| 【発明の名称】 |
先染糸の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】山崎 博 【住所又は居所】大阪府高槻市八丁畷町11番7号 旭化成株式会社内
【氏名】池田 昌孝 【住所又は居所】大阪府高槻市八丁畷町11番7号 旭化成株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】適度な捲縮を有し、織編物に用いても風合がソフトで、ストレッチ性と適度な膨らみ感がある織編物を形成することのできるニットデニット先染糸の生産性に優れた製造方法を提供する。
【解決手段】ポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる糸条で編地を作成し、該編地を染色処理後に解編することを特徴とするニットデニット先染糸の製造方法。染色処理をパッケージ染色機で行うことが好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる糸条で編地を作成し、該編地を染色処理した後に解編することを特徴とするニットデニット先染糸の製造方法。 【請求項2】 染色処理をパッケージ染色機で行うことを特徴とする請求項1記載のニットデニット先染糸の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ポリトリメチレンテレフタレート繊維からなるニットデニット先染糸の製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、ナイロン繊維の持つ柔軟性とポリエステル繊維の持つ機械的物性を有し、ストレッチ性(伸び易さと伸びた後の回復のしやすさ)に優れた特徴ある繊維であり、主に衣料用途として好適に用いられている。 【0003】現在、衣料用分野において、ポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成された織編物は、織編物にした後に染色が施された、いわゆる反染めがなされており、柔軟な風合いやストレッチ性に優れた織編物が得られている。また、仮撚加工等の糸加工によって捲縮を付与したポリトリメチレンテレフタレート繊維を用いて、反染めにより、ストレッチ性や膨らみ感に優れた織編物が得られている。 【0004】しかしながら、反染めでは、糸−糸間で配色を変えて模様を形成するというような、高級感のあるファッション性に優れた織編物は得ることができないと云う問題があった。その為、糸条で染色した後に織編物にする、いわゆる先染糸による織編物に対する要望が高まってきているが、ポリトリメチレンテレフタレート繊維が本来有する柔軟な風合いやストレッチ性を十分に生かし、織編物用途に適した先染糸はこれ迄得られていない。 【0005】一方、仮撚加工等の糸加工によって捲縮を付与したポリトリメチレンテレフタレート繊維を、通常の方法で先染して得られた先染糸は、捲縮伸長率が十分とはいえず、織編物にした場合、反染めによって得られた織編物に比べて、ストレッチ性や膨らみ感に劣る織編物しか得られていない。その為、ストレッチ性及び膨らみ感に優れた織編物を得ることが出来るような、捲縮伸長率の高い先染糸が要望されている。 【0006】従来、先染糸を用いて、膨らみ感を有する織編物を得るためには、仮撚加工等によって捲縮を付与する糸加工を施した糸条を、チーズ状やカセ状で染色して得られた先染糸を用いる方法が一般的である。 【0007】しかしながら、特に捲縮加工を施した糸条は、繊度が小さいと、チーズ染色では十分に捲縮を発現できないため、捲縮の乏しい先染糸となる場合があり、また、カセ染色では染色中にカセが絡みやすいことや繊度が細いため、糸条自身の強度が低く、コーンアップ時に糸切れ等が発生する等の問題が発生し、生産がきわめて困難となる場合があった。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、適度な捲縮を有し、風合がソフトで、ストレッチ性と適度な膨らみ感がある織編物を形成することのできる、ポリトリメチレンテレフタレート繊維からなるニットデニット先染糸の生産性に優れた製造方法を提供する事にある。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、本発明をなすに至った。 【0010】即ち、本発明は下記の通りである。 【0011】1.ポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる糸条で編地を作成し、該編地を染色処理した後に解編することを特徴とするニットデニット先染糸の製造方法。 【0012】2.染色処理をパッケージ染色機で行うことを特徴とする上記1記載のニットデニット先染糸の製造方法。 【0013】以下、本発明につき詳述する。 【0014】本発明において、ポリトリメチレンテレフタレート繊維とは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル繊維をいい、トリメチレンテレフタレート単位を好ましくは約50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上含有するものをいう。従って、第三成分として、他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が、好ましくは約50モル%以下、より好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下、最も好ましくは10モル%以下の範囲で含有したポリトリメチレンテレフタレートを包含する。 【0015】ポリトリメチレンテレフタレート繊維の好ましい特性としては、強度は2〜5cN/dtexが好ましく、より好ましくは2.5〜4.5cN/dtex、さらに好ましくは3〜4.5cN/dtexである。伸度は好ましくは30〜60%、より好ましくは35〜55%、さらに好ましくは40〜55%である。弾性率は好ましくは30cN/dtex以下、より好ましくは10〜30cN/dtex、さらに好ましくは12〜28cN/dtex、特に好ましくは15〜25cN/dtexである。10%伸長時の弾性回復率は、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上である。 【0016】ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に結合せしめることにより合成される。この合成過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよい。また、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステルやナイロンと、ポリトリメチレンテレフタレートとをブレンドしたり、複合紡糸(鞘芯、サイドバイサイド等)してもよい。 【0017】複合紡糸に関しては、特公昭43−19108号公報、特開平11−189923号公報、特開2000−239927号公報、特開2000−256918号公報等に例示されるような、第一成分がポリトリメチレンテレフタレートであり、第二成分がポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルあるいはナイロンを、並列的あるいは偏芯的に配置したサイドバイサイド型又は偏芯シースコア型に複合紡糸したものがあり、なかでも、ポリトリメチレンテレフタレートと共重合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせや、極限粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせが好ましく、特に、特開2000−239927号公報に例示されるような極限粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを用い、低粘度側が高粘度側を包み込むように接合面形状が湾曲しているサイドバイサイド型に複合紡糸したものが、高度のストレッチ性と嵩高性を兼備するものであり特に好ましい。 【0018】添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(p−オキシ安息香酸等)等がある。又、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も、重合体が実質的に線状である範囲内で使用出来る。 【0019】さらに、二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。 【0020】本発明において、ポリトリメチレンテレフタレート繊維の紡糸については、例えば特願2000−522304号等に記載されているように、1500m/分程度の巻取り速度で未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延撚する方法、紡糸−延撚工程を直結した直延法(スピンドロー法)、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)等の何れを採用しても良い。 【0021】繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、断面においても、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。 【0022】さらに糸条の形態としては、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸等の紡績糸、単糸繊度が0.1〜5.5dtex程度のマルチフィラメント原糸(極細糸を含む)、甘撚糸〜強撚糸、混繊糸、仮撚糸(POYの延伸仮撚糸を含む)、空気噴射加工糸等が例示される。 【0023】糸条のトータル繊度としては、10〜500dtexが好ましく、更に好ましくは30〜300dtexである。 【0024】尚、ポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる糸条には、本発明の目的を損なわない範囲内で、通常30wt%以下の範囲内で、ウールに代表される天然繊維等他の繊維を、混紡(サイロスパンやサイロフィル等)、交絡混繊(高収縮糸との異収縮混繊糸等)、交撚、複合仮撚(伸度差仮撚等)、2フィード空気噴射加工等の手段で混用してもよい。 【0025】本発明の製造方法は、まず、ポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる糸条で編地を作成し、該編地を染色処理した後に解編(デニット)して、ポリトリメチレンテレフタレート繊維からなるニットデニット先染糸を得ることを特徴とする。このような方法を採用することにより、ニットループが固定されたニットデニット先染糸を得ることができるため、織編物に用いると風合がソフトでストレッチ性と適度な膨らみ感が得られる。さらには、仮撚加工糸に比べて大きなクリンプを有しているため、横編地等に用いるとこのクリンプによって梨地調の独特な表面感を得ることができる。なお、解編して、目的とするポリトリメチレンテレフタレート繊維からなるニットデニット先染糸が得られる限り、編地を作成する際に、ポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる糸条と共に他の糸条を併用してもかまわない。 【0026】編地を作成する編機としては、シングル編機が好ましく、ゲージは10〜42ゲージ、より好ましくは18〜38ゲージである。ゲージがこの範囲であると、ニットループが適度であるため、優れた捲縮が得られ、糸切れもほとんど発生しない。 【0027】また、編機の釜径としては、直径5.05〜20.32cm(2〜8インチ)、より好ましくは7.62〜12.7cm(3〜5インチ)である。釜径がこの範囲であると、解編時に糸切れの発生がほとんど無く、また、適度な時間で必要量を編み立てることが出来るので経済的である。 【0028】尚、編み立て時の度目については特に限定されるものではなく、目的とする捲縮レベルが得られ、解編での解舒が可能な範囲で任意に調整すればよい。通常、編下ろしした編地のコース/ウエールの値が0.6〜1.8の範囲内となるようにすればよい。尚、コース、ウエールはJIS L−1018の密度の測定に準拠して測定した値である。 【0029】本発明において、編地を染色するための染色装置としては、パッケージ染色機が、染色時に編地同士が擦れ合って単糸等が切れることがなく、編地のデニットが容易となり、また、捲縮の均一性、均染性にも優れたものとなるので好ましい。染色の条件等は特に限定されるものでは無く、常法に従って染色すれば良い。例えば、ドーナツ型キャリヤーや多段キャリヤー等に充填密度0.05〜0.6g/cm3で詰め込み、流量を20〜100リットル/分で染色すれば良く、一般に行われている、ポリエチレンテレフタレート繊維を分散染料や蛍光染料等を用いて染色する方法を採用すれば良い。 【0030】染色温度は90〜130℃が好ましく、時間は15〜120分が好ましい。ポリトリメチレンテレフタレート繊維はガラス転移点が低いので、90〜120℃のように、従来のポリエチレンテレフタレート繊維の場合よりも低温で染色しても、優れた発色性が得られるという特徴がある。 【0031】液流染色機等、編地をコース方向に循環しながら染色するタイプの染色機を用いると、特に、仮撚加工糸等の捲縮糸条からなる編地では、染色中に編地が引張られて捲縮が伸ばされるため、染色後の編地を解編して得られた先染糸の捲縮伸長率が劣る場合がある。 【0032】パッケージ染色する場合には、編地の収縮が大きすぎると染色斑等が発生する場合があるので、予め、極力張力を掛けない状態で、乾熱、湿熱、熱水中の液セット等で編地の収縮を十分抑えておくことが好ましい。例えば、熱風乾燥機を用いた80〜160℃の乾熱セット、スチームセッターを用いた50〜150℃の湿熱セット、ステンレスバス、パドル染色機、ドラム染色機等の編地が拘束されず、且つ、編地をコース方向に走行させない装置を用いた50〜140℃の熱水中の液セット等が挙げられ、処理時間は5秒〜120分の範囲で適宜選定すればよい。 【0033】本発明では、編地の解編時の解舒性や、先染糸の製織、製編性を向上するために、編地形態で一般に市販されているオイリング油剤等を付与しても構わない。 【0034】デニット後のコーン巻き等については常法に従って行えばよいが、ワインダーとしてはクイックトラバース方式のものが好ましく、巻硬度は30〜70度が、織編物に用いる場合の解舒が良好になるので好ましい。 【0035】本発明の方法で製造されたニットデニット先染糸は、10%伸長時の弾性回復率が60%以上であることが好ましく、特に好ましくは70%以上95%以下である。この範囲であるとストレッチ性が優れた織編物を得ることが出来る。 【0036】さらには、捲縮伸長率が5%以上であることが好ましく、より好ましくは15〜500%、更に好ましくは20〜300%、特に好ましくは50〜150%である。捲縮伸長率がこの範囲であると、ストレッチ性や膨らみ感に優れた織編物が得られる。尚、ここで云う捲縮伸長率は、2.6×10-4cN/dtexの荷重下で、乾熱90℃×15分処理を行い、一昼夜放置した後、JIS−L−1090 伸縮性試験方法(A法)に準じて測定したものである。 【0037】特に、捲縮伸長率の高い先染糸を得るためには、ポリトリメチレンテレフタレート繊維の捲縮糸を用いることが好ましい。 【0038】捲縮糸としては、顕在捲縮及び/又は潜在捲縮を有する複合繊維糸条(鞘芯やサイドバイサイド等に複合紡糸した糸条)や、仮撚加工、押し込み加工、ニットデニット加工等で捲縮を付与したものが例示される。 【0039】特に、捲縮糸としては、高い捲縮伸長率が得られやすい仮撚加工糸が好ましい。仮撚加工は、一般に用いられているピンタイプ、フリクションタイプ、ニップベルトタイプ、エアー加撚タイプ等いかなる方法によるものでもよい。また、1ヒーター仮撚、2ヒーター仮撚のいずれであってもよい。さらにPOYの延伸仮撚であってもよい。 【0040】仮撚ヒーター温度は、本発明の目的が達成できる範囲で任意に設定することができ、一般的には、第1ヒーターの出口直後の糸条温度を100℃以上200℃以下とすることが好ましく、より好ましくは120℃以上180℃以下、特に好ましくは130℃以上170℃以下の範囲である。 【0041】また、必要に応じて、第2ヒーターで熱セットして、2ヒーター仮撚糸としても良い。第2ヒーター温度は、100℃以上210℃以下が好ましく、より好ましくは第1ヒーターの出口直後の糸条温度に対して−30℃以上、+50℃以下の範囲である。第2ヒーター内のオーバーフィード率(第2オーバーフィード率)は+3%以上、+30%以下とするのが好ましい。 【0042】仮撚数Tは、ポリエチレンテレフタレート系ポリエステル繊維の仮撚加工で通常に用いられる範囲でよく、下記式で計算される。この場合、仮撚数の係数Kの値が17600〜35000の範囲であることが好ましく、仮撚加工糸によって好ましい仮撚数Tが決定される。 【0043】 T(T/m)=K/{仮撚加工糸の繊度(dtex)}0.5また、別の好ましい捲縮糸として、顕在捲縮及び又は潜在捲縮を有する複合繊維が挙げられる。その中でも、極限粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを用い、低粘度側が高粘度側を包み込むように接合面形状が湾曲しているサイドバイサイド型に複合紡糸した複合繊維を用いると、仮撚加工糸と同程度の高い捲縮を有する先染糸が得られるだけでなく、仮撚加工糸特有の残留トルクが無く、得られた先染糸は、織編物に用いても生地の斜行等が発生しないので好ましい。さらに、捲縮付与工程が省略化できるので、コストの合理化も可能となる。 【0044】本発明で用いるポリトリメチレンテレフタレート繊維には、解編時の解舒性やニットデニット先染糸の取り扱い性を向上させる目的で、撚糸(追撚)を行っても構わない。 【0045】撚糸回数としては、好ましくは50〜1500T/m、より好ましくは50〜300T/mである。追撚を上記の範囲で行うことにより、解編時の糸条同士の絡み合いを抑えられ、コーン巻きする工程での糸切れが軽減されるので好ましい。特に、仮撚加工を施した捲縮糸を用いる場合、仮撚方向と逆方向に撚糸を行うと、先染糸の捲縮伸長率を高くすることができるので好ましい。 【0046】撚糸装置としては特に限定されるものではなく、イタリー撚糸機、リング撚糸機、ダブルツイスター等を使用することができる。 【0047】撚糸数が多い場合には、撚り止めセットを行っても構わない。その場合、ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、緊張状態では撚り止めセットが効きにくいことから、糸条を弛緩しながら撚り止めセットを行う方法を採用することが好ましい。例えば、アルミニウム製つば付きのシリンダー内層に段ボール製のダミークッション材を巻いた上に巻き返しを行って、十分に糸条を弛緩させながら撚り止めセットを行う方法等がある。その巻量としては、糸管巻きにおいてはセットをする事によって巻形態が崩れない程度にすればかまわない。セットを十分に効かせるためには、0.1cN/dtex以下の巻張力で巻くことが好ましい。 【0048】セットを行う場合は、通常、真空セッター等の装置を用いることができる。充分なセット効果と捲縮の発現、およびエネルギー的な効率の点から、処理温度は60〜110℃が好ましく、また、処理時間は通常10〜60分が好ましい。 【0049】本発明の製造方法により得られるニットデニット先染糸は、編物、織物等の如何なるものに使用することができ、ストレッチ性や膨らみ感に優れた織編物を得ることができる。また、コーン巻きでは、ある程度捲縮が伸ばされて巻かれている為、織編物にした後にシュリンクサーファー、タンブラー、ホフマン仕上げ等で70〜170℃の熱リラックスをすると、更にストレッチ性や膨らみ感が向上する。 【0050】本発明の製造方法により得られる先染糸は、織物(タフタ、ツイル、サテン並びに各種の変化組織)や編物(経編、丸編、横編、パンスト編等)に使用することができ、また、カーペットの表面(立毛部)にも使用することができる。特に、横編み用の糸として用いると、横編地をホフマンプレス仕上げでセットすることが容易になるという利点がある。編物の組織としては、天竺、天竺かのこ、ゴム、パール、両面、ポンチローマ、ミラノリブ及びこれら変化組織等が例示され、製品の目的に応じて適宜選定すればよい。 【0051】尚、本発明の製造方法により得られる先染糸は、ウール、綿、麻、絹等に代表される天然繊維、ビスコースレーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維、アセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、アクリルに代表される合成繊維等のいかなる繊維(原糸や先染糸も含む)と糸複合(合撚、カバリング、仮撚、流体噴射加工、精紡交撚等)してもよく、交織、交編してもも構わない。 【0052】 【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。 【0053】なお、測定方法、評価方法等は以下の通りである。 【0054】(1)固有粘度固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。 【0055】 【数1】
式中、ηrは純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸又はポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。 【0056】(2)強伸度特性東洋ボールドウィン社製テンシロンを用い、試料長20cm、引張速度20cm/分の条件で、引張強度(cN/dtex)、引張伸度(%)、引張抵抗度(cN/dtex)を測定した。また、応力−歪み曲線から0.8826cN/dtex荷重下での伸び(%)を測定した。 【0057】(3)捲縮伸長率繊維に2.6×10-4cN/dtexの荷重を加えた状態で、タバイ社製パーフェクトオーブンにて乾熱90℃×15分処理を行い、一昼夜放置した後、JIS−L−1090 伸縮性試験方法(A法)に準じて測定した。 【0058】(4)弾性回復率繊維を、チャック間距離20cmで0.0294cN/dtexの初荷重をかけて引張試験機に取り付け、引張速度20cm/分で伸長率20%伸長し、1分間放置した。その後、再び同じ速度で収縮させ、応力−歪み曲線を描く。収縮中に応力が0.0294cN/dtexになった時の伸びを残留伸び(A)とする。 【0059】20%伸長時の弾性回復率は下記の式に従って求めた。 【0060】20%伸長時の弾性回復率(%)=〔(20−A)/20〕×100また、10%伸長時の弾性回復率は、初荷重及び残留伸びを読み取る応力を0.08826cN/dtexとし、伸長率を10%として、上記と同様に行い、下記の式に従って求めた。 【0061】10%伸長時の弾性回復率(%)=〔(10−A)/10〕×100(5)横編地のストレッチ性JIS−L−1018の伸長弾性率測定法(A法:定伸長法)に準拠して行った。 【0062】自記装置付定速引張試験機を用い、10cm幅×15cm長さの試験片を用い、初荷重2.942cNをかけた後、つかみ幅2.5cm、つかみ間距離10cmで、速度10cm/分で伸長率100%になるまで伸長し、1分間放置する。その後、再び同じ速度で収縮させ、応力−歪み曲線を描き、収縮中に応力が初荷重と同じ応力になった時の残留伸びをL(mm)として、下記の式に従って回復率を求めた。 【0063】 回復率(%)=〔(100−L)/100〕×100得られた横編地の回復率から、ストレッチ性を下記の基準に従いランク付けを行った。 【0064】◎:回復率が90%を越える。 【0065】 ○:回復率が85%以上90%未満△:回復率が80%以上85%未満×:回復率が70%未満(6)横編地の風合い、膨らみ感繊維の研究に従事する10人の検査員によって手触りによる官能検査を行い、下記のランク付けを行った。 【0066】<風合い>○:ソフトと感じる。 【0067】△:ややソフトと感じる。 【0068】×:硬いと感じる。 【0069】<横編地の膨らみ感>○:膨らみ感がある。 【0070】△:やや膨らみ感がある。 【0071】×:膨らみ感がない。 【0072】〔実施例1〕固有粘度[η]0.92のポリトリメチレンテレフタレートを用い、紡糸温度265℃、紡糸速度1200m/分で紡糸して未延伸糸を得、次いで、ホットロール温度60℃、ホットプレート温度140℃、延伸倍率3倍、延伸速度800m/分で延撚して、56dtex/24fの延伸糸(原糸)を得た。延伸糸の強伸度、初期引張抵抗度並びに20%伸長時の弾性回復率は、各々3.3cN/dtex、46%、20cN/dtex並びに85%であった。 【0073】得られた56dtex/24fのポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント原糸を筒編機(英光産業(株)社製:型式NCR−B、釜径3.5インチ(8.9cm))を用いて、32ゲージ、編下ろし後の編地コース/ウエール比が1.2となる様にして、筒編地を0.5kg作成し、無緊張下でオートクレーブにて100℃、20分間湿熱セットを行った。 【0074】この編地を、パッケージ染色機(日阪製作所(株)製)に充填密度0.4g/cm3に詰め込みセットし、花王社製スコアロールFC−250(1g/リットル)で、60℃で10分間精練を行った。 【0075】精練後、脱水、水洗を行い、分散染料(ダイスター(株)社製、DianixBlue AC−E:1%omf)、分散剤(明成化学工業(株)社製、ディスパーTL:0.5g/リットル)を加え、更に酢酸にてpH5に調整した浴にて120℃で30分染色を行った。染色後、脱液、水洗を行い水酸化ナトリウム1g/リットル、ハイドロサルファイト1g/リットル、サンモールRC−700(日華化学社製)1g/リットルにて、80℃で20分間還元洗浄を行った。還元洗浄後、脱液、中和水洗を行い、シリコーン系柔軟剤(ロンサイズK−22、一方社(株)製)を5%omf添加し、50℃で20分オイリング処理を行った。 【0076】脱水後、乾燥して、染色された筒編地を解編しながら石川製作所(株)社製のワインダーでコーンに巻き上げて先染糸を得た。得られた先染糸の物性を表1に示す。 【0077】この先染糸を横編機(コッポ(株)製、12ゲージ)に3本引き揃え、天竺組織の横編地を作成し、ホフマンプレス機(神戸電気工業(株)製、神戸プレス)にてスチーム仕上げを行って横編地を得た。得られた横編地の布帛特性は表1に示す。 【0078】得られた先染糸は、捲縮伸長率が高く、10%伸長時の回復率も優れており、また、この先染糸を用いた横編地は、風合いがソフトで膨らみ感があって、ストレッチ性に優れており、生地表面も梨地調のファッション性に富んだものであった。 【0079】〔実施例2〕実施例1で得た56dtex/24fのポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント原糸を、石川製作所(株)社製のピン仮撚機IVF338を用いて、糸速190m/分、仮撚数3800T/m、仮撚方向Z、仮撚加工温度170℃、1stフィード0.0%、TUフィード4.1%の条件で仮撚加工を施した。 【0080】得られた仮撚糸を用い、実施例1と同様にして先染糸と横編地を得た。得られた先染糸並びに横編地の物性を表1に示す。 【0081】得られた先染糸は捲縮伸長率が高く、横編地の風合はソフトで、膨らみ感もあり、ストレッチ性も良好なものであった。 【0082】〔実施例3〕固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを質量比1:1でサイドバイサイド型に押出し、紡糸温度265℃、紡糸速度1500m/分で未延伸糸を得、次いで、ホットロール温度55℃、ホットプレート温度140℃、延伸速度400m/分、延伸倍率は延伸後の繊度が84dtexとなるように設定して延撚し、84dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントの原糸を得た。得られた原糸の固有粘度は、高粘度側が[η]=0.88、低粘度側が[η]=0.70であった。この原糸の強伸度、初期引張抵抗度並びに20%伸長時の弾性回復率は、各々2.6cN/dtex、32%、25cN/dtex並びに82%であった。 【0083】得られた原糸に、イタリー撚糸機にてS方向に120T/mの加撚を施した。 【0084】この糸を用いて、筒編機のゲージを28ゲージ、編下ろし後の編地コース/ウエール比が1.0となる様にした以外は、実施例1と同様にして筒編地を得た。 【0085】得られた筒編地を、(株)テクサム技研社製のロータリー染色機(RD−600)にて80℃で20分間熱水中の液セットを行った。 【0086】この編地を実施例1と同様にして精練、染色、還元洗浄、オイリング、解編を行って先染糸を得た。得られた先染糸の物性を表1に示す。 【0087】得られた先染糸を用い、引き揃え本数を2本に変更した以外、実施例1と同様にして横編地を得た。得られた横編地の布帛特性を表1に示す。 【0088】得られた先染糸は、残留トルクが小さく、捲縮伸長率が高く、10%伸長時の回復率も優れており、横編地は、風合がソフトで膨らみ感があって、ストレッチ性に優れたものであった。 【0089】〔比較例1〕実施例1において、56dtex/24fのポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント原糸の代わりに56dtex/24fポリエチレンテレフタレート原糸(旭化成(株)社製、強度3.9cN/dtex、伸度35%、初期引張抵抗度97cN/dtex、20%伸長時の弾性回復率25%)を用い、染色温度を130℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして先染糸と横編地を得た。得られた先染糸並びに横編地の物性を表1に示す。 【0090】得られた先染糸は、10%伸長時の回復率が劣っているため、この先染糸を用いた横編地は、ストレッチ性に劣り、風合いも硬いものであった。 【0091】〔比較例2〕実施例1と同様にして、編地を湿熱セットした後にデニットをして得られた糸条を、神津社製のソフトワインダーを用い、紙管径72mmの染色チューブに、巻き密度0.40g/cm3で0.5kg巻きし、チーズ染色機(日阪製作所(株)製、小型チーズ染色機)にセットし、花王社製スコアロールFC−250(1g/リットル)を添加して、流量40リットル/分で常温から2℃/分の昇温速度で60℃まで昇温し、60℃で10分間精練を行った。 【0092】精練後、脱水、水洗を行い,分散染料(ダイスター(株)社製、DianixBlue AC−E)1%omf、分散剤(明成化学工業(株)社製、ディスパーTL)0.5g/リットルを加え、更に酢酸にてpH5に調整した後、120℃で30分間染色を行った。染色後、脱水、水洗を行い、水酸化ナトリウム1g/リットル、ハイドロサルファイト1g/リットル、サンモールRC−700(日華化学社製)1g/リットルにて、流量40リットル/分で、昇温速度2℃/分で80℃まで昇温し、80℃で20分間還元洗浄を行った。 【0093】還元洗浄後、脱液、中和水洗を行い、シリコーン系柔軟剤(ロンサイズK−22、一方社(株)製)を5%omf添加し、50℃で20分間オイリング処理を行った。脱水後、乾燥を行って先染糸を得た。得られた先染糸の物性を表1に示す。 【0094】得られた先染糸を実施例1と同様にして横編地を得た。得られた横編地の物性を表1に示す。 【0095】得られた先染糸は捲縮伸長率が低く、また、横編地の風合はソフトで、ストレッチ性も良好であったが、膨らみ感に欠けるものであり、生地表面もフラットなものであった。 【0096】〔実施例4〕実施例2において、染色機を液流染色機に変更し、90℃×30分間精練後、水洗、染色120℃×20分、水洗、乾燥を行った以外は、実施例2と同様にして先染糸を得た。得られた先染糸の物性を表1に示す。 【0097】得られた先染糸は、染色時に編地がコース方向に伸ばされているため、実施例2のものと比べて捲縮伸長率、捲縮の均一性がやや劣り、染色で編地が擦られているため解編時に糸切れがしばしば起こり、生産性がやや劣るものであった。 【0098】得られた先染糸を実施例1と同様にして横編地を得た。得られた先染糸と横編地の物性を表1に示す。 【0099】得られた横編地の風合はソフトで、ストレッチ性も良好であったが、糸長方向に捲縮斑が少しあるため生地表面品位がやや劣るものであった。 【0100】 【表1】
【発明の効果】本発明の製造方法は、適度な捲縮を有するニットデニット先染糸を、優れた生産性で製造することができる。本発明により得られるニットデニット先染糸は、織編物に用いた場合、風合がソフトでストレッチ性と適度な膨らみ感がある織編物を形成することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000033 【氏名又は名称】旭化成株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜1丁目2番6号
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| 【出願日】 |
平成13年11月19日(2001.11.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077517 【弁理士】 【氏名又は名称】石田 敬 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−155632(P2003−155632A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月30日(2003.5.30) |
| 【出願番号】 |
特願2001−353467(P2001−353467) |
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