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【発明の名称】 無撚糸調紡績原糸およびその製造方法
【発明者】 【氏名】佐藤 康典
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区久太郎町2丁目4番31号 倉敷紡績株式会社大阪本社内

【氏名】光岡 寛己
【住所又は居所】香川県丸亀市塩屋町1丁目8番1号 倉敷紡績株式会社丸亀工場内

【氏名】枝松 政則
【住所又は居所】香川県丸亀市塩屋町1丁目8番1号 倉敷紡績株式会社丸亀工場内

【要約】 【課題】従来の無撚糸に較べて構成繊維の脱落が少ない無撚の紡績糸、およびよりコストの低い製造方法を提供する。

【解決手段】可溶性原料からなる短繊維で構成された粗糸または可溶性原料からなる短繊維と非可溶性原料からなる短繊維より構成された粗糸と紡績糸とを、紡績糸の撚り方向と逆方向に加撚して精紡交撚する無撚糸調紡績原糸の製造方法。上記方法によって製造された無撚糸調紡績原糸。無撚糸調紡績原糸を用いて製造した生地を溶解処理して無撚糸中の可溶性成分を溶解除去することによって得られる無撚糸調紡績糸からなる生地または繊維製品。上記製造方法によって得られる無撚糸調紡績糸からなる生地または繊維製品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 可溶性原料からなる短繊維で構成された粗糸と紡績糸とを、紡績糸の撚り方向と逆方向に加撚して精紡交撚する無撚糸調紡績原糸の製造方法。
【請求項2】 可溶性原料からなる短繊維と非可溶性原料からなる短繊維より構成された粗糸と紡績糸とを、紡績糸の撚り方向と逆方向に加撚して精紡交撚する無撚糸調紡績原糸の製造方法。
【請求項3】 可溶性原料からなる短繊維が水溶性ビニロン繊維である請求項1または2に記載の無撚糸調紡績原糸の製造方法。
【請求項4】 可溶性原料からなる短繊維が溶解可能なポリエステル繊維である請求項1または2に記載の無撚糸調紡績原糸の製造方法。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の方法によって製造された無撚糸調紡績原糸。
【請求項6】 請求項5の無撚糸調紡績原糸を用いて製造した生地を溶解処理して無撚糸中の可溶性成分を溶解除去することによって得られる無撚糸調紡績糸からなる生地または繊維製品の製造方法。
【請求項7】 請求項6の方法によって得られる無撚糸調紡績糸からなる生地または繊維製品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無撚糸調の紡績糸の製造方法およびその方法によって製造される無撚糸調の紡績糸に関する。
【0002】
【従来の技術】無撚糸調の紡績糸を製造する方法のひとつとして、紡績糸と水溶性フィラメントとを合撚機にて、紡績糸の撚り方向と逆の方向に撚りを入れて合撚糸を製造し、この合撚糸を用いて製織、製編し、そののち湯水処理によって水溶性フィラメントを溶解除去することにより撚りの解除されたソフトな無撚糸調の製品を得る技術が知られている。このようにして製造された無撚糸は、パイルやループに使用された場合、洗濯等によって脱落が多く、耐摩耗性も悪い傾向にあった。また水溶性フィラメントと紡績糸を合撚するため製造コストが高いものになった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の無撚糸に較べて、構成繊維の脱落が少ない無撚の紡績糸、およびそのより低コスト製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、可溶性原料からなる短繊維で構成された粗糸と紡績糸とを、紡績糸の撚り方向と逆方向に加撚して精紡交撚する無撚糸調紡績原糸の製造方法に関する。また、本発明は、可溶性原料からなる短繊維と非可溶性原料からなる短繊維より構成された粗糸と紡績糸とを、紡績糸の撚り方向と逆方向に加撚して精紡交撚する無撚糸調紡績原糸の製造方法に関する。更に、本発明は上記いずれかに記載の方法によって製造された無撚糸調紡績原糸に関する。加えて、本発明は、上記無撚糸調紡績原糸を用いて製造した織布または編地を溶解処理して無撚糸中の可溶性成分を溶解除去することによって得られる無撚糸調紡績糸からなる生地または繊維製品の製造方法およびそれによって得られる無撚糸調紡績糸からなる生地または繊維製品に関する。
【0005】本発明において、「無撚糸調紡績原糸」とは、可溶性原料からなる短繊維で構成された粗糸、または可溶性原料からなる短繊維と非可溶性原料からなる短繊維撚り構成された粗糸のいずれかと、紡績糸とを加撚し精紡交撚して得られた紡績糸をいい、「無撚糸調紡績糸」とは上記「無撚糸調紡績原糸」を紡績糸の状態または生地とした状態で溶解処理によって可溶性成分を除去した糸をいう。
【0006】本発明の無撚糸調紡績原糸の製造方法では、次の点で製造工程を簡略化できるため、上記の従来の無撚糸製造方法に較べて製造コストが削減できる。即ち、従来の無撚糸調紡績原糸の製造方法では可溶性繊維からなる紡績糸と解撚する紡績糸とを合糸・合撚機にかけるものであるが、本発明の方法では、可溶性粗糸を精紡工程で紡績糸と交撚するだけでよく、合糸、合撚工程を除去できるという利点がある。また、粗糸として可溶性原料からなる短繊維と非可溶性原料からなる短繊維より構成されたものを使用する本発明の第2の態様で製造された無撚糸は、加工工程で可溶性原料の繊維を溶解除去すると、精紡交撚工程で解撚された紡績糸の表面を非可溶性原料の繊維がカバーしているため、無撚状態の紡績糸より繊維の抜け落ちが抑制されるという特徴が付与される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において、無撚糸調とは、完全な無撚糸のみならず、従来の撚糸に比較して撚りの程度が少なく、織物や編物にした場合に従来の撚糸に較べてソフトな感触を呈することのできる紡績糸をいう。また、粗糸とは練条機で出来たスライバーから粗紡機で作られる比較的細長い繊維の集合体を意味し、紡績糸とは粗糸から精紡機で作られる糸を意味する。
【0008】本発明の無撚糸調紡績原糸の製造方法を、図1によって説明する。溶解除去可能な短繊維またはこれに非可溶性の短繊維を通常の紡績工程で粗糸の段階までした単独粗糸または混合繊維粗糸11が、トランペット24を通してバックローラー21に供給され、フロントローラー23との間で、両ローラーの表面速度差によってドラフトが掛けられる。一方通常の紡績工程で紡績された撚りの入った紡績糸12は、紡績糸であるためドラフトされずにフロントロ−ラーに直接供給される。このとき、粗糸11のドラフトされたフリースと紡績糸12とは、ある間隔を保った状態でフロントローラーに供給され、ボビン31に巻き取られながら加撚される段階で精紡交撚される。ここでの加撚は、撚りの方向が紡績糸12の撚りの方向と逆になるように行われるので、紡績された交撚糸は紡績糸12が多かれ少なかれ解撚され、その上に粗糸11が捲き付いた形態となっている。この状態で溶解除去処理を行えば、粗糸またはその中の可溶性繊維成分が除去され、無撚糸調の紡績糸またはこの外側に粗糸中の非可溶性短繊維が捲き付いた無撚糸調の紡績糸が得られる。
【0009】上記の無撚糸調紡績原糸を用いて生地を編み立てまたは織り上げたのち、溶解除去処理に付すことにより、無撚糸調の紡績糸からなる、しがたってソフトな風合いを持った生地または繊維製品を製造することができる。この製品においては製造段階で紡績糸12加わる逆撚回数が少ない場合は解撚程度が少ないため無撚糸調が弱く、多い場合は解撚度が大きいため無撚糸調が強い製品となる。
【0010】本発明において、可溶性原料からなる短繊維としては、水やアルカリ水溶液または他の溶剤や溶液によって溶解除去できる繊維、および分解により除去できる繊維が含まれる。溶解による除去可能な可溶性繊維としては、例えば、水溶性ポリビニルアルコ−ル系繊維や易アルカリ溶解性ポリエステル系繊維等が使用できる。したがって該可溶性繊維は熱湯、水またはアルカリにより溶解除去することができる。水溶性繊維としては、特に水溶性ポリビニルアルコ−ル系繊維が好ましい。また原料の一方である撚りの入った紡績糸12を構成する繊維としてはポリエステル系繊維、ポリアクリル繊維、レーヨン繊維、綿、羊毛、絹、麻等の合成繊維ないし天然繊維を適宜選択することができる。
【0011】粗糸として、可溶性短繊維と非可溶性繊維の混合糸を使用する場合、可溶性短繊維と非可溶性短繊維の混合比は重量で、1:1〜5:1、好ましくは3:2〜3:1である。粗糸における可溶性短繊維と非可溶性短繊維の混合比が1:1よりも可溶性繊維の割合が小さくなると最終製品の風合いが十分ソフトでなくなり、逆に5:1より大きくなると繊維の脱落防止効果の程度が少なくなる。非可溶性繊維としてはポリエステル系繊維、ポリアクリル繊維、レーヨン繊維、綿、羊毛、絹、麻等の合成繊維ないし天然繊維を適宜選択することができる。
【0012】
【実施例】以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に、且つより具体的に説明する。
実施例 1綿繊維と水溶性ビニロン短繊維とが重量比で3:2で構成された粗糸と綿100%紡績糸(撚数17回/inch)の20単糸とを、重量比で80:20の割合で組合せて精紡工程にかけ、綿100%紡績糸(20単糸)の撚方向と逆方向へ撚数14回/inchで交撚して揚がり番手が16番手の無撚糸調紡績原糸を作成した。その糸をタオルのパイルに使用しタオルを作成した。作成したタオルについて、吸水性能、毛羽落ち性および風合いを評価した。性能評価結果を表1に示した。
【0013】それぞれの評価方法は次の通りである:〔毛羽落ち性〕次に記載するJIS L 0217-103法にしたがって行なった。家庭用電気洗濯機(ナショナル社製、NA-W40Y20)の試験装置の水槽の一番上の水位線まで液温40℃の水を入れ、これに水1Lに対して2gの割合で衣料用合成洗剤を添加し溶解して、洗濯液とする。この洗濯液に浴比が1:30になるように試料および必要に応じて負荷布を入れ、運転を開始する。5分間処理した後運転を止め、試料および負荷布を脱水機で脱水し、洗濯液を常温の新しい水の替え、同一の浴比で2分間すすぎを行う。終わったら再び脱水してもう一度2分間すすぎ洗いして脱水乾燥する。この工程中に毛羽の回収を行い、乾燥重量を秤り、もとの試料の重量で割って100を掛け、%を算出する。
〔吸水性能〕
改良ラロース゛法(大阪府立産業技術総合研究所報告 技術資料 No.4,1994に記載)による。〔風合い〕
人手による感触評価。
風合いの判定基準は次の通りである:◎:非常に柔らかい、○:柔らかい、△:やや堅い、×:堅い。
【0014】比較例 1実施例1で用いた綿繊維100%の紡績糸(20番手)と水溶性ビニロンフィラメント(75d/20f)とを、合撚機にかけて、綿紡績糸の撚り方向と逆の方向に14回/inchの撚りを入れて合撚糸を製造した。この糸を用いて実施例1と同様にタオルを作成し、その性能を実施例と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0015】また、比較として、通常の紡績糸である実施例1で用いた撚り数17回/inchの綿紡績糸を用いて作成したタオル(比較例2)についてもその性能を評価しその結果を表1に記載した。
【0016】
【表1】

【0017】
【発明の効果】本発明の方法によって得られた無撚糸調紡績糸で構成される生地は従来の紡績糸から得られる生地と異なり、風合いがソフトであり且つ無撚糸の欠点であった繊維の抜けや脱落が少ないため、タオルや肌着等として有用である。また本発明の無撚糸調紡績原糸の製造方法はこれまでの可溶性長繊維と合撚する方法に較べて低い製造コストで製造することができる。
【出願人】 【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
【住所又は居所】岡山県倉敷市本町7番1号
【出願日】 平成14年4月17日(2002.4.17)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外2名)
【公開番号】 特開2003−306840(P2003−306840A)
【公開日】 平成15年10月31日(2003.10.31)
【出願番号】 特願2002−115102(P2002−115102)