)内の編方向の両端部と中央部とにおいて、略X状をなすように斜めに掛け渡された、図1および図2に示す立体構造状ネット(A)が得られる。
【0041】この立体構造状ネット(A)は、連結糸(3)の斜めの掛け渡し部分(32)により、表裏の紐条部(11)(21)の過度の開きや曲りが規制されて、かつ立体紐部(4)の倒れが相互に防止され、また結節部(5)も補強され、立体紐部(4)の保形性がさらに良好なものになる。またネット目空間(S)が部分的に過度に拡がったりすることがなく、ネット全体に亘って略均一かつ良好な耐圧縮性を保持できるものとなる。したがって、このネットを単独で、あるい他のシート材等と接合して、スペーサーやクッション材あるいは法面の植生用ネットとして使用できる。
【0042】図4の編組織は、上記実施例と同様に、フロント側では鎖編筬(L2 )(L3)と挿入糸筬(L1 )により、またバック側では鎖編筬(L6 )(L7 )と挿入糸筬(L8)により、それぞれ表裏素地(1)(2)の2ウエールの編目列よりなる紐条部(11)(21)を編成する組織において、両素地(1)(2)を連結する連結糸(3)の斜めの掛け渡し部分(32)を、ネット目空間(S)内の編方向両端の結節部(5)の前後位置で略X状にクロスするように配して編成した場合を示している。
【0043】すなわち、表裏の素地を連結する連結糸(3)は、2本ずつ交互に導糸する連結糸筬(L4 )と(L5 )により、表裏で対応する紐条部(11)と(21)の編目列に交互に掛け渡して、表裏の素地(1)(2)を連結する編成を基本として、フロントおよびバック側の鎖編筬(L2 )(L3 )および(L6 )(L7 )の移行による表裏の紐条部同士の結節部、すなわち立体紐部同士の結節部(5)の前後のコース位置において、フロントおよびバック側の一方から他方側へ掛け渡す際に、それぞれ前記鎖編筬(L2 )(L3 )および(L6 )(L7 )の移行方向と同方向に、対応する編目列より2ウエール分横に移行させ、次に元のウエール位置へ戻すように斜めに掛け渡して編成している。
【0044】これにより、連結糸(3)は、立体紐部(4)により画成されるネット目空間(S)内における編方向両端の結節部(5)の前後位置で斜めに掛け渡されて、略X状をなすことになる。すなわち、図2のネットにおけるネット目空間(S)内の中央部の斜めの掛け渡し部分(32)を有さない立体構造状ネット(A)が得られ、結節部(5)の両端部を補強できることになる。なお前記の連結糸の斜めの掛け渡し部分(32)を、結節部(5)の前後位置の一方側のみに設けることも可能である。
【0045】また、図5の編組織は、上記実施例と同様に、フロント側では鎖編筬(L2 )(L3 )と挿入糸筬(L1 )により、またバック側では鎖編筬(L6 )(L7 )と挿入糸筬(L8 )により、それぞれ表裏素地(1)(2)の2ウエールの編目列よりなる紐条部(11)(21)を編成する組織において、両素地を連結する連結糸(3)の斜めの掛け渡し部分(32)を、ネット目空間(S)内においてその編方向の1もしくは数コース毎交互に配して編成する場合を示している。
【0046】すなわち、表裏の素地を連結する連結糸(3)は、1本ずつ交互に導糸する連結糸筬(L4 )と(L5 )により、表裏で対応する紐条部(11)と(21)の編目列に交互に掛け渡して表裏の素地(1)(2)を連結する編成を基本として、各コースにおいて、フロントおよびバックの一方から他方側へ掛け渡す際に、前記連結糸筬(L4 )(L5 )をそれぞれ互いに反対方向に、対応する編目列より2ウエール分横に移行させるように掛け渡し、またフロントおよびバックの他方側から一方側へは横に移行させず対応ウエールで掛け渡す編成を繰返している。
【0047】これにより、連結糸(3)は、立体紐部(4)により画成されるネット目空間(S)内において、各コースにおいて、対応する編目列に掛け渡される通常の掛け渡し部分(31)と斜めの掛け渡し部分(32)とが交互に存在し、斜めの掛け渡し部分(32)がネット目空間(S)内で略X状をなす図6のごとき立体構造状ネット(A)が得られる。
【0048】この立体構造状ネット(A)は、ネット目空間(S)の拡開が斜めの掛け渡し部分(32)により規制されて、開きが小さくて保形性が良好に保持され、立体紐部(4)の倒れがなく、全体に略均一な方向性のない耐圧縮強度が得られ、しかも軽量で、マットやベッド用等のクッション材あるいはスペーサー等として特に好適に使用できるものとなる。
【0049】図7の編組織は、上記実施例と同様に、フロント側の鎖編筬(L2 )(L3 )と挿入糸筬(L1 )、およびバック側の鎖編筬(L6 )(L7 )と挿入糸筬(L8 )により、表裏素地(1)(2)の2ウエールの編目列による紐条部(11)(21)を編成し、この両素地(1)(2)を連結糸(3)で連結する立体構造状ネットにおいて、特に連結糸(3)の組織と糸使いにより、厚み方向の弾力性と構造安定性を向上させるようにした場合を示している。
【0050】この編組織において、フルセットで導糸する連結糸筬(L4 )と、フルセットまたは1本おきに導糸する連結糸筬(L5 )とを用い、一方の連結糸筬(L4 )については、これにより導糸される連結糸を、フロントおよびバックの一方から他方側および他方から一方側へ、それぞれ表裏で対応する紐条部(11)(21)の編目列に掛け渡して編成し、また他方の連結糸筬(L5 )については、各コース毎に、フロントおよびバックの一方から他方側へ掛け渡す際に、対応する紐条部(11)(21)の編目列から隣接する紐条部の編目列へ1ウエール分横に移行させるように掛け渡して編成している。
【0051】こうして編成される立体構造状ネットは、表裏の紐条部とこれに掛け渡される連結糸とにより構成される各立体紐部において、連結糸筬(L4 )により導糸される連結糸は全てネット表裏面に対し略直角方向をなして各編目列で掛け渡され、また連結糸筬(L5 )により1本おきに導糸される連結糸は、立体紐部により画成されるネット目空間(S)内で略X状をなすように各コース毎に斜めに掛け渡されることになる。さらに連結糸がフルセットで導糸される場合は、立体紐部内でもX状に掛け渡されることになる。そのため、立体紐部の耐圧縮性が高く、かつ倒れ抑制の効果も大きく、構造安定性およびクッション性に優れた立体構造状ネットが得られる。
【0052】特に、前記の編組織において、連結糸筬(L4 )の連結糸に熱セット性の低いナイロン糸を用い、連結糸筬(L5 )および表裏素地を編成する各筬の糸にそれぞれ熱セット性のよいポリエステル糸等の糸を使用して、編成後に熱セットすることにより、ナイロン糸の熱セット性が抑えられてネット厚み方向に良好なクッション性を保持するとともに、ポリエステル糸等が熱セットされて表裏素地の保形性がよく、構造がさらに安定したものになる。したがって、スペーサーやクッション材として好適に使用することができる。
【0053】図8の編組織は、上記実施例と同様に、フロント側は鎖編筬(L2 )(L3 )と挿入糸筬(L1 )により、またバック側は鎖編筬(L6 )(L7 )と挿入糸筬(L8 )により、表裏素地(1)(2)の紐条部(11)(21)を2ウエールの編目列により構成するように編成する組織において、両素地を連結する連結糸(3)の斜めの掛け渡し部分(32)を、特に立体紐部(4)の内部で編方向の所定コース毎に略X状に配して編成する場合を示している。
【0054】この編組織の場合、連結糸筬(L5 )は使わず、連結糸は、1本おきに導糸する連結糸筬(L4 )を使用し、1もしくは数コース毎(図は1コース毎)に、フロントおよびバックの一方から他方側へ掛け渡す際、対応する紐条部の編目列から数ウエール(図は1ウエール)分横の編目列に移行させて掛け渡すように編成している。
【0055】これにより、連結糸(3)は、複数の編目列による立体紐部(4)において、表裏対応する編目列での掛け渡し部分(31)と、斜めの掛け渡し部分(32)とが交互に存することになり、図9に示すように、立体紐部(4)内でその幅方向で略X状をなすことになる。
【0056】こうして、立体紐部(4)を拡開しネット目空間(S)を広げて熱セットすることにより、立体紐部(4)の構造安定性が良好になり、方向性が解消されて一方側への傾きや倒れが生じ難くなり、厚み方向の耐圧縮性がさらに良好なものになる。また、連結糸筬が(L4 )(L5 )の2枚筬使いの場合、連結糸を2倍以上にすることにより、さらに構造安定性が高く、厚み方向の耐圧縮性に優れたものが得られる。
【0057】図10に示す編組織は、前記の実施例と同様に、フロント側の鎖編筬(L2 )(L3 )と挿入糸筬(L1 )、およびバック側の鎖編筬(L6 )(L7 )と挿入糸筬(L8 )により、表裏素地(1)(2)の2ウエールの編目列による紐条部(11)(21)を編成し、さらに連結糸(3)の斜めの掛け渡し部分(32)を立体紐部(4)と立体紐部(4)(4)同士の結節部(5)の内部で編方向の所定コース毎に略X状をなすように配して編成する場合を示している。
【0058】この実施例の場合、連結糸は、3本おきに1本ずつ位置をずらせて導糸する連結糸筬(L4 )と(L5 )により、1もしくは数コース毎(図は1コース毎)に、フロントおよびバックの一方から他方側へ掛け渡す際に、紐条部の対応する編目列から1ウエール分横の編目列に移行させて掛け渡す編成を基本として、各鎖編筬(L2 )(L3 )および(L6 )(L7 )の移行による表裏の紐条部同士の結節部、すなわち立体紐部同士の結節部(5)およびその前後のコース位置において、対応する編目列より2ウエール分横に移行させるように交互に掛け渡して編成している。
【0059】これにより、連結糸(3)は、立体紐部(4)の内部に表裏対応する編目列での掛け渡し部分(31)と、斜めの掛け渡し部分(32)とが交互に存するとともに、結節部(5)の内部では、図11に示すように、結節部(5)およびその前後では、結節される両立体紐部(4)(4)の編目列にわたって斜めに掛け渡されて略X状をなすことになる。
【0060】こうして、ネット目空間(S)を広げて熱セットすることにより、立体紐部(4)およびその結節部(5)の構造安定性および結合強度が高く、連結糸の本数が少なくても嵩高かつ軽量でしかも良好な立体構造を保持できる。また結節部(5)の繊維密度が高くなり、構造安定性が増し、該ネットを法面の植生用に使用した場合、ネットの潰れや倒れ防止の効果に優れる。
【0061】上記した各実施例のように、立体紐部(4)を2ウエール以上の複数ウエールの幅を持たせた構成としたことにより、単に1ウエールの編目列による立体紐部の場合に比して、編成が容易に可能であって、強度や耐圧縮性を高くでき、また連結糸(3)の密度も高くできる上、表裏の素地による受圧面積、接合面積を大きくでき、さらに表面の風合をよくする。
【0062】すなわち、立体紐部の強度や耐圧縮性を高めるには、比較的剛性のある太いモノフィラメント等の糸を使用する必要があるが、太いモノフィラメント糸の場合、編成技術上、編ゲージを粗くしなければならず、編成しにくい。また太いモノフィラメン糸は編ループも締まりにくく、また表面の凹凸が大きくなって表面の滑らかさもなくなる。
【0063】これに対して、2ウエール以上の複数ウエールの幅を持つ立体紐部とした場合には、使用する糸を太くせずに、それと同じかそれ以上の強度や耐圧縮性を有する立体紐部を構成できることになる。しかも、立体紐部を構成する表裏の紐条部自体も、複数ウエールの幅を持つことでその表面積が大きくなり、法面の植生用等に使用した場合、土砂流出防止効果が大きくなる。また細い糸を使って耐圧縮性を高めることができるので、表面積を大きくできることもあって、表面において比較的平滑な風合を出すことができ、さらに使用上の受圧および接合面積を大きくすることができる。これは、後述する実施例についても言える。
【0064】図12および図13は表裏の少なくとも一方、例えば図のように表裏両側に、立体紐部(4)によるネット目空間(S)より小さい網目(13)(23)を形成した立体構造状ネット(A)において、表裏の素地(1)(2)を連結する連結糸(3)の一部を所要の個所で斜めに掛け渡した実施例を示している。
【0065】この実施例の立体構造状ネット(A)は、その基本構成として、上記の実施例と同様に、表裏それぞれの網状をなす素地(1)(2)の網目(13)(23)を形成する各紐条部(11)(21)が、1もしくは複数ウエール(図は2ウエール)の編目列により構成されるとともに、両素地(1)(2)それぞれの複数網目毎に対応する紐条部(11)(21)の部分に連結糸(3)が掛け渡されて表裏の素地(1)(2)が連結されており、この掛け渡し部分(31)により表裏の素地(1)(2)の網目より大きいネット目空間(S)が画成され、表裏の素地(1)(2)の連結糸(3)を有さない紐条部(11)(21)の部分で前記ネット目空間(S)の内方にこれより小さい複数の網目(13)(23)が形成されている。
【0066】この実施例のネット(A)の場合、表裏の素地(1)(2)の紐条部(11)(21)がそれぞれネット目空間(S)の相対向辺間にX状に交差するように架渡されて4個の網目を形成するように、両素地(1)(2)の網目(13)(23)の大きさが設定されている。
【0067】そして、連結糸(3)は、立体紐部(4)における表裏の紐条部(11)(21)の対応する編目列に掛け渡して編目形成する編成を基本として、その結節部(5)およびその前後のコース位置と、ネット目空間(S)内方における連結糸を有さない紐条部(11)(11)同士および紐条部(21)(21)同士の結節部(15)および(25)で表裏に掛け渡された通常の掛け渡し部分(31)を有するとともに、これら両結節部(15)(25)と前記結節部(5)の間で連結糸(3)が略X状をなすように斜めに掛け渡されている。(32)は斜めの掛け渡し部分を示す。
【0068】この立体構造状ネット(A)は、ダブルラッシェル機により図13に例示する編組織のごとく編成する。この編成例について説明する。
【0069】表側の素地(1)を編成するフロント側では、それぞれ鎖編糸を2本づつ交互に導糸する2種の鎖編筬(L2 )および(L3 )と、挿入糸を2ウエール毎に導糸する挿入糸筬(L1 )とにより、鎖編筬(L2 )および(L3 )による鎖編ウエールに対してそれぞれ挿入糸を横振り挿入しながら、2ウエールに渡る編目列により表側の網状をなす素地(1)の紐条部(11)をそれぞれ編成するとともに、網目(13)に相当する所要コース毎に鎖編糸を左右交互に2ウエール分横に移行させることにより、左右に隣接する紐条部(11)と交互に結節し、その後、元のウエール位置に戻して編成する。
【0070】バック側においても、上記同様に鎖編糸を2本づつ交互に導糸する2種の鎖編筬(L6 )および(L7 )と、挿入糸を2ウエール毎に導糸する挿入糸筬(L8)とにより、鎖編筬(L6 )(L7 )による鎖編ウエールに対してそれぞれ挿入糸を横振り挿入しながら、2ウエールに渡る編目列により裏側の網状をなす素地(2)の紐条部(21)をそれぞれ編成するとともに、網目(23)に相当する所要コース毎に鎖編糸を左右交互に2ウエール分横に移行させて編目形成することにより、左右に隣接する紐条部(21)と交互に結節し、その後、元のウエール位置に戻して編成する。
【0071】前記のように編成される表裏の素地(1)(2)の紐条部(11)(21)は、それぞれ左右に隣接する紐条部(11)(21)と網目(13)(23)に相当する所要間隔毎に交互に結節されてジグザグ状をなして編方向に連続しており、これにより網目(13)(23)がそれぞれ四角形や菱形あるいは略六角形等の多角形をなしている。
【0072】また、連結糸(3)については、それぞれ8ウエール毎に2本ずつ交互に導糸する2種の連結糸筬(L4 )および(L5 )により、表裏の素地(1)(2)の紐条部(11)(21)を構成するそれぞれ2ウエールの編目列に交互に掛け渡して編目形成することにより、両素地(1)(2)を連結糸(3)で連結するとともに、上記した鎖編筬(L2 )(L3 )および(L6 )(L7 )の移行による表裏それぞれの紐条部同士の結節部(15)および(25)の一つおきに、それぞれ左右に隣接する紐条部(11)(21)に相当する2ウエールの編目列の位置に交互に移行させて掛け渡す編成を基本としている。
【0073】さらに、前記の連結糸(3)の移行コースの前後において、フロントおよびバックの一方から他方側へ掛け渡す際に、隣接する紐条部(11)(21)の編目列と元の編目列との2ウエールにわたる間で交互に斜めに掛け渡して編成し、さらに前記一つおきの結節部の間の他の結節部のコース位置、すなわち本来連結糸を有さない紐条部同士の結節部(15)(25)および立体紐部の結節部(5)とその前後のコース位置においては、隣接する紐条部のウエール位置に移行させた後、元のウエール位置に戻し、次に反対側の紐条部のウエール位置に移行させて斜めに掛け渡すように編成している。
【0074】このように編成することにより、両素地(1)(2)それぞれの紐条部(11)(21)の複数の網目毎に連結糸(3)が掛け渡されて、表裏の素地(1)(2)の網目より大きいネット目空間(S)を画成する立体紐部(4)が形成され、さらにネット目空間(S)内において、連結糸(3)の一部が略X状をなすように掛け渡されたネットが得られる。特に図12のように、表裏それぞれの連結糸を有さない紐条部同士の結節部(15)(25)と立体紐部(4)の結節部(5)の間で略X状をなすように斜めに掛け渡され、かつ前記結節部(15)(25)間にも連結糸が掛け渡された立体構造状ネット(A)が得られる。
【0075】この立体構造状ネット(A)は、立体紐部(4)の構造安定性およびネット目空間(S)の形状が安定し、全体として大きいネット目空間(S)を有するものであっても、軽量で耐圧縮性や構造安定性に優れたものとなる。しかも大きな立体空隙率を得ることができる。
【0076】なお、上記の編成において、表裏一方の素地、例えば表側の素地(1)の網目を他方の素地(2)の網目より大きく形成し、この一方の素地(1)の各紐条部(11)とこれに対応する他方の素地(2)の紐条部(21)とに連結糸(3)を掛け渡して立体紐部(4)を形成し、この立体紐部(4)により前記大きい網目に相当するネット目空間(S)を画成し、このネット目空間(S)の内方に前記他方の素地(2)の紐条部(21)による小さい網目(23)を形成した立体構造状ネットにしておいて、立体紐部(4)における編方向の任意の個所において、前記連結糸が表裏の素地からそれぞれ他方側に向って対応する編目列より1もしくは数列離れた編目列に移行させるようにして、ネット目空間(S)の内方の小さい網目を形成する紐条部に斜めに掛け渡すことも可能である。
【0077】例えば、上記した図13の編組織において、表裏一方の例えば表側の紐条部(11)を編成する鎖編筬(L2 )(L3 )の一方を、8ウエール毎に2本ずつ導糸することとして、他方側になる裏側の紐条部(21)の結節部間隔の2倍のコース毎に交互に左右の紐条部(11)の2ウエールの編目列の位置に4ウエール分移行させて編成するとともに、連結糸筬(L4 )(L5 )を前記鎖編筬の編目列に合せて移行させて編成する組織を基本として、上記同様に立体紐部(4)の結節部(5)およびその前後等の任意のコース位置で連結糸(3)を斜めに掛け渡すようにして編成することにより得ることができる(図示せず)。
【0078】上記したいずれの実施例の立体構造状ネット(A)においても、その基本構成における表側の紐条部(11)(11)同士の結節部(15)と、裏側の紐条部(21)(21)の結節部(25)とを、表裏で相互に編方向に位置をずらせて編成することにより、図14に略示するように、立体紐部(4)自体が交互に左右に傾斜した略トラス構造をなすものとすることができる。
【0079】この場合、空隙保有率が高く軽量であって、しかも耐圧強度や保形性に優れ、かつ良好な弾力性を保有でき、立体構造状ネット(A)としての特性を良好に維持できることになる。さらに表裏素地(1)(2)を連結している連結糸(3)が、前記の斜めの掛け渡しによって、斜めの掛け渡し部分(32)同士、または斜めの掛け渡し部分(32)と通常の掛け渡し部分(31)とが相互にクロスすることになるため、この立体構造状ネット(A)を立体構造のフィルターとして使用した場合、前記の立体紐部(4)の傾斜と連結糸(3)のクロス構造によってフィルター効率の大きいものとなる。
【0080】前記の表裏の結節部(15)(25)の位置を表裏でずらせるコース数や位置を適宜変更することにより、結節部(15)(25)が表裏で互い違いの位置にくるようにしたり、表裏で僅かに位置をずらせた構成とする等、その形態を任意に設定できる。
【0081】図15〜図17の編組織は、図18および図19に略示するように、図12で略示した4角形の立体構造状ネットを亀甲形としたもので、立体紐部(4)を有する亀甲形立体構造状ネットの中に連結糸を有さない亀甲形ネットを重ねて編成した立体構造状ネット(A)において、表裏の素地(1)(2)を連結する連結糸(3)の一部を所要の個所で斜めに掛け渡した実施例を示している。
【0082】この編組織によれば、フロント側およびバック側とも、それぞれ鎖編糸を2本ずつ交互に導糸する鎖編筬(L2 )(L3 )および(L6 )(L7 )と、1ウエールおきに導糸する挿入糸筬(L1 )(L8 )を用いて、表裏素地(1)(2)の2ウエールの編目列による紐条部(11)(21)を編成するとともに、それぞれ所要コース毎に、鎖編筬を隣接する紐条部の編目列の位置に移行させて、左右に隣接する紐条部と交互に結節し、その後、元の位置に戻す編成を繰返すが、特に鎖編筬の移行による結節部のうち、一つおきの結節部において、隣接する紐条部の編目列の位置への移行を数コースに亘って繰返すことにより、図18および図19のように結節部(15)(25)を長くして、結節されていない紐条部(11)の部分を短くすることにより、網目を形成する立体紐部(4)により略亀甲形の網目と、連結糸を有さない亀甲形の網目を重ねるように形成して編成している。
【0083】そして、前記の形状をなす表裏素地(1)(2)を連結する連結糸(3)については、図17の組織のように、短い結節部(15)(25)の個所で、隣接する紐条部(11)(21)に対応するウエール位置へ移行させて連結編成するとともに、前記の長い結節部(15)(25)のコース位置において、それぞれ前記の連結糸筬(L4 )および(L5 )の連結糸を、フロントとバックの一方(通常バック側)から他方側へ掛け渡す際に、コース毎交互に対応する編目列より2ウエール分横へ移行させ、次に元のウエール位置へ戻すようにして、斜めに掛け渡しながら連結編成する。
【0084】これにより、図18および図19に示すように、表裏の素地(1)(2)が亀甲形の比較的大きい網目(13a)(23a)とこれより小さい菱形の網目(13b)(23b)の特異な形態の網状をなし、かつ両素地(1)(2)を連結する連結糸(3)は、ネット表裏面に対し略垂直の掛け渡し部分(31)が、紐条部(11)(21)の一部を除いて配されて立体的なネット目空間(S)を画成する立体紐部(4)が形成されるとともに、長い結節部(15)(15)および(25)(25)間に斜めの掛け渡し部分(32)が略X状をなすように配された特異な立体構造状ネット(A)が得られる。
【0085】この立体構造状ネット(A)は、大きい網目(13a)(23a)によるネット目空間(S)の拡開が斜めの掛け渡し部分(32)により規制されて、かつ立体紐部(4)を単位面積当りに対し比較的多く配置することができ、また保形性も良好に保持され、受圧面を分散できることもあって、ネット全体に略均一な方向性のない耐圧強度が得られ、マットやベッド用等のクッション材あるいはスペーサー等として特に好適に使用できる。さらにまた、表裏の素地(1)(2)において紐条部(11)(21)が占める面積をより大きくすることが可能で、これにより接着等の手段で他のシート材等と接合して複合材を作る場合にも有効なものとなる。
【0086】上記したいずれの発明の実施例においても、縦横に連結糸を入れないものも編成できる(図示省略)。図20および図21に示す立体構造状ネット(A)のように、少なくとも経編編成における編幅方向の両側端の耳部を含む任意の部分において表裏の素地(1)(2)の少なくとも一方を平地の組織で編成し、主に編方向に連続あるいは断続する平地部分(a1 )を形成しておくことができる。(A1 )はネット部を示す。前記の平地部分(a1 )を両耳部のみに形成しておくだけでもよいが、使用上は両耳部のほか、その中間の1もしくは複数個所に形成しておくのが望ましい。ネット部(A1 )及び平地部分(a1 )において、連結糸を任意のコースで斜めに掛け渡して編成する点は、上記した各実施例と同様である。
【0087】この立体構造状ネット(A)の場合、編成後の熱セット加工の際、耳部の平地部分(a1 )を利用してピンセットして張設状態に保持でき、またシート材等の他部材と組合せる場合に、平地部分(a1 )を縫合あるいは接着剤や両面接着テープによる接合部として利用でき、シート等の他部材との組合せが容易になる。さらに平地部分(a1 )を連結金具等の器具の取付け部として利用できる。
【0088】また、前記の平地部分(a1 )における表裏の素地(1)(2)の双方もしくはいずれか一方側の構成糸として、合成繊維のマルチフィラメント糸や天然繊維糸等の比較的柔軟性を有する糸を用いることができ、さらに平地部分(a1 )の表裏素地(1)(2)間に掛け渡された連結糸(3)として、前記同様の柔軟性を有する糸を用いることも、また柔軟性を有する糸と比較的剛性のあるモノフィラメント糸を混在させて用いることもできる。
【0089】この場合、平地部分(a1 )を扁平化させ易く、該部の厚みを小さくできるため、ミシン針が通り易く縫合が容易になる。また前記の平地部分(a1 )で折曲して折畳むことも容易に可能になる。特に耳部等の平地部分が柔軟な繊維の糸で編成された平地になっていると、編成後に編幅方向に拡げ易くかつ立体構造状ネットを拡開する際、耳部においても編方向に収縮し易いため、ネットの全域に渡ってネット目空間を略均等な所定の良好な形状に拡開してセットすることができる。
【0090】前記平地部分(a1 )の構成糸として、さらに必要に応じて、熱融着性糸、カーボン糸等の高張力糸、抗菌糸、高収縮性糸、弾性糸および保水性糸等の1種以上を用いることもできる。
【0091】さらに前記のように平地部分(a1 )を形成する立体構造状ネット(A)において、図22のように、平地部分(a1 )の少なくとも幅方向中央部を、連結糸(3)を有さない組織で編成して表裏の素地(1)(2)のみにより二層構造に形成しておくことができる。
【0092】この場合、この平地部分(a1 )における表裏素地(1)(2)を、縫合あるいは接着手段により接合することにより、該平地部分(a1 )の厚みを小さくできる。また表裏素地(1)(2)間の内部空間に、ロープや金属線材あるいは中空パイプや有孔パイプ、綿やウレタンフォーム等の長尺体(図示省略)を挿入することが可能になる。このようにすることにより、法面等の保護ネットや植生ネットとして使用する場合、ネットの敷設、張設が容易になる上、通気、集排水機能および引張強度を高めることができる。またスペーサーとして使用する場合は、別の耐圧機能等を付与することができる。
【0093】さらに、前記のように平地部分を形成する場合、平地部分(a1 )の表裏一方の素地を網状として編成しておくことも可能である。
【0094】図23は本発明のさらに他の実施例を示している。この実施例のネット(A)は、経編編成により、表裏一方側の素地、例えば裏側の素地(2)を鎖編糸と挿入糸とにより形成した平地とし、他方側の素地(1)を網状にして形成し、この網状の素地(1)において網目を形成する複数ウエールの紐条部(11)と他方側素地(2)とに連結糸(3)を掛け渡して片面側にネット目空間を画成する立体紐部(4)を形成してなるもので、特に立体紐部(4)における編方向の任意の個所において、前記連結糸(3)が表裏の素地(1)(2)の一方から他方側に向って対応する編目列より1もしくは数列離れた編目列に移行して斜めに掛け渡した構造をなしている。
【0095】この立体構造状ネット(A)は、例えば図24の編組織に示すように、フロント側では、鎖編糸を2本ずつ交互に導糸する鎖編筬(L2 )(L3 )と1ウエールおきに導糸する挿入糸筬(L1 )を用いて、2ウエールの編目列による紐条部(11)を編成するとともに、所要コース毎に、鎖編筬を隣接する紐条部の編目列の位置に数コースにわたって移行させて、左右に隣接する紐条部と交互に結節し、その後元の位置に戻す編成を繰返して、亀甲形状の網目を形成するように編成し、またバック側では、それぞれフルセットで導糸される鎖編筬(L6 )と2枚の挿入糸筬(L7 )(L8 )により、平地組織よりなる裏側素地(2)を編成する。
【0096】さらに、表裏素地(1)(2)を連結する連結糸(3)については、連結糸筬(L4 )(L5 )により、それぞれ2本ずつ交互に導糸して、表側素地(1)の紐条部(11)の編目列と対応する裏側素地(2)の編目列に掛け渡して連結する編成を基本として、結接部(15)の個所のコース位置において、フロントとバックの一方(通常バック側)から他方側へ掛け渡す際に、コース毎交互に対応する編目列より2ウエール分横へ移行させ、次に元のウエール位置へ戻すようにして、斜めに掛け渡しながら連結編成する。
【0097】これにより、図23の立体構造状ネット(A)が得られる。このネット(A)は、シートとしての機能と、片面側の立体紐部(4)による立体構造のネットとしての機能とを併せ持ち、しかもこの片面側のネットを構成する立体紐部(4)が連結糸(3)の斜めの掛け渡し部分(32)、例えば隣接する立体紐部(4)もしくはその内方の素地部分との間の斜めの掛け渡し部分(32)による傾倒防止作用により、立体紐部(4)の保形をさらに良好になし、平面的に安定して、しかも厚み方向の耐圧縮性に優れ、良好な弾性力を具有できるものとなる。
【0098】なお、図示を省略しているが、上記の各実施例の立体構造状ネットにおいて、編方向の一定間隔毎に、部分的に連結糸が表裏素地間に掛け渡されない部分を有するように編成しておくことができる。このように編成することにより、編方向に対し略直角方向に連続する空間を形成することができ、この部分で折畳んだり、ロープ等を挿入したりすることができ、さらに使用上好適な立体構造状ネットを得ることができる。
【0099】また前記の片面を平地とする立体構造状ネットにおいて、図示を省略しているが、表裏の素地を網状として編成した立体構造のネット部を、両耳部を含む任意の個所に設定しておくことができる。この場合、網状に形成する素地の挿入糸を、平地を挿入するように配するだけで経編編成でき、しかも軽量で折畳みのできるスペーサー等に好適なものとなる。
【0100】さらに上記した各実施例の立体構造状ネットにおいて、表裏の素地(1)(2)を連結する連結糸(3)が、部分的に、例えば編方向の一定間隔毎に表裏に掛け渡されない部分を持つように編成しておくことができる。これにより、前記連結糸が掛け渡されない部分で編方向に対し直角方向の空間を形成することができ、この部分で折畳んだりロープを挿入したりすることができ、さらに好適な立体構造状ネットを得ることができる。
【0101】上記の各実施例の立体構造状ネット(A)において、表裏の素地(1)(2)を構成する糸条は、用途によっても異なり、特に限定されるものではないが、通常は合成繊維糸が使用され、ナイロン糸や炭素繊維糸その他の各種の合成繊維のマルチフィラメント糸やモノフィラメント糸あるいはその引き揃え糸が好適に用いられる。また弾性糸、金属性繊維、熱収縮性糸等も用いられる。もちろん天然繊維の糸を用いることもできる。また連結糸(3)としては、前記表裏の素地(1)(2)を連結して立体状に支えるのに適するように、前記同様に合成繊維糸や天然繊維糸から弾性や強度等を考慮して適宜選択され、主に立体構造の保持や弾性力保持の点からモノフィラメント糸が好適に用いられる。これらはいずれも単糸で使用するほか、複数本の引き揃え糸として用いることができる。
【0102】これらの糸条は、編成後の熱セットもしくは合成樹脂加工により、適度に剛性および耐圧縮性を与えることができる。また表裏の素地(1)(2)を連結する連結糸(3)の本数が多くなり密度が高くなるほど、厚み方向の耐圧強度や弾性力が増す。またナイロン等の同質素材では太い糸の場合ほど腰が強くなる。各構成糸にモノフィラメントを使用せず、マルチフィラメント糸等の繊維糸を使用して編成することにより、よりソフトな感触、風合を呈するネットが得られる。
【0103】これらの糸条の太さや素材は、用途によって要求される強度や張力、弾性等を考慮して決定される。例えば、クッション材やマット材あるいは工業用材料としては、ダブルラッシェル機により14〜6ゲージ(針本数/インチ)で編成する場合、網状の素地には50〜2000デニール、好ましくは200〜1000デニールの糸が、また連結糸としては100〜5000デニール、好ましくは100〜3000デニールの糸が好適に用いられる。
【0104】物理的強度を高めたい場合は、4.5〜3ゲージにして上記よりさらに太い糸を使用でき、強度も高めることができる。また表裏で太さの異なる糸を用いて編成することもでき、素地の強度をさらに高めることができる。さらに衣料用や医療用のネット等の目的によっては、前記よりさらに細い糸を使用することもできる。
【0105】また上記の表裏の素地(1)(2)を構成する糸条および連結糸の全部または一部にマルチフィラメントや天然繊維の弾性糸を用いることにより、伸縮性を持った中空立体構造のネットとすることも可能である。この場合、弾性糸を使用していないネットでは得られないフィット性や弾力性が得られる。また1もしくは数ウエール毎に、弾性糸、天然糸および合成繊維糸の糸種を変更して、保形とソフト感のある立体構造とすることも可能である。
【0106】本発明の立体構造状ネット(A)の厚み、ネット目空間(S)や立体紐部(4)の大きさは、その用途等によって異なり、例えばマットの芯材やスペーサーとしての使用上は、ネットの厚み数mm〜数10mm、ネット目空間(S)の開口径(さし渡し)数mm〜数100mm、紐条部の幅0.5〜200mmの範囲のものが一般に用いられるが、もちろん前記寸法外での実施も可能である。
【0107】上記の立体構造状ネット(A)は、スペーサー等の衣料用のネットもしくは医療用の保護ネットとして、またクッション材やマット材として、各種成形構造物の補強用芯材や中間材等の工業材料として、さらには法面の植生ネットや保護ネットその他の各種の用途に広く好適に使用することができる。
【0108】
【発明の効果】上記したように本発明の立体構造状ネットによれば、ネット目空間を画成する立体紐部の構造安定性が良好に保持され、特に立体紐部が複数の編目列と複数列の連結糸の掛け渡し部分で形成し、内部に空隙を有する立体構造とした場合において、その立体紐部自体の内部および/または立体紐部同士の結節部で両紐部にわたってX状をなすように連結糸が掛け渡されるか、あるいは立体紐部で画成されたネット目空間内でX状をなすように掛け渡されることにより、立体紐部の構造安定性および保形性が著しく向上し、これによりネット目空間の口径および厚み方向寸法を大きくし、空隙率を高くして、しかも耐圧縮性や厚み方向の弾性が良好なものとなる。特に立体紐部に複数ウエールの幅を持たせることにより、空隙率が大きくても、表裏素地の面積を大きくすることができる。
【0109】したがって、衣料用の通気性スペーサーその他の衣料用品として、また医療用ネットとして、またマット材やクッション材あるいは各種工業製品の中間材や芯材等として好適に利用できる。さらに、構造安定性がよく、引張に対しても強く、耐圧縮性、さらには弾性力も高くなるので、これらの特性を利用して各種の広い用途に利用することができる。
【出願人】 【識別番号】591154902
【氏名又は名称】旭土建株式会社
【出願日】 平成8年10月31日(1996.10.31)
【代理人】 【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子 (外1名)
【公開番号】 特開2003−13345(P2003−13345A)
【公開日】 平成15年1月15日(2003.1.15)
【出願番号】 特願2002−145493(P2002−145493)