| 【発明の名称】 |
武道着用織物 |
| 【発明者】 |
【氏名】吉田 学 【住所又は居所】大阪市北区堂島1丁目6番20号 東レ株式会社大阪事業場内
【氏名】小林 潔 【住所又は居所】大阪市北区堂島1丁目6番20号 東レ株式会社大阪事業場内
【氏名】和田 芳典 【住所又は居所】大阪市北区堂島1丁目6番20号 東レ株式会社大阪事業場内
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| 【要約】 |
【課題】耐久性と軽量性に優れている武道着用織物を提供する。
【解決手段】中空率が25%〜60%の範囲にある中空繊維を含む複合紡績糸によりタテ糸および/またはヨコ糸が構成された織物からなり、前記紡績糸の仕上げ繊度が15番手以下であり、織物のカバーファクターが500〜2500であることを特徴する武道着用織物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】中空率が25%〜60%の範囲にある中空繊維を含む複合紡績糸によりタテ糸および/またはヨコ糸が構成された織物からなり、前記紡績糸の仕上げ繊度が15番手以下であり、織物のカバーファクターが500〜2500であることを特徴する武道着用織物。 【請求項2】前記中空繊維が、鞘成分がポリアミド、芯成分がポリエステルからなる芯鞘型複合繊維からなり、該複合繊維を含む紡績糸を用いて製織した後、加熱アルカリ水溶液で芯成分のポリエステルを溶出処理したものであることを特徴とする請求項1に記載の武道着用織物。 【請求項3】前記複合繊維が、芯成分/鞘成分の複合割合(重量%)が25/75〜60/40の範囲内にあることを特徴とする請求項2に記載の武道着用織物。 【請求項4】前記芯成分のポリエステルが、スルフォン化芳香族ジカルボン酸が3.0〜10.0モル重量%の範囲で共重合されてなるものであることを特徴とする請求項2または3に記載の武道着用織物。 【請求項5】前記請求項1〜4のいずれかに記載の武道着用織物を用いたことを特徴とする武道着。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、柔道着、空手着等の武道着用織物に関する。さらに詳しくは、軽量性に優れたポリアミドとポリエステル芯鞘型複合繊維を出発材料として含む紡績糸で構成される武道着用織物に関する。 【0002】 【従来の技術】柔道着、空手着などの武道着は、一般的に綿100%織物が用いられるため、耐久性や堅牢度面には優れるものの、厚く重いため俊敏な動きが阻害されるという問題点があった。 【0003】このような問題を解決するための手段としては、耐久性を考慮しつつ、軽量化を図る必要があり、綿100%織物では改善は難しい。強度等に優れるポリエステルまたはポリアミドなどの合成繊維の紡績糸を混紡することにより、耐久性を付与することは可能であるが、満足する軽量性は得られない。軽量化を図るためには、糸を中空構造にすることが考えられるが、通常のポリアミド繊維では、溶融紡糸により製造されるため、高中空構造にはなりにくく、また、ポリマー自体のモジュラスが低いことから、紡績工程、製織工程、染色工程など通過する際に、中空構造が潰れてしまうという問題があった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上述のような従来技術では得ることのできなかった、耐久性と軽量性に優れている武道着用織物を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を解決するために、以下の構成を採用する。すなわち、(1)中空率が25%〜60%の範囲にある中空繊維を含む複合紡績糸によりタテ糸および/またはヨコ糸が構成された織物からなり、前記紡績糸の仕上げ繊度が15番手以下であり、織物のカバーファクターが500〜2500であることを特徴する武道着用織物。 【0006】(2)前記中空繊維が、鞘成分がポリアミド、芯成分がポリエステルからなる芯鞘型複合繊維からなり、該複合繊維を含む紡績糸を用いて製織した後、加熱アルカリ水溶液で芯成分のポリエステルを溶出処理したものであることを特徴とする前記(1)に記載の武道着用織物。 【0007】(3)前記複合繊維が、芯成分/鞘成分の複合割合(重量%)が25/75〜60/40の範囲内にあることを特徴とする前記(2)に記載の武道着用織物。 【0008】(4)前記芯成分のポリエステルが、スルフォン化芳香族ジカルボン酸が3.0〜10.0モル重量%の範囲で共重合されてなるものであることを特徴とする前記(2)または(3)に記載の武道着用織物。 【0009】(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の武道着用織物を用いたことを特徴とする武道着。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、さらに詳しく本発明について説明する。 【0011】本発明に用いられる繊維は、ポリエステルとポリアミドの芯鞘型複合原綿からなる紡績糸を使用して織物を形成した後、染色加工にて加熱アルカリ処理を行い、芯成分のポリエステルを溶出して中空構造を形成することにより、単位面積当たりの織物の重さ(目付)が軽く、軽量でかつ耐久性に優れた武道着用織物を実現したものである。また、空気層を多く含むことなどに基づく織物の厚みが大きく嵩高性も得られる。 【0012】本発明において使用される、複合繊維よりなる紡績糸は、複合繊維の心鞘型複合繊維の原綿からなるものであり、その鞘成分にはポリアミド系ポリマー、芯成分にはポリエステル系ポリマーで構成されている複合原綿を用いたものである。 【0013】本発明において、鞘成分を構成するポリアミド系ポリマーとしては、ポリヘキサメチレナジパミド(ナイロン66)やポリε−カプラミド(ナイロン6)からなるポリアミドが好適であるが、セバシン酸、イソフタル酸、パラキシレンギアミドなどを構成成分とするポリアミドあるいはこれらの共重合ポリアミド等を用いてもよい。 【0014】また、芯成分を構成するポリエステル系ポリマーとしては、染色加工工程にてアルカリ処理を行い溶出除去する関係上、易溶性ポリマーであることが重要である。 【0015】かかる易溶性ポリエステルとしては、例えば、スルフォン化芳香族ジカルボン酸変性ポリエステルであり、スルフォン基を有する化合物がポリエステルの連鎖または末端の一部に含まれた変性されたポリエステルを用いることができるものである。より具体的には、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリブチレンテレフタレート、あるいはこれらを主成分とする共重合ポリエステルなどにスルフォン化芳香族ジカルボン酸、あるいはその塩を共重合させてなる変性されたポリエステルなどを用いることが好ましいものである。 【0016】スルフォン化芳香族ジカルボン酸の代表的なものとしては、5−ナトリウムスルフォイソフタル酸ジメチルが挙げられ、本発明でも好ましいものとして使用することができる。その共重合量は、テレフタル酸に対し3.0モル〜10モル重量%の範囲であることが好ましい。この共重合量が低すぎると所望の効果が十分に得られ難い場合があり、逆に多すぎると変性ポリエステルの結晶構造が乱れて機械的特性の大幅な低下を招くことになる場合があり好ましくない。 【0017】鞘成分と芯成分の複合割合(重量%)は、軽量性、保温性などの特性及び風合い面から重要である。その芯鞘複合割合は、芯成分:鞘成分=25:75〜60:40の範囲であるのが好ましい。より好ましくは、芯成分:鞘成分=30:70〜50:50の範囲内である。 【0018】芯鞘複合割合の大小は、紡績および製織工程ではさほど問題にならないが、染色加工工程でアルカリ処理によって溶出し繊維に中空構造を形成するものであるので、芯成分の比率が大きい、すなわち、中空率が大きくなれば軽量性は向上するものの、布帛の状態で物理的な力が加われば容易に中空構造は変形する傾向となる。一般に、該変形した部分は、扁平状を呈し、所望の機能・特性を発揮することができない方向となる。かかる点から、芯成分の比率は60%以下が好ましいものである。逆に、芯成分の比率が小さければ中空構造は変形し難くなるが、所望の機能、特性を発揮することが難しい方向となる。芯成分の比率の好ましい下限値に関して、芯成分比率が小さすぎる場合、芯成分を溶出除去させる工程中において鞘部内を薬液が浸透して分解物を除去するに長時間を要することになるので、この点から芯成分比率は25%以上であることが好ましい。 【0019】複合繊維(原綿)の繊維断面形状は、特に限定されるものではないが、同心円状の芯鞘複合形態が代表的であり生産上好ましいが、芯鞘が相対的に偏心しているものや、全体が三角形状、もしくは四角形状などの多角形状や楕円形状のものなどであってもよい。また、芯が、単一の芯でなく多芯状のものでもよい。 【0020】紡績工程において、上述の原綿を100%で使用することが、本発明の本来のねらいである軽量性などの特性を十分に発揮する上でより効果的であるが、本発明においては、該原綿100%使いのものに限られず、他の原綿との混紡品やあるいはフィラメント糸との精紡交撚(いわゆる長短複合紡績糸)品であっても良く、いずれにあっても従来技術では得られない特徴ある武道着用織物が得られる。 【0021】この際に、染色加工工程でアルカリ処理による溶出を行うため、アルカリに対して耐久性のある素材との組合せを考慮することが実際的である。紡績工程における紡績糸製造条件は、通常のポリエステルやポリアミド繊維使いの場合と基本的に特に変わることはない。 【0022】織物設計の観点からは、該紡績糸をタテ糸およびヨコ糸に使用したり、あるいは、タテ糸のみあるいはヨコ糸のみに使用しても良いものである。 【0023】すなわち、他素材との交織、配列などにより特徴のある織物を得ることができるが、前記と同様にアルカリに対して耐久性のある素材との組み合わせを考慮することが実際的である。 【0024】製織工程は、通常のスパン織物と同様の工程で行えばよい。使用できる織機は、特に限定されず、エアジェット織機、レピア織機などの革新織機にも十分対応が可能である。 【0025】芯成分の変性ポリエステルなどポリエステル成分を溶出除去するためのアルカリ処理には、薬剤として苛性アルカリ、例えば、苛性ソーダ、苛性カリなどを用いればよい。その処理条件は、芯鞘複合比率や布帛を構成する該原綿の混用比率などによっても相違するが、一般的には苛性アルカリ濃度は10〜80g/リットル、処理温度は80〜120℃の条件を用いればよい。染色はポリアミド染着のための通常用いられる染料及び染色条件を採用すればよい。 【0026】本発明で用いられる織物は、その軽量性を兼ね備えた特徴から、従来は、綿100%または綿と合繊混紡品の太番手で織物に形成されることから必然的に高重量となり、一般的には200〜250g/m2 前後の目付が普通であり、該重量感は運動性を損ねる結果となっていた。かかる問題が、本発明によれば、中空率が25%から60%の範囲である繊維を含む紡績糸により、タテ糸および/またはヨコ糸で構成されるとともに、該紡績糸の仕上げ繊度が15番手以下、より好ましくは10番手以下である。 【0027】また、本発明の武道着用織物のカバーファクターは500〜2500であることが好ましく、より好ましくは、1000〜2000であり、その機能性を十分に発揮できる。しかし、織物のカバーファクターが500より小さい場合は、織り密度が不足し、引張強力、引裂強力等の基本的物性に不具合が生じる。またカバーファクターが2500を超える場合は、生地自体の重量および厚みが増加し好ましくない。 【0028】仕上げ繊度とは、最終製品(武道着用織物)のタテ糸、ヨコ糸の繊度(紡績糸の番手)のことをいうがカバーファクター算出時には、番手をデニールに換算している。本発明によれば、例えばポリアミド紡績糸織物100%品で40%のポリエステル成分の複合比率にした場合には、従来素材対比40%程度の軽量化を実現できることとなる。 【0029】 【実施例】以下、本発明を実施例で具体的に説明する。実施例での評価方法を次に示す。 (1)目付:25cm×25cmの布帛試験片を採取し、平衡水分率以下となるまで十分に乾燥後、20℃、65%RHの室内に24時間放置し、水分平衡とした後に、その試験片の重量を測定する。得られた試験片の重量を1m2 あたりに換算し、布帛片2枚についての平均値で表す。 (2)カバーファクター:カバーファクターは以下の式(1)によって算出した数値である。 【0030】カバーファクター=タテ糸繊度(デニール)1/2 ×タテ密度+ヨコ糸繊度(デニール)1/2 ×ヨコ密度(なお、カバーファクター時繊度はデニール換算で計算したものである)。 【0031】実施例1芯成分に5−ナトリウムスルフォイソフタル酸ジメチルを8.0モル%共重合したポリエステルを用い、鞘成分にナイロン66を用いて、芯鞘複合割合(重量%)を芯成分:鞘成分=30:70として、紡糸速度1300m/分で紡糸した後、3.0倍で通常の延伸を行い、捲縮付与後、カットして、単繊維繊度1.7dtex、繊維長38mmの複合繊維からなる複合繊維原綿を得た。その複合繊維から5番手の紡績糸を作製し、この紡績糸2本引き揃え、タテ糸およびヨコ糸に使用して、エアージェット織機にて製織した。 【0032】こうして得られた生機を染色加工において、精練、リラックス後、苛性ソーダ水溶液50g/リットルの濃度とし、処理温度110℃、処理時間60分、液流染色機を用いて芯成分のポリエステル成分の溶出除去を行った。 【0033】引き続き、通常のナイロン染色100℃、45分で染色を行い、仕上げ後の密度は、タテ20本/インチ×ヨコ10本/インチ、カバーファクターが1384、目付195g/m2 であった。なお、紡績糸の仕上げ繊度は5番手の2本引き揃えであるので10番手である。 【0034】比較例1ナイロン66を100%、すなわち芯鞘複合とはせず、紡糸速度1300m/分で紡糸した後3.0倍で通常の延伸を行い、捲縮付与後カットして、単糸繊度1.7dte×繊維長38mmの原綿を得た。紡績、製織工程、条件を実施例1と同様の平組織の生機を得た。 【0035】上記生機を染色加工において、精練、リラックス後、通常のナイロン染色条件にて加工した。仕上後の密度はタテ20本/インチ×10本/インチ、カバーファクターが1384、目付が280g/m2 であった。以上のの紡績糸織物について評価した結果を表1に示した。 【0036】 【表1】
【0037】 【発明の効果】本発明によれば、従来技術では得られなかった、軽量性と合繊による耐久性を兼ね備え、かつ、スパンナイロン独特のしなやかな風合いも具備した新規な武道着用織物を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003159 【氏名又は名称】東レ株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号
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| 【出願日】 |
平成14年4月4日(2002.4.4) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−301348(P2003−301348A) |
| 【公開日】 |
平成15年10月24日(2003.10.24) |
| 【出願番号】 |
特願2002−102155(P2002−102155) |
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