| 【発明の名称】 |
吸湿性に優れたポリエステル繊維 |
| 【発明者】 |
【氏名】成瀬 恵寛 【住所又は居所】静岡県三島市4845番地 東レ株式会社三島工場内
【氏名】佐々木 敏弘 【住所又は居所】静岡県三島市4845番地 東レ株式会社三島工場内
【氏名】長野 達也 【住所又は居所】静岡県三島市4845番地 東レ株式会社三島工場内
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| 【要約】 |
【課題】吸湿性が高く、織編物等として下着、スポーツウェア、裏地等の快適素材として用いることができるポリエステル繊維を得ることを課題とする。
【解決手段】シリカ系無機粒子を含有したポリエステル繊維であって吸湿性に優れたポリエステル繊維によって解決できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】下記A〜Dを満足するシリカ系無機粒子を1〜20重量%含有したポリエステル繊維であって、該繊維の吸湿パラメーター(ΔMR)が2%以上であることを特徴とする吸湿性に優れたポリエステル繊維。 A.シリカ系無機粒子の細孔容積V(ml/g)が0.5以上であり、かつ該粒子の比表面積S(m2/g)との関係が 次式を満足すること。 100≦S/V<1500B.シリカ系無機粒子の平均粒径(μm)が0.01〜10であること。 C.シリカ系無機粒子の吸湿パラメーター(ΔMR)が7%以上であること。 D.4μm以上の粗大粒子の含有量が5%以下であること。 【請求項2】シリカ系無機粒子として該粒子表面に存在するシラノール基の数が3個/nm2以上である粒子を含有することを特徴とする請求項1記載の吸湿性に優れたポリエステル繊維。 【請求項3】ポリエステルとして、その80モル%以上がアルキレンテレフタレート繰り返し単位からなるポリエステルであることを特徴とする請求項1または2記載の吸湿性に優れたポリエステル繊維。 【請求項4】ポリエステルの全酸成分に対して0.5〜20モル%のスルホイソフタル酸金属塩成分を共重合したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の吸湿性に優れたポリエステル繊維。 【請求項5】ポリエステルに対し分子量600〜20000のポリオキシアルキレングリコールを0.5〜15重量%共重合したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の吸湿性に優れたポリエステル繊維。 【請求項6】シリカ系無機粒子において、平均細孔径が1〜15nmであることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のポリエステル繊維。 【請求項7】シリカ系無機粒子において、1〜20nmまでの径を持つ細孔の容積の積算値が全細孔容積の90%以上を占めることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載のポリエステル繊維。 【請求項8】ポリエステル中のジエチレングリコール(DEG)含有量が2wt%以下、カルボキシル末端基量が10〜50当量/tであることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項記載のポリエステル繊維。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は吸湿性に優れたポリエステル繊維に関する。より詳しくは、吸湿性、耐熱性、耐候性等に優れるため、着用快適性を有する合成繊維用途や帯電防止性を有するポリエステル繊維に関する。 【0002】 【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートを始めとするいわいるポリエステルは、強度や熱安定性、耐薬品性などに優れるため、繊維やフィルム、組成物などの用途に広く用いられている。しかし、ポリエチレンテレフタレートは本質的に疎水性であるため、きわめて吸放湿性に乏しく、衣服として用いられる場合には、高湿時において“むれ感”を生じたり、冬場の低湿時には静電気を生じたりと、着用快適性においては好ましい素材とはいえない。また、樹脂やフィルムなどとして用いられる際にも低吸湿性のため帯電し、問題となることがある。 【0003】この欠点を解消するため、例えば特開昭48-8270号公報に提案されているように、側鎖にオキシアルキレングリコールを有するジオールの共重合、特開平2-26985号公報におけるスルホン酸金属塩含有ジカルボン酸の共重合など、吸湿性能を有する化合物をポリエステルに共重合する方法が提案されている。しかし吸湿成分を共重合することによってポリマー全体が改質されてしまい、耐候性が低下したり、優れた機械的特性というポリエステルの持つ本来の利点が失われてしまうという大きな問題を抱えている。 【0004】また、特公昭59-17224号公報にみられるように、ポリエステル繊維にアクリル酸やメタアクリル酸をグラフト重合して、それらのカルボキシル基をアルカリ金属で置換することにより吸湿性を付与する方法が知られている。しかし、耐光性の低下、吸湿部分が組成物あるいは繊維表層に付着していることによるぬめりの発生や経時的な強度低下の問題を有していることから、実用化には至っていない。 【0005】これらの問題を解決するため、繊維用途においては高い吸湿性を有する吸湿性樹脂を芯部とし、ポリエステルの鞘部で覆った芯鞘型複合繊維が特開平2-99612号公報、特開平4-361616号公報、特開平4-341617号公報、特開平9-132871号公報等に提案されている。しかしながら、これら芯鞘型複合繊維の場合、精練や染色などの熱水処理時に芯部の吸湿性樹脂が水を含んで大きく膨潤するため、繊維表面にひび割れ(鞘割れ)が発生し、吸湿性樹脂の外部への流出や、染色堅牢性の著しい悪化など布帛品位が低下する欠点があった。この鞘割れを抑制する目的で、前もって溶融紡糸の段階から吸湿性の芯成分に隣接する中空部を設けておく方法が、特開平9-111579号公報また特開昭52-55721号公報により提案されているが、たとえ中空部を有する形状に繊維化した場合にも繊維に撚糸加工や仮撚加工を施した場合には中空部の潰れが生じ、その後の熱水処理によって前述の場合と同じく吸湿ポリマーの膨潤に起因する鞘割れが生じてしまう欠点があった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を克服して、ポリエステルの優れた特性を維持しながら、高い吸湿特性を有し、且つ製糸安定性に優れたポリエステル繊維を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上述した課題は、下記A〜Dを満足するシリカ系無機粒子を1〜20重量%含有したポリエステル繊維であって、該繊維の吸湿パラメーター(ΔMR)が2%以上であることを特徴とする吸湿性に優れたポリエステル繊維で解決することができる。 【0008】A.シリカ系無機粒子の細孔容積V(ml/g)が0.5以上であり、かつ該粒子の比表面積S(m2/g)との関係が 次式を満足すること。 【0009】100≦S/V<1500B.シリカ系無機粒子の平均粒径(μm)が0.01〜10であること。 【0010】C.シリカ系無機粒子の吸湿パラメーター(ΔMR)が7%以上であること。 【0011】D.4μm以上の粗大粒子の含有量が5%以下であること。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の内容を具体的に説明する。 【0013】本発明に於いてシリカ系無機粒子は繊維に吸湿性を付与するための必須成分である。具体的には粒子の50%以上がSiO2で構成される無機粒子であり、ホワイトカーボン、シリカゾル、シリカゲル等が挙げられるが、好ましくはSiO2含有量が95%以上の湿式シリカ、乾式シリカが好ましい。 【0014】ここで、シリカ系無機粒子の吸湿特性については、低湿度環境下では粒子の比表面積に依存し、比表面積が高いと吸湿率も高くなる。一方、高湿度環境下においては、粒子の細孔容積および比表面積の関係を特定の値に制御することで初めて高い吸湿率を付与することが可能となる。すなわち、シリカ系無機粒子の細孔容積V(ml/g)が0.5以上であり、かつ該粒子の比表面積S(m2/g)との関係が 次式を満足することで目的とする吸湿特性を繊維に付与することが可能である。 【0015】100≦S/V<1500高い吸湿性を付与するといった観点から400〜1000が好ましく、500〜800がさらに好ましい。この値が300未満であると目的使用範囲(高湿度環境下)での吸湿性が満足に発現せず、また1500以上だと低湿度環境下での吸湿率が高くなりすぎるため、目的とした吸湿特性を付与することができない。本発明で用いられるシリカ系無機粒子はその細孔容積Vが0.5(ml/g)以上であることが必要である。この細孔容積が小さい場合には吸湿性能、放湿性能ともに不十分なものしか得られない。 【0016】本発明において用いられるシリカ系無機粒子の平均粒径は0.01〜10μmである。0.01μmよりも小さい場合には重合の段階での増粘が激しすぎるため高重合度の樹脂が得られない。また、10μmよりも大きい場合は紡糸時の糸切れや濾圧上昇といった問題を引き起こすため好ましくない。より好ましい無機微粒子の平均粒径は0.1〜5μmである。 【0017】また本発明で用いるシリカ系無機粒子の4μm以上の粗大粒子の含有量は5%以下でなければならない。4μm以上の粗大粒子が5%以上含有していると紡糸工程で頻繁に単糸流れや糸切れが発生し工程安定性に劣る。好ましくは4%以下である。 【0018】また本発明で用いるシリカ系無機粒子は、吸湿性という観点から3個/nm2以上のシラノール基が粒子表面に存在することが好ましい。表面のシラノール基の数がこれより少ないと満足する吸湿性を期待できない。 【0019】また、シリカ系無機粒子の吸湿特性を示す吸湿パラメーター(以下ΔMRと記す)は、これを用いた合成繊維の吸湿性を高めるため、高ければ高い方が好ましいが、7%以上であることが必要である。好ましくは15.0%以上、特に好ましくは20.0%以上である。 【0020】ここでΔMRとは、30℃×90%RHでの吸湿率(MR2)から20℃×65%RHでの吸湿率(MR1)を引いた差である(ΔMR(%)=MR2−MR1)。ここでΔMRは衣服着用時の衣服内の湿気を外気に放出することにより快適性を得るためのドライビングフォ―スであり、軽〜中作業あるいは軽〜中運動を行った際の30℃×90%RHに代表される衣服内温度と20℃×65%RHに代表される外気温湿度との吸湿率差である。本発明では吸湿性評価の尺度としてこのΔMRをパラメーターとして用いている。ΔMRは大きければ大きいほど吸放湿能力が高く着用時の快適性が良好であることに対応する。 【0021】本発明におけるポリエステルは、優れた強度という観点から、その80モル%以上がアルキレンテレフタレート繰り返し単位からなるものであり、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどを好適な例として挙げることができる。なかでも、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル系重合体は、強度、耐候性が良好なことからであり好ましい。 【0022】このエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルは、本発明の目的を損なわない範囲で他の第3成分が共重合されていてもよい。例えば、テレフタル酸の代わりに用いうる化合物としては、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の、芳香族、脂肪族、脂環族ジカルボン酸及びそれらの誘導体を挙げることが出来る。エチレングリコールの代わりに用いうるジオール化合物としては、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSのような芳香族、脂肪族、脂環族のジオール化合物を挙げることができる。なお、これらのポリマーには必要に応じてたとえば艶消し剤、制電剤、消臭剤、微細孔形成剤等を含有せしめても良い。 【0023】また、ポリマー自体の吸湿性を向上させる目的から、スルホイソフタル酸金属塩を0.5〜20モル%共重合することが好ましい。これらの共重合比率は、十分な吸放湿性、強度という観点から、より好ましくは1〜10モル%である。 【0024】さらに同様な目的から分子量600〜20000のポリオキシアルキレングリコールを0.5〜15重量%共重合することが好ましく、より好ましくは2〜10重量%である。 【0025】また、用いるポリオキシアルキレングリコールとして具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンオキシド・ポリプロピレンオキシドブロック共重合体、ポリエチレンオキシド・ポリテトラメチレンオキシドブロック共重合体、ポリプロピレンオキシド・ポリテトラメチレンオキシドブロック共重合体等が挙げられるが、好ましくはポリエチレングリコールである。 【0026】本発明で用いられるシリカ系無機粒子の添加量は1〜20重量%である。添加量が1重量%に満たないとポリエステル組成物の吸放湿性が不十分となり、また、20重量%以上となると組成物の溶融粘度が著しく高くなるため成形が困難となる。より好ましい添加量は5〜15重量%である。 【0027】実用上の着用快適性を得るためには合成繊維のΔMRは経時変化が問題とならない範囲で高いほど好ましく、2.0%以上が必要であり、さらに好ましくは2.5%以上である。 【0028】本発明で用いるシリカ系無機粒子の平均細孔径は1〜15nmであることが好ましい。平均細孔径が1nm未満だと吸湿性に劣る。また、平均細孔径が15nmを超えると高湿度下での吸湿性には優れるものの低湿度下での吸湿性に劣るために本発明が目的としている吸放湿性を付与することができない。より好ましい平均細孔径は3〜10nm、さらに好ましくは4〜7nmである。 【0029】本発明のポリエステルに含有するシリカ系無機粒子は、1〜20nmまでの径を持つ細孔で全細孔容積の90%以上を占めることが好ましい。本発明のシリカ系無機粒子は細孔を持つことで周りの水蒸気が毛管凝縮を繰り返すことによって吸放湿するが、本発明が目的としている吸放湿性付与に関与する細孔径は1〜20nmまでであり、この範囲でより多くの細孔容積を占めるほうが水を保持できる空間が大きくなるために吸放湿の効率が良くなる。上記細孔径範囲で全細孔容積の95%以上を占めることがより好ましい。 【0030】本発明のポリエステルに含有するジエチレングリコール(以後DEG)含有量は2重量%以下、カルボキシル(以後COOH)末端基量は10〜50当量/tであることが好ましい。DEGが多すぎると、吸湿性が低下する。この理由については現在のところ定かではないが、DEG含有量が多くなると組成物を構成するポリエステルのソフトセグメント部分が増加するためにシリカ系無機粒子表面の活性基を覆いやすくなるためと推定している。より好ましいDEG含有量は1重量%以下である。 【0031】COOH末端基量多ければ多いほど吸湿性が向上する傾向にあるが、多すぎるとポリエステルの熱分解反応が促進されるため繊維強度の観点から好ましくない。より好ましいCOOH末端基量は20〜30当量/tである。 【0032】本発明においてポリエステルにシリカ系無機粒子を含有させる方法はポリエステルのエステル化あるいはエステル交換反応時、重縮合反応時、重縮合反応後溶融成形前のいずれかの段階において混合させればよい。 【0033】本発明のポリエステルを用いる繊維の製法としては従来公知の方法で製造することができ、以下に製造法を示す。シリカ系無機粒子含有ポリエステルを溶融し、紡糸パックに導き口金吐出孔から紡出する。 【0034】紡出したフィラメント糸を所定の速度で引取った後、一旦パッケージに巻上げ、得られた未延伸糸を通常の延伸機にて延伸する。また、この延伸は紡出糸を引取った後巻取ることなく連続して行い巻上げてもよいし、4000m/分以上の高速で引取り実質的に延伸することなく一挙に所望の繊維性能を得る方法をとってもよい。 【0035】直接紡糸延伸法としては、例えば、紡出糸を1000〜5000m/分で引取り、引続いて3000〜6000m/分で延伸・熱固定する方法が挙げられる。 【0036】本発明の合成繊維の断面形状は丸ばかりでなく、三角、偏平、多葉型などの異形断面でも良い。また、該合成繊維の糸状形態は、フィラメント、ステープルのどちらでも良く、用途によって適宜選定される。布帛形態としては、織物、編物、不織布など目的に応じて適宜選択できる。 【0037】 【実施例】以下本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。なお、実施例中の各特性値は次の方法によって求めた。 【0038】A.ポリエステルの極限粘度 [η] オルトクロロフェノール溶液とし、25℃で求めた。 【0039】B.粒子およびそれを含有した繊維の吸湿性パラメーター(ΔMR) 吸湿率は粒子の場合、粒子1gを用い、また繊維の場合には原糸または布帛1〜3gを用い、絶乾時の重量と20℃×65%RHあるいは30℃×90%RHの雰囲気下、恒温恒湿器(タバイ製PR−2G)中に24時間放置後の重量との重量変化から、次式で求めた。 吸湿率(%)=(吸湿後の重量 − 絶乾時の重量)/絶乾時の重量 ×100上記測定した20℃×65%RHおよび30℃×90%RHの条件での吸湿率(それぞれMR1およびMR2とする)から、吸湿率差ΔMR(%)=MR2−MR1を求めた。 【0040】C.粒子の平均粒径および粗大粒子の含有量粒子の平均粒径および粗大粒子の含有量はHORIBA製粒径分析装置(LA−700)にて測定を行った。 【0041】D.DEG含有量ポリエステルをモノエタノールアミンで加熱分解後、1,6へキサンジオール/メタノールで希釈し、テレフタル酸で中和した後、ガスクロマトグラフィーのピーク面積から求めた。 【0042】E.カルボキシル末端基量ポリエステルをオルトクレゾールに溶解し、水酸化ナトリウムを用いて電位差滴定法により求めた。 【0043】F.粒子の比表面積、細孔容積、平均細孔径窒素吸着法により温度77Kで測定し、比表面積についてはBET法で、細孔容積と平均細孔径についてはDH法で解析した。 【0044】G.細孔容積占有率の計算粒子の全細孔容積に対する1〜20nmまでの径を持つ細孔の容積の総和の割合から求めた。 【0045】H.表面のシラノール基の定量微粉末シリカを圧力0.1kPa以下、温度120℃で乾燥した後ジオキサン中で水素化リチウムアルミニウムと反応させ水素量を測定して求めた。 【0046】I.強度、伸度東洋ボールドウィン社製テンシロン引張り試験機を用いて試長20cm、引張り速度10cm/分の条件で応力−歪み曲線から値を求めた。 【0047】実施例1平均粒径2.0μm、細孔容積Vが0.8ml/g、S/Vの関係が600、4μm以上の粗大粒子の含有量が3.6%、シラノール基を5個/nm2有する湿式シリカ粒子の吸湿性パラメーター(ΔMR)は40.2%であった。 【0048】ポリエステルとして、ジメチルテレフタル酸194部、エチレングリコール124部、酢酸コバルト0.05部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.08部のエチレングリコール溶液、上記湿式シリカ粒子20部のエチレングリコールスラリー、および三酸化アンチモン0.1部を加え、0.1kPaの減圧下290℃に昇温した条件下で重合を行いポリエステルを得た。このポリエステルのシリカ粒子の含有量は10重量%であり、またΔMRは4.0%であった。 【0049】該ポリエステルを290℃で溶融し、吐出量25g/分で同心円口金から吐出して1000m/分の紡糸速度で巻き取り未延伸糸を得た。この条件で紡糸を1日行ったが全く糸切れが生じなかった。次いで延伸、熱処理することにより 83デシテックス24フィラメントのポリエステル繊維を得た。この繊維を筒編みとし、吸放湿特性を測定したところΔMR=4.0%であり、強伸度特性も良好であった。 【0050】比較例1実施例1において4μm以上の粗大粒子の含有量が異なる湿式シリカを用いた以外は同様な方法によりポリエステル繊維を得た。紡糸時の糸切れは14回/日であり紡糸安定性に欠けるものであった。 【0051】実施例2〜4、比較例2,3実施例1においてポリエステル中のシリカ粒子の添加量を変更する以外は同様な方法によりポリエステル繊維を得た。比較例1においては満足するΔMRを得ることができず、また比較例3においては紡糸時の糸切れが多発してポリエステル繊維を得ることができなかった。 【0052】 【表1】
実施例5,6、比較例4,5実施例1において用いるシリカ粒子の平均粒径および4μm以上の粗大粒子の含有量を変更する以外は実施例1と同様な方法によりポリエステル繊維を得た。比較例4においては重合時のシリカ粒子起因の増粘が激しく、ベースのポリエステルの重合度が上がらなかった。また比較例5においては実用上満足する強度を有する繊維を得ることができなかった。 【0053】 【表2】
実施例7〜9、比較例6,7実施例1において、粒子の比表面積と細孔容積の関係および4μm以上の粗大粒子の含有量、平均細孔径、細孔容積占有率を変更した粒子を用いた以外は実施例1と同様な方法によりポリエステル繊維を得た。比較例6,7いずれも満足のいくΔMRを付与することができなかった。 【0054】 【表3】
実施例10DEG含有量を1.8wt%に変更した以外は実施例1と同様な方法でポリエステル繊維を得た。この繊維を筒編みとし、吸放湿特性を測定したところΔMR=3.8%であり、強伸度特性も強度3.3CN/dtex、伸度41.1%で良好であった。また、紡糸1日で糸切れは発生しなかった。 【0055】実施例11COOH末端基量を40当量/tに変更した以外は実施例1と同様な方法でポリエステル繊維を得た。この繊維を筒編みとし、吸放湿特性を測定したところΔMR=4.2%であり、強伸度特性も強度3.2CN/dtex、伸度38.2%で良好であった。また、紡糸1日で糸切れは発生しなかった。 【0056】実施例12ポリエステルとして、ジメチルテレフタル酸194部、エチレングリコール135部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル26.6部、酢酸コバルト0.05部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.08部のエチレングリコール溶液、実施例1記載の湿式シリカ粒子20部のエチレングリコールスラリー、および三酸化アンチモン0.1部を加え、0.1kPaの減圧下290℃に昇温した条件下で重合を行いポリエステルを得た。このポリエステルのシリカ粒子の含有量は10重量%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合量は5モル%であり、またΔMRは7.0%であった。 【0057】該ポリエステルを溶融し、同心円口金から吐出して未延伸糸を得、次いで延伸、熱処理することにより 83デシテックス24フィラメントのポリエステル繊維を得た。この繊維を筒編みとし、吸放湿特性を測定したところΔMR=6.9%であり、強伸度特性も強度3.4CN/dtex、伸度38.9%で良好であった。また、紡糸1日で糸切れは発生しなかった。 【0058】実施例13ポリエステルとして、ジメチルテレフタル酸194部、エチレングリコール124部、酢酸コバルト0.05部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った後、分子量1000のポリエチレングリコール20部、リン酸トリメチル0.08部のエチレングリコール溶液、実施例1記載の湿式シリカ粒子20部のエチレングリコールスラリー、および三酸化アンチモン0.1部を加え、0.1kPaの減圧下290℃に昇温した条件下で重合を行いポリエステルを得た。このポリエステルのシリカ粒子の含有量は10重量%、ポリエチレングリコールの共重合量は10重量%であり、またΔMRは6.8%であった。 【0059】該ポリエステルを溶融し、同心円口金から吐出して未延伸糸を得、次いで延伸、熱処理することにより 83デシテックス24フィラメントのポリエステル繊維を得た。この繊維を筒編みとし、ΔMRを測定したところ6.8%であり、強伸度特性も強度3.4CN/dtex、伸度39.9%で良好であった。また、紡糸1日で糸切れは発生しなかった。 【0060】 【発明の効果】本発明によって得られた合成繊維は着用快適性を得るのに十分な吸湿性を有し、かつドライタッチな風合いと高い染色堅牢性や耐光性を有している。本発明の合成繊維は下着、シャツ、ブラウス類、中衣、スポーツウェア、スラックス類、外衣、裏地、カーテン、壁紙、さらには、シーツ、フトンカバー、詰め綿等の寝装用に適しており、極めて実用性の高いものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003159 【氏名又は名称】東レ株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号
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| 【出願日】 |
平成13年11月15日(2001.11.15) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−155626(P2003−155626A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月30日(2003.5.30) |
| 【出願番号】 |
特願2001−349976(P2001−349976) |
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